JP2004353231A - 加圧ドアの開閉装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加圧室を開閉する加圧ドアの開閉装置において、加圧ドアと共に回動する油圧式ロータリアクチュエータ11と、このロータリアクチュエータ11に給排される作動油(作動液)を導く閉回路21と、この閉回路21を流れる作動油に抵抗を付与する絞り22と、この絞り22を迂回してロータリアクチュエータ11に給排される作動油を導くバイパス通路23と、このバイパス通路23を開閉する止め弁24とを備え、このロータリアクチュエータ11が加圧ドア5に付与するトルクによって加圧ドア5の開閉速度を調節する構成とした。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば船舶の加圧室(CPS)に設けられる加圧ドアの開閉装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の加圧ドアは、加圧室の圧力によって大きな荷重を受けるため、加圧ドアを開くときにクリートを外すと加圧ドアが急激に開く可能性があった。
【0003】
これに対処して加圧ドアに油圧式ダンパを設けることが考えられる(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−020853号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の油圧ダンパはドアに付与するトルクを任意に切り換えられないため、加圧ドアの開閉操作を円滑に行えないという問題点があった。つまり、加圧ドアはある程度開くと、加圧室の圧力を受けなくなるため、油圧ダンパはドアに付与するトルクを解除する必要があった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、加圧ドアの開閉を円滑に行える開閉装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、加圧室を開閉する加圧ドアの開閉装置に適用する。
【0008】
そして、加圧ドアと共に回動するロータリアクチュエータと、このロータリアクチュエータに給排される作動液を導く閉回路と、この閉回路を流れる作動液にに抵抗を付与する絞りと、この絞りを迂回してロータリアクチュエータに給排される作動液を導くバイパス通路と、このバイパス通路を開閉する止め弁とを備え、このロータリアクチュエータが加圧ドアに付与するトルクによって加圧ドアの開閉速度を調節する構成としたことを特徴とするものとした。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、閉回路にチェック弁を介してアキュムレータを接続したことを特徴とするものとした。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、止め弁を開位置と閉位置にそれぞれ保持するデテント機構と、止め弁を閉じる位置に付勢するスプリングとを備え、スプリングの付勢力をデテント機構の保持力よりも小さく設定したことを特徴とするものとした。
【0011】
【発明の作用および効果】
第1の発明によると、加圧ドアは加圧室の圧力を受けて急激に開こうとするが、ロータリアクチュエータから閉回路を通して流れる作動油に絞りが抵抗を付与することにより、加圧ドアはロータリアクチュエータのトルクに抗してゆっくり開く。こうしてロータリアクチュエータによって加圧ドアの作動速度が調節されるため、加圧ドアの開閉を安全に行うことができる。
【0012】
加圧ドアはある程度開くと、加圧室の圧力を受けなくなるため、バイパス通路を開通させてロータリアクチュエータのトルクを解除することにより、加圧ドアを手動で円滑に開閉することができる。
【0013】
第2の発明によると、ロータリアクチュエータを閉回路及びアキュムレータ等で構成される油圧回路とユニット化して設けることが可能となり、船内の油圧源に接続する油圧配管等を設ける必要がなく、その設置工事が容易に行え、メンテナンスも容易に行える。
【0014】
第3の発明によると、止め弁はスプリングの付勢力とデテント機構の両方によって閉位置に保持され、不用意に開位置に切り替わることを防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を船舶の加圧室(CPS)に設けられる加圧ドアの開閉装置に適用した実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1、図2に示すように、船内の加圧室2の開口4を開閉する加圧ドア5が設けられる。
【0017】
加圧ドア5は船体3に対して上下のヒンジ6,7を介して垂直軸まわりに略180度の範囲で回動可能に支持される。加圧ドア5の高さは200cm、幅は80cm程度である。
【0018】
加圧ドア5を閉位置に固縛する複数の手動式クリート10が設けられる。閉位置にある加圧ドア5と船体3の間には位置決めパッキン8及び気密パッキン9が設けられ、開口7を密封するようになっている。
【0019】
気密パッキン9は加圧ドア5に設けられる中空の伸縮チューブと、この伸縮チューブ内に画成される圧力室と、この圧力室に空気を給排する給排空気と、伸縮チューブが膨らむのに伴って船体3側に押し付けられるパッキンとを備える。この気密パッキン9は扉5の全周に沿って四角形の枠状に延びている。
【0020】
ところで、加圧室2は例えば0.05kgf/cm2に加圧されると、加圧ドア5の受圧面積が16000cm2の場合、加圧ドア5を開くときに加圧室2の圧力によって加圧ドア5が受ける荷重は800kgfになる。このため、加圧ドア5を開くときにクリート10を外すと加圧ドア5が急激に開く可能性があった。
【0021】
これに対処して本発明の開閉装置は、加圧ドア5と共に回動する油圧式ロータリアクチュエータ11と、このロータリアクチュエータ11に給排される作動油(作動液)の流れに抵抗を付与する油圧回路を備え、このロータリアクチュエータ11が加圧ドア5に付与するトルクによって加圧ドア5の開閉速度を調節する構成とする。
【0022】
ロータリアクチュエータ11は上下のヒンジ6,7の回動軸上に配置され、船体3に固定される本体12と、加圧ドア5にアーム16を介して固定される出力軸13とを備え、加圧ドア5が開閉されるのに伴って本体11に対して出力軸13が回動するようになっている。
【0023】
加圧ドア5が上述したように800kgfの荷重を受けて開くときにロータリアクチュエータ11に必要なトルクTは次式で計算される。ただし、出力軸13から加圧ドア5の中心までの距離を0.5mとする。
T=0.5m×800kgf=400kgf …(1)
したがってロータリアクチュエータ11は400kgf以上のトルクを出力できる容量のものを用いれば良い。
【0024】
ロータリアクチュエータ11はその本体12の内部に出力軸13から延びる隔壁によって仕切られる2つの油圧室(図示せず)を備え、本体11に油圧室に連,通する各ポート14,15が開口し、各ポート14,15に油圧配管17,18が接続される。ロータリアクチュエータ11は本体12に対して出力軸13が回動するのに伴って各ポート14,15の一方から作動油が吐出され、これと同量の作動油が各ポート14,15の他方へ吸い込まれる。
【0025】
ロータリアクチュエータ11に配設される油圧回路は、図3に示すように、ロータリアクチュエータ11の各ポート14,15を連通する閉回路21と、この閉回路21を通る作動油の流れに抵抗を付与する絞り22と、この絞り22を迂回して各ポート14,15を連通するバイパス通路23と、このバイパス通路23を開閉する止め弁24とを備える。
【0026】
絞り22は、例えば加圧室2が0.04kgf/cm2に加圧されていると、加圧ドア5が90°開くまでに2秒程度かかるように設定される。
【0027】
止め弁24の開閉操作はレバー31を介して手動で行われる。レバー31はデテント機構32を介して止め弁24を開く位置と止め弁24を閉じる位置のいずれかに保持される。そして、レバー31はスプリング33によって止め弁24を閉じる位置に付勢されている。このスプリング33の付勢力はデテント機構32の保持力よりも小さく設定されている。これにより、止め弁24はスプリング33の付勢力とデテント機構32の両方によって閉位置に確実に保持され、不用意に開位置に切り替わることが防止される。
【0028】
閉回路21にはチェック弁26,27を介してアキュムレータ25が接続される。これにより、アキュムレータ25に蓄えられた加圧作動油が対のチェック弁26,27を介して閉回路21に自動的に充填されるため、ロータリアクチュエータ11の作動油圧が不足することを防止でき、良好な作動性が維持される。アキュムレータ25の圧力は圧力計28を介して確認できる。アキュムレータ25には必要に応じて給油口29からチェック弁30を介して加圧作動油を充填できる。
【0029】
以上のように構成されて、閉位置にある加圧ドア5を開く場合、次の手順で操作される。
【0030】
(1)止め弁24を閉位置に保持し、気密パッキン9による密封を解除する。
【0031】
(2)加圧ドア5を閉位置に固縛した各クリート10を手動操作によって解除位置へと回動させる。
【0032】
これによって、加圧ドア5は加圧室2の圧力を受けて急激に開こうとするが、ロータリアクチュエータ11から閉回路21を通して流れる作動油に絞り22が抵抗を付与することにより、加圧ドア5はロータリアクチュエータ11のトルクに抗してゆっくり開く。
【0033】
(3)止め弁24を開位置に切換えてバイパス通路23を開通させ、加圧ドア5を手動で全開する。
【0034】
加圧ドア5はある程度開くと、加圧室2の圧力を受けなくなるため、バイパス通路23を開通させてロータリアクチュエータ11のトルクを解除することにより、加圧ドア5を手動で円滑に全開する。
【0035】
(4)止め弁24を閉位置に保持する。
【0036】
逆に開位置にある加圧ドア5を閉じる場合、次の手順で操作される。
【0037】
(1)止め弁24を開位置に切換えてバイパス通路23を開通させ、加圧ドア5を手動で全閉する。
【0038】
(2)各クリート10を手動操作によって固縛位置へと回動させる。
【0039】
(3)下記止め弁24を閉位置に切換える。
【0040】
(4)気密パッキン9による密封作動させる。
【0041】
こうしてロータリアクチュエータ11が加圧ドア5に付与するトルクによって加圧ドア5の開閉速度を調節するため、加圧ドア5が急激に開閉することを防止し、加圧ドア5の開閉を安全に行うことができる。
【0042】
また、上下のヒンジ6,7の中心軸が垂直線に対して傾斜し、加圧ドア5が重力を受けて閉まる構成とした場合、ロータリアクチュエータ11が加圧ドア5に付与するトルクによって加圧ドア5を重力に抗してゆっくり閉じるようにすることも可能である。
【0043】
ロータリアクチュエータ11は閉回路21及びアキュムレータ25等で構成される油圧回路とユニット化して設けられるため、船内の油圧源に接続する油圧配管等を設ける必要がなく、その設置工事が容易に行え、メンテナンスも容易に行える。
【0044】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、船舶の加圧ドア以外にも例えば防空壕に設置される加圧ドアにも適用でき、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す加圧ドアの開閉装置の正面図。
【図2】同じく断面図。
【図3】同じく油圧回路図。
【符号の説明】
2 加圧室
3 船体
4 開口
5 加圧ドア
6,7 ヒンジ
11 ロータリアクチュエータ
21 閉回路
22 絞り
23 バイパス通路
24 止め弁
25 アキュムレータ
Claims (3)
- 加圧室を開閉する加圧ドアの開閉装置において、加圧ドアと共に回動するロータリアクチュエータと、このロータリアクチュエータに給排される作動液を導く閉回路と、この閉回路を流れる作動液にに抵抗を付与する絞りと、この絞りを迂回してロータリアクチュエータに給排される作動液を導くバイパス通路と、このバイパス通路を開閉する止め弁とを備え、このロータリアクチュエータが加圧ドアに付与するトルクによって加圧ドアの開閉速度を調節する構成としたことを特徴とする加圧ドアの開閉装置。
- 前記閉回路にチェック弁を介してアキュムレータを接続したことを特徴とする請求項1に記載の加圧ドアの開閉装置。
- 前記止め弁を開位置と閉位置にそれぞれ保持するデテント機構と、止め弁を閉じる位置に付勢するスプリングとを備え、このスプリングの付勢力をデテント機構の保持力よりも小さく設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の加圧ドアの開閉装置。
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JP2003150498A JP3910155B2 (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 加圧ドアの開閉装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010504242A (ja) * | 2006-09-22 | 2010-02-12 | エアバス フランス | 航空機の操縦室扉の施錠解錠システムと、かかるシステムを備えた扉 |
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2003
- 2003-05-28 JP JP2003150498A patent/JP3910155B2/ja not_active Expired - Fee Related
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