JP2004101138A - ガスハイドレートを用いたヒートポンプ及び熱利用装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】成績係数の高いヒートポンプを提供する。
【解決手段】ヒートポンプ1は、ガスハイドレートの分解過程で低温の物体から熱を汲み上げ、ガスハイドレートの生成過程で高温の物体に熱を与える冷媒回路4を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】ヒートポンプ1は、ガスハイドレートの分解過程で低温の物体から熱を汲み上げ、ガスハイドレートの生成過程で高温の物体に熱を与える冷媒回路4を備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い成績係数が得られるヒートポンプ、及びそのヒートポンプを用いた熱利用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ヒートポンプは、蒸発、圧縮、凝縮、及び膨張の各工程からなるサイクルにより、低温の物体から熱を汲み上げ、高温の物体に熱を与える装置である。エネルギー利用効率が比較的高いため、冷暖房機能を有する空気調和装置や冷凍装置などの熱利用装置に多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−253155号公報
【0004】
ヒートポンプでは、冷媒が蒸発する際、その蒸発潜熱によって周囲から熱を吸収する。空気調和装置に利用する場合、蒸発時に吸収する熱は、冷房時には室内の空気から供給され、暖房時には大気から供給される。また、ヒートポンプでは、冷媒が凝縮する際に熱を発生する。空調設備に利用する場合、凝縮時に発生する熱は、冷房時には大気に放出され、暖房時には室内に放出される。熱の移動に携わる冷媒としては、例えば、フロン系化合物の他に、アンモニアなどが用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ヒートポンプのエネルギー利用効率は、一般に、入力動力に対する出力熱量の比である成績係数(COP:coefficient of performance)で表される。従来、COPは高性能なヒートポンプで 2.5〜4.0 である。環境問題に関する意識の高まりとともに、より一層のエネルギー効率の向上が望まれている。
【0006】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたものであり、成績係数(COP)の高いヒートポンプを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高いエネルギー効率が得られる熱利用装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のヒートポンプは、ガスハイドレートの分解過程で低温の物体から熱を汲み上げ、前記ガスハイドレートの生成過程で高温の物体に熱を与える冷媒回路を備えることを特徴とする。
【0008】
上記のヒートポンプにおいては、前記冷媒回路は、吸熱しながら前記ガスハイドレートを分解する分解装置と、放熱しながら前記ガスハイドレートを生成する生成装置とを備えるとよい。
【0009】
この場合、前記分解装置は、例えば、前記ガスハイドレートを減圧する減圧手段と、前記低温の物体と前記ガスハイドレートとを熱交換させる第1熱交換器とを有するとよい。
【0010】
また、前記生成装置は、例えば、前記ガスハイドレートの分解物を昇圧する昇圧手段と、前記ガスハイドレートの分解物と前記高温の物体とを熱交換させる第2熱交換器とを有するとよい。
【0011】
また、上記のヒートポンプにおいて、前記分解装置で分解された前記ガスハイドレートの分解物を、気体と液体とに分けて前記生成装置に送るのが好ましい。
【0012】
また、上記のヒートポンプにおいて、前記生成装置で生成された前記ガスハイドレートを、前記分解装置に輸送する輸送手段を備えるのが好ましい。
【0013】
この場合、前記生成装置で生成された前記ガスハイドレートは、水を含んだスラリー状であるのがより好ましい。
【0014】
また、本発明の熱利用装置は、熱源との間で熱の授受を行う熱利用装置であって、上記した本発明のヒートポンプを備えることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のヒートポンプについて説明する。
ガスハイドレートは、水分子の包接格子の中にガス分子が包接された氷状(あるいはシャーベット状)の化合物(包接化合物)であり、生成過程(水とガスからガスハイドレートが生成される過程)で熱を発生し、分解過程(ガスハイドレートから水とガスに分離される過程)で熱を吸収する。本発明者らは、ガスハイドレートに関するこの一般的な事実と、氷と比較してガスハイドレートは融解潜熱(分解・生成熱)が大きく、しかもその生成解離圧力が温度変化に敏感であるという事実に着目し、鋭意検討の結果、ガスハイドレートの分解及び生成過程に伴う熱の授受を利用することによりエネルギー効率の高いヒートポンプを構成できることを解明した。
【0016】
すなわち、本発明のヒートポンプにおいては、ガスハイドレートの分解・生成熱を利用して、ガスハイドレートの分解過程で低温の物体から熱を汲み上げ、そのガスハイドレートの生成過程で高温の物体に熱を与える。
【0017】
図1及び図2は、本発明のヒートポンプの作動原理を説明するための図であり、図1はガスハイドレートの一般的な相平衡図を示し、図2は本発明のヒートポンプの基本構成を模式的に示している。
図1において、ガスハイドレートは、相平衡線の左上の領域では安定または準安定した状態にある。一方、相平衡線の右下の領域では不安定となり、ガスと水とに分離される。相平衡線に沿った低圧低温側の条件でガスハイドレートを分解し、高圧高温側の条件でガスハイドレートを生成することにより、低温側の熱を高温側に汲み上げることが可能となる。
【0018】
図2において、ヒートポンプ1は、ガスハイドレートを分解する分解装置2と、ガスハイドレートを生成する生成装置3とを含む冷媒回路4を備える。分解装置2は減圧機能及び吸熱機能を有し、生成装置3は圧縮機能及び放熱機能を有する。分解装置2においては、生成装置3で生成された高圧高温状態のガスハイドレートが減圧され、先の図1に示した相平衡線を横切ることにより、ガスと水とに分解される。この分解過程では、ガスハイドレートは分解熱に相当する熱をサイクル外から吸収しつつ相平衡線に沿って温度降下し、低圧低温状態のガスと水との混相となる。一方、生成装置3においては、分解装置2で分解されたガスと水とが圧縮されて高圧高温状態となり、その後、生成熱に相当する熱がサイクル外に放出される。この放熱により、ガスと水との混相が相平衡線を横切り、ガスハイドレートが生成される。通常、水の氷点(0℃)より高温下では、生成されたガスハイドレートは、水を含んだスラリー状となる。そして、生成されたガスハイドレートは、分解装置2において再び分解される。このような一連のサイクルにより、本発明のヒートポンプでは、ガスハイドレートの分解・生成熱に相当する熱を、サイクル外の低温の物体から汲み上げ、サイクル外の高温の物体に与えることができる。
【0019】
ここで、ガスハイドレートは、ガス分子を多数の水分子が取り囲んだ分子構造からなり、一般に、その水和数(ガス分子1個に対する水分子の数)が大きい。例えば、メタンハイドレートの分子式は CH4・5.75H2O で表され、水和数は 5.75 である。こうした分子構造の特徴から、ガスハイドレートは分解・生成熱が比較的大きい。例えば、メタンハイドレートの分解・生成熱(解離エンタルピ)は、氷の 1.3倍である。本発明のヒートポンプでは、こうしたガスハイドレートの分解・生成熱を利用することにより、入力動力に対して高い出力熱量、すなわち高い成績係数(COP)を得ることができる。
【0020】
以下の表1に、数種類のガスハイドレートについて、分解・生成熱(MJ/kg of gas)、及びそのガスハイドレートをヒートポンプに用いた場合のCOPを示す。なお、COPは、各ガスハイドレートの分解・生成熱等を基に、動力機(例えば圧縮機)の効率を80%として計算したものである。なお、冷媒の凝縮過程及び蒸発過程に伴う熱の授受を利用した一般的なヒートポンプでは、同程度の条件下において、高性能なものでCOPは 2.5〜4.0 である。以下の表1に示すように、ガスハイドレートを用いたヒートポンプでは、高いCOPが得られることが分かる。
【0021】
【0022】
ガスハイドレートを生成するためのガスとしては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレンなどの炭化水素系ガスや、HFC(R−22、R−123、R−124、R−141b、R−142b、R−225など)、HCFC(R−134b、R−125、R−152aなど)などのフロン(フルオロカーボン)系ガスの他に、炭酸ガス(CO2 )、窒素、空気、アンモニア、キセノン(Xe)など、様々なガスを用いることができる。なお、本発明のヒートポンプにおいて、ガスハイドレートの生成に用いるガスは、上記したものに限定されない。高いCOPを得るには、最高平衡温度が高い、平衡圧力が低い、温度変化に対する圧力の変化量が少ない、などの特性を有するガスを用いるのが好ましい。なお、これらのガスは単独で使用してもよいし、所望の特性が得られるように複数種類を組み合わせて使用してもよい。異種ガスの組み合わせにより、ガスハイドレートの相変化の条件を調整することが可能である。また、ガスハイドレートの相変化条件を調整するために、水に添加物を加えてもよい。
【0023】
本発明のヒートポンプは、例えば、冷房、暖房、除湿、及び加湿の少なくとも1つの機能を有する空気調和装置に適用することができる。この他に、冷却装置(ヒートシンクなど)、暖房装置(床暖房装置など)、給湯装置、冷凍装置、脱水装置、蓄熱装置、融雪装置、乾燥装置など、熱源との間で熱の授受を行う様々な熱利用装置(プラントやシステムを含む)に適用可能である。これらの熱利用装置では、本発明のヒートポンプを用いることにより、高いエネルギー効率を得ることができる。以下に、本発明の熱利用装置の一例として、本発明のヒートポンプを空気調和装置に適用した例について説明する。
【0024】
図3は、本発明のヒートポンプを空気調和装置に適用した実施の形態例を模式的に示す構成図である。この空気調和装置10は、室内空気を冷房及び暖房する機能を有するものであり、ガスハイドレートの分解装置11と生成装置12とを含む冷媒回路13を備えている。
【0025】
分解装置11は、ガスハイドレートの分解過程が行われる分解器20、ガスハイドレートを減圧する減圧手段としての減圧弁21、及びサイクル外の熱源(室内空気あるいは室外大気)とガスハイドレートとを熱交換させる第1熱交換器22を有する。
【0026】
また、生成装置12は、ガスハイドレートの生成過程が行われる生成器25、ガスハイドレートの分解物を昇圧する昇圧手段としての圧縮機26,27、及びサイクル外の熱源(室内空気あるいは室外大気)とガスハイドレートの分解物とを熱交換させる第2熱交換器23を有する。
【0027】
分解器20と生成器25とは、配管30,31,32を介して互いに接続されている。配管30、31は、分解器20で分解されたガスハイドレートの分解物(ガス及び水)を生成器25に送るためのものである。ガスハイドレートの分解物は、気体(ガス)と液体(水)とに分離され、配管30にはガスが流れ、配管31には水が流れる。また、配管30には減圧弁21及びガス圧縮用の圧縮機26(ガス圧縮機など)が配設され、配管31には水圧縮用の圧縮機27(水ポンプなど)が配設される。一方、配管32は、生成器25で生成されたガスハイドレートを分解器20に送るためのものであり、配管32には、ガスハイドレートを輸送する輸送手段としてのスラリーポンプ35が配設される。
【0028】
分解器20では、高圧高温状態のガスハイドレートが減圧弁21を介して減圧される。これにより、ガスハイドレートがガスと水とに分解される。また、この分解過程において、ガスハイドレートは、分解熱に相当する熱を、第1熱交換器22を介してサイクル外の低レベルの熱源(室外大気あるいは室内空気)から吸収して温度降下し、低圧低温状態のガスと水との混相になる。また、ガスハイドレートの分解物は、ガスと水とに分離され、ガスは配管30を介して、水は配管31を介してそれぞれ生成器25に送られる。このとき、ガス及び水は、それぞれ圧縮機26及び圧縮機27を介して圧縮されるなどして高圧高温状態となる。
【0029】
生成器25では、高圧高温状態のガスと水との混相から、ガスハイドレートの生成熱に相当する熱が第2熱交換器23を介してサイクル外の高レベルの熱源(室外大気あるいは室内空気)に放出される。この放熱に伴い、ガスと水との混相が相変化し、ガスハイドレートが生成される。生成されたガスハイドレートは、水を含んだスラリー状であり、スラリーポンプ35を介して分解器20に送られる。
【0030】
このような一連のサイクルにより、空気調和装置10では、ガスハイドレートの分解・生成熱に相当する熱が、サイクル外の低レベルの熱源から汲み上げられ、サイクル外の高レベルの熱源に与えられる。ガスハイドレートの分解時にサイクル外から吸収した熱は、ガスハイドレートの生成時にサイクル外に放出される。そして、高温側の熱は暖房用熱として利用され、低温側の熱は冷房用熱として利用される。
【0031】
すなわち、空気調和装置10では、室内を暖房する際には、分解装置11によって室外大気から吸熱しながらガスハイドレートを分解するとともに、生成装置12によって室内空気に放熱しながらガスハイドレートを生成する。暖房時において、ガスハイドレートの生成温度は室内温度より高く、例えば25℃以上である。また、ガスハイドレートの分解温度は、大気温度(冬期大気温度)より低く、例えば10℃以下である。一方、室内を冷房する際には、分解装置11によって室内空気から吸熱しながらガスハイドレートを分解するとともに、生成装置12によって室外大気に放熱しながらガスハイドレートを生成する。冷房時において、ガスハイドレートの生成温度は、大気温度(夏期大気温度)より高く、例えば25℃以上である。また、ガスハイドレートの分解温度は、室内温度より低く、例えば10℃以下である。
【0032】
このように、空気調和装置10によれば、ガスハイドレートの分解・生成熱を利用して、熱源との間で熱の授受を行う。ガスハイドレートの分解・生成熱を利用することにより、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0033】
ここで、上述した冷媒回路13において、分解装置11及び生成装置12としては、公知の様々な技術を用いることが可能である。
先の図3に示した分解装置11では、分解器20から生成器25へのガス供給用の配管30に減圧弁21が配設されている。この場合、生成器25へのガス供給に伴って分解器20内の圧力が低減される。分解装置の構成はこれに限らず、分解器そのものに減圧機能を持たせてもよく、あるいは生成装置が備えるガス圧縮用の圧縮機26に減圧機能を持たせることで減圧弁を省略してもよい。いずれの構成においても、分解器内のガスを連続的あるいは断続的に排出することにより、分解器内の圧力が低減され、ガスハイドレートの分解が促進される。また、生成器から分解器へのガスハイドレート供給用の配管(先の図3に示す配管32)に、減圧弁を配設してもよい。この場合、減圧弁を通過することにより、ガスハイドレートの分解が開始するとともに、その分解により生じたガス(及び水)が減圧及び膨張される。
【0034】
また、分解装置が備える第1熱交換器22は、分解器20の内部で熱交換を行ってもよく、分解器20の外部で熱交換を行ってもよい。外部で熱交換を行う場合、第1熱交換器22は、例えば、分解器内の低温の水が配管を介して循環され、その循環中にサイクル外の熱源と熱交換するように構成される。あるいは、ガスハイドレートとは別の冷媒を介してサイクル外の熱源と熱交換するように構成してもよい。なお、分解装置は、連続的にガスハイドレートを分解するものが好ましいが、断続的(バッチ式)に分解を行うものも適用可能である。
【0035】
ガスハイドレートの生成装置では、生成器において、ガスの量が水に溶けて飽和する以上存在し、さらに相平衡線に基づく一定の温度・圧力条件を満たしている必要がある。また、生成器では、生成能力向上のために、ガスと水との接触面積が大きくなるように構成されるのが好ましい。接触面積増大のための技術としては、例えば、ガスと水とを積極的に攪拌する方式、水中にガスを泡状にして供給する方式などがある。なお、ガスハイドレートは前述した分子構造の特徴から高いガス包蔵性を有しており、生成時に、必ずしもハイドレートの空隙がすべてガス分子で充填されなくてもよい。生成装置は、連続的にガスハイドレートを生成するものが好ましいが、断続的(バッチ式)に生成を行うものも適用可能である。
【0036】
先の図3に示した冷媒回路13では、ガスハイドレートの分解物であるガスと水とがそれぞれ配管30及び配管31に分けて分解装置11から生成装置12に送られることから、ガス及び水をそれぞれガスハイドレートの生成に適した状態に制御しやすいという利点を有する。なお、圧縮に伴って上昇したガスの温度を降下させるために、圧縮後のガスを冷却する冷却器を備えてもよい。また、圧縮後の水の温度を上昇させるために、圧縮後のガスと水とを熱交換させる熱交換器を備えてもよい。また、圧縮に伴ってガスあるいは水を一時的に貯溜するタンクを備えてもよいことは言うまでもない。なお、水を圧縮(あるいは輸送)する圧縮機27(水ポンプ)の動力は、ガスを圧縮する圧縮機26の動力に比べると極めて小さい。また、ガス用の圧縮機としては、電動式のもの、ガス燃料などを用いる燃焼式のもの等、様々な種類のものが適用可能である。
【0037】
また、生成装置が備える第2熱交換器23は、上記した分解装置の第1熱交換器22と同様に、生成器25の内部で熱交換を行ってもよく、生成器25の外部で熱交換を行ってもよい。外部で熱交換を行う場合、第2熱交換器23は、例えば、生成器内の高温の水とガスとの混相が配管を介して循環され、その循環中にサイクル外の熱源と熱交換するように構成される。あるいは、ガスハイドレートとは別の冷媒を介してサイクル外の熱源と熱交換するように構成してもよい。
【0038】
また、生成装置12において生成されたガスハイドレートは、水を含んだスラリー状である。そのため、硬質な固体状のものに比べて、生成装置12から分解装置11に輸送しやすいという利点を有する。ガスハイドレートの輸送手段としては、スラリーポンプに限定されず、他の輸送手段を用いてもよい。また、連続的に輸送するものに限らず、断続的(バッチ式)に輸送するものでもよい。また、生成器25と分解器20との圧力差を利用することにより、輸送手段を省略してもよい。
【0039】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明のヒートポンプによれば、ガスハイドレートの分解及び生成過程に伴う熱の授受を利用することにより、高い成績係数(COP)を得ることができる。また、本発明の熱利用装置によれば、高い成績係数(COP)のヒートポンプを用いることにより、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスハイドレートの一般的な相平衡図を示す図である。
【図2】本発明のヒートポンプの基本構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明のヒートポンプを空気調和装置に適用した実施の形態例を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
1…ヒートポンプ、2,11…分解装置、3,12…生成装置、4,13…冷媒回路、10…空気調和装置、20…分解器、21…減圧弁(減圧手段)、22…第1熱交換器、25…生成器、26,27…圧縮機、23…第2熱交換器、35…スラリーポンプ(輸送手段)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い成績係数が得られるヒートポンプ、及びそのヒートポンプを用いた熱利用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ヒートポンプは、蒸発、圧縮、凝縮、及び膨張の各工程からなるサイクルにより、低温の物体から熱を汲み上げ、高温の物体に熱を与える装置である。エネルギー利用効率が比較的高いため、冷暖房機能を有する空気調和装置や冷凍装置などの熱利用装置に多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−253155号公報
【0004】
ヒートポンプでは、冷媒が蒸発する際、その蒸発潜熱によって周囲から熱を吸収する。空気調和装置に利用する場合、蒸発時に吸収する熱は、冷房時には室内の空気から供給され、暖房時には大気から供給される。また、ヒートポンプでは、冷媒が凝縮する際に熱を発生する。空調設備に利用する場合、凝縮時に発生する熱は、冷房時には大気に放出され、暖房時には室内に放出される。熱の移動に携わる冷媒としては、例えば、フロン系化合物の他に、アンモニアなどが用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ヒートポンプのエネルギー利用効率は、一般に、入力動力に対する出力熱量の比である成績係数(COP:coefficient of performance)で表される。従来、COPは高性能なヒートポンプで 2.5〜4.0 である。環境問題に関する意識の高まりとともに、より一層のエネルギー効率の向上が望まれている。
【0006】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたものであり、成績係数(COP)の高いヒートポンプを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高いエネルギー効率が得られる熱利用装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のヒートポンプは、ガスハイドレートの分解過程で低温の物体から熱を汲み上げ、前記ガスハイドレートの生成過程で高温の物体に熱を与える冷媒回路を備えることを特徴とする。
【0008】
上記のヒートポンプにおいては、前記冷媒回路は、吸熱しながら前記ガスハイドレートを分解する分解装置と、放熱しながら前記ガスハイドレートを生成する生成装置とを備えるとよい。
【0009】
この場合、前記分解装置は、例えば、前記ガスハイドレートを減圧する減圧手段と、前記低温の物体と前記ガスハイドレートとを熱交換させる第1熱交換器とを有するとよい。
【0010】
また、前記生成装置は、例えば、前記ガスハイドレートの分解物を昇圧する昇圧手段と、前記ガスハイドレートの分解物と前記高温の物体とを熱交換させる第2熱交換器とを有するとよい。
【0011】
また、上記のヒートポンプにおいて、前記分解装置で分解された前記ガスハイドレートの分解物を、気体と液体とに分けて前記生成装置に送るのが好ましい。
【0012】
また、上記のヒートポンプにおいて、前記生成装置で生成された前記ガスハイドレートを、前記分解装置に輸送する輸送手段を備えるのが好ましい。
【0013】
この場合、前記生成装置で生成された前記ガスハイドレートは、水を含んだスラリー状であるのがより好ましい。
【0014】
また、本発明の熱利用装置は、熱源との間で熱の授受を行う熱利用装置であって、上記した本発明のヒートポンプを備えることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のヒートポンプについて説明する。
ガスハイドレートは、水分子の包接格子の中にガス分子が包接された氷状(あるいはシャーベット状)の化合物(包接化合物)であり、生成過程(水とガスからガスハイドレートが生成される過程)で熱を発生し、分解過程(ガスハイドレートから水とガスに分離される過程)で熱を吸収する。本発明者らは、ガスハイドレートに関するこの一般的な事実と、氷と比較してガスハイドレートは融解潜熱(分解・生成熱)が大きく、しかもその生成解離圧力が温度変化に敏感であるという事実に着目し、鋭意検討の結果、ガスハイドレートの分解及び生成過程に伴う熱の授受を利用することによりエネルギー効率の高いヒートポンプを構成できることを解明した。
【0016】
すなわち、本発明のヒートポンプにおいては、ガスハイドレートの分解・生成熱を利用して、ガスハイドレートの分解過程で低温の物体から熱を汲み上げ、そのガスハイドレートの生成過程で高温の物体に熱を与える。
【0017】
図1及び図2は、本発明のヒートポンプの作動原理を説明するための図であり、図1はガスハイドレートの一般的な相平衡図を示し、図2は本発明のヒートポンプの基本構成を模式的に示している。
図1において、ガスハイドレートは、相平衡線の左上の領域では安定または準安定した状態にある。一方、相平衡線の右下の領域では不安定となり、ガスと水とに分離される。相平衡線に沿った低圧低温側の条件でガスハイドレートを分解し、高圧高温側の条件でガスハイドレートを生成することにより、低温側の熱を高温側に汲み上げることが可能となる。
【0018】
図2において、ヒートポンプ1は、ガスハイドレートを分解する分解装置2と、ガスハイドレートを生成する生成装置3とを含む冷媒回路4を備える。分解装置2は減圧機能及び吸熱機能を有し、生成装置3は圧縮機能及び放熱機能を有する。分解装置2においては、生成装置3で生成された高圧高温状態のガスハイドレートが減圧され、先の図1に示した相平衡線を横切ることにより、ガスと水とに分解される。この分解過程では、ガスハイドレートは分解熱に相当する熱をサイクル外から吸収しつつ相平衡線に沿って温度降下し、低圧低温状態のガスと水との混相となる。一方、生成装置3においては、分解装置2で分解されたガスと水とが圧縮されて高圧高温状態となり、その後、生成熱に相当する熱がサイクル外に放出される。この放熱により、ガスと水との混相が相平衡線を横切り、ガスハイドレートが生成される。通常、水の氷点(0℃)より高温下では、生成されたガスハイドレートは、水を含んだスラリー状となる。そして、生成されたガスハイドレートは、分解装置2において再び分解される。このような一連のサイクルにより、本発明のヒートポンプでは、ガスハイドレートの分解・生成熱に相当する熱を、サイクル外の低温の物体から汲み上げ、サイクル外の高温の物体に与えることができる。
【0019】
ここで、ガスハイドレートは、ガス分子を多数の水分子が取り囲んだ分子構造からなり、一般に、その水和数(ガス分子1個に対する水分子の数)が大きい。例えば、メタンハイドレートの分子式は CH4・5.75H2O で表され、水和数は 5.75 である。こうした分子構造の特徴から、ガスハイドレートは分解・生成熱が比較的大きい。例えば、メタンハイドレートの分解・生成熱(解離エンタルピ)は、氷の 1.3倍である。本発明のヒートポンプでは、こうしたガスハイドレートの分解・生成熱を利用することにより、入力動力に対して高い出力熱量、すなわち高い成績係数(COP)を得ることができる。
【0020】
以下の表1に、数種類のガスハイドレートについて、分解・生成熱(MJ/kg of gas)、及びそのガスハイドレートをヒートポンプに用いた場合のCOPを示す。なお、COPは、各ガスハイドレートの分解・生成熱等を基に、動力機(例えば圧縮機)の効率を80%として計算したものである。なお、冷媒の凝縮過程及び蒸発過程に伴う熱の授受を利用した一般的なヒートポンプでは、同程度の条件下において、高性能なものでCOPは 2.5〜4.0 である。以下の表1に示すように、ガスハイドレートを用いたヒートポンプでは、高いCOPが得られることが分かる。
【0021】
【0022】
ガスハイドレートを生成するためのガスとしては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレンなどの炭化水素系ガスや、HFC(R−22、R−123、R−124、R−141b、R−142b、R−225など)、HCFC(R−134b、R−125、R−152aなど)などのフロン(フルオロカーボン)系ガスの他に、炭酸ガス(CO2 )、窒素、空気、アンモニア、キセノン(Xe)など、様々なガスを用いることができる。なお、本発明のヒートポンプにおいて、ガスハイドレートの生成に用いるガスは、上記したものに限定されない。高いCOPを得るには、最高平衡温度が高い、平衡圧力が低い、温度変化に対する圧力の変化量が少ない、などの特性を有するガスを用いるのが好ましい。なお、これらのガスは単独で使用してもよいし、所望の特性が得られるように複数種類を組み合わせて使用してもよい。異種ガスの組み合わせにより、ガスハイドレートの相変化の条件を調整することが可能である。また、ガスハイドレートの相変化条件を調整するために、水に添加物を加えてもよい。
【0023】
本発明のヒートポンプは、例えば、冷房、暖房、除湿、及び加湿の少なくとも1つの機能を有する空気調和装置に適用することができる。この他に、冷却装置(ヒートシンクなど)、暖房装置(床暖房装置など)、給湯装置、冷凍装置、脱水装置、蓄熱装置、融雪装置、乾燥装置など、熱源との間で熱の授受を行う様々な熱利用装置(プラントやシステムを含む)に適用可能である。これらの熱利用装置では、本発明のヒートポンプを用いることにより、高いエネルギー効率を得ることができる。以下に、本発明の熱利用装置の一例として、本発明のヒートポンプを空気調和装置に適用した例について説明する。
【0024】
図3は、本発明のヒートポンプを空気調和装置に適用した実施の形態例を模式的に示す構成図である。この空気調和装置10は、室内空気を冷房及び暖房する機能を有するものであり、ガスハイドレートの分解装置11と生成装置12とを含む冷媒回路13を備えている。
【0025】
分解装置11は、ガスハイドレートの分解過程が行われる分解器20、ガスハイドレートを減圧する減圧手段としての減圧弁21、及びサイクル外の熱源(室内空気あるいは室外大気)とガスハイドレートとを熱交換させる第1熱交換器22を有する。
【0026】
また、生成装置12は、ガスハイドレートの生成過程が行われる生成器25、ガスハイドレートの分解物を昇圧する昇圧手段としての圧縮機26,27、及びサイクル外の熱源(室内空気あるいは室外大気)とガスハイドレートの分解物とを熱交換させる第2熱交換器23を有する。
【0027】
分解器20と生成器25とは、配管30,31,32を介して互いに接続されている。配管30、31は、分解器20で分解されたガスハイドレートの分解物(ガス及び水)を生成器25に送るためのものである。ガスハイドレートの分解物は、気体(ガス)と液体(水)とに分離され、配管30にはガスが流れ、配管31には水が流れる。また、配管30には減圧弁21及びガス圧縮用の圧縮機26(ガス圧縮機など)が配設され、配管31には水圧縮用の圧縮機27(水ポンプなど)が配設される。一方、配管32は、生成器25で生成されたガスハイドレートを分解器20に送るためのものであり、配管32には、ガスハイドレートを輸送する輸送手段としてのスラリーポンプ35が配設される。
【0028】
分解器20では、高圧高温状態のガスハイドレートが減圧弁21を介して減圧される。これにより、ガスハイドレートがガスと水とに分解される。また、この分解過程において、ガスハイドレートは、分解熱に相当する熱を、第1熱交換器22を介してサイクル外の低レベルの熱源(室外大気あるいは室内空気)から吸収して温度降下し、低圧低温状態のガスと水との混相になる。また、ガスハイドレートの分解物は、ガスと水とに分離され、ガスは配管30を介して、水は配管31を介してそれぞれ生成器25に送られる。このとき、ガス及び水は、それぞれ圧縮機26及び圧縮機27を介して圧縮されるなどして高圧高温状態となる。
【0029】
生成器25では、高圧高温状態のガスと水との混相から、ガスハイドレートの生成熱に相当する熱が第2熱交換器23を介してサイクル外の高レベルの熱源(室外大気あるいは室内空気)に放出される。この放熱に伴い、ガスと水との混相が相変化し、ガスハイドレートが生成される。生成されたガスハイドレートは、水を含んだスラリー状であり、スラリーポンプ35を介して分解器20に送られる。
【0030】
このような一連のサイクルにより、空気調和装置10では、ガスハイドレートの分解・生成熱に相当する熱が、サイクル外の低レベルの熱源から汲み上げられ、サイクル外の高レベルの熱源に与えられる。ガスハイドレートの分解時にサイクル外から吸収した熱は、ガスハイドレートの生成時にサイクル外に放出される。そして、高温側の熱は暖房用熱として利用され、低温側の熱は冷房用熱として利用される。
【0031】
すなわち、空気調和装置10では、室内を暖房する際には、分解装置11によって室外大気から吸熱しながらガスハイドレートを分解するとともに、生成装置12によって室内空気に放熱しながらガスハイドレートを生成する。暖房時において、ガスハイドレートの生成温度は室内温度より高く、例えば25℃以上である。また、ガスハイドレートの分解温度は、大気温度(冬期大気温度)より低く、例えば10℃以下である。一方、室内を冷房する際には、分解装置11によって室内空気から吸熱しながらガスハイドレートを分解するとともに、生成装置12によって室外大気に放熱しながらガスハイドレートを生成する。冷房時において、ガスハイドレートの生成温度は、大気温度(夏期大気温度)より高く、例えば25℃以上である。また、ガスハイドレートの分解温度は、室内温度より低く、例えば10℃以下である。
【0032】
このように、空気調和装置10によれば、ガスハイドレートの分解・生成熱を利用して、熱源との間で熱の授受を行う。ガスハイドレートの分解・生成熱を利用することにより、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0033】
ここで、上述した冷媒回路13において、分解装置11及び生成装置12としては、公知の様々な技術を用いることが可能である。
先の図3に示した分解装置11では、分解器20から生成器25へのガス供給用の配管30に減圧弁21が配設されている。この場合、生成器25へのガス供給に伴って分解器20内の圧力が低減される。分解装置の構成はこれに限らず、分解器そのものに減圧機能を持たせてもよく、あるいは生成装置が備えるガス圧縮用の圧縮機26に減圧機能を持たせることで減圧弁を省略してもよい。いずれの構成においても、分解器内のガスを連続的あるいは断続的に排出することにより、分解器内の圧力が低減され、ガスハイドレートの分解が促進される。また、生成器から分解器へのガスハイドレート供給用の配管(先の図3に示す配管32)に、減圧弁を配設してもよい。この場合、減圧弁を通過することにより、ガスハイドレートの分解が開始するとともに、その分解により生じたガス(及び水)が減圧及び膨張される。
【0034】
また、分解装置が備える第1熱交換器22は、分解器20の内部で熱交換を行ってもよく、分解器20の外部で熱交換を行ってもよい。外部で熱交換を行う場合、第1熱交換器22は、例えば、分解器内の低温の水が配管を介して循環され、その循環中にサイクル外の熱源と熱交換するように構成される。あるいは、ガスハイドレートとは別の冷媒を介してサイクル外の熱源と熱交換するように構成してもよい。なお、分解装置は、連続的にガスハイドレートを分解するものが好ましいが、断続的(バッチ式)に分解を行うものも適用可能である。
【0035】
ガスハイドレートの生成装置では、生成器において、ガスの量が水に溶けて飽和する以上存在し、さらに相平衡線に基づく一定の温度・圧力条件を満たしている必要がある。また、生成器では、生成能力向上のために、ガスと水との接触面積が大きくなるように構成されるのが好ましい。接触面積増大のための技術としては、例えば、ガスと水とを積極的に攪拌する方式、水中にガスを泡状にして供給する方式などがある。なお、ガスハイドレートは前述した分子構造の特徴から高いガス包蔵性を有しており、生成時に、必ずしもハイドレートの空隙がすべてガス分子で充填されなくてもよい。生成装置は、連続的にガスハイドレートを生成するものが好ましいが、断続的(バッチ式)に生成を行うものも適用可能である。
【0036】
先の図3に示した冷媒回路13では、ガスハイドレートの分解物であるガスと水とがそれぞれ配管30及び配管31に分けて分解装置11から生成装置12に送られることから、ガス及び水をそれぞれガスハイドレートの生成に適した状態に制御しやすいという利点を有する。なお、圧縮に伴って上昇したガスの温度を降下させるために、圧縮後のガスを冷却する冷却器を備えてもよい。また、圧縮後の水の温度を上昇させるために、圧縮後のガスと水とを熱交換させる熱交換器を備えてもよい。また、圧縮に伴ってガスあるいは水を一時的に貯溜するタンクを備えてもよいことは言うまでもない。なお、水を圧縮(あるいは輸送)する圧縮機27(水ポンプ)の動力は、ガスを圧縮する圧縮機26の動力に比べると極めて小さい。また、ガス用の圧縮機としては、電動式のもの、ガス燃料などを用いる燃焼式のもの等、様々な種類のものが適用可能である。
【0037】
また、生成装置が備える第2熱交換器23は、上記した分解装置の第1熱交換器22と同様に、生成器25の内部で熱交換を行ってもよく、生成器25の外部で熱交換を行ってもよい。外部で熱交換を行う場合、第2熱交換器23は、例えば、生成器内の高温の水とガスとの混相が配管を介して循環され、その循環中にサイクル外の熱源と熱交換するように構成される。あるいは、ガスハイドレートとは別の冷媒を介してサイクル外の熱源と熱交換するように構成してもよい。
【0038】
また、生成装置12において生成されたガスハイドレートは、水を含んだスラリー状である。そのため、硬質な固体状のものに比べて、生成装置12から分解装置11に輸送しやすいという利点を有する。ガスハイドレートの輸送手段としては、スラリーポンプに限定されず、他の輸送手段を用いてもよい。また、連続的に輸送するものに限らず、断続的(バッチ式)に輸送するものでもよい。また、生成器25と分解器20との圧力差を利用することにより、輸送手段を省略してもよい。
【0039】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明のヒートポンプによれば、ガスハイドレートの分解及び生成過程に伴う熱の授受を利用することにより、高い成績係数(COP)を得ることができる。また、本発明の熱利用装置によれば、高い成績係数(COP)のヒートポンプを用いることにより、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスハイドレートの一般的な相平衡図を示す図である。
【図2】本発明のヒートポンプの基本構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明のヒートポンプを空気調和装置に適用した実施の形態例を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
1…ヒートポンプ、2,11…分解装置、3,12…生成装置、4,13…冷媒回路、10…空気調和装置、20…分解器、21…減圧弁(減圧手段)、22…第1熱交換器、25…生成器、26,27…圧縮機、23…第2熱交換器、35…スラリーポンプ(輸送手段)。
Claims (8)
- ガスハイドレートの分解過程で低温の物体から熱を汲み上げ、前記ガスハイドレートの生成過程で高温の物体に熱を与える冷媒回路を備えることを特徴とするヒートポンプ。
- 前記冷媒回路は、吸熱しながら前記ガスハイドレートを分解する分解装置と、放熱しながら前記ガスハイドレートを生成する生成装置とを備えることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ。
- 前記分解装置は、前記ガスハイドレートを減圧する減圧手段と、前記低温の物体と前記ガスハイドレートとを熱交換させる第1熱交換器とを有することを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプ。
- 前記生成装置は、前記ガスハイドレートの分解物を昇圧する昇圧手段と、前記ガスハイドレートの分解物と前記高温の物体とを熱交換させる第2熱交換器とを有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のヒートポンプ。
- 前記分解装置で分解された前記ガスハイドレートの分解物を、気体と液体とに分けて前記生成装置に送ることを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれかに記載のヒートポンプ。
- 前記生成装置で生成された前記ガスハイドレートを、前記分解装置に輸送する輸送手段を備えることを特徴とする請求項2から請求項5のうちのいずれかに記載のヒートポンプ。
- 前記生成装置で生成された前記ガスハイドレートは、水を含んだスラリー状であることを特徴とする請求項6に記載のヒートポンプ。
- 熱源との間で熱の授受を行う熱利用装置であって、
請求項1から請求項7のうちのいずれかに記載のヒートポンプを備えることを特徴とする熱利用装置。
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Cited By (3)
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CN102410663A (zh) * | 2011-11-09 | 2012-04-11 | 上海理工大学 | 空调制冷系统 |
CN101871672B (zh) * | 2009-04-27 | 2012-09-05 | 苏庆泉 | 供热系统以及供热方法 |
US11143441B2 (en) | 2017-09-05 | 2021-10-12 | Toyo Engineering Corporation | Closed loop refrigeration system |
-
2002
- 2002-09-12 JP JP2002266782A patent/JP2004101138A/ja active Pending
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CN102410663A (zh) * | 2011-11-09 | 2012-04-11 | 上海理工大学 | 空调制冷系统 |
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