JP2004354945A - 可動レンズの位置検出装置 - Google Patents

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俊和 宮尾
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Abstract

【課題】可動レンズ4の保持枠19に取付けられたマグネット24の位置を検出するMRセンサ25の取付けにおいて、MRセンサ25が傾くことなく安定に取付けられるとともに、マグネット24に対する移動方向の自由度を改善する。
【解決手段】MRセンサ25の検出部43に対してその両側にそれぞれフランジ41、42を設けるようにし、一方のフランジ41に設けられているねじ挿通孔47を挿通するねじ53を鏡筒5側の雌ねじ孔54に螺着し、これによってMRセンサ25を鏡筒5に固定する。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は可動レンズの位置検出装置に係り、とくに可動レンズの位置を鏡筒に設けられた位置検出素子によって検出するようにした可動レンズの位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりビデオカメラ等の撮像装置において、光学系としてズームレンズと称される画枠調整が可能な焦点距離が可変できるレンズを備えたものがある。この画枠調整は、例えば撮像装置が備える画枠設定用のレバーの操作に基いて、レンズ鏡筒内部の画枠設定用レンズ群を、モータ等の駆動手段により駆動させて、所望の位置に設定するようにしてある。また自動的にフォーカス調整を行なう機能を備えた撮像装置の場合には、フォーカス調整用レンズ群についても、何等かの方法で検出したフォーカス制御信号に基いて、モータ等の駆動手段によって駆動させ、自動的に適正なフォーカス位置とするようにしている。
【0003】
従ってこのような画枠調整やフォーカス調整を行なう場合には、画枠設定用のレンズやフォーカス制御用のレンズをモータによって駆動するとともに、その位置を検出する必要がある。とくに上記のレンズの位置検出のために、従来より磁気抵抗素子(MR素子)によって位置検出を行なうようにしていた。
【0004】
図17〜図19は従来のMR素子から成るレンズの位置検出装置を示しており、このMR素子25をそのパッケージの一端に設けられたフランジ41によって鏡筒5の座面51にねじ53によって固定するようにしていた。フランジ41にはねじ挿通孔47が形成され、このねじ挿通孔47に挿通されるねじ53を鏡筒5の雌ねじ孔54に螺着することによって、MR素子25が鏡筒5の所定の位置に固定される。
【0005】
ここでMR素子25の検出部43と対向するように可動レンズとともに移動するマグネット24が設けられる。ここでマグネット24は鏡筒5の軸線方向に沿って交互にN極とS極とに着磁されるとともに、レンズの移動に伴って光軸方向に移動されるようになる。従ってこのようなマグネット24の移動をMR素子25によって検出することにより、レンズの位置の検出が行なわれる。なおMR素子25の検出出力はリード端子44から取出され、信号処理が行なわれる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−83395号公報
【特許文献2】特許第3120454号公報
【発明が解決しようとする課題】
画枠設定用レンズやフォーカス調整用レンズの移動枠に取付けられるマグネット24の移動量を検出する従来のMR素子25は図17〜図19に示すように、このMR素子25のパッケージおよびこれを用いた鏡筒5において、ねじ53を挿通させるねじ挿通孔47、センサ25の検出部43、およびセンサ25の出力端を構成するリード端子44が図19に示すように鏡筒5の光軸方向とは直角な半径方向に並んでおり、このために鏡筒5が半径方向に膨らんでその直径が大きくなる欠点があった。
【0007】
またMRセンサ25に鏡筒5へ取付けるフランジ41が図17に示すように、検出部43に対してその片方にしかなく、このためにフランジ41を必然的に厚くしなければならなかった。そして厚いフランジ部41を固定するために長い締結ねじ53を用いる必要があり、このために鏡筒5側のねじ締結部の厚みが図17に示すように厚み方向に大きくなっていた。一方でMR素子25の検出部43の表面からマグネット24の着磁面までの距離を100〜300μmの間に保とうとすると、鏡筒5のねじ53の締結部がマグネット24と干渉し、これによってマグネット24をねじ締結部の下側にもぐり込ませるように移動させることができなかった。このことはMRセンサ25とマグネット24との間の相互のレイアウトの自由度を損うことになる。
【0008】
またMRセンサ25に上述の如く鏡筒5に固定するフランジ41が検出部43に対してその片方しかなく(図17参照)、鏡筒5に対して位置決めする位置決め用ボスもないために、ねじ53の締結時にMRセンサ25が不安定になるとともに、取付け後においてもMRセンサ25が傾く可能性があった。これによってMRセンサ25の検出部43の表面とマグネット24の着磁面までの距離が100〜300μmの範囲内で使用される場合に、厚みが異なったスペーサを介装することによってこの隙間の距離を調整しようとしても、調整しろが±50μm程度の精度を要するのに対し、上記MRセンサ25の傾きによって上記の距離が一様にならず、バラツキを発生し、スペーサによるギャップ調整が困難になっていた。このためにMRセンサ25の出力が一定にならず、位置の検出精度が劣化する欠点があった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、位置検出素子の存在によって鏡筒の寸法がとくに半径方向に大きくなることがなく、あるいはまたMRセンサに対するマグネットのレイアウト、とくに移動方向の自由度を拘束することがなく、さらには位置検出素子と被検出部との間の距離を安定に維持し、これによって位置検出素子の検出出力がばらつくのを防止して検出精度を向上させるようにした可動レンズの位置検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願の主要な発明は、
可動レンズの位置を鏡筒に設けられた位置検出素子によって検出する可動レンズの位置検出装置において、
前記位置検出素子の検出部に対してその両側にそれぞれフランジを設けるとともに、前記両側のフランジが光軸方向に配列されるように前記鏡筒に取付けることを特徴とする可動レンズの位置検出装置に関するものである。なお本願においてレンズとは、単一のレンズのみならず複数のレンズを組合わせたレンズ群をも含む概念を意味する。
【0011】
ここで前記可動レンズが画枠設定レンズまたはフォーカス調整レンズであることが好ましい。また前記位置検出素子が磁気抵抗素子であって、前記可動レンズの保持枠に取付けられかつ光軸方向に交互に着磁されたマグネットの磁気を検出することが好ましい。また前記位置検出素子のフランジに形成されるねじ挿通孔を通して螺着される前記鏡筒のねじ締着部の内周側の表面が前記位置検出素子の検出面よりも外周側に偏倚し、前記ねじ締結部の内周側を前記位置検出素子によって検出される被検出部材が移動することが好ましい。
【0012】
また前記位置検出素子のフランジのねじ挿通孔に近接して前記鏡筒の位置決め部と係合する係合部を設けることが好ましい。また前記位置検出素子の前記ねじ挿通孔が形成されるフランジとは反対側のフランジにこの位置検出素子の回転を阻止する係合部を設けることが好ましい。また前記位置検出素子の位置決め部と係合する係合部と回転を阻止する係合部とを前記鏡筒の光軸方向とほぼ平行に配置することが好ましい。また前記位置検出素子が複数の端子を備えるとともに、該端子が前記鏡筒の光軸方向とほぼ平行に配列されることが好ましい。また前記位置検出素子のねじ挿通孔が形成されたフランジおよび反対側のフランジを受ける座面が鏡筒側に設けられることが好ましい。
【0013】
本願の別の主要な発明は、
可動レンズの位置を鏡筒に設けられた位置検出素子によって検出する可動レンズの位置検出装置において、
前記位置検出素子の検出部に対してその両側にそれぞれフランジを設けるとともに、前記位置検出素子の両側のフランジと前記鏡筒の座面との間にシート状のスペーサを介在させ、該スペーサの厚さを所定の値に設定することにより前記位置検出素子の検出面の位置を調整することを特徴とする可動レンズの位置検出装置に関するものである。
【0014】
ここで互いに厚さが異なる複数種類のスペーサを用意しておき、適正な厚さのスペーサを前記位置検出素子のフランジと前記鏡筒の座面との間に装着することが好ましい。また適正な厚さのスペーサを装着することによって前記位置検出素子の検出面と前記可動レンズの保持枠に取付けられるマグネットとの間の隙間の調整を行なうことが好ましい。また前記スペーサに前記位置検出素子の位置決め部を逃げる逃げが形成されることが好ましい。また前記スペーサにその厚みを認識できるマーク、文字、数字等の表示手段を設けることが好ましい。また前記スペーサを前記位置検出素子と前記鏡筒との間に組込むための保持部を該スペーサに設けることが好ましい。
【0015】
可動レンズの位置を検出する位置検出素子にフランジを検出部に対してその両側に設けることによりフランジの薄型化が可能になる。そしてねじの締付けトルクを小さくしながらしかも傾いて締付けることなく安定して取付けることができるようになる。そしてこのことから締付けねじの長さも短くなり、鏡筒のねじ締結部の厚みも薄くできるようになる。
【0016】
このようなことから、位置検出素子の検出部からマグネット等の被検出部までの距離を所定の値、例えば100〜300μmを保持しながらしかも鏡筒のねじ締結部とマグネット等の被検出部が干渉することがなくなり、鏡筒のねじ締結部の下側に被検出部を構成するマグネットをもぐり込ませることができ、締結ねじの位置やマグネットの配置の規制がなくなり、自由にレイアウトを行なうことが可能になる。また鏡筒全体を小型化できるようになる。
【0017】
位置検出素子のねじ挿通孔、鏡筒との位置決め用係合孔、回転防止用の切込みの配列をほぼ光軸方向とすることによって、光軸方向に直角な半径方向へのスペースの削減につながる。よって鏡筒の全体を小型化でき、とくに鏡筒の半径方向の寸法を小さくできる。また位置検出素子の端子部をほぼ光軸方向に配列することによって、鏡筒の中心側に配列する構造とすることが可能になり、鏡筒の外周側に端子が出ている構造よりも端子が変形したり折れたりすることが少なくなり、組立て工程において作業者が手で端子に触れる可能性も少なく、組立て後においても他の干渉物によって端子が押されることも少なくなる。
【0018】
また従来の位置検出素子が図17〜図19に示すように検出部43に対してフランジ41が片側にのみ形成されていたのに対し、位置検出素子の検出部に対してその両側にフランジを設け、鏡筒との位置決めピンや位置検出素子の両側のフランジ部を受ける座面を鏡筒の取付け位置の両側に設けることによって、外力が加わってもマグネットに対する位置検出素子のギャップが変化することがなく、精度よくセンサの位置決めを行なうことが可能になる。またねじによる位置検出素子の片浮きの防止がなされ、不良の予防になる。
【0019】
また位置検出素子とマグネットとの間のギャップのスペースを調整するためにシート状のスペーサを用いるとともに、このスペーサに位置決め部を逃げる逃げを設け、これを位置検出素子の位置決め部と同じ位置に整合させ、位置検出素子の両側のフランジの下に挟む構造にすることによって、スペーサを入替えて位置検出素子とマグネットとの間の隙間の距離を調整する際に、ねじ締め力による位置検出素子の傾きや外力による位置検出素子とマグネットとの間の距離の変動によるバラツキをなくし、スペーサの厚みによる位置検出素子の出力の変動のバラツキをなくして安定化することが可能になる。
【0020】
また上記のギャップ調整用のシート状スペーサに、取付け時にピンセット等で保持するための保持部を設けるとともに、取付け後に外観によってこのスペーサの厚みを確認できるマーク、文字、数字等を刻印した表示部を設けることによって、スペーサの厚みが容易に識別できるようになり、組立て作業および解析作業の効率が大幅に向上する。
【0021】
また位置検出素子の検出部とは反対側の面にフレキシブル基板を接着する構造とし、組立て手順を位置検出素子とフレキシブル基板を接着した後に端子を半田付けすることによって、半田付け時間の短縮を行なうとともに、半田不良を低減することが可能になり、これによって組立ての作業性が改善される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本願に含まれる発明を図示の実施の形態によって説明する。この実施の形態はビデオカメラに用いられる光学系に関するものであって、図1〜図3に示すようにほぼ円筒状をなす鏡筒5を備え、この鏡筒5内にとくに図5に示すように対物レンズを構成するレンズ群1、画枠設定用レンズ群2、固定レンズ群3、フォーカス用レンズ群4をその内部に光軸方向に沿って配置した構造になっている。とくに本実施の形態は、移動可能な画枠設定用レンズ群1およびフォーカス用レンズ群4の位置検出の改善に関するものである。
【0023】
図5は本実施の形態の撮像装置の光学系を原理的に示したものである。なおこの実施の形態はビデオカメラを備えるレンズ装置に関するものであって、ズームレンズと称される画枠調整が可能なレンズが用いられ、複数配置されたレンズ群1、2、3、4の内の1つのレンズ群2が画枠設定用レンズとして用いられる。この画枠設定用レンズ群2は、鏡筒5内において光軸方向に移動可能なレンズ群であり、サーボモータ13aにより駆動される。またレンズ群4は、フォーカス調整用のレンズ群であり、このフォーカス調整用レンズ群4についても、鏡筒5内で光軸方向に移動可能なレンズ群であって、サーボモータ13bにより駆動される。ここで各サーボモータ13a、13bはリニアモータから構成され、図4に示すサーボ回路37から駆動信号が供給される。
【0024】
各サーボモータ13a、13bにより駆動されるレンズ群2、4の位置は、MR素子を使用したMRセンサ23、25で磁気的に検出しており、この検出情報をサーボ回路37に図4に示すようにフィードバックしている。
【0025】
レンズ装置10によって光学系が結像する面には撮像素子31が配されている。この撮像素子31で光学像を電気的な撮像信号に変換する。撮像素子31として、CCDイメージャが使用される。撮像素子31から読出された撮像信号は、図4のA/D変換器32でデジタル信号に変換された後、撮像信号処理回路33に供給され、適正な映像信号とする処理が行なわれ、この処理が行なわれた映像信号が撮像装置から出力される。またはこの撮像装置が映像信号記録部を備えたビデオカメラである場合には、得られた映像信号がその記録部で記録される。
【0026】
ここで撮像信号処理回路33内には、撮像信号の所定の成分、例えば輝度の高域成分を検波する検波回路34を備え、この検波回路34の検出信号を、この撮像装置の撮像動作を制御する中央制御ユニット(CPU)35に供給する。中央制御ユニット35では、この検出信号のレベルに基いて、フォーカスの状態、すなわち合焦状態を判定し、その判定した合焦状態がジャストフォーカス状態となるように自動フォーカス制御を行なう。
【0027】
このフォーカス制御は、中央制御ユニット35からサーボ回路37にフォーカス制御用レンズ群4の目標位置情報を供給し、サーボ回路37でその目標位置にフォーカス調整用レンズ群4を駆動するためのサーボ制御処理を行なってモータ13の駆動信号を生成させ、この駆動信号をサーボモータ13bに供給し、フォーカス調整用レンズ群4の可動位置を調整することにより行なう。
【0028】
また中央制御ユニット35には、図示しないズーム操作キーの操作情報が供給されるようになっており、このズーム操作キーの操作情報に基いて、画枠設定用レンズ2の目標位置情報をサーボ回路37に供給し、サーボ回路37でその目標位置に画枠設定用レンズ群2を駆動するためのサーボ制御処理を行なってモータ13aの駆動信号を生成させ、その駆動信号をサーボモータ13aに供給し、画枠設定用レンズ群2の可動位置を調整するようにしている。
【0029】
この場合にズーム操作キーの操作状態により、サーボモータ13aによる画枠設定用レンズ群2の駆動速度を可変できる構成にしており、最も高速で駆動した際には、ワイド端(すなわち最も焦点距離が短い状態)からテレ端(すなわち最も焦点距離が長い状態)に画枠設定用レンズ群2が移動する時間が、1秒未満の非常に高速駆動できるようにしている。
【0030】
なおズームレンズ2はフォーカスを合わせる位置が同じであっても、画枠(焦点距離)が変化するときに、フォーカス調整用レンズ群4の可動位置についても変化させないと、ジャストフォーカス状態を維持できない。この焦点距離とジャストフォーカス状態のフォーカス調整用レンズ群4の位置との対応関係については、中央制御ユニット35に接続されたメモリ36に予め設定しておく。そして焦点距離が変化したときに、中央制御ユニット35はメモリ36の記憶情報を読出して、サーボ回路37にフォーカス制御用のサーボ制御信号を供給し、フォーカス調整用レンズ群4の可動位置を調整する。
【0031】
この場合にサーボモータ13によるフォーカス調整用レンズ群4の駆動についても、非常に高速駆動できるようにしてあり、例えば上述したように画枠設定用レンズ群2を高速で可動させたときに、その移動に追随したフォーカス調整用レンズ群4の可動位置を補正してジャストフォーカス状態を維持する処理についても、高速で行なえるようにしている。
【0032】
次にレンズ群2、4を光軸方向に可動させる機構の例を図5〜図7によって説明する。図5はレンズ装置10の内部の構造を示しており、複数のレンズ群1、2、3、4と撮像素子31が光軸に沿って配列されており、レンズ群1、3については固定されており、レンズ群2、4については光軸方向に可動できる構造としている。なお図5において、レンズ群1〜4による光学系は簡略化されて示してあり、実際にはそれぞれの群は複数枚のレンズで構成される場合もある。また可動レンズ群の位置についても、図5の例に限定されない。
【0033】
レンズ群2、4を可動させるための構成としては図5および図8に示すように、光軸にほぼ平行に2本の軸11、12が上下に配置されており、これら2本の軸11、12に各レンズ群2、4の保持枠16、19が支持されるようにしている。すなわち画枠設定用レンズ群2については、図6に示すように保持枠16に設けられた軸支持部15a、15bで2本の軸11、12に支持させる構成としている。そして光軸方向に延びたマグネットとヨークとで構成される磁気回路13が軸11に沿って配置してある。このマグネットに対向して図7に示すように、可動側にコイル14が配置されており、コイル14にサーボ回路37から駆動信号を印加したときに、その電圧によって光軸方向の推進力(ローレンツ力)が得られる。ここで電圧値およびその極性をサーボ回路37がコントロールすることで、適正な向きと大きさの推進力が得られ、所望の方向および速度でレンズ群2が移動する。このレンズ群2の可動範囲は、図5におけるL として示されている。
【0034】
レンズ群2の保持枠16には図7に示すように、所定のパターンで着磁された棒状のマグネット22が取付けられており、このマグネット22と所定のギャップを介して固定側には、2相のMR素子23を使用したMRセンサ23が配置されており、MRセンサ23の出力からサーボ回路37がレンズ群2の可動位置を判定する。
【0035】
フォーカス調整用レンズ群4を可動させるための構成についても同様の構成であって、図8に示すように保持枠19に取付けられた軸支持部18a、18bで2本の支軸11、12に支持され、磁気回路13のマグネットに対向したコイル17にサーボ回路37から駆動信号を印加したときに、レンズ群4が移動する構成にしている。このレンズ群4の可動範囲は、図5においてL として示されている。
【0036】
レンズ群4の保持枠19にも、所定のパターンで着磁させた棒状マグネット24が取付けられており(図8参照)、このマグネットと所定のギャップを介した固定側には、2相のMR素子を使用したMRセンサ25が配置している。そしてMRセンサ25の出力からサーボ回路37がレンズ群4の可動位置を判定する。
【0037】
撮像装置で画枠設定用レンズ群2およびフォーカス調整用レンズ群4の可動位置を変化させる場合の処理について説明する。この可動範囲を変化させる際には、中央制御ユニット35からサーボ回路37にそれぞれのレンズ群2、4の目標位置情報が与えられ、基本的にはこの撮像装置で撮像を行なう周期である1フィールド(50Hzまたは60Hz)の周期で、その目標位置に移動させるようにすればよい。ここで本実施の形態の撮像装置の場合には、中央制御ユニット35から得られる目標位置を、サーボ回路37内で演算で内挿して、20〜30KHz程度の周期でそれぞれのレンズ群2、4の目標位置情報が得られるようにし、その内挿された周期の目標値と現在位置との差がなくなるように電圧を各モータ13a、13bに印加してサーボ制御行なうようにしている。
【0038】
このようにビデオカメラやデジタルスチールカメラに用いられる鏡筒5における画枠調整やフォーカス調整のような光軸方向に移動する移動枠16、19に取付けられ(図8参照)、その移動方向に沿って所定のピッチで交互に逆極性に着磁された着磁媒体、すなわちマグネット22、24の位置検出を磁気抵抗素子から成るMRセンサによって行なうようにしている。そしてここで中間鏡筒に取付けられるフランジ41、42を図9および図10に示すように、このMRセンサ25の検出部43に対してその両側に設けている。そして両側のフランジ41、42に対応するように、鏡筒5側には座面51、52を設け、これらの座面51、52によってフランジ41、42を受けるようにしている(図11参照)。
【0039】
図11〜図13はMRセンサ25を取付ける鏡筒5との締着部を示しており、MRセンサ25はフランジ41のねじ挿通孔47を挿通するねじ53によって締結されるようになっている。なおMRセンサ25は位置決め用係合孔48を備え、この係合孔48が鏡筒5側の位置決めピン55を受入れるとともに、反対側のフランジ42にU字状切込み49を形成し、この切込み49が鏡筒5側の回転防止ピン56を受入れて位置決めと回転防止とを図るようにしている。
【0040】
上記MRセンサ25が鏡筒5に図11に示すように取付けられると、その検出部43がその下側で移動可能に配されるマグネット24に対向する。マグネット24は図8に示すようにフォーカス用の移動可能なレンズ群4の保持枠19に取付けられており、この保持枠19によってフォーカス用レンズ群4と一緒に移動するようになっている。しかもその着磁面にはS極とN極とが光軸方向に沿って交互に一定のピッチで着磁されている。
【0041】
図17〜図19に示す従来のMRセンサ25の取付け構造によると、MRセンサ25の検出部43からマグネット24の着磁面までの距離を100〜300μmの範囲内に保とうとすると、鏡筒5のねじ53の締結部とマグネット24とが干渉するために、鏡筒5のねじ締結部の下側にマグネット24の可動域を設けることができない。しかるに図11に示す本願発明に係るMRセンサ25の構造と取付け構造によると、鏡筒5に取付けるフランジ41、42をMRセンサ25の検出部43の両側に設けることによって、締結用のねじ53の締付けトルクを小さくしながらしかも安定に取付けることができる。またねじ53の締付けトルクが小さくなることによって強度的にもMRセンサ25のフランジ41、42の厚さを薄くすることができる。センサ25のフランジ41、42の厚みが薄くなると、ねじ53の長さも短くできるようになり、このために鏡筒5のねじ53の締結部の厚さが薄くなり、締結部の内周側の面がMRセンサ25の検出部43よりも外周側に偏倚した位置になる。
【0042】
またMRセンサ25の両側のフランジ41、42は図11において鎖線で示すようにほぼ弓形に湾曲しており、これらのフランジ41、42の先端部が検出部43側に偏倚している。従ってこのように弓形に湾曲したフランジ41、42を有するMRセンサ25をねじ53によって固定すると、これらのフランジ41、42が弾性変形しながら鏡筒5の座面51、52に安定的に密着するようになり、MRセンサ25の取付け姿勢が極めて安定な状態になる。
【0043】
これによってMRセンサ25からマグネット24の着磁面までの距離を100〜300μmの範囲に保ちながら、しかも鏡筒5のねじ53の締結部とマグネット24とが互いに干渉することがなく、鏡筒5のねじ締結部の下側にマグネット24をもぐり込ませることが可能になる。
【0044】
またこの実施の形態において、鏡筒5に対するMRセンサ25の位置決めのための位置決めピン55を受入れる位置決め用係合孔48と、検出部43と、この検出部43に対して係合孔48とは反対側のフランジ42上の回転止め用のU字状の切込み49とを、この鏡筒5の光軸方向とほぼ平行に配列している。また位置決めピン55を受入れる係合孔48の隣に設けられた締結用ねじ53の挿通孔47やリード端子44も光軸方向と平行に配置し、MRセンサ25の端子44を鏡筒5の内周側にくるようにしている。これによってリード端子44が組立て時に変形する事故が防止されるようになる。
【0045】
次に別の実施の形態を図14〜図16によって説明する。この実施の形態はMRセンサ25のフランジ41、42の下面と鏡筒5の座面51、52との間にシート状のスペーサ60を介装し、これによってギャップの調整を行なうようにしたものである。スペーサ60にはねじ53および位置決めピン55を逃げる円形孔61、62がそれぞれ形成される。また回転防止ピン56を逃げる切込み63が形成される。さらにはこのスペーサ60の端部にその厚みを認識できるようにマーク、文字、数字等の刻印部から成る表示部64を形成している。さらに組立て時においてスペーサ60の扱いを容易にする保持部を構成する突片65を側部に設けるようにしている。
【0046】
移動レンズ群2、4の位置検出をするMRセンサ23、25の出力は、マグネット22、24の着磁面からこれらのセンサ23、25の検出部43までの距離によって大きく変化する。そこで予め厚さの異なる複数のスペーサ60、例えば20、40、60、90、120μmのそれぞれの厚さのステンレス鋼板等のシート状のスペーサ60を用意しておき、このようなスペーサ60を鏡筒5の座面51、52とMRセンサ25との間に介在することによって、検出部43とマグネット24との間のギャップの調整を行なうようにしている。
【0047】
MRセンサ25の検出出力を一定にするためのスペーサ60は、鏡筒5とセンサ25のフランジ41、42との間に図14に示すように挟み込まれ、センサ25の取付け高さの微調整を行なうことによって所望の高さを得る。なおスペーサ60はピンセットで掴んで鏡筒5に取付け易いように保持部を構成する突片65を備え、さらには組立てた後に外からスペーサ60の厚さが分るようにマーク、文字、数字等の表示部64を設けている。
【0048】
またこのスペーサ60にも上記MRセンサ25と同様に、ねじ53を逃げる円形孔61、位置決めピン55を逃げる円形孔62、回転防止用ピン56を逃げる切込み63を設けている。またこのスペーサ60はMRセンサ25の両側のフランジ41、42の下部の全域をカバーする形状にしている。このようなスペーサ60によって、MRセンサ25とマグネット24との間のギャップを均一にでき、これによってMRセンサ25の検出出力のバラツキをなくして高い精度で位置検出を行なうことが可能になる。
【0049】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願に含まれる発明の技術的思想の範囲内で各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態は、ビデオカメラの移動レンズ群2、4の位置検出に関するものであるが、本願発明はその他の可動レンズの位置検出に広く適用可能であって、例えばデジタルスチールカメラの可動レンズの位置検出に適用することも可能である。またそれぞれの可動レンズあるいはレンズの構成は、単一のレンズから構成されてもよく、あるいはまた複数のレンズを組合わせたものであってもよい。また位置検出素子としては必ずしもMRセンサに限定されることなく、その他各種のセンサ、例えばGMR(Giant Magneto Resistive 巨大磁気抵抗)センサ等を利用することも可能である。
【0050】
【発明の効果】
本願の主要な発明は、可動レンズの位置を鏡筒に設けられた位置検出素子によって検出する可動レンズの位置検出装置において、位置検出素子の検出部に対してその両側にそれぞれフランジを設けるとともに、両側のフランジが光軸方向に配列されるように前記鏡筒に取付けるようにしたものである。
【0051】
従ってこのような可動レンズの位置検出装置によれば、位置検出素子によって鏡筒が半径方向に大きな寸法になることがなく、これによってとくに半径方向の寸法を小さくすることが可能になる。しかも位置検出素子が両側のフランジによって鏡筒に取付けられるために、鏡筒に対する位置検出素子の取付けが安定であって、被検出部に対するギャップ調整が安定かつ容易になる。
【0052】
本願の別の主要な発明は、可動レンズの位置を鏡筒に設けられた位置検出素子によって検出する可動レンズの位置検出装置において、位置検出素子の検出部に対してその両側にそれぞれフランジを設けるとともに、位置検出素子の両側のフランジと鏡筒の座面との間にシート状のスペーサを介在させ、該スペーサの厚さを所定の値に設定することにより位置検出素子の検出面の位置を調整するようにしたものである。
【0053】
従ってこのような可動レンズの位置検出装置によれば、スペーサによって位置検出素子の検出面の位置を調整することが可能になり、この位置検出素子と被検出部との間のギャップを安定に設定できるようになり、ギャップのバラツキを解消できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可動レンズを有する光学装置を内蔵した鏡筒の平面図である。
【図2】図1におけるA〜A線断面図である。
【図3】鏡筒の外観斜視図である。
【図4】可動レンズの位置検出のための制御系のブロック図である。
【図5】可動レンズの移動機構を示す原理図である。
【図6】レンズの可動機構の側面図である。
【図7】レンズの可動機構の拡大正面図である。
【図8】鏡筒内における移動レンズの検出のためのMRセンサとマグネットの配置を示す要部斜視図である。
【図9】MRセンサの外観斜視図である。
【図10】MRセンサの逆様な状態の外観斜視図である。
【図11】MRセンサの取付けを示す要部拡大断面図である。
【図12】同側面図である。
【図13】MRセンサの取付けを示す底面図である。
【図14】スペーサを介装したMRセンサの取付けを示す要部拡大断面図である。
【図15】同側面図である。
【図16】同MRセンサの取付けを示す底面図である。
【図17】従来のMRセンサの取付けを示す要部拡大断面図である。
【図18】同側面図である。
【図19】同MRセンサの底面図である。
【符号の説明】
1‥‥レンズ群(対物レンズ)、2‥‥レンズ群(画枠設定用)、3‥‥レンズ群、4‥‥レンズ群(フォーカス用)、5‥‥鏡筒、10‥‥レンズ装置、11、12‥‥支軸、13‥‥磁気回路、13a、13b‥‥サーボモータ、14‥‥可動コイル、15a、15b‥‥軸支持部、16‥‥保持枠、17‥‥可動コイル、18a、18b‥‥軸支持部、19‥‥保持枠、22‥‥マグネット、23‥‥MRセンサ(画枠設定)、24‥‥マグネット、25‥‥MRセンサ(フォーカス)、31‥‥撮像素子、32‥‥A/D変換器、33‥‥撮像信号処理回路、34‥‥検波回路、35‥‥中央制御ユニット(CPU)、36‥‥メモリ、37‥‥サーボ回路、41、42‥‥フランジ、43‥‥検出部、44‥‥リード端子、47‥‥ねじ挿通孔、48‥‥位置決め用係合孔、49‥‥U字状切込み、51、52‥‥座面、53‥‥ねじ、54‥‥雌ねじ孔、55‥‥位置決めピン、56‥‥回転防止ピン、60‥‥スペーサ、61、62‥‥円形孔、63‥‥切込み、64‥‥表示部、65‥‥突片(保持部)

Claims (15)

  1. 可動レンズの位置を鏡筒に設けられた位置検出素子によって検出する可動レンズの位置検出装置において、
    前記位置検出素子の検出部に対してその両側にそれぞれフランジを設けるとともに、前記両側のフランジが光軸方向に配列されるように前記鏡筒に取付けることを特徴とする可動レンズの位置検出装置。
  2. 前記可動レンズが画枠設定レンズまたはフォーカス調整レンズであることを特徴とする請求項1に記載の可動レンズの位置検出装置。
  3. 前記位置検出素子が磁気抵抗素子であって、前記可動レンズの保持枠に取付けられかつ光軸方向に交互に着磁されたマグネットの磁気を検出することを特徴とする請求項1に記載の可動レンズの位置検出装置。
  4. 前記位置検出素子のフランジに形成されるねじ挿通孔を通して螺着される前記鏡筒のねじ締着部の内周側の表面が前記位置検出素子の検出面よりも外周側に偏倚し、前記ねじ締結部の内周側を前記位置検出素子によって検出される被検出部材が移動することを特徴とする請求項1に記載の可動レンズの位置検出装置。
  5. 前記位置検出素子のフランジのねじ挿通孔に近接して前記鏡筒の位置決め部と係合する係合部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の可動レンズの位置検出装置。
  6. 前記位置検出素子の前記ねじ挿通孔が形成されるフランジとは反対側のフランジにこの位置検出素子の回転を阻止する係合部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の可動レンズの位置検出装置。
  7. 前記位置検出素子の位置決め部と係合する係合部と回転を阻止する係合部とを前記鏡筒の光軸方向とほぼ平行に配置したことを特徴とする請求項6に記載の可動レンズの位置検出装置。
  8. 前記位置検出素子が複数の端子を備えるとともに、該端子が前記鏡筒の光軸方向とほぼ平行に配列されることを特徴とする請求項4に記載の可動レンズの位置検出装置。
  9. 前記位置検出素子のねじ挿通孔が形成されたフランジおよび反対側のフランジを受ける座面が鏡筒側に設けられることを特徴とする請求項4に記載の可動レンズの位置検出装置。
  10. 可動レンズの位置を鏡筒に設けられた位置検出素子によって検出する可動レンズの位置検出装置において、
    前記位置検出素子の検出部に対してその両側にそれぞれフランジを設けるとともに、前記位置検出素子の両側のフランジと前記鏡筒の座面との間にシート状のスペーサを介在させ、該スペーサの厚さを所定の値に設定することにより前記位置検出素子の検出面の位置を調整することを特徴とする可動レンズの位置検出装置。
  11. 互いに厚さが異なる複数種類のスペーサを用意しておき、適正な厚さのスペーサを前記位置検出素子のフランジと前記鏡筒の座面との間に装着することを特徴とする請求項10に記載の可動レンズの位置検出装置。
  12. 適正な厚さのスペーサを装着することによって前記位置検出素子の検出面と前記可動レンズの保持枠に取付けられるマグネットとの間の隙間の調整を行なうことを特徴とする請求項11に記載の可動レンズの位置検出装置。
  13. 前記スペーサに前記位置検出素子の位置決め部を逃げる逃げが形成されることを特徴とする請求項10に記載の可動レンズの位置検出装置。
  14. 前記スペーサにその厚みを認識できるマーク、文字、数字等の表示手段を設けたことを特徴とする請求項11に記載の可動レンズの位置検出装置。
  15. 前記スペーサを前記位置検出素子と前記鏡筒との間に組込むための保持部を該スペーサに設けたことを特徴とする請求項10に記載の可動レンズの位置検出装置。
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