JP2004353991A - 炭酸ガスハイドレートを利用した冷熱装置および冷熱方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭酸ガスハイドレートを冷熱源として利用する冷熱システムを提供する。
【解決手段】低温加圧下で、水に炭酸ガスを溶解させて、流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成するものであり、この生成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を加圧下で貯蔵し、必要に応じて抜き出して減圧開放し、炭酸ガスハイドレートの分解に伴って生成された氷シャーべット水を冷却器または空調機などの冷熱源として用いることを特徴とする流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液による冷熱システム。
【選択図】 図1
【解決手段】低温加圧下で、水に炭酸ガスを溶解させて、流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成するものであり、この生成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を加圧下で貯蔵し、必要に応じて抜き出して減圧開放し、炭酸ガスハイドレートの分解に伴って生成された氷シャーべット水を冷却器または空調機などの冷熱源として用いることを特徴とする流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液による冷熱システム。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を利用した冷熱システムに関する。より詳しくは、低温および加圧環境下で炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を効率良く形成し、これを貯蔵ないし移送して冷熱源として用いる冷熱システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高層建築物や工業プラント等における空調システムでは、電力の安定供給および経済性の観点から、夜間電力を利用した蓄熱型システムが普及しており、氷蓄熱装置が実用化されている。しかし、夜間に製氷した氷の貯蔵や移送には熱安定性や輸送時の閉塞などの問題があり、また、空冷のための潜熱の蓄積容量を大きくすることが難しく、氷蓄熱システムの限界が指摘されている。
【0003】
一方、炭酸ガス等が溶解した水溶液は、低温加圧下において、溶解しているガス分子を水分子が取り囲んだ状態の包接水和物(ガスハイドレート、別称クラスレート)を生成することが知られており、これを地球温暖化対策の一つとしてガスハイドレートを利用する試みがなされている。具体的には、炭酸ガスをハイドレートにし、これを海底下や地下の帯水層に圧入して炭酸ガスを固定化する技術が提案さている(特開平11−265210号公報)。しかし、これは炭酸ガスを固体状のハイドレートとして固定化する技術であり、流動する液体状態で冷熱システムに利用するものではない。
【0004】
【課題を解決する手段】
本発明者等の研究によれば、炭酸ガスを導入した水溶液を、温度−5〜5℃、圧力1.8〜2.5MPaの加圧下で冷却することによって流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を容易に形成できることが実験的に確認された。本発明はこのようにして形成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して得られた氷シャーベット水を冷熱源として利用する冷熱システムを提供するものであり、現在普及している氷蓄熱型システムよりも貯蔵および移送における熱安定性と流動性が良く、かつ経済性に優れた実用性の高い冷熱システムに関するものである。
【0005】
すなわち、本発明によれば以下の冷熱装置および冷熱方法が提供される。
(1)低温および加圧下で、水に炭酸ガスを導入して流動性のある炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成する炭酸ガスハイドレート生成部と、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を加圧下で貯蔵する冷熱蓄熱部と、該冷熱蓄熱部から抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いる熱交換部とを有することを特徴とする炭酸ガスハイドレートによる冷熱装置。
(2)熱交換部が冷却器または空調機のいずれかである上記(1)に記載する冷熱装置。
(3)炭酸ガスを導入した水を加圧下で冷却することによって流動性のある炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを冷熱蓄熱部の耐圧性タンクに圧送して加圧下で貯蔵する一方、このタンクから抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いることを特徴とする冷熱方法。
(4)炭酸ガスを導入した水を1.8〜2.5 MPaの加圧下で−5〜5 ℃に冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを上記加圧下でタンクに貯蔵する一方、タンクから抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を大気下に開放して冷熱原として用いる上記(3)に記載する冷熱方法。
(5)炭酸ガスを導入した水を冬季の自然冷気によって冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を貯蔵して夏季の冷熱源として用いる上記(3)または(4)に記載する冷熱方法。
(6)炭酸ガスを導入した水を夜間電力を利用して冷却・加圧することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を貯蔵して日中の冷熱源として用いる上記(3)または(4)に記載する冷熱方法。
(7)炭酸ガスを導入した水を地中の自然冷熱によって冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を地表に移送して冷熱源として用いる上記(3)または(4)に記載する冷熱方法。
【0006】
本発明の冷熱装置ないし冷熱方法は、以上のように、低温加圧下で、水に炭酸ガスを溶解させて流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成するものであり、この生成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を加圧下で貯蔵し、必要に応じて抜き出して減圧開放し、炭酸ガスハイドレートを含む水溶液の分解に伴って生成された氷シャーべット水を冷熱源として用いることを特徴とする流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液による冷熱システムである。この氷シャーべット水は冷熱源として冷却器または空調機などにおいて利用することができる。このように、本発明の冷熱システムは流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成するので、炭酸ガスハイドレート生成装置において炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を循環させながら効率よく炭酸ガスハイドレートの生成量を高めることができる。
【0007】
本発明の冷熱システムによれば、(イ)冬季の自然冷気または雪層を利用して炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを貯蔵して夏季の冷熱源として用いることができ、また、(ロ)電気料の安い夜間電力を利用して炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを日中の冷熱源として利用する方法や、(ハ)炭酸ガスを導入した水を冬季に冷熱を蓄えさせた地中あるいは岩盤中の自然冷熱によって冷却して炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを地表に移送して冷熱源として用いる方法などの低コストで経済性に優れた冷熱システムを形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明の冷熱システムは、(イ)低温および加圧下で、水に炭酸ガスを導入して流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成する炭酸ガスハイドレート生成部と、これを加圧下で貯蔵する冷熱蓄熱部と、該冷熱蓄熱部から抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して分解させて得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いる熱交換部とを有することを特徴とする炭酸ガスハイドレートを含む水溶液による冷熱装置、あるいは(ロ)炭酸ガスを導入した水を加圧下で冷却することによって流動性を有する炭酸ガスハイドレートを生成させ、これを冷熱蓄熱部の耐圧性タンクに圧送して加圧下で貯蔵する一方、このタンクから抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して分解させ、得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いることを特徴とする冷熱方法である。
【0009】
本発明の冷熱システムの構成例を図1に示す。本冷熱システムには、炭酸ガスと水とを混合する混合室、混合室から出た炭酸ガス水溶液(炭酸ガスを導入した水)が流れる循環路、循環路の炭酸ガス水溶液を冷却する手段、炭酸ガス導入路、水供給路を備えた炭酸ガスハイドレート生成装置を用いると良い。この生成装置の概略を図2に示す。
【0010】
図2に示す生成装置は、炭酸ガスを水に分散させる混合室17、混合室を出た炭酸ガス水溶液を循環路13に導く滞留室10、滞留室10を囲む内側の循環路12、滞留室10と内側循環路12とを連通する外側循環路13、混合室10に炭酸ガスを導入する導入路11を有しており、内側循環路12には炭酸ガス水溶液の冷却手段15が設けられており、外側循環路13には水の供給口19と取出口14および炭酸ガス水溶液を循環する送液ポンプ16が設けられている。
【0011】
混合室17は、例えばガラスビーズ20を充填して内部を多孔質に形成した部分であり、ガス水溶液が満たされた室内に炭酸ガスが導入され、ビーズ20によって形成された微細な間隙を通過することによって、炭酸ガスと水との接触面積が増大し、炭酸ガスが均一に分散されると共に炭酸ガスの溶解が促進される。また、液温が均一化されると共に生成した炭酸ガスハイドレートが液中に細かく分散するので良好な流動性を維持することができる。
【0012】
炭酸ガス水溶液が供給口19を通じて系内に供給され、これにクラスレート生成平衡温度以下の条件下で炭酸ガスを吹込むと、炭酸ガスが液中に溶解して飽和炭酸ガス水溶液となり、炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が形成される。最初、水溶液に吹き込まれた炭酸ガスは、その気泡表面が微細なクラスレートによって覆われた炭酸ガスハイドレートになるが、次第に気泡表面のクラスレートが部分的に崩れて内部の炭酸ガスが液中に溶解し、気泡状の炭酸ガスハイドレートが小さくなり、最終的に微細炭酸ガスハイドレートが均一に水中に分散した流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が形成される。この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が生成装置を循環して流れる間に炭酸ガスハイドレートの生成量が多くなり、適当な生成割合に達した状態になったものを系外の耐圧性タンクに抜き出して貯蔵する。
【0013】
炭酸ガスハイドレートの生成割合は炭酸ガス水溶液の供給量、液温、液圧、および炭酸ガス導入量などを調整することによって制御することができる。具体的には、例えば、液温−5〜5℃、1.8〜2.5MPaの加圧下で、炭酸ガス水溶液に対する炭酸ガス溶解度が飽和するまで炭酸ガスを供給すれば良い。なお、循環路の一部を耐圧透明チューブによって形成すれば管内を流れる炭酸ガスハイドレートの生成状態を直接に観察できる。また、炭酸ガス溶解度とハイドレート生成状況は液体の温度、圧力および下記導電率を測定することによって上記生成条件をリアルタイムで制御することができる。
【0014】
炭酸ガスハイドレートの生成は水溶液の導電率を測定することによって把握することができる。具体的には、炭酸ガスハイドレートの生成領域では水溶液における導電率の増加量は140〜200μS/cm程度であり、従って、水溶液の導電率の増加量がこの範囲を示し、温度と圧力が生成条件を満たすとき炭酸ガスハイドレートが生成していることを示す。また、炭酸ガスハイドレートの具体的な生成量は導入した炭酸ガスの消費量によって把握することができる。サンプリングライン18に接続した炭酸ガス濃度の測定手段によって液中の炭酸ガス溶解量を測定し、その飽和量を差し引いた消費量によって炭酸ガスハイドレートの生成量が測定される。なお、この方法は濃度測定におけるタイムラグがあるので、リアルタイムで生成状態を把握するには前述の導電率を利用すると良い。
【0015】
上記炭酸ガスハイドレート生成装置を用いた冷熱システムは、図1に示すように、炭酸ガスハイドレート生成装置30、該生成装置30から送り込まれる炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を加圧下で貯蔵する冷熱蓄熱部の耐圧タンク31、該タンク31から抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧弁V3で減圧開放して得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いる熱交換部32、該熱交換部32から排出される炭酸ガスおよび炭酸水を一時的に受け入れる排出槽33を有している。上記炭酸ガスハイドレート生成装置30とタンク31、タンク31と熱交換部32、熱交換部32と排出槽33はおのおの管路によって接続されており、生成装置30とタンク31を結ぶ管路、タンク31と熱交換部32を結ぶ管路には開閉弁V1、V2が設けられている。なお、排出槽33は必要に応じて設ければ良い。熱交換部32としては冷却器または空調機などを用いることができる。この冷却器または空調機は冷却を行う空間35の内部に設ければ良い。
【0016】
炭酸ガスハイドレート生成装置30は炭酸ガスを導入した水を1.8〜2.5Paの加圧下で−5〜5℃に冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が生成させる。生成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は管路を通じてタンク31に導入して貯蔵する。一方、タンク31に貯蔵された炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は必要に応じて弁V2を開き減圧弁V3を通じて抜き出され熱交換部32に送られる。
【0017】
熱交換部32において炭酸ガスハイドレートの分解による吸熱現象は冷熱源として利用される。すなわち、減圧開放された水溶液中の炭酸ガスハイドレートは分解して炭酸ガスと炭酸水になるが、この分解の際に周囲の熱を奪い、またこの水が過冷却されて部分的に微細な氷が炭酸水中に生成し、氷シャーベット水となる。この氷シャーベット水を熱交換部32の放熱循環路等に流して冷気を放出し、空間35を冷却する。なお熱交換部32から流出する炭酸ガスと炭酸水は圧縮装置34によって必要に応じて再び生成装置30に圧送して再利用することができる。再利用する場合には排出された炭酸ガスと炭酸水を一定時間貯蔵するタンクとして上記排出槽33を利用すれば良い。
【0018】
上記冷熱システムの温度−圧力サイクルの一例を図3に示す、図中(イ)から(ロ)の過程において、炭酸ガスが加圧下で圧縮されて生成装置30に導入される。生成装置30において図中(ロ)から(ハ)の過程に示すように、加圧下で炭酸ガスが溶解した水が冷却されて炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が生成する。生成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は貯蔵タンク31に導入される。この貯蔵工程においては炭酸ガスハイドレートを安定化させるためタンク内の圧力は生成装置30よりも0.1〜0.5MPa高くするのが好ましい。
【0019】
次に、図中(ニ)〜(ホ)に示す減圧過程において、タンク31から抜き出された炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は減圧弁V3を通じて抜き出され、低圧状態下に開放されて炭酸ガスハイドレートが吸熱分解し、炭酸ガスと過冷却状態の炭酸水になる。この後で瞬時に水溶液中に微細な氷が生成され、シャーベット状の氷水になる。この氷の融解熱や氷の溶解水の冷熱を気流へ熱伝達させることによって庫内や室内の空気などの流体が冷却される。この熱交換過程で冷熱を放出した炭酸ガス水溶液は図中(ホ)〜(イ)に示すように外部からの熱吸収により温度が上昇する。この炭酸ガス水溶液を図中(イ)〜(ロ)に示すように再び圧縮装置34に導入して昇圧する。この昇圧プロセスは断熱圧縮的に行うので外部仕事によって温度が上昇するが、これを生成装置30に導入し、図示する冷熱サイクルが繰り返えされる。
【0020】
【実施例】
図2に示す冷熱システムを用い、以下の運転条件下で炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させた。この結果を表1に示した。生成した炭酸ガスハイドレートを空調機に導入して室内空気を冷却したところ、1時間あたり約40m3の空気を26℃から17 ℃に冷却することができた。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明の冷熱システムによれば、冬季の自然冷気を吸熱源として炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成し、これを貯蔵して夏季の冷熱源として用いることができ、また、夜間電力を利用して炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成し、これを貯蔵して日中の冷熱源として用いることができる。さらに、冬季に冷熱を蓄えさせた地中の自然冷気を吸熱源として炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成し、これを地表に移送して冷熱源として用いることができる。
【0023】
また、図示する生成装置によれば、2.0MPa前後の圧力下においても2〜4℃の温度で炭酸ガスハイドレートを形成することができる。この温度は冬季の北国において比較的長期に自然気象から得られる低温熱源であり、ハイドレート生成過程の吸熱源として自然冷熱を利用することができ、冷熱貯蔵を経済的にかつ簡単に実施することができる。なお、炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を長期保存する場合は、容器内の炭酸ガス圧を3.0MPa程度に高めれば良い。さらに、上記生成装置によって形成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は全ての水分子が完全なクラスレートを形成する前の段階では流動性が高く、熱安定性を維持した状態で移送性に優れる。また、夏季において冷熱を利用する場合においても、従来の氷蓄熱などに比較すると、本発明のハイドレートを含む水溶液を減圧して得られる氷シャーべット水は一層フレキシブルに冷熱を利用できる冷媒として利用することができる。
さらに、本発明の冷熱システムは他の熱交換システムと組合せることができ、例えば、ヒートポンプによる地中熱の利用システムとの複合化を図ることができる。なお、温暖化ガスとして分離・回収された液化炭酸ガスを炭酸ガス源として利用すれば、一層自然エネルギーを有効利用できるほか、既存のフロン系冷媒とは異なったオゾン層の破壊と無関係な環境に優しいシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本冷熱システムの構成例を示す模式図
【図2】炭酸ガスハイドレート生成装置の構成図
【図3】本冷熱システムの熱交換サイクル図
【符号の説明】10−滞留室、11−ガス導入路、12、13−循環路、14−取出口、15−冷却手段、16−送液ポンプ、17−混合室、18−サンプルライン、19−供給口、20−ガラスビーズ、30−炭酸ガスハイドレート生成装置、31−タンク、32−熱交換部、33−排出槽、34−圧縮装置、35−空間。
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を利用した冷熱システムに関する。より詳しくは、低温および加圧環境下で炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を効率良く形成し、これを貯蔵ないし移送して冷熱源として用いる冷熱システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高層建築物や工業プラント等における空調システムでは、電力の安定供給および経済性の観点から、夜間電力を利用した蓄熱型システムが普及しており、氷蓄熱装置が実用化されている。しかし、夜間に製氷した氷の貯蔵や移送には熱安定性や輸送時の閉塞などの問題があり、また、空冷のための潜熱の蓄積容量を大きくすることが難しく、氷蓄熱システムの限界が指摘されている。
【0003】
一方、炭酸ガス等が溶解した水溶液は、低温加圧下において、溶解しているガス分子を水分子が取り囲んだ状態の包接水和物(ガスハイドレート、別称クラスレート)を生成することが知られており、これを地球温暖化対策の一つとしてガスハイドレートを利用する試みがなされている。具体的には、炭酸ガスをハイドレートにし、これを海底下や地下の帯水層に圧入して炭酸ガスを固定化する技術が提案さている(特開平11−265210号公報)。しかし、これは炭酸ガスを固体状のハイドレートとして固定化する技術であり、流動する液体状態で冷熱システムに利用するものではない。
【0004】
【課題を解決する手段】
本発明者等の研究によれば、炭酸ガスを導入した水溶液を、温度−5〜5℃、圧力1.8〜2.5MPaの加圧下で冷却することによって流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を容易に形成できることが実験的に確認された。本発明はこのようにして形成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して得られた氷シャーベット水を冷熱源として利用する冷熱システムを提供するものであり、現在普及している氷蓄熱型システムよりも貯蔵および移送における熱安定性と流動性が良く、かつ経済性に優れた実用性の高い冷熱システムに関するものである。
【0005】
すなわち、本発明によれば以下の冷熱装置および冷熱方法が提供される。
(1)低温および加圧下で、水に炭酸ガスを導入して流動性のある炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成する炭酸ガスハイドレート生成部と、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を加圧下で貯蔵する冷熱蓄熱部と、該冷熱蓄熱部から抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いる熱交換部とを有することを特徴とする炭酸ガスハイドレートによる冷熱装置。
(2)熱交換部が冷却器または空調機のいずれかである上記(1)に記載する冷熱装置。
(3)炭酸ガスを導入した水を加圧下で冷却することによって流動性のある炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを冷熱蓄熱部の耐圧性タンクに圧送して加圧下で貯蔵する一方、このタンクから抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いることを特徴とする冷熱方法。
(4)炭酸ガスを導入した水を1.8〜2.5 MPaの加圧下で−5〜5 ℃に冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを上記加圧下でタンクに貯蔵する一方、タンクから抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を大気下に開放して冷熱原として用いる上記(3)に記載する冷熱方法。
(5)炭酸ガスを導入した水を冬季の自然冷気によって冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を貯蔵して夏季の冷熱源として用いる上記(3)または(4)に記載する冷熱方法。
(6)炭酸ガスを導入した水を夜間電力を利用して冷却・加圧することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を貯蔵して日中の冷熱源として用いる上記(3)または(4)に記載する冷熱方法。
(7)炭酸ガスを導入した水を地中の自然冷熱によって冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を地表に移送して冷熱源として用いる上記(3)または(4)に記載する冷熱方法。
【0006】
本発明の冷熱装置ないし冷熱方法は、以上のように、低温加圧下で、水に炭酸ガスを溶解させて流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成するものであり、この生成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を加圧下で貯蔵し、必要に応じて抜き出して減圧開放し、炭酸ガスハイドレートを含む水溶液の分解に伴って生成された氷シャーべット水を冷熱源として用いることを特徴とする流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液による冷熱システムである。この氷シャーべット水は冷熱源として冷却器または空調機などにおいて利用することができる。このように、本発明の冷熱システムは流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成するので、炭酸ガスハイドレート生成装置において炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を循環させながら効率よく炭酸ガスハイドレートの生成量を高めることができる。
【0007】
本発明の冷熱システムによれば、(イ)冬季の自然冷気または雪層を利用して炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを貯蔵して夏季の冷熱源として用いることができ、また、(ロ)電気料の安い夜間電力を利用して炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを日中の冷熱源として利用する方法や、(ハ)炭酸ガスを導入した水を冬季に冷熱を蓄えさせた地中あるいは岩盤中の自然冷熱によって冷却して炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを地表に移送して冷熱源として用いる方法などの低コストで経済性に優れた冷熱システムを形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明の冷熱システムは、(イ)低温および加圧下で、水に炭酸ガスを導入して流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成する炭酸ガスハイドレート生成部と、これを加圧下で貯蔵する冷熱蓄熱部と、該冷熱蓄熱部から抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して分解させて得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いる熱交換部とを有することを特徴とする炭酸ガスハイドレートを含む水溶液による冷熱装置、あるいは(ロ)炭酸ガスを導入した水を加圧下で冷却することによって流動性を有する炭酸ガスハイドレートを生成させ、これを冷熱蓄熱部の耐圧性タンクに圧送して加圧下で貯蔵する一方、このタンクから抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して分解させ、得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いることを特徴とする冷熱方法である。
【0009】
本発明の冷熱システムの構成例を図1に示す。本冷熱システムには、炭酸ガスと水とを混合する混合室、混合室から出た炭酸ガス水溶液(炭酸ガスを導入した水)が流れる循環路、循環路の炭酸ガス水溶液を冷却する手段、炭酸ガス導入路、水供給路を備えた炭酸ガスハイドレート生成装置を用いると良い。この生成装置の概略を図2に示す。
【0010】
図2に示す生成装置は、炭酸ガスを水に分散させる混合室17、混合室を出た炭酸ガス水溶液を循環路13に導く滞留室10、滞留室10を囲む内側の循環路12、滞留室10と内側循環路12とを連通する外側循環路13、混合室10に炭酸ガスを導入する導入路11を有しており、内側循環路12には炭酸ガス水溶液の冷却手段15が設けられており、外側循環路13には水の供給口19と取出口14および炭酸ガス水溶液を循環する送液ポンプ16が設けられている。
【0011】
混合室17は、例えばガラスビーズ20を充填して内部を多孔質に形成した部分であり、ガス水溶液が満たされた室内に炭酸ガスが導入され、ビーズ20によって形成された微細な間隙を通過することによって、炭酸ガスと水との接触面積が増大し、炭酸ガスが均一に分散されると共に炭酸ガスの溶解が促進される。また、液温が均一化されると共に生成した炭酸ガスハイドレートが液中に細かく分散するので良好な流動性を維持することができる。
【0012】
炭酸ガス水溶液が供給口19を通じて系内に供給され、これにクラスレート生成平衡温度以下の条件下で炭酸ガスを吹込むと、炭酸ガスが液中に溶解して飽和炭酸ガス水溶液となり、炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が形成される。最初、水溶液に吹き込まれた炭酸ガスは、その気泡表面が微細なクラスレートによって覆われた炭酸ガスハイドレートになるが、次第に気泡表面のクラスレートが部分的に崩れて内部の炭酸ガスが液中に溶解し、気泡状の炭酸ガスハイドレートが小さくなり、最終的に微細炭酸ガスハイドレートが均一に水中に分散した流動性を有する炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が形成される。この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が生成装置を循環して流れる間に炭酸ガスハイドレートの生成量が多くなり、適当な生成割合に達した状態になったものを系外の耐圧性タンクに抜き出して貯蔵する。
【0013】
炭酸ガスハイドレートの生成割合は炭酸ガス水溶液の供給量、液温、液圧、および炭酸ガス導入量などを調整することによって制御することができる。具体的には、例えば、液温−5〜5℃、1.8〜2.5MPaの加圧下で、炭酸ガス水溶液に対する炭酸ガス溶解度が飽和するまで炭酸ガスを供給すれば良い。なお、循環路の一部を耐圧透明チューブによって形成すれば管内を流れる炭酸ガスハイドレートの生成状態を直接に観察できる。また、炭酸ガス溶解度とハイドレート生成状況は液体の温度、圧力および下記導電率を測定することによって上記生成条件をリアルタイムで制御することができる。
【0014】
炭酸ガスハイドレートの生成は水溶液の導電率を測定することによって把握することができる。具体的には、炭酸ガスハイドレートの生成領域では水溶液における導電率の増加量は140〜200μS/cm程度であり、従って、水溶液の導電率の増加量がこの範囲を示し、温度と圧力が生成条件を満たすとき炭酸ガスハイドレートが生成していることを示す。また、炭酸ガスハイドレートの具体的な生成量は導入した炭酸ガスの消費量によって把握することができる。サンプリングライン18に接続した炭酸ガス濃度の測定手段によって液中の炭酸ガス溶解量を測定し、その飽和量を差し引いた消費量によって炭酸ガスハイドレートの生成量が測定される。なお、この方法は濃度測定におけるタイムラグがあるので、リアルタイムで生成状態を把握するには前述の導電率を利用すると良い。
【0015】
上記炭酸ガスハイドレート生成装置を用いた冷熱システムは、図1に示すように、炭酸ガスハイドレート生成装置30、該生成装置30から送り込まれる炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を加圧下で貯蔵する冷熱蓄熱部の耐圧タンク31、該タンク31から抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧弁V3で減圧開放して得られた氷シャーベット水を冷熱源として用いる熱交換部32、該熱交換部32から排出される炭酸ガスおよび炭酸水を一時的に受け入れる排出槽33を有している。上記炭酸ガスハイドレート生成装置30とタンク31、タンク31と熱交換部32、熱交換部32と排出槽33はおのおの管路によって接続されており、生成装置30とタンク31を結ぶ管路、タンク31と熱交換部32を結ぶ管路には開閉弁V1、V2が設けられている。なお、排出槽33は必要に応じて設ければ良い。熱交換部32としては冷却器または空調機などを用いることができる。この冷却器または空調機は冷却を行う空間35の内部に設ければ良い。
【0016】
炭酸ガスハイドレート生成装置30は炭酸ガスを導入した水を1.8〜2.5Paの加圧下で−5〜5℃に冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が生成させる。生成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は管路を通じてタンク31に導入して貯蔵する。一方、タンク31に貯蔵された炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は必要に応じて弁V2を開き減圧弁V3を通じて抜き出され熱交換部32に送られる。
【0017】
熱交換部32において炭酸ガスハイドレートの分解による吸熱現象は冷熱源として利用される。すなわち、減圧開放された水溶液中の炭酸ガスハイドレートは分解して炭酸ガスと炭酸水になるが、この分解の際に周囲の熱を奪い、またこの水が過冷却されて部分的に微細な氷が炭酸水中に生成し、氷シャーベット水となる。この氷シャーベット水を熱交換部32の放熱循環路等に流して冷気を放出し、空間35を冷却する。なお熱交換部32から流出する炭酸ガスと炭酸水は圧縮装置34によって必要に応じて再び生成装置30に圧送して再利用することができる。再利用する場合には排出された炭酸ガスと炭酸水を一定時間貯蔵するタンクとして上記排出槽33を利用すれば良い。
【0018】
上記冷熱システムの温度−圧力サイクルの一例を図3に示す、図中(イ)から(ロ)の過程において、炭酸ガスが加圧下で圧縮されて生成装置30に導入される。生成装置30において図中(ロ)から(ハ)の過程に示すように、加圧下で炭酸ガスが溶解した水が冷却されて炭酸ガスハイドレートを含む水溶液が生成する。生成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は貯蔵タンク31に導入される。この貯蔵工程においては炭酸ガスハイドレートを安定化させるためタンク内の圧力は生成装置30よりも0.1〜0.5MPa高くするのが好ましい。
【0019】
次に、図中(ニ)〜(ホ)に示す減圧過程において、タンク31から抜き出された炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は減圧弁V3を通じて抜き出され、低圧状態下に開放されて炭酸ガスハイドレートが吸熱分解し、炭酸ガスと過冷却状態の炭酸水になる。この後で瞬時に水溶液中に微細な氷が生成され、シャーベット状の氷水になる。この氷の融解熱や氷の溶解水の冷熱を気流へ熱伝達させることによって庫内や室内の空気などの流体が冷却される。この熱交換過程で冷熱を放出した炭酸ガス水溶液は図中(ホ)〜(イ)に示すように外部からの熱吸収により温度が上昇する。この炭酸ガス水溶液を図中(イ)〜(ロ)に示すように再び圧縮装置34に導入して昇圧する。この昇圧プロセスは断熱圧縮的に行うので外部仕事によって温度が上昇するが、これを生成装置30に導入し、図示する冷熱サイクルが繰り返えされる。
【0020】
【実施例】
図2に示す冷熱システムを用い、以下の運転条件下で炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させた。この結果を表1に示した。生成した炭酸ガスハイドレートを空調機に導入して室内空気を冷却したところ、1時間あたり約40m3の空気を26℃から17 ℃に冷却することができた。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明の冷熱システムによれば、冬季の自然冷気を吸熱源として炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成し、これを貯蔵して夏季の冷熱源として用いることができ、また、夜間電力を利用して炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成し、これを貯蔵して日中の冷熱源として用いることができる。さらに、冬季に冷熱を蓄えさせた地中の自然冷気を吸熱源として炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を形成し、これを地表に移送して冷熱源として用いることができる。
【0023】
また、図示する生成装置によれば、2.0MPa前後の圧力下においても2〜4℃の温度で炭酸ガスハイドレートを形成することができる。この温度は冬季の北国において比較的長期に自然気象から得られる低温熱源であり、ハイドレート生成過程の吸熱源として自然冷熱を利用することができ、冷熱貯蔵を経済的にかつ簡単に実施することができる。なお、炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を長期保存する場合は、容器内の炭酸ガス圧を3.0MPa程度に高めれば良い。さらに、上記生成装置によって形成した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液は全ての水分子が完全なクラスレートを形成する前の段階では流動性が高く、熱安定性を維持した状態で移送性に優れる。また、夏季において冷熱を利用する場合においても、従来の氷蓄熱などに比較すると、本発明のハイドレートを含む水溶液を減圧して得られる氷シャーべット水は一層フレキシブルに冷熱を利用できる冷媒として利用することができる。
さらに、本発明の冷熱システムは他の熱交換システムと組合せることができ、例えば、ヒートポンプによる地中熱の利用システムとの複合化を図ることができる。なお、温暖化ガスとして分離・回収された液化炭酸ガスを炭酸ガス源として利用すれば、一層自然エネルギーを有効利用できるほか、既存のフロン系冷媒とは異なったオゾン層の破壊と無関係な環境に優しいシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本冷熱システムの構成例を示す模式図
【図2】炭酸ガスハイドレート生成装置の構成図
【図3】本冷熱システムの熱交換サイクル図
【符号の説明】10−滞留室、11−ガス導入路、12、13−循環路、14−取出口、15−冷却手段、16−送液ポンプ、17−混合室、18−サンプルライン、19−供給口、20−ガラスビーズ、30−炭酸ガスハイドレート生成装置、31−タンク、32−熱交換部、33−排出槽、34−圧縮装置、35−空間。
Claims (7)
- 低温および加圧下で、水に炭酸ガスを導入して流動性の炭酸ガスハイドレートを形成する炭酸ガスハイドレート生成部と、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を加圧下で貯蔵する冷熱蓄熱部と、該冷熱蓄熱部から抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を冷熱源として用いる熱交換部とを有することを特徴とする流動性をもつ炭酸ガスハイドレートを含む水溶液による冷熱装置。
- 熱交換部が冷却器または空調機のいずれかである請求項1に記載する冷熱装置。
- 炭酸ガスを導入した水を加圧下で冷却することによって流動性の炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を冷熱蓄熱部の耐圧性タンクに圧送して加圧下で貯蔵する一方、このタンクから抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を減圧開放して冷熱源として用いることを特徴とする冷熱方法。
- 炭酸ガスを導入した水を1.8〜2.5 MPaの加圧下で−5〜5 ℃に冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、これを上記加圧下でタンクに貯蔵する一方、タンクから抜き出した炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を大気下に開放して冷熱原として用いる請求項3に記載する冷熱方法。
- 炭酸ガスを導入した水を冬季の自然冷気によって冷却することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を貯蔵して夏季の冷熱源として用いる請求項3または4に記載する冷熱方法。
- 炭酸ガスを導入した水を夜間電力を利用して冷却・加圧することによって炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を貯蔵して日中の冷熱源として用いる請求項3または4に記載する冷熱方法。
- 炭酸ガスを導入した水を地中の自然冷熱によって冷却することによって炭酸ガスハイドレート含む水溶液を生成させ、この炭酸ガスハイドレートを含む水溶液を地表に移送して冷熱源として用いる請求項3または4に記載する冷熱方法。
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