JP2004346822A - 風力発電におけるpwmコンバータのトルク制御回路 - Google Patents

風力発電におけるpwmコンバータのトルク制御回路 Download PDF

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Abstract

【課題】風力発電機に接続されるPWMコンバータによる出力平準化制御は、平均風速が低い風速変動時に、風力発電装置が頻繁に起動・停止するために、エネルギーを有効に取り出せないという問題があった。
【解決手段】風速を検出する手段と、風車回転数を検出する手段と、その1次遅れ信号を平準化風車回転数として出力する手段と、それを入力してパターン制御時トルク指令値を出力する手段と、前記風速を入力して回転数指令値を出力する手段と、該回転数指令値と前記風車回転数を入力して回転数制御時トルク指令値を出力する手段と、前記パターン制御時トルク指令値と前記回転数制御時トルク指令値を入力してトルク指令値を選択する手段を有することを特徴とする風力発電におけるPWMコンバータのトルク制御回路である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、風車により駆動される発電機にPWMコンバータを接続して出力を取り出すためのトルク制御方法に係り、特に、風速が低い時も連続して出力を取り出す事ができる、風力発電におけるPWMコンバータのトルク制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は先に、風車回転数に基づいた制御によりPWMコンバータを制御することにより、風速計を必要とせず、風速の低い時には風から最大出力を取り出し、風速の高い時には出力を平準化して取り出す風力発電におけるPWMコンバータによる出力平準化制御回路について【特願2002−221715号】の「風力発電におけるPWMコンバータの出力平準化回路」にて提案している(出願特許文献1)。
【0003】
図3は、風速をパラメータとした時の、風車回転数対風車出力特性の概要を説明した図である。
風車は、風車の形状及び風速Uが決まると、風車回転数Nに対する風車出力Pが一義的に定まり、種々の風速Uに対する風車出力Pは、図3の実線で示される。そして、風車出力Pのピークは、図3の一点鎖線で示す最大出力曲線のようになる。
【0004】
さらに図2は、この風車回転数対風車出力特性より求まる、先願技術で用いた風車回転数対風車トルク特性の概要を説明した図であり、種々の風速に対する風車トルクは、図2にように示される。
この時、種々の風速において、風車出力のピークを出力する時の風車トルクは、図2の一点鎖線で示す最大出力時トルク曲線のようになり、定常的な風から常に、最大出力を取り出すためには、最大出力時トルク曲線に沿った風車回転数に対するトルクで運転すれば良い。
【0005】
しかし、この方法で風車トルク指令を作成すると、変動風速に対しては、取り出す出力も変動する事になり、特に、平均風速が高い時には、負荷である系統に与える出力変動が大きなものになる。従って、平均風速が高い状態で風速が変動する場合には、実際の風車回転数に対して、長い時定数を有する1次遅れから求めた平準化風車回転数に基づいた風車トルク指令値で運転する事により、風からのエネルギーの一部を、大きなイナ−シャーを有する風車回転数の上昇又は下降という形で蓄えて、系統には平準化して出力する事ができる。
又、平均風速が低い状態で風速が変動する場合には、出力が変動しても電源系統に与える影響が小さいので、実際の風車回転数に対して、短い時定数を有する1次遅れから求めた平準化風車回転数に基づいた風車トルク指令値で運転する事により、風から概略の最大エネルギーを入力して、系統に出力する事ができる。
【0006】
以上の原理に基づいた先願技術を、図4の風力発電におけるPWMコンバータによる出力平準化制御回路を説明するための風力発電装置接続図を参照して詳述する。
図4において、1は風車、2は回転計、3は発電機、4はPWMコンバータ、5は負荷、6は1次遅れ時定数発生回路、7は1次遅れ回路、8はパターン制御時トルク指令回路である。
風車1により駆動される発電機3の交流側は、PWMコンバータ4に接続され、風車1により可変速に駆動される発電機3の交流電力は、PWMコンバータ4により直流電力に変換されて、負荷5に出力される。ここで、先願技術として取り上げる負荷5とは、直流を交流に変換して出力する電源系統のことである。
【0007】
1次遅れ時定数発生回路6は、回転計2より風車回転数Nを入力して、1次遅れ時定数T1を、1次遅れ回路7に出力する。
1次遅れ回路7は、風車回転数Nと1次遅れ時定数T1を入力し、この1次遅れ時定数T1を用いて演算される実際の風車回転数Nの1次遅れ信号を、平準化風車回転数Npとしてパターン制御時トルク指令回路8に出力する。
パターン制御時トルク指令回路8は、平準化風車回転数Npを入力して、パターン制御時トルク指令値τp*を生成し、このパターン制御時トルク指令値τp*によりPWMコンバータ4が制御される。
【0008】
1次遅れ時定数発生回路6は、例えば、実際の風車回転数Nに比例した1次遅れ時定数T1を、すなわち、実際の風車回転数Nが大きい場合は大きな1次遅れ時定数T1を、実際の風車回転数Nが小さい場合は小さな1次遅れ時定数T1を、1次遅れ回路7に出力する。
パターン制御時トルク指令回路8は、予め記憶されている、図2の最大出力時トルク曲線に基づいて、平準化風車回転数Npを横軸の風車回転数に読み替えて求めた、縦軸のトルク値を、パターン制御時トルク指令値τp*としてPWMコンバータ4に出力する。
【0009】
このようなパターン制御時トルク指令値τp*により、PWMコンバータ4を制御した時の、風速変動時の風車回転数Nとトルクτの動作を、図2の風車回転数対風車トルク特性を説明した図により説明する。
風速がゆっくりと、風速U1と風速U2の間を変動する時は、風速U1と最大出力時トルク曲線との交点X1と、風速U2との交点X2との間を、最大出力時トルク曲線上のトルクにより、風車1は最大出力運転される。
平均風速が小さい時には、1次遅れ回路7で用いる1次遅れ時定数T1が小さいために、風速変動があっても、上記動作とほぼ同じで、最大出力時トルク曲線上のトルクにより、風車1は出力変動を伴った最大出力運転される。
【0010】
次に、平均風速が高くて風速変動がある時は、実際のトルクτと風車回転数Nとの関係は、概略、図2の交点X1と交点X2とを結ぶ点線で示すヒステリシス線上にある。
例えば、風速がU1の時、最大出力時トルク曲線との交点X1で、風車1は最大出力運転されている時、風速がU2に向かって下降すると、風から得られるトルクτは減少するために、風車回転数Nが減少してPWMコンバータ4の出力が減少する。
しかし、1次遅れ回路7の作用により、平準化風車回転数Npがそれほど減少しないために、パターン制御時トルク指令値τp*がそれほど減少せず、PWMコンバータ4の出力も、それほど減少しない。この間は、風車のイナ−シャーに蓄えられていたエネルギーをPWMコンバータ4の出力として放出したためであり、実際の風車回転数Nの減少は、風速Uの減少割合より大きい。
従って、風速がU2に下降してしまった時には、1次遅れ時定数T1のために、図2の風速U2における最大出力時動作点X2で運転されているのでは無く、実際の風車回転数Nは、N2より減少しているが、風速がU2に落ち着くと共に、最大出力時動作点X2で運転される。
【0011】
又、風速がU2で、最大出力時トルク曲線との交点X2で、風車1は最大出力運転されている時、風速がU1に向かって上昇すると、風から得られるトルクτは増加するために、風車回転数Nが増加してPWMコンバータ4の出力が増加する。
しかし、1次遅れ回路7の作用により、平準化風車回転数Npがそれほど増加しないために、パターン制御時トルク指令値τp*がそれほど増加せず、PWMコンバータ4の出力も、それほど増加しない。これは、風車のイナ−シャーにエネルギーを蓄えたためであり、実際の風車回転数Nの増加は、風速Uの増加割合より大きい。
従って、1次遅れ時定数T1のために、風速がU1に上昇してしまった時には、図2の風速U1における最大出力時動作点X1で運転されているのでは無く、実際の風車回転数Nは、N1より増加しているが、風速がU1に落ち着くと共に、最大出力時動作点X1で運転される。
このようにして、平均風速が大きな時の風速Uの変動に対しては、実際の風車回転数Nの変動は大きくなり、風速に対する最適な回転数、例えば、図3において風速Uxの時の風車回転数Nx、で運転されないために取り出すエネルギーが減少するが、PWMコンバータ4の出力変動を抑制する事ができる。
【0012】
【出願特許文献1】
特願2002−221715号(図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、大きなイナーシャーを有する風車1により駆動される発電機3に接続されたPWMコンバータ4を用いて風車出力平準化制御を行うと、平均風速は低いが変動している時は、短いが影響のある1次遅れ時定数T1を有する1次遅れ回路7で求めた平準化回転数Npに基づくパターン制御時トルク指令値τp*により風車を制御するために、風車回転数Nは風速Uにより定まる出力が最大となる回転数よりも、一時的に高いか又は低い状態となる。
一般に、風速Uが低い時は風車の回転数Nも低く、風から取り出せるエネルギーが小さいために低回転時には風車を停止させる。さらに、風車は回転数Nがある程度上昇して、確実に風があることを確認し、さらに系統連系が可能か否かを確認してから風車発電装置を起動させる。
従って、先願技術の如き風車出力平準化をそのまま行うと、風があるにも関わらず、ある一定以下の風車回転数に下がることがあるので、風車発電装置を頻繁に停止しなければならず、低風速時には再起動に要する時間も含めて風車発電装置を運転する時間が短くなり、風から十分にエネルギーを取り出せないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一般に、風車近傍に設置される風速計は、回転する風車の影響で、正確な風速を測定できないが、風車にはカットアウト風速を検出して、強風時には風車を止める必要があるために、風速計は必要である。
従って、本発明は、その風速計を利用して概略の風速により、前述の課題を解決するものであり、その目的を達成するための手段は、
1)、請求項1において、
風車により駆動される発電機に接続したPWMコンバータにおいて、風速を検出する手段と、前記風車の風車回転数を検出する手段と、該風車回転数の1次遅れ信号を平準化風車回転数として出力する手段と、該平準化風車回転数を入力して前記風車の最大出力トルク曲線に基づいてパターン制御時トルク指令値を出力する手段と、前記風速を入力して前記風車の回転数指令値を出力する手段と、該回転数指令値と前記風車回転数を入力して回転数制御時トルク指令値を出力する手段と、前記パターン制御時トルク指令値または前記回転数制御時トルク指令値を選択して前記発電機のトルク指令値を選択する手段を有することを特徴とする風力発電におけるPWMコンバータのトルク制御回路である。
【0015】
2)、請求項2において、
前記発電機のトルク指令値を選択する手段を、前記風速が低い時は前記回転数制御時トルク指令値を選択し、前記風速が高い時は前記パターン制御時トルク指令値を選択する手段により構成することを特徴とする請求項1記載の風力発電におけるPWMコンバータのトルク制御回路である。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の、風車により駆動される発電機に、PWMコンバータを接続した請求項1及び2記載のPWMコンバータのトルク制御回路を説明するための風力発電装置接続図である。
同図において、11は風速計、12は回転数指令回路、13は回転数制御時トルク指令回路、14はトルク指令選択回路であり、図4と同一番号は同一構成部品を表す。
以下、図1について説明する。
【0017】
風速計11は、風速Uを検出してPWMコンバータ4、回転数指令回路12およびトルク指令選択回路14に出力する。回転数指令回路12は、風速Uを入力して風車回転数指令Nn*を回転数制御時トルク指令回路13に出力する。
回転数制御時トルク指令回路13は、風車回転数指令Nn*と風車回転数Nを入力して、回転数制御時トルク指令値τn*をトルク指令選択回路14に出力する。
パターン制御時トルク指令回路8は、風車回転数Nを入力してパターン制御時トルク指令値τp*をトルク指令選択回路14に出力する。
トルク指令選択回路14は、風速U、回転数制御時トルク指令値τn*およびパターン制御時トルク指令値τp*を入力して、トルク指令値τ*を選択し、このトルク指令値τ*によりPWMコンバータ4が制御される。
【0018】
次ぎにその作用について説明する。
風速UはPWMコンバータ4に出力され、風の無い時は風車発電装置を停止する。
回転数指令回路12には、風速に対する風車回転数指令Nn*が、予め風速により定まる最大出力となる風車回転数N、または風車の失速を防ぐために最大出力となる風車回転数Nよりも高めの風車回転数Nがパターン化して予め記憶されている。
回転数制御時トルク指令回路13は、例えば、風車回転数指令Nn*と風車回転数Nの偏差を比例積分制御して、回転数制御時トルク指令値τn*を出力する。
【0019】
1次遅れ回路7の出力である平準化風車回転数Npを入力するパターン制御時トルク指令回路8は、予め記憶している、図2に示したような最大出力時トルク曲線に沿った風車回転数Nに対するトルクをパターン制御時トルク指令値τp*として出力する。
トルク指令選択回路14は、トルク指令値τ*として、風速Uがある一定値以下すなわち回転数制御風速Un以下のときはトルク指令値τ*を出力せず、また風車発電装置も起動しないが、風速Uが回転数制御風速Un以上でパターン制御時風速Up以下の時は回転数制御時トルク指令値τn*を選択し、風速Uが高くパターン制御時風速Up以上の時はパターン制御時トルク指令値τp*を選択してPWMコンバータ4により発電機3を制御する。
【0020】
このようなトルク指令値τ*を用いてPWMコンバータ4を制御すると、風速計11により検出した風速Uが低いが、発電能力があると見なせる回転数制御風速Un以上の時には、回転数制御時トルク指令値τn*により、風車回転数が風車回転数指令Nn*になるように制御されるために、風車発電システムを停止することなく運転を継続できる。この制御においては、風速計による正確な風速が測定できないために、その風速での最大出力を得られないが、風力発電装置の頻繁な起動・停止を阻止できる。
また風速がパターン制御時風速Up以上のときには、風車がパターン制御時トルク指令値τp*により制御されるために、風速Uが変動しないときは最大出力運転され、風速Uが変動するときは、1次遅れ回路7のために出力変動が小さくて、しかも概略の最大出力運転される。
【0021】
以上、本発明の実施例では、回転計2より風車回転数Nを検出する場合について説明したが、風車発電機3に接続されるPWMコンバータ4の電圧・電流によるセンサーレス方式でも、風車回転数Nを検出できるので、その値を用いても良い。
又、トルク指令値τ*を選択する風速Uの値として、風速計11の値を適度に平滑して用いることにより、風速変動の激しい時にも、風力発電装置の頻繁な起動・停止を阻止できる。
さらに、発電機は、同期発電機だけでなく、図2の風車回転数対風車トルク特性の最大出力時トルク曲線との関係を把握すれば、誘導発電機を用いても良い。
【0022】
【発明の効果】
以上、風車により駆動される発電機に接続されるPWMコンバータを用いて、風の無い時は風車発電装置を停止し、低風速時は風速より一義的に定める回転数になるように回転数制御を行い、ある程度の風速になると実回転数の1次遅れ回転数により一義的に定めるトルクになるようにトルク制御を行う制御回路について説明した。
この回路によれば、平均風速が高くて変動の無い時は風から最大出力を得ることができ、変動がある時は出力変動の小さい出力を得ることができる。
又、平均風速が低い時は、風速計による正確な風速が測定できないために、その風速での最大出力を得られないが、風力発電装置の頻繁な起動・停止を阻止できるので、結果的に低風速時の発電量を増加させることができ、実用上おおいに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、風力発電装置接続図を示すブロック図である。
【図2】風速をパラメータとした時の、風車回転数対風車トルク特性の概要を説明する図である。
【図3】風速をパラメータとした時の、風車回転数対風車出力特性の概要を説明する図である。
【図4】先願技術の風力発電装置接続図を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 風車
2 回転計
3 発電機
4 PWMコンバータ
5 負荷
6 1次遅れ時定数発生回路
7 1次遅れ回路
8 パターン制御時トルク指令回路
11 風速計
12 回転数指令回路
13 回転数制御時トルク指令回路
14 トルク指令選択回路

Claims (2)

  1. 風車により駆動される発電機に接続したPWMコンバータにおいて、風速を検出する手段と、前記風車の風車回転数を検出する手段と、該風車回転数の1次遅れ信号を平準化風車回転数として出力する手段と、該平準化風車回転数を入力して前記風車の最大出力トルク曲線に基づいてパターン制御時トルク指令値を出力する手段と、前記風速を入力して前記風車の回転数指令値を出力する手段と、該回転数指令値と前記風車回転数を入力して回転数制御時トルク指令値を出力する手段と、前記パターン制御時トルク指令値と前記回転数制御時トルク指令値を入力して前記発電機のトルク指令値を選択する手段を有することを特徴とする風力発電におけるPWMコンバータのトルク制御回路。
  2. 前記発電機のトルク指令値を選択する手段を、前記風速が低い時は前記回転数制御時トルク指令値を選択し、前記風速が高い時は前記パターン制御時トルク指令値を選択する手段により構成することを特徴とする請求項1記載の風力発電におけるPWMコンバータのトルク制御回路。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009171691A (ja) * 2008-01-15 2009-07-30 Hitachi Ltd 風力発電システム
JP2011041392A (ja) * 2009-08-10 2011-02-24 Tdk Corp スイッチング電源装置、発電機および電力供給装置
CN108982131A (zh) * 2018-07-27 2018-12-11 中车长春轨道客车股份有限公司 电力机车试验台用机械并联多电机的闭环控制方法

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