JP2004354678A - 偏光光源装置及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】400nmから500nmの波長範囲で最大光強度を示す光源を有する照明手段11の光出射側に、400nmから500nmの波長範囲で偏光度が最大となる反射型偏光フィルム21を配置した偏光光源装置10が提供される。反射型偏光フィルム21の光出射側には、吸収型偏光フィルム22を積層することができる。また反射型偏光フィルム21には、位相差層23、好ましくは1/4波長位相差フィルムを積層することができる。偏光光源装置10の光出射側に、液晶セル30及び前面側吸収型偏光フィルム41をこの順で配置して、液晶表示装置50とされる。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置及びそれに好適な偏光光源装置に関するものである。詳しくは、バックライトの発光特性に適した反射型偏光分離フィルムを適用することによって、反射型偏光分離フィルムによる光の利用効率を向上させ、画面輝度を高めた偏光光源装置及び液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、小型、軽量であるため、様々な分野で使用されている。液晶表示装置における液晶分子は、ブラウン管(CRT)などに使用されている発光物質ではなく、単に光の偏光状態を制御する光バルブとしての機能しかもたないために、何らかの方法で照明しないと液晶表示部が暗くて見えない。照明方式には、外光を取り込んで反射させて利用する方式と、内部に光源を組み込んで使う方式がある。前者は反射型液晶表示装置と呼ばれ、後者は透過型液晶表示装置と呼ばれている。また、内部に光源を組み込んではいるが、昼間の戸外など明るいところでは反射型として作用させ、夜間などの暗いところでは光源を点灯させて透過型として作用させる半透過半反射型液晶表示装置も知られている。さらに、反射型仕様を採用しながら、夜間などの暗いところではフロントライトを使用して照明する方式も知られている。
【0003】
内部に光源を組み込んだ従来の透過型液晶表示装置の一例について、図10をもとに説明する。液晶表示装置は一般に、液晶セル30内に封入された液晶分子の配向状態を電気的に変化させることで、そこを通過する光の偏光状態を制御するものであり、液晶セル30は、対向する一対の透明電極、すなわち背面側透明電極31及び前面側透明電極32と、それらの間に挟持された液晶層33とで構成される。図示は省略するが、液晶セル30はこのほか、両最表面に配置されるセル基板、液晶層33を配向させるための配向膜、カラー表示であればカラーフィルター層なども有している。
【0004】
液晶セル30の前面には、そこを透過した光の偏光状態を検出する吸収型偏光フィルム41が配置され、その他、位相差フィルム42などの光学素子も配置されている。一方、液晶セル30の背面には、特定の偏光光のみを取り出して液晶セル30に向けて出射するための偏光光源装置81が、必要に応じて背面側の位相差層(図示せず)を介して配置される。偏光光源装置81は、液晶セル30と面する位置に、吸収型偏光フィルム22を配置し、その背面に必要に応じて拡散シート75とプリズムシート76を配置し、さらにその背面側に光源装置70を配置して構成される。光源装置70は、光源71を側方又は下方に有する導光板72と、導光板72の背後の反射板73とで構成されており、光源71が側方に配置されている場合、そこからの光は反射鏡74で反射されて、事実上そのすべてが導光板72に導かれ、さらに吸収型偏光フィルム22側へ出射するようになっている。以上のような形で、液晶表示装置80が構成されている。このような液晶表示装置80における光源71には、冷陰極管が多く用いられている。
【0005】
近年、背面側吸収型偏光フィルムと光源装置の間に反射型偏光フィルムを挿入する輝度向上システムの採用が増えてきた。この輝度向上システムは、例えば、特表平 9−511844 号公報(特許文献1)に記載されているように、光源装置からの出射光のうち背面側吸収型偏光フィルムが吸収してしまう偏光成分を、反射型偏光フィルムで事前に反射させて光源装置に戻すことにより、再利用可能とするものである。したがって、輝度向上システムを利用すれば、消費電力を増すことなく透過輝度を上げることができるし、逆に、透過輝度を維持したままで消費電力を少なくすることができる。
【0006】
さらに、反射型偏光フィルムを利用した輝度向上システムの透過輝度向上効果をより高める方法が、例えば、特開 2001−147321号公報(特許文献2)に提案されている。この文献には、反射型直線偏光分離フィルムと位相差フィルムとを互いの光軸が45°又は135°で交わるように配置する方式が開示されており、位相差フィルムとして1/4波長板が例示されている。
【0007】
輝度向上システムは、反射型偏光フィルムで反射された本来は利用されない偏光光を、その反射型偏光フィルムを透過する偏光光に変換することで機能を発現させるものなので、この変換効率が高ければ、輝度向上率を高くすることができる。反射型直線偏光分離フィルムに位相差層を組み合わせることで、本来は利用されない反射された偏光光が円偏光となる。そして、円偏光は反射される際に偏光の向きが反転する。すなわち、右円偏光は反射後に左円偏光となり、逆に左円偏光は反射後に右円偏光となる。したがって、反射型直線偏光分離フィルムにより反射された偏光光は、位相差層により円偏光に変換された後、光源装置に組み込まれている反射板で反射する際に偏光反転を生じ、再び位相差層を通過した後では、直線偏光の偏光方向が当初とは直交する方向となり、反射型直線偏光分離フィルムを透過する偏光光に変換されている。こうして事実上すべての偏光光が反射型直線偏光分離フィルムを通過し、さらに背面側吸収型偏光フィルムを通過できる。つまり、1回の反射による往復で、理想的には本来利用されない光がすべて有効な偏光光に変換されるため、効率が良く、輝度向上効果も高くなる。
【0008】
しかしながら、一般に、反射型偏光フィルムの有効波長特性と光源装置の発光波長特性とは一致していないため、反射型偏光フィルムによる輝度向上効果は必ずしも十分に発現されていなかった。
【0009】
さらに、反射型偏光フィルムと1/4波長位相差フィルムとを、互いの光軸が45°又は135°で交わるように配置する輝度向上システムを用いた場合であっても、照明装置の発光波長特性、位相差フィルムの円偏光効果が発現する有効波長特性、及び反射型偏光フィルムの偏光分離効果が最大に発現する有効波長特性が必ずしも一致しないため、輝度向上システムが必ずしも有効に作用せず、輝度向上効果を十分に発現することができなかった。
【0010】
一方、冷陰極管を光源とする方式に替わって、発光ダイオード(LED)を光源とする方式も広まってきており、例えば、月刊ディスプレイ,2001年11月号,第 56−62頁(非特許文献1)には、LEDをバックライトやフロントライトに用いる方式が紹介されている。このような発光ダイオードを光源とする方式は、中小型のモバイル機器などに多く用いられている。
【0011】
【特許文献1】特表平9−511844号公報
【特許文献2】特開2001−147321号公報
【非特許文献1】月刊ディスプレイ,2001年11月号,第56−62頁
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、バックライトの発光波長特性と反射型偏光フィルムの偏光分離効果を発現する有効波長特性を一致させることで、反射型偏光フィルムの輝度向上効果を一層有効に発現させ、高輝度を有する偏光光源装置を提供するとともに、それを用いて、視認性に優れた液晶表示装置を提供することにある。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、反射型偏光フィルムと位相差フィルムとを互いの光軸が45°又は135°で交わるように配置する輝度向上システムを用いた場合に、照明装置の発光波長特性、位相差フィルムの円偏光効果が発現する有効波長特性、及び反射型偏光フィルムの偏光分離効果が最大に発現する有効波長特性を一致させることで、輝度向上システムを一層有効に発現させ、高輝度を有する偏光光源装置を提供するとともに、それを用いて、視認性に優れた液晶表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、400nmから500nmの波長範囲で最大光強度を示す光源を有する背面照明手段を、それに適合した波長特性を有する反射型偏光フィルムと組み合わせることで、反射型偏光フィルムの輝度向上効果を高めることができることを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明によれば、400nmから500nmの波長範囲で最大光強度を示す光源を有する照明手段の光出射側に、400nmから500nmの波長範囲で偏光度が最大となる反射型偏光フィルムが配置されてなる偏光光源装置が提供される。
【0016】
ここで、照明手段は、面光源とその片面に配置された反射板を備え、面光源の反射板が位置する面とは反対側の面から光を出射するようになっているものであることができる。この照明手段は、光出射側に、凹凸形状の規則的又は不規則な配列パターンを表面に有するプリズムシートを備えることができる。照明手段はまた、青色光を蛍光体に照射して白色光とするものであることができる。
【0017】
反射型偏光フィルムの光出射側には、吸収型偏光フィルムを積層することができる。反射型偏光フィルムが反射型直線偏光分離フィルムである場合、その反射型直線偏光分離フィルムの照明手段側に位相差層を積層するのが有利である。また、反射型偏光フィルムが反射型円偏光分離フィルムである場合には、その反射型円偏光分離フィルムの光出射側に位相差層を積層するのが有利である。このように位相差層を積層する場合、その位相差層は、1/4波長位相差フィルムであるのが有利である。この位相差層は、400nmから500nmの波長範囲の直線偏光光に対して円偏光効果を発現するものであるのが好ましい。
【0018】
上記いずれかの偏光光源装置において、光拡散性を付与するため、光源手段よりも光出射側のいずれかの位置に、面内位相差値が30nm以下の光拡散層を少なくとも1層積層することができる。この光拡散層は接着性を有していてもよい。
【0019】
また本発明によれば、上記いずれかの偏光光源装置の光出射側に、液晶セル及び前面側吸収型偏光フィルムがこの順で配置されている液晶表示装置が提供される。ここで、液晶セルと前面側吸収型偏光フィルムとの間には、面内位相差値が30nm以下の光散乱層が積層されていてもよい。また、偏光光源装置における反射型偏光フィルム又はそれを含む積層体から前面側吸収型偏光フィルムに至る各部材の隣り合う少なくとも一対は、感圧接着剤により密着積層されていることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明を明確にするために、その具体例を示す図面を参照しながら以下に詳細な説明を行う。図1は、本発明に係る偏光光源装置の層構成の例を示す断面模式図である。図2は、LEDを光源とする照明手段の例を示す断面模式図である。図3は、本発明に係る偏光光源装置の別の層構成例を示す断面模式図である。図4は、反射型偏光フィルムと吸収型偏光フィルムと位相差層を積層する場合の軸構成の例を示す模式図である。図5は、本発明に係る偏光光源装置に光拡散層を配置する場合の層構成の例を示す断面模式図である。図6は、本発明に係る液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。図7は、後述する対照例及び実施例1で作製した偏光光源装置の層構成を示す断面模式図である。図8は、同じく対照例及び実施例1で輝度を測定する状態を示す断面模式図である。図9は、後述する実施例2及び3で作製した偏光光源装置の層構成を示す断面模式図である。図10は、従来の透過型液晶表示装置の例を示す断面模式図である。
【0021】
図1を参照して、本発明の偏光光源装置10は、照明手段11の光出射側に反射型偏光フィルム21を配置したものである。照明手段11は、例えば、面光源12とその片面に配置された反射板13とで構成することができ、この場合は、面光源12の反射板13に面する側と反対側の面から光を出射することになる。照明手段11は、図1(a)に示す如く、その光出射側に、拡散シート又はプリズムシート14を備えることができる。図1(a)は、面光源12の背面に反射板13を備え、前面に拡散シート又はプリズムシート14を備える照明手段11の光出射側、すなわち、拡散シート又はプリズムシート14の外側に、反射型偏光フィルム21を配置した例である。また、図1(b)に示す如く、反射型偏光フィルム21は、吸収型偏光フィルム22と積層して用いることもできる。図1(b)は、面光源12の背面に反射板13を備える照明手段11の光出射側、すなわち、反射板13とは反対側に、反射型偏光フィルム21と吸収型偏光フィルム22をこの順で配置した例である。この場合、反射型偏光フィルム21を透過して出てくる直線偏光が、吸収型偏光フィルム22を透過するように、軸合わせをする。例えば、反射型偏光フィルム21が反射型直線偏光分離フィルムである場合には、反射型偏光フィルム21と吸収型偏光フィルム22を、両者の偏光透過軸が略平行となるように積層する。
【0022】
そして本発明では、照明手段11として、400nmから500nmの波長範囲で最大光強度を示す光源を有するものを用いる。このような照明手段としては、特に限定されるものでないが、例えば、LEDを光源とするものを挙げることができる。具体的には、青色光を蛍光体に照射して白色光とするものが、かかる照明手段として適している。LEDを光源とする照明手段の例を図2に示す。図2を参照して、照明手段11は、光源(LED)12aからの光を導光板12bに取り込み、反射板13での反射も利用し、前面側の拡散シート又はプリズムシート14を介して光を出射するようになっており、これら全体がフレーム11aで覆われている。光源(LED)12aは、導光板12bの一端面に配置する方式、導光板12bの向かい合う二端面に配置する方式、導光板の四隅のうち一箇所に配置する方式などがある。
【0023】
照明手段11に用いる光源12aは、上記のようなLEDであるのが好ましいが、従来からの偏光光源装置に採用されている冷陰極管や無機又は有機のエレクトロルミネッセンス(EL)ランプなどであっても、本発明で規定する400nmから500nmの波長範囲で最大光強度を示すものがあれば、同様に使用することができる。
【0024】
導光板12bは、光源12aから発せられた光を内部に取り込み、面状発光体として機能するものであり、例えば、プラスチックシートやガラス板からなり、背面側に、凹凸処理や白色ドット印刷処理、ホログラム処理などを施したものが挙げられる。導光板12bをプラスチックシートで構成する場合、その材質は、例えば、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどでありうる。
【0025】
反射板13は、例えば、内部に空洞を形成した白色プラスチックシート、酸化チタンや亜鉛華の如き白色顔料を表面に塗布したプラスチックシート、屈折率の異なる少なくとも2種のプラスチックフィルムを積層してなる多層プラスチックシート、アルミニウムや銀の如き金属からなるシートなどであることができる。これらのシートは、鏡面加工されたもの、粗面加工されたもののいずれも使用可能である。反射板を構成するプラスチックシートの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどを挙げることができる。
【0026】
照明手段11の出射面側に必要に応じて配置される拡散シート又はプリズムシート14のうち、拡散シートは、入射光を散乱透過するシートであり、通常は全光線透過率が60%以上、ヘイズ率が10%以上の光学素子である。ここで、拡散シートの全光線透過率は、高ければ高いほどよく、80%以上の全光線透過率を示すものがより好ましい。このような拡散シートとしては、例えば、プラスチックシートやガラス板を粗面化処理したもの、内部に空洞を形成したり粒子を添加したりしたプラスチックシートやガラス板などを挙げることができる。プラスチックシートの材質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどであることができる。粗面化処理には、サンドブラストや、エンボスロールの圧着による加工、プラスチック粒子やガラス粒子、シリカ粒子の如き粒子を樹脂に混合したものを表面に塗工する方法などがある。
【0027】
プリズムシートは、光源から発せられた光を集光するものであり、例えば、プラスチックシート上に微細な多数のプリズムを形成したもの、凸レンズや凹レンズを敷き詰めたマイクロレンズアレイなどが挙げられる。凹凸形状の規則的又は不規則な配列パターンを表面に有するプリズムシートは、適当なものの一つである。拡散シートとプリズムシートの両方が配置されることもある。
【0028】
図1に戻って、本発明で使用する反射型偏光フィルム21とは、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を有する偏光光を反射するものである。反射型偏光フィルムには、直線偏光に対して偏光分離機能を有する反射型直線偏光分離フィルムと、円偏光に対して偏光分離機能を有する反射型円偏光分離フィルムとがある。反射型直線偏光分離フィルムは、特定振動方向の直線偏光を透過し、それと直交する方向の直線偏光を反射するものである。反射型直線偏光分離フィルムの偏光透過軸とは、特定振動方向の偏光がこの偏光フィルムの垂直方向から入射したときに透過率が最大となる方向をいい、偏光反射軸とは、それと直交する方向をいう。一方、反射型円偏光分離フィルムは、ある回転方向の円偏光を透過し、それと逆の方向に回転する円偏光を反射するものである。本発明において反射型円偏光分離フィルムを使用する場合には、1/4波長位相差フィルムを積層することで、透過光が円偏光から直線偏光に変換された状態で出射するようにするのが好ましい。
【0029】
反射型直線偏光分離フィルムとしては、例えば、ブリュースター角による偏光成分の反射率の差を利用した反射型偏光フィルム(例えば、特表平 6−508449 号公報に記載のもの)、微細な金属の線状パターンを施工した反射型偏光フィルム(例えば、特開平 2−308106 号公報に記載のもの)、少なくとも2種の高分子フィルムが積層され、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルム(例えば、特表平 9−506837 号公報に記載のもの)、高分子フィルム中に少なくとも2種の高分子で構成される海島構造を有し、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルム(例えば、米国特許第 5,825,543号明細書に記載のもの)、高分子フィルム中に粒子が分散しており、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルム(例えば、特表平 11−509014号公報に記載のもの)、高分子フィルム中に無機粒子が分散しており、粒子のサイズによる散乱能差に基づく反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルム(例えば、特開平 9−297204 号公報に記載のもの)などが挙げられる。
【0030】
一方、反射型円偏光分離フィルムとしては、例えば、コレステリック液晶による選択反射特性を利用した反射型偏光フィルム(例えば、特開平 3−45906号公報に記載のもの)などが挙げられる。
【0031】
反射型偏光フィルムの厚みは特に限定されないが、液晶表示素子などに本発明の偏光光源装置を適用する場合を考慮すると、反射型偏光フィルムは薄いほうが好ましい。具体的には1mm以下、さらには0.2mm 以下であるのが好ましい。そこで、少なくとも2種の高分子フィルムが積層され、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルムや、高分子フィルム中に少なくとも2種の高分子で構成される海島構造を有し、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルム、また、コレステリック液晶による選択反射特性を利用した反射型偏光フィルムは、本発明による偏光光源装置の厚みを薄くするために特に好ましい。
【0032】
本発明では、照明手段11として、400nmから500nmの波長範囲で最大光強度を示す光源を有するものを用いることから、反射型偏光フィルム21もそれに合わせて、400nmから500nmの波長範囲で偏光度が最大となるものを用いる。このような、低波長領域で最大の偏光度を示す反射型偏光フィルムとして、Minnesota Mining and Manufacturing 社(3M社)製の“DBEF−P2”(商品名)があり、これは、日本では住友スリーエム株式会社から入手することができる。この“DBEF−P2 ”は、2種の高分子フィルムが積層されたものであって、同社で従来から販売されている反射型直線偏光分離フィルム“DBEF−P”に比べ、特に低波長域での偏光度を改良したものといわれている。本発明者らの測定によれば、現在入手できる“DBEF−P2 ”は、約490nmの波長で最大の偏光度を示した。
【0033】
図1(b)に示す如く、反射型偏光フィルム21に吸収型偏光フィルム22を積層する場合、ここで用いる吸収型偏光フィルム22とは、特定振動方向の偏光光を透過し、それと直交する方向の偏光光を吸収するものである。吸収型偏光フィルムの偏光透過軸とは、特定振動方向の偏光がその偏光フィルムの垂直方向から入射したときに、透過率が最大となる方向をいう。
【0034】
このような吸収型偏光フィルムとしては、例えば、公知のヨウ素系偏光フィルムや染料系偏光フィルムが使用できる。ヨウ素系偏光フィルムとは、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着されたフィルムであり、染料系偏光フィルムとは、延伸したポリビニルアルコールフィルムに二色性染料が吸着されたフィルムである。これらの偏光フィルムは、耐久性向上のため、その片面又は両面を高分子フィルムで被覆したものが好ましい。保護のために被覆する高分子の材質としては、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン系樹脂などが使用できる。
【0035】
吸収型偏光フィルムの厚みは特に限定されないが、液晶表示素子などに本発明の偏光光源装置を適用する場合を考慮すると、吸収型偏光フィルムも薄いほうが好ましい。具体的には1mm以下、さらには0.2mm 以下であるのが好ましい。
【0036】
さらに本発明においては、反射型偏光フィルムに位相差層を積層することができる。この場合の例を図3に示す。反射型偏光フィルム21が反射型直線偏光分離フィルムである場合には、図3(a)に示すように、反射型偏光フィルム21の照明手段11側に、位相差層23を積層することができる。これにより、反射型偏光フィルム21で反射して照明手段11側へ戻る直線偏光は、位相差層23で円偏光に変換され、照明手段11の反射板13で反射されるときに偏光反転して逆回りの円偏光となり、再び位相差層23を通過した後は当初の直線偏光と直交する向きの直線偏光となり、反射型偏光フィルム21を透過するので、輝度向上システムが効果的に発揮される。図3(a)は、図1(b)に示した偏光光源装置において、反射型偏光フィルム21の光源装置11側に位相差層23を積層した例であり、その他の符号は図1(b)と同じなので、説明は省略する。
【0037】
一方、反射型偏光フィルム21が反射型円偏光分離フィルムである場合には、図3(b)に示すように、反射型円偏光分離フィルム21aの光出射側に位相差層24を積層することができる。このように、反射型円偏光分離フィルム21aの光出射側に位相差層24を積層すれば、先述の如く、透過光が円偏光から直線偏光に変換された状態で、吸収型偏光フィルム22又は液晶セル(図示せず)側へ出射するようになる。この場合、反射型円偏光分離フィルム21aで反射して照明手段11側へ戻る円偏光は、照明手段11の反射板13で反射されるときに偏光反転して逆回りの円偏光となり、再び反射型円偏光分離フィルム21aに到達したときはその反射型円偏光分離フィルム21aを透過するようになり、輝度向上システムが効果的に発揮される。図3(b)は、図1(b)に示した偏光光源装置において、反射型偏光フィルムを反射型円偏光分離フィルム21aとし、その反射型円偏光分離フィルム21aと吸収型偏光フィルム22との間に位相差層24を積層した例であって、その他の符号は図1(b)と同じなので、説明は省略する。
【0038】
図3に示した位相差層23,24は、直線偏光を円偏光に、また円偏光を直線偏光に変換する役割を果たすものであることから、通常、1/4波長位相差フィルムが用いられる。図3(a)に示したように、吸収型偏光フィルム22/反射型偏光フィルム21/位相差層23の順で積層する場合は、図4(a)に模式的に軸の向きを示すように、反射型偏光フィルム21の偏光透過軸91と吸収型偏光フィルム22の偏光透過軸92とが略平行となるようにし、さらに、反射型偏光フィルム21の偏光透過軸91と位相差層23の光軸93とのなす角度を調整することにより、輝度向上効率を調整できる。位相差層23が1/4波長位相差層である場合には、図4の(a)〜(c)に模式的に軸の向きを示すように、反射型偏光フィルム21の偏光透過軸91と吸収型偏光フィルム22の偏光透過軸92とが略平行となるように配置し、さらに、それらの偏光透過軸91,92と位相差層23の光軸93とが、45°又は135°の角度をなすように配置することで、最大の輝度向上効果を発現させることができる。実用的には、この角度を中心に±5°以内であれば、さしたる支障はない。
【0039】
位相差層23又は24は、層の面内における最大屈折率方向をx軸、それと直交する面内の軸をy軸、厚み方向をz軸とし、それぞれの軸方向における屈折率をnx、ny及びnz と表したときに、配向状態を表すのに使用されるNz係数=(nx−nz)/(nx−ny)が−2より大きいものであるのが好ましい。
【0040】
位相差層23又は24の材質は、特に限定されない。単層であってもよいし、2層以上の積層体からなるものであってもよい。積層する際には、同種の位相差フィルムを積層してもよいし、異種の位相差フィルムを積層してもよい。位相差フィルムの例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ノルボルネン系樹脂をはじめとする環状ポリオレフィン系樹脂などの合成高分子や、二酢酸セルロース、三酢酸セルロースなどの天然高分子からなるフィルムを、一軸又は二軸に延伸したもの、また、透明高分子フィルム上に光学異方性のある化合物又は液晶組成物からなる層を配向させたものなどを挙げることができる。
【0041】
位相差層は、合成高分子又は天然高分子を一軸延伸又は二軸延伸する方法により作製することができるが、その他、無機層状化合物やディスコティック液晶などを面内で配向させる方法、ネマティック液晶などを塗布する方法などによっても、作製することができる。
【0042】
本発明では、反射型偏光フィルムと照明手段の間で生じる輝度向上システムを最適なものにすることを主たる目的とするので、図10に示したような形で光源装置に通常用いられる拡散シート55は使用しないほうが好ましい場合がある。そこで、偏光光源装置を構成する反射型偏光フィルムの近辺に光拡散層を組み込んでしまうのが好ましい。光拡散層を積層する場所は、その光拡散層の面内位相差値が30nm以下であれば特に制限されない。この場合の例を図5に示す。図5は、図3(a)に示した吸収型偏光フィルム22/反射型偏光フィルム21/位相差層23からなる層構成に対し、いずれかの位置に光拡散層25を配置する例を示している。図5の(a)は、吸収型偏光フィルム22の外側に光拡散層25を配置したものである。図5の(b)は、吸収型偏光フィルム22と反射型偏光フィルム21の間に光拡散層25を配置したものである。図5の(c)は、反射型偏光フィルム21と位相差層23の間に光拡散層25を配置したものである。図5の(d)は、位相差層23の外側(照明手段11側)に光拡散層25を配置したものであり、この場合には、光拡散層25の面内位相差値は30nm以下であることがもちろん好ましいが、それより大きくても使用可能である。
【0043】
光拡散層25は高い全光線透過率を示すほうがよいことから、その全光線透過率は80%以上であるのが好ましく、より好ましくは90%以上である。また、光拡散層25の拡散性能を表す指標であるヘイズ率は、所望とする拡散性能に応じて任意に設定されるが、通常は30%以上95%以下、好ましくは60%以上95%以下である。ここでヘイズ率とは、(拡散光線透過率/全光線透過率)×100(%)で表される数値である。
【0044】
光拡散層25の材質は特に制限されないが、例えば、有機又は無機の微粒子が分散された高分子フィルムや光拡散性感圧接着剤、屈折率変調型光拡散フィルムなどが好適に用いられる。積層偏光フィルムの部材点数を減らして厚みを薄くするために、有機又は無機の微粒子が分散された光拡散性感圧接着剤は、特に好ましい光拡散層の一つである。ここで、有機又は無機の微粒子を構成する材質としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーン、シリカ、酸化チタンなどを挙げることができる。母体となる感圧接着剤としては、公知の各種のものが使用でき、例えば、アクリレート系感圧接着剤、ゴム系感圧接着剤、シリコーン系感圧接着剤、ウレタン系感圧接着剤などが挙げられる。中でもアクリレート系感圧接着剤が好ましく使用できる。
【0045】
反射型偏光フィルムに吸収型偏光フィルムや位相差層を積層する場合、その積層フィルムの取扱い性を容易にするために、構成するフィルムや層間を感圧接着剤で密着するのが好ましい。密着することで、不要な反射による光のロスを防ぐこともできる。感圧接着剤としては、公知の各種のものが使用できる。例えば、アクリレート系感圧接着剤、ゴム系感圧接着剤、シリコーン系感圧接着剤、ウレタン系感圧接着剤などが挙げられる。中でもアクリレート系感圧接着剤が好ましく使用される。感圧接着剤の厚みは特に制限されないが、通常1μm 以上100μm 以下であり、好ましくは20μm以上、また好ましくは50μm以下である。
【0046】
本発明においては、液晶セルの光学補償を行うための位相差フィルムを積層することもできる。適当な位相差フィルムの例として、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ノルボルネン系樹脂をはじめとする環状ポリオレフィン系樹脂などの合成高分子や、二酢酸セルロース、三酢酸セルロースなどの天然高分子からなるフィルムを一軸又は二軸に延伸してなるフィルム、また、透明高分子フィルム上に光学異方性のある化合物又は液晶組成物を塗布してなるフィルム(例えば、富士写真フィルム株式会社から販売されている“WVフィルム”、新日本石油株式会社から販売されている“NHフィルム”や“LCフィルム”、住友化学工業株式会社から販売されている“VACフィルム”など;いずれも商品名)が挙げられる。液晶セルの光学補償を目的とする場合は、偏光光源装置の液晶セル側に位相差フィルムが配置される。この場合も、空気層の介在による光のロスを防ぐため、感圧接着剤により密着積層することが望ましい。
【0047】
本発明の偏光光源装置は、表示用液晶セルと組み合わせて、液晶表示装置とすることができる。すなわち、本発明による液晶表示装置50は、図6に例を示すような、偏光光源装置10の出射光面側に、液晶セル30と前面側吸収型偏光フィルム41とをこの順に配置したものである。ここで、液晶セル30と前面側吸収型偏光フィルム41の間には、必要に応じて前面側位相差フィルム42を1枚又は複数枚配置することができ、また必要に応じて、液晶セル30の前面側に光拡散層を配置することもできる。さらには、前面側位相差フィルムと光拡散層の両者を配置してもよい。光拡散層は、面内位相差値が30nm以下であることが好ましい。液晶表示装置を構成する各部材、特に、反射型偏光フィルム21又はそれを含む積層偏光フィルム(図6では、光拡散層25/吸収型偏光フィルム22/反射型偏光フィルム21/位相差層23の積層体)から前面側吸収型偏光フィルム41に至るまでの各部材は、隣り合う少なくとも一対が感圧接着剤により密着積層されているのが好ましく、さらには、隣り合うすべての部材同士が感圧接着剤により密着積層されているのが一層好ましい。
【0048】
図6では、図5(a)に示したのと同じ、光拡散層25/吸収型偏光フィルム22/反射型偏光フィルム21/位相差層23/照明手段11の順で配置された偏光光源装置10の光拡散層25側に、液晶セル30を配置し、さらにその液晶セル30の前面側には、前面側位相差フィルム42と前面側吸収型偏光フィルム41が配置されて、液晶表示装置50が構成されている。この液晶表示装置は、透過型として機能する。
【0049】
図6において、液晶セル30は、透過光量をスイッチングするために液晶を2枚の基板間に封入し、電圧印加により液晶の配向状態を変化させる機能を有する装置である。2枚の基板のそれぞれ内側には、背面側透明電極31及び前面側透明電極32が配置され、それらの間に液晶層33が挟持されている。図示は省略するが、液晶セル30はこのほか、液晶層33を配向させるための配向膜、カラー表示であればカラーフィルター層なども有している。本発明において、液晶セル30を構成する液晶の種類やその駆動方式は特に限定されず、公知のツイステッドネマティック(TN)液晶やスーパーツイステッドネマティック(STN)液晶などが使用でき、さらに、薄膜トランジスタ(TFT)駆動方式、垂直配向(VA)方式、 In−Plane 駆動方式、光学補償ベンド(OCB)など、偏光を用いて表示を行うあらゆる方式に本発明を適用することができる。
【0050】
前面側吸収型偏光フィルム41については、先に本発明の偏光光源装置において任意に使用することができる吸収型偏光フィルムの例として説明したのと同様のものを用いることができる。
【0051】
液晶セル30と前面側偏光フィルム41との間には、必要に応じて位相差フィルム42が配置される。この位相差フィルムとしては、通常、樹脂の延伸フィルムが用いられ、適当な例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ノルボルネン系樹脂をはじめとする環状ポリオレフィン系樹脂などの合成熱可塑性高分子や、三酢酸セルロースをはじめとする天然高分子などを、テンターなどの延伸装置により一軸又は二軸に延伸してなるフィルムが挙げられる。また、透明高分子フィルムに液晶化合物を塗布してなるフィルム、例えば、富士写真フィルム株式会社から販売されている“WVフィルム”(商品名)、新日本石油株式会社から販売されている“LCフィルム”(商品名)、住友化学工業株式会社から販売されている“VACフィルム”(商品名)などを、位相差フィルム42として用いることもできる。
【0052】
さらに、液晶セル30の前面側に光拡散層を積層する場合は、先に本発明の偏光光原装置を構成する光拡散層の例として説明したのと同様のものを用いることができる。
【0053】
図6には、図5(a)に示した偏光光源装置10を用いた例を示したが、この偏光光源装置を、図5(b)〜(d)に示したものに変えることももちろん可能である。いずれの偏光光源装置を用いる場合も、液晶セル30は、照明手段11とは反対側、すなわち、図5(b)〜(d)における吸収型偏光フィルム22の上に配置される。さらにその液晶セル30の上には、前面側吸収型偏光フィルム41が配置される。液晶セル30と前面側吸収型偏光フィルム41の間には、必要に応じて前面側位相差フィルム42や光拡散層を配置できることは、図6の場合と同様である。
【0054】
従来の偏光光源装置や液晶表示装置においては、図10に示したような拡散シート75やプリズムシート76が広く用いられている。本発明による偏光光源装置10にも、これらの一方又は双方を配置することができるが、これらは反射型偏光フィルムと照明手段の間における偏光状態を乱す原因になるため、可能であれば、配置しないほうが好ましい。特に、図3に示したように位相差層23又は24を積層し、円偏光を照明手段側に戻す場合は、かかる拡散シートやプリズムシートを配置しないほうが好ましい。一方、図1に示したように、照明手段11の光出射側に直接、反射型偏光フィルム21(特に、反射型直線偏光分離フィルム)が面する場合には、照明手段11の光出射側に拡散シート又はプリズムシートを備えるのが好ましい。この場合、凹凸形状の規則的又は不規則な配列パターンを表面に有するプリズムシートは、適当なものの一つである。
【0055】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、例中で用いた材料は次のとおりである。
【0056】
(1) 吸収型偏光フィルム
SRW062A :ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向したヨウ素系吸収型偏光フィルム、住友化学工業株式会社から入手。
【0057】
(2) 反射型偏光フィルム
DBEF−P 及び DBEF−P2 :それぞれ、2種の高分子フィルムが積層され、屈折率異方性による反射率の異方性を利用した反射型直線偏光分離フィルム、いずれも住友スリーエム株式会社から入手。
【0058】
これら2種の反射型偏光フィルムについて、株式会社島津製作所製の分光光度計“UV−2450 ”を使用し、波長400nmから700nmの間で、法線入射光に対する偏光度を10nm毎に測定した。そのうち、波長400nmから500nmの間の最大偏光度及びそのときの波長、並びに、波長400nmから700nmの間の最大偏光度及びそのときの波長を表1に示す。
【0059】
【0060】
(3) 位相差層(位相差フィルム)
SEN490138 及び SEN490118:それぞれ、ノルボルネン系樹脂が一軸延伸された位相差フィルム、住友化学工業株式会社から入手。
【0061】
これらの位相差フィルムについて、王子計測機器株式会社製の自動複屈折率計“KOBRA−21ADH ”を用い、波長550nmにおいて、面内位相差値及びNz係数を測定した。結果を表2に示した。
【0062】
【0063】
(4) 感圧接着剤
感圧接着剤#7:無色透明なアクリレート系感圧接着剤、住友化学工業株式会社から入手。
【0064】
(5) 光源装置(照明手段)
NTTドコモ株式会社から販売されている携帯電話端末“F504i ”より、光源装置だけを取り外し、これを用いた。この光源装置は、青色LEDから発する光を蛍光体に照射し、白色光として導光板に入射し、そこから出射する形式の白色LEDであり、その最大光強度を示す波長は462nmであった。
【0065】
対照例
(A)偏光光源装置の作製
図7に示すように、反射型偏光フィルム21(DBEF−P)、感圧接着剤62(感圧接着剤#7)、吸収型偏光フィルム22(SRW062A )及び感圧接着剤62(感圧接着剤#7)をこの順で密着積層した。この際、反射型偏光フィルム21の偏光透過軸と吸収型偏光フィルム22の偏光透過軸が平行となるように配置した。この積層フィルムを、吸収型偏光フィルム22の外側に配置した感圧接着剤62側で1.1mm 厚のガラス板61に貼り合わせ、さらに上記光源装置11の上に、ガラス板61が上側となるように配置して、偏光光源装置10を作製した。
【0066】
(B)透過輝度評価方法
図8に示すように、台座65の上に、(A)で作製した偏光光源装置10を水平に配置した。台座65の上方には、輝度計69(株式会社トプコン製の商品名“BM−7”)を輝度測定用に配置した。光源装置11を点灯し、輝度計69により偏光光源装置10の透過輝度を測定した。測定は、すべて暗室にて行った。結果を表3に示した。
【0067】
実施例1
反射型偏光フィルム22として、DBEF−P に替えて DBEF−P2 を使用した。その他は対照例と同じである。結果を表3に示した。
【0068】
実施例2
面内位相差値が138nmの位相差フィルム SEN490138を使用し、これを、反射型偏光フィルム DBEF−P2に、感圧接着剤#7を介して貼り合わせた。この際、反射型偏光フィルム DBEF−P2の偏光透過軸と位相差フィルム SEN490138の光軸とが45°で交わるように配置した。さらにその反射型偏光フィルム DBEF−P2上に、感圧接着剤#7、吸収型偏光フィルム SRW062A、及び感圧接着剤#7の順に積層して、積層偏光フィルムを作製した。吸収型偏光フィルム SRW062Aは、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム DBEF−P2の偏光透過軸と平行になるようにした。ここで作製した積層偏光フィルムは、図9に示すとおり、感圧接着剤62/吸収型偏光フィルム22/感圧接着剤62/反射型偏光フィルム21/感圧接着剤62/位相差フィルム23の層構成となっている。また、軸構成は、図4の(a)及び(b)に示すとおりである。この積層偏光フィルムの吸収型偏光フィルム22上にある感圧接着剤62側で1.1mm 厚のガラス板61に貼り合わせ、さらに、先の光源装置11の上に、ガラス板61が上側となるように配置して、偏光光源装置10を作製した。この偏光光源装置10について、対照例と同じ方法で透過輝度を測定し、結果を表3に示した。
【0069】
実施例3
位相差フィルム23として、面内位相差値が118nmである SEN490118を使用した。その他は、実施例2と同じである。結果を表3に示した。
【0070】
【0071】
表3からわかるように、反射型偏光フィルムとして、 DBEF−P を使用した対照例の偏光光源装置に対し、 DBEF−P2 を使用した実施例1では、約1.04倍の輝度向上効果が確認できた。また、実施例1で使用した偏光光源装置に、1/4波長位相差フィルムとして、面内位相差値が138nmである SEN490138を積層した実施例2では、透過輝度が約 1.19倍に向上した。さらに、同じ偏光光源装置に、面内位相差値が118nmである SEN490118を積層した実施例3では、透過輝度が約1.21倍に向上した。
【0072】
これらの例で使用した光源装置(照明手段)は、先に示した如く、波長462nmで最大光強度を示すものであり、その1/4波長は115.5nm と計算されることから、面内位相差値がそれに近い118nmである SEN490118を用いた場合には、液晶表示装置の輝度を一層向上させることができるようになる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の偏光光源装置は、例えば、青色光を蛍光体によって白色光とするような、低波長域に最大光強度を示す光源に対して、透過輝度を高めることができ、これを液晶表示装置に適用すれば、表示画面の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る偏光光源装置の層構成の例を示す断面模式図である。
【図2】LEDを光源とする照明手段の例を示す断面模式図である。
【図3】本発明に係る偏光光源装置の別の層構成例を示す断面模式図である。
【図4】反射型偏光フィルムと吸収型偏光フィルムと位相差層を積層する場合の軸構成の例を示す模式図である。
【図5】本発明に係る偏光光源装置に光拡散層を配置する場合の層構成の例を示す断面模式図である。
【図6】本発明に係る液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。
【図7】対照例と実施例1で作製した偏光光源装置の層構成を示す断面模式図である。
【図8】対照例と実施例1で輝度を測定する状態を示す断面模式図である。
【図9】実施例2と3で作製した偏光光源装置の層構成を示す断面模式図である。
【図10】従来の透過型液晶表示装置の例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
10……偏光光源装置、
11……照明手段(光源装置)、
11a……フレーム、
12……面光源、
12a……光源(LED)、
12b……導光板、
13……反射板、
14……拡散フィルム又はプリズムフィルム、
21……反射型偏光フィルム、
21a……反射型円偏光分離フィルム、
22……吸収型偏光フィルム、
23,24……位相差層、
25……光拡散層、
30……液晶セル、
31,32……透明電極、
33……液晶層、
41……前面側吸収型偏光フィルム、
42……前面側位相差フィルム、
50……液晶表示装置、
61……ガラス板、
62……感圧接着剤、
65……台座、
69……輝度計、
70……光源装置、
71……光源、
72……導光板、
73……反射板、
74……反射鏡、
75……拡散シート、
76……プリズムシート、
80……液晶表示装置、
81……偏光光源装置、
91……反射型偏光フィルムの偏光透過軸、
92……吸収型偏光フィルムの偏光透過軸、
93……位相差層の光軸。
Claims (13)
- 400nmから500nmの波長範囲で最大光強度を示す光源を有する照明手段の光出射側に、400nmから500nmの波長範囲で偏光度が最大となる反射型偏光フィルムが配置されてなることを特徴とする偏光光源装置。
- 照明手段は、面光源とその片面に配置された反射板を備え、面光源の反射板が位置する面とは反対側の面から光を出射するようになっている請求項1に記載の偏光光源装置。
- 照明手段は、その光出射側に、凹凸形状の規則的又は不規則な配列パターンを表面に有するプリズムシートを備える請求項2に記載の偏光光源装置。
- 照明手段は、青色光を蛍光体に照射して白色光とするものである請求項1〜3のいずれかに記載の偏光光源装置。
- 反射型偏光フィルムの光出射側に吸収型偏光フィルムが積層されている請求項1〜4のいずれかに記載の偏光光源装置。
- 反射型偏光フィルムが反射型直線偏光分離フィルムであり、該反射型直線偏光分離フィルムの照明手段側に位相差層が積層されている請求項1〜5のいずれかに記載の偏光光源装置。
- 反射型偏光フィルムが反射型円偏光分離フィルムであり、該反射型円偏光分離フィルムの光出射側に位相差層が積層されている請求項1〜4のいずれかに記載の偏光光源装置。
- 位相差層のさらに光出射側に吸収型偏光フィルムが積層されている請求項7に記載の偏光光源装置。
- 位相差層が1/4波長位相差フィルムである請求項6〜8のいずれかに記載の偏光光源装置。
- 位相差層は、400nmから500nmの波長範囲の直線偏光光に対して円偏光効果を発現するものである請求項9に記載の偏光光源装置。
- 照明手段よりも光出射側のいずれかの位置に、面内位相差値30nm以下の光拡散層が少なくとも1層積層されている請求項1〜10のいずれかに記載の偏光光源装置。
- 光拡散層が接着性を有する請求項11に記載の偏光光源装置。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の偏光光源装置の光出射側に、液晶セル及び前面側吸収型偏光フィルムがこの順で配置されてなることを特徴とする、液晶表示装置。
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