JP2004353951A - 全一次空気燃焼式バーナにおける燃焼状態検出装置 - Google Patents

全一次空気燃焼式バーナにおける燃焼状態検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】混合気の空気過剰率を、バーナの燃焼面での表面燃焼が行われるように設定した、1より大きな所定の設定値λs,λs´に維持した状態で定常燃焼させる全一次空気燃焼式バーナにおいて、給気系のごみ詰まり等により空気過剰率の実際値が減少して1に近づいたとき(不良燃焼時)に、これを使用ガス種の発熱量の差に影響されずに正確に検出できるようにする。
【解決手段】空気過剰率を一時的に所定量増加させ、空気過剰率の実際値が設定値に近いとき(正常燃焼時)には、過剰率増加により表面燃焼状態からリフト燃焼状態に移行して、バーナの燃焼面の温度を検出する熱電対の出力が大幅に減少されるようにする。過剰率増加後の熱電対出力が所定の閾値Vs以上であれば、燃焼状態が不良と判断する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強制給気される一次空気と燃料ガスとの混合気を供給する全一次空気燃焼式バーナにおける燃焼状態検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブンゼン式バーナにおいては、バーナ炎に挿入されるように熱電対を配置しておくと、不完全燃焼時にバーナ炎が熱電対の上方にリフトして、熱電対の出力が低下し、これにより不完全燃焼を検出することができる。そのため、従来、熱電対を用いたブンゼンバーナの燃焼状態検出装置は種々知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、強制給気される一次空気と燃料ガスとの混合気を供給する全一次空気燃焼式バーナであって、混合気の一次空気量と理論空気量との比率である空気過剰率を、バーナの燃焼面での表面燃焼が行われるように設定した、「1」より大きな所定の設定値に維持した状態で定常燃焼させるものにおいては、給気系のごみ詰まり等による一次空気の実供給量の減少で空気過剰率λの実際値が設定値より減少すると、混合気の流速が遅くなると共に、過剰空気による冷却作用の減退で燃焼温度が高くなって燃焼速度が速くなり、そのため、空気過剰率λが「1」に近づくのに従って燃焼面の温度が高くなる。そして、λ<1になると不完全燃焼を起こす。従って、原理的には、燃焼面の温度を検出する熱電対等の温度センサを設け、温度センサの出力がλ=1のときの値又はそれより若干低く設定する所定の閾値以上になったときに、燃焼状態が不良であると判断して、燃焼を停止することにより不完全燃焼の発生を未然に防止できる。
【0004】
然し、実際には、燃焼面の温度を検出する温度センサの出力に基づいて燃焼状態を検出することは困難である。その理由は、燃料ガスのガス成分のばらつきによる発熱量の差異でバーナの燃焼面温度が変化するため、燃焼不良を判定するための閾値をうまく設定することができないことにある。例えば、ガスノズル等を交換せずに同一条件で燃焼可能なガス種である13A−1と12A−3とを使用した場合、温度センサたる熱電対の出力(燃焼面温度)の空気過剰率λに対する変化特性は、発熱量の比較的大きな13A−1では図2のa線で示すようになり、発熱量の比較的小さな12A−3では同図のb線で示すようになる。そして、13A−1におけるλ=1のときの熱電対出力に合わせて燃焼不良の判定閾値を設定すると、12A−3ではλ=1になっても熱電対出力が閾値以下になって、燃焼不良と判定されなくなり、一方、12A−3におけるλ=1のときの熱電対出力に合わせて燃焼不良の判定閾値を設定すると、13A−1では空気過剰率の実際値が設定値であっても熱電対出力が閾値以上になって、燃焼不良と誤判定されてしまう。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−94223号公報(段落0014、図1、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の点に鑑み、使用ガス種の発熱量の差に影響されずに燃焼状態を正確に検出できるようにした全一次空気燃焼式バーナにおける燃焼状態検出装置を提供することをその課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、強制給気される一次空気と燃料ガスとの混合気を供給する全一次空気燃焼式バーナの燃焼面の温度を検出する温度センサの出力に基づいて燃焼状態を検出する装置であって、混合気の一次空気量と理論空気量との比率である空気過剰率を、バーナの燃焼面での表面燃焼が行われるように設定した、1より大きな所定の設定値に維持した状態で定常燃焼させるものにおいて、定常燃焼中に空気過剰率を一時的に所定量増加させる過剰率増加手段と、空気過剰率を増加させたときの温度センサの出力に基づいて燃焼状態が良好であるか否かを判別する判別手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
空気過剰率が設定値より増加すると、混合気の流速が速くなると共に、過剰空気による冷却作用で燃焼温度が低くなって燃焼速度が遅くなり、遂には燃焼面からリフトした状態で燃焼するようになる。そして、空気過剰率に対する温度センサの出力(燃焼面温度)の変化率は、燃焼面で表面燃焼する表面燃焼領域では小さいが、リフト状態で燃焼するリフト燃焼領域では大きくなる。
【0009】
ここで、前記所定量を、空気過剰率の実際値が設定値に近い値であれば、所定量の増加でリフト燃焼領域に移行するような値に設定しておくことにより、空気過剰率を所定量増加させたときの温度センサの出力に基づいて燃焼状態が良好であるか否かを使用ガス種の発熱量の差に影響されずに正確に判別できる。
【0010】
即ち、定常燃焼時の空気過剰率の実際値が「1」に近い値まで減少しているとき(不良燃焼時)には、空気過剰率を所定量増加しても表面燃焼領域に留まるか、リフト燃焼領域に若干入る程度のため、温度センサの出力は左程低下せず、一方、定常燃焼時の空気過剰率の実際値が設定値に近い値であるとき(正常燃焼時)には、空気過剰率を所定量増加することでリフト燃焼領域に移行して、温度センサの出力が比較的大きく低下する。そのため、空気過剰率を所定量増加したときの温度センサの出力は、使用ガスの発熱量が比較的小さい場合における不良燃焼時の方が、使用ガスの発熱量が比較的大きい場合における正常燃焼時より高くなる。従って、空気過剰率を所定量増加させたときの温度センサの出力に基づく判別閾値を、使用ガスの発熱量が比較的小さい場合における不良燃焼時の出力より低く、使用ガスの発熱量が比較的大きい場合における正常燃焼時の出力より高くなるように設定しておけば、空気過剰率を所定量増加させたときの温度センサの出力が閾値以上であるか否かで、燃焼状態が不良であるか否かを使用ガス種の発熱量の差に影響されずに正確に判別することができる。
【0011】
また、空気過剰率を所定量増加させる前と後とでの温度センサの出力の変化量は、正常燃焼時には空気過剰率の増加で表面燃焼領域からリフト燃焼領域に移行するため大きくなり、不良燃焼時には空気過剰率を増加しても表面燃焼領域に留まるか、リフト燃焼領域に若干入る程度のため小さくなる。従って、空気過剰率を所定量増加させる前と後とでの熱電対の出力の変化量が所定の閾値以下であるときに燃焼状態が不良であると判別することも可能である。
【0012】
尚、後記する実施形態において、上記過剰率増加手段に相当するのは、図3のS2及び図4のS13のステップであり、上記判別手段に相当するのは、図3のS4及び図4のS16のステップである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1は全一次空気燃焼式のバーナであり、通気性を有する燃焼板で構成される燃焼面2を備える。尚、燃焼板は、セラミック繊維等の耐火物繊維をフェルト状に積層したものや耐火物多孔体で構成される。
【0014】
バーナ1には、ファン3に連なる給気通路4が接続されており、この給気通路4の途中にガスノズル5を装着している。かくして、ファン3により強制給気される一次空気とガスノズル5から噴出される燃料ガスとの混合気がバーナ1に供給される。
【0015】
ガスノズル5に連なるガス供給路6には、電磁比例弁7が介設されている。そして、ファン3の回転数と電磁比例弁7の開度とをコントローラ8により制御し、バーナ1に供給する混合気の空気過剰率λ (一次空気量/燃料ガス量に対応する理論空気量)を燃焼面2での表面燃焼が行われるように設定した、「1」より大きな所定の設定値λs(例えば、1.3)に維持した状態で定常燃焼させるようにしている。尚、設定値λsを「1」より大きな値に設定するのは、ファン3の吸込み口や給気通路4やバーナ1内に少量の塵埃が堆積して一次空気量が減少しても、空気過剰率λが「1」以上に維持されて、不完全燃焼の発生が防止されるように、余裕代を持たせるためである。
【0016】
また、燃焼面2の温度を検出するために、燃焼面2に接するように温度センサたる熱電対9を設け、熱電対9の出力(熱起電力)に基づき、コントローラ8による燃焼状態の検出処理を行うようにしている。以下、この検出処理について説明する。
【0017】
先ず、空気過剰率λに対する熱電対9の出力の変化特性について、図2を参照して説明する。図2のa線は燃料ガスとして13A−1を使用した場合の変化特性、b線は12A−3を使用した場合の変化特性を示している。13A−1と12A−3はガスノズル5等を交換せずに同一の条件で使用できるガス種であるが、12A−3は、発熱量が13A−1より低く、熱電対9の出力も13A−1に比し全体的に低くなっている。また、13A−1と12A−3とで一次空気の供給量に差は付けておらず、この供給量を13A−1での空気過剰率λが設定値λsになるように制御すると、理論空気量が13A−1より少ない12A−3での空気過剰率λの設定値は、λsより若干大きなλs´になる。
【0018】
使用ガス種が13A−1と12A−3の何れであっても、ファン3の吸込み口のごみ詰まり等による一次空気の実供給量の減少で、空気過剰率λの実際値が設定値λs,λs´より減少して「1」に近づくのに従って燃焼面の温度が高くなり、熱電対9の出力も増加する。これは、空気過剰率λの減少で混合気の流速が遅くなると共に、過剰空気による冷却作用の減退で燃焼温度が高くなって燃焼速度が速くなるためである。一方、空気過剰率λを増加させると、混合気の流速が速くなると共に、過剰空気による冷却作用で燃焼温度が低くなって燃焼速度が遅くなり、空気過剰率λが設定値λs,λs´を若干上回ったところでバーナ1の燃焼面2からリフトした状態で燃焼し始める。そして、空気過剰率λに対する熱電対9の出力の変化率は、表面燃焼が行われる領域(以下、表面燃焼領域と記す)では小さいが、リフト状態での燃焼が行われる領域(以下、リフト燃焼領域と記す)では大きくなる。
【0019】
そこで、本実施形態では、空気過剰率λを定常燃焼中に一時的に設定値λs,λs´から所定量Δλだけ増加させ、このときの熱電対9の出力に基づいて燃焼状態が不良であるか否かを判別している。前記所定量Δλは、定常燃焼時の空気過剰率λの実際値が設定値λs,λs´に近い値のとき(正常燃焼時)には、増加後の空気過剰率がリフト燃焼領域に入り、空気過剰率λの実際値が「1」に近い値のとき(不良燃焼時)には、増加後の空気過剰率が表面燃焼領域に留まるような値に設定されている。
【0020】
空気過剰率を上記の如く増加すると、熱電対9の出力と空気過剰率との関係を示す図2上の特性点は、使用ガス種が13A−1である場合、正常燃焼時にはA1からA1´、不良燃焼時には同図のA2からA2´に変化し、使用ガス種が12A−3である場合、正常燃焼時には同図のB1からB1´、不良燃焼時には同図のB2からB2´に変化する。そして、空気過剰率増加後の熱電対9の出力は、使用ガス種が13A−1である場合の正常燃焼時における値(A1´での熱電対出力値)よりも使用ガス種が12A−3である場合の不良燃焼時における値(B2´での熱電対出力値)の方が大きくなる。従って、熱電対9の出力に基づく閾値Vsを、A1´での出力値より大きく、且つ、B2´での出力値より小さくなるように設定しておけば、空気過剰率λを所定量Δλだけ増加させたときの熱電対9の出力が閾値Vs以上であるか否かで、燃焼状態が不良であるか否かを使用ガス種の発熱量の差に影響されずに正確に判別することができる。
【0021】
コントローラ8が行う燃焼状態検出処理の具体的内容は、図3に示す通りであり、所定の設定時間(例えば、10分)が経過する度に(S1)、一時的に空気過剰率λを所定量Δλだけ増加する(S2)。尚、空気過剰率λの増加は、電磁比例弁7の開度減少による燃料ガスの減量またはファン3の回転数増加による一次空気の増量で行う。そして、空気過剰率λを増加した後の熱電対9の出力Vを読み込み(S3)、この出力Vが閾値Vs以上であるか否かを判別する(S4)。V≧Vsであれば、燃焼状態が不良であると判断してその旨を表示すると共に(S5)、バーナ1の燃焼を停止する(S6)。これにより、使用ガス種が13A−1と12A−3との何れであっても、空気過剰率λが「1」未満になって不完全燃焼を生ずることを未然に防止できる。
【0022】
ところで、空気過剰率λを上記所定量Δλだけ増加させる前と後とでの熱電対9の出力の変化量は、正常燃焼時には空気過剰率λの増加で表面燃焼領域からリフト燃焼領域に移行するため大きくなり、不良燃焼時には空気過剰率λを増加しても表面燃焼領域に留まるため小さくなる。従って、空気過剰率λを増加させる前と後とでの熱電対9の出力の変化量ΔVが所定の閾値ΔVs以下であるときに燃焼状態が不良であると判別することも可能である。
【0023】
即ち、図4に示す如く、所定の設定時間が経過 する度に(S11)、その時点での熱電対9の出力Vbfを読み込んで記憶させ(S12)、次に、空気過剰率λを所定量Δλだけ一時的に増加する(S13)。そして、空気過剰率λを増加した後の熱電対9の出力Vafを読み込み(S14)、空気過剰率λを増加させる前と後とでの熱電対9の出力の変化量ΔV(=Vbf−Vaf)を算出する(S15)。次に、熱電対9の出力の変化量ΔVが閾値ΔVs以下であるか否かを判別し (S16)、ΔV≦ΔVsであれば、燃焼状態が不良であると判断してその旨を表示すると共に(S17)、バーナ1の燃焼を停止する(S18)。これにより、使用ガス種が13A−1と12A−3との何れであっても、空気過剰率λがλ<1になって不完全燃焼を生ずることを未然に防止できる。
【0024】
尚、上記所定量Δλは、空気過剰率の実際値が「1」近傍になる燃焼不良時に、所定量Δλの増加で空気過剰率が表面燃焼領域を超えてリフト燃焼領域に若干入るような値に設定しても良い。
【0025】
また、上記実施形態では、燃焼面2の温度を熱電対9で検出しているが、熱電対9以外の他の温度センサで燃焼面2の温度を検出するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成図。
【図2】空気過剰率に対する熱電対の出力の変化特性を示すグラフ。
【図3】燃焼状態の検出処理の第1実施形態を示すフロー図。
【図4】燃焼状態の検出処理の第2実施形態を示すフロー図。
【符号の説明】
1…全一次空気燃焼式バーナ、2…燃焼面、3…一次空気供給用のファン、7…燃料ガス用の電磁比例弁、8…コントローラ、9…熱電対(温度センサ)

Claims (3)

  1. 強制給気される一次空気と燃料ガスとの混合気を供給する全一次空気燃焼式バーナの燃焼面の温度を検出する温度センサの出力に基づいて燃焼状態を検出する装置であって、混合気の一次空気量と理論空気量との比率である空気過剰率を、バーナの燃焼面での表面燃焼が行われるように設定した、1より大きな所定の設定値に維持した状態で定常燃焼させるものにおいて、
    定常燃焼中に空気過剰率を一時的に所定量増加させる過剰率増加手段と、
    空気過剰率を所定量増加させたときの温度センサの出力に基づいて燃焼状態が良好であるか否かを判別する判別手段とを備えることを特徴とする全一次空気燃焼式バーナにおける燃焼状態検出装置。
  2. 判別手段は、空気過剰率を所定量増加させたときの温度センサの出力が所定の閾値以上であるときに燃焼状態が不良であると判別するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の全一次空気燃焼式バーナにおける燃焼状態検出装置。
  3. 判別手段は、空気過剰率を所定量増加させる前と後とでの温度センサの出力の変化量が所定の閾値以下であるときに燃焼状態が不良であると判別するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の全一次空気燃焼式バーナにおける燃焼状態検出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012127644A (ja) * 2010-12-16 2012-07-05 Siemens Ag バーナー装置に対する制御装置
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