JP2004352730A - ポリイミド樹脂組成物及び樹脂シート - Google Patents

ポリイミド樹脂組成物及び樹脂シート Download PDF

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英寛 出口
Akihiko Fujiwara
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Abstract

【課題】低い吸水率と低い熱膨張率とを両立することができるポリイミド樹脂組成物及び樹脂シートを提供する。
【解決手段】ポリイミド樹脂中に層間有機化合物で膨潤された層状珪酸塩が含有されたポリイミド樹脂組成物であって、前記ポリイミド樹脂組成物の引張剪断応力による動的粘弾性測定におけるtanδのピーク温度は、0℃から前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度までの温度範囲に存在するとともに、前記ポリイミド樹脂のtanδのピーク温度よりも30℃以上高い温度であることを特徴とするポリイミド樹脂組成物、及び前記ポリイミド樹脂組成物からなる樹脂シート。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低吸水率及び低熱膨張率に優れたポリイミド樹脂組成物及び樹脂シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリイミド樹脂は絶縁性、耐熱性及び弾力性に優れていることから、その特徴を利用して多層プリント基板、ビルドアップ基板等の配線基板用材料や封止フィルム等に用いられており、近年の電子機器の高密度化及び薄膜化に伴って、ポリイミド樹脂に対してより高い接続信頼性が求められている。
【0003】
また、一般通信用や車載用に用いられる配線基板は、高温高湿下等の過酷な環境下で使用されることが多い。また、ポリイミド樹脂は吸水性が高く、このような高温多湿の環境下においてポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する配線基板を用いた場合、ポリイミド樹脂が空気中の水を吸収して絶縁性が低下することによって接続信頼性の低下を引き起こしてしまうという問題があった。
【0004】
しかし、ポリイミド樹脂等の熱膨張率が大きい樹脂を基板用材料として用いた場合、配線基板の作動によって配線基板が発熱して膨張するため、ショートや断線を起こして接続信頼性を低下させてしまうという問題があった。
特に、近年の配線基板には細い金属配線が狭い間隔で設けられているために熱膨張によってショートや断線を起こしやすく、そのため、配線基板に用いられる基板用材料としては、低い熱膨張率を有する樹脂組成物が求められている。
【0005】
そこで、これらの問題を解決するために、ポリイミド樹脂に有機オニウムイオンと層状粘土鉱物とを添加したポリイミド樹脂組成物が開示されており、層状珪酸塩がポリイミド樹脂組成物中に分散されることによって、低い吸水率と低い熱膨張率とを両立させることができたと報告されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特許2872756号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のポリイミド樹脂組成物では、層状珪酸塩がが十分に微細な状態で分散されていないことがあるため、低い吸水率と低い熱膨張率とを確実に両立させることが困難であるという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題に鑑み、低い吸水率と低い熱膨張率とを両立することができるポリイミド樹脂組成物及び樹脂シートを提供することを目的とする。
【0009】
【問題を解決する手段】
上記問題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ポリイミド樹脂中に層間有機化合物で膨潤された層状珪酸塩が含有されたポリイミド樹脂組成物であって、前記ポリイミド樹脂組成物の引張剪断応力による動的粘弾性測定におけるtanδのピーク温度は、0℃から前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度までの温度範囲に存在するとともに、前記ポリイミド樹脂のtanδのピーク温度よりも30℃以上高い温度であることを特徴とするポリイミド樹脂組成物としている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、ポリイミド樹脂中に層間有機化合物で膨潤された層状珪酸塩が含有されたポリイミド樹脂組成物であって、前記ポリイミド樹脂組成物の引張剪断応力による動的粘弾性測定におけるtanδのピーク温度が、0℃から前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度以下の温度範囲に存在するとともに、前記ポリイミド樹脂のtanδのピーク温度の1.2倍以上であることを特徴とするポリイミド樹脂組成物としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、ポリイミド樹脂中に層間有機化合物で膨潤された層状珪酸塩が含有されたポリイミド樹脂組成物であって、前記ポリイミド樹脂組成物の引張剪断応力による動的粘弾性測定におけるtanδのピーク温度は、0℃から前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度までの温度範囲に存在するとともに、前記ポリイミド樹脂組成物のtanδのピーク強度は、前記ポリイミド樹脂のtanδのピーク強度の0.7倍以下であることを特徴とするポリイミド樹脂組成物としている。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記ポリイミド樹脂は熱可塑性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂組成物としている。
【0013】
また請求項5に記載の発明は、前記層状珪酸塩は、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、膨潤性マイカ、及びバーミキュライトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂組成物としている。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂組成物からなることを特徴とする樹脂シートとしている。
【0015】
以下に本発明を詳述する。
本発明のポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド樹脂及び層状珪酸塩によって形成されるものである。
【0016】
ポリイミド樹脂組成物を形成するポリイミド樹脂としては、例えば、二無水酸類、ジアミン類等をモノマー又はオリゴマーとする樹脂が挙げられる。これらのポリイミド樹脂は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0017】
二無水酸類としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0018】
ジアミン類としては、例えば、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ジアミノベンゼン等が挙げられる。
【0019】
また、ポリイミド樹脂は熱可塑性であることが好ましい。ポリイミド樹脂が熱可塑性であることによって本発明のポリイミド樹脂組成物に高い成形性を発揮させることができる。
【0020】
また、ポリイミド樹脂を構成するオリゴマー又はポリマーの分子量は4,000〜100,000であることが好ましい。これによって、本発明のポリイミド樹脂組成物に高い成形性を発揮させることができる。
【0021】
本発明のポリイミド樹脂組成物は、層間有機化合物で膨潤された層状珪酸塩を含有する。
なお、本明細書において、層状珪酸塩とは、粘土の主体を構成する鉱物を意味しており、具体的には、層間に交換性の交換性金属カチオンを有する膨潤性の層状珪酸塩鉱物を意味する。この層状珪酸塩は天然物であってもよく、合成物であってもよい。
【0022】
なお、層状珪酸塩の層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の薄片状結晶表面に存在するナトリウムやカルシウム等の金属イオンを意味している。これらの金属イオンは、カチオン性物質とのカチオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を層状珪酸塩の結晶層間に挿入することができる。
【0023】
層状珪酸塩のカチオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ等量/100gであることが好ましい。
カチオン交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、カチオン交換によって層状珪酸塩の層間に挿入されるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層間が充分に非極性化(疎水化)されずにポリイミド樹脂との親和性が低下してしまう。また、カチオン交換容量が200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固になりすぎて、層状珪酸塩の薄片状結晶の剥離が困難になる。
【0024】
層状珪酸塩は、ポリイミド樹脂組成物100重量部に対して、2〜50重量部を含有することが好ましく、5〜30重量部を含有することがより好ましく、5〜10重量部を含有することがさらに好ましい。これによって、本発明のポリイミド樹脂組成物は、低い吸水率と低い熱膨張率を発揮することができる。また、乾燥後におけるポリイミド樹脂組成物の機械的強度の低下を防ぐこともできる。
【0025】
層状珪酸塩の含有量が2重量部未満であるとポリイミド樹脂組成物に低い熱膨張率を発揮することが困難となり、層状珪酸塩の含有量が50重量部を超えると比重が大きくなるとともにポリイミド樹脂組成物が脆弱になってしまう。
【0026】
また、層状珪酸塩は、下記式(1)で定義される形状異方性効果が大きいものであることが好ましい。形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、本発明のポリイミド樹脂組成物は優れた力学的物性を有することができる。
【0027】
形状異方性効果=薄片状結晶の積層面の表面積/薄片状結晶の積層側面の表面積 …(1)
【0028】
このような層状珪酸塩としては、例えば、スメクタイト、膨潤性マイカ、バーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられる。スメクタイトとしては、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等が挙げられる。
これらのうち、層状珪酸塩として、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、膨潤性マイカ、バーミキュライトが好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0029】
本発明のポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド樹脂と層状珪酸塩との界面面積が充分に大きいことが好ましい。これによって、ポリイミド樹脂と層状珪酸塩の表面との相互作用が大きくなるために、ポリイミド樹脂組成物の溶融粘度が高まり成形性を向上させることができる。
【0030】
層状珪酸塩は、ポリイミド樹脂中に均一に分散されているのが好ましく、ポリイミド樹脂中に微細な状態で分散されているのがより好ましい。層状珪酸塩がポリイミド樹脂中に均一に分散され、又はポリイミド樹脂中に微細な状態で分散されていることによって、ポリイミド樹脂の分子鎖運動が立体的に拘束されて低い熱膨張率と低い吸水性を発揮することができる。
また、層状珪酸塩は所定数の層を有する薄片状結晶として分散されるため、本発明のポリイミド樹脂組成物の物理的強度を高めることができ、ポリイミド樹脂組成物を薄いシート状等に加工しても高い物理的強度を発揮することができる。更に、分散された層状珪酸塩同士の間隔が適度な距離であることが好ましい。
【0031】
ポリイミド樹脂中に層状珪酸塩を分散させる方法としては、例えば、有機化層状珪酸塩を用いる方法、発泡剤を用いる方法、分散剤を用いる方法等が挙げられる。これらの方法を用いることにより、ポリイミド樹脂中に層状珪酸塩をより均一かつ微細に分散させることができる。
【0032】
層状珪酸塩を分散させる方法のひとつである有機化層状珪酸塩を用いる方法としては、以下に示す膨潤方法(1)〜(6)によって層間が膨潤された有機化層状珪酸塩を用いる方法が挙げられる。これらの膨潤方法は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、有機化層状珪酸塩とは、層状珪酸塩の層間を層間有機化合物によって膨潤された層状珪酸塩を意味する。
【0033】
膨潤方法(1)は、層間有機化合物によるカチオン交換法とも呼ばれる方法で、具体的には、層間有機化合物を用いて層状珪酸塩の層間をカチオン交換することによって層状珪酸塩の層間を予め膨潤させて疎水化する方法である。層状珪酸塩の層間が予め疎水化されることによって、層状珪酸塩とポリイミド樹脂との親和性が高まるため、層状珪酸塩をより均一かつ微細な状態で分散させることができる。
【0034】
このような層間有機化合物としては特に限定されず、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
このような4級アンモニウム塩のうち、層状珪酸塩の結晶層間を充分に膨潤できることから、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩が好適に用いられる。
【0035】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩、トリエチルアルキルアンモニウム塩、トリブチルアルキルアンモニウム塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、ジブチルジアルキルアンモニウム塩、メチルベンジルジアルキルアンモニウム塩、ジベンジルジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、トリアルキルエチルアンモニウム塩、トリアルキルブチルアンモニウム塩;ベンジルメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトキシ]エチル}アンモニウムクロライド等の芳香環を有する4級アンモニウム塩;トリメチルフェニルアンモニウム等の芳香族アミンを有する4級アンモニウム塩;アルキルピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等の複素環を有する4級アンモニウム塩;ポリエチレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0036】
これらの4級アンモニウム塩のうち、イミダゾリウム塩等の複素環を有する4級アンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が好適に用いられる。
【0037】
更に、これらの4級アンモニウム塩のうち、イミダゾリウム塩等の複素環を有する複素環4級アンモニウム塩がより好適に用いられる。複素環4級アンモニウム塩を用いて層状珪酸塩の層間を膨潤することによって、ポリイミド樹脂中への層状珪酸塩の分散性をより向上させることができる。
イミダゾリウム塩としては、例えば、1,2−ジメチル−N−デシルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−N−オクチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−N−ブチルイミダゾリウム等が挙げられる。
【0038】
膨潤方法(2)は、膨潤方法(1)によって層間を膨潤させた有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基に対して、この水酸基と化学結合し得る官能基又はこの水酸基との化学的親和性の大きい官能基を分子末端に1個以上有する化合物を用いて更に膨潤させる方法である。
【0039】
水酸基と化学結合し得る官能基、又は水酸基との化学的親和性の大きい官能基としては、例えば、アルコキシ基、グリシジル基、カルボキシル基(二塩基性酸無水物も包含する)、水酸基、イソシアネート基、アルデヒド基等が挙げられる。
また、これらの官能基を有する化合物としては、例えば、これらの官能基を有する、シラン化合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0040】
これらの官能基を有するシラン化合物としては特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0041】
膨潤方法(3)は、膨潤方法(1)によって層間を膨潤させた有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基に対して、この水酸基と化学結合し得る官能基又はこの水酸基と化学的親和性の大きい官能基と、反応性官能基を分子末端に1個以上有する化合物とを用いて更に膨潤させる方法である。
【0042】
膨潤方法(4)は、膨潤方法(1)によって層間を膨潤させた有機化層状珪酸塩の結晶表面に対して、アニオン性界面活性を有する化合物を用いて更に膨潤させる方法である。
このようなアニオン性界面活性を有する化合物としては、イオン相互作用により層状珪酸塩の層間を膨潤できるものであれば特に限定されず、例えば、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
膨潤方法(5)は、膨潤方法(1)によって層間を膨潤させた有機化層状珪酸塩の結晶表面に対して、アニオン性界面活性を有する化合物のうち、分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物を用いて更に膨潤させる方法である。
【0044】
膨潤方法(6)は、膨潤方法(1)〜(5)のいずれか1つの方法で層間を膨潤させた有機化層状珪酸塩に対して、層状珪酸塩と反応可能な官能基を有する樹脂を添加して更に膨潤させる方法である。
【0045】
層状珪酸塩を分散させる方法のひとつである発泡剤を用いる方法は、ポリイミド樹脂と層状珪酸塩との混合状態で発泡剤を用いてポリイミド樹脂を発泡させ、その発泡エネルギーを層状珪酸塩の分散エネルギーに転換する方法である。このような発泡剤としては、例えば、気体状発泡剤、易揮発性液状発泡剤、加熱分解型固体状発泡剤等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
発泡剤を用いる方法としては、例えば、ポリイミド樹脂と層状珪酸塩との混合状態に対して気体状発泡剤を高圧下で含浸させた後、この気体状発泡剤を発泡させる方法、層状珪酸塩の層間に予め加熱分解型発泡剤を含有させ、その加熱分解型発泡剤を加熱により分解させて発泡させる方法等が挙げられる。
【0046】
分散されたときの層状珪酸塩の結晶形状としては特に限定されないが、表面部分の一辺の平均長さは0.01〜3μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがより好ましい。
【0047】
また、層状珪酸塩の平均厚さは0.001〜1μmであることが好ましく、0.01〜0.5μmであることがより好ましい。
ここで、層状珪酸塩の結晶形状は、ポリイミド樹脂組成物の断面を電子顕微鏡等で観察することによって測定される。
【0048】
ポリイミド樹脂組成物に分散された層状珪酸塩は、その積層数が5層以下であることが好ましく、3層以下であることがより好ましく、1層であることが更に好ましい。層状珪酸塩がポリイミド樹脂組成物中に5層以下で分散されることによってポリイミド樹脂と層状珪酸塩との界面面積をより大きくすることができる。
なお、5層以下の積層体とは、具体的には、層状珪酸塩の薄片状結晶間の相互作用が弱められたために薄片状結晶が5層以下となった状態であることを意味する。
【0049】
また、5層以下の層状珪酸塩としてポリイミド樹脂組成物中に分散された割合は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。樹脂組成物中の層状珪酸塩の割合が10%未満だと、樹脂組成物の強度が低下してしまう場合がある。
ここで、5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合Zは、本発明のポリイミド樹脂組成物を透過型電子顕微鏡により5万〜10万倍に拡大して観察されたもので、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層体の全層数X、及び5層以下の積層体として分散している積層体の層数Yを計測することにより、下記式(2)から算出することができる。
【0050】
Z(%)=(Y/X)×100 …(2)
【0051】
ポリイミド樹脂組成物中に分散された層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定される(001)面の平均層間距離が3nm以上であることが好ましく、3〜5nmであることがより好ましい。なお、層状珪酸塩の平均層間距離とは、層状珪酸塩の薄片状結晶を層とみなした場合における層間の距離の平均を意味し、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影等の広角X線回折測定法により算出される距離である。
平均層間距離が5nmを超えると、層状珪酸塩の薄片状結晶が層ごとに分離されて層状珪酸塩の相互作用が無視できるほど弱まってしまうため、ポリイミド樹脂組成物が低い熱膨張率を発揮することが困難になってしまう。
【0052】
また、層状珪酸塩の平均層間距離が3〜5nmであり、かつ、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下の積層体として分散することにより、ポリイミド樹脂組成物と層状珪酸塩との界面面積を充分に大きくすることができる。そのため、本発明のポリイミド樹脂組成物は高い溶融粘度を有するので、熱プレス、シボ加工、エンボス加工等の熱成形性が向上し、熱成形された形状の保持性を向上することができる。
【0053】
また、ポリイミド樹脂組成物に含有される層状珪酸塩は、燃焼時に焼結して難燃皮膜を形成して高い難燃性を発揮することができる。この難燃被膜は燃焼時の早い段階で形成され、外界からの酸素の供給を遮断するとともに、燃焼によって発生する可燃性ガスも遮断することができる。
【0054】
また、本発明のポリイミド樹脂組成物は、層状珪酸塩を含有することによって水分子や気体分子に対するバリア性を高めることができる。すなわち、樹脂中に固体物である層状珪酸塩が含有されることによって固体分子が水分子や気体分子の拡散を妨げ、水分子や気体分子が樹脂組成物中へ拡散することを阻害することができる。
同様に、層状珪酸塩等の固形物を含有することによって水分子や気体分子以外に対するバリア性も向上し、耐溶剤性、耐吸湿性、耐吸水性等が向上する。これによって、本発明のポリイミド樹脂組成物は、水分子や気体分子を吸収することによって絶縁性の低下を妨げて高い接続信頼性を発揮することができる。
【0055】
更に、本発明のポリイミド樹脂組成物では、微細な状態で層状珪酸塩が分散されていることによって、樹脂組成物からなる基板等に対して穿孔加工を施したとき、その穿孔の内壁が高い平滑度を有することができる。
具体例としては、樹脂組成物からなる基板に対して炭酸ガスレーザ等のレーザによる穿孔加工を施す場合、レーザによって樹脂成分と層状珪酸塩成分とが同時に分解蒸発し、穿孔の内壁に部分的に残存する層状珪酸塩の残渣も数μm以下の小さなもののみとなるため、内壁が平滑な状態で穿孔加工を施すことができる。これにより、穿孔加工により発生する残渣によってメッキ不良等が発生するのを防止することができる。
【0056】
本発明のポリイミド樹脂組成物のtanδがピークを示す温度(以下、tanδのピーク温度)は、0℃からポリイミド樹脂のみのガラス転移温度までの温度範囲に存在することを必須要件としている。
【0057】
なお、本明細書において、ガラス転移温度とは、過冷却状態からガラス状態に移るときに熱膨張率が急激に変化する温度を意味する。
また、tanδとは、例えば引張剪断応力による動的粘弾性測定において力学的損失正接と称される値である。
【0058】
また、このtanδのピーク温度は、一般に、ポリイミド樹脂の分子鎖運動の自由度と関連があり、tanδのピーク温度が高いことは分子鎖運動の自由度が低いことを意味している。そのため、ポリイミド樹脂の分子鎖運動が層状珪酸塩などによって阻害されるとポリイミド樹脂のピーク温度が上昇し、層状珪酸塩がより微細な状態で分散されているほどピーク温度の上昇の度合いが大きくなる。
【0059】
また、同様に、tanδのピーク温度におけるtanδの値は、ポリイミド樹脂の分子鎖運動の自由度と関連があり、ピーク温度におけるtanδの値が小さいことは分子鎖運動の自由度が低いことを意味している。そのため、ポリイミド樹脂の分子鎖運動が層状珪酸塩などによって阻害されるとポリイミド樹脂のピーク温度におけるtanδの値が低下し、層状珪酸塩がより微細な状態で分散されているほどピーク温度におけるtanδの値の低下の度合いが大きくなる。
【0060】
本発明のポリイミド樹脂組成物のtanδのピーク温度は、層状珪酸塩を含有しないポリイミド樹脂のみのtanδのピーク温度に対して30℃以上高いことを必須要件としており、35℃以上高いことが好ましく、40℃以上高いことがより好ましい。
これによって、本発明のポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド樹脂組成物の分子鎖運動を大きく阻害するほど十分に微細な層状珪酸塩が分散されていることを示すので、本発明のポリイミド樹脂組成物に対して低い吸水率と低い熱膨張率とを発揮させることができ、吸湿による絶縁性の低下を妨げて高湿の環境下でも高い接続信頼性を発揮させることができる。
【0061】
また、本発明のポリイミド樹脂組成物のtanδのピーク温度は、層状珪酸塩を含有しないポリイミド樹脂のみのtanδのピーク温度の1.2倍以上であることが好ましく、1.25倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましい。
なお、本明細書においてtanδのピーク温度は摂氏(℃)で示され、上記の説明は、例えば、ポリイミド樹脂のみのtanδのピーク温度が70℃のとき、本発明のポリイミド樹脂組成物のtanδのピーク温度は、その1.2倍以上である84℃以上であることを意味する。
【0062】
これによって、本発明のポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド樹脂組成物の分子鎖運動を大きく阻害するほど十分に微細な層状珪酸塩が分散されていることを示すので、本発明のポリイミド樹脂組成物に対して低い吸水率と低い熱膨張率とを発揮させることができ、吸湿による絶縁性の低下を妨げて高湿の環境下でも高い接続信頼性を発揮させることができる。
【0063】
また、本発明のポリイミド樹脂組成物のtanδのピーク温度において、ポリイミド樹脂組成物のtanδの値は、層状珪酸塩を含有しないポリイミド樹脂のみのtanδの値の0.7倍以下であることが好ましく、0.65倍以下であることが好ましく、0.6倍以下であることがより好ましい。
【0064】
これによって、本発明のポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド樹脂組成物の分子鎖運動を大きく阻害するほど十分に微細な層状珪酸塩が分散されていることを示すので、本発明のポリイミド樹脂組成物に対して低い吸水率と低い熱膨張率とを発揮させることができ、吸湿による絶縁性の低下を妨げて高湿の環境下でも高い接続信頼性を発揮させることができる。
【0065】
本発明のポリイミド樹脂組成物の熱膨張率は、100〜200℃の温度範囲において50ppm/℃以下であることが好ましく、40ppm/℃以下であることがより好ましく、30ppm/℃以下であることが更に好ましい。熱膨張率が50ppm/℃以下であることによって、高温下でも形状安定性を保つことができ、高い接続信頼性を発揮することができる。
【0066】
なお、本発明のポリイミド樹脂組成物の平均熱膨張率は、JIS K7197に準じた公知の方法によって測定することができ、例えば、TMA(Thermomechanical Analysys)装置(セイコー電子社製、TMA/SS120C)を用いて、約4mm×23.6mm、厚さ50μmの試験片を単位断面積あたり5×10Paの引張荷重で、5℃/分の昇温速度で昇温することにより求めることができる。
【0067】
また、本発明のポリイミド樹脂組成物は、下記式(3)によって定義される吸水率が1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。
ポリイミド樹脂組成物の吸水率が1.5%以下であることによって、ポリイミド樹脂組成物が空気中の水を吸収することによる絶縁性の低下を妨げることができ、高湿の環境下でも高い接続信頼性を発揮することができる。
【0068】
(吸水率)=(吸水後の重量−吸水前の重量)/(吸水前の重量)×100…(3)
【0069】
また、本発明のポリイミド樹脂組成物は、必要に応じて、その性能を阻害しない範囲において、添加剤として、難燃剤、造核剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃助剤、帯電防止剤、防曇剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤等が添加されてもよい。これらはそれぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0070】
添加剤のひとつである難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、リン系化合物、窒素系化合物、フッ素樹脂、シリコーンオイル、層状複水和物等が挙げられる。これらの難燃剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0071】
添加剤のひとつである難燃剤としては、ハロゲン系組成物を含有しない難燃剤であることが好ましい。なお、難燃剤の製造工程上の都合等により微量のハロゲンが混入することは構わない。
【0072】
金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドーソナイト、アルミン酸化カルシウム、2水和石こう、水酸化カルシウム等が挙げられる。
リン系化合物としては、例えば、赤リン、ポリリン酸アンモニウム等が挙げられる。
窒素系化合物としては、例えば、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、リン酸メラミン及びこれらに表面処理が施したメラミン誘導体等が挙げられる。
層状複水和物としては、例えば、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
【0073】
これらの難燃剤のうち、金属水酸化物、メラミン誘導体が好適に用いられる。また、金属水酸化物のうち、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムがより好適に用いられ、これらは各種の表面処理剤により表面処理が施されたものでもよい。
このような表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、PVA系表面処理剤、エポキシ系表面処理剤等が挙げられる。
【0074】
難燃剤の含有量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して0.1〜100重量部であることが好ましく、5〜80重量部であることがより好ましく、10〜70重量部であることが更に好ましい。難燃剤の含有量がこの範囲内にあると、本発明のポリイミド樹脂組成物は、力学的物性、電気物性、工程適性等に悪影響を与えずに充分な難燃性を発揮することができる。
【0075】
本発明のポリイミド樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されず、例えば、直接混練法、溶媒除去法、重合による方法等が挙げられる。
【0076】
直接混練法とは、例えば、ポリイミド樹脂と層状珪酸塩の各所定量と、必要に応じて添加される添加剤等の各所定量とを直接配合して混練する方法である。
【0077】
溶媒除去法とは、例えば、ポリイミド樹脂と層状珪酸塩と、必要に応じて添加される添加剤等の各所定量とをN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等の溶媒中に添加して混合した後、溶媒を除去する方法である。
【0078】
重合による方法とは、ポリイミド樹脂用モノマーと層状珪酸塩と必要に応じて添加される添加剤等の各所定量を混練し、モノマーを重合させることによってポリイミド樹脂の重合とポリイミド樹脂組成物の製造を同時に一括して行う方法である。なお、モノマーを重合させる際、重合開始剤として遷移金属錯体等の重合触媒を予め含有させておくことが好ましい。
【0079】
本発明のポリイミド樹脂組成物を製造する際に樹脂等を混練又は溶媒中で混合する方法としては公知の方法を用いることができ、例えば、押出機、2本ロール、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練又は溶媒中で混合する方法等が挙げられる。
【0080】
本発明のポリイミド樹脂組成物の用途としては特に限定されないが、適当な溶媒に溶解したり、フィルム状に成形したりして加工することにより、例えば、低い吸水率と低い熱膨張率を利用して樹脂シートとして利用することができる。なお、シートとは平面状の材料を意味し、フィルム状のものも含まれる。
樹脂シートとしては、多層プリント基板、ビルドアップ基板等の配線基板用材料、封止フィルム、積層板、樹脂付き銅箔、銅張積層板、TAB用フィルム、プリント基板、プリプレグ、ワニス、光導波路材料等に好適に用いられる。これらのポリイミド樹脂組成物を用いてなる樹脂シートもまた本発明の1つである。
【0081】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
以下の方法によって板状成形体を作製した。
まず、以下のポリイミド樹脂用モノマーを、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン41重量部に添加して溶解させ、撹拌機を用いて150rpmの撹拌速度で3時間均一に撹拌することによってポリイミド樹脂用モノマー溶液を得た。
・無水ピロメリット酸 3.0171重量部
・ビス[4(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン 5.9829重量部
【0083】
次に、層状珪酸塩として、トリオクチルメチルアンモニウムクロライドによって層間が膨潤されたヘクトライト(コープケミカル社製、「ルーセンタイトSTN」)0.45重量部を、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン8.55重量部に添加して溶解させ、撹拌機を用いて300rpmの撹拌速度で1時間均一に撹拌することによって層状珪酸塩の溶液を得た。
【0084】
その後、上記の操作から得られたポリイミド樹脂用モノマー溶液50重量部と、層状珪酸塩の溶液9重量部とを混合し、撹拌機を用いて300rpmの撹拌速度で2時間撹拌することによって、モノマーと層状珪酸塩の混合溶液を得た。
【0085】
得られた混合溶液を、アプリケータを用いてポリエチレンテレフタレート(PET)のシート上に塗布した後、窒素雰囲気下で混合溶液を100℃で1時間、150℃で1時間、200℃で1時間の順に加熱することによって溶媒の除去を行った。その後、窒素雰囲気下で更に250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分の順に加熱することによって、ポリイミド樹脂用モノマーを重合させて厚さ50μmの板状成形体を作製した。
【0086】
(実施例2)
実施例1で用いた層状珪酸塩が、1,2−ジメチル−N−デシルイミダゾリウムによって層間が膨潤されたヘクトライト(コープケミカル社製、「ルーセンタイトSWN」:カチオン交換容量71meq/100g)0.45重量部であること以外は実施例1と同様にして板状成形体を作製した。
【0087】
(実施例3)
実施例1で用いた層状珪酸塩が、トリオクチルメチルアンモニウムクロライドによって層間が膨潤されたヘクトライト(コープケミカル社製、「ルーセンタイトSTN−A」)0.45重量部であること以外は実施例1と同様にして板状成形体を作製した。
【0088】
(比較例1)
以下の方法によって、実施例1中における樹脂組成物中のポリイミド樹脂を合成し、板状成形体を作製した。
まず、以下のポリイミド樹脂用モノマーを、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン41重量部に添加して溶解させ、撹拌機を用いて150rpmの撹拌速度で5時間均一に撹拌することによってポリイミド樹脂用モノマー溶液を得た。
・無水ピロメリット酸 3.0171重量部
・ビス[4(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン 5.9829重量部
【0089】
得られたポリイミド樹脂用モノマー溶液を、アプリケータを用いてポリエチレンテレフタレート(PET)のシート上に塗布した後、窒素雰囲気下で混合溶液を100℃で1時間、150℃で1時間、200℃で1時間の順に加熱することによって溶媒の除去を行った。その後、窒素雰囲気下で更に250℃で30分、300℃で30分、350℃で30分の順に加熱することによって、ポリイミド樹脂用モノマーを重合させて厚さ50μmの板状成形体を作製した。
【0090】
(比較例2)
実施例1で用いた層状珪酸塩が、層間が膨潤されていないヘクトライト(コープケミカル社製、「ルーセンタイトSWN」)0.45重量部であること以外は実施例1と同様にして板状成形体を作製した。
【0091】
上述の実施例及び比較例で得られた厚さ50μm及び100mmの板状成形体をそれぞれ4mm×23.6mmに裁断し、これを試験片として以下の方法に従って試験片の測定又は評価を行った。
【0092】
(tanδのピーク温度及びガラス転移温度の測定)
粘弾性測定装置(Rheometric Scientific RSAII)を用いて、試験片に対して毎分5℃の昇温速度でtanδがピークを示す温度及びガラス転移温度を測定した。
なお、測定した温度範囲は0℃から300℃で、この温度範囲に2つ以上のtanδピークが観測されたときは、最もtanδの値が大きい値を示す温度を読み取った。
【0093】
試験片のtanδのピーク温度から、比較例1で得られた試験片のtanδのピーク温度を差し引いた温度差を算出した。
【0094】
また、試験片のtanδのピーク温度を、比較例1で得られた試験片のtanδのピーク温度で除算した比を算出した。
【0095】
更に、試験片のtanδのそれぞれのピーク温度において、そのtanδの値を、それぞれのピーク温度における比較例1で得られた試験片のtanδの値で除算した値を算出した。
【0096】
(吸水率の測定)
まず、試験片を350℃で30分間乾燥させたときの試験片の重量を測定し、その後、試験片を23℃の水に24時間浸漬した後の重量を測定することによって、下記式(4)に基づいて試験片の吸水率(単位:%)を測定した。
【0097】
(吸水率)=(吸水後の重量−吸水前の重量)/(吸水前の重量)×100…(4)
【0098】
(熱膨張係数の測定)
TMA(Thermomechanical Analysys)装置(セイコー電子社製、「TMA/SS120C」)を用いて、JIS 7197に準じた方法によって試験片の平均熱膨張係数を測定した。なお、測定条件としては、単位断面積あたりの引張荷重を5×10Pa、測定温度範囲を100〜200℃、昇温速度を5℃/分とした。
【0099】
表1にそれぞれの測定の結果を示す。
【0100】
【表1】
Figure 2004352730
【0101】
【発明の効果】
本発明のポリイミド樹脂組成物は、低い吸水率と低い熱膨張率に優れているため、絶縁性の低下や熱膨張による断線等を妨げることができるので、高い接続信頼性を発揮することができる。
また、本発明の基板用材料は、本発明のポリイミド樹脂組成物から構成されているので、低い吸水率と低い熱膨張率に優れており、絶縁性の低下や熱膨張による断線等を妨げることができるため、高い接続信頼性を発揮することができる。

Claims (6)

  1. ポリイミド樹脂中に層間有機化合物で膨潤された層状珪酸塩が含有されたポリイミド樹脂組成物であって、
    前記ポリイミド樹脂組成物の引張剪断応力による動的粘弾性測定におけるtanδのピーク温度は、0℃から前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度までの温度範囲に存在するとともに、前記ポリイミド樹脂のtanδのピーク温度よりも30℃以上高い温度であることを特徴とするポリイミド樹脂組成物。
  2. ポリイミド樹脂中に層間有機化合物で膨潤された層状珪酸塩が含有されたポリイミド樹脂組成物であって、
    前記ポリイミド樹脂組成物の引張剪断応力による動的粘弾性測定におけるtanδのピーク温度が、0℃から前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度以下の温度範囲に存在するとともに、前記ポリイミド樹脂のtanδのピーク温度の1.2倍以上であることを特徴とするポリイミド樹脂組成物。
  3. ポリイミド樹脂中に層間有機化合物で膨潤された層状珪酸塩が含有されたポリイミド樹脂組成物であって、
    前記ポリイミド樹脂組成物の引張剪断応力による動的粘弾性測定におけるtanδのピーク温度は、0℃から前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度までの温度範囲に存在するとともに、
    前記ポリイミド樹脂組成物のtanδのピーク強度は、前記ポリイミド樹脂のtanδのピーク強度の0.7倍以下であることを特徴とするポリイミド樹脂組成物。
  4. 前記ポリイミド樹脂は熱可塑性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂組成物。
  5. 前記層状珪酸塩は、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、膨潤性マイカ、及びバーミキュライトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂組成物からなることを特徴とする樹脂シート。
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