JP2004346954A - 樹脂製留め具、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】留め具の組付け作業時に大きな力を加えずに組付け作業することができ、かつ、組付け後には十分な固定強さを発揮することができる樹脂製留め具を提供する。その留め具の素材として、リサイクル材料を使用することが可能となる留め具の製造方法を提供する。
【解決手段】弾性変形する係止片部を有する樹脂製留め具であって、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に、平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入した繊維補強樹脂組成物から成形されているものである。この補強用繊維としては、使用済み合成繊維製品から回収された短繊維を用いることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】弾性変形する係止片部を有する樹脂製留め具であって、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に、平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入した繊維補強樹脂組成物から成形されているものである。この補強用繊維としては、使用済み合成繊維製品から回収された短繊維を用いることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の製品を組立て製造する際に板状材や部品等を留め付けるために使用される樹脂製留め具の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂を溶融成形することにより製造される留め具は、車両等の製品を組立て製造する際に、部材又は部品を組み付けるための取外し可能な留め具として、広範に用いられている。そのために、樹脂製留め具としては、種々多様な形状の物が用いられ、また提案されている。例えば、板状体等の取付けのために、単一部材からなる留め具の形状を改良したもの(特許文献1や特許文献2参照)、グロメットの孔にピンを差込んで留めつけるタイプのもの(特許文献3参照)など、使用目的によって様々のものがある。
【0003】
即ち、特許文献1に記載された留め具は、皿部、その中央から突出した支柱部、及びその支柱の端部から外側に突出した弾性変形可能な係止片部からなる樹脂一体成形物であり、係止片部を内側に変形させた状態で支柱部及び係止片部を取付孔に挿入し、通過後には係止片部の変形を解いて外側に突出させて固定させるものである。特許文献2に記載された留め具は、片側にフランジのついた筒体、そのフランジの下方に、円錐面状の止水用突出片、及び弾性変形可能な係止片部が形成された形状を有する樹脂成形物であり、取付孔を通過時には係止片部が内側に変形し、通過後には係止片部が本来の形状に戻って固定されるものである。
【0004】
また、特許文献3に記載された留め具は、一端側にフランジのついた筒体状のグロメットと、その中央の孔にねじ込まれるピンとからなる留め具であり、グロメットの筒体部を取付孔に差込んだ状態で、グロメットの中央の孔にフランジ側からピンをねじ込むと、筒体部の他端側のスリットにより分割された先端片が外方に変形して拡開し固定されるものである。
【0005】
このような樹脂製留め具は、取付孔へ挿入する時や固定する時に、弾性変形可能な係止片部の変形を利用するものであり、例えば、特許文献1や2の場合では、取付孔を通す時に係止片部が変形され、また、特許文献3の場合では、留め具を固定する時に係止片部が変形される。
【0006】
上記した従来技術のように、使用目的に応じた所望水準の固定強度を得るために留め具の形状や機構を変更することや、また、押し込み負荷を低減するためにネジを二段に分割することなどの工夫がされてきている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−260493号公報
【特許文献2】特開2000−346016号公報
【特許文献3】特開2002−213417号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した従来技術のような形状や機構の変更による改良では、新たな金型を設計したり、取付部材の形状変更など、新たな費用の発生を伴い、さらに作業の変更も伴うことにもなる。
【0009】
そこで、留め具の形状や機構を変更するのでなく、樹脂材料を変更することによる改良も考えられるが、実際には、樹脂材料の耐熱性から、ナイロン6やナイロン66という汎用ナイロン樹脂が広く使用されている。ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂のような樹脂も用途により使用されているが、樹脂素材面からの検討は殆どなされていなかった。
【0010】
ナイロン6やナイロン66のような汎用ナイロン樹脂を使用した留め具の場合、固定時の強度は十分であるが、弾性変形させるために大きな力を加える必要があるので、留め具を組付ける際に作業者が大きな力を加えて作業する必要がある。
【0011】
特に自動車生産においては、1台の車に多くの装置や部品が使用され、組み付けのために多量の留め具が使用されているが、その組み付け作業では、ロボット等が使用できず、人手による組み付けが行われている。従来のナイロン樹脂製の留め具では、取り付けのため、係止片部を押し込むための大きな力が必要である。電動工具等で締め付けても、工具が重く、作業もまちまちで、組み付けの作業性が悪いという問題があった。また、作業者は、大きな押込み力で作業するため、手や腕への繰り返しの負担のため、腱鞘炎などの健康障害が発生し易い。そこで、部品によっては組み付け時の押込み力に制限を設ける等、労働災害対策が講じられてきているが、未だ十分ではなく、さらなる改良が求められている。
【0012】
そこで、本発明は、留め具の組付け作業時に大きな力を加えずに組付け作業することができ、かつ、組付け固定後には十分な固定強さを発揮することができる樹脂製留め具を提供することを主たる目的とするものである。
また、その留め具の素材として、リサイクル材料を使用することが可能となる留め具の製造方法を提供することを他の目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂製留め具は、弾性変形する係止片部を有する樹脂製留め具において、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に、平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入させた繊維補強樹脂組成物から成形されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、この樹脂製留め具は、平均繊維長0.1〜6mmの短繊維状合成繊維を、曲げ弾性率が2800MPa以下、好ましくは2500MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂と溶融混練した後、射出成形又は押出成形することにより製造することができる。
その補強用繊維や樹脂としてリサイクル原料を用いる場合には、次の方法が有効である。
【0015】
合成繊維からなる繊維製品又は繊維屑を、所望により洗浄、選別した後、樹脂加工し、裁断及び/又は粉砕することにより平均繊維長を0.1〜6mmとした回収短繊維を、補強用繊維として用いるという方法、又は、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入させた繊維補強樹脂組成物からなる樹脂成形品又は成形屑を、粉砕して回収樹脂組成物砕片とし、該砕片を、必要に応じて未使用の繊維強化樹脂組成物と溶融混練した後、射出成形又は押出成形用材料として用いるという方法である。
【0016】
本発明の留め具は、曲げ弾性率が比較的低く、柔軟な熱可塑性樹脂から成形された留め具であっても、特定繊維長の補強用繊維が混入されていることにより、柔軟熱可塑性樹脂の欠点である剛性不足が改善されるので、柔らかくて作業性が良好な留め具であるとともに、留め具に要求される強度水準を満足させることができる。即ち、留め具の形状や設計を変更しなくても、容易に、留め具の組付け時における押込み力を低減し、組付け作業性を大幅に改善することができ、かつ、実用上必要な留め具強度を持たせることができる。
【0017】
また、その補強用繊維としてリサイクル原料を使う場合には、回収繊維製品類から補強用繊維を製造する一連の工程において、回収繊維製品類を裁断・破砕処理する前に樹脂加工することが有効であり、これにより樹脂混練用として好適な短繊維状補強用繊維を製造することができ、短繊維が均一に分散された樹脂組成物や樹脂製留め具を容易に製造することができるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の留め具の実施形態等を説明する。
本発明の留め具を構成する材料として用いる柔軟熱可塑性樹脂は、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟な熱可塑性樹脂である。また、この樹脂の曲げ強度が100MPa以下である場合に、本発明は特に効果的である。
【0019】
そのような柔軟熱可塑性樹脂としては、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリプロピレン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が挙げられる。上記曲げ弾性率水準であるならば、それ以外の樹脂又はポリマーアロイを用いることもできる。例えば、ポリマーアロイでは、ポリアミド樹脂とポリプロピレン樹脂とのポリマーアロイ、変性ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂とのポリマーアロイ、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイなど、2種類以上の樹脂を混合したポリマーアロイが挙げられる。
【0020】
上記した樹脂のなかでも、エラストマー成分を含む熱可塑性エラストマー樹脂が好ましく、例えば、ポリオレフィン系エラストマー樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂およびポリウレタン系エラストマー樹脂が挙げられる。このエラストマー樹脂はゴム成分を含み非常に柔らかく、留め具を小さな押し込み力で簡単に挿入することができる。
【0021】
ポリエステル系エラストマー樹脂は、ゴム弾性をもちつつ、エンジニアリングプラスチックのように機能性も高く、成形加工性も良好で、例えば、東レ・デュポン(株)製のハイトレル(R)で代表される。
【0022】
ポリオレフィン系エラストマー樹脂は、主たるモノマ成分がオレフィン系である熱可塑性エラストマー樹脂であり、合板用建装フィルム用、文具・雑貨などの一般透明フィルム用、又は、押出し成形用として、さらには、異種プラスチックの柔軟性向上や耐熱性向上の改質剤として用いられている樹脂である。
【0023】
ポリプロピレン樹脂は、110〜120℃程度の耐熱性をもち、そのモノマ組成により単独重合体と、共重合体であるランダムコポリマー、ブロックコポリマーとがあり、使用用途によって選択される。一般にポリプロピレン単独重合体は高剛性で、光沢がよく鮮やかな色彩に着色できる。 一方、ランダムコポリマーは透明性が高く、特にブロックコポリマーは単独重合体よりも耐衝撃強度が優れている。これらポリプロピレン樹脂は、洗面器、洗濯機脱水槽、包装用透明フイルムなどの用途に用いられている。
【0024】
これらの柔軟熱可塑性樹脂は、曲げ弾性率が2800MPa以下と弾性変形し易いので、取付孔を通過させる際に留め具にかける押込みの力は小さくてすむが、その反面、一般に曲げ強度が100MPa以下と低いので、部材又は部品どうしを強固に結合するという留め具本来の機能が不十分となり易い。その低い樹脂強度を補うために、留め具各部の肉厚を厚くしたり、止め方を変更するなどの工夫が加えられてきているが、それでも十分な改善効果は得られ難い。
【0025】
本発明においては、上記柔軟熱可塑性樹脂の欠点を補うために、短繊維の合成繊維を混入させて補強したものである。この合成繊維は、補強機能を発揮できる繊維であれば特に限定されないが、引張り強度7.5cN/dtex以上を有する繊維であることが好ましく、さらに引張り強度12.0N/dtex以上を有する高強度繊維が好ましい。好ましくは、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、又はポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維の短繊維であることが好ましい。このような高機能繊維は、特に高強度や高弾性率の点において汎用合成繊維を超える高機能を有するので、本発明における補強用繊維として特に好適である。それ以外の汎用合成繊維、例えば、ナイロン66繊維、ナイロン6繊維、ポリエチレン繊維、PPS繊維、ポリビニルアルコール繊維のような合成繊維も、留め具の用途によっては補強用繊維として用いることができる。
【0026】
本発明で柔軟熱可塑性樹脂に混入させるときの補強用繊維は、平均繊維長0.1〜6mmという短繊維で、好ましくは0.1〜3mmで、樹脂中に、即ち成形された留め具中に均一に分散させるため、かつ、所望の補強効果を得るために必要である。即ち、その平均繊維長が短か過ぎるものが多いと十分な補強効果が得られ難く、また、平均繊維長が長過ぎると樹脂中に均一に分散させることが難しく補強効果もまちまちになり、使える留め具が得られ難い。
【0027】
また、その短繊維の、樹脂組成物中における含有量は、5〜40重量%が好ましく、さらには、5〜20重量%が好ましい。この含有量が少な過ぎる場合には十分な補強効果が得られ難く、また、多すぎる場合には樹脂中に均一に分散させることが難しく混練や成形の作業が難しくなる。
【0028】
また、本発明の樹脂製留め具は、その使用目的や要求性能により、材料や形状が異なり、非常に多くの種類があるが、その殆どは、弾性変形する係止片部を有する形状であって、その係止片部の弾性変形を利用して取付け固定するものである。その留め具の中に、グロメットと称されているものがある。
【0029】
代表的な留め具の形状として、例えば、図1や図4に示す形状のものが挙げられる。図1は本発明の樹脂製留め具の一実施態様を示すものであり、図1(b)はその下面図、図1(a)は、図1(b)における線I−Iでの断面図、図1(c)は、図1(a)の右方向からみた側面図である。
【0030】
また、図2は、留め具の特性評価のために、図1の留め具を板状体の取付け孔に押込んで取付ける状態を説明するためのものであり、図2(a)は留め具を取付けて固定した状態を示す断面図で、図2(b)は、留め具の押し込みを始める状態を示している。なお、図2(b)には、留め具の押し込み力測定用の架台を波線で示した。図3には、取り付けられた留め具の係止片部の破断強さ測定を示している。
【0031】
図1〜図3に示すグロメットタイプの留め具1は、全体が一体成形された構造であり、中央に中空部のある角形部2の一端側にフランジ3があり、他端側が組み付け時の挿入のためにテーパー状となっていて、その挿入端から斜め外方に向かって突出した係止片部4が形成されている。この係止片部4は、挿入端で角形部2と繋がっていて、角形部2を挟んで相対する方向に2つ形成されているので、この留め具1を、板状体5の取付け孔6内に押込むように力を加えると、係止片部4は、取付け孔6の内径端で押される内方向への力によって、係止片部4と角形部2の繋がり部分で弾性変形する。この弾性変形によって、係止片部4の外径は、取付け孔6の内径を通過できるまで縮径して、フランジ3が板状体5の表面に当たって止まるまで押込まれる。板状体5の表面にフランジ3が接した状態では、係止片部4にかかる外方からの力がなくなるので、係止片部4は元の状態に戻り、その先端部が板状体5を片側から支える状態となる。この結果、取付けられた留め具1は、フランジ3と係止片部4の先端部とで板状体5の両側を支えることになり、固定される。
【0032】
図4は、弾性変形する係止片部を有する樹脂製留め具の他の一実施態様を示すものであり、(a)はその断面図であり、(b)は、この留め具を用いて2枚の板状体を少し離した状態で組み付けた状態を示す断面図である。
【0033】
図4(a)、(b)において、留め具11の上部にはフランジ13があり、このフランジ13の下面と中係止片部15の上面との間で上板状体17が挟まれて固定される。この上板状体17への留め具11の取付けは、上板状体17の取付け孔位置へと通じる横溝に留め具11を横から嵌め込んでスライドさせる方法によって行われる。また、下板状体16への留め具11の取付けは、下板状体16の取付け孔内に、留め具の下係止片部14を上から差し込み、力を加えて押し込むことによって行われる。この際、下係止片部14は取付け孔の内径端で内方向へと押されるので、下係止片部14が内側に縮径された状態で取付け孔を通過し、図4(b)で示される固定位置に達すると、下係止片部14は元の状態に戻り、下係止片部14の肩部分と中係止片部15′の下面とで下板状体16を上下から挟んで固定した状態となる。
【0034】
本発明の樹脂製留め具は、平均繊維長0.1〜6mmである短繊維の補強繊維を、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に溶融混練させ、所望により所定のペレットにした後、射出成形や押出成形で、所定形状とすることにより製造できる。
【0035】
その留め具の製造に用いる素材の一部の補強用繊維や柔軟熱可塑性樹脂としてリサイクル材料を使用することができる。その場合の留め具の製造方法を以下説明する。
【0036】
まず、使用済み合成繊維製品、その繊維製品を製造する工程で発生する不良品や端切れのような製品屑、及び、合成繊維製造工程で発生した繊維屑のような繊維製品類が、補強用繊維用のリサイクル素材として用いられる。これら合成繊維の繊維製品類に汚れが付着している場合には、予め水や有機溶媒などで汚れ等の不純物を洗浄・除去することを適宜行なう。また、必要に応じて、選別や不要部材の切断除去を行う。
【0037】
その後、繊維製品類を、水系または有機系溶媒に溶解または分散させた樹脂液によって樹脂加工する。この樹脂加工は、回収して得られる短繊維を樹脂中に分散させる際の分散性向上のために効果的である。その樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリフェノール、ポリイソシアネート、尿素樹脂などが挙げられる。ここで用いられる樹脂は、その補強用繊維を混合する時のマトリックス樹脂、即ち、前記した柔軟熱可塑性樹脂と同種またはそれと相溶性の良い樹脂であることが望ましい。マトリックス樹脂との相溶性に劣る樹脂では樹脂加工しても、得られる強化樹脂組成物中での繊維の分散性が改善されず均一な物性を有する成形品が得られ難い。例えば、マトリックス樹脂としてポリエステル系エラストマー樹脂を用いる場合には、処理するのに用いる樹脂としては、水に溶解又は分散性のポリウレタン、ポリイソシアネート、尿素樹脂などが選択される。なお、この樹脂処理は、主として加工用樹脂を溶融させた液を、リサイクル繊維製品類に付着させる方法によって行ってもよい。また、樹脂加工に利用する有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、酢酸エステル類などが挙げられる。
【0038】
樹脂加工した繊維製品類は、必要に応じて乾燥して付着溶媒を除去した後、剪断型破砕装置を用いて裁断及び/又は粉砕し、平均繊維長が0.1〜6mmの短繊維状とする。この回収した短繊維を、必要に応じて未使用の所定長さの補強用繊維と併用し、補強繊維として、柔軟な熱可塑性樹脂に溶融混練させる。この際の短繊維の混合割合は5〜40重量%であることが好ましい。溶融混練した後、留め具に成形する前には、一旦溶融押し出し、切断してペレット状に加工することが一般的に行われる。
【0039】
このようにして得られる繊維補強された樹脂組成物のペレットからの、本発明の留め具の製造は、従来の留め具製造と同様に、射出成形や押出成形により行えばよい。
【0040】
また、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に、平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入させた繊維補強樹脂組成物からなる樹脂成形品又は成形屑をリサイクルして用いる場合には、それら回収成形品類を粉砕して回収樹脂組成物砕片とし、該砕片を、必要に応じて未使用の繊維強化樹脂組成物と溶融混練した後、上記同様の方法でペレットにし、射出成形や押出成形することにより、製造すればよい。
【0041】
【実施例】
[実施例1]
東レ・デュポン(株)製アラミド繊維KEVLAR(R)の紡績糸(20番手/2)を使用して編成した手袋の重さが1双あたり60gであるアラミド製手袋の使用済み品を、市販の中性洗剤を用いて洗濯して汚れを落とし、乾燥した後、手首のゴム入り締め部分を裁断除去した。
【0042】
この機能性繊維からなる手袋を、水溶性ウレタン樹脂(山南合成化学(株)製“エクセロンXA−038”)の25%濃度水溶液に含浸し、脱水して、循環式の熱風乾燥機で120℃で30分間以上乾燥した。得られた樹脂加工処理手袋には上記ウレタン樹脂が15〜20重量%付着していた。
【0043】
次いで、ホロン精工(株)の3軸破砕機「BITEX/SC500−110」で樹脂加工処理された手袋を粉砕し、平均繊維長が3mm程度の短繊維を得た。この粉砕処理では、初めに刃幅25mmの2軸シュレッダー刃によって手袋を粗砕し、細かくした後、同機械の刃幅6mmの粉砕刃と固定刃によって粉砕し、短繊維を得た。
【0044】
得られた短繊維(平均繊維長3mm程度)と、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂(東レ・デュポン(株)製“ハイトレル 6347”(メルトインデックス13g/10分)とを、別々に押出し機に投入し、240℃で溶融混練し押出して、短繊維含有量が10重量%のペレットを作った。このペレットを材料とし、新潟鉄工(株)製の射出成形機MD−75Sで、所定の金型を用いて、射出部のノズル部温度を240℃、留め具の金型温度を60℃にして、射出成形し、図1に示す形状の留め具で、挿入部側の先端から、開いた2枚の突出部(係止片部)が斜め外方に突出している。その挿入部側の先端での外側の直径は約1.8mm、係止片部の先端側での外側の直径が、最大(変形なしの状態)で約2.2mmのものを成形した。
【0045】
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0046】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で、短繊維含有量が20重量%であるポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂組成物のペレットを製造した後、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0047】
[実施例3]
熱可塑性樹脂を、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(出光石油化学(株)製“IDEMITSU TPO E−2900H”(MFR 2.8g/10分))に変更した以外は実施例1と同様の方法で、短繊維含有量が10重量%のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂組成物のペレットを製造した後、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0048】
[実施例4]
実施例3と同様の方法で、短繊維含有量が20重量%であるポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂組成物のペレットを製造した後、実施例3と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0049】
[実施例5]
熱可塑性樹脂を、ポリプロピレン樹脂(出光石油化学(株)製“IDEMITSU PP J−762HP”(MFR 13g/10分))に変更した以外は実施例1と同様の方法で、短繊維含有量が10重量%のポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造した後、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0050】
[比較例1]
ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂に短繊維を混合しなかった以外は、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0051】
[比較例2]
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂に短繊維を混合しなかった以外は、実施例3と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0052】
[比較例3]
通常の射出成形用ナイロン66樹脂を、短繊維を混入させずに樹脂材料として用いた以外は、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0053】
[留め具の押込み力、係止片部強さの測定方法]
直径22mmの取付け孔が開けられた、大きさ50mm×50mm、厚さ3mmの板を用い、その取付け孔の上部から、留め具を図2(b)に示す位置に載せセットする。その上から、直径5mmの圧子によって力を加えて押し込むことにより、取付け孔に固定される。留め具が、押し込まれる時には、孔径より大きな係止片部は弾性変形により縮径され、その状態で取付け孔内を通過し、係止片部が通過し終わると再び開いて図2(a)のような状態で取付け孔に固定される。
【0054】
その取付け時に押込みのために圧子を通じて加えた力の最大値を測定し、押込み力とした。また、図3のようにはめ込まれた留め具を、その底部から直径5mmの圧子によって力を加えた時、2枚の係止片部が壊れた時の最大荷重値を測定し、引抜き時係止片部強さとした。
【0055】
【表1】
【0056】
なお、上記実施例や比較例で用いた熱可塑性樹脂の曲げ特性は表2の通りであった。また、補強用繊維として用いたアラミド繊維KEVLAR(R)の引張り強度は20.3cN/dtexであった。
【0057】
【表2】
【0058】
表1に示した留め具の特性からわかるように、補強用繊維で補強した柔軟性樹脂組成物から成形された留め具の場合は、押込み力が低く、留め具の取付け作業性が良好であり、かつ、引抜きの強さも改善され、留め具本来の強固な固定機能を発揮することができる。
【0059】
これに対し、柔軟熱可塑性樹脂のみから成形して得られた比較例1、2の留め具の場合は、押込み力が低く、留め具の取付け作業性は良好であるものの、引抜きの強さが低く、留め具の固定強さは弱いものであった。また、ナイロン66のみから成形して得られた比較例4の留め具の場合は、押込み力が高く、留め具の取付け作業性が良くないものであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によると、弾性変形する係止片部を有する形状であるために柔らかさと強さとを併せもつことが要求される樹脂製留め具において、形状設計を変更しなくても、柔らかさと強さとを兼備した留め具とすることができる。従って、組付け後には十分な固定強さを有する留め具で、かつ留め具の組付け作業時に大きな力を加えずに組付け作業することができるものとすることができる。これは、組付け作業性の改善を図るために有効であり、特に作業者の手や腕にかかる負担を軽減し、腱鞘炎等の労働災害を防止するために有効である。
【0061】
また、短繊維等にリサイクル原料を使用する本発明法によると、使用済み合成繊維糸製品をリサイクル使用することができ、かつ繊維やその繊維製品の製造時、又は留め具の製造時に発生する不良品や繊維屑や樹脂屑のリサイクル使用もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂製留め具の一実施態様を示すものであり、(b)はその下面図、(a)は(b)における線I−Iでの断面図、(c)は(b)の右方向からみた側面図である。
【図2】図1の留め具を板状体の取付け孔に押込んで取付ける状態を説明するためのものであり、(b)は留め具を押し込み開始する時点の状態を示す断面図、(a)は留め具を板状態に取付けて固定した状態を示す断面図である。なお、留め具の押込み力を測定するための要素を波線でもって示す。
【図3】取り付けられた留め具の係止片部強さを測定する時の状態を示す断面図である。
【図4】本発明の樹脂製留め具の他の一実施態様を示すものであり、(a)は留め具の断面図、(b)は留め具を2枚の板状体に固定した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1:留め具、 2:角形部、 3:フランジ、 4:係止片部、 5:板状体、6:取付け孔、 11:留め具、 13:フランジ、 14:下係止片部、 15、15′:中係止片部、 16:下板状体、 17:上下板状体
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の製品を組立て製造する際に板状材や部品等を留め付けるために使用される樹脂製留め具の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂を溶融成形することにより製造される留め具は、車両等の製品を組立て製造する際に、部材又は部品を組み付けるための取外し可能な留め具として、広範に用いられている。そのために、樹脂製留め具としては、種々多様な形状の物が用いられ、また提案されている。例えば、板状体等の取付けのために、単一部材からなる留め具の形状を改良したもの(特許文献1や特許文献2参照)、グロメットの孔にピンを差込んで留めつけるタイプのもの(特許文献3参照)など、使用目的によって様々のものがある。
【0003】
即ち、特許文献1に記載された留め具は、皿部、その中央から突出した支柱部、及びその支柱の端部から外側に突出した弾性変形可能な係止片部からなる樹脂一体成形物であり、係止片部を内側に変形させた状態で支柱部及び係止片部を取付孔に挿入し、通過後には係止片部の変形を解いて外側に突出させて固定させるものである。特許文献2に記載された留め具は、片側にフランジのついた筒体、そのフランジの下方に、円錐面状の止水用突出片、及び弾性変形可能な係止片部が形成された形状を有する樹脂成形物であり、取付孔を通過時には係止片部が内側に変形し、通過後には係止片部が本来の形状に戻って固定されるものである。
【0004】
また、特許文献3に記載された留め具は、一端側にフランジのついた筒体状のグロメットと、その中央の孔にねじ込まれるピンとからなる留め具であり、グロメットの筒体部を取付孔に差込んだ状態で、グロメットの中央の孔にフランジ側からピンをねじ込むと、筒体部の他端側のスリットにより分割された先端片が外方に変形して拡開し固定されるものである。
【0005】
このような樹脂製留め具は、取付孔へ挿入する時や固定する時に、弾性変形可能な係止片部の変形を利用するものであり、例えば、特許文献1や2の場合では、取付孔を通す時に係止片部が変形され、また、特許文献3の場合では、留め具を固定する時に係止片部が変形される。
【0006】
上記した従来技術のように、使用目的に応じた所望水準の固定強度を得るために留め具の形状や機構を変更することや、また、押し込み負荷を低減するためにネジを二段に分割することなどの工夫がされてきている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−260493号公報
【特許文献2】特開2000−346016号公報
【特許文献3】特開2002−213417号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した従来技術のような形状や機構の変更による改良では、新たな金型を設計したり、取付部材の形状変更など、新たな費用の発生を伴い、さらに作業の変更も伴うことにもなる。
【0009】
そこで、留め具の形状や機構を変更するのでなく、樹脂材料を変更することによる改良も考えられるが、実際には、樹脂材料の耐熱性から、ナイロン6やナイロン66という汎用ナイロン樹脂が広く使用されている。ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂のような樹脂も用途により使用されているが、樹脂素材面からの検討は殆どなされていなかった。
【0010】
ナイロン6やナイロン66のような汎用ナイロン樹脂を使用した留め具の場合、固定時の強度は十分であるが、弾性変形させるために大きな力を加える必要があるので、留め具を組付ける際に作業者が大きな力を加えて作業する必要がある。
【0011】
特に自動車生産においては、1台の車に多くの装置や部品が使用され、組み付けのために多量の留め具が使用されているが、その組み付け作業では、ロボット等が使用できず、人手による組み付けが行われている。従来のナイロン樹脂製の留め具では、取り付けのため、係止片部を押し込むための大きな力が必要である。電動工具等で締め付けても、工具が重く、作業もまちまちで、組み付けの作業性が悪いという問題があった。また、作業者は、大きな押込み力で作業するため、手や腕への繰り返しの負担のため、腱鞘炎などの健康障害が発生し易い。そこで、部品によっては組み付け時の押込み力に制限を設ける等、労働災害対策が講じられてきているが、未だ十分ではなく、さらなる改良が求められている。
【0012】
そこで、本発明は、留め具の組付け作業時に大きな力を加えずに組付け作業することができ、かつ、組付け固定後には十分な固定強さを発揮することができる樹脂製留め具を提供することを主たる目的とするものである。
また、その留め具の素材として、リサイクル材料を使用することが可能となる留め具の製造方法を提供することを他の目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂製留め具は、弾性変形する係止片部を有する樹脂製留め具において、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に、平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入させた繊維補強樹脂組成物から成形されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、この樹脂製留め具は、平均繊維長0.1〜6mmの短繊維状合成繊維を、曲げ弾性率が2800MPa以下、好ましくは2500MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂と溶融混練した後、射出成形又は押出成形することにより製造することができる。
その補強用繊維や樹脂としてリサイクル原料を用いる場合には、次の方法が有効である。
【0015】
合成繊維からなる繊維製品又は繊維屑を、所望により洗浄、選別した後、樹脂加工し、裁断及び/又は粉砕することにより平均繊維長を0.1〜6mmとした回収短繊維を、補強用繊維として用いるという方法、又は、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入させた繊維補強樹脂組成物からなる樹脂成形品又は成形屑を、粉砕して回収樹脂組成物砕片とし、該砕片を、必要に応じて未使用の繊維強化樹脂組成物と溶融混練した後、射出成形又は押出成形用材料として用いるという方法である。
【0016】
本発明の留め具は、曲げ弾性率が比較的低く、柔軟な熱可塑性樹脂から成形された留め具であっても、特定繊維長の補強用繊維が混入されていることにより、柔軟熱可塑性樹脂の欠点である剛性不足が改善されるので、柔らかくて作業性が良好な留め具であるとともに、留め具に要求される強度水準を満足させることができる。即ち、留め具の形状や設計を変更しなくても、容易に、留め具の組付け時における押込み力を低減し、組付け作業性を大幅に改善することができ、かつ、実用上必要な留め具強度を持たせることができる。
【0017】
また、その補強用繊維としてリサイクル原料を使う場合には、回収繊維製品類から補強用繊維を製造する一連の工程において、回収繊維製品類を裁断・破砕処理する前に樹脂加工することが有効であり、これにより樹脂混練用として好適な短繊維状補強用繊維を製造することができ、短繊維が均一に分散された樹脂組成物や樹脂製留め具を容易に製造することができるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の留め具の実施形態等を説明する。
本発明の留め具を構成する材料として用いる柔軟熱可塑性樹脂は、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟な熱可塑性樹脂である。また、この樹脂の曲げ強度が100MPa以下である場合に、本発明は特に効果的である。
【0019】
そのような柔軟熱可塑性樹脂としては、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリプロピレン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が挙げられる。上記曲げ弾性率水準であるならば、それ以外の樹脂又はポリマーアロイを用いることもできる。例えば、ポリマーアロイでは、ポリアミド樹脂とポリプロピレン樹脂とのポリマーアロイ、変性ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂とのポリマーアロイ、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイなど、2種類以上の樹脂を混合したポリマーアロイが挙げられる。
【0020】
上記した樹脂のなかでも、エラストマー成分を含む熱可塑性エラストマー樹脂が好ましく、例えば、ポリオレフィン系エラストマー樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂およびポリウレタン系エラストマー樹脂が挙げられる。このエラストマー樹脂はゴム成分を含み非常に柔らかく、留め具を小さな押し込み力で簡単に挿入することができる。
【0021】
ポリエステル系エラストマー樹脂は、ゴム弾性をもちつつ、エンジニアリングプラスチックのように機能性も高く、成形加工性も良好で、例えば、東レ・デュポン(株)製のハイトレル(R)で代表される。
【0022】
ポリオレフィン系エラストマー樹脂は、主たるモノマ成分がオレフィン系である熱可塑性エラストマー樹脂であり、合板用建装フィルム用、文具・雑貨などの一般透明フィルム用、又は、押出し成形用として、さらには、異種プラスチックの柔軟性向上や耐熱性向上の改質剤として用いられている樹脂である。
【0023】
ポリプロピレン樹脂は、110〜120℃程度の耐熱性をもち、そのモノマ組成により単独重合体と、共重合体であるランダムコポリマー、ブロックコポリマーとがあり、使用用途によって選択される。一般にポリプロピレン単独重合体は高剛性で、光沢がよく鮮やかな色彩に着色できる。 一方、ランダムコポリマーは透明性が高く、特にブロックコポリマーは単独重合体よりも耐衝撃強度が優れている。これらポリプロピレン樹脂は、洗面器、洗濯機脱水槽、包装用透明フイルムなどの用途に用いられている。
【0024】
これらの柔軟熱可塑性樹脂は、曲げ弾性率が2800MPa以下と弾性変形し易いので、取付孔を通過させる際に留め具にかける押込みの力は小さくてすむが、その反面、一般に曲げ強度が100MPa以下と低いので、部材又は部品どうしを強固に結合するという留め具本来の機能が不十分となり易い。その低い樹脂強度を補うために、留め具各部の肉厚を厚くしたり、止め方を変更するなどの工夫が加えられてきているが、それでも十分な改善効果は得られ難い。
【0025】
本発明においては、上記柔軟熱可塑性樹脂の欠点を補うために、短繊維の合成繊維を混入させて補強したものである。この合成繊維は、補強機能を発揮できる繊維であれば特に限定されないが、引張り強度7.5cN/dtex以上を有する繊維であることが好ましく、さらに引張り強度12.0N/dtex以上を有する高強度繊維が好ましい。好ましくは、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、又はポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維の短繊維であることが好ましい。このような高機能繊維は、特に高強度や高弾性率の点において汎用合成繊維を超える高機能を有するので、本発明における補強用繊維として特に好適である。それ以外の汎用合成繊維、例えば、ナイロン66繊維、ナイロン6繊維、ポリエチレン繊維、PPS繊維、ポリビニルアルコール繊維のような合成繊維も、留め具の用途によっては補強用繊維として用いることができる。
【0026】
本発明で柔軟熱可塑性樹脂に混入させるときの補強用繊維は、平均繊維長0.1〜6mmという短繊維で、好ましくは0.1〜3mmで、樹脂中に、即ち成形された留め具中に均一に分散させるため、かつ、所望の補強効果を得るために必要である。即ち、その平均繊維長が短か過ぎるものが多いと十分な補強効果が得られ難く、また、平均繊維長が長過ぎると樹脂中に均一に分散させることが難しく補強効果もまちまちになり、使える留め具が得られ難い。
【0027】
また、その短繊維の、樹脂組成物中における含有量は、5〜40重量%が好ましく、さらには、5〜20重量%が好ましい。この含有量が少な過ぎる場合には十分な補強効果が得られ難く、また、多すぎる場合には樹脂中に均一に分散させることが難しく混練や成形の作業が難しくなる。
【0028】
また、本発明の樹脂製留め具は、その使用目的や要求性能により、材料や形状が異なり、非常に多くの種類があるが、その殆どは、弾性変形する係止片部を有する形状であって、その係止片部の弾性変形を利用して取付け固定するものである。その留め具の中に、グロメットと称されているものがある。
【0029】
代表的な留め具の形状として、例えば、図1や図4に示す形状のものが挙げられる。図1は本発明の樹脂製留め具の一実施態様を示すものであり、図1(b)はその下面図、図1(a)は、図1(b)における線I−Iでの断面図、図1(c)は、図1(a)の右方向からみた側面図である。
【0030】
また、図2は、留め具の特性評価のために、図1の留め具を板状体の取付け孔に押込んで取付ける状態を説明するためのものであり、図2(a)は留め具を取付けて固定した状態を示す断面図で、図2(b)は、留め具の押し込みを始める状態を示している。なお、図2(b)には、留め具の押し込み力測定用の架台を波線で示した。図3には、取り付けられた留め具の係止片部の破断強さ測定を示している。
【0031】
図1〜図3に示すグロメットタイプの留め具1は、全体が一体成形された構造であり、中央に中空部のある角形部2の一端側にフランジ3があり、他端側が組み付け時の挿入のためにテーパー状となっていて、その挿入端から斜め外方に向かって突出した係止片部4が形成されている。この係止片部4は、挿入端で角形部2と繋がっていて、角形部2を挟んで相対する方向に2つ形成されているので、この留め具1を、板状体5の取付け孔6内に押込むように力を加えると、係止片部4は、取付け孔6の内径端で押される内方向への力によって、係止片部4と角形部2の繋がり部分で弾性変形する。この弾性変形によって、係止片部4の外径は、取付け孔6の内径を通過できるまで縮径して、フランジ3が板状体5の表面に当たって止まるまで押込まれる。板状体5の表面にフランジ3が接した状態では、係止片部4にかかる外方からの力がなくなるので、係止片部4は元の状態に戻り、その先端部が板状体5を片側から支える状態となる。この結果、取付けられた留め具1は、フランジ3と係止片部4の先端部とで板状体5の両側を支えることになり、固定される。
【0032】
図4は、弾性変形する係止片部を有する樹脂製留め具の他の一実施態様を示すものであり、(a)はその断面図であり、(b)は、この留め具を用いて2枚の板状体を少し離した状態で組み付けた状態を示す断面図である。
【0033】
図4(a)、(b)において、留め具11の上部にはフランジ13があり、このフランジ13の下面と中係止片部15の上面との間で上板状体17が挟まれて固定される。この上板状体17への留め具11の取付けは、上板状体17の取付け孔位置へと通じる横溝に留め具11を横から嵌め込んでスライドさせる方法によって行われる。また、下板状体16への留め具11の取付けは、下板状体16の取付け孔内に、留め具の下係止片部14を上から差し込み、力を加えて押し込むことによって行われる。この際、下係止片部14は取付け孔の内径端で内方向へと押されるので、下係止片部14が内側に縮径された状態で取付け孔を通過し、図4(b)で示される固定位置に達すると、下係止片部14は元の状態に戻り、下係止片部14の肩部分と中係止片部15′の下面とで下板状体16を上下から挟んで固定した状態となる。
【0034】
本発明の樹脂製留め具は、平均繊維長0.1〜6mmである短繊維の補強繊維を、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に溶融混練させ、所望により所定のペレットにした後、射出成形や押出成形で、所定形状とすることにより製造できる。
【0035】
その留め具の製造に用いる素材の一部の補強用繊維や柔軟熱可塑性樹脂としてリサイクル材料を使用することができる。その場合の留め具の製造方法を以下説明する。
【0036】
まず、使用済み合成繊維製品、その繊維製品を製造する工程で発生する不良品や端切れのような製品屑、及び、合成繊維製造工程で発生した繊維屑のような繊維製品類が、補強用繊維用のリサイクル素材として用いられる。これら合成繊維の繊維製品類に汚れが付着している場合には、予め水や有機溶媒などで汚れ等の不純物を洗浄・除去することを適宜行なう。また、必要に応じて、選別や不要部材の切断除去を行う。
【0037】
その後、繊維製品類を、水系または有機系溶媒に溶解または分散させた樹脂液によって樹脂加工する。この樹脂加工は、回収して得られる短繊維を樹脂中に分散させる際の分散性向上のために効果的である。その樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリフェノール、ポリイソシアネート、尿素樹脂などが挙げられる。ここで用いられる樹脂は、その補強用繊維を混合する時のマトリックス樹脂、即ち、前記した柔軟熱可塑性樹脂と同種またはそれと相溶性の良い樹脂であることが望ましい。マトリックス樹脂との相溶性に劣る樹脂では樹脂加工しても、得られる強化樹脂組成物中での繊維の分散性が改善されず均一な物性を有する成形品が得られ難い。例えば、マトリックス樹脂としてポリエステル系エラストマー樹脂を用いる場合には、処理するのに用いる樹脂としては、水に溶解又は分散性のポリウレタン、ポリイソシアネート、尿素樹脂などが選択される。なお、この樹脂処理は、主として加工用樹脂を溶融させた液を、リサイクル繊維製品類に付着させる方法によって行ってもよい。また、樹脂加工に利用する有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、酢酸エステル類などが挙げられる。
【0038】
樹脂加工した繊維製品類は、必要に応じて乾燥して付着溶媒を除去した後、剪断型破砕装置を用いて裁断及び/又は粉砕し、平均繊維長が0.1〜6mmの短繊維状とする。この回収した短繊維を、必要に応じて未使用の所定長さの補強用繊維と併用し、補強繊維として、柔軟な熱可塑性樹脂に溶融混練させる。この際の短繊維の混合割合は5〜40重量%であることが好ましい。溶融混練した後、留め具に成形する前には、一旦溶融押し出し、切断してペレット状に加工することが一般的に行われる。
【0039】
このようにして得られる繊維補強された樹脂組成物のペレットからの、本発明の留め具の製造は、従来の留め具製造と同様に、射出成形や押出成形により行えばよい。
【0040】
また、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に、平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入させた繊維補強樹脂組成物からなる樹脂成形品又は成形屑をリサイクルして用いる場合には、それら回収成形品類を粉砕して回収樹脂組成物砕片とし、該砕片を、必要に応じて未使用の繊維強化樹脂組成物と溶融混練した後、上記同様の方法でペレットにし、射出成形や押出成形することにより、製造すればよい。
【0041】
【実施例】
[実施例1]
東レ・デュポン(株)製アラミド繊維KEVLAR(R)の紡績糸(20番手/2)を使用して編成した手袋の重さが1双あたり60gであるアラミド製手袋の使用済み品を、市販の中性洗剤を用いて洗濯して汚れを落とし、乾燥した後、手首のゴム入り締め部分を裁断除去した。
【0042】
この機能性繊維からなる手袋を、水溶性ウレタン樹脂(山南合成化学(株)製“エクセロンXA−038”)の25%濃度水溶液に含浸し、脱水して、循環式の熱風乾燥機で120℃で30分間以上乾燥した。得られた樹脂加工処理手袋には上記ウレタン樹脂が15〜20重量%付着していた。
【0043】
次いで、ホロン精工(株)の3軸破砕機「BITEX/SC500−110」で樹脂加工処理された手袋を粉砕し、平均繊維長が3mm程度の短繊維を得た。この粉砕処理では、初めに刃幅25mmの2軸シュレッダー刃によって手袋を粗砕し、細かくした後、同機械の刃幅6mmの粉砕刃と固定刃によって粉砕し、短繊維を得た。
【0044】
得られた短繊維(平均繊維長3mm程度)と、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂(東レ・デュポン(株)製“ハイトレル 6347”(メルトインデックス13g/10分)とを、別々に押出し機に投入し、240℃で溶融混練し押出して、短繊維含有量が10重量%のペレットを作った。このペレットを材料とし、新潟鉄工(株)製の射出成形機MD−75Sで、所定の金型を用いて、射出部のノズル部温度を240℃、留め具の金型温度を60℃にして、射出成形し、図1に示す形状の留め具で、挿入部側の先端から、開いた2枚の突出部(係止片部)が斜め外方に突出している。その挿入部側の先端での外側の直径は約1.8mm、係止片部の先端側での外側の直径が、最大(変形なしの状態)で約2.2mmのものを成形した。
【0045】
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0046】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で、短繊維含有量が20重量%であるポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂組成物のペレットを製造した後、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0047】
[実施例3]
熱可塑性樹脂を、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(出光石油化学(株)製“IDEMITSU TPO E−2900H”(MFR 2.8g/10分))に変更した以外は実施例1と同様の方法で、短繊維含有量が10重量%のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂組成物のペレットを製造した後、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0048】
[実施例4]
実施例3と同様の方法で、短繊維含有量が20重量%であるポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂組成物のペレットを製造した後、実施例3と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0049】
[実施例5]
熱可塑性樹脂を、ポリプロピレン樹脂(出光石油化学(株)製“IDEMITSU PP J−762HP”(MFR 13g/10分))に変更した以外は実施例1と同様の方法で、短繊維含有量が10重量%のポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造した後、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0050】
[比較例1]
ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂に短繊維を混合しなかった以外は、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0051】
[比較例2]
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂に短繊維を混合しなかった以外は、実施例3と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0052】
[比較例3]
通常の射出成形用ナイロン66樹脂を、短繊維を混入させずに樹脂材料として用いた以外は、実施例1と同様にして、図1に示す形状の留め具を製造した。
得られた留め具の押込み力と引抜きの係止片部の強さを測定し、表1に示した。
【0053】
[留め具の押込み力、係止片部強さの測定方法]
直径22mmの取付け孔が開けられた、大きさ50mm×50mm、厚さ3mmの板を用い、その取付け孔の上部から、留め具を図2(b)に示す位置に載せセットする。その上から、直径5mmの圧子によって力を加えて押し込むことにより、取付け孔に固定される。留め具が、押し込まれる時には、孔径より大きな係止片部は弾性変形により縮径され、その状態で取付け孔内を通過し、係止片部が通過し終わると再び開いて図2(a)のような状態で取付け孔に固定される。
【0054】
その取付け時に押込みのために圧子を通じて加えた力の最大値を測定し、押込み力とした。また、図3のようにはめ込まれた留め具を、その底部から直径5mmの圧子によって力を加えた時、2枚の係止片部が壊れた時の最大荷重値を測定し、引抜き時係止片部強さとした。
【0055】
【表1】
【0056】
なお、上記実施例や比較例で用いた熱可塑性樹脂の曲げ特性は表2の通りであった。また、補強用繊維として用いたアラミド繊維KEVLAR(R)の引張り強度は20.3cN/dtexであった。
【0057】
【表2】
【0058】
表1に示した留め具の特性からわかるように、補強用繊維で補強した柔軟性樹脂組成物から成形された留め具の場合は、押込み力が低く、留め具の取付け作業性が良好であり、かつ、引抜きの強さも改善され、留め具本来の強固な固定機能を発揮することができる。
【0059】
これに対し、柔軟熱可塑性樹脂のみから成形して得られた比較例1、2の留め具の場合は、押込み力が低く、留め具の取付け作業性は良好であるものの、引抜きの強さが低く、留め具の固定強さは弱いものであった。また、ナイロン66のみから成形して得られた比較例4の留め具の場合は、押込み力が高く、留め具の取付け作業性が良くないものであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によると、弾性変形する係止片部を有する形状であるために柔らかさと強さとを併せもつことが要求される樹脂製留め具において、形状設計を変更しなくても、柔らかさと強さとを兼備した留め具とすることができる。従って、組付け後には十分な固定強さを有する留め具で、かつ留め具の組付け作業時に大きな力を加えずに組付け作業することができるものとすることができる。これは、組付け作業性の改善を図るために有効であり、特に作業者の手や腕にかかる負担を軽減し、腱鞘炎等の労働災害を防止するために有効である。
【0061】
また、短繊維等にリサイクル原料を使用する本発明法によると、使用済み合成繊維糸製品をリサイクル使用することができ、かつ繊維やその繊維製品の製造時、又は留め具の製造時に発生する不良品や繊維屑や樹脂屑のリサイクル使用もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂製留め具の一実施態様を示すものであり、(b)はその下面図、(a)は(b)における線I−Iでの断面図、(c)は(b)の右方向からみた側面図である。
【図2】図1の留め具を板状体の取付け孔に押込んで取付ける状態を説明するためのものであり、(b)は留め具を押し込み開始する時点の状態を示す断面図、(a)は留め具を板状態に取付けて固定した状態を示す断面図である。なお、留め具の押込み力を測定するための要素を波線でもって示す。
【図3】取り付けられた留め具の係止片部強さを測定する時の状態を示す断面図である。
【図4】本発明の樹脂製留め具の他の一実施態様を示すものであり、(a)は留め具の断面図、(b)は留め具を2枚の板状体に固定した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1:留め具、 2:角形部、 3:フランジ、 4:係止片部、 5:板状体、6:取付け孔、 11:留め具、 13:フランジ、 14:下係止片部、 15、15′:中係止片部、 16:下板状体、 17:上下板状体
Claims (10)
- 弾性変形する係止片部を有する樹脂製留め具において、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に、平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入させた繊維補強樹脂組成物から成形されていることを特徴とする樹脂製留め具。
- 補強用繊維の、樹脂組成物中における含有量が、5〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製留め具。
- 補強用繊維の少なくとも一部分が、合成繊維からなる繊維製品又は繊維屑から回収された短繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製留め具。
- 補強用繊維が、引張強度7.5cN/dtex以上の合成繊維の短繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製留め具。
- 補強用繊維が、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、又はポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維の短繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製留め具。
- 柔軟熱可塑性樹脂の曲げ強度が100MPa以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂製留め具。
- 柔軟熱可塑性樹脂が、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は変性ポリフェニレンエーテル樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂製留め具。
- 平均繊維長0.1〜6mmの短繊維状合成繊維を、曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に溶融混練させた後、射出成形又は押出成形することにより、弾性変形する係止片部を有する樹脂製留め具を製造することを特徴とする樹脂製留め具の製造方法。
- 合成繊維からなる繊維製品又は繊維屑を、所望により洗浄、選別した後、樹脂加工し、裁断及び/又は粉砕することにより平均繊維長を0.1〜6mmとした回収短繊維を、補強用繊維として用いることを特徴とする請求項8に記載の樹脂製留め具の製造方法。
- 曲げ弾性率が2800MPa以下である柔軟熱可塑性樹脂に平均繊維長が0.1〜6mmである補強用繊維を混入させた繊維補強樹脂組成物からなる樹脂成形品又は成形屑を、粉砕して回収樹脂組成物砕片とし、該砕片を、必要に応じて未使用の繊維強化樹脂組成物と溶融混練した後、射出成形又は押出成形用材料として用いることを特徴とする請求項9に記載の樹脂製留め具の製造方法。
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JP2003141475A JP2004346954A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | 樹脂製留め具、及びその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007161907A (ja) * | 2005-12-15 | 2007-06-28 | Kuraray Co Ltd | 繊維強化熱可塑性樹脂 |
KR101506127B1 (ko) | 2010-01-14 | 2015-03-26 | 존슨 컨트롤스 테크놀러지 컴퍼니 | 일체형 플라스틱 부재 및 패스너 |
-
2003
- 2003-05-20 JP JP2003141475A patent/JP2004346954A/ja active Pending
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