JP2004353940A - 携帯用輻射加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】輻射熱による採暖、加熱を可能にし、安全、小型かつ軽量で携帯に適する携帯用輻射加熱装置を提供する。
【解決手段】繊維径8〜25μmの非晶質Si−C−M−O系のセラミック無機長繊維を空隙率60〜98%となるように積層したバーナエレメントを有するバーナ本体、該バーナ本体に予混合気を送給するベンチュリー混合管、及び該ベンチュリー混合管に接続されるとともに燃料缶に直接又は圧力調整装置を介して接続される燃料ガス調整手段、とからなり、前記燃料ガス調整手段の操作により燃料缶から供給される燃料ガスと前記ベンチュリー混合管に設けた空気孔から吸引される空気からほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気に調整して前記バーナ本体のバーナエレメントにおいて隙間・表面燃焼を行わしめる。
【選択図】 図2
【解決手段】繊維径8〜25μmの非晶質Si−C−M−O系のセラミック無機長繊維を空隙率60〜98%となるように積層したバーナエレメントを有するバーナ本体、該バーナ本体に予混合気を送給するベンチュリー混合管、及び該ベンチュリー混合管に接続されるとともに燃料缶に直接又は圧力調整装置を介して接続される燃料ガス調整手段、とからなり、前記燃料ガス調整手段の操作により燃料缶から供給される燃料ガスと前記ベンチュリー混合管に設けた空気孔から吸引される空気からほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気に調整して前記バーナ本体のバーナエレメントにおいて隙間・表面燃焼を行わしめる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、隙間・表面燃焼バーナを利用した携帯用輻射加熱装置に係り、特に携帯用採暖器に利用し得る携帯用輻射加熱装置に関する。本発明にいう、隙間・表面燃焼とは、ほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気が主としてバーナエレメントの表面直下の隙間において燃焼するが、一部の予混合気(全予混合気の10%以下)がバーナエレメント表面において二次空気とともに燃焼するものをいう。
【0002】
【従来の技術】
従来より携帯用の採暖手段として懐炉があり、また、その変形としてゲル状のアルコール等を燃焼缶内で燃焼させて暖を取る携帯用採暖器もある。しかし、これらの採暖器は発熱量が小さく、また熱伝導加熱によるため、加温はごく局部的にしか行われない。これらとは別に、小型の燃料缶から供給される燃料ガスをバーナで燃焼させ、その燃焼エネルギーを対流熱として利用するとともにバーナ背面に熱反射板を設けて輻射熱を併せ利用する携帯用採暖器も使用されている。しかし、このタイプの携帯用採暖器は、輻射熱の利用率が比較的小さく熱効率が低い上に熱反射板が大きいので携帯に不便である。さらに、屋外の使用では雨風によって消火されやすく、利便性、安全性に劣る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みなされたもので、主として輻射熱による採暖、加熱を可能にし、安全、小型かつ軽量で携帯に適し、使用時に雨風によって消火され難い携帯用輻射加熱装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る携帯用輻射加熱装置は、繊維径8〜25μmの非晶質Si−C−M−O系セラミック無機長繊維を空隙率60〜98%となるように積層したバーナエレメントを有するバーナ本体、該バーナ本体に予混合気を送給するベンチュリー混合管、及び該ベンチュリー混合管に接続されるとともに燃料缶に直接又は圧力調整装置を介して接続される燃料ガス調整手段、とからなり、前記燃料ガス調整手段の操作により燃料缶から供給される燃料ガスと前記ベンチュリー混合管に設けた空気孔から吸引される空気からほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気に調整して前記バーナ本体のバーナエレメントにおいて隙間・表面燃焼を行わしめるようにしてなる。ここにSiーCーMーO系セラミック無機長繊維の組成中のMは、安定な酸化物、炭化物、珪化物を形成するアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価金属、遷移金属、貴金属、稀土類金属、アクチナイド金属から選ばれる1又は2以上の金属元素である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例である携帯用輻射加熱装置1が燃料缶110に取り付けられた状態を示す正面図である。本例では、本発明の携帯用輻射加熱装置1は、バーナ本体2と、ベンチュリー混合管7と、燃料ガス調整手段100からなる。そして、バーナ本体2を構成するバーナエレメント10において予混合気が隙間・表面燃焼できるようにするため、燃料缶110から供給される燃料ガスが燃料ガス調整手段100で絞られ、ベンチュリー混合管7に送りこまれ、ここでほぼ理論燃焼酸素を含む予混合とされて前記バーナ本体2に送り込まれるようになっている。
【0006】
本発明では、バーナ本体2を構成するバーナエレメント10において予混合気が隙間・表面燃焼できるようにする。そのため、バーナエレメントして、繊維径8〜25μの非晶質Si−C−M−O系(Mは、安定な酸化物、炭化物、珪化物を形成するアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価金属、遷移金属、貴金属、稀土類金属、アクチナイド金属から選ばれる1又は2以上の金属元素)のセラミックス無機長繊維(以下セラミック繊維という)を積層して空隙率60〜98%の厚さ1〜20mmのマット状にしたものを用いる。
【0007】
このようなセラミック繊維としては、例えば宇部興産製のチラノ(商標)繊維を利用することができ、熱伝導率が3W/mK以下、比熱が約0.7J/gK、比重が約2.5g/cm3、繊維径8〜25μの連続繊維であり、熱伝導性が低く、高温での引張強度、耐酸化性に優れるため、昇温/降温速度の大きい隙間・表面燃焼に適している。このマット状バーナエレメント10は、例えばセラミック繊維を編み込むことによって、また、セラミック繊維を所定の気流中で堆積させることによって形成することができ、バーナケース3内に保持される。
【0008】
バーナケース3は、一方に開口面を有する箱状又は筒状体で構成され、多数の小孔5を有する多孔板4により開口面側と閉塞面側とに仕切られている。その多孔板4上、バーナケースの開口面側には前記マット状バーナエレメント10が配設され、多孔板4とバーナケース3の縁部とで挟み込まれて保持される。一方、バーナケース3の閉塞面と多孔板4とで囲まれた空間は給気室6となり、該給気室6には、バーナケース2の底面又は側面に設けたベンチュリー混合管7のガス出口が開口し、全体としてバーナ本体2を形作っている。なお、多孔板4としては、市販のパンチングメタルやエキスパンドメタルが利用できる。また、市販の金網でもよい。例えば、目開き寸法2〜6mm、線形0.5〜0.8mmの金網が使用できる。
【0009】
ベンチュリー混合管7は、上記バーナ本体2と後述する燃料ガス調整手段100の間にあって、燃料缶110から供給される燃料ガスを受け入れて、これを空気と混ぜて理論燃焼酸素を含む予混合気とし、前記バーナ本体2に供給する機能を有する。その構造は、公知のように燃料ガス噴出口と空気吸入口8を有すれば足り、燃料ガスの入側端部9において燃料ガス調整手段100に着脱自在にはめ込まれるようになっている。
【0010】
燃料ガス調整手段100は、燃料缶110から流出するガスを上記ベンチュリー混合管7に送給されるガスを遮断し、あるいは流量、流速を調整してベンチュリー混合管7において理論燃焼酸素を含む予混合気が形成されるようにするものである。公知のニードルバルブを利用することができる。この燃料ガス調整手段100は燃料缶110に着脱自在に接続され、接続された状態でノズル102が燃料缶110に押し込まれた状態になり、ガスが燃料缶110から流出するのを可能にする。したがって、燃料ガス調整手段100のノブ101を操作することによって流路を開閉し、また所要流量の燃料ガスをベンチュリー混合管7に供給することができる。なお、燃料ガス調整手段100としては、ニードルバルブのほか燃料缶110に充填されたブタン燃料等を所要流量の燃料ガスに調整できるものを自由に利用でき、また、燃料ガス調整手段100と燃料缶110との間に圧力調整装置を設けることができる。
【0011】
本発明の携帯用輻射加熱装置1は、上記のように構成されているから、ニードルバルブのノブ101の操作により燃料ガス流量を調整するとベンチュリー混合管7に設けた空気穴8から空気がベンチュリー混合管7内に吸引され、ほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気が生成される。その予混合気が給気室6に導入されて多孔板の小孔5を通じてバーナエレメント10に供給され、バーナエレメント10において隙間・表面燃焼が行われる。
【0012】
実際にこの携帯用輻射加熱装置1を使用するに当たっては、まず燃料ガス調整手段100を調整して燃料ガスをわずかに流しながら着火する。ついで燃料ガスの流量を増大させ、それによってベンチュリー混合管7の空気穴8からの吸入空気量を増大させ、燃料ガスと空気との混合気をほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気になるようにする。それにより、燃料ガスがバーナエレメント10の表面直下で隙間・表面燃焼するようになり、燃焼エネルギーは、主として輻射エネルギーに転換され、その放出によって広範囲を加熱することができるようになる。また、雨風等によって消火されにくく安定した加熱を行うことができる。
【0013】
上記の携帯用輻射加熱装置1において、バーナケース3のサイズは、縦×横寸法が20〜150mm×20〜150mm又は直径が20〜150mmであるのがよい。20mm未満であると、採暖器として使用するには熱出力が足りないからである。150mmを超えると携帯に不便になるからである。なお、縦×横寸法が70〜80mm×70〜80mm又は直径が70〜80mmであるのがより好ましい。
【0014】
また、バーナエレメント10の熱出力は、1.5〜3.0kWであるのがよい。1.5kW未満であると、採暖器として使用するには熱出力が足りないからである。3.0kWを超えると、空気吸引時のベンチュリー混合管からの振動音が大きくなり、また、バーナエレメント10がバーナケース3から離脱するおそれを生じるからである。なお、バーナエレメント10の熱出力は1.7〜2.4kWであるのがより好ましい。
【0015】
さらに、図3に示すように、バーナエレメント10表面を覆う格子あるいは網目状の輻射グリッド20を配設することもできる。これにより燃焼効率を一層向上させることができ、また、輻射グリッド20がバーナエレメント10のガード部材となり安全性が向上する。
【0016】
なお、図3に示すように、アルミナ綿15を介してバーナエレメント10をバーナケース3と多孔板4とで挟み込むように保持することができ、それにより燃焼熱のバーナケース3への散逸を少なくすることができる。また、予混合気着火用のイグナイター30を設ければ便宜である。さらに、図1に示すようにバーナケース3の開口面を塞ぐ扉130を設け、バーナエレメント10を覆うようにすることもできる。これにより携帯用輻射加熱装置1の収納及び持ち運びが便宜になる。
【0017】
以上、本携帯用輻射加熱装置を携帯用採暖器として利用する場合について説明した。しかしながら、本携帯用輻射加熱装置は、安全、小型かつ軽量で携帯に適し、雨風によって消火され難いという特長をもつ。したがって、例えば、屋外で使用する調理こんろとして利用することもでき、例えば焼き肉、焼き魚用のこんろとして利用することができる。
【0018】
【実施例1】
外形が150×100×20mmの六面体形状のバーナ本体2を作成した。バーナケース3は厚さ1mmのアルミ板から作成した。バーナエレメント10は、10μのチラノ連続繊維から作成し、150mm×100mm×6mmのマット状で空隙率が95%であった。多孔板4は、市販のパンチングメタル板を使用した。燃料ガス調整手段100は、市販のニードルバルブを用いた。本携帯用輻射加熱装置1の全体重量は300gであった。
【0019】
この携帯用輻射加熱装置1に液化ブタンガスを充填した市販の小型燃料缶110を接続し燃焼試験を行った。燃焼試験時の周囲温度は15℃であった。燃焼試験結果によると、本携帯用輻射加熱装置1の燃焼出力は連続して3kWあり、熱輻射角度は140°であった。また、バーナエレメント表面上に見られる小さな火炎が風速5mの風に立ち消えることはなかった。
【0020】
【実施例2】
上記構成の携帯用輻射加熱装置に、目開き寸法2〜6mm、線径0.5〜0.8mmの市販の金網からなる輻射グリッド20をバーナエレメント表面から5mm離れてバーナエレメント10を覆うように設けた場合、熱出力は20%向上した。また、実施例1の携帯用輻射加熱装置を用い、JIS S2147(カセットこんろ)に規定する温度上昇試験に準じた加熱試験を行った。試験用なべは、その底がバーナエレメント表面から10mm離れた状態で試験をした。この場合の熱効率は50%であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係る携帯用輻射加熱装置は、高燃焼負荷、高熱効率で輻射熱加熱により暖を取ることができ、燃料ガスの着火後直ちに身体全体を十分に暖めることができる。小型、軽量で持ち運びが容易で携帯性に優れ、雨風によって立ち消えることもなく安全に使用できる。また、採暖のみならず、簡便な加熱装置としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る携帯用輻射加熱装置使用時の正面図である。
【図2】バーナ本体・ベンチュリー混合管の正面図とその断面図である。
【図3】他の実施例のバーナ本体・ベンチュリー混合管の断面図である。
【符号の説明】
1:携帯用輻射加熱装置
2:バーナ本体
3:バーナケース
4:多孔板
5:小孔
6:給気室
7:ベンチュリー混合管
8:空気穴
9:端部
10:バーナエレメント
15:アルミナ綿
20:輻射グリッド
30:イグナイター
100:燃料ガス調整手段
101:ノブ
102:ノズル
110:燃料缶
【発明の属する技術分野】
本発明は、隙間・表面燃焼バーナを利用した携帯用輻射加熱装置に係り、特に携帯用採暖器に利用し得る携帯用輻射加熱装置に関する。本発明にいう、隙間・表面燃焼とは、ほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気が主としてバーナエレメントの表面直下の隙間において燃焼するが、一部の予混合気(全予混合気の10%以下)がバーナエレメント表面において二次空気とともに燃焼するものをいう。
【0002】
【従来の技術】
従来より携帯用の採暖手段として懐炉があり、また、その変形としてゲル状のアルコール等を燃焼缶内で燃焼させて暖を取る携帯用採暖器もある。しかし、これらの採暖器は発熱量が小さく、また熱伝導加熱によるため、加温はごく局部的にしか行われない。これらとは別に、小型の燃料缶から供給される燃料ガスをバーナで燃焼させ、その燃焼エネルギーを対流熱として利用するとともにバーナ背面に熱反射板を設けて輻射熱を併せ利用する携帯用採暖器も使用されている。しかし、このタイプの携帯用採暖器は、輻射熱の利用率が比較的小さく熱効率が低い上に熱反射板が大きいので携帯に不便である。さらに、屋外の使用では雨風によって消火されやすく、利便性、安全性に劣る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みなされたもので、主として輻射熱による採暖、加熱を可能にし、安全、小型かつ軽量で携帯に適し、使用時に雨風によって消火され難い携帯用輻射加熱装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る携帯用輻射加熱装置は、繊維径8〜25μmの非晶質Si−C−M−O系セラミック無機長繊維を空隙率60〜98%となるように積層したバーナエレメントを有するバーナ本体、該バーナ本体に予混合気を送給するベンチュリー混合管、及び該ベンチュリー混合管に接続されるとともに燃料缶に直接又は圧力調整装置を介して接続される燃料ガス調整手段、とからなり、前記燃料ガス調整手段の操作により燃料缶から供給される燃料ガスと前記ベンチュリー混合管に設けた空気孔から吸引される空気からほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気に調整して前記バーナ本体のバーナエレメントにおいて隙間・表面燃焼を行わしめるようにしてなる。ここにSiーCーMーO系セラミック無機長繊維の組成中のMは、安定な酸化物、炭化物、珪化物を形成するアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価金属、遷移金属、貴金属、稀土類金属、アクチナイド金属から選ばれる1又は2以上の金属元素である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例である携帯用輻射加熱装置1が燃料缶110に取り付けられた状態を示す正面図である。本例では、本発明の携帯用輻射加熱装置1は、バーナ本体2と、ベンチュリー混合管7と、燃料ガス調整手段100からなる。そして、バーナ本体2を構成するバーナエレメント10において予混合気が隙間・表面燃焼できるようにするため、燃料缶110から供給される燃料ガスが燃料ガス調整手段100で絞られ、ベンチュリー混合管7に送りこまれ、ここでほぼ理論燃焼酸素を含む予混合とされて前記バーナ本体2に送り込まれるようになっている。
【0006】
本発明では、バーナ本体2を構成するバーナエレメント10において予混合気が隙間・表面燃焼できるようにする。そのため、バーナエレメントして、繊維径8〜25μの非晶質Si−C−M−O系(Mは、安定な酸化物、炭化物、珪化物を形成するアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価金属、遷移金属、貴金属、稀土類金属、アクチナイド金属から選ばれる1又は2以上の金属元素)のセラミックス無機長繊維(以下セラミック繊維という)を積層して空隙率60〜98%の厚さ1〜20mmのマット状にしたものを用いる。
【0007】
このようなセラミック繊維としては、例えば宇部興産製のチラノ(商標)繊維を利用することができ、熱伝導率が3W/mK以下、比熱が約0.7J/gK、比重が約2.5g/cm3、繊維径8〜25μの連続繊維であり、熱伝導性が低く、高温での引張強度、耐酸化性に優れるため、昇温/降温速度の大きい隙間・表面燃焼に適している。このマット状バーナエレメント10は、例えばセラミック繊維を編み込むことによって、また、セラミック繊維を所定の気流中で堆積させることによって形成することができ、バーナケース3内に保持される。
【0008】
バーナケース3は、一方に開口面を有する箱状又は筒状体で構成され、多数の小孔5を有する多孔板4により開口面側と閉塞面側とに仕切られている。その多孔板4上、バーナケースの開口面側には前記マット状バーナエレメント10が配設され、多孔板4とバーナケース3の縁部とで挟み込まれて保持される。一方、バーナケース3の閉塞面と多孔板4とで囲まれた空間は給気室6となり、該給気室6には、バーナケース2の底面又は側面に設けたベンチュリー混合管7のガス出口が開口し、全体としてバーナ本体2を形作っている。なお、多孔板4としては、市販のパンチングメタルやエキスパンドメタルが利用できる。また、市販の金網でもよい。例えば、目開き寸法2〜6mm、線形0.5〜0.8mmの金網が使用できる。
【0009】
ベンチュリー混合管7は、上記バーナ本体2と後述する燃料ガス調整手段100の間にあって、燃料缶110から供給される燃料ガスを受け入れて、これを空気と混ぜて理論燃焼酸素を含む予混合気とし、前記バーナ本体2に供給する機能を有する。その構造は、公知のように燃料ガス噴出口と空気吸入口8を有すれば足り、燃料ガスの入側端部9において燃料ガス調整手段100に着脱自在にはめ込まれるようになっている。
【0010】
燃料ガス調整手段100は、燃料缶110から流出するガスを上記ベンチュリー混合管7に送給されるガスを遮断し、あるいは流量、流速を調整してベンチュリー混合管7において理論燃焼酸素を含む予混合気が形成されるようにするものである。公知のニードルバルブを利用することができる。この燃料ガス調整手段100は燃料缶110に着脱自在に接続され、接続された状態でノズル102が燃料缶110に押し込まれた状態になり、ガスが燃料缶110から流出するのを可能にする。したがって、燃料ガス調整手段100のノブ101を操作することによって流路を開閉し、また所要流量の燃料ガスをベンチュリー混合管7に供給することができる。なお、燃料ガス調整手段100としては、ニードルバルブのほか燃料缶110に充填されたブタン燃料等を所要流量の燃料ガスに調整できるものを自由に利用でき、また、燃料ガス調整手段100と燃料缶110との間に圧力調整装置を設けることができる。
【0011】
本発明の携帯用輻射加熱装置1は、上記のように構成されているから、ニードルバルブのノブ101の操作により燃料ガス流量を調整するとベンチュリー混合管7に設けた空気穴8から空気がベンチュリー混合管7内に吸引され、ほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気が生成される。その予混合気が給気室6に導入されて多孔板の小孔5を通じてバーナエレメント10に供給され、バーナエレメント10において隙間・表面燃焼が行われる。
【0012】
実際にこの携帯用輻射加熱装置1を使用するに当たっては、まず燃料ガス調整手段100を調整して燃料ガスをわずかに流しながら着火する。ついで燃料ガスの流量を増大させ、それによってベンチュリー混合管7の空気穴8からの吸入空気量を増大させ、燃料ガスと空気との混合気をほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気になるようにする。それにより、燃料ガスがバーナエレメント10の表面直下で隙間・表面燃焼するようになり、燃焼エネルギーは、主として輻射エネルギーに転換され、その放出によって広範囲を加熱することができるようになる。また、雨風等によって消火されにくく安定した加熱を行うことができる。
【0013】
上記の携帯用輻射加熱装置1において、バーナケース3のサイズは、縦×横寸法が20〜150mm×20〜150mm又は直径が20〜150mmであるのがよい。20mm未満であると、採暖器として使用するには熱出力が足りないからである。150mmを超えると携帯に不便になるからである。なお、縦×横寸法が70〜80mm×70〜80mm又は直径が70〜80mmであるのがより好ましい。
【0014】
また、バーナエレメント10の熱出力は、1.5〜3.0kWであるのがよい。1.5kW未満であると、採暖器として使用するには熱出力が足りないからである。3.0kWを超えると、空気吸引時のベンチュリー混合管からの振動音が大きくなり、また、バーナエレメント10がバーナケース3から離脱するおそれを生じるからである。なお、バーナエレメント10の熱出力は1.7〜2.4kWであるのがより好ましい。
【0015】
さらに、図3に示すように、バーナエレメント10表面を覆う格子あるいは網目状の輻射グリッド20を配設することもできる。これにより燃焼効率を一層向上させることができ、また、輻射グリッド20がバーナエレメント10のガード部材となり安全性が向上する。
【0016】
なお、図3に示すように、アルミナ綿15を介してバーナエレメント10をバーナケース3と多孔板4とで挟み込むように保持することができ、それにより燃焼熱のバーナケース3への散逸を少なくすることができる。また、予混合気着火用のイグナイター30を設ければ便宜である。さらに、図1に示すようにバーナケース3の開口面を塞ぐ扉130を設け、バーナエレメント10を覆うようにすることもできる。これにより携帯用輻射加熱装置1の収納及び持ち運びが便宜になる。
【0017】
以上、本携帯用輻射加熱装置を携帯用採暖器として利用する場合について説明した。しかしながら、本携帯用輻射加熱装置は、安全、小型かつ軽量で携帯に適し、雨風によって消火され難いという特長をもつ。したがって、例えば、屋外で使用する調理こんろとして利用することもでき、例えば焼き肉、焼き魚用のこんろとして利用することができる。
【0018】
【実施例1】
外形が150×100×20mmの六面体形状のバーナ本体2を作成した。バーナケース3は厚さ1mmのアルミ板から作成した。バーナエレメント10は、10μのチラノ連続繊維から作成し、150mm×100mm×6mmのマット状で空隙率が95%であった。多孔板4は、市販のパンチングメタル板を使用した。燃料ガス調整手段100は、市販のニードルバルブを用いた。本携帯用輻射加熱装置1の全体重量は300gであった。
【0019】
この携帯用輻射加熱装置1に液化ブタンガスを充填した市販の小型燃料缶110を接続し燃焼試験を行った。燃焼試験時の周囲温度は15℃であった。燃焼試験結果によると、本携帯用輻射加熱装置1の燃焼出力は連続して3kWあり、熱輻射角度は140°であった。また、バーナエレメント表面上に見られる小さな火炎が風速5mの風に立ち消えることはなかった。
【0020】
【実施例2】
上記構成の携帯用輻射加熱装置に、目開き寸法2〜6mm、線径0.5〜0.8mmの市販の金網からなる輻射グリッド20をバーナエレメント表面から5mm離れてバーナエレメント10を覆うように設けた場合、熱出力は20%向上した。また、実施例1の携帯用輻射加熱装置を用い、JIS S2147(カセットこんろ)に規定する温度上昇試験に準じた加熱試験を行った。試験用なべは、その底がバーナエレメント表面から10mm離れた状態で試験をした。この場合の熱効率は50%であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係る携帯用輻射加熱装置は、高燃焼負荷、高熱効率で輻射熱加熱により暖を取ることができ、燃料ガスの着火後直ちに身体全体を十分に暖めることができる。小型、軽量で持ち運びが容易で携帯性に優れ、雨風によって立ち消えることもなく安全に使用できる。また、採暖のみならず、簡便な加熱装置としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る携帯用輻射加熱装置使用時の正面図である。
【図2】バーナ本体・ベンチュリー混合管の正面図とその断面図である。
【図3】他の実施例のバーナ本体・ベンチュリー混合管の断面図である。
【符号の説明】
1:携帯用輻射加熱装置
2:バーナ本体
3:バーナケース
4:多孔板
5:小孔
6:給気室
7:ベンチュリー混合管
8:空気穴
9:端部
10:バーナエレメント
15:アルミナ綿
20:輻射グリッド
30:イグナイター
100:燃料ガス調整手段
101:ノブ
102:ノズル
110:燃料缶
Claims (1)
- 繊維径8〜25μmの非晶質Si−C−M−O系セラミック無機長繊維を空隙率60〜98%となるように積層したバーナエレメントを有するバーナ本体、該バーナ本体に予混合気を送給するベンチュリー混合管、及び該ベンチュリー混合管に接続されるとともに燃料缶に直接又は圧力調整装置を介して接続される燃料ガス調整手段、とからなり、
前記燃料ガス調整手段の操作により燃料缶から供給される燃料ガスと前記ベンチュリー混合管に設けた空気孔から吸引される空気からほぼ理論燃焼酸素を含む予混合気に調整して前記バーナ本体のバーナエレメントにおいて隙間・表面燃焼を行わしめるようにしてなる携帯用輻射加熱装置。
ここにSiーCーMーO系セラミック無機長繊維の組成中のMは、安定な酸化物、炭化物、珪化物を形成するアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価金属、遷移金属、貴金属、稀土類金属、アクチナイド金属から選ばれる1又は2以上の金属元素である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003151531A JP2004353940A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 携帯用輻射加熱装置 |
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2003
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