JP2004351352A - 塗布剤の塗布装置 - Google Patents
塗布剤の塗布装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004351352A JP2004351352A JP2003153724A JP2003153724A JP2004351352A JP 2004351352 A JP2004351352 A JP 2004351352A JP 2003153724 A JP2003153724 A JP 2003153724A JP 2003153724 A JP2003153724 A JP 2003153724A JP 2004351352 A JP2004351352 A JP 2004351352A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coating
- resist
- base material
- electron beam
- shielding member
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Abstract
【課題】簡素な構成でありながら、塗布剤等の清掃を容易に行える塗布剤の塗布装置を提供する。
【解決手段】飛散したレジストを捕捉した遮蔽部材50及びマット51を取り外して洗浄又は交換できるので、従来技術のようにレジストを回収するために吸引回収装置など大がかりな構成を必要とせず、塗布装置内部の汚染を防止できる。
【選択図】 図1
【解決手段】飛散したレジストを捕捉した遮蔽部材50及びマット51を取り外して洗浄又は交換できるので、従来技術のようにレジストを回収するために吸引回収装置など大がかりな構成を必要とせず、塗布装置内部の汚染を防止できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布剤の塗布装置に関し、特に光学素子成形用金型の母型の製作に用いると好適な塗布剤の塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、急速に発展している光ピックアップ装置の分野では、極めて高精度な対物レンズなどの光学素子が用いられている。プラスチックやガラスなどの素材を、金型を用いてそのような光学素子に成形すると、均一な形状の製品を迅速に製造することができるため、かかる金型成形は、そのような用途の光学素子の大量生産に適しているといえる。ここで、金型は消耗品であり、また不測の事態による破損なども予想されることから、高精度な光学素子を成形するためには、定期的或いは不定期の金型交換が必要であるといえる。従って、光学素子を成形するための金型(光学素子成形用金型ともいう)も、一定精度のものをある程度の量だけ予め用意しておく必要があるといえる。
【0003】
ここで、単結晶ダイヤモンド工具などを用いた切削加工で金型を製造した場合、手間がかかる上に、全く同一形状の金型を切り出すことは困難といえ、それ故金型交換前後で光学素子製品の形状バラツキが生じる恐れがあり、又コストもかかるという問題がある。
【0004】
特に、光ピックアップ装置に用いるある種の光学素子には、収差特性を良好にすべく、光学面の光軸に同心に、断面がブレーズ形状の微細な回折輪帯を設けることが行われている。このような回折輪帯に対応した同心溝を、金型の光学面転写面に形成する場合、切削加工に手間と時間がかかるという問題がある。光学素子成形用金型を超鋼などで形成する場合、精度良く所望の光学面転写面形状を得るためには、ダイアモンド工具による切削加工等によらなくてはならない。
【0005】
このような問題に対し、例えば光学素子の光学面に対応した母光学面を有する母型に対し、化学反応を通じて電鋳等を成長させることで、金型を製作しようとする試みがある。このような電鋳による金型製作手法を用いると、例えば光学素子の回折輪帯に対応した輪帯を備えた非球面を精度良く形成した母型を一つ用意するだけで、寸法バラツキの少ない光学素子成形用金型を比較的容易に転写形成することができる。
【0006】
かかる手法によれば、例えば回折輪帯に対応する輪帯を形成するために、母型の表面に塗布剤としてレジストを塗布し、電子描画を行い、現像処理し、電鋳処理を行って、光学素子成形用金型を得ることができる。ここで、光学素子の表面に高精度な回折輪帯を形成するためには、レジストの膜厚バラツキを狭い範囲に抑える必要がある。特に、高精度な光学素子を成形する場合には、より高精度な光学素子成形用金型が必要となり、従って、そのような金型を成形するための母型に対する精度要求は極めて高くなる。
【0007】
膜厚バラツキを抑える手法として、例えば半導体製造分野で用いられているスピンコート処理がある。スピンコート処理は、基材をスピンチャックで吸着保持し、基材を回転させながら回転中心にレジストを滴下して、遠心力を用いて塗り広げ、膜厚を一定に制御するものである。このようなレジスト塗布装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されている。
【特許文献1】
特開平11−144330号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1において、回転するターンテーブル上に載置されたガラス原盤にレジストを垂らし、遠心力を用いてガラス原盤上に塗り広げることができる。ここで、余分なレジストは、遠心力でガラス原盤の周縁から外方へと飛散するので、これをカップで捕捉し、ダクトを介して吸引回収するようになっている。しかるに、特許文献1に記載の塗布装置によれば、レジストの吸引回収装置など装置全体が大がかりなものとなり、コストが大きくなる他、カップ内の清掃等のメンテナンスを行う際に、配管を取り外してカップを分解しなければならず、手間がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、簡素な構成でありながら、塗布剤等の清掃を容易に行える塗布剤の塗布装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗布剤の塗布装置は、基材に対して塗布剤を塗布する塗布装置において、前記基材を保持するための保持部と、前記保持部を回転させる回転駆動部と、前記保持部に保持された該基材上に塗布剤を供給する供給手段と、前記保持部に支持された前記基材の周囲に配置され、側壁と上壁とを有する取り外し可能な遮蔽部材と、を有するので、前記遮蔽部材の側壁により、遠心力によって飛散した塗布剤を捕捉することができ、且つ前記遮蔽部材の上壁により、前記基材の上方に浮遊する塗布剤を捕捉することができるため、従来技術のように塗布剤を回収するために吸引回収装置など大がかりな構成を必要とせず、前記塗布装置内部の汚染を防止できる。尚、前記遮蔽部材に規定量以上の塗布剤が付着した場合、取り外して容易に洗浄もしくは交換することができる。
【0011】
更に、前記遮蔽部材から垂れ落ちた塗布剤を回収する回収手段を有すると、例えば前記遮蔽部材の下方に前記回収手段を配置することで、前記遮蔽部材から自重で垂れてくる塗布剤を捕捉でき、前記回収手段ごと塗布剤を外部へと取り出すこともできる。
【0012】
更に、前記基材の上方を覆う蓋部材を設けると、飛散した塗布剤が、再度前記機材上に付着することが抑制される。
【0013】
更に、前記蓋部材と前記遮蔽部材との間隔を10〜20mmとすると、前記塗布剤の膜厚を均一にしながらも、塗布剤の再付着を抑制できる。
【0014】
更に、前記基材と前記遮蔽部材の上壁との間隔を5mm以上とすると、前記塗布剤の膜厚を均一にしながらも、塗布剤の再付着を抑制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本実施の形態にかかる塗布装置の全体の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
本実施の形態の塗布装置30は、図1に示すように、塗布剤例えばレジストが塗布される基材10を回転軸Aを中心にして回転しつつ保持する保持部であるスピンコータチャック40と、塗布剤であるレジスト(図1に示すL)を、基材10に対して回転中心軸Aの位置にて上方向から連続的に流下することでレジストを供給する塗布剤供給手段である塗布剤塗布手段31と、レジストの粘度を制御する粘度制御手段32と、前記塗布剤塗布手段31にて供給されるレジストの量を調整制御する塗布量制御手段33と、前記レジストを連続的に流下させる際のレジストの供給時間を制御する塗布剤供給時間制御手段34と、前記スピンコータチャック40を回転中心軸Aを中心としてθ方向に回転駆動するための回転駆動部であるモータ35と、モータ35を制御してスピンコータチャック40の回転数を制御する回転制御手段36と、塗布されるレジストの膜厚がほぼ均一となるように例えば所定のレジスト量と回転数との相関関係を示した相関テーブルやさらには周囲環境条件例えば温度制御条件をも加味した条件情報などの各種制御条件情報を格納した記憶手段37と、スピンコータチャック40に接続されて、基材10を吸着保持するための負圧を創成する負圧源である負圧ポンプ38と、これらを制御する制御手段39と、スピンコータチャック40の周囲に配置された上壁50aと側壁50bとを有する遮蔽部材50と、遮蔽部材50の内側の床面に配置された回収手段であるマット51と、遮蔽部材50の外側に形成されたケース54とを有する。
【0017】
遮蔽部材50及びマット51は、レジストの吸収性がより素材から形成されていると好ましく、取り外し可能に設置されている。遮蔽部材50の上壁50aの中央に形成された円形開口50cの内径は、基材10の外径と一致している。又、基材10から上壁50aまでの距離Dは、後述する実験結果から5mm以上としている。
【0018】
なお、この塗布装置30は、レジスト塗布時にレジスト塗布の制御条件の一つである周囲環境条件例えば温度条件を膜厚がほぼ均一となるように制御するために上述の制御手段39とリンクする図示しない雰囲気温度制御手段を備えていると好ましい。その際の雰囲気温度制御条件としては、例えば22〜24℃、ベーキング時は、100〜200℃等にて設定制御されることが好ましい。
【0019】
基材10は、光学素子例えば平行平板等の金型を製造するための母型を形成するのに好ましい材質、例えば樹脂素材であるポリイミドやn型シリコンにて円盤状に形成されている。
【0020】
図1において、スピンコータチャック40は、円筒状の軸41の上端に円盤42を連結したごとき一体形状を有し、平坦な面である円盤42の上面には、回転軸Aを中心とした円形の線状溝43が形成されている。円形の線状溝43の底部は、放射状に延在し互いに直交する2本(図1では1本のみ図示)の横孔(連通孔)44により合計4カ所で連結されている。一対の横孔44の交差部は、回転軸線Aと同軸で軸41を貫通する縦孔45と連通している。
【0021】
スピンコータチャック40の軸41は、モータ35の回転軸となっており、モータ35より所定の磁気力を受けることで、任意の回転速度で回転するようになっている。軸41の下端に開口した縦孔45は、相対回転可能なコネクタを介して配管46に接続され、配管46は、負圧供給部である負圧ポンプ38に接続されている。
【0022】
本実施の形態の動作を説明すると、基材10をスピンコータチャック40上に載置した後、負圧ポンプ38を駆動することで、配管46、縦孔45、及び横孔44を介して線状溝43内が吸引されるため、基材10が平面性を維持したまま、スピンコータチャック40に吸着保持されるようになっている。その後、モータ35を駆動することで、スピンコータチャック40と基材10とは一体で回転する。
【0023】
このとき、制御手段39は、モータ35による回転数と、レジストの塗布量に基づき、粘度を制御する。また、塗布剤供給時間制御手段34にて制御される供給時間に基づいて、塗布剤塗布手段31によるレジストの供給に応じ回転数制御手段36を介してスピンコータチャック40の回転数を制御することができる。
【0024】
図2に、本発明者らが行った実験結果を示す。図2は、スピンコータチャック40に吸着保持した0.5mmの石英板(又はシリコン基板等)を基材とし、レジストを滴下することで得られた膜の厚さを回転中心から半径方向に沿って実測し、かかる実測値をプロットしたものであり、S1は遮蔽部材50を設けた状態で測定した値であり、S2は遮蔽部材50を取り外した状態で測定した値である。S2においては、膜厚に不均一な部位P1があり、これは石英板から遠心力により飛散したレジストが、基材10の上面まで浮遊して戻り再付着したものと推定され、従って遮蔽部材50を設けることで、レジストの再付着を効果的に防止できることが判明した(S1参照)。
【0025】
更に、本実施の形態においては、飛散したレジストを捕捉した遮蔽部材50及びマット51を取り外して洗浄又は交換できるので、従来技術のようにレジストを回収するために吸引回収装置など大がかりな構成を必要とせず、塗布装置内部の汚染を防止できる。
【0026】
本発明者らは、基材10から遮蔽部材50の上壁50aまでの距離Dを5mmから15mmまで変化させながら、同じ条件でレジストの塗布を行った。図3に示すように、D=5〜15mmの範囲で、均一な膜厚を得ることができた。
【0027】
ところで、本発明者らは、基材10の上方に蓋部材を設けることで、より適切にレジストの塗布を行えることを見出した。かかる蓋部材の効果について、以下に説明する。
【0028】
図4は、塗布装置に蓋部材を設けた場合の概略構成図であり、図5は、本発明者らの実験結果を示す図である。図4において、円盤状の蓋部材55は、遮蔽部材50の上壁50aの内径と同じ外径を有する。尚、図示していないが、蓋部材55の中央には小さな開口が設けられ、それを通してレジストが上方より供給されるようになっている。
【0029】
本発明者らは、遮蔽部材50の上壁50aから蓋部材55までの距離dを変化させながら、同じ条件でレジストの塗布を行った。図5に示すように、d=0cmのときは、基材10の中央の膜厚が厚くなり、均一な膜厚を得ることができなかった。一方、dが1cm以上では均一な膜厚が形成できたが、dが3cmになると、浮遊するレジストの再付着が顕著に生じることがわかった。
【0030】
以下、本実施の形態にかかる光学素子成形用金型の製造方法ついて、図面を参照して具体的に説明する。図6は、本実施の形態にかかる母型製造方法を構成する工程を示すフローチャートである。図7は、図6に示す主要な工程において、処理される基材(母型の素材になる)を示す断面図である。尚、本実施の形態により製作される母型は、その母光学面に、平行平板である光学素子の回折輪帯に対応した輪帯が形成されるものとする。
【0031】
まず、図6のステップS101で、薄板円盤状である基材10を、スピンコータチャック40にセットし(載置ステップ)、線状溝43内の負圧を用いて基材10を吸着保持し(吸着ステップ)、ステップS102で、スピンコータチャック40を回転させつつ、そこに吸着保持された基材10上にレジストLを流下させながらスピンを実施して、レジストLの被膜を行う(回転塗布ステップ、図7(a)参照)。
【0032】
その後、ステップS103で、基材10をスピンコータチャック40から取り外し、ステップS104で、雰囲気温度180℃にて20分間ベーキング処理を行って(ベーキングステップ)、レジストLの被膜を安定させる。更に、ステップS105で、詳細については後述する電子ビーム描画装置を用いて、基材10の母光学面10a上のレジストLに電子ビーム描画処理を施す(描画ステップ、図7(b)参照)。電子ビームで描画する範囲を、スピンコータチャック40の線状溝43で囲われる領域C(線状溝の内側に相当する領域)内とすることで、均一な膜厚の塗布剤(レジスト層)上に精密な描画を行うことができ、精度の高いパターン形状を得ることができる。
【0033】
電子ビーム描画処理後、ステップS106で、基材10を現像液とリンス液に浸漬することで、現像処理及びリンス処理を順次行って(図7(c)参照)、不要なレジストを排除することで、輪帯形状のレジストLを得る(現像ステップ)。ここで、同一点における電子ビームBの照射時間を長くすれば、それだけレジストの除去量が増大するため、位置と照射時間(ドーズ量)を調整することで、図7に示すようなブレーズ形状の輪帯になるよう、レジストLを残すことができる。
【0034】
更に、ステップS107で、プラズマシャワーによるドライエッチング(ドライエッチングを施す工程)を経て、基材10の母光学面10aの表面を彫り込んでブレーズ状の輪帯10b(実際より誇張されて描かれている)を形成する(図7(d)参照)。その後、ステップS108で、スルファミン酸ニッケル浴中に、表面を活性処理した基材10を浸し、電極部材11と外部の電極12との間に電流を流すことで、電鋳20を成長させる(電鋳ステップ、図7(e)参照)。電鋳20は、その成長の過程で、母光学面10aに精度良く対応した光学面転写面20aと、輪帯10bに精度良く対応した輪帯転写面20bとを形成する。
【0035】
その後、ステップS109で、電鋳20を所定形状にカット(切削加工)し、ステップS110で、電鋳20を脱型し、光学素子製造装置に組み込めるように適切な機械加工を施すことで、光学素子成形用金型を得ることができる(光学素子成形用金型を形成するステップ)。
【0036】
本実施の形態の電子ビーム描画に用いる電子ビーム描画装置について説明する。図8は、本例の電子ビーム描画装置の全体構成を示す説明図である。
【0037】
電子ビーム描画装置401は、図8に示すように、大電流で高解像度の電子線プローブを形成して高速に描画対象の基材10上を走査するものであり、高解像度の電子線プローブを形成し、電子ビームを生成してターゲットに対してビーム照射を行う電子ビーム生成手段である電子銃412と、この電子銃412からの電子ビームを通過させるスリット414と、スリット414を通過する電子ビームの前記基材10に対する焦点位置を制御するための電子レンズ416と、電子ビームが出射される経路上に配設され開口により所望の電子ビームのビーム形状にするためのアパーチャー418と、電子ビームを偏向させることでターゲットである基材10上の走査位置等を制御する偏向器420と、偏向を補正する補正用コイル422と、を含んで構成されている。なお、これらの各部は、鏡筒410内に配設されて電子ビーム出射時には真空状態に維持される。
【0038】
さらに、電子ビーム描画装置401は、描画対象となる基材10を載置するための載置台であるXYZステージ430と、このXYZステージ430上の載置位置に基材10を搬送するための搬送手段であるローダ440と、XYZステージ430上の基材10の表面の基準点を測定するための測定手段である測定装置480と、XYZステージ430を駆動するための駆動手段であるステージ駆動手段450と、ローダ440を駆動するためのローダ駆動装置460と、鏡筒410内及びXYZステージ430を含む筐体411内を真空となるように排気を行う真空排気装置470と、基材10上を観察する観察系491と、これらの制御を司る制御手段である制御回路492と、を含んで構成されている。
【0039】
なお、電子レンズ416は、高さ方向に沿って複数箇所に離間して設置される各コイル417a、417b、417cの各々の電流値によって電子的なレンズが複数生成されることで各々制御され、電子ビームの焦点位置が制御される。
【0040】
測定装置480は、基材10に対してレーザーを照射することで基材10を測定する第1のレーザー測長器482と、第1のレーザー測長器482にて発光されたレーザー光(第1の照射光)が基材10を反射し当該反射光を受光する第1の受光部484と、前記第1のレーザー測長器482とは異なる照射角度から照射を行う第2のレーザー測長器486と、前記第2のレーザー測長器486にて発光されたレーザー光(第2の照射光)が基材10を反射し当該反射光を受光する第2の受光部488と、を含んで構成されている。
【0041】
ステージ駆動手段450は、XYZステージ430をX方向に駆動するX方向駆動機構452と、XYZステージ430をY方向に駆動するY方向駆動機構454と、XYZステージ430をZ方向に駆動するZ方向駆動機構456と、XYZステージ430をθ方向に駆動するθ方向駆動機構458と、を含んで構成されている。これによって、XYZステージ430を3次元的に動作させたり、アライメントを行うことができる。
【0042】
なお、制御回路492は、図示しないが、電子銃412に電源を供給するための電子銃電源部、この電子銃電源部での電流、電圧などを調整制御する電子銃制御部、電子レンズ416(複数の各電子的なレンズを各々)を動作させるためのレンズ電源部、このレンズ電源部での各電子レンズに対応する各電流を調整制御するレンズ制御部、を含んで構成される。
【0043】
さらに、制御回路492は、補正用コイル422を制御するためのコイル制御部、偏向器420にて成形方向の偏向を行う成形偏向部、偏向器420にて副走査方向の偏向を行うための副偏向部、偏向器420にて主走査方向の偏向を行うための主偏向部、電子ビームの電界を制御する電界制御手段である電界制御回路、描画パターンなどを前記基材10に対して生成するためのパターン発生回路、各種レーザー制御系、ステージ駆動手段450を制御するためのステージ制御回路、ローダ駆動装置460を制御するローダ制御回路、測定情報を入力するための測定情報入力部、入力された情報や他の複数の情報を記憶するための記憶手段であるメモリ、各種制御を行うための制御プログラムを記憶したプログラムメモリ、各部を備えた制御系、これらの各部の制御を司る例えばCPUなどにて形成された制御部、を含んで構成されている。
【0044】
上述のような構成を有する電子ビーム描画装置401において、ローダ440によって搬送された基材10がXYZステージ430上に載置されると、真空排気装置470によって鏡筒410及び筐体411内の空気やダストなどを排気したした後、電子銃412から電子ビームが照射される。
【0045】
電子銃412から照射された電子ビームは、電子レンズ416を介して偏向器420により偏向され、偏向された電子ビームB(以下、この電子レンズ416を通過後の偏向制御された電子ビームに関してのみ「電子ビームB」と符号を付与することがある)は、XYZステージ430上の基材10の表面、例えば曲面部(曲面)上の描画位置に対して照射されることで描画が行われる。
【0046】
この際に、測定装置480によって、基材10上の描画位置(描画位置のうち少なくとも高さ位置)、もしくは後述するような基準点の位置が測定され、制御回路492は、当該測定結果に基づき、電子レンズ416のコイル417a、417b、417cなどに流れる各電流値などを調整制御して、電子ビームBの焦点深度の位置、すなわち焦点位置を制御し、当該焦点位置が前記描画位置となるように移動制御される。
【0047】
あるいは、測定結果に基づき、制御回路492は、ステージ駆動手段450を制御することにより、前記電子ビームBの焦点位置が前記描画位置となるようにXYZステージ430を移動させる。
【0048】
また、本例においては、電子ビームの制御、XYZステージ430の制御のいずれか一方の制御によって行っても、双方を利用して行ってもよい。
【0049】
次に、測定装置480の第1のレーザー測長器482により電子ビームと交差する方向から基材10に対して第1の光ビームS1を照射し、基材10を透過する第1の光ビームS1の受光によって、第1の光強度分布が検出される。
【0050】
この際に、第1の光ビームS1は、基材10の底部にて反射されるため、第1の強度分布に基づき、基材10の平坦部上の(高さ)位置が測定算出されることになる。そして、この基材10の高さ位置を、例えば描画位置として、前記電子ビームの焦点位置の調整が行われ描画が行われることとなる。
【0051】
尚、基材10の母光学面10aが3次元形状を有しているような場合、その底面の(高さ)位置が求められても、母光学面10a上の位置が不明である場合がある。そこで、そのような場合には、第2のレーザー測長器486によって、第1の光ビームS1と異なる電子ビームとほぼ直交する方向から基材10に対して第2の光ビームS2を照射し、基材10を透過する第2の光ビームS2が第2の受光部488にて受光することによって、第2の光強度分布が検出されるので、これに基づき、母光学面10aの位置が測定算出され、焦点深度の狭い電子ビームに合わせて適切な電子ビーム描画を行うことができる。
【0052】
以上、実施の形態並びに実施例を参照して本発明を説明してきたが、本発明は、上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良(実施の形態の組み合わせを含む)が可能であることは勿論である。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、簡素な構成でありながら、塗布剤等の清掃を容易に行える塗布剤の塗布装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる塗布装置の全体の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明者らが行った実験結果を示す図である。
【図3】本発明者らが行った実験結果を示す図である。
【図4】塗布装置に蓋部材を設けた場合の概略構成図である。
【図5】本発明者らの実験結果を示す図である。
【図6】本実施の形態にかかる母型製造方法を構成する工程を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す主要な工程において、処理される基材(母型の素材になる)を示す断面図である。
【図8】電子ビーム描画装置の構成の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 基材
20 電鋳
30 塗布装置
40 スピンコータチャック
50 遮蔽部材
55 蓋部材
401 電子ビーム描画装置
L レジスト
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布剤の塗布装置に関し、特に光学素子成形用金型の母型の製作に用いると好適な塗布剤の塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、急速に発展している光ピックアップ装置の分野では、極めて高精度な対物レンズなどの光学素子が用いられている。プラスチックやガラスなどの素材を、金型を用いてそのような光学素子に成形すると、均一な形状の製品を迅速に製造することができるため、かかる金型成形は、そのような用途の光学素子の大量生産に適しているといえる。ここで、金型は消耗品であり、また不測の事態による破損なども予想されることから、高精度な光学素子を成形するためには、定期的或いは不定期の金型交換が必要であるといえる。従って、光学素子を成形するための金型(光学素子成形用金型ともいう)も、一定精度のものをある程度の量だけ予め用意しておく必要があるといえる。
【0003】
ここで、単結晶ダイヤモンド工具などを用いた切削加工で金型を製造した場合、手間がかかる上に、全く同一形状の金型を切り出すことは困難といえ、それ故金型交換前後で光学素子製品の形状バラツキが生じる恐れがあり、又コストもかかるという問題がある。
【0004】
特に、光ピックアップ装置に用いるある種の光学素子には、収差特性を良好にすべく、光学面の光軸に同心に、断面がブレーズ形状の微細な回折輪帯を設けることが行われている。このような回折輪帯に対応した同心溝を、金型の光学面転写面に形成する場合、切削加工に手間と時間がかかるという問題がある。光学素子成形用金型を超鋼などで形成する場合、精度良く所望の光学面転写面形状を得るためには、ダイアモンド工具による切削加工等によらなくてはならない。
【0005】
このような問題に対し、例えば光学素子の光学面に対応した母光学面を有する母型に対し、化学反応を通じて電鋳等を成長させることで、金型を製作しようとする試みがある。このような電鋳による金型製作手法を用いると、例えば光学素子の回折輪帯に対応した輪帯を備えた非球面を精度良く形成した母型を一つ用意するだけで、寸法バラツキの少ない光学素子成形用金型を比較的容易に転写形成することができる。
【0006】
かかる手法によれば、例えば回折輪帯に対応する輪帯を形成するために、母型の表面に塗布剤としてレジストを塗布し、電子描画を行い、現像処理し、電鋳処理を行って、光学素子成形用金型を得ることができる。ここで、光学素子の表面に高精度な回折輪帯を形成するためには、レジストの膜厚バラツキを狭い範囲に抑える必要がある。特に、高精度な光学素子を成形する場合には、より高精度な光学素子成形用金型が必要となり、従って、そのような金型を成形するための母型に対する精度要求は極めて高くなる。
【0007】
膜厚バラツキを抑える手法として、例えば半導体製造分野で用いられているスピンコート処理がある。スピンコート処理は、基材をスピンチャックで吸着保持し、基材を回転させながら回転中心にレジストを滴下して、遠心力を用いて塗り広げ、膜厚を一定に制御するものである。このようなレジスト塗布装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されている。
【特許文献1】
特開平11−144330号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1において、回転するターンテーブル上に載置されたガラス原盤にレジストを垂らし、遠心力を用いてガラス原盤上に塗り広げることができる。ここで、余分なレジストは、遠心力でガラス原盤の周縁から外方へと飛散するので、これをカップで捕捉し、ダクトを介して吸引回収するようになっている。しかるに、特許文献1に記載の塗布装置によれば、レジストの吸引回収装置など装置全体が大がかりなものとなり、コストが大きくなる他、カップ内の清掃等のメンテナンスを行う際に、配管を取り外してカップを分解しなければならず、手間がかかるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、簡素な構成でありながら、塗布剤等の清掃を容易に行える塗布剤の塗布装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗布剤の塗布装置は、基材に対して塗布剤を塗布する塗布装置において、前記基材を保持するための保持部と、前記保持部を回転させる回転駆動部と、前記保持部に保持された該基材上に塗布剤を供給する供給手段と、前記保持部に支持された前記基材の周囲に配置され、側壁と上壁とを有する取り外し可能な遮蔽部材と、を有するので、前記遮蔽部材の側壁により、遠心力によって飛散した塗布剤を捕捉することができ、且つ前記遮蔽部材の上壁により、前記基材の上方に浮遊する塗布剤を捕捉することができるため、従来技術のように塗布剤を回収するために吸引回収装置など大がかりな構成を必要とせず、前記塗布装置内部の汚染を防止できる。尚、前記遮蔽部材に規定量以上の塗布剤が付着した場合、取り外して容易に洗浄もしくは交換することができる。
【0011】
更に、前記遮蔽部材から垂れ落ちた塗布剤を回収する回収手段を有すると、例えば前記遮蔽部材の下方に前記回収手段を配置することで、前記遮蔽部材から自重で垂れてくる塗布剤を捕捉でき、前記回収手段ごと塗布剤を外部へと取り出すこともできる。
【0012】
更に、前記基材の上方を覆う蓋部材を設けると、飛散した塗布剤が、再度前記機材上に付着することが抑制される。
【0013】
更に、前記蓋部材と前記遮蔽部材との間隔を10〜20mmとすると、前記塗布剤の膜厚を均一にしながらも、塗布剤の再付着を抑制できる。
【0014】
更に、前記基材と前記遮蔽部材の上壁との間隔を5mm以上とすると、前記塗布剤の膜厚を均一にしながらも、塗布剤の再付着を抑制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本実施の形態にかかる塗布装置の全体の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
本実施の形態の塗布装置30は、図1に示すように、塗布剤例えばレジストが塗布される基材10を回転軸Aを中心にして回転しつつ保持する保持部であるスピンコータチャック40と、塗布剤であるレジスト(図1に示すL)を、基材10に対して回転中心軸Aの位置にて上方向から連続的に流下することでレジストを供給する塗布剤供給手段である塗布剤塗布手段31と、レジストの粘度を制御する粘度制御手段32と、前記塗布剤塗布手段31にて供給されるレジストの量を調整制御する塗布量制御手段33と、前記レジストを連続的に流下させる際のレジストの供給時間を制御する塗布剤供給時間制御手段34と、前記スピンコータチャック40を回転中心軸Aを中心としてθ方向に回転駆動するための回転駆動部であるモータ35と、モータ35を制御してスピンコータチャック40の回転数を制御する回転制御手段36と、塗布されるレジストの膜厚がほぼ均一となるように例えば所定のレジスト量と回転数との相関関係を示した相関テーブルやさらには周囲環境条件例えば温度制御条件をも加味した条件情報などの各種制御条件情報を格納した記憶手段37と、スピンコータチャック40に接続されて、基材10を吸着保持するための負圧を創成する負圧源である負圧ポンプ38と、これらを制御する制御手段39と、スピンコータチャック40の周囲に配置された上壁50aと側壁50bとを有する遮蔽部材50と、遮蔽部材50の内側の床面に配置された回収手段であるマット51と、遮蔽部材50の外側に形成されたケース54とを有する。
【0017】
遮蔽部材50及びマット51は、レジストの吸収性がより素材から形成されていると好ましく、取り外し可能に設置されている。遮蔽部材50の上壁50aの中央に形成された円形開口50cの内径は、基材10の外径と一致している。又、基材10から上壁50aまでの距離Dは、後述する実験結果から5mm以上としている。
【0018】
なお、この塗布装置30は、レジスト塗布時にレジスト塗布の制御条件の一つである周囲環境条件例えば温度条件を膜厚がほぼ均一となるように制御するために上述の制御手段39とリンクする図示しない雰囲気温度制御手段を備えていると好ましい。その際の雰囲気温度制御条件としては、例えば22〜24℃、ベーキング時は、100〜200℃等にて設定制御されることが好ましい。
【0019】
基材10は、光学素子例えば平行平板等の金型を製造するための母型を形成するのに好ましい材質、例えば樹脂素材であるポリイミドやn型シリコンにて円盤状に形成されている。
【0020】
図1において、スピンコータチャック40は、円筒状の軸41の上端に円盤42を連結したごとき一体形状を有し、平坦な面である円盤42の上面には、回転軸Aを中心とした円形の線状溝43が形成されている。円形の線状溝43の底部は、放射状に延在し互いに直交する2本(図1では1本のみ図示)の横孔(連通孔)44により合計4カ所で連結されている。一対の横孔44の交差部は、回転軸線Aと同軸で軸41を貫通する縦孔45と連通している。
【0021】
スピンコータチャック40の軸41は、モータ35の回転軸となっており、モータ35より所定の磁気力を受けることで、任意の回転速度で回転するようになっている。軸41の下端に開口した縦孔45は、相対回転可能なコネクタを介して配管46に接続され、配管46は、負圧供給部である負圧ポンプ38に接続されている。
【0022】
本実施の形態の動作を説明すると、基材10をスピンコータチャック40上に載置した後、負圧ポンプ38を駆動することで、配管46、縦孔45、及び横孔44を介して線状溝43内が吸引されるため、基材10が平面性を維持したまま、スピンコータチャック40に吸着保持されるようになっている。その後、モータ35を駆動することで、スピンコータチャック40と基材10とは一体で回転する。
【0023】
このとき、制御手段39は、モータ35による回転数と、レジストの塗布量に基づき、粘度を制御する。また、塗布剤供給時間制御手段34にて制御される供給時間に基づいて、塗布剤塗布手段31によるレジストの供給に応じ回転数制御手段36を介してスピンコータチャック40の回転数を制御することができる。
【0024】
図2に、本発明者らが行った実験結果を示す。図2は、スピンコータチャック40に吸着保持した0.5mmの石英板(又はシリコン基板等)を基材とし、レジストを滴下することで得られた膜の厚さを回転中心から半径方向に沿って実測し、かかる実測値をプロットしたものであり、S1は遮蔽部材50を設けた状態で測定した値であり、S2は遮蔽部材50を取り外した状態で測定した値である。S2においては、膜厚に不均一な部位P1があり、これは石英板から遠心力により飛散したレジストが、基材10の上面まで浮遊して戻り再付着したものと推定され、従って遮蔽部材50を設けることで、レジストの再付着を効果的に防止できることが判明した(S1参照)。
【0025】
更に、本実施の形態においては、飛散したレジストを捕捉した遮蔽部材50及びマット51を取り外して洗浄又は交換できるので、従来技術のようにレジストを回収するために吸引回収装置など大がかりな構成を必要とせず、塗布装置内部の汚染を防止できる。
【0026】
本発明者らは、基材10から遮蔽部材50の上壁50aまでの距離Dを5mmから15mmまで変化させながら、同じ条件でレジストの塗布を行った。図3に示すように、D=5〜15mmの範囲で、均一な膜厚を得ることができた。
【0027】
ところで、本発明者らは、基材10の上方に蓋部材を設けることで、より適切にレジストの塗布を行えることを見出した。かかる蓋部材の効果について、以下に説明する。
【0028】
図4は、塗布装置に蓋部材を設けた場合の概略構成図であり、図5は、本発明者らの実験結果を示す図である。図4において、円盤状の蓋部材55は、遮蔽部材50の上壁50aの内径と同じ外径を有する。尚、図示していないが、蓋部材55の中央には小さな開口が設けられ、それを通してレジストが上方より供給されるようになっている。
【0029】
本発明者らは、遮蔽部材50の上壁50aから蓋部材55までの距離dを変化させながら、同じ条件でレジストの塗布を行った。図5に示すように、d=0cmのときは、基材10の中央の膜厚が厚くなり、均一な膜厚を得ることができなかった。一方、dが1cm以上では均一な膜厚が形成できたが、dが3cmになると、浮遊するレジストの再付着が顕著に生じることがわかった。
【0030】
以下、本実施の形態にかかる光学素子成形用金型の製造方法ついて、図面を参照して具体的に説明する。図6は、本実施の形態にかかる母型製造方法を構成する工程を示すフローチャートである。図7は、図6に示す主要な工程において、処理される基材(母型の素材になる)を示す断面図である。尚、本実施の形態により製作される母型は、その母光学面に、平行平板である光学素子の回折輪帯に対応した輪帯が形成されるものとする。
【0031】
まず、図6のステップS101で、薄板円盤状である基材10を、スピンコータチャック40にセットし(載置ステップ)、線状溝43内の負圧を用いて基材10を吸着保持し(吸着ステップ)、ステップS102で、スピンコータチャック40を回転させつつ、そこに吸着保持された基材10上にレジストLを流下させながらスピンを実施して、レジストLの被膜を行う(回転塗布ステップ、図7(a)参照)。
【0032】
その後、ステップS103で、基材10をスピンコータチャック40から取り外し、ステップS104で、雰囲気温度180℃にて20分間ベーキング処理を行って(ベーキングステップ)、レジストLの被膜を安定させる。更に、ステップS105で、詳細については後述する電子ビーム描画装置を用いて、基材10の母光学面10a上のレジストLに電子ビーム描画処理を施す(描画ステップ、図7(b)参照)。電子ビームで描画する範囲を、スピンコータチャック40の線状溝43で囲われる領域C(線状溝の内側に相当する領域)内とすることで、均一な膜厚の塗布剤(レジスト層)上に精密な描画を行うことができ、精度の高いパターン形状を得ることができる。
【0033】
電子ビーム描画処理後、ステップS106で、基材10を現像液とリンス液に浸漬することで、現像処理及びリンス処理を順次行って(図7(c)参照)、不要なレジストを排除することで、輪帯形状のレジストLを得る(現像ステップ)。ここで、同一点における電子ビームBの照射時間を長くすれば、それだけレジストの除去量が増大するため、位置と照射時間(ドーズ量)を調整することで、図7に示すようなブレーズ形状の輪帯になるよう、レジストLを残すことができる。
【0034】
更に、ステップS107で、プラズマシャワーによるドライエッチング(ドライエッチングを施す工程)を経て、基材10の母光学面10aの表面を彫り込んでブレーズ状の輪帯10b(実際より誇張されて描かれている)を形成する(図7(d)参照)。その後、ステップS108で、スルファミン酸ニッケル浴中に、表面を活性処理した基材10を浸し、電極部材11と外部の電極12との間に電流を流すことで、電鋳20を成長させる(電鋳ステップ、図7(e)参照)。電鋳20は、その成長の過程で、母光学面10aに精度良く対応した光学面転写面20aと、輪帯10bに精度良く対応した輪帯転写面20bとを形成する。
【0035】
その後、ステップS109で、電鋳20を所定形状にカット(切削加工)し、ステップS110で、電鋳20を脱型し、光学素子製造装置に組み込めるように適切な機械加工を施すことで、光学素子成形用金型を得ることができる(光学素子成形用金型を形成するステップ)。
【0036】
本実施の形態の電子ビーム描画に用いる電子ビーム描画装置について説明する。図8は、本例の電子ビーム描画装置の全体構成を示す説明図である。
【0037】
電子ビーム描画装置401は、図8に示すように、大電流で高解像度の電子線プローブを形成して高速に描画対象の基材10上を走査するものであり、高解像度の電子線プローブを形成し、電子ビームを生成してターゲットに対してビーム照射を行う電子ビーム生成手段である電子銃412と、この電子銃412からの電子ビームを通過させるスリット414と、スリット414を通過する電子ビームの前記基材10に対する焦点位置を制御するための電子レンズ416と、電子ビームが出射される経路上に配設され開口により所望の電子ビームのビーム形状にするためのアパーチャー418と、電子ビームを偏向させることでターゲットである基材10上の走査位置等を制御する偏向器420と、偏向を補正する補正用コイル422と、を含んで構成されている。なお、これらの各部は、鏡筒410内に配設されて電子ビーム出射時には真空状態に維持される。
【0038】
さらに、電子ビーム描画装置401は、描画対象となる基材10を載置するための載置台であるXYZステージ430と、このXYZステージ430上の載置位置に基材10を搬送するための搬送手段であるローダ440と、XYZステージ430上の基材10の表面の基準点を測定するための測定手段である測定装置480と、XYZステージ430を駆動するための駆動手段であるステージ駆動手段450と、ローダ440を駆動するためのローダ駆動装置460と、鏡筒410内及びXYZステージ430を含む筐体411内を真空となるように排気を行う真空排気装置470と、基材10上を観察する観察系491と、これらの制御を司る制御手段である制御回路492と、を含んで構成されている。
【0039】
なお、電子レンズ416は、高さ方向に沿って複数箇所に離間して設置される各コイル417a、417b、417cの各々の電流値によって電子的なレンズが複数生成されることで各々制御され、電子ビームの焦点位置が制御される。
【0040】
測定装置480は、基材10に対してレーザーを照射することで基材10を測定する第1のレーザー測長器482と、第1のレーザー測長器482にて発光されたレーザー光(第1の照射光)が基材10を反射し当該反射光を受光する第1の受光部484と、前記第1のレーザー測長器482とは異なる照射角度から照射を行う第2のレーザー測長器486と、前記第2のレーザー測長器486にて発光されたレーザー光(第2の照射光)が基材10を反射し当該反射光を受光する第2の受光部488と、を含んで構成されている。
【0041】
ステージ駆動手段450は、XYZステージ430をX方向に駆動するX方向駆動機構452と、XYZステージ430をY方向に駆動するY方向駆動機構454と、XYZステージ430をZ方向に駆動するZ方向駆動機構456と、XYZステージ430をθ方向に駆動するθ方向駆動機構458と、を含んで構成されている。これによって、XYZステージ430を3次元的に動作させたり、アライメントを行うことができる。
【0042】
なお、制御回路492は、図示しないが、電子銃412に電源を供給するための電子銃電源部、この電子銃電源部での電流、電圧などを調整制御する電子銃制御部、電子レンズ416(複数の各電子的なレンズを各々)を動作させるためのレンズ電源部、このレンズ電源部での各電子レンズに対応する各電流を調整制御するレンズ制御部、を含んで構成される。
【0043】
さらに、制御回路492は、補正用コイル422を制御するためのコイル制御部、偏向器420にて成形方向の偏向を行う成形偏向部、偏向器420にて副走査方向の偏向を行うための副偏向部、偏向器420にて主走査方向の偏向を行うための主偏向部、電子ビームの電界を制御する電界制御手段である電界制御回路、描画パターンなどを前記基材10に対して生成するためのパターン発生回路、各種レーザー制御系、ステージ駆動手段450を制御するためのステージ制御回路、ローダ駆動装置460を制御するローダ制御回路、測定情報を入力するための測定情報入力部、入力された情報や他の複数の情報を記憶するための記憶手段であるメモリ、各種制御を行うための制御プログラムを記憶したプログラムメモリ、各部を備えた制御系、これらの各部の制御を司る例えばCPUなどにて形成された制御部、を含んで構成されている。
【0044】
上述のような構成を有する電子ビーム描画装置401において、ローダ440によって搬送された基材10がXYZステージ430上に載置されると、真空排気装置470によって鏡筒410及び筐体411内の空気やダストなどを排気したした後、電子銃412から電子ビームが照射される。
【0045】
電子銃412から照射された電子ビームは、電子レンズ416を介して偏向器420により偏向され、偏向された電子ビームB(以下、この電子レンズ416を通過後の偏向制御された電子ビームに関してのみ「電子ビームB」と符号を付与することがある)は、XYZステージ430上の基材10の表面、例えば曲面部(曲面)上の描画位置に対して照射されることで描画が行われる。
【0046】
この際に、測定装置480によって、基材10上の描画位置(描画位置のうち少なくとも高さ位置)、もしくは後述するような基準点の位置が測定され、制御回路492は、当該測定結果に基づき、電子レンズ416のコイル417a、417b、417cなどに流れる各電流値などを調整制御して、電子ビームBの焦点深度の位置、すなわち焦点位置を制御し、当該焦点位置が前記描画位置となるように移動制御される。
【0047】
あるいは、測定結果に基づき、制御回路492は、ステージ駆動手段450を制御することにより、前記電子ビームBの焦点位置が前記描画位置となるようにXYZステージ430を移動させる。
【0048】
また、本例においては、電子ビームの制御、XYZステージ430の制御のいずれか一方の制御によって行っても、双方を利用して行ってもよい。
【0049】
次に、測定装置480の第1のレーザー測長器482により電子ビームと交差する方向から基材10に対して第1の光ビームS1を照射し、基材10を透過する第1の光ビームS1の受光によって、第1の光強度分布が検出される。
【0050】
この際に、第1の光ビームS1は、基材10の底部にて反射されるため、第1の強度分布に基づき、基材10の平坦部上の(高さ)位置が測定算出されることになる。そして、この基材10の高さ位置を、例えば描画位置として、前記電子ビームの焦点位置の調整が行われ描画が行われることとなる。
【0051】
尚、基材10の母光学面10aが3次元形状を有しているような場合、その底面の(高さ)位置が求められても、母光学面10a上の位置が不明である場合がある。そこで、そのような場合には、第2のレーザー測長器486によって、第1の光ビームS1と異なる電子ビームとほぼ直交する方向から基材10に対して第2の光ビームS2を照射し、基材10を透過する第2の光ビームS2が第2の受光部488にて受光することによって、第2の光強度分布が検出されるので、これに基づき、母光学面10aの位置が測定算出され、焦点深度の狭い電子ビームに合わせて適切な電子ビーム描画を行うことができる。
【0052】
以上、実施の形態並びに実施例を参照して本発明を説明してきたが、本発明は、上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良(実施の形態の組み合わせを含む)が可能であることは勿論である。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、簡素な構成でありながら、塗布剤等の清掃を容易に行える塗布剤の塗布装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる塗布装置の全体の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明者らが行った実験結果を示す図である。
【図3】本発明者らが行った実験結果を示す図である。
【図4】塗布装置に蓋部材を設けた場合の概略構成図である。
【図5】本発明者らの実験結果を示す図である。
【図6】本実施の形態にかかる母型製造方法を構成する工程を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す主要な工程において、処理される基材(母型の素材になる)を示す断面図である。
【図8】電子ビーム描画装置の構成の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 基材
20 電鋳
30 塗布装置
40 スピンコータチャック
50 遮蔽部材
55 蓋部材
401 電子ビーム描画装置
L レジスト
Claims (5)
- 基材に対して塗布剤を塗布する塗布装置において、
前記基材を保持するための保持部と、
前記保持部を回転させる回転駆動部と、
前記保持部に保持された該基材上に塗布剤を供給する供給手段と、
前記保持部に支持された前記基材の周囲に配置され、側壁と上壁とを有する取り外し可能な遮蔽部材と、を有することを特徴とする塗布剤の塗布装置。 - 前記遮蔽部材から垂れ落ちた塗布剤を回収する回収手段を有することを特徴とする請求項1に記載の塗布剤の塗布装置。
- 前記基材の上方を覆う蓋部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布剤の塗布装置。
- 前記蓋部材と前記遮蔽部材との間隔を10〜20mmとしたことを特徴とする請求項3に記載の塗布剤の塗布装置。
- 前記基材と前記遮蔽部材の上壁との間隔を5mm以上としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の塗布剤の塗布装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003153724A JP2004351352A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 塗布剤の塗布装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003153724A JP2004351352A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 塗布剤の塗布装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004351352A true JP2004351352A (ja) | 2004-12-16 |
Family
ID=34048574
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003153724A Withdrawn JP2004351352A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 塗布剤の塗布装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004351352A (ja) |
-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003153724A patent/JP2004351352A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20070190437A1 (en) | Substrate processing apparatus | |
KR102032017B1 (ko) | 리소그래피 장치, 리소그래피 방법, 프로그램, 리소그래피 시스템 및 물품 제조 방법 | |
WO2008044394A1 (fr) | Procédé de réglage de position pour dispositif émetteur de faisceau laser | |
US6616762B2 (en) | Treatment solution supply apparatus and treatment solution supply method | |
US20050211922A1 (en) | Minute three dimensional structure producing apparatus and method | |
JP5002471B2 (ja) | 基板洗浄装置、基板洗浄方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体 | |
KR20120005524A (ko) | 교환가능한 섀도우 마스크를 이용한 펄스 레이저 증착 | |
KR102551000B1 (ko) | 이온 밀링 장치 및 이온 밀링 장치의 이온원 조정 방법 | |
JP2005064324A (ja) | 微細形状の加工方法及び光学素子 | |
US20170178936A1 (en) | Wafer processing system and wafer processing method using same | |
US8330072B2 (en) | System method and apparatus for dry-in, dry-out, low defect laser dicing using proximity technology | |
JP2004351352A (ja) | 塗布剤の塗布装置 | |
JP5322847B2 (ja) | 加熱処理装置及び熱処理装置 | |
JP3504426B2 (ja) | エネルギービームによる処理方法および処理装置 | |
JP2004291245A (ja) | 光学素子成形用金型の母型の製作方法、母型、光学素子成形用金型及び塗布装置 | |
JP4457340B2 (ja) | 処理方法、型、再生方法及び再生装置 | |
JP5661937B2 (ja) | ウェハコーティング装置 | |
US7060175B2 (en) | Producing method for optical element molding die and producing method for optical element | |
JP4061570B2 (ja) | 母型製造方法 | |
KR101086306B1 (ko) | 마스크 리페어 장치 | |
JP5578902B2 (ja) | 研削装置 | |
KR100777803B1 (ko) | 집속이온빔의 복합형 가공장치 및 이를 이용한 가공방법 | |
JP4196324B2 (ja) | 光学素子成形用金型の製作方法及び光学素子の製作方法 | |
US9927725B2 (en) | Lithography apparatus, lithography method, program, lithography system, and article manufacturing method | |
JP2014148386A (ja) | 基材搬送装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20060512 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070528 |