JP2004351289A - ガラス基板面の異物除去方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】ガラス基板面を傷付けることなくガラス基板面上の微小なカレットなどの異物を有効に且つ安定的に除去することができ、しかもガラス基板面の異物除去作業のランニング・コストを大幅に低減することができる、ガラス基板面の異物除去方法及び装置を提供する。
【構成】樹脂製の刃物であって、幅寸法が約3mm以上に形成された底面を有しており且つ高さ方向の面が前記底面に対して垂直に形成されている刃物を一つ又は複数個備えておき、前記刃物の底面がガラス基板面に対して並行になるように、前記刃物の底面の全体をガラス基板面に当接及び押圧し、前記のガラス基板面に底面が当接及び押圧された刃物をガラス基板面と平行な方向に回転させるようにしたガラス基板面の異物除去方法及び装置である。前記刃物の底面には、ガラス基板面との隙間を形成してそこに流体が流通できるようにするための溝が形成されている。また、複数のガラス基板を順次搬送するためのコンベアの近傍に、前記ヘッド部の底面を研磨するための研磨ステージが備えられている。
【選択図】 図1
【構成】樹脂製の刃物であって、幅寸法が約3mm以上に形成された底面を有しており且つ高さ方向の面が前記底面に対して垂直に形成されている刃物を一つ又は複数個備えておき、前記刃物の底面がガラス基板面に対して並行になるように、前記刃物の底面の全体をガラス基板面に当接及び押圧し、前記のガラス基板面に底面が当接及び押圧された刃物をガラス基板面と平行な方向に回転させるようにしたガラス基板面の異物除去方法及び装置である。前記刃物の底面には、ガラス基板面との隙間を形成してそこに流体が流通できるようにするための溝が形成されている。また、複数のガラス基板を順次搬送するためのコンベアの近傍に、前記ヘッド部の底面を研磨するための研磨ステージが備えられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルなどのガラス基板面に付着したカレット等の異物を除去するためのガラス基板面の異物除去方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に液晶表示パネルの製造工程では、2枚のガラス基板を貼り合わせてその間に液晶を封入し、この液晶を封入したガラス基板の周囲(縁)を面取りした後、ガラス基板の両面に偏光板を貼り合わせるようにしている。ところで、前記の液晶を封入したガラス基板の周囲(縁)を面取りするときに、ガラス基板の切断により多数のカレット(径1mm〜5μmの粒子)が発生してガラス基板の表面に付着してしまう。そのため、前記偏光板の貼り合わせ工程の前に、ガラス基板面から前記カレットなどの異物を除去する作業が行われている。
【0003】
このカレットを除去するための方法及び装置については、従来より幾つか提案されている。例えば、刃物をその鋭利な刃先がガラス基板面に傾斜状に立てられた状態で自転及び公転させることによりカレットを除去するようにした方法及び装置が提案されている(特許文献1参照)。また、例えば、円盤状の回転体の下面に弾性質の布状素材を貼り付けてそれをガラス基板面に接触させながら自転及び公転させることによりカレットを除去するようにした方法及び装置も提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開平10−39282号公報
【特許文献2】
特開平11−64835号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の刃物をその鋭利な刃先がガラス基板面に傾斜状に立てられた状態で自転及び公転させることによりカレットを除去するようにした方法及び装置では、鋭利な刃先とガラス基板面との間の微妙なクリアランスを高精度に維持するのが難しいため鋭利な刃先がガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けたり、刃先の一部が毀れて鋸歯状になってそれがガラス基板面を傷付けたりしてしまうなどの問題がある。
【0005】
また、前記の円盤状の回転体の下面に弾性質の布状素材を貼り付けてそれをガラス基板面に接触させながら自転及び公転させることによりカレットを除去するようにした方法及び装置では、布状素材であることから微小なカレットの除去漏れが生じる恐れがあり、また、布状素材から発生した粉塵がガラス基板面に付着してしまう恐れがあるなどの問題がある。特に、前記布状素材を研磨剤付き布状素材としたときは、研磨剤の押圧回転によりガラス基板面に傷が付いてしまう恐れがある。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、ガラス基板面を傷付けることなくガラス基板面上の微小なカレットなどの異物を有効に且つ安定的に除去することができ、しかもガラス基板面の異物除去作業のランニング・コストを大幅に低減することができる、ガラス基板面の異物除去方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような従来技術の課題を解決するための本発明によるガラス基板面の異物除去方法は、樹脂製の刃物であって、幅寸法が約3mm以上に形成された底面を有しており且つこの底面に対して高さ方向の面が垂直に形成されている刃物を一つ又は複数個用意し、前記刃物の底面がガラス基板面に対して並行になるように、前記刃物の底面の全体をガラス基板面に所定の押圧力をかけながら当接し、前記のガラス基板面に底面が当接及び押圧された刃物をガラス基板面と平行な方向に回転させるようにした、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のガラス基板面の異物除去方法においては、前記刃物は、直方体状に形成されている、ことが望ましい。
【0009】
また、本発明のガラス基板面の異物除去方法においては、前記刃物の底面に、ガラス基板面との隙間を形成してそこに流体が流通できるようにするための溝を形成することが望ましい。
【0010】
また、本発明のガラス基板面の異物除去装置は、樹脂製の刃物であって、幅寸法が約3mm以上に形成された底面を有しており且つこの底面に対して高さ方向の面が垂直に形成されている刃物を一つ又は複数個備えたヘッド部と、前記ヘッド部を、前記刃物の底面がガラス基板面に対して並行になるように且つ前記刃物の底面の全体がガラス基板面に当接するように昇降移動させるための昇降移動部と、前記ヘッド部をガラス基板面の方向に所定の力で押圧するための押圧部と、前記のガラス基板面に前記刃物の底面が当接及び押圧されたヘッド部をガラス基板面と平行な方向に回転させるための回転部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のガラス基板面の異物除去装置においては、前記ヘッド部の刃物がガラス基板面に対して押圧されている力を検出するための圧力センサと、前記圧力センサからの出力に基づいて前記ヘッド部がガラス基板面を押圧する力が常にほぼ一定になるように前記押圧部を制御するための押圧制御部と、を備えることが望ましい。
【0012】
また、本発明のガラス基板面の異物除去装置においては、複数のガラス基板を順次搬送するためのコンベアと、前記コンベアの近傍に備えられた、前記ヘッド部の底面を研磨するための研磨ステージと、前記ヘッド部をコンベア上のガラス基板に対向する位置から前記研磨ステージに対向する位置に移動させるための研磨用移動部と、を備えることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施形態1) 図1は本発明の実施形態1による液晶表示ガラス基板面のカレット除去装置に使用される刃物を示す図で、図1(a)はその平面図、図1(b)はその正面図、図1(c)はその側面図、図1(d)はその底面図である。本実施形態1の刃物は、図1に示すように、例えばアクリル樹脂系のプラスチック素材により直方体状に形成されている。この直方体状の刃物1の底面1aは、例えば、その幅寸法(図1(d)に示す刃物1の底面1aの長手方向と直交する方向の寸法)が10mm、その長さ寸法(長手方向の寸法)が50mmに形成されている。
【0014】
なお、本発明では、前記底面1aの幅寸法は約3mm以上(より望ましくは、約4mm又は約5mm以上)とすることが望ましい。その理由は、刃物の底面の幅寸法を例えば約2mm以下に形成したときは、刃物の底面の全体をガラス基板面に高精度に当接することが難しくなる、刃物の底面の磨耗が早くなって刃物の交換の頻度が高まりランニング・コストが高くなってしまう、などの不都合が生じてしまうからである。また、本発明においては、前記刃物1の底面1aの長さ寸法は、液晶表示パネルのサイズに応じて、様々に(例えば約50〜150mm)設定可能である。また、図1において、1bは刃物1を後述のヘッド部の回転体に装着するためのネジ穴である。
【0015】
次に、図2は図1の刃物1を装着したヘッド部を示す正面図、図3はその側面図、図4はその底面図である。本実施形態1では、図4に示すように、4個の刃物1が、金属製の円盤状(直径は例えば約100〜130mm)の回転体2の下面に、それぞれ図の上、下、左、及び右の各方向に向くように放射状に配置された状態で、取り付けられている。本実施形態1では、前記4個の刃物1と回転体2とによりヘッド部3が構成されている。
【0016】
また、図2及び図3において、4は緩衝(衝撃吸収)用のスプリング、5は前記ヘッド部3及びスプリング4を支持するための支持プレート、6は前記支持プレート5と固定されたシャフト、7は前記シャフト6を支持するための軸受、8は前記シャフト6と後述するモーター・ユニットのシャフトとを連結するためのカップリング、である。
【0017】
次に、図5は図2〜4で説明したヘッド部3をガラス基板面と直交する方向に昇降移動させると共にガラス基板方向に押圧するための移動及び押圧機構を示す正面図、図6は図5の装置を示す側面図、図7は図5の装置を図5の矢印B方向から見たときの図、図8はヘッド部3をガラス基板面と平行な方向に移動させるための移動機構を説明するための平面図である。
【0018】
図5及び図6において、11はそのシャフトが前記シャフト6(図2〜3参照)と前記カップリング8を介して連結されているブラシレスモーター・ユニットである。また、12はシリンダプレート13に挿通されたガイドシャフトであって、「前記モーター・ユニット11、シャフト6、支持プレート5及びヘッド部3」を図示上下方向(ガラス基板面と直交する方向)に移動可能に支持するためのガイドシャフトである。また、14は、前記シリンダプレート13に取り付けられたエアシリンダであって前記ヘッド部3をガラス基板面と反対方向に上昇させるためのエアシリンダ、である。なお、図5〜6において、符号Aは液晶表示パネルを示している。
【0019】
また、図6において、15は、前記シリンダプレート13に取り付けられたエアシリンダであって前記ヘッド部3をガラス基板面方向に下降及び押圧するためのエアシリンダである。また、16は圧電素子を利用した圧力センサ(歪みセンサ。ロードセル)である。この圧力センサ16は、前記エアシリンダ15によるヘッド部3のガラス基板面への押圧力を常時検出すると共にその検出結果をシーケンサ(コンピュータ)17に送信する。シーケンサ17は前記圧力センサ16からの検出結果に基づいて電空レギュレータ18を制御する。電空レギュレータ18は、前記シーケンサ17からの制御に基づいてエアコンプレッサ19からの圧縮空気の圧力を調整して、前記エアシリンダ15によるヘッド部3のガラス基板面への押圧力が常にほぼ一定となるように調節する。
【0020】
次に、図7及び図8において、20は、「前記ヘッド部3、モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15」を、液晶表示パネルの左右方向(図7及び図8の図示左右方向)に移動させるための一軸ロボットである。また、本実施形態1では、図示は省略しているが、「前記ヘッド部3、モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15」を液晶表示パネルの前後方向(図8の図示上下方向)に移動させるためのシリンダユニットが備えられている。この一軸ロボット20とシリンダユニット(図示せず)は、前記ヘッド部3の刃物1がガラス基板面に当接・押圧されながら回転しているとき、「前記ヘッド部3、モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15」を、液晶表示パネルの左右方向及び前後方向に移動させて行く。これにより、ガラス基板面全体に渡って、カレットなどの異物が除去される。なお、図8において、符号Aは液晶表示パネルを示している。
【0021】
次に、本実施形態1の動作について説明する。それぞれ液晶が封入された多数の液晶表示パネルは、コンベアにより順次搬送されてくる。この搬送されてくる一つの液晶表示パネルのガラス基板面のクリーニングを行うときは、このガラス基板を所定位置に固定し、前記一軸ロボット20により、前記ヘッド部3をこのガラス基板面の上に移動し位置決めする。そして、前記エアシリンダ15により、前記ヘッド部3をガラス基板面の方に下降させ、前記ヘッド部3の刃物1の底面1a全体をガラス基板面に当接させ、さらに前記底面1a全体が一定圧力(例えば、約0.1〜0.15Mpa)でガラス基板面を押圧するように、前記ヘッド部3を保持する。この状態で、前記モーター・ユニット11を駆動して、前記ヘッド部3を所定回転数(例えば、約50〜100rpm)で回転(自転)させる。この回転により、ガラス基板面上のカレットなどの異物は、前記直方体状の刃物1の底面1aのエッジ(角度が90度の縁部分)に当たって飛ばされて、ガラス基板面から全て除去される。
【0022】
このヘッド部3の回転を行いながら、前記一軸ロボット20により前記ヘッド部3を図8の左方向又は右方向に移動させ、さらに、前記シリンダユニット(図示せず)により前記ヘッド部3を図8の上方向又は下方向に移動させ、その後、さらに、前記一軸ロボット20により前記ヘッド部3を図8の右方向又は左方向に移動させて一往復させる。以上の一往復の時間は、大体20〜30秒である。その後、液晶表示パネルを裏返して、反対側のガラス基板面について上記と同様の動作を繰り返す。
【0023】
以上により、一つの液晶表示パネルの表面及び裏面の全体について、前記ヘッド部3による異物除去動作が終了する。なお、この動作の間、前記エアシリンダ15によるヘッド部3のガラス基板面への押圧力は常に前記圧力センセ16及び電空レギュレータ18により一定圧力(例えば、約0.1〜0.15Mpa)に保たれているので、押圧力が大き過ぎるために内部の液晶にダメージを与えてしまうことや、押圧力が大き過ぎるために刃物1のエッジ1aがガラス基板面に食い込んでその面を傷付けてしまうことが、確実に防止されるようになっている。
【0024】
以上のように、本実施形態1によれば、幅寸法が10mm(本発明では、約3mm以上)の底面を有する直方体状の刃物1(例えば4個)を回転体2の下面に取り付けて、この各刃物1の底面1aの全体をガラス基板面に押し付けながら回転させるようにしているので、この回転の過程で、ガラス基板面の異物は直方体状の刃物1の底面1aの90度のエッジに当たって飛ばされるため、全ての異物がガラス基板面から有効に除去されるようになる。
【0025】
特に、本実施形態1では、前述のように、前記直方体状の刃物1をガラス基板面に対して垂直に立てた状態で、前記刃物1の底面1aの全体をガラス基板面に平行に当接・押圧させながら回転させるようにしているので、この回転の過程で前記直方体状の刃物1の底面1aの90度の角度のエッジが磨耗により丸くなってしまうことが無い。そのため、刃物1の交換の頻度を抑えることができ、異物除去作業のランニング・コストを低減することができる(これに対して、刃物の底面をガラス基板面に対して斜めに位置させて回転させるようにするときは、底面縁部のエッジがガラス基板面との接触・回転により磨耗して丸くなってしまい、その結果、刃物の交換の頻度が高くなってしまい、異物除去作業のランニング・コストが増大してしまう)。
【0026】
また、本実施形態1によれば、前記刃物1を、その幅寸法が10mm(本発明では、約3mm以上)の底面1aの全体をガラス基板面に平行に当接・押圧しながら、回転させるようにしているので、ガラス基板面との接触・回転による底面1a全体の磨耗が少なくて済み、その結果、前記刃物1の交換の頻度がより少なくなり、異物除去作業のランニング・コストがより低減されるようになる(これに対して、前記刃物1の底面1aの幅寸法を例えば約2mm以下に形成したときは、底面1a全体の磨耗がより早くなって刃物1の交換頻度がより高まって異物除去作業のランニング・コストがより高くなってしまう)。
【0027】
また、本実施形態1では、前記刃物1をアクリル樹脂系のプラスチック材料で形成するようにしているので、前記の異物除去作業の際、刃物1の底面1bの90度の角度のエッジがガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けることが確実に防止されるようになる(これに対して、本実施形態1の直方体状の刃物1を金属製にしたときは、その底面の90度のエッジがガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けてしまう恐れがある)。
【0028】
(実施形態2) 次に、本発明の実施形態2によるガラス基板面の異物除去装置を図9に基づいて説明する。この実施形態2の異物除去装置の基本的構成は、前述した実施形態1の装置と同様であり、ただ、この実施形態2では、ヘッド部を構成する刃物の底面の構成が実施形態1と異なっている。
【0029】
すなわち、本実施形態2では、図9に示すように、刃物31の底面31aに、複数の微小な溝32が形成されている。この溝32は、前記底面31aとガラス基板面との間に微小な隙間を形成し、この間に水などの流体が流れることを可能にするためのものである。
【0030】
例えば、本実施形態2を使用してガラス基板面の異物除去作業を行うとき、ガラス基板面に水を供給してやれば、この水が前記溝32内の前記隙間を流れるので、前記底面31aとガラス基板面との摩擦熱の発生が抑えられ、その結果、底面31aの磨耗の進行が抑えられ、刃物1の交換の頻度が抑えられ、異物除去作業のランニング・コストが低減されるようになる。なお、図9において、31bは前記刃物31を円盤状の回転体(図2の符号2参照)に取り付けるためのネジ穴である。
【0031】
(実施形態3) 次に、本発明の実施形態3によるガラス基板面の異物除去装置を説明する。本実施形態3は、前述した実施形態1と基本的に同様であるが、次に述べる研磨ステージ及びヘッド部を研磨ステージに移動させるための機構を備えている点で実施形態1と異なっている。
【0032】
すなわち、本実施形態3では、複数の液晶表示パネルを搬送するコンベアの近傍に、前記刃物1の底面1aを水平に研磨するための研磨ステージを備えている。移動用ロボット(図示せず)は、「前記ヘッド部3、モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15」を、予め設定された時間間隔又は異物除去作業回数毎に、異物除去作業を行う異物除去ステージから、研磨ステージ(図示せず)に移動させる。この研磨ステージでは、異物除去ステージにおいてガラス基板面が存在するのと同じ高さ位置に、研磨機能を備えたパネル面を備えている。
【0033】
前記研磨ステージでは、前記モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15が、前記異物除去ステージにおいて前記ヘッド部3の刃物1をガラス基板面に接触・押圧させながら回転させるのと同じ要領で、前記ヘッド部3の刃物1を前記の研磨機能を備えたパネル面に接触・押圧させながら回転させる。この研磨作業により、前記の複数(4個)の各刃物1の底面1aが高精度な水平面に再生させられるので、異物除去作業の過程で生じた底面1aの凹凸や複数の各刃物1毎の底面1aの水平面のバラツキが確実に解消されるようになる。
【0034】
以上のように、本実施形態3によれば、所定の時間間隔又は異物除去作業回数毎に、ヘッド部3を異物除去ステージから研磨ステージに移動させて、刃物1の底面1aを研磨して、その水平面を高精度に再生させるようにしている。したがって、本実施形態3によれば、異物除去作業の過程でヘッド部3の刃物1の底面1aが磨耗して凹凸が生じたり各刃物1の底面1aの水平面にバラツキが生じた場合でも、前記研磨ステージを利用することにより、いちいち刃物1を交換するために液晶表示パネルの製造ラインを止める必要が無くなり、刃物1の交換による製造ライン停止のロス・タイムを最小に抑えることが可能になる。
【0035】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、前記の実施形態1では、各刃物1の形状を直方体状としているが、本発明では、これに限られるものではなく、様々な形状とすることが可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のガラス基板面の異物除去方法及び装置によれば、幅寸法が約3mm以上の底面とこの底面と垂直な高さ方向の面とを有する刃物を用意し、この刃物の底面の全体をガラス基板面に平行に押し付けて回転させるようにしているので、この回転の過程で、ガラス基板面の異物は刃物の底面の90度の角度のエッジに当たって飛ばされるため、ガラス基板面から全ての異物が有効に除去されるようになる。
【0037】
特に、本発明では、刃物の高さ方向の面をガラス基板面に対して垂直に位置させて、刃物の底面の全体をガラス基板面に平行に当接させながら回転させるようにしているので、この回転の過程で刃物の底面縁部の90度の角度のエッジが磨耗により丸くなってしまうことが防止されるようになる。よって、本発明では、「エッジの磨耗による刃物の交換」の頻度を抑えることができ、異物除去作業のランニング・コストを低減することができる(これに対して、刃物の底面をガラス基板面に対して斜めに位置させて回転させるようにするときは、底面のエッジがガラス基板面との接触・回転により磨耗して丸くなってしまうので、刃物の交換頻度が高くなり、異物除去作業のランニング・コストが増大してしまう)。
【0038】
また、本発明によれば、刃物の幅寸法が約3mm以上の底面の全体をガラス基板面に平行に当接・押圧しながら回転するようにしているので、ガラス基板面との接触・回転による底面全体の磨耗が少なくて済み、その結果、前記刃物の交換の頻度をより少なくすることができ、異物除去作業のランニング・コストをより低減できるようになる(これに対して、前記刃物の底面の幅寸法を例えば約2mm以下に形成したときは、刃物の底面の磨耗がより早くなってしまい、刃物の交換頻度がより多くなって、異物除去作業のランニング・コストがより増大してしまう)。
【0039】
また、本発明では、前記刃物を樹脂材料で形成するようにしているので、刃物の底面の90度の角度のエッジがガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けることが確実に防止できるようになる(これに対して、刃物を金属材料で形成するようにしたときは、その底面の90度の角度のエッジがガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けてしまう恐れがある)。
【0040】
また、本発明において、刃物の底面に、流体が流通できる溝を形成するようにしたときは、ガラス基板面の異物除去作業を行うときに、ガラス基板面と刃物の底面との間の前記溝による隙間に水などの流体が流れることが可能になるので、この流体の流れにより、刃物の底面とガラス基板面との摩擦熱の発生が抑えられ、これにより刃物の底面の磨耗の進行が抑えられるようになり、その結果、刃物の交換頻度を抑えて異物除去作業のランニング・コストを低減させることが可能になる。
【0041】
さらに、本発明において、ヘッド部を異物除去ステージからその近傍の研磨ステージに移動させて、研磨ステージで刃物の底面を研磨して、その水平面を高精度に再生させることができるようにしたときは、多数のガラス基板面の異物除去作業の過程でヘッド部の刃物の底面が磨耗して底面に凹凸が生じたり各刃物毎の底面の水平面のバラツキが生じたような場合でも、前記研磨ステージを利用することにより、いちいち刃物を交換するために液晶表示パネルの製造ラインを止める必要が無くなり、刃物の交換による製造ライン停止のロス・タイムを最小に抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1によるガラス基板面のカレット除去装置に使用される刃物を示す図で、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図、(d)はその底面図。
【図2】本実施形態1のヘッド部を示す正面図。
【図3】本実施形態1のヘッド部を示す側面図。
【図4】本実施形態1のヘッド部を示す底面図。
【図5】本実施形態1のヘッド部をガラス基板面と直交する方向に昇降移動及び押圧するための移動及び押圧機構を説明するための正面図。
【図6】図5に示す移動及び押圧機構を説明するための側面図。
【図7】本実施形態1のヘッド部をガラス基板面と平行に移動させるための移動機構を説明するための図で、図5の装置を矢印B方向から見たときの図。
【図8】図7に示す移動機構を説明するための平面図。
【図9】本発明の実施形態2によるヘッド部の刃物を説明するための図で、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図、(d)はその底面図。
【符号の説明】
1,31 刃物
1a,31a 底面
2 回転体
3 ヘッド部
4 スプリング
5 支持プレート
6 シャフト
8 カップリング
11 モーター・ユニット
13 シリンダプレート
14,15 エアシリンダ
16 圧力センサ
17 シーケンサ
18 電空レギュレータ
19 コンプレッサ
20 一軸ロボット
32 溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルなどのガラス基板面に付着したカレット等の異物を除去するためのガラス基板面の異物除去方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に液晶表示パネルの製造工程では、2枚のガラス基板を貼り合わせてその間に液晶を封入し、この液晶を封入したガラス基板の周囲(縁)を面取りした後、ガラス基板の両面に偏光板を貼り合わせるようにしている。ところで、前記の液晶を封入したガラス基板の周囲(縁)を面取りするときに、ガラス基板の切断により多数のカレット(径1mm〜5μmの粒子)が発生してガラス基板の表面に付着してしまう。そのため、前記偏光板の貼り合わせ工程の前に、ガラス基板面から前記カレットなどの異物を除去する作業が行われている。
【0003】
このカレットを除去するための方法及び装置については、従来より幾つか提案されている。例えば、刃物をその鋭利な刃先がガラス基板面に傾斜状に立てられた状態で自転及び公転させることによりカレットを除去するようにした方法及び装置が提案されている(特許文献1参照)。また、例えば、円盤状の回転体の下面に弾性質の布状素材を貼り付けてそれをガラス基板面に接触させながら自転及び公転させることによりカレットを除去するようにした方法及び装置も提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開平10−39282号公報
【特許文献2】
特開平11−64835号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の刃物をその鋭利な刃先がガラス基板面に傾斜状に立てられた状態で自転及び公転させることによりカレットを除去するようにした方法及び装置では、鋭利な刃先とガラス基板面との間の微妙なクリアランスを高精度に維持するのが難しいため鋭利な刃先がガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けたり、刃先の一部が毀れて鋸歯状になってそれがガラス基板面を傷付けたりしてしまうなどの問題がある。
【0005】
また、前記の円盤状の回転体の下面に弾性質の布状素材を貼り付けてそれをガラス基板面に接触させながら自転及び公転させることによりカレットを除去するようにした方法及び装置では、布状素材であることから微小なカレットの除去漏れが生じる恐れがあり、また、布状素材から発生した粉塵がガラス基板面に付着してしまう恐れがあるなどの問題がある。特に、前記布状素材を研磨剤付き布状素材としたときは、研磨剤の押圧回転によりガラス基板面に傷が付いてしまう恐れがある。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、ガラス基板面を傷付けることなくガラス基板面上の微小なカレットなどの異物を有効に且つ安定的に除去することができ、しかもガラス基板面の異物除去作業のランニング・コストを大幅に低減することができる、ガラス基板面の異物除去方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような従来技術の課題を解決するための本発明によるガラス基板面の異物除去方法は、樹脂製の刃物であって、幅寸法が約3mm以上に形成された底面を有しており且つこの底面に対して高さ方向の面が垂直に形成されている刃物を一つ又は複数個用意し、前記刃物の底面がガラス基板面に対して並行になるように、前記刃物の底面の全体をガラス基板面に所定の押圧力をかけながら当接し、前記のガラス基板面に底面が当接及び押圧された刃物をガラス基板面と平行な方向に回転させるようにした、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のガラス基板面の異物除去方法においては、前記刃物は、直方体状に形成されている、ことが望ましい。
【0009】
また、本発明のガラス基板面の異物除去方法においては、前記刃物の底面に、ガラス基板面との隙間を形成してそこに流体が流通できるようにするための溝を形成することが望ましい。
【0010】
また、本発明のガラス基板面の異物除去装置は、樹脂製の刃物であって、幅寸法が約3mm以上に形成された底面を有しており且つこの底面に対して高さ方向の面が垂直に形成されている刃物を一つ又は複数個備えたヘッド部と、前記ヘッド部を、前記刃物の底面がガラス基板面に対して並行になるように且つ前記刃物の底面の全体がガラス基板面に当接するように昇降移動させるための昇降移動部と、前記ヘッド部をガラス基板面の方向に所定の力で押圧するための押圧部と、前記のガラス基板面に前記刃物の底面が当接及び押圧されたヘッド部をガラス基板面と平行な方向に回転させるための回転部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のガラス基板面の異物除去装置においては、前記ヘッド部の刃物がガラス基板面に対して押圧されている力を検出するための圧力センサと、前記圧力センサからの出力に基づいて前記ヘッド部がガラス基板面を押圧する力が常にほぼ一定になるように前記押圧部を制御するための押圧制御部と、を備えることが望ましい。
【0012】
また、本発明のガラス基板面の異物除去装置においては、複数のガラス基板を順次搬送するためのコンベアと、前記コンベアの近傍に備えられた、前記ヘッド部の底面を研磨するための研磨ステージと、前記ヘッド部をコンベア上のガラス基板に対向する位置から前記研磨ステージに対向する位置に移動させるための研磨用移動部と、を備えることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施形態1) 図1は本発明の実施形態1による液晶表示ガラス基板面のカレット除去装置に使用される刃物を示す図で、図1(a)はその平面図、図1(b)はその正面図、図1(c)はその側面図、図1(d)はその底面図である。本実施形態1の刃物は、図1に示すように、例えばアクリル樹脂系のプラスチック素材により直方体状に形成されている。この直方体状の刃物1の底面1aは、例えば、その幅寸法(図1(d)に示す刃物1の底面1aの長手方向と直交する方向の寸法)が10mm、その長さ寸法(長手方向の寸法)が50mmに形成されている。
【0014】
なお、本発明では、前記底面1aの幅寸法は約3mm以上(より望ましくは、約4mm又は約5mm以上)とすることが望ましい。その理由は、刃物の底面の幅寸法を例えば約2mm以下に形成したときは、刃物の底面の全体をガラス基板面に高精度に当接することが難しくなる、刃物の底面の磨耗が早くなって刃物の交換の頻度が高まりランニング・コストが高くなってしまう、などの不都合が生じてしまうからである。また、本発明においては、前記刃物1の底面1aの長さ寸法は、液晶表示パネルのサイズに応じて、様々に(例えば約50〜150mm)設定可能である。また、図1において、1bは刃物1を後述のヘッド部の回転体に装着するためのネジ穴である。
【0015】
次に、図2は図1の刃物1を装着したヘッド部を示す正面図、図3はその側面図、図4はその底面図である。本実施形態1では、図4に示すように、4個の刃物1が、金属製の円盤状(直径は例えば約100〜130mm)の回転体2の下面に、それぞれ図の上、下、左、及び右の各方向に向くように放射状に配置された状態で、取り付けられている。本実施形態1では、前記4個の刃物1と回転体2とによりヘッド部3が構成されている。
【0016】
また、図2及び図3において、4は緩衝(衝撃吸収)用のスプリング、5は前記ヘッド部3及びスプリング4を支持するための支持プレート、6は前記支持プレート5と固定されたシャフト、7は前記シャフト6を支持するための軸受、8は前記シャフト6と後述するモーター・ユニットのシャフトとを連結するためのカップリング、である。
【0017】
次に、図5は図2〜4で説明したヘッド部3をガラス基板面と直交する方向に昇降移動させると共にガラス基板方向に押圧するための移動及び押圧機構を示す正面図、図6は図5の装置を示す側面図、図7は図5の装置を図5の矢印B方向から見たときの図、図8はヘッド部3をガラス基板面と平行な方向に移動させるための移動機構を説明するための平面図である。
【0018】
図5及び図6において、11はそのシャフトが前記シャフト6(図2〜3参照)と前記カップリング8を介して連結されているブラシレスモーター・ユニットである。また、12はシリンダプレート13に挿通されたガイドシャフトであって、「前記モーター・ユニット11、シャフト6、支持プレート5及びヘッド部3」を図示上下方向(ガラス基板面と直交する方向)に移動可能に支持するためのガイドシャフトである。また、14は、前記シリンダプレート13に取り付けられたエアシリンダであって前記ヘッド部3をガラス基板面と反対方向に上昇させるためのエアシリンダ、である。なお、図5〜6において、符号Aは液晶表示パネルを示している。
【0019】
また、図6において、15は、前記シリンダプレート13に取り付けられたエアシリンダであって前記ヘッド部3をガラス基板面方向に下降及び押圧するためのエアシリンダである。また、16は圧電素子を利用した圧力センサ(歪みセンサ。ロードセル)である。この圧力センサ16は、前記エアシリンダ15によるヘッド部3のガラス基板面への押圧力を常時検出すると共にその検出結果をシーケンサ(コンピュータ)17に送信する。シーケンサ17は前記圧力センサ16からの検出結果に基づいて電空レギュレータ18を制御する。電空レギュレータ18は、前記シーケンサ17からの制御に基づいてエアコンプレッサ19からの圧縮空気の圧力を調整して、前記エアシリンダ15によるヘッド部3のガラス基板面への押圧力が常にほぼ一定となるように調節する。
【0020】
次に、図7及び図8において、20は、「前記ヘッド部3、モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15」を、液晶表示パネルの左右方向(図7及び図8の図示左右方向)に移動させるための一軸ロボットである。また、本実施形態1では、図示は省略しているが、「前記ヘッド部3、モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15」を液晶表示パネルの前後方向(図8の図示上下方向)に移動させるためのシリンダユニットが備えられている。この一軸ロボット20とシリンダユニット(図示せず)は、前記ヘッド部3の刃物1がガラス基板面に当接・押圧されながら回転しているとき、「前記ヘッド部3、モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15」を、液晶表示パネルの左右方向及び前後方向に移動させて行く。これにより、ガラス基板面全体に渡って、カレットなどの異物が除去される。なお、図8において、符号Aは液晶表示パネルを示している。
【0021】
次に、本実施形態1の動作について説明する。それぞれ液晶が封入された多数の液晶表示パネルは、コンベアにより順次搬送されてくる。この搬送されてくる一つの液晶表示パネルのガラス基板面のクリーニングを行うときは、このガラス基板を所定位置に固定し、前記一軸ロボット20により、前記ヘッド部3をこのガラス基板面の上に移動し位置決めする。そして、前記エアシリンダ15により、前記ヘッド部3をガラス基板面の方に下降させ、前記ヘッド部3の刃物1の底面1a全体をガラス基板面に当接させ、さらに前記底面1a全体が一定圧力(例えば、約0.1〜0.15Mpa)でガラス基板面を押圧するように、前記ヘッド部3を保持する。この状態で、前記モーター・ユニット11を駆動して、前記ヘッド部3を所定回転数(例えば、約50〜100rpm)で回転(自転)させる。この回転により、ガラス基板面上のカレットなどの異物は、前記直方体状の刃物1の底面1aのエッジ(角度が90度の縁部分)に当たって飛ばされて、ガラス基板面から全て除去される。
【0022】
このヘッド部3の回転を行いながら、前記一軸ロボット20により前記ヘッド部3を図8の左方向又は右方向に移動させ、さらに、前記シリンダユニット(図示せず)により前記ヘッド部3を図8の上方向又は下方向に移動させ、その後、さらに、前記一軸ロボット20により前記ヘッド部3を図8の右方向又は左方向に移動させて一往復させる。以上の一往復の時間は、大体20〜30秒である。その後、液晶表示パネルを裏返して、反対側のガラス基板面について上記と同様の動作を繰り返す。
【0023】
以上により、一つの液晶表示パネルの表面及び裏面の全体について、前記ヘッド部3による異物除去動作が終了する。なお、この動作の間、前記エアシリンダ15によるヘッド部3のガラス基板面への押圧力は常に前記圧力センセ16及び電空レギュレータ18により一定圧力(例えば、約0.1〜0.15Mpa)に保たれているので、押圧力が大き過ぎるために内部の液晶にダメージを与えてしまうことや、押圧力が大き過ぎるために刃物1のエッジ1aがガラス基板面に食い込んでその面を傷付けてしまうことが、確実に防止されるようになっている。
【0024】
以上のように、本実施形態1によれば、幅寸法が10mm(本発明では、約3mm以上)の底面を有する直方体状の刃物1(例えば4個)を回転体2の下面に取り付けて、この各刃物1の底面1aの全体をガラス基板面に押し付けながら回転させるようにしているので、この回転の過程で、ガラス基板面の異物は直方体状の刃物1の底面1aの90度のエッジに当たって飛ばされるため、全ての異物がガラス基板面から有効に除去されるようになる。
【0025】
特に、本実施形態1では、前述のように、前記直方体状の刃物1をガラス基板面に対して垂直に立てた状態で、前記刃物1の底面1aの全体をガラス基板面に平行に当接・押圧させながら回転させるようにしているので、この回転の過程で前記直方体状の刃物1の底面1aの90度の角度のエッジが磨耗により丸くなってしまうことが無い。そのため、刃物1の交換の頻度を抑えることができ、異物除去作業のランニング・コストを低減することができる(これに対して、刃物の底面をガラス基板面に対して斜めに位置させて回転させるようにするときは、底面縁部のエッジがガラス基板面との接触・回転により磨耗して丸くなってしまい、その結果、刃物の交換の頻度が高くなってしまい、異物除去作業のランニング・コストが増大してしまう)。
【0026】
また、本実施形態1によれば、前記刃物1を、その幅寸法が10mm(本発明では、約3mm以上)の底面1aの全体をガラス基板面に平行に当接・押圧しながら、回転させるようにしているので、ガラス基板面との接触・回転による底面1a全体の磨耗が少なくて済み、その結果、前記刃物1の交換の頻度がより少なくなり、異物除去作業のランニング・コストがより低減されるようになる(これに対して、前記刃物1の底面1aの幅寸法を例えば約2mm以下に形成したときは、底面1a全体の磨耗がより早くなって刃物1の交換頻度がより高まって異物除去作業のランニング・コストがより高くなってしまう)。
【0027】
また、本実施形態1では、前記刃物1をアクリル樹脂系のプラスチック材料で形成するようにしているので、前記の異物除去作業の際、刃物1の底面1bの90度の角度のエッジがガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けることが確実に防止されるようになる(これに対して、本実施形態1の直方体状の刃物1を金属製にしたときは、その底面の90度のエッジがガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けてしまう恐れがある)。
【0028】
(実施形態2) 次に、本発明の実施形態2によるガラス基板面の異物除去装置を図9に基づいて説明する。この実施形態2の異物除去装置の基本的構成は、前述した実施形態1の装置と同様であり、ただ、この実施形態2では、ヘッド部を構成する刃物の底面の構成が実施形態1と異なっている。
【0029】
すなわち、本実施形態2では、図9に示すように、刃物31の底面31aに、複数の微小な溝32が形成されている。この溝32は、前記底面31aとガラス基板面との間に微小な隙間を形成し、この間に水などの流体が流れることを可能にするためのものである。
【0030】
例えば、本実施形態2を使用してガラス基板面の異物除去作業を行うとき、ガラス基板面に水を供給してやれば、この水が前記溝32内の前記隙間を流れるので、前記底面31aとガラス基板面との摩擦熱の発生が抑えられ、その結果、底面31aの磨耗の進行が抑えられ、刃物1の交換の頻度が抑えられ、異物除去作業のランニング・コストが低減されるようになる。なお、図9において、31bは前記刃物31を円盤状の回転体(図2の符号2参照)に取り付けるためのネジ穴である。
【0031】
(実施形態3) 次に、本発明の実施形態3によるガラス基板面の異物除去装置を説明する。本実施形態3は、前述した実施形態1と基本的に同様であるが、次に述べる研磨ステージ及びヘッド部を研磨ステージに移動させるための機構を備えている点で実施形態1と異なっている。
【0032】
すなわち、本実施形態3では、複数の液晶表示パネルを搬送するコンベアの近傍に、前記刃物1の底面1aを水平に研磨するための研磨ステージを備えている。移動用ロボット(図示せず)は、「前記ヘッド部3、モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15」を、予め設定された時間間隔又は異物除去作業回数毎に、異物除去作業を行う異物除去ステージから、研磨ステージ(図示せず)に移動させる。この研磨ステージでは、異物除去ステージにおいてガラス基板面が存在するのと同じ高さ位置に、研磨機能を備えたパネル面を備えている。
【0033】
前記研磨ステージでは、前記モーター・ユニット11及びエアシリンダ14,15が、前記異物除去ステージにおいて前記ヘッド部3の刃物1をガラス基板面に接触・押圧させながら回転させるのと同じ要領で、前記ヘッド部3の刃物1を前記の研磨機能を備えたパネル面に接触・押圧させながら回転させる。この研磨作業により、前記の複数(4個)の各刃物1の底面1aが高精度な水平面に再生させられるので、異物除去作業の過程で生じた底面1aの凹凸や複数の各刃物1毎の底面1aの水平面のバラツキが確実に解消されるようになる。
【0034】
以上のように、本実施形態3によれば、所定の時間間隔又は異物除去作業回数毎に、ヘッド部3を異物除去ステージから研磨ステージに移動させて、刃物1の底面1aを研磨して、その水平面を高精度に再生させるようにしている。したがって、本実施形態3によれば、異物除去作業の過程でヘッド部3の刃物1の底面1aが磨耗して凹凸が生じたり各刃物1の底面1aの水平面にバラツキが生じた場合でも、前記研磨ステージを利用することにより、いちいち刃物1を交換するために液晶表示パネルの製造ラインを止める必要が無くなり、刃物1の交換による製造ライン停止のロス・タイムを最小に抑えることが可能になる。
【0035】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、前記の実施形態1では、各刃物1の形状を直方体状としているが、本発明では、これに限られるものではなく、様々な形状とすることが可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のガラス基板面の異物除去方法及び装置によれば、幅寸法が約3mm以上の底面とこの底面と垂直な高さ方向の面とを有する刃物を用意し、この刃物の底面の全体をガラス基板面に平行に押し付けて回転させるようにしているので、この回転の過程で、ガラス基板面の異物は刃物の底面の90度の角度のエッジに当たって飛ばされるため、ガラス基板面から全ての異物が有効に除去されるようになる。
【0037】
特に、本発明では、刃物の高さ方向の面をガラス基板面に対して垂直に位置させて、刃物の底面の全体をガラス基板面に平行に当接させながら回転させるようにしているので、この回転の過程で刃物の底面縁部の90度の角度のエッジが磨耗により丸くなってしまうことが防止されるようになる。よって、本発明では、「エッジの磨耗による刃物の交換」の頻度を抑えることができ、異物除去作業のランニング・コストを低減することができる(これに対して、刃物の底面をガラス基板面に対して斜めに位置させて回転させるようにするときは、底面のエッジがガラス基板面との接触・回転により磨耗して丸くなってしまうので、刃物の交換頻度が高くなり、異物除去作業のランニング・コストが増大してしまう)。
【0038】
また、本発明によれば、刃物の幅寸法が約3mm以上の底面の全体をガラス基板面に平行に当接・押圧しながら回転するようにしているので、ガラス基板面との接触・回転による底面全体の磨耗が少なくて済み、その結果、前記刃物の交換の頻度をより少なくすることができ、異物除去作業のランニング・コストをより低減できるようになる(これに対して、前記刃物の底面の幅寸法を例えば約2mm以下に形成したときは、刃物の底面の磨耗がより早くなってしまい、刃物の交換頻度がより多くなって、異物除去作業のランニング・コストがより増大してしまう)。
【0039】
また、本発明では、前記刃物を樹脂材料で形成するようにしているので、刃物の底面の90度の角度のエッジがガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けることが確実に防止できるようになる(これに対して、刃物を金属材料で形成するようにしたときは、その底面の90度の角度のエッジがガラス基板面に食い込んでガラス基板面を傷付けてしまう恐れがある)。
【0040】
また、本発明において、刃物の底面に、流体が流通できる溝を形成するようにしたときは、ガラス基板面の異物除去作業を行うときに、ガラス基板面と刃物の底面との間の前記溝による隙間に水などの流体が流れることが可能になるので、この流体の流れにより、刃物の底面とガラス基板面との摩擦熱の発生が抑えられ、これにより刃物の底面の磨耗の進行が抑えられるようになり、その結果、刃物の交換頻度を抑えて異物除去作業のランニング・コストを低減させることが可能になる。
【0041】
さらに、本発明において、ヘッド部を異物除去ステージからその近傍の研磨ステージに移動させて、研磨ステージで刃物の底面を研磨して、その水平面を高精度に再生させることができるようにしたときは、多数のガラス基板面の異物除去作業の過程でヘッド部の刃物の底面が磨耗して底面に凹凸が生じたり各刃物毎の底面の水平面のバラツキが生じたような場合でも、前記研磨ステージを利用することにより、いちいち刃物を交換するために液晶表示パネルの製造ラインを止める必要が無くなり、刃物の交換による製造ライン停止のロス・タイムを最小に抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1によるガラス基板面のカレット除去装置に使用される刃物を示す図で、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図、(d)はその底面図。
【図2】本実施形態1のヘッド部を示す正面図。
【図3】本実施形態1のヘッド部を示す側面図。
【図4】本実施形態1のヘッド部を示す底面図。
【図5】本実施形態1のヘッド部をガラス基板面と直交する方向に昇降移動及び押圧するための移動及び押圧機構を説明するための正面図。
【図6】図5に示す移動及び押圧機構を説明するための側面図。
【図7】本実施形態1のヘッド部をガラス基板面と平行に移動させるための移動機構を説明するための図で、図5の装置を矢印B方向から見たときの図。
【図8】図7に示す移動機構を説明するための平面図。
【図9】本発明の実施形態2によるヘッド部の刃物を説明するための図で、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図、(d)はその底面図。
【符号の説明】
1,31 刃物
1a,31a 底面
2 回転体
3 ヘッド部
4 スプリング
5 支持プレート
6 シャフト
8 カップリング
11 モーター・ユニット
13 シリンダプレート
14,15 エアシリンダ
16 圧力センサ
17 シーケンサ
18 電空レギュレータ
19 コンプレッサ
20 一軸ロボット
32 溝
Claims (6)
- ガラス基板面のカレット等の異物を除去するためのガラス基板面の異物除去方法であって、
樹脂製の刃物であって、幅寸法が約3mm以上に形成された底面を有しており且つ高さ方向の面が前記底面に対して垂直に形成されている刃物を一つ又は複数個用意し、
前記刃物の底面の全体を、前記刃物の底面がガラス基板面に対して並行になるようにガラス基板面に当接すると共に、ガラス基板面方向に所定の力で押圧し、
前記のガラス基板面に底面が当接及び押圧された刃物を、ガラス基板面と平行な方向に回転させるようにした、ことを特徴とするガラス基板面の異物除去方法。 - 請求項1において、前記刃物は、直方体状に形成されている、ことを特徴とするガラス基板面の異物除去方法。
- 請求項1又は2において、前記刃物の底面には、ガラス基板面との間で流体が流通可能な隙間を形成するための溝が形成されている、ことを特徴とするガラス基板面の異物除去方法。
- ガラス基板面のカレット等の異物を除去するためのガラス基板面の異物除去装置であって、
樹脂製の刃物であって、幅寸法が約3mm以上に形成された底面を有しており且つ高さ方向の面が前記底面に対して垂直に形成されている刃物を一つ又は複数個備えたヘッド部と、
前記ヘッド部を、前記刃物の底面がガラス基板面に対して並行になるように且つ前記刃物の底面の全体がガラス基板面に当接するように昇降移動させるための昇降移動部と、
前記ヘッド部をガラス基板面の方向に所定の力で押圧するための押圧部と、
前記のガラス基板面に前記刃物の底面が当接及び押圧されたヘッド部をガラス基板面と平行な方向に回転させるための回転部と、
を備えたことを特徴とするガラス基板面の異物除去装置。 - 請求項4において、
前記ヘッド部がガラス基板面を押圧している力を検出するための圧力センサと、
前記圧力センサからの出力に基づいて、前記ヘッド部がガラス基板面を押圧している力がほぼ一定になるように、前記押圧部を制御するための押圧制御部と、を備えたことを特徴とするガラス基板面の異物除去装置。 - 請求項4又は5において、複数のガラス基板を順次搬送するためのコンベアと、
前記コンベアの近傍に備えられ、前記ヘッド部の底面を研磨するための研磨ステージと、
前記ヘッド部をコンベア上のガラス基板に対向する位置から前記研磨ステージに対向する位置に移動させるための研磨用移動部と、
を備えたことを特徴とするガラス基板面の異物除去装置。
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Cited By (2)
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CN111792829A (zh) * | 2019-11-20 | 2020-10-20 | 苏州殷绿勒精密机械科技有限公司 | 一种玻璃切割磨边清洗一体式设备 |
CN114472266A (zh) * | 2022-01-14 | 2022-05-13 | 李春钰 | 一种医用隔离箱亚克力板处理设备 |
-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003150449A patent/JP2004351289A/ja active Pending
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