JP2004346155A - 光学材料用樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学特性、耐湿性、機械的特性等に優れた光記録媒体用樹脂組成物、光学レンズ用樹脂組成物、光学素子用封止剤樹脂組成物、光導波路用樹脂組成物等の光学材料用樹脂組成物、並びにそれらの樹脂組成物を用いて得られる光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路等の光学製品を提供すること。
【解決手段】着色が少なく透明性に優れたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂または当該フェノール樹脂から得られるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂もしくはジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を用いる。
【効果】本発明の光学材料用樹脂組成物は、着色がなく透明性に優れるとともに、耐湿性、耐熱性および成形性等に優れるため、各種の光学製品に好適に用いられる。
【選択図】 なし
【解決手段】着色が少なく透明性に優れたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂または当該フェノール樹脂から得られるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂もしくはジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を用いる。
【効果】本発明の光学材料用樹脂組成物は、着色がなく透明性に優れるとともに、耐湿性、耐熱性および成形性等に優れるため、各種の光学製品に好適に用いられる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体用樹脂組成物、光学レンズ用樹脂組成物、光学素子用封止剤樹脂組成物、光導波路用樹脂組成物等の光学材料用樹脂組成物に関し、さらにそれらの樹脂組成物を用いて得られる光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路等の光学製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路等の光学製品においては、その基材として、または接着材料、保護材料もしくは封止材料として、フェノール系、エポキシ系あるいはアクリル系などの樹脂組成物が使用されている(例えば、特許文献1〜5参照)。それらの樹脂組成物には、脂環式構造を有する樹脂が耐湿性や機械的特性等に優れるため好ましく用いられる。その中でジシクロペンタジエン型フェノール樹脂ならびに当該フェノール樹脂から得られるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂は有望でありながら、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が着色していたため光学用途に使用されておらず、具体的な提案もされていなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−130601号公報
【特許文献2】
特開2000−281725号公報
【特許文献3】
特開2003−26763号公報
【特許文献4】
特開2001−123045号公報
【特許文献5】
特開平6−273631号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光学特性、耐湿性、機械的特性等に優れた光記録媒体用樹脂組成物、光学レンズ用樹脂組成物、光学素子用封止剤樹脂組成物、光導波路用樹脂組成物等の光学材料用樹脂組成物、並びにそれらの樹脂組成物を用いて得られる光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路等の光学製品を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の課題を解決すべく、種々検討した結果、着色が少なく透明性に優れたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂または当該フェノール樹脂から得られるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂もしくはジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を用いることにより、光学材料用に適した樹脂組成物を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明の第1は、2質量%ジオキサン溶液を用いて測定される吸光度が400nmにおいて0.5以下であるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、当該フェノール樹脂を原料として得られるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂もしくはジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂の少なくとも1の樹脂を含有することを特徴とする光学材料用樹脂組成物に関する。
【0007】
本発明の第2は、上記第1の発明のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有する光記録媒体用樹脂組成物に関する。
【0008】
本発明の第3は、上記第1の発明のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有する光学レンズ用樹脂組成物に関する。
【0009】
本発明の第4は、上記第1の発明のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂および/またはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を含有する光学素子用封止剤樹脂組成物に関する。
【0010】
本発明の第5は、上記第1の発明のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含有する光導波路用樹脂組成物に関する。
【0011】
本発明の第6は、上記第1の発明の光学材料用樹脂組成物を用いて得られる光学製品に関する。
【0012】
本発明の第7は、光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路から選ばれる上記第6の発明の光学製品に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
(1−1)ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂
本発明に使用されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂は、特開2001−48961号公報に開示されている方法により製造することができる。すなわち、ジシクロペンタジエンと過剰のフェノール類とを、酸触媒および還元性金属化合物の存在下、場合により別途に活性水素を共存させて反応させた後、触媒を失活し、次いで触媒および還元性金属化合物等の残渣並びに未反応のフェノール類を除去することにより、着色が少なく透明性に優れたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を得ることができる。該フェノール樹脂は、2質量%ジオキサン溶液を用いて測定される吸光度が400nmにおいて0.5以下である。
【0014】
(1−2)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂
本発明に使用されるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、公知の方法、例えば特開2001−48961号公報に開示されている方法等により製造することができる。すなわち、上記の方法により得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂をエピハロヒドリン類と反応させてグリシジル化することにより、該エポキシ樹脂を得ることができる。
【0015】
(1−3)ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂
本発明に使用されるジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂は、公知の方法、例えば特開平11−106181号公報により製造することができる。すなわち、上記の方法により得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂をハロゲン化メチル基またはグリシジル基を有するオキセタン化合物と反応させてオキセタニル化することにより、該オキセタニル樹脂を得ることができる。
【0016】
(1−4)ジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂
本発明に使用されるジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂は、公知の方法、例えば特開2002−293876号公報や特開平11−209445号公報に開示されている方法等により製造することができる。すなわち、上記の方法により得られたジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応、あるいは上記の方法により得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂とグリシジ化アクリレート化合物との反応により、(メタ)アクリロイル基を有する該(メタ)アクリレート樹脂を得ることができる。前者の反応で得られる樹脂は一般的にエポキシ(メタ)アクリレート樹脂と称される。
【0017】
(2)光学材料用樹脂組成物
本発明の光学材料用樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂およびジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂の少なくとも1を含有する限り特に制限はなく、用途により他の成分を適宜配合することができる。
該樹脂組成物に配合できる他の成分としては、光重合開始剤、有機過酸化物、硬化剤、硬化促進剤、エチレン性不飽和基含有化合物、エポキシ樹脂等の公知のものが挙げられる。さらに必要に応じて、酸化防止剤、帯電防止剤、カップリング剤、充填剤、希釈剤、消泡剤、レべリング剤、重合禁止剤等の公知の各種添加剤を配合することができる。また、塗布する目的で該樹脂組成物を溶剤に溶解して使用することもできる。
【0018】
(2−1)光記録媒体用樹脂組成物
本発明の光記録媒体用樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有するものが好ましい。該樹脂組成物のその他の成分は、公知の光記録媒体用樹脂組成物と同様とすることができ、例えば光重合開始剤や有機過酸化物等が配合され、場合により硬化促進剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物等が配合される。
本発明の該樹脂組成物は、公知の方法により、保護コート層、接着剤、基材として用いられる。
保護コート層として用いる場合は、光記録媒体の表面に該樹脂組成物を塗布し、光および/または熱により硬化させて、保護コート層を形成することができる。
接着剤として用いる場合は、光記録媒体を構成する層間に該樹脂組成物を塗布し、光および/または熱により硬化させ、それらの層を接着して光記録媒体を形成することができる。
基材として用いる場合は、基板や金型等を用いて該樹脂組成物をディスク状等の所望の形状とし、光および/または熱により硬化させ、光記録媒体の基材とすることができる。
【0019】
(2−2)光学レンズ用樹脂組成物
本発明の光学レンズ用樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有するものが好ましい。該樹脂組成物のその他の成分は、公知の光学レンズ用樹脂組成物と同様とすることができ、例えば光重合開始剤や有機過酸化物が配合され、さらに好ましくはエチレン性不飽和基含有化合物等が配合される。
本発明の該樹脂組成物は、公知の方法により、凹凸の組み合わせのガラス基材および金型の間に保持され、光および/または熱による硬化によって、光学レンズに成形することができる。
【0020】
(2−3)光学素子用封止剤樹脂組成物
本発明の光学素子用封止剤樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂もしくはジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂および/またはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を含有するものが好ましい。該樹脂組成物のその他の成分は、公知の光学素子用封止剤樹脂組成物と同様とすることができる。ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂もしくはジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂を含有する該樹脂組成物には、硬化剤、硬化促進剤等が配合されるが、硬化剤として酸無水物または上記のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を用いることができる。ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を含有する該樹脂組成物には、エポキシ樹脂、硬化促進剤等が配合される。
本発明の該樹脂組成物は、公知の方法により、LED等の発光素子、フォトダイオード等の受光素子、フォトカプラ−等の光電変換素子等に代表される光学素子の表面にコーティングされ、光および/または熱による硬化により、それらの光学素子を封止することができる。
【0021】
(2−4)光導波路用樹脂組成物
本発明の光導波路用樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂を含有するものが好ましい。該樹脂組成物のその他の成分は、公知の光導波路用樹脂組成物と同様とすることができ、例えば光重合開始剤等が配合される。
本発明の該樹脂組成物は、公知の方法により、他の屈折率の異なる光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂と組み合わせて、光および/または熱による硬化によって、コア部またはクラッド部を形成し光導波路とすることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。なお、樹脂および樹脂組成物の物性は以下の方法により測定した。
【0023】
<測定方法>
(1)樹脂の400nmにおける吸光度
樹脂/ジオキサンの2質量%溶液を調整し、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製Ubest−50型)および光路長10mmの石英製セルを用い、400nmにおける吸光度を測定した。
【0024】
(2)硬化物の吸湿率
直径50mm、厚さ3mmの円板状テストピースを作製し、85℃、湿度85%の高温高湿槽に放置し、168時間後の重量増加率を吸湿率として測定した。
【0025】
(3)硬化物の光透過率
厚さ1mmのテストピースを作製し、分光光度計(島津自記分光光度計UV−3100)を用いて、400nmの光透過率を測定した。
【0026】
(4)硬化物のガラス転移温度Tg
10×5×5mmのテストピースを作製し、TMAを用い、昇温速度5℃/minとし、テストピースの伸び率が急激に変化する温度を測定した。
【0027】
<製造実施例1>
(ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A1)の製造)
反応器にフェノールとトルエンとを仕込み、160℃に加熱してトルエンと水分を共沸させ、系内の水分が100ppm以下になるまで脱水するとともにトルエンを留去し、脱水されたフェノール780gを得た。そこに三フッ化ホウ素−フェノール錯体を5.2g添加し、液温を70℃に保持しながらジシクロペンタジエン115gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間攪拌した後、亜鉛粉末を5g添加した。その後140℃に昇温してさらに8時間攪拌したところ、反応液が濃赤色からほとんど無色になった。その後70℃に冷却してハイドロタルサイト(商品名:キョーワード1000、協和化学(株)製)を15g添加し、同温度で1時間攪拌して触媒を失活させたのち濾過した。濾液を減圧蒸留により濃縮し、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A1)250gを得た。樹脂(A1)は、黒味がなく、わずかに淡黄色を帯び、透明性が高いものであり、吸光度は400nmにおいて0.01以下であった。また、水酸基当量(g−樹脂/グラム当量−水酸基)は169であった。
【0028】
<製造実施例2>
(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B1)の製造)
反応器に、実施例1の方法で得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A1)169gとエピクロルヒドリン400gとを仕込み、撹拌して溶解させ、系内を150mmHgに調節して68℃に昇温した。この系に濃度48質量%の水酸化ナトリウム水溶液100gを連続的に添加しながら3.5時間反応を行った。系内の水を、水−エピクロルヒドリン共沸混合物の還流により分離し、反応系外へ連続的に除去した。反応終了後、系内を常圧に戻し、110℃まで昇温して系内の水を完全に除去した。また、常圧蒸留および減圧蒸留(15mmHg、140℃)により、過剰のエピクロルヒドリンを除去した。得られた樹脂および塩化ナトリウムの混合物に、メチルイソブチルケトン300gおよび10質量%の水酸化ナトリウム水溶液36gを加え、85℃で1.5時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン750gおよび水300gを加え、下層の塩化ナトリウム水溶液を分液除去した。次にメチルイソブチルケトン液層に水150gを加えて洗浄し、リン酸で中和して水層を分液除去した後、さらに水800gを加えて洗浄し、水層を分液除去した。メチルイソブチルケトン液層を常圧蒸留し、続いて減圧蒸留(5mmHg、140℃)を行い、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B1)216gを得た。樹脂(B1)は、着色がほとんどなく、透明性の高いものであった。また、エポキシ当量は266であった。
【0029】
<製造実施例3>
(ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂(C1)の製造)
反応器に、p−トルエンスルホニルクロリド560g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド40gおよびトルエン1500mLを仕込み、攪拌してほぼ均一溶液とした後、約5℃まで冷却した。この系内に、35質量%水酸化ナトリウム水溶液を静かに加え、冷却浴で10℃以下に制御しながら3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン278gを約30分かけて滴下した。滴下終了後、同温度でさらに1時間攪拌した後、冷却浴を取り外して4時間攪拌を続けた。反応終了後、反応混合物のトルエン層を水で洗浄し、水層を分液除去した。トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾別した後、10mmHg以下、70℃でトルエンを留去し、無色透明液体のオキセタントシレート410gを得た。
次に、水素化ナトリウム60g、N,N−ジメチルホルムアミド2Lおよびトルエン750mLを反応器に仕込み、70℃で攪拌した。続いて、製造実施例1の方法で得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A1)169gをトルエン1LとN,N−ジメチルホルムアミド250mLの混合溶媒に溶解させたものを、45分かけて前記反応器内に滴下した。滴下終了後、70℃で1時間攪拌した後、上記で得られたオキセタントシレート405gをトルエン1Lに溶解させたものを、25分かけて前記反応器内に滴下した。滴下終了後、100℃で4時間攪拌し、室温に戻した。反応混合物の有機層を水で2回洗浄し、活性炭を加えて脱色したのち濾過し、減圧蒸留により溶媒を除去して、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂(C1)253gを得た。樹脂(C1)は、着色がほとんどなく、透明性の高いものであった。
【0030】
<製造実施例4>
(ジシクロペンタジエン型アクリレート樹脂(D1)の製造)
反応器に、製造実施例2の方法で得られたジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B1)266gとアクリル酸144gを仕込み、100℃で8時間反応させ、未反応のアクリル酸を蒸留により除去して、ジシクロペンタジエン型アクリレート樹脂(D1)330gを得た。樹脂(D1)は、着色がほとんどなく、透明性の高いものであった。
【0031】
<製造比較例1>
(ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A2)の製造)
製造実施例1において、ジシクロペンタジエン滴下終了後に亜鉛粉末を投入せず、攪拌時間を2時間にした以外は同様に行い、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A2)251gを得た。樹脂(A2)は、褐色で黒味を帯び、透明性は非常に悪く、吸光度は400nmにおいて1.2であった。また、水酸基当量は169であった。
【0032】
<製造比較例2>
(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B2)の製造)
製造比較例1の方法で得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A2)169gを使用した以外は、製造実施例2と同様に行い、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B2)214gを得た。樹脂(B2)は、褐色を帯びており、透明性は非常に悪かった。また、エポキシ当量は266であった。
【0033】
<製造比較例3>
(ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂(C2)の製造)
製造比較例1の方法で得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A2)169gを使用した以外は、製造実施例3と同様に行い、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂(C2)251gを得た。樹脂(C2)は、褐色を帯びており、透明性は非常に悪かった。
【0034】
<製造比較例4>
(ジシクロペンタジエン型アクリレート樹脂(D2)の製造)
製造比較例2の方法で得られたジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B2)266gを使用した以外は、製造実施例4と同様に行い、ジシクロペンタジエン型アクリレート樹脂(D2)328gを得た。樹脂(D2)は、褐色を帯びており、透明性は非常に悪かった。
【0035】
<実施例1および比較例1>
表1の実施例1および比較例1に示す割合(表中の数字の単位は重量部)で各成分を混合した後、2本ロールを用いて50〜90℃で5分間混練し、得られた混練物を冷却後粉砕して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.86×106Pa、硬化時間2分の条件で硬化させ、物性測定用のテストピースを作製した。
【0036】
<実施例2、3および比較例2、3>
表1の実施例2、3および比較例2、3に示す割合で各成分を混合した後、真空脱泡して樹脂組成物を得た。なお、エポキシ基あるいはオキセタニル基1モルに対する硬化剤の当量比を1.1とした。この樹脂組成物を、100℃で2時間、さらに130℃で5時間の条件で硬化させ、物性測定用のテストピースを作製した。
【0037】
<実施例4および比較例4>
表1の実施例4および比較例4に示す割合で各成分を混合した後、清浄で平滑なガラス板状にアプリケーターを用いて塗布し、メタルハライド灯のコンベア式紫外線照射装置を用い、窒素雰囲気下で1000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、物性測定用のテストピースを作製した。
【0038】
【表1】
【0039】
上記の実施例1〜4、比較例1〜4について、表1に示した。表1から明らかなように、本発明の樹脂組成物を用いた場合、特に光透過率が高く、光学材料用として有用である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、着色がなく透明性に優れるとともに、耐湿性、耐熱性および成形性等に優れるため、各種の光学製品に好適に用いられる。特に、光記録媒体用樹脂組成物、光学レンズ用樹脂組成物、光学素子用封止剤樹脂組成物、光導波路用樹脂組成物として好適である。また、それらの樹脂組成物を用いることにより、要求特性を満足する光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路等の光学製品の提供が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体用樹脂組成物、光学レンズ用樹脂組成物、光学素子用封止剤樹脂組成物、光導波路用樹脂組成物等の光学材料用樹脂組成物に関し、さらにそれらの樹脂組成物を用いて得られる光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路等の光学製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路等の光学製品においては、その基材として、または接着材料、保護材料もしくは封止材料として、フェノール系、エポキシ系あるいはアクリル系などの樹脂組成物が使用されている(例えば、特許文献1〜5参照)。それらの樹脂組成物には、脂環式構造を有する樹脂が耐湿性や機械的特性等に優れるため好ましく用いられる。その中でジシクロペンタジエン型フェノール樹脂ならびに当該フェノール樹脂から得られるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂は有望でありながら、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が着色していたため光学用途に使用されておらず、具体的な提案もされていなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−130601号公報
【特許文献2】
特開2000−281725号公報
【特許文献3】
特開2003−26763号公報
【特許文献4】
特開2001−123045号公報
【特許文献5】
特開平6−273631号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光学特性、耐湿性、機械的特性等に優れた光記録媒体用樹脂組成物、光学レンズ用樹脂組成物、光学素子用封止剤樹脂組成物、光導波路用樹脂組成物等の光学材料用樹脂組成物、並びにそれらの樹脂組成物を用いて得られる光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路等の光学製品を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の課題を解決すべく、種々検討した結果、着色が少なく透明性に優れたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂または当該フェノール樹脂から得られるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂もしくはジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を用いることにより、光学材料用に適した樹脂組成物を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明の第1は、2質量%ジオキサン溶液を用いて測定される吸光度が400nmにおいて0.5以下であるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、当該フェノール樹脂を原料として得られるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂もしくはジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂の少なくとも1の樹脂を含有することを特徴とする光学材料用樹脂組成物に関する。
【0007】
本発明の第2は、上記第1の発明のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有する光記録媒体用樹脂組成物に関する。
【0008】
本発明の第3は、上記第1の発明のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有する光学レンズ用樹脂組成物に関する。
【0009】
本発明の第4は、上記第1の発明のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂および/またはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を含有する光学素子用封止剤樹脂組成物に関する。
【0010】
本発明の第5は、上記第1の発明のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含有する光導波路用樹脂組成物に関する。
【0011】
本発明の第6は、上記第1の発明の光学材料用樹脂組成物を用いて得られる光学製品に関する。
【0012】
本発明の第7は、光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路から選ばれる上記第6の発明の光学製品に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
(1−1)ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂
本発明に使用されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂は、特開2001−48961号公報に開示されている方法により製造することができる。すなわち、ジシクロペンタジエンと過剰のフェノール類とを、酸触媒および還元性金属化合物の存在下、場合により別途に活性水素を共存させて反応させた後、触媒を失活し、次いで触媒および還元性金属化合物等の残渣並びに未反応のフェノール類を除去することにより、着色が少なく透明性に優れたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を得ることができる。該フェノール樹脂は、2質量%ジオキサン溶液を用いて測定される吸光度が400nmにおいて0.5以下である。
【0014】
(1−2)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂
本発明に使用されるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、公知の方法、例えば特開2001−48961号公報に開示されている方法等により製造することができる。すなわち、上記の方法により得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂をエピハロヒドリン類と反応させてグリシジル化することにより、該エポキシ樹脂を得ることができる。
【0015】
(1−3)ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂
本発明に使用されるジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂は、公知の方法、例えば特開平11−106181号公報により製造することができる。すなわち、上記の方法により得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂をハロゲン化メチル基またはグリシジル基を有するオキセタン化合物と反応させてオキセタニル化することにより、該オキセタニル樹脂を得ることができる。
【0016】
(1−4)ジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂
本発明に使用されるジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂は、公知の方法、例えば特開2002−293876号公報や特開平11−209445号公報に開示されている方法等により製造することができる。すなわち、上記の方法により得られたジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応、あるいは上記の方法により得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂とグリシジ化アクリレート化合物との反応により、(メタ)アクリロイル基を有する該(メタ)アクリレート樹脂を得ることができる。前者の反応で得られる樹脂は一般的にエポキシ(メタ)アクリレート樹脂と称される。
【0017】
(2)光学材料用樹脂組成物
本発明の光学材料用樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂およびジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂の少なくとも1を含有する限り特に制限はなく、用途により他の成分を適宜配合することができる。
該樹脂組成物に配合できる他の成分としては、光重合開始剤、有機過酸化物、硬化剤、硬化促進剤、エチレン性不飽和基含有化合物、エポキシ樹脂等の公知のものが挙げられる。さらに必要に応じて、酸化防止剤、帯電防止剤、カップリング剤、充填剤、希釈剤、消泡剤、レべリング剤、重合禁止剤等の公知の各種添加剤を配合することができる。また、塗布する目的で該樹脂組成物を溶剤に溶解して使用することもできる。
【0018】
(2−1)光記録媒体用樹脂組成物
本発明の光記録媒体用樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有するものが好ましい。該樹脂組成物のその他の成分は、公知の光記録媒体用樹脂組成物と同様とすることができ、例えば光重合開始剤や有機過酸化物等が配合され、場合により硬化促進剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物等が配合される。
本発明の該樹脂組成物は、公知の方法により、保護コート層、接着剤、基材として用いられる。
保護コート層として用いる場合は、光記録媒体の表面に該樹脂組成物を塗布し、光および/または熱により硬化させて、保護コート層を形成することができる。
接着剤として用いる場合は、光記録媒体を構成する層間に該樹脂組成物を塗布し、光および/または熱により硬化させ、それらの層を接着して光記録媒体を形成することができる。
基材として用いる場合は、基板や金型等を用いて該樹脂組成物をディスク状等の所望の形状とし、光および/または熱により硬化させ、光記録媒体の基材とすることができる。
【0019】
(2−2)光学レンズ用樹脂組成物
本発明の光学レンズ用樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有するものが好ましい。該樹脂組成物のその他の成分は、公知の光学レンズ用樹脂組成物と同様とすることができ、例えば光重合開始剤や有機過酸化物が配合され、さらに好ましくはエチレン性不飽和基含有化合物等が配合される。
本発明の該樹脂組成物は、公知の方法により、凹凸の組み合わせのガラス基材および金型の間に保持され、光および/または熱による硬化によって、光学レンズに成形することができる。
【0020】
(2−3)光学素子用封止剤樹脂組成物
本発明の光学素子用封止剤樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂もしくはジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂および/またはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を含有するものが好ましい。該樹脂組成物のその他の成分は、公知の光学素子用封止剤樹脂組成物と同様とすることができる。ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂もしくはジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂を含有する該樹脂組成物には、硬化剤、硬化促進剤等が配合されるが、硬化剤として酸無水物または上記のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を用いることができる。ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を含有する該樹脂組成物には、エポキシ樹脂、硬化促進剤等が配合される。
本発明の該樹脂組成物は、公知の方法により、LED等の発光素子、フォトダイオード等の受光素子、フォトカプラ−等の光電変換素子等に代表される光学素子の表面にコーティングされ、光および/または熱による硬化により、それらの光学素子を封止することができる。
【0021】
(2−4)光導波路用樹脂組成物
本発明の光導波路用樹脂組成物は、上記のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂を含有するものが好ましい。該樹脂組成物のその他の成分は、公知の光導波路用樹脂組成物と同様とすることができ、例えば光重合開始剤等が配合される。
本発明の該樹脂組成物は、公知の方法により、他の屈折率の異なる光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂と組み合わせて、光および/または熱による硬化によって、コア部またはクラッド部を形成し光導波路とすることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。なお、樹脂および樹脂組成物の物性は以下の方法により測定した。
【0023】
<測定方法>
(1)樹脂の400nmにおける吸光度
樹脂/ジオキサンの2質量%溶液を調整し、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製Ubest−50型)および光路長10mmの石英製セルを用い、400nmにおける吸光度を測定した。
【0024】
(2)硬化物の吸湿率
直径50mm、厚さ3mmの円板状テストピースを作製し、85℃、湿度85%の高温高湿槽に放置し、168時間後の重量増加率を吸湿率として測定した。
【0025】
(3)硬化物の光透過率
厚さ1mmのテストピースを作製し、分光光度計(島津自記分光光度計UV−3100)を用いて、400nmの光透過率を測定した。
【0026】
(4)硬化物のガラス転移温度Tg
10×5×5mmのテストピースを作製し、TMAを用い、昇温速度5℃/minとし、テストピースの伸び率が急激に変化する温度を測定した。
【0027】
<製造実施例1>
(ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A1)の製造)
反応器にフェノールとトルエンとを仕込み、160℃に加熱してトルエンと水分を共沸させ、系内の水分が100ppm以下になるまで脱水するとともにトルエンを留去し、脱水されたフェノール780gを得た。そこに三フッ化ホウ素−フェノール錯体を5.2g添加し、液温を70℃に保持しながらジシクロペンタジエン115gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間攪拌した後、亜鉛粉末を5g添加した。その後140℃に昇温してさらに8時間攪拌したところ、反応液が濃赤色からほとんど無色になった。その後70℃に冷却してハイドロタルサイト(商品名:キョーワード1000、協和化学(株)製)を15g添加し、同温度で1時間攪拌して触媒を失活させたのち濾過した。濾液を減圧蒸留により濃縮し、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A1)250gを得た。樹脂(A1)は、黒味がなく、わずかに淡黄色を帯び、透明性が高いものであり、吸光度は400nmにおいて0.01以下であった。また、水酸基当量(g−樹脂/グラム当量−水酸基)は169であった。
【0028】
<製造実施例2>
(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B1)の製造)
反応器に、実施例1の方法で得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A1)169gとエピクロルヒドリン400gとを仕込み、撹拌して溶解させ、系内を150mmHgに調節して68℃に昇温した。この系に濃度48質量%の水酸化ナトリウム水溶液100gを連続的に添加しながら3.5時間反応を行った。系内の水を、水−エピクロルヒドリン共沸混合物の還流により分離し、反応系外へ連続的に除去した。反応終了後、系内を常圧に戻し、110℃まで昇温して系内の水を完全に除去した。また、常圧蒸留および減圧蒸留(15mmHg、140℃)により、過剰のエピクロルヒドリンを除去した。得られた樹脂および塩化ナトリウムの混合物に、メチルイソブチルケトン300gおよび10質量%の水酸化ナトリウム水溶液36gを加え、85℃で1.5時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン750gおよび水300gを加え、下層の塩化ナトリウム水溶液を分液除去した。次にメチルイソブチルケトン液層に水150gを加えて洗浄し、リン酸で中和して水層を分液除去した後、さらに水800gを加えて洗浄し、水層を分液除去した。メチルイソブチルケトン液層を常圧蒸留し、続いて減圧蒸留(5mmHg、140℃)を行い、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B1)216gを得た。樹脂(B1)は、着色がほとんどなく、透明性の高いものであった。また、エポキシ当量は266であった。
【0029】
<製造実施例3>
(ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂(C1)の製造)
反応器に、p−トルエンスルホニルクロリド560g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド40gおよびトルエン1500mLを仕込み、攪拌してほぼ均一溶液とした後、約5℃まで冷却した。この系内に、35質量%水酸化ナトリウム水溶液を静かに加え、冷却浴で10℃以下に制御しながら3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン278gを約30分かけて滴下した。滴下終了後、同温度でさらに1時間攪拌した後、冷却浴を取り外して4時間攪拌を続けた。反応終了後、反応混合物のトルエン層を水で洗浄し、水層を分液除去した。トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾別した後、10mmHg以下、70℃でトルエンを留去し、無色透明液体のオキセタントシレート410gを得た。
次に、水素化ナトリウム60g、N,N−ジメチルホルムアミド2Lおよびトルエン750mLを反応器に仕込み、70℃で攪拌した。続いて、製造実施例1の方法で得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A1)169gをトルエン1LとN,N−ジメチルホルムアミド250mLの混合溶媒に溶解させたものを、45分かけて前記反応器内に滴下した。滴下終了後、70℃で1時間攪拌した後、上記で得られたオキセタントシレート405gをトルエン1Lに溶解させたものを、25分かけて前記反応器内に滴下した。滴下終了後、100℃で4時間攪拌し、室温に戻した。反応混合物の有機層を水で2回洗浄し、活性炭を加えて脱色したのち濾過し、減圧蒸留により溶媒を除去して、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂(C1)253gを得た。樹脂(C1)は、着色がほとんどなく、透明性の高いものであった。
【0030】
<製造実施例4>
(ジシクロペンタジエン型アクリレート樹脂(D1)の製造)
反応器に、製造実施例2の方法で得られたジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B1)266gとアクリル酸144gを仕込み、100℃で8時間反応させ、未反応のアクリル酸を蒸留により除去して、ジシクロペンタジエン型アクリレート樹脂(D1)330gを得た。樹脂(D1)は、着色がほとんどなく、透明性の高いものであった。
【0031】
<製造比較例1>
(ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A2)の製造)
製造実施例1において、ジシクロペンタジエン滴下終了後に亜鉛粉末を投入せず、攪拌時間を2時間にした以外は同様に行い、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A2)251gを得た。樹脂(A2)は、褐色で黒味を帯び、透明性は非常に悪く、吸光度は400nmにおいて1.2であった。また、水酸基当量は169であった。
【0032】
<製造比較例2>
(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B2)の製造)
製造比較例1の方法で得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A2)169gを使用した以外は、製造実施例2と同様に行い、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B2)214gを得た。樹脂(B2)は、褐色を帯びており、透明性は非常に悪かった。また、エポキシ当量は266であった。
【0033】
<製造比較例3>
(ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂(C2)の製造)
製造比較例1の方法で得られたジシクロペンタジエン型フェノール樹脂(A2)169gを使用した以外は、製造実施例3と同様に行い、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂(C2)251gを得た。樹脂(C2)は、褐色を帯びており、透明性は非常に悪かった。
【0034】
<製造比較例4>
(ジシクロペンタジエン型アクリレート樹脂(D2)の製造)
製造比較例2の方法で得られたジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(B2)266gを使用した以外は、製造実施例4と同様に行い、ジシクロペンタジエン型アクリレート樹脂(D2)328gを得た。樹脂(D2)は、褐色を帯びており、透明性は非常に悪かった。
【0035】
<実施例1および比較例1>
表1の実施例1および比較例1に示す割合(表中の数字の単位は重量部)で各成分を混合した後、2本ロールを用いて50〜90℃で5分間混練し、得られた混練物を冷却後粉砕して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.86×106Pa、硬化時間2分の条件で硬化させ、物性測定用のテストピースを作製した。
【0036】
<実施例2、3および比較例2、3>
表1の実施例2、3および比較例2、3に示す割合で各成分を混合した後、真空脱泡して樹脂組成物を得た。なお、エポキシ基あるいはオキセタニル基1モルに対する硬化剤の当量比を1.1とした。この樹脂組成物を、100℃で2時間、さらに130℃で5時間の条件で硬化させ、物性測定用のテストピースを作製した。
【0037】
<実施例4および比較例4>
表1の実施例4および比較例4に示す割合で各成分を混合した後、清浄で平滑なガラス板状にアプリケーターを用いて塗布し、メタルハライド灯のコンベア式紫外線照射装置を用い、窒素雰囲気下で1000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、物性測定用のテストピースを作製した。
【0038】
【表1】
【0039】
上記の実施例1〜4、比較例1〜4について、表1に示した。表1から明らかなように、本発明の樹脂組成物を用いた場合、特に光透過率が高く、光学材料用として有用である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、着色がなく透明性に優れるとともに、耐湿性、耐熱性および成形性等に優れるため、各種の光学製品に好適に用いられる。特に、光記録媒体用樹脂組成物、光学レンズ用樹脂組成物、光学素子用封止剤樹脂組成物、光導波路用樹脂組成物として好適である。また、それらの樹脂組成物を用いることにより、要求特性を満足する光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路等の光学製品の提供が可能となる。
Claims (7)
- 2質量%ジオキサン溶液を用いて測定される吸光度が400nmにおいて0.5以下であるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、当該フェノール樹脂を原料として得られるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型オキセタニル樹脂もしくはジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂の少なくとも1の樹脂を含有することを特徴とする光学材料用樹脂組成物。
- 請求項1のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有する光記録媒体用樹脂組成物。
- 請求項1のジシクロペンタジエン型(メタ)アクリレート樹脂を含有する光学レンズ用樹脂組成物。
- 請求項1のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂および/またはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を含有する光学素子用封止剤樹脂組成物。
- 請求項1のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含有する光導波路用樹脂組成物。
- 請求項1の光学材料用樹脂組成物を用いて得られる光学製品。
- 光記録媒体、光学レンズ、光学素子、光導波路から選ばれる請求項6の光学製品。
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