JP2004346699A - 軽量気泡コンクリートパネル - Google Patents

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弘司 田中
Yukiyasu Nishikawa
幸保 西川
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Abstract

【課題】例えば建築物の外壁材などとして用いられる軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)に係り、自然調の表面テクスチャーを有し、かつ仕上げ塗装等の際に塗料の使用量が少なくて済み、しかも塗装後の塗膜剥離を可及的n低減することのできる耐久性のよいALCパネルを提供する。
【解決手段】パネル表面の所望の領域に、引掻き工具で引っ掻いて形成してなる引掻き痕を有することを特徴とする。上記のような引っ掻き痕によって自然調の表面テクスチャーを有するパネルを簡単・安価に得ることが可能となる。また上記引掻き痕の表面には、軽量気泡コンクリートのマトリックスと気泡とが露出し、その露出した気泡が前記引掻き工具で引っ掻いた際に発生した粉粒体によって埋められていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建築物の外壁材などとして用いられる軽量気泡コンクリートパネル(以下、ALCパネルという)に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCパネルは、経済性、軽量性、耐火断熱性、加工性に優れており、建築物の外壁材や間仕切材などとして広く使用されている。このようにALCパネルは諸性能に優れた材料であるが、生産効率上、一般に表面がフラットなパネルとして生産されるため、意匠性に乏しいという問題がある。そこで、その意匠性を高めるために、各種の表面加工を施すことによって自然調の表面テクスチャーを有するALCパネルを得ることが提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1においては、図5(a)に示すように予めALCパネルPの表面にタイルや積み煉瓦などの目地を模した凹溝g1,g2を形成しておき、その凹溝の側面部分または底面部分に剥離工具(不図示)によって物理的衝撃を与え、もしくは、こじるようにして側面部分または底面部分を欠落剥離させて剥離帯等の剥離痕Aを形成することが提案されている。このような加工方法によれば、石割調、石目調などの自然石調の表面テクスチャーを有するALCパネルが得られるとされている。
【0004】
しかしながら、上記のような加工方法では、欠落剥離させる際、与えた物理的衝撃による応力が、ALCパネルPの内部において気泡bの間隔の狭い部分のマトリックスm、すなわちALCパネルを構成する気泡b以外の固体部分に集中する。そのため、気泡間隔が小さく且つサイズの大きい気泡を有する部分で破断して剥離するする場合が多く、その剥離痕Aの表面性状は、図5(c)のように比較的大きなしかも大部分の気泡bが露出した状態となる。そのため、パネル表面に仕上げ塗装等を行う際には、気泡b内に塗料が多量に流れ込んで塗料の使用量が増し、塗装コストが増大する等の不具合がある。
【0005】
一方、下記特許文献2においては、作動させる位置および作動深さを数値制御したニードル等の打撃工具(不図示)によりALCパネルの表面に物理的な衝撃を与えることによって、図6(a)および(b)に示すように底部が実質的に円形または多角形で且つ密実な窪みHをパネル表面に形成することが提案されている。このような加工方法によれば、割石、石目、岩肌、砂岩調などの自然石調の表面テクスチャーを有するALCパネルが得られるとされている。
【0006】
しかしながら、上記の方法では、加工前に形成されていたマトリックスmが破壊され密実に押し潰されるため、その押し潰された窪みHの底部には、図6(c)に示すようにマトリックスmが破壊されて生成された粉粒体f等が多量に溜まった状態となる。このように密実に押し潰され粉粒体f等がマトリックス表面に多量に付着している状態で仕上げ塗装等を行うと、塗料が前記のように気泡内に大量に流れ込むことはないが、塗装後の塗膜が粉粒体fとともにマトリックス表面から比較的容易に分離して剥離してしまうおそれがある。それ故、外壁材として使用した場合には、上記の剥離箇所から雨水が浸入してカビの発生や耐久性を低下させる要因となる。そのため、建物の長寿命化が求められている昨今においては、耐久性低下の要因を取り除くと共に、より耐久性を向上させることが望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−148198号公報
【特許文献2】
特開2000−272983号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような要望に応えるべく提案されたもので、自然調の表面テクスチャーを有し、かつ仕上げ塗装等の際に塗料の使用量が少なくて済み、しかも塗装後の塗膜剥離を可及的n低減することのできる耐久性のよいALCパネルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明によるALCパネルは、以下の構成としたものである。すなわち、パネル表面の所望の領域に、引掻き工具で引っ掻いて形成してなる引掻き痕を有することを特徴とする。また上記引掻き痕の表面には、軽量気泡コンクリートのマトリックスと気泡とが露出し、その露出した気泡が前記引掻き工具で引っ掻いた際に発生した粉粒体によって埋められていることを特徴とする。
【0010】
上記の引っ掻き痕によって自然調の表面テクスチャーを有するパネルを簡単・安価に得ることが可能となる。又その引掻き痕の断面形状は、引掻き工具の外形形状にほぼ等しく、その引掻き痕の表面の気泡は、引掻き工具による引っ掻き動作で発生する粉粒体によって適度に埋められた状態となる。つまり、引掻き工具の進行方向にほぼ垂直な面での引掻き痕の断面形状は、パネル内部に侵入する引掻き工具の外形形状ほぼ等しい形状となり、しかも引掻き工具で擦られて気泡が適度に埋まった状態となる。よって、前記従来の剥離工具でパネル表面に剥離痕Aを形成して比較的大きな気泡が露出したものとは明らかに異なる表面性状が得られる。また上記引掻き工具は通常パネルの面方向と略平行に相対移動させて加工を施すため、前記のようなニードル等の加工具でパネル表面に物理的衝撃を与えて多数の密実な窪みHを形成するものとも明らかに異なる表面性状が得られるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。図1は本発明によるALCパネルの一実施形態を示すもので、同図(a)はALCパネルの一部の平面図、同図(b)は(a)の一部の拡大図、同図(c)は(b)のさらに一部の拡大図である。
【0012】
本実施形態のALCパネルPは、予めパネル表面に縦横に凹溝g1,g2を形成しておき、その横方向の凹溝g2に沿って相対移動し、かつ上記凹溝g2と略直角方向に移動もしくは回転する引掻き工具(不図示)を用いて上記凹溝g2の両側のパネル表面に引掻き痕Sを形成したものである。なお、上記の凹溝g1,g2は必ずしも設けなくてもよく、また引掻き工具の移動もしくは回転方向は適宜である。また上記の引掻き痕Sは図のようにパネル表面の一部にのみ形成するか、或いはパネル表面全面もしくは略全面に形成してもよい。
【0013】
上記のように引掻き工具によってパネル表面に引っ掻き痕Sを形成すると、自然調の表面テクスチャーを有するパネルを簡単・安価に得ることが可能となる。また上記のような引っ掻き痕Sは、引掻き工具による引っ掻き動作で発生する粉粒体fによって、引っ掻き痕Sの表面に露出した気泡の大部分が、その各気泡内にほぼ満杯状態となるように適度に埋められた状態となる。そのため、前記従来の剥離痕Aのように比較的大きな、しかも多くの気泡が露出して塗料の使用量が増大するようなことがなく、通常の標準塗布量で良好に塗装することが可能となる。
【0014】
また前記従来のニードル等の打撃工具によってパネル表面に密実な窪みhを形成する場合のように、窪み底部に粉粒体f等が多量に溜まって塗装後の塗膜剥離が生じやすくなる等の不具合がなく、しかも本発明による前記引っ掻き痕Sの表面の気泡以外の部分にはマトリックスmが露出しているので、塗膜との密着強度が強く、不用意に塗膜が剥がれるのを良好に防止することができるものである。
【0015】
上記のような引掻き痕を形成する引っ掻き工具の構成は適宜であるが、例えば以下のような構成のものを用いることができる。すなわち、図2は引っ掻き工具の一例を示すもので、本例の引っ掻き工具1は、互いに対向させて設けた一対の回転円板2・2の外側の面の中央部に、回転駆動軸3を一体的に設けると共に、上記回転円板2・2間に、周方向に複数本、図の場合は3本の支軸4を取付け、その各支軸4に偏心ドラム5を介して加工部材としての加工爪6を取付けたものである。
【0016】
その加工爪6としては、本例においては多数の丸棒材を用いたもので、その丸棒材よりなる加工爪6を支持基板7に植設し、その支持基板7を偏心ドラム5の欠円部に図に省略したボルト等で脱着可能に取付けた構成である。なお前記3つの偏心ドラム5に支持基板7を介して取付けられる上記加工爪6の形状や本数および配置構成等は適宜であるが、本例においては加工爪6の形状や本数および配置構成がほぼ同様で配置位置のみが異なるように構成されている。
【0017】
また上記偏心ドラム5は、上記支軸4に対する取付穴5aを、支軸4の外径よりも20〜50%程度大きく形成すると共に、略筒状をなす上記ドラム5の中心位置に対して偏心させて設け、その取付穴5aに上記支軸4を挿通することによって、該支軸4に対して上記偏心ドラム5を揺動可能に保持させた構成である。また前記回転円板2の周方向に隣り合う偏心ドラム5・5間には、各偏心ドラム5の揺動範囲を規制すると共に、加工時に偏心ドラム5に掻き上げ力を付与する掻き上げバー8が設けられ、その各掻き上げバー8は、本例においてはスリーブ状に形成され、回転円板2・2間に取付けた支持棒9の周面に嵌合保持させた構成である。
【0018】
上記のように構成された引っ掻き工具1を例えば図に省略した可動フレーム上に回転自由に取付け支持させ、その可動フレームとともに上記引っ掻き工具1を移動走査すると共に、図に省略したモータ等で前記回転駆動軸3を介して回転円板2を所定の速度で回転駆動させる。或いは上記引っ掻き工具1をハンドドリル等に取付けて手動で移動走査すると共に、ハンドドリルに内蔵したモータ等で前記回転駆動軸3を介して回転円板2を所定の速度で回転駆動させればよい。
【0019】
図3および図4は上記の引っ掻き工具1によってALCパネルPの表面に引っ掻き痕を形成する際の動作状態を示すもので、その際、上記回転駆動軸3と回転円板2とを図に省略したモータ等で所望の方向に所定の速度で回転させた状態で前記加工爪6をパネル表面に接触させながら引っ掻き工具1をパネルPに対して所望の方向に所定の速度で相対移動させればよい。
【0020】
すると、上記引っ掻き工具1は、パネル表面に接触する前の自由回転状態においては、加工爪6が遠心力によって図3(a)のように放射方向外方に向いた状態で回転し、その状態で引っ掻き工具1を下降させると、いずれかの偏心ドラム5上の加工爪6の先端部が、同図(b)のようにパネル表面に衝突する。引き続き、回転円板2が回転すると、加工爪6の先端部は図3(c)〜(d)のようにパネルP内に次第に食い込みながら回転円板2の略接線方向に移動して略水平方向の引っ掻き痕が形成される。その際、加工爪6および偏心ドラム5はパネルPの抵抗で、図のように回転円板2の放射方向よりも回転方向後ろ側に徐々に後退回動しながら回転すると同時に、偏心ドラム5の取付穴5aと支軸4との隙間の範囲内で僅かに上方に移動する。
【0021】
そして加工爪6および偏心ドラム5が回転方向後ろ側に更に後退回動すると、図4(a)のように偏心ドラム5がその回転方向後ろ側に位置する掻き上げバー8に当接して、それよりも後方への後退回動が阻止されると同時に、引き続く回転円板2の回転で上記の掻き上げバー8が加工爪6を前方に押し出するように作用する。それによって、引き続きパネル表面に引っ掻き痕を形成しながら、同図(b)の状態から同図(c)のように上記加工爪6がパネルPから離れて1つの偏心ドラム5上の加工爪6による引っ掻き痕の形成が終了して同図(d)の状態となる。なお上記の掻き上げバー8によって加工爪6を前方に押し出す際、その加工爪6の回転速度や形状もしくは掻き上げバー8の配置位置等によっては、パネルの一部が剥離する場合があるが、上記加工爪6の回転速度や形状もしくは掻き上げバー8の配置位置等を適宜調整すれば、剥離が生じないようにすることができる。
【0022】
以上の動作を繰り返すことによって、ALCパネル表面に容易に引っ掻き痕Sを形成することができるもので、従来には無い新規な表面テクスチャーを得ることができる。また上記引っ掻き痕Sの性状や形成範囲等は、回転円板2の回転速度や、引っ掻き工具1とパネルPとの相対移動速度を調整することによって適宜変更可能であり、また上記引っ掻き痕Sの深さは、パネルに対する引っ掻き工具1の高さを適宜変更することによって任意に調整することができる。さらに加工中に可動フレームを上下動させれば、上記の引っ掻き痕を波状もしくは段階状その他任意に高低差をもたせることもできる。
【0023】
なお図示例は、加工爪6として丸棒材の先端部を軸線方向と略直角に裁断したものを用いたが、先端部を斜めに裁断したものでもよく、また丸棒状に限らず断面多角形状のもの、もしくは先端部を鉤状に屈曲形成したもの、あるいは板状のものでもよく、加工爪6の形状や配置構成は適宜である。例えば丸棒または角棒等のピン状のものであれば幅が狭く深い引っ掻き加工形状が得られ、加工爪6の間隔が広ければより深い引っ掻き加工形状となる。
【0024】
【実施例】
次に、本発明によるALCパネルの具体的な実施例について説明する。なお以下の実施例および比較例で使用したALCパネル(素材パネル)Pのサイズは、厚さ100mm、幅600mm、長さ3000mmであり、片方の表面には、公知の回転切削刃によって予め幅約10mm、深さ約7mmの凹溝g1,g2を縦横に約100mmピッチの間隔で格子状に形成したものを用いた。
【0025】
〔実施例1〕
前記図2に示す引っ掻き工具1を図に省略した可動フレーム上に回転自由に取付け支持させ、その引っ掻き工具1の回転駆動軸3および回転円板2をモータ等により所定の速度で回転駆動させるように構成してなる加工装置を用いて、上記ALCパネルPの前記凹溝g1,g2を形成した側のパネル表面に、引っ掻き加工を施した。なお上記回転駆動軸3および回転円板2の回転速度は毎分580回転とし、パネル表面に対して上記引っ掻き工具1をジグザグ状に蛇行させながら毎分6mの速度で移動走査し、パネルの長手方向と平行な方向の凹溝g2に沿って、その両側に引っ掻き加工を施し、その加工部分の面積が全体の50%程度となるようにした。
【0026】
〔比較例1〕
上記実施例1に対する比較例1として、前記の凹溝g1,g2を形成したALCパネルPの長手方向と平行な方向の凹溝g2に沿って、その両側に前記従来例と同様に剥離工具により剥離痕Aを形成した。なお上記の剥離工具としては、たがね状の金属棒材を用い、その金属棒材を凹溝g2内に挿入した状態で該凹溝g2の長手方向と直角方向に振子状に往復回動して凹溝g2の両側面を順次欠き落とすようにして剥離痕を形成した。また、その加工は、NC制御装置で自動的に行い、かつ、加工工具の移動速度を適宜調整し、加工部分の面積が全体の50%となるようにした。
【0027】
〔比較例2〕
上記実施例1に対する比較例2として、直径5mmの線材を複数本束ねた工具を上下方向に往復移動させながら前記の凹溝g1,g2を形成したALCパネルPの表面を打撃して多数の窪みHを有する打滅痕を、パネル長手方向と平行な方向の凹溝g2の両側に形成した。その加工はNC制御装置で自動的に行い、その加工部分の面積がパネル表面全体の50%程度となるようにした。
【0028】
上記実施例1および比較例1,2で表面加工を施したALCパネルへの塗装性能を比較するため、以下のような規程量の塗装による塗膜性能試験と塗装付着強度試験を実施した。
【0029】
▲1▼ 塗膜性能試験
上記実施例1および比較例1,2で得られたALCパネルの表面に、市販のアクリル系のJIS A 6909複層塗材用仕上材を下地調整材として1.2kg/m 程度吹き付け塗布した後、上塗り材として上記と同様の複層塗材用仕上材を吹きつけ塗布した。その上塗り材の塗布量は、上記仕上材のメーカーがその仕上材に対して規定している標準塗布量の上限値(0.35kg/m)と下限値(0.30kg/m)との2種類の塗布量で上記各パネル毎に実施し、それぞれ養生後の塗膜の形成状態を評価した。その評価方法としては、基材の露出状況を目視により3段階で評価し、基材の露出がみられない場合は○、基材の露出が部分的に見られる場合は△、基材の露出が大部分に見られる場合は×とした。
【0030】
▲2▼ 塗装付着強度試験
上記実施例1および比較例1,2で得られたALCパネルの表面に、上記と同様の市販のアクリル系のJIS A 6909複層塗材用仕上材を下地調整剤として1.2kg/m 程度吹き付け塗布した後、上塗り材として上記と同様の複層塗材用仕上材を0.35kg/m 程度吹き付け塗布し、それらのパネルから凹溝g1,g2の交差部を中心として縦横70×70mm、厚さ100mmのサンプルを切り出した。その各サンプルの塗装表面を縦横約40×40mmになるように溝を切り、塗膜表面にエポキシ樹脂系2液混合タイプ接着剤で縦横40×40mm、厚さ10mmの鋼材ジグを接着した。そして、24時間養生後、引張治具を用いて、オートグラフにより、引張速度1.5〜2kN/minで破断するまで引っ張って付着力を測定し、塗膜付着強度を算出すると共に、破断状況を目視により観察した。
【0031】
以上の試験結果を下記表1にまとめて示す。
【0032】
【表1】
Figure 2004346699
【0033】
上記の表からも明らかなように、▲1▼塗膜性能試験においては、本発明に基づく実施例1のALCパネルでは、標準塗布量下限値での塗装でも、基材の露出がなく、耐候性を充分に確保できる塗膜の形成が可能であった。これに対し、比較例2においては、実施例1とほぼ同様であったが、比較例1では標準塗布量の下限値での塗装で基材の露出が部分的に見られ、耐候性を確保するために必要な塗膜が形成されていないことが分かった。その理由としては、比較例1の場合には、剥離痕Aの表面に多くの気泡が露出し、その露出した気泡内に多量の塗料が流れ込んでしまうためであり、実施例1および比較例2に比べ、より多くの塗料が必要と考えられる。
【0034】
また▲2▼塗装付着強度試験においては、本発明に基づく実施例1のALCパネルでは、塗装の付着強度が高く、母材で破断していることから塗装と母材が充分に接着されていることが分かった。これに対し、比較例1は、実施例1とほぼ同様であったが、比較例2は、実施例1および比較例2に比べ引っ張り強度が低く、しかも塗膜とパネル表面の境界で破断することが分かった。これは加工した部分においては密実な打滅痕が多数を占めており、その打撃痕の底部にはマトリックス部分に打撃加工によって生じた粉粒体が付着していること、また加工部分において塗膜がマトリックスと直接接着している部分が少ないため、付着強度が低く、塗膜とパネル表面ALCの間で破断するという結果に至ったと考えられる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明によるALCパネルは、パネル表面の所望の領域に、引掻き工具で引っ掻いて形成してなる引掻き痕を有する構成としたから、パネル表面が適度に荒れた自然調の表面テクスチャーを有するALCパネルが得られる。また、例えば外壁材として用いるために必要不可欠な塗装仕上げを行う場合においては、前記従来技術で問題点となっていた塗料の増加による塗装コストの増大、および塗膜の付着強度の低下による耐久性の減退という2つの課題を良好に克服できる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明によるALCパネルの一実施形態を示す一部の平面図。
(b)は(a)の一部の拡大図。
(c)は(b)のさらに一部の拡大図。
【図2】(a)は引っ掻き工具の一例を示す正面図。
(b)は(a)におけるb−b線断面図。
【図3】(a)〜(d)は上記引っ掻き工具による加工プロセスの説明図。
【図4】(a)〜(d)は上記引っ掻き工具による加工プロセスの説明図。
【図5】(a)は従来のALCパネルの一例を示す一部の平面図。
(b)は(a)の一部の拡大図。
(c)は(b)のさらに一部の拡大図。
【図6】(a)は従来のALCパネルの他の例を示す一部の平面図。
(b)は(a)の一部の拡大図。
(c)は(b)のさらに一部の拡大図。
【符号の説明】
P ALCパネル
g1、g2 凹溝
S 引掻き痕
f 粉粒体
b 気泡
m マトリックス
1 引っ掻き工具
2 回転円板
3 回転駆動軸
4 支軸
5 偏心ドラム
5a 取付穴
6 加工爪
7 支持基板
8 掻き上げバー
9 支持棒

Claims (2)

  1. パネル表面の所望の領域に、引掻き工具で引っ掻いて形成してなる引掻き痕を有することを特徴とする軽量気泡コンクリートパネル。
  2. 前記引掻き痕の表面には、軽量気泡コンクリートのマトリックスと気泡とが露出し、その露出した気泡が前記引掻き工具で引っ掻いた際に発生した粉粒体によって埋められていることを特徴とする請求項1記載の軽量気泡コンクリートパネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8109740B2 (en) 2006-01-16 2012-02-07 Lg Electronics Inc. Mounting structure of linear compressor

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