JP2004346383A - 還元析出皮膜形成用センシタイザー溶液 - Google Patents

還元析出皮膜形成用センシタイザー溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】無電解めっき等の触媒付与方法であるセンシタイザー−アクチベーター法において用いるセンシタイザー溶液であって、被処理物への吸着性に優れ、しかも安定性が良好で長期間使用可能な新規なセンシタイザー溶液を提供する。
【解決手段】フッ化物イオン及びホウフッ化物イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種の陰イオンと、2価のスズイオンを含有し、更に、必要に応じて還元性物質を含有する酸性水溶液からなる還元析出皮膜形成用センシタイザー溶液。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無電解めっき等の還元析出皮膜形成用の前処理剤であるセンシタイザー溶液、及び還元析出皮膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック、セラミックス、ガラス、各種樹脂などの非導電性物質に対して無電解めっきを行う場合には、被めっき物表面でめっき反応を開始させるために、無電解めっきに先だって、通常、被めっき物に触媒金属を付与するための処理が行われる。
【0003】
現在、無電解めっき用の触媒金属としては、パラジウムが広く用いられており、これを被めっき物に付与する方法としては、例えば、親水化処理した被めっき物をスズ−パラジウム混合コロイド溶液(キャタリスト溶液)に浸漬してスズーパラジウムコロイドを被めっき物に付着させた後、硫酸などの酸性溶液からなるアクセレーター溶液に浸漬して、過剰のスズイオンを溶解除去する方法が行われている。この方法は、通常、キャタリスト−アクセレーター法として知られている方法であり、プリント配線板における触媒付与方法として広く採用されている。
【0004】
また、2価のスズ化合物を含むセンシタイザー溶液に被めっき物を浸漬して、スズ化合物を吸着させた後、パラジウム塩を含む溶液からなるアクチベーター溶液に浸漬して、被めっき物の表面に存在する2価のスズ化合物によりパラジウム塩を還元して、金属パラジムウム触媒を付与する方法も広く行われている。この方法は、通常、センシタイザー−アクチベーター法(感受性化−活性化法)と称される方法である。
【0005】
センシタイザー−アクチベーター法では、被めっき物表面のスズ化合物の吸着層が不均一な場合には、Pd触媒を均一に付着させることができず、無電解めっきの析出が不完全となり易い。このため、めっき物にパラジウム触媒を均一に付着させるためには、均一なスズ化合物の吸着層を形成することが重要である。
【0006】
また、Pd触媒の吸着量に関しては、スズ化合物の吸着量が多いほど、多くなることが報告されており(下記、非特許文献1参照)、良好な無電解めっき皮膜を形成するためには、センシタイザー溶液によるスズ化合物の吸着量を増加させて、均一なスズ化合物の吸着層を形成することが必要と考えられる。
【0007】
一方、センシタイザー溶液中では、2価のスズが溶液中の溶存酸素による酸化を受けて4価のスズとなり、吸着能力が低下するため、一般的には72時間程度で吸着性が低下して使用不可能となることが報告されている(下記、非特許文献2参照)。更に、浴温40℃程度で保持した場合には、12時間放置後には基材へのSn吸着量がゼロとなり、その結果、アクチベーター溶液に浸漬してもPd触媒を付与できないことも報告されている(下記、非特許文献3参照)。
【0008】
【非特許文献1】
「無電解めっきの活性化前処理におけるSnおよびPdの吸着量とCo−Pめっき皮膜の表面形態」表面技術協会、速報論文Vol. 50, No.4, 1999, p378−379
【0009】
【非特許文献2】
表面技術協会 第98回講演大会要旨集、講演番号19A−26, p20−21
【0010】
【非特許文献3】
表面技術協会第102回、講演大会要旨集、講演番号30−A, p30
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、無電解めっき等の触媒付与方法として知られているセンシタイザー−アクチベーター法において用いるセンシタイザー溶液であって、被処理物への吸着性に優れ、しかも安定性が良好で長期間使用可能な新規なセンシタイザー溶液を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねて来た。その結果、スズ化合物を含有する酸性水溶液からなるセンシタイザー溶液に、フッ化物及びホウフッ化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を添加することによって、スズ化合物の吸着性が著しく向上することを見出した。更に、この溶液に還元性物質を添加することにより、2価のスズ化合物の酸化が抑制されて、センシタイザー溶液の安定性が向上し、長期間の使用が可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、下記の還元析出皮膜形成用センシタイザー溶液及び還元析出皮膜の形成方法を提供するものである。
1. フッ化物イオン及びホウフッ化物イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種の陰イオンと、2価のスズイオンを含有する酸性水溶液からなる還元析出皮膜形成用センシタイザー溶液。
2. 2価のスズイオンの濃度が0.01〜5モル/l、フッ化物イオン及びホウフッ化物イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種の陰イオンの濃度が0.01〜1モル/lであり、pHが4以下の酸性水溶液である上記項1に記載のセンシタイザー溶液。
3. 更に、還元性物質を含有する上記項1又は2に記載のセンシタイザー溶液。
4. 還元性物質の濃度が0.001〜1モル/lである上記項3に記載のセンシタイザー溶液。
5. 還元析出皮膜が、無電解めっき皮膜、酸化亜鉛皮膜又は希土類酸化物皮膜である上記項1〜4のいずれかに記載の還元析出皮膜形成用センシタイザー溶液。
6. 上記項1〜5のいずれかに記載のセンシタイザー溶液に被処理物を接触させてセンシタイザー処理を行った後、アクチベーター処理を行い、次いで、該被処理物を無電解めっき液又は酸化物膜形成用組成物に接触させることを特徴とする還元析出皮膜の形成方法。
7. 上記項1〜5のいずれかに記載のセンシタイザー溶液に被処理物を接触させてセンシタイザー処理を行い、次いで、Agイオンを含有する水溶液に被処理物を接触させ、更にパラジウム化合物を含有する酸性水溶液に接触させてアクチベーター処理を行った後、
亜鉛イオン、硝酸イオン及びボラン−アミンコンプレックスを含有する水溶液からなる酸化亜鉛膜形成用組成物、又は
希土類化合物を溶解した水溶液であって、硝酸イオン及び亜硝酸イオンから選ばれた少なくとも一種の陰イオンと還元剤を含有する水溶液からなる希土類酸化物膜形成用組成物
に被処理物を接触させることを特徴とする酸化物膜の形成方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
センシタイザー溶液
本発明のセンシタイザー溶液は、フッ化物イオン(F)及びホウフッ化物イオン(BF )からなる群から選ばれた少なくとも一種の陰イオンと、2価のスズイオンを含有する酸性水溶液である。
【0015】
本発明のセンシタイザー溶液では、陰イオンとして、フッ化物イオン及びホウフッ化物イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種のイオンが存在することによって、従来のセンシタイザー溶液を用いる場合と比較して、スズ化合物の吸着量が増加して、均一なスズ化合物の吸着層を形成できる。その結果、アクチベーター処理において、核密度の高い緻密な触媒金属を付与することができる。
【0016】
2価のスズイオン源としては、2価のスズを含む水溶性化合物を用いればよい。具体例としては、硫酸スズ、塩化スズ、酢酸スズ、ホウフッ化スズなどを挙げることができる。スズ化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0017】
2価のスズイオンの濃度については、特に限定的ではないが、通常、0.01〜5モル/l程度とすれば良く、好ましくは0.02〜2モル/l程度とすればよい。
【0018】
フッ化物イオン源としては、フッ化水素酸、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモン、フッ化水素アンモニウム、フッ化水素カリウム、フッ化ホウ素酸などを用いることができる。ホウフッ化物イオン源としては、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化アンモニウム、ホウフッ化カリウム、ホウフッ化スズ、ホウフッ化ナトリウムなどを用いることができる。フッ化物イオンとホウフッ化物イオンは、いずれか一方が存在すればよいが、両方が同時に存在してもよい。陰イオンとしてホウフッ化物イオンが含まれる場合には、特に均一で緻密なスズ化合物の吸着層が形成されて、触媒金属を緻密且つ均一に付与することができ、密着性等に優れた良好な還元析出皮膜を形成することが可能となる。
【0019】
2価のスズ化合物としてフッ化物又はホウフッ化物を用いる場合には、スズ化合物がフッ化物イオン又はホウフッ化物イオンの供給源となるので、フッ化物又はホウフッ化物を別個添加しなくても良い。但し、後述する濃度範囲であれば、更に、他のフッ化物又はホウフッ化物を添加しても良い。
【0020】
フッ化物イオン及びホウフッ化物イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種の陰イオンの濃度については、特に限定的ではないが、通常、0.01〜1モル/l程度、好ましくは0.02〜0.5モル/l程度とすればよい。
【0021】
本発明のセンシタイザー溶液は、酸を添加して酸性水溶液として用いる。酸の種類については、特に限定的ではないが、通常、硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸を用いればよい。センシタイザー溶液のpHについては、特に限定的ではないが、通常、pH4程度以下、好ましくはpH2程度以下とすればよい。pHの下限値については、特に限定的ではないが、例えば、pH0.1程度以上、好ましくは0.5程度以上で良好なセンシタイザー溶液が得られる。
【0022】
本発明のセンシタイザー溶液には、更に、必要に応じて、還元性物質を添加してもよい。還元性物質を添加することによって、2価のスズ化合物の酸化が抑制され、浴安定性が向上して、長期間の使用が可能となる。
【0023】
還元性物質としては、特に限定的ではないが、例えば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、キノン類、フェノール類などを用いる場合に、良好な浴安定性を得ることができる。これらの内で、キノン類としては、p−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノンなどを例示でき、フェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、α−ナフトール、β−ナフトール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロールなどを例示できる。還元性物質は一種単独又は二種以上混合して用いることができる。特に、還元性物質としてフェノール類を用いる場合には、浴安定性が非常に良好になり、センシタイザー溶液を濃縮液の状態で長時間放置した場合にも変色等が生じることがない。
【0024】
還元性物質の使用量は、特に限定的ではないが、通常、0.001〜1モル/l程度、好ましくは0.005〜0.1モル/l程度とすればよい。
【0025】
触媒付与方法
本発明のセンシタイザー溶液による処理方法については、従来のセンシタイザー溶液を用いるセンシタイジング(感受性化)処理と同様の方法とすればよい。
【0026】
具体的には、常法に従って脱脂処理、表面調整などの前処理を行った後、被処理物を本発明のセンシタイザー溶液に接触させればよい。被処理物をセンシタイザー溶液に接触させる方法については、特に限定的ではなく、例えば、センシタイザー溶液に被処理物を浸漬する方法、センシタイザー溶液を被処理物に塗布した後、乾燥する方法などを適用できるが、特に、センシタイザー溶液に被処理物を浸漬する方法が好ましい。この方法によれば、簡単な操作によって被処理物に均一にしかも多量にスズ化合物を吸着させることができる。
【0027】
センシタイザー溶液の温度については、通常、10〜40℃程度とすることが好ましく、20〜30℃程度とすることがより好ましい。処理時間については、通常、20秒〜10分間程度、好ましくは30秒〜5分間程度とすればよい。
【0028】
上記した方法でセンシタイザー処理を行った後、アクチベーター処理を行うことによって、還元析出皮膜形成用の触媒金属を被処理物に付与することができる。
【0029】
アクチベーター処理については、常法に従えば良い。通常、アクチベーター溶液としては、触媒成分としてパラジウム化合物を含有する酸性水溶液を用いることが多く、この溶液に被処理物を接触させればよい。被処理物をアクチベーター溶液に接触させる方法については、特に限定的ではなく、例えば、アクチベーター溶液に被処理物を浸漬する方法、アクチベーター溶液を被処理物に塗布した後、乾燥する方法などを適用できるが、特に、アクチベーター溶液に被処理物を浸漬する方法が好ましい。
【0030】
例えば、塩化パラジウムを0.1〜0.5g/l程度及び濃塩酸を1〜10ml/l程度含有する水溶液からなるアクチベーター溶液を用い、10〜40℃程度、好ましくは20〜30℃程度の溶液中に被処理物を10秒〜5分間程度、好ましくは30秒〜3分間程度浸漬すればよい。これにより、被処理物表面に吸着しているスズ化合物とアクチベーター溶液中のパラジウム化合物との間で酸化還元反応が生じて、被処理物の表面に金属パラジウム触媒が付与される。
【0031】
アクチベーター処理法については、この方法には限定されず、例えば、被処理物をAgイオンを含有する水溶液に接触させた後、パラジウム化合物を含有する酸性水溶液に接触させる二段階の処理方法を採用することもできる。二段階の処理方法を採用する場合には、銀及びパラジムからなる触媒金属が高密度に均一に付着して、特に良好な還元析出皮膜を形成することができる。
【0032】
二段階のアクチベーター処理方法で用いるAgイオンを含有する水溶液としては、特に限定的ではないが、例えば、硝酸銀を含有する水溶液を用いることができ、具体例としては、AgNOを1〜10g/l程度含有する水溶液を挙げることができる。処理条件としては、例えば、液温10〜40℃程度、好ましくは20〜30℃程度の溶液中に10秒〜5分間程度、好ましくは30秒〜3分間程度浸漬すればよい。
【0033】
二段階のアクチベーター処理方法におけるパラジウム化合物を含有する酸性水溶液による処理条件は、上記した方法と同様でよい。
【0034】
以上の方法で一段階又は二段階のアクチベーター処理を行うことによって、被処理物の表面に還元析出用の触媒を付着させることができる。本発明のセンシタイザー溶液を用いることによって被処理物表面に多量のスズ化合物が均一に吸着するため、上記したアクチベーター処理により被処理物の表面に触媒金属を高密度且つ均一に付与することができる。その結果、無電解めっき等の還元析出処理を行うことによって、均一性に優れた良好な皮膜を形成することができる。
【0035】
還元析出皮膜
(1)無電解めっき
本発明のセンシタイザー溶液を用いる触媒付与方法を利用できる還元析出皮膜として代表的なものは、無電解めっき皮膜である。無電解めっきの種類については、特に限定的ではなく、公知の自己触媒性の無電解めっき液であれば、いずれも使用可能である。例えば、無電解銅めっき液、無電解ニッケルめっき液、無電解金めっき液、無電解パラジウムめっき液等を用いることができる。無電解めっきの条件については、使用するめっき液の種類に応じて、公知の条件に従えばよく、通常は、所定のめっき温度に調整した無電解めっき液中に被処理物を浸漬すればよい。
(2)酸化物膜
上記した触媒付与方法は、還元析出によって形成される酸化亜鉛膜、希土類酸化膜などの酸化物膜を形成するための触媒付与方法として利用することもできる。
【0036】
酸化物膜を形成する場合にも、無電解めっきの場合と同様に、本発明のセンシタイザー溶液を用いて上記した方法で触媒金属を付与した後、被処理物を酸化物膜形成用溶液に接触させればよい。
【0037】
この方法で酸化物膜を形成する場合には、上記したアクチベーター処理によって緻密で均一な触媒層が形成されるため、酸化物の析出粒子が微細化し、高密度に析出して、表面粗さの小さい透明性に優れた酸化物膜を形成することができる。アクチベーター処理として、Agイオンを含有する水溶液で処理した後、パラジウム化合物を含有する酸性水溶液で処理する二段階の処理方法を採用する場合には、特に、緻密で表面粗さの小さい透明性に優れた酸化物膜を形成することができる。
【0038】
酸化亜鉛膜形成用溶液としては、公知の溶液を用いることができる。例えば、特開平9−278437号公報に記載されている、亜鉛イオン、硝酸イオン及びボラン−アミンコンプレックスを含有する水溶液からなる酸化亜鉛膜形成用組成物を用いることができる。以下、該酸化亜鉛膜形成用組成物について具体的に説明する。
【0039】
亜鉛イオンイオン源となる化合物としては、水溶性亜鉛塩を用いればよく、その具体例として、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、炭酸亜鉛等を挙げることができる。硝酸イオン源としては、硝酸、水溶性硝酸塩等を用いることができ、硝酸塩の具体例として、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硝酸尿素等を挙げることができる。亜鉛イオン源となる化合物及び硝酸イオン源となる化合物は、それぞれ、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。また、亜鉛イオン及び硝酸イオンの両方のイオン源として、硝酸亜鉛を単独で用いても良い。この場合には、浴中に不要な成分が存在することがなく、純度の高い酸化亜鉛膜を形成することが可能となる。
【0040】
亜鉛イオン及び硝酸イオンの濃度は、それぞれ、0.001モル/l〜0.5モル/l(亜鉛分換算で0.065〜32.7g/l)程度の範囲内にあることが好ましく、0.01モル/l〜0.2モル/l(亜鉛分換算で0.65〜13g/l)程度の範囲内にあることがより好ましい。
【0041】
ボラン−アミンコンプレックスとしては、水溶性の化合物であればいずれも用いることができ、具体例として、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン等を挙げることができる。特に、トリメチルアミンボランを用いる場合には、浴の安定性が良好となり、良好な酸化亜鉛膜を長期間継続して形成できる。
【0042】
アミン−ボランコンプレックスの配合量は、0.001モル/l〜0.5モル/l程度とすることが好ましく、0.005モル/l〜0.1モル/l程度とすることがより好ましい。
【0043】
希土類酸化物膜形成用溶液としては、例えば、特開2001−262357号公報に記載されている、希土類化合物を溶解した水溶液であって、硝酸イオン及び亜硝酸イオンから選ばれた少なくとも一種の陰イオンと還元剤を含有する水溶液からなる希土類酸化物膜形成用組成物を用いることができる。以下、該希土類酸化物膜形成用組成物について、具体的に説明する。
【0044】
該希土類酸化物膜形成用組成物では、希土類化合物としては、セリウム、テルビウム、イットリウム、ユーロピウム等の希土類元素を含む水溶性化合物を用いることができる。水溶性化合物の種類としては、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩化物、フッ化物、ヨウ化物等を挙げることができる。これらの希土類化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。希土類化合物濃度は、特に限定的ではないが、0.0001モル/l〜0.5モル/l程度が好ましく、0.001〜0.1モル/l程度がより好ましい。
【0045】
硝酸イオン及び亜硝酸イオンから選ばれた少なくとも一種の陰イオンの含有量は、特に限定的ではないが、通常、陰イオン濃度として、0.0001モル/l〜1モル/l程度の範囲内にあることが好ましく、0.001モル/l〜0.1モル/l程度の範囲内にあることがより好ましい。
【0046】
硝酸イオン及び亜硝酸イオンから選ばれた少なくとも一種の陰イオンを水溶液中に存在させるためには、通常、硝酸イオン源となる化合物及び亜硝酸イオン源となる化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を溶媒となる水に溶解させればよい。硝酸イオン源となる化合物としては、硝酸、水溶性硝酸塩等を用いることができる。硝酸塩の具体例としては、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硝酸尿素等を挙げることができる。亜硝酸イオン源となる化合物としては、水溶性亜硝酸塩を用いることができ、その具体例としては、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム等を挙げることができる。硝酸イオン源となる化合物と亜硝酸イオン源となる化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0047】
希土類化合物として希土類元素の硝酸塩又は希土類元素の亜硝酸塩を用いる場合には、この硝酸塩又は亜硝酸塩自体が、硝酸イオン源又は亜硝酸イオン源となるので、その他に、硝酸イオン源となる化合物や亜硝酸イオン源となる化合物を配合しなくてもよい。この場合には、浴中に不要な成分が存在することがなく、純度の高い希土類酸化物膜を形成することが可能となる。
【0048】
希土類元素の硝酸塩又は希土類元素の亜硝酸塩を用いる場合には、希土類化合物の濃度と、硝酸イオン及び亜硝酸イオンから選ばれた少なくとも一種の陰イオンの濃度が、上記した好ましい範囲内となるように、他の希土類化合物や陰イオン源となる化合物を更に添加してもよい。
【0049】
還元剤については、特に限定的ではないが、水溶液の安定性等を考慮した場合には、無電解メッキ用の還元剤として広く用いられているジメチルアミンボラン(DMAB)、トリメチルアミンボラン(TMAB)等のボラン−アミンコンプレックス;水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物;次亜リン酸ナトリウム;ヒドラジン等を用いることが好ましい。還元剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。還元剤を配合することによって、本発明組成物中に基材を浸漬するだけで、通電することなく、希土類酸化物膜を形成することが可能となる。
【0050】
還元剤の含有量については特に限定的ではないが、0.001モル/l〜0.5モル/l程度の範囲内にあることが好ましく、0.005モル/l〜0.1モル/l程度の範囲内にあることがより好ましい。
【0051】
酸化物膜の形成方法については、酸化物膜形成用溶液、例えば、上記した酸化亜鉛膜形成用組成物又は希土類酸化物膜形成用組成物に被処理物を接触させればよく、通常は、該組成物中に被処理物を浸漬することによって、簡単に効率良く酸化物膜を形成することができる。
【0052】
酸化物膜形成用組成物の液温は、40〜90℃程度とすることが好ましく、60〜70℃程度とすることがより好ましい。又、該組成物のpHは、特に限定されるものではないが、4〜7程度とすることが好ましい。
【0053】
該組成物に被処理物を浸漬する際には、該組成物は、無撹拌及び撹拌状態のいずれでも良く、撹拌法としては、公知の攪拌方法を適宜採用できる。形成される酸化物膜の膜厚は浸漬時間とともに増加するので、浸漬時間を適宜設定することによって、目的とする膜厚の酸化亜鉛膜を形成することができる。
被処理物
本発明では、還元析出皮膜を形成するための被処理物の種類は特に限定されず、導電性材料及び非導電性材料のいずれであってもよく、各処理液中に浸漬した場合に変質しない材料であれば、どの様な材料も使用できる。その具体例としては、プリント基板などの金属−非導電性物質複合材料;プラスチック、セラミックス、ガラスなどの非導電性物質;紙、布などの繊維状物質;金属、金属酸化物等を挙げることができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の様な顕著な効果が奏される。
(1) 本発明のセンシタイザー溶液に含まれるスズ化合物は、被処理物に対する吸着性が良好である。従って、本発明のセンシタイザー溶液を用いることにより、被処理物の表面に均一なスズ化合物の吸着層を形成できる。
(2) 本発明のセンシタイザー溶液を用いてスズ化合物を吸着させた後、アクチベーター処理を行うことによって、多量の触媒を高密度且つ均一に付着させることができる。その後、無電解めっき処理等を行うことによって、均一で良好な還元析出皮膜を形成することが可能となる。
(3) 本発明の触媒付与方法によって触媒を付与した後、酸化物膜形成用溶液に接触させることによって、表面粗さの小さい透明性に優れた酸化物膜を形成できる。形成される酸化物膜は、この様な良好な特性を利用して各種の用途に用いることができる。例えば、酸化亜鉛膜、酸化セリウム膜などは、紫外線遮断膜、光触媒等として有効に利用できる。更に、酸化亜鉛膜については、表面弾性波素子、透明導電膜、圧電素子等としても有用である。
(4) 本発明のセンシタイザー溶液は安定性が良好である。特に、還元性物質を含有する場合には、2価のスズ化合物の酸化が抑制されて、安定性がより向上し、長期間の使用が可能となる。従って、本発明のセンシタイザー溶液を用いることにより、触媒付与工程の低コスト化が可能となる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0056】
実施例1
35%HCl溶液を10g/lとSnCl・2HOを10g/l含有する水溶液に、さらに、下記表1に記載した添加剤を加えて、十分に撹拌することにより、センシタイザー溶液を調製した。
【0057】
このセンシタイザー溶液を用い、アルミナセラミックス基板(5×5cm)を被めっき物として、以下の工程で無電解ニッケルめっきを行った。尚、各工程の間には水洗を行った。
(1)脱脂
市販の浸漬脱脂剤(商標名:エースクリーンA−220、奥野製薬工業(株)製)に60℃で5分間浸漬した。
(2)センシタイジング(感受性化)
上記センシタイザー溶液中に、室温で2分間浸漬した。
(3)アクチベ−ティング(活性化)
触媒成分としてパラジウム化合物を含有する市販のアクチベーター液(商標名:OPC−アクチベーター、奥野製薬工業(株)製)に室温で1分間浸漬した。
(4)無電解めっき
市販の無電解Ni−Pめっき液(商標名:ニコロンGM、奥野製薬工業(株)製)を用い、80℃の液温で10分間浸漬した。
【0058】
以上の方法で形成された無電解Ni−Pめっき皮膜について、目視でめっき状態を観察した。また、センシタイザー溶液を室温で放置した場合に、目視で沈殿の発生が確認できるまでの日数を求めた。これらの結果を下記表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 2004346383
【0060】
以上の結果から明らかなように、本発明のセンシタイザー溶液は安定性が良好で長期間使用可能であり、更に、これを用いることにより、均一な無電解めっき皮膜を形成できることが判る。特に、還元剤を含有するセンシタイザー溶液は、沈殿発生までの期間が長く長期間安定に使用可能であった。
【0061】
実施例2
35%HCl溶液を10g/lとSnCl・2HOを10g/l含有する水溶液に、さらに、下記表2に記載した添加剤を加えて、十分に撹拌することにより、センシタイザー溶液を調製した。
【0062】
このセンシタイザー溶液を用い、ソーダライムガラス(5×5cm)を被処理物として、以下の工程で酸化亜鉛膜を形成した。尚、各工程の間には水洗を行った。
(1)脱脂
市販の浸漬脱脂剤(商標名:エースクリーンA−220、奥野製薬工業(株)製)に60℃で5分間浸漬した。
(2)センシタイジング(感受性化)
上記センシタイザー溶液中に、室温で2分間浸漬した。
(3)Ag触媒付与
AgNOをAg量として2g/l含有する水溶液中に室温で1分間浸漬した。
(4)Pd触媒付与
触媒成分としてパラジウム化合物を含有する市販のアクチベーター液(商標名:OPC−アクチベーター、奥野製薬工業(株)製)に室温で1分間浸漬した。
(4)酸化亜鉛膜形成
Zn(NOを0.1モル/lとジメチルアミンボランを0.02モル/l含有する水溶液からなる酸化亜鉛膜形成用組成物中に、65℃で60分間浸漬した。
【0063】
以上の方法で形成された酸化亜鉛膜について、目視で析出状態を観察し、更に、分光光度計(日立製作所製、U−2000)を用いて透過率を測定した。また、センシタイザー溶液を室温で放置した場合に、目視で沈殿の発生が確認できる間での日数を求めた。これらの結果を下記表2に示す。透過率については、波長600nmにおける測定結果を示す。
【0064】
【表2】
Figure 2004346383
【0065】
以上の結果から明らかなように、本発明のセンシタイザー溶液は安定性が良好で長期間使用可能であることが判る。また、本発明のセンシタイザー溶液を用いた場合には、形成されるZnO膜は高い透過率を有するものとなった。これは、ZnOの析出粒子が微細化して高密度に析出し、表面粗さが小さくなったことによるものと考えられる。

Claims (7)

  1. フッ化物イオン及びホウフッ化物イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種の陰イオンと、2価のスズイオンを含有する酸性水溶液からなる還元析出皮膜形成用センシタイザー溶液。
  2. 2価のスズイオンの濃度が0.01〜5モル/l、フッ化物イオン及びホウフッ化物イオンからなる群から選ばれた少なくとも一種の陰イオンの濃度が0.01〜1モル/lであり、pHが4以下の酸性水溶液である請求項1に記載のセンシタイザー溶液。
  3. 更に、還元性物質を含有する請求項1又は2に記載のセンシタイザー溶液。
  4. 還元性物質の濃度が0.001〜1モル/lである請求項3に記載のセンシタイザー溶液。
  5. 還元析出皮膜が、無電解めっき皮膜、酸化亜鉛皮膜又は希土類酸化物皮膜である請求項1〜4のいずれかに記載の還元析出皮膜形成用センシタイザー溶液。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のセンシタイザー溶液に被処理物を接触させてセンシタイザー処理を行った後、アクチベーター処理を行い、次いで、該被処理物を無電解めっき液又は酸化物膜形成用組成物に接触させることを特徴とする還元析出皮膜の形成方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のセンシタイザー溶液に被処理物を接触させてセンシタイザー処理を行い、次いで、Agイオンを含有する水溶液に被処理物を接触させ、更にパラジウム化合物を含有する酸性水溶液に接触させてアクチベーター処理を行った後、
    亜鉛イオン、硝酸イオン及びボラン−アミンコンプレックスを含有する水溶液からなる酸化亜鉛膜形成用組成物、又は
    希土類化合物を溶解した水溶液であって、硝酸イオン及び亜硝酸イオンから選ばれた少なくとも一種の陰イオンと還元剤を含有する水溶液からなる希土類酸化物膜形成用組成物
    に被処理物を接触させることを特徴とする酸化物膜の形成方法。
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