JP2004348008A - V溝基板およびその製造方法、ならびにv溝成形金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】欠けがないV溝基板を成形により良好な転写性や離型性を有した状態で成形できるV溝基板およびその製造方法、ならびにV溝成形金型を提供する。
【解決手段】V溝2を、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面5で構成し、これらの傾斜面5の上端部同士および下端部同士を、湾曲面6,7を介してなだらかに接続する。これにより、V溝成形金型におけるV溝用突状部のエッジ部(上端部および下端部)の応力集中が軽減され、この結果、V溝成形金型の寿命を延ばすことができると同時に、V溝基板のエッジ部での欠けを防いで品質を安定させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】V溝2を、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面5で構成し、これらの傾斜面5の上端部同士および下端部同士を、湾曲面6,7を介してなだらかに接続する。これにより、V溝成形金型におけるV溝用突状部のエッジ部(上端部および下端部)の応力集中が軽減され、この結果、V溝成形金型の寿命を延ばすことができると同時に、V溝基板のエッジ部での欠けを防いで品質を安定させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はV溝基板およびその製造方法、ならびにV溝成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ファイバの敷設、利用が飛躍的に進んでいる。この光ファイバを整列させる部品として、光ファイバと他の光学部品との接続を目的とした光ファイバアレイが知られている。この光ファイバアレイにおいては、光ファイバをV溝に載せて整列させるV溝基板が使用されている。このV溝基板の製造方法は、機械加工、成形、異方性エッチングなどの方法があるが、成形による製造が製造コストや量産性に優れる利点を有することから多く用いられており、この場合の基板材料としては樹脂やガラスがある。
【0003】
基板材料として樹脂を採用する場合には、成形温度が比較的低温(300℃程度)ででき、金型母材も加工が容易な材料が選択でき、金型寿命も長い長所がある。しかしながら、熱等の環境による精度が劣化しやすい問題がある。
【0004】
これに対して、基板材料としてガラスを採用する場合には、成形温度が高温(600℃程度)であるため、金型母材に耐熱性が高い硬脆材料を用いなければならなくて加工が困難であり、金型寿命が短い短所がある。しかしながら、基板材料として樹脂を採用する場合と比較して、熱等の環境による精度が劣化しにくい長所があるため、ガラスを基板材料に使用することが増えている。
【0005】
ここで、V溝の形状は光ファイバの固定方法等によりV溝の角度、形状が決まっている(例えば特許文献1参照)。図10は前記特許文献1に記載された従来のV溝基板などを示すものである。
【0006】
従来のV溝基板70のV溝71は、図10に示すように、互いに鈍角で接触する第1傾斜面72と、これらの第1傾斜面72の上端に続いて形成され、その延長ラインが互いに鋭角で交差する第2傾斜面73との2段の斜面72、73を有しており、V溝71間は水平面74でつながれている。なお、図10における75は光ファイバ、76は上基板である。
【0007】
また、このようなV溝基板70をプレス成形により製造しようとすると、溶融ガラスを粗プレスした後、図11に示すような、2段の傾斜面77、78と、水平面部79とを有するリヒートプレス用のV溝成形金型80を用いて、金型形状を精密に転写させることになる。なお、図11における81は、鋭利な傾斜面77同士が交差する山頂部、82は傾斜面77、78と水平面部79とが接続する谷部である。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−275479号公報(図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のV溝基板70では鋭角から鈍角の複数の角度からなる傾斜面72、73でV溝71が構成されており、V溝成形金型80には鋭角な山頂部81が設けられているため、成形工程において、前記鋭角な山頂部81によりV溝基板70への転写性、離型性を悪くし、V溝成形金型80の寿命が短くなる欠点がある。また、山頂部81や谷部82は、直線同士をつないだエッジ形状であるため、V溝成形金型80の欠けや、成形したV溝基板70の欠けを発生し易いという問題があった。
【0010】
そこで本発明は上記課題を解決するもので、欠けがないV溝基板を成形により良好な転写性や離型性を有した状態で成形できるV溝基板およびその製造方法、ならびにV溝成形金型を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のV溝基板は、V溝が、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面で構成され、これらの傾斜面の上端部同士および下端部同士がなだらかに接続されていることを特徴とする。また、本発明のV溝成形金型は、V溝を形成するV状の突条部が、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面で構成され、これらの傾斜面の上端部同士および下端部同士がなだらかに接続されていることを特徴とする。
【0012】
この構成により、成形によりV溝基板を製造する際に、良好な転写性や離型性を得られ、欠けのない良好なV溝基板を製造できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるV溝基板などの断面図である。図1において、1はV溝2が形成されたV溝基板、3は光ファイバで、この光ファイバ3は、V溝2上に載せられるとともに上基板4によって押さえられた姿勢で固定される。
【0014】
ここで、固定されたときの光ファイバ3の位置決め精度はV溝2を構成している傾斜面5同士のなす角度θ(詳しくは、傾斜面5の延長ライン同士が交差する角度)に依存する。図9に示すように、この角度θが大きくなると、V溝2に接触している光ファイバ3がV溝2から受ける反力Fの水平方向成分Fxが小さくなり、横方向の保持力を小さくする。これを考慮するとV溝2の角度θが90゜以上になると水平方向の成分が小さくなって、光ファイバ3の保持力が減少することから、V溝2の角度θは90゜以下にする必要がある。
【0015】
また、図2の線図は、V溝基板1を、図3に示すV溝成形金型10を用いて一定圧力で成形した場合のV溝2の角度と転写性を示し、この図に示すように、V溝2の角度θが小さくなると成形の転写率が悪くなる。転写率をよくするためには成形のプレス圧力を高くしたり、成形時間を長くしたりする必要がある。これはV溝成形金型10の寿命を短くするので、できるだけ低いプレス圧力で成形時間を短くするのが望ましい。よってV溝成形金型10の寿命を考慮するとV溝2の角度θは60゜以上が望ましい。これらを考慮して、V溝2の角度θは60゜〜90゜であるのがよい。
【0016】
また、図11に示す従来のV溝成形金型80のように、V溝成形用の傾斜面77、78間の山頂部81がエッジ形状だと、プレス成形の時に、この箇所で応力集中が起こるため、V溝基板70(図10参照)に欠けが発生しやすい。そして、谷部82がエッジ形状だと、成形したV溝基板70におけるV溝71間の水平面74の両端部がエッジ形状になり欠けが発生しやすい。
【0017】
このため、本実施の形態のV溝基板1では、V溝2をなす傾斜面5の上端部および下端部に湾曲面部6,7を形成し、これらの湾曲面部6,7を介して、V溝2をなす傾斜面5の上端部同士(いわゆる山頂部)および下端部同士(いわゆる谷部)をなだらかに接続させている。また、これに対応させるべく、V溝成形金型10において、図3に示すように、V溝2の傾斜面5を成形するV溝用突条部14を、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面11で構成し、これらの傾斜面11の上端部同士および下端部同士を、湾曲面部12,13を介してなだらかに接続している。これにより、V溝成形金型10を用いてV溝基板1を成形した際に、欠けが発生しにくいように図っている。
【0018】
本実施の形態1では、図4に示すダイヤモンド砥石20で研削加工を行ってV溝成形金型10を形成した。ここで、ダイヤモンド砥石20のV溝21の角度θは75゜、V溝21の上端部および下端部の湾曲部22、23の曲率半径は0.04mmである。ダイヤモンド砥石11は荒さ#1500の、レジンなどを配合した金属系接着剤によりダイヤ砥粒を結合したものを使用した。そして、幅5mm×長さ10mm×厚み2mmの超硬金属からなるV溝成形金型10の母材に10本のV溝用突条部14を125μmピッチで加工し、図3に示すようなV溝成形金型10を作製した。なお、図3においては、V溝用突条部14を5本設けたものを図示している。このV溝成形金型10のV溝用突条部14の測定を接触式の形状測定器で行い、光ファイバ3の接触する直線のみをデータ解析し、光ファイバ3を固定する箇所の寸法測定を行ったところ、前記固定箇所のピッチ誤差と上下方向のズレとはそれぞれ±0.5μm以内であった。
【0019】
図5に示すように、このV溝成形金型10と平板金型15を用いて、V溝基板1の母材としての、幅4mm×長さ8mm×厚み2mmの平板ガラス8を加熱しながらプレスして成形してV溝基板1を作製した。このようにして成形したV溝基板1に、図1に示すように、光ファイバ2を置き上基板4で押さえて固定した状態で光ファイバ3の中心ピッチ誤差と各V溝2の上下方向のズレとを光学顕微鏡で測定すると±0.5μm以内であり、V溝成形金型10の形状を忠実に転写し、固定したときの横方向のズレも発生してないことを確認できた。また、V溝基板1の上端部および下端部に湾曲面部6、7を設けた構成により、V溝成形金型10におけるV溝用突状部14のエッジ部(上端部および下端部)の応力集中が軽減され、この結果、V溝成形金型10の寿命を延ばすことができると同時に、V溝基板1のエッジ部での欠けを防いで品質を安定させている。
【0020】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2におけるV溝基板のV溝部分の拡大断面図である。図6において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0021】
図6に示すように、このV溝基板1のV溝2の角度θは上記実施の形態1と同じ75゜である。ただし、このV溝基板1では、V溝2間の山頂部と谷部とをそれぞれ、2つの湾曲面部31、31、33、33と、これらの間の直線部32、34とで構成することでエッジのない形状に構成している。また、これに対応して、図7に示すように、V溝2の傾斜面5を成形するV溝成形金型10のV溝用突条部14を、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面11で構成し、これらの傾斜面11の上端部同士および下端部同士を、2つの湾曲面部35、35、36、36とこれらの間の直線部37、38とを介してなだらかに接続している。
【0022】
ところで、実施の形態1においてはV溝基板1の谷部では湾曲面部7の曲率半径は光ファイバ3の半径62.5μm以下でなければ、光ファイバ3を押さえたときにV溝2の両面で固定できないことになる。
【0023】
これに対して、この実施の形態2の構成によれば、V溝基板1におけるV溝2間の谷部を、2つの湾曲面部33、33と、これらの間の直線部34とを組み合わせて形成しているので、前記湾曲面部33の曲率半径は光ファイバ3の半径に関係なくなり、V溝2の傾斜面5と直線34に接する円弧半径で決定されることとなり、金型加工が容易になる。
【0024】
なお、本実施の形態2では、図8に示すダイヤモンド砥石20で研削加工を行って、図7に示すようなV溝成形金型10を形成した。ここで、ダイヤモンド砥石20のV溝21の角度θは75゜、V溝21における下端部の湾曲部23の曲率半径は0.1mmである。ダイヤモンド砥石11は荒さ#1500の、レジンなどを配合した金属系接着剤によりダイヤ砥粒を結合したものを使用した。そして、幅5mm×長さ10mm×厚み2mmの超硬金属からなるV溝成形金型10の母材に10本のV溝用突条部14を125μmピッチで加工した。また、V溝用突条部14の上端部の湾曲部33は研削加工後に研磨で加工してV溝成形金型10を作製した。なお、測定およびV溝基板1の成形工程は実施の形態1と同様なので省略する。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のV溝基板およびV溝成形金型によれば、V溝やV状突条部の傾斜面の上端部同士および下端部同士がなだらかに接続されているので、良好な転写性や離型性を得られ、平板ガラスから成形してV溝基板を良好に作製できるとともに、V溝成形金型の寿命を延ばすことができ、V溝基板の品質が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるV溝基板などの断面図
【図2】V溝角度に対する成形ガラスの転写性の関係を示す線図
【図3】本発明の実施の形態1におけるV溝成形金型の斜視図
【図4】本発明の実施の形態1におけるダイヤモンド砥石の断面図
【図5】本発明の実施の形態1におけるV溝基板をプレスする工程を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態2におけるV溝基板のV溝部分の拡大断面図
【図7】本発明の実施の形態2におけるV溝成形金型の斜視図
【図8】本発明の実施の形態2におけるダイヤモンド砥石の断面図
【図9】V溝角度に対する反力を示す図
【図10】従来のV溝基板の断面図
【図11】従来のV溝成形金型の断面図
【符号の説明】
1 V溝基板
2、21 V溝
3 光ファイバ
4 上基板
5、11 傾斜面
6、7、12、13、22、23、31、35、36
湾曲面部
8 平板ガラス
10 V溝成形金型
14 V溝用突条部
15 平板金型
20 ダイヤモンド砥石
32、34、37、38 直線部
【発明の属する技術分野】
本発明はV溝基板およびその製造方法、ならびにV溝成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ファイバの敷設、利用が飛躍的に進んでいる。この光ファイバを整列させる部品として、光ファイバと他の光学部品との接続を目的とした光ファイバアレイが知られている。この光ファイバアレイにおいては、光ファイバをV溝に載せて整列させるV溝基板が使用されている。このV溝基板の製造方法は、機械加工、成形、異方性エッチングなどの方法があるが、成形による製造が製造コストや量産性に優れる利点を有することから多く用いられており、この場合の基板材料としては樹脂やガラスがある。
【0003】
基板材料として樹脂を採用する場合には、成形温度が比較的低温(300℃程度)ででき、金型母材も加工が容易な材料が選択でき、金型寿命も長い長所がある。しかしながら、熱等の環境による精度が劣化しやすい問題がある。
【0004】
これに対して、基板材料としてガラスを採用する場合には、成形温度が高温(600℃程度)であるため、金型母材に耐熱性が高い硬脆材料を用いなければならなくて加工が困難であり、金型寿命が短い短所がある。しかしながら、基板材料として樹脂を採用する場合と比較して、熱等の環境による精度が劣化しにくい長所があるため、ガラスを基板材料に使用することが増えている。
【0005】
ここで、V溝の形状は光ファイバの固定方法等によりV溝の角度、形状が決まっている(例えば特許文献1参照)。図10は前記特許文献1に記載された従来のV溝基板などを示すものである。
【0006】
従来のV溝基板70のV溝71は、図10に示すように、互いに鈍角で接触する第1傾斜面72と、これらの第1傾斜面72の上端に続いて形成され、その延長ラインが互いに鋭角で交差する第2傾斜面73との2段の斜面72、73を有しており、V溝71間は水平面74でつながれている。なお、図10における75は光ファイバ、76は上基板である。
【0007】
また、このようなV溝基板70をプレス成形により製造しようとすると、溶融ガラスを粗プレスした後、図11に示すような、2段の傾斜面77、78と、水平面部79とを有するリヒートプレス用のV溝成形金型80を用いて、金型形状を精密に転写させることになる。なお、図11における81は、鋭利な傾斜面77同士が交差する山頂部、82は傾斜面77、78と水平面部79とが接続する谷部である。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−275479号公報(図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のV溝基板70では鋭角から鈍角の複数の角度からなる傾斜面72、73でV溝71が構成されており、V溝成形金型80には鋭角な山頂部81が設けられているため、成形工程において、前記鋭角な山頂部81によりV溝基板70への転写性、離型性を悪くし、V溝成形金型80の寿命が短くなる欠点がある。また、山頂部81や谷部82は、直線同士をつないだエッジ形状であるため、V溝成形金型80の欠けや、成形したV溝基板70の欠けを発生し易いという問題があった。
【0010】
そこで本発明は上記課題を解決するもので、欠けがないV溝基板を成形により良好な転写性や離型性を有した状態で成形できるV溝基板およびその製造方法、ならびにV溝成形金型を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のV溝基板は、V溝が、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面で構成され、これらの傾斜面の上端部同士および下端部同士がなだらかに接続されていることを特徴とする。また、本発明のV溝成形金型は、V溝を形成するV状の突条部が、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面で構成され、これらの傾斜面の上端部同士および下端部同士がなだらかに接続されていることを特徴とする。
【0012】
この構成により、成形によりV溝基板を製造する際に、良好な転写性や離型性を得られ、欠けのない良好なV溝基板を製造できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるV溝基板などの断面図である。図1において、1はV溝2が形成されたV溝基板、3は光ファイバで、この光ファイバ3は、V溝2上に載せられるとともに上基板4によって押さえられた姿勢で固定される。
【0014】
ここで、固定されたときの光ファイバ3の位置決め精度はV溝2を構成している傾斜面5同士のなす角度θ(詳しくは、傾斜面5の延長ライン同士が交差する角度)に依存する。図9に示すように、この角度θが大きくなると、V溝2に接触している光ファイバ3がV溝2から受ける反力Fの水平方向成分Fxが小さくなり、横方向の保持力を小さくする。これを考慮するとV溝2の角度θが90゜以上になると水平方向の成分が小さくなって、光ファイバ3の保持力が減少することから、V溝2の角度θは90゜以下にする必要がある。
【0015】
また、図2の線図は、V溝基板1を、図3に示すV溝成形金型10を用いて一定圧力で成形した場合のV溝2の角度と転写性を示し、この図に示すように、V溝2の角度θが小さくなると成形の転写率が悪くなる。転写率をよくするためには成形のプレス圧力を高くしたり、成形時間を長くしたりする必要がある。これはV溝成形金型10の寿命を短くするので、できるだけ低いプレス圧力で成形時間を短くするのが望ましい。よってV溝成形金型10の寿命を考慮するとV溝2の角度θは60゜以上が望ましい。これらを考慮して、V溝2の角度θは60゜〜90゜であるのがよい。
【0016】
また、図11に示す従来のV溝成形金型80のように、V溝成形用の傾斜面77、78間の山頂部81がエッジ形状だと、プレス成形の時に、この箇所で応力集中が起こるため、V溝基板70(図10参照)に欠けが発生しやすい。そして、谷部82がエッジ形状だと、成形したV溝基板70におけるV溝71間の水平面74の両端部がエッジ形状になり欠けが発生しやすい。
【0017】
このため、本実施の形態のV溝基板1では、V溝2をなす傾斜面5の上端部および下端部に湾曲面部6,7を形成し、これらの湾曲面部6,7を介して、V溝2をなす傾斜面5の上端部同士(いわゆる山頂部)および下端部同士(いわゆる谷部)をなだらかに接続させている。また、これに対応させるべく、V溝成形金型10において、図3に示すように、V溝2の傾斜面5を成形するV溝用突条部14を、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面11で構成し、これらの傾斜面11の上端部同士および下端部同士を、湾曲面部12,13を介してなだらかに接続している。これにより、V溝成形金型10を用いてV溝基板1を成形した際に、欠けが発生しにくいように図っている。
【0018】
本実施の形態1では、図4に示すダイヤモンド砥石20で研削加工を行ってV溝成形金型10を形成した。ここで、ダイヤモンド砥石20のV溝21の角度θは75゜、V溝21の上端部および下端部の湾曲部22、23の曲率半径は0.04mmである。ダイヤモンド砥石11は荒さ#1500の、レジンなどを配合した金属系接着剤によりダイヤ砥粒を結合したものを使用した。そして、幅5mm×長さ10mm×厚み2mmの超硬金属からなるV溝成形金型10の母材に10本のV溝用突条部14を125μmピッチで加工し、図3に示すようなV溝成形金型10を作製した。なお、図3においては、V溝用突条部14を5本設けたものを図示している。このV溝成形金型10のV溝用突条部14の測定を接触式の形状測定器で行い、光ファイバ3の接触する直線のみをデータ解析し、光ファイバ3を固定する箇所の寸法測定を行ったところ、前記固定箇所のピッチ誤差と上下方向のズレとはそれぞれ±0.5μm以内であった。
【0019】
図5に示すように、このV溝成形金型10と平板金型15を用いて、V溝基板1の母材としての、幅4mm×長さ8mm×厚み2mmの平板ガラス8を加熱しながらプレスして成形してV溝基板1を作製した。このようにして成形したV溝基板1に、図1に示すように、光ファイバ2を置き上基板4で押さえて固定した状態で光ファイバ3の中心ピッチ誤差と各V溝2の上下方向のズレとを光学顕微鏡で測定すると±0.5μm以内であり、V溝成形金型10の形状を忠実に転写し、固定したときの横方向のズレも発生してないことを確認できた。また、V溝基板1の上端部および下端部に湾曲面部6、7を設けた構成により、V溝成形金型10におけるV溝用突状部14のエッジ部(上端部および下端部)の応力集中が軽減され、この結果、V溝成形金型10の寿命を延ばすことができると同時に、V溝基板1のエッジ部での欠けを防いで品質を安定させている。
【0020】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2におけるV溝基板のV溝部分の拡大断面図である。図6において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0021】
図6に示すように、このV溝基板1のV溝2の角度θは上記実施の形態1と同じ75゜である。ただし、このV溝基板1では、V溝2間の山頂部と谷部とをそれぞれ、2つの湾曲面部31、31、33、33と、これらの間の直線部32、34とで構成することでエッジのない形状に構成している。また、これに対応して、図7に示すように、V溝2の傾斜面5を成形するV溝成形金型10のV溝用突条部14を、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面11で構成し、これらの傾斜面11の上端部同士および下端部同士を、2つの湾曲面部35、35、36、36とこれらの間の直線部37、38とを介してなだらかに接続している。
【0022】
ところで、実施の形態1においてはV溝基板1の谷部では湾曲面部7の曲率半径は光ファイバ3の半径62.5μm以下でなければ、光ファイバ3を押さえたときにV溝2の両面で固定できないことになる。
【0023】
これに対して、この実施の形態2の構成によれば、V溝基板1におけるV溝2間の谷部を、2つの湾曲面部33、33と、これらの間の直線部34とを組み合わせて形成しているので、前記湾曲面部33の曲率半径は光ファイバ3の半径に関係なくなり、V溝2の傾斜面5と直線34に接する円弧半径で決定されることとなり、金型加工が容易になる。
【0024】
なお、本実施の形態2では、図8に示すダイヤモンド砥石20で研削加工を行って、図7に示すようなV溝成形金型10を形成した。ここで、ダイヤモンド砥石20のV溝21の角度θは75゜、V溝21における下端部の湾曲部23の曲率半径は0.1mmである。ダイヤモンド砥石11は荒さ#1500の、レジンなどを配合した金属系接着剤によりダイヤ砥粒を結合したものを使用した。そして、幅5mm×長さ10mm×厚み2mmの超硬金属からなるV溝成形金型10の母材に10本のV溝用突条部14を125μmピッチで加工した。また、V溝用突条部14の上端部の湾曲部33は研削加工後に研磨で加工してV溝成形金型10を作製した。なお、測定およびV溝基板1の成形工程は実施の形態1と同様なので省略する。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のV溝基板およびV溝成形金型によれば、V溝やV状突条部の傾斜面の上端部同士および下端部同士がなだらかに接続されているので、良好な転写性や離型性を得られ、平板ガラスから成形してV溝基板を良好に作製できるとともに、V溝成形金型の寿命を延ばすことができ、V溝基板の品質が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるV溝基板などの断面図
【図2】V溝角度に対する成形ガラスの転写性の関係を示す線図
【図3】本発明の実施の形態1におけるV溝成形金型の斜視図
【図4】本発明の実施の形態1におけるダイヤモンド砥石の断面図
【図5】本発明の実施の形態1におけるV溝基板をプレスする工程を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態2におけるV溝基板のV溝部分の拡大断面図
【図7】本発明の実施の形態2におけるV溝成形金型の斜視図
【図8】本発明の実施の形態2におけるダイヤモンド砥石の断面図
【図9】V溝角度に対する反力を示す図
【図10】従来のV溝基板の断面図
【図11】従来のV溝成形金型の断面図
【符号の説明】
1 V溝基板
2、21 V溝
3 光ファイバ
4 上基板
5、11 傾斜面
6、7、12、13、22、23、31、35、36
湾曲面部
8 平板ガラス
10 V溝成形金型
14 V溝用突条部
15 平板金型
20 ダイヤモンド砥石
32、34、37、38 直線部
Claims (6)
- 光ファイバを載せるV溝が形成されたV溝基板であって、前記V溝が、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面で構成され、これらの傾斜面の上端部同士および下端部同士がなだらかに接続されていることを特徴とするV溝基板。
- 傾斜面の上端部同士および下端部同士の接続部分が、曲線または曲線と直線との組み合わせにより構成されて、曲線形状に近い多角形の形状であることを特徴とする請求項1に記載のV溝基板。
- 平板ガラスをプレス成形することにより請求項1または請求項2に記載のV溝基板を製造することを特徴とするV溝基板の製造方法。
- 光ファイバを載せるV溝が形成されたV溝基板を成形するV溝成形金型であって、前記V溝を形成するV状の突条部が、60゜〜90゜の角度でV形状に傾斜する傾斜面で構成され、これらの傾斜面の上端部同士および下端部同士がなだらかに接続されていることを特徴とするV溝成形金型。
- 傾斜面の上端部同士および下端部同士の接続部分が、曲線または曲線と直線との組み合わせにより構成されて、曲線形状に近い多角形の形状であることを特徴とする請求項4に記載のV溝成形金型。
- 母材が超硬金属であることを特徴とする請求項4または5に記載のV溝成形金型。
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-
2003
- 2003-05-26 JP JP2003147056A patent/JP2004348008A/ja active Pending
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