JP2004345375A - ハンドルの温度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部環境によって著しく高温又は低温になったハンドルの表面温度を短時間で適温に調整する。
【解決手段】ステアリングコラム8の外周に気液混合室15が配置され、気液混合室15に水を噴霧する噴霧器20が設けられている。ハンドル1の表面温度の高温時には、温度センサー26の検知温度Tを制御部27で判別し、噴霧停止温度T5以上において送風切替弁19を開放し、噴霧器20を作動させる。エアコンの送風は、未だ高温状態であり、導入管路18を通って気液混合室15に流入し、気液混合室15で霧状の水が混合され、混合された送風が導入口13、接続通路12を通って送風通路9に流入し、排気口11から車室内に放出される。この間、エアコンの送風及びハンドル1が霧状の水の気化熱で冷やされる。また、ハンドル1の表面には、面状のヒーター24が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】ステアリングコラム8の外周に気液混合室15が配置され、気液混合室15に水を噴霧する噴霧器20が設けられている。ハンドル1の表面温度の高温時には、温度センサー26の検知温度Tを制御部27で判別し、噴霧停止温度T5以上において送風切替弁19を開放し、噴霧器20を作動させる。エアコンの送風は、未だ高温状態であり、導入管路18を通って気液混合室15に流入し、気液混合室15で霧状の水が混合され、混合された送風が導入口13、接続通路12を通って送風通路9に流入し、排気口11から車室内に放出される。この間、エアコンの送風及びハンドル1が霧状の水の気化熱で冷やされる。また、ハンドル1の表面には、面状のヒーター24が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両におけるハンドルの温度制御装置に関し、詳細には、車両の外部環境により高温又は低温になったハンドルの表面温度を車載のエアコンの送風により適温に調整するハンドルの温度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両において、夏季における炎天下等の暑い場所又は冬季における寒い場所等に長時間駐車した場合には、ハンドルの表面が手で触り難い程の高温又は低温になり、エンジン始動直後の運転操作に支障を生じる恐れがあった。
【0003】
そこで、ハンドルの表面温度を手で触り得る程度の適温に短時間で調整するために、ハンドルの内部にエアコン(以下、ACともいう。)の冷風又は温風を導入し、ハンドルの内部から表面温度を制御するハンドルの温度制御装置が各種提案されている。
【0004】
この温度制御装置としては、例えば、内部が中空のハンドルにACの送風を導入する送風配管を接続し、スイッチ又はリレーによりバルブを開いてACの送風をハンドルの内部に導入し、ハンドルのリムに形成した複数の吹き出し穴から排出し、スイッチ又はリレーによりバルブを閉じるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。また、内部に送風通路が形成されたハンドルにACの送風を導入する送風配管を接続し、スイッチにより開閉弁機構を開いてACの送風をハンドルの送風通路に導入し、ハンドルのスポークに形成された排出通路から排出し、制御部のタイマー回路により所定時間経過後又はハンドルに設けた温度センサーの検知温度が設定温度に達した時に開閉弁機構を閉じるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−1955号公報(全頁、図1−4)
【特許文献2】
特開平8−239048号公報(全頁、図1−3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の温度制御装置については、エンジン始動後にACの送風温度が所定の温度に達するまでに相当の時間を要するため、ハンドルの表面温度を短時間で適温に調整することが困難である。また、送風切替弁であるバルブ又は開閉弁機構等の送風切替弁の操作スイッチがACスイッチとは別に設けられているため、送風切替弁の操作スイッチを操作し忘れ、ハンドルへの送風がなされないことがある。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解消するためになされたものであり、その課題は、外部環境によって著しく高温又は低温になったハンドルの表面温度を短時間で適温に調整し得るハンドルの温度制御装置を提供することにある。また、ACの始動と連動してハンドルへの送風を開始し得るハンドルの温度制御装置を提供することにある
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明では、エアコンの冷房運転時にエアコンの送風に水等の揮発性液体を霧状に供給する噴霧器を設けることにより、霧状の揮発性液体がエアコンの送風に微粒子状に混合して気化し、送風及びハンドルから気化熱を奪うため、エアコンの送風温度が低下するまでにおいてもハンドルを冷やすことができる。エアコンの暖房運転時にハンドルを加熱するヒーターを設けることにより、ヒーターがハンドルを直接加温するため、エアコンの送風温度が上昇するまでにおいてもハンドルを温めることができる。ハンドルの表面温度を検知する温度センサーと、温度センサーの検知温度信号を判別し、送風切替弁の開閉及び噴霧器又はヒーターの作動・停止を制御する制御部を設けている。また、エアコンを作動・停止するACスイッチにより制御部を操作するようになっている。
【0009】
すなわち、本発明は、ハンドルの内部に形成された送風通路と、送風通路にエアコンの送風を導入する導入管路と、エアコンの送風を導入・遮断する送風切替弁を備え、エアコンの送風によりハンドルの内部から表面温度を制御するハンドルの温度制御装置であって、エアコンの冷房運転時にエアコンの送風に揮発性液体を霧状に供給する噴霧器を備えていることを特徴としている。
【0010】
ハンドルの表面温度を検知する温度センサーと、温度センサーの検知温度を判別し、送風切替弁及び噴霧器を制御する信号を出力する制御部を備えていてもよい。その際、制御部は、噴霧停止温度とこれより低温の冷風停止温度が設定され、温度センサーの検知温度が噴霧停止温度以上の高温時には送風切替弁の開信号及び噴霧器の作動信号を出力し、噴霧停止温度より低温時には送風切替弁の開信号のみを出力し、冷風停止温度より低温時には送風切替弁の閉信号のみを出力するようになっていてもよい。また、制御部は、エアコンを作動・停止するACスイッチにより操作するようになっていてもよい。さらに、本発明は、エアコンの暖房運転時にハンドルを加熱するヒーターを備え、制御部が、ヒーター停止温度、これより高温の温風停止温度及び冷風停止温度より低温の冷暖房判定温度が設定され、温度センサーの検知温度が冷暖房判定温度より低温の場合にはエアコンの暖房作動信号と送風切替弁及びヒーターを制御する信号を出力し、冷暖房判定温度以上の場合にはエアコンの冷房作動信号と送風切替弁及び噴霧器を制御する信号を出力するようになっていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図において、1は4本スポークのハンドルで、リム2が第1〜4のスポーク3,4,5,6でハブ7に一体に取付けられ、ハブ7の下端でステアリングコラム8に取付けられている。9は、送風通路で、ハンドル1の内部、すなわち図2に示すように、ハブ7、第1スポーク3、リム2の第1スポーク3から時計回りに第4スポーク6に至る間の部位、第4スポーク6の中間まで中空状に貫通して形成されている。10は、送風口、11は排気口である。排気口11、第4スポークの中間に下向きに形成されているが、リム2に設けられていてもよい。12は、接続通路で、ステアリングコラム8の上部側に上端が開口する中空円筒状に形成され、送風口10に気密状に接続されている。13は、導入口で、接続通路12の下部側方の2個所に形成されている。
【0012】
14は、混合容器で、ステアリングコラム8の外周にシール材16を介して気密状に配置され、車体(図示せず)に取付けられている。混合容器14は、内部が円筒状の気液混合室15を形成し、気液混合室15が導入口13を囲うとともに、ステアリングコラム8に対して偏心状になるように配置されている。なお、同心状に配置されていてもよい。17は、導入配管で、AC(図示せず)の送風を導入する導入管路18を形成している。導入配管17の一端は、ACに接続され、他端は導入管路18が気液混合室15に対して接線方向になるように接続されている。19は、送風切替弁で、導入配管17に90度回転可能に設けられ、弁駆動機構(図示せず)により駆動して導入管路18を開放・閉鎖し、ACの送風を導入・遮断するようになっている。
【0013】
20は、噴霧器で、液体容器21に収納された水を噴霧ポンプ22で噴霧ノズル23から霧状に噴出させるようになっている。噴霧器20は、噴霧ノズル23が気液混合室15における導入管路18の接続位置付近に上向きに設けられ、霧状の水がACの送風に均一に混合されるようになっている。なお、霧状の水は、微細であるほど好ましく、例えば湯気のように微細であることが好ましい。液体容器21に収納される液体は、無害な揮発性液体、例えばアルコールを溶解した水等でもよい。また、噴霧器20は、ステアリングコラム8に形成された接続通路12内に配置されていてもよく、その際、接続通路12を深くして液体収納部を形成し、噴霧ノズル23を導入口13より上方になるように配置することが好ましい。
【0014】
24は、面状のヒーターで、図2に示すように、第2及び第3のスポーク4,5の取付け位置付近におけるリム2の表面を包むように取付けられている。なお、ヒーター24は、コイル状でもよく、リム2の表面近くに埋め込んで設ける。25、26は、温度センサーで、第2及び第3のスポーク4,5におけるリム2に近い部位に埋め込んで設けられ、ハンドル1の表面温度を検出するようになっている。温度センサー25,26は、いずれか一方でもよく、また3個所以上に設けられていてもよい。
【0015】
27は、マイクロコンピューターからなる制御部で、ACスイッチの操作により作動・停止するようになっている。制御部27には、低い順にヒーター停止温度T1、温風停止温度T2、冷暖房判定温度T3、冷風停止温度T4及び噴霧停止温度T5が設定されており、温度センサー25,26によるハンドルの検知温度Tを判別し、図4に示すプログラムに従ってAC,ヒーター24、噴霧器20及び送風切替弁19を操作するようになっている。なお、各設定温度T1、T2、T3、T4、T5は、相対的なものであり、例えば、ヒーター停止温度T1が20℃、温風停止温度T2が25℃、冷暖房判定温度T3が30℃、冷風停止温度T4が35℃及び噴霧停止温度T5が40℃に設定されていてもよい。なお、ハンドルの検知温度Tは、2つの温度センサー25,26によるが、制御部27において高温側を選択して判別するようになっている。しかし、低温側又は平均値を採用して判別するようになっていてもよい。
【0016】
本実施の形態は、以上のように構成されており、その作用を次に説明する。ACスイッチをONすることにより、温度センサーからハンドルの表面温度Tの検出信号が制御装置に入力され、冷暖房判定温度T3以上であるか否かが判別される。冷暖房判定温度T3以上の場合には、ACが冷房作動され、冷暖房判定温度T3より低い場合には、ACが暖房作動される。ACが冷房作動され場合において、噴霧停止温度T4以上である時には送風切替弁が開状態に設定されるとともに、噴霧器から水が噴霧される。送風切替弁が開状態であることから、ACの送風が導入通路に流入し、気液混合室15、導入口13、接続通路12を通過して送風通路9に流入し、排気口11から車室内に放出される。その際、噴霧器から水が噴霧されていることから、気液混合室15においてACの送風に霧状の水が混合され、ACの送風が水の気化熱により冷やされる。また、気液混合室15を通過した送風は、霧状の水が混合された状態であり、送風通路9を通過する間に水が気化することから、ハンドルが冷やされる。以上において、ACの送風は、冷房作動開始からしばらくの間は高温であるが、その間において気液混合室15に水を霧状に供給することにより冷やされる。そして、ACの送風が冷風になり、ハンドルの表面温度Tが噴霧停止温度T4より低くなった時に噴霧器が停止する。送風通路9にはACの送風のみが流入するが、すでにACの送風が低温になつていることから、ハンドルをさらに冷やすことになる。ハンドルの表面温度Tが冷風停止温度T5より低温、すなわち適温になった時、送風切替弁を閉止し、導入管路18を遮断する。これにより、送風通路9へのACの送風を遮断するが、ACの冷房作動自体は車室の冷房条件に従って継続される。
【0017】
一方、ACが暖房作動され場合において、ヒーター停止温度T1以下である時には送風切替弁19が開状態に設定されるとともに、ヒーター24が加熱作動される。ACの送風は、前記冷房作動の場合と同様にして送風通路9に導入されるが、ACの暖房開始からしばらくの間は冷たい状態であるため、ハンドル1を暖めることはできない。一方、ヒーター24が加熱作動されることから、ハンドル1の操作位置付近については比較的早期に温められる。温度センサー25,26の検知温度Tがヒーター停止温度T1より高温になった時にヒーター24の加熱を停止する。この間にACの送風の温度が上昇しており、以後ACの送風のみによりハンドル1を暖めることになる。そして、温度センサー25,26の検知温度Tが温風停止温度T2より高温になった時に、送風切替弁19を閉止し、導入管路18を遮断する。これにより、送風通路9へのACの送風を遮断するが、ACの暖房作動自体は車室の暖房条件に従って継続される。
【0018】
なお、本実施の形態において、制御部27の操作をACスイッチで行うようになっているが、ACスイッチによらず固有の操作スイッチにより操作してもよい。その際、制御部27には、ヒーター停止温度T1、温風停止温度T2、冷風停止温度T4及び噴霧停止温度T5を設定し、冷暖房判定温度T3は設定しない。そして、ACスイッチをONするとともに操作スイッチをONすることにより、温度センサー25,26からの検知信号に基づいて送風切替弁19及び噴霧器20又はヒーター24を操作し、本実施の形態と同様にしてハンドル1の温度を制御することになる。
【0019】
【発明の効果】
本発明よれば、ハンドルの高温時にACの送風に水等の揮発性液体を霧状に混合することにより、ACの送風及びハンドルを揮発性液体の気化熱で冷やすことができるため、温度が低下するまでの間においてもハンドルを幾分でも冷やすことができ、従来よりもはるかに短時間で適温に冷やすことが可能になった。
【0020】
ハンドルを加熱するヒーターを備えている場合には、ハンドルを直接加温するため、ACの送風温度が上昇するまでの間においてもハンドルを温めることができ、従来よりもはるかに短時間で適温に温めることが可能になった。
【0021】
制御部がACスイッチで操作するようになっている場合には、ACの冷房又は暖房の作動と同時にハンドルの冷却又は加温を行うことができ、従来のような操作ミスを防ぎ、短時間に適温に調整することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の概念的説明図で、図2のA−A線断面図である。
【図2】同じく、図1のB−B線断面図である。
【図3】同じく、図1のC−C線拡大断面図である。
【図4】同じく、制御部のプログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ハンドル
8 ステアリングコラム
9 送風通路
12 接続通路
13 導入口
15 気液混合室
18 導入管路
19 送風切替弁
20 噴霧器
21 液体容器
22 噴霧ポンプ
23 噴霧ノズル
24 ヒーター
25、26 温度センサー
27 制御部
T ハンドルの検知温度
T1 ヒーター停止温度
T2 温風停止温度
T3 冷暖房判定温度
T4 冷風停止温度
T5 噴霧停止温度
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両におけるハンドルの温度制御装置に関し、詳細には、車両の外部環境により高温又は低温になったハンドルの表面温度を車載のエアコンの送風により適温に調整するハンドルの温度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両において、夏季における炎天下等の暑い場所又は冬季における寒い場所等に長時間駐車した場合には、ハンドルの表面が手で触り難い程の高温又は低温になり、エンジン始動直後の運転操作に支障を生じる恐れがあった。
【0003】
そこで、ハンドルの表面温度を手で触り得る程度の適温に短時間で調整するために、ハンドルの内部にエアコン(以下、ACともいう。)の冷風又は温風を導入し、ハンドルの内部から表面温度を制御するハンドルの温度制御装置が各種提案されている。
【0004】
この温度制御装置としては、例えば、内部が中空のハンドルにACの送風を導入する送風配管を接続し、スイッチ又はリレーによりバルブを開いてACの送風をハンドルの内部に導入し、ハンドルのリムに形成した複数の吹き出し穴から排出し、スイッチ又はリレーによりバルブを閉じるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。また、内部に送風通路が形成されたハンドルにACの送風を導入する送風配管を接続し、スイッチにより開閉弁機構を開いてACの送風をハンドルの送風通路に導入し、ハンドルのスポークに形成された排出通路から排出し、制御部のタイマー回路により所定時間経過後又はハンドルに設けた温度センサーの検知温度が設定温度に達した時に開閉弁機構を閉じるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−1955号公報(全頁、図1−4)
【特許文献2】
特開平8−239048号公報(全頁、図1−3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の温度制御装置については、エンジン始動後にACの送風温度が所定の温度に達するまでに相当の時間を要するため、ハンドルの表面温度を短時間で適温に調整することが困難である。また、送風切替弁であるバルブ又は開閉弁機構等の送風切替弁の操作スイッチがACスイッチとは別に設けられているため、送風切替弁の操作スイッチを操作し忘れ、ハンドルへの送風がなされないことがある。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解消するためになされたものであり、その課題は、外部環境によって著しく高温又は低温になったハンドルの表面温度を短時間で適温に調整し得るハンドルの温度制御装置を提供することにある。また、ACの始動と連動してハンドルへの送風を開始し得るハンドルの温度制御装置を提供することにある
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明では、エアコンの冷房運転時にエアコンの送風に水等の揮発性液体を霧状に供給する噴霧器を設けることにより、霧状の揮発性液体がエアコンの送風に微粒子状に混合して気化し、送風及びハンドルから気化熱を奪うため、エアコンの送風温度が低下するまでにおいてもハンドルを冷やすことができる。エアコンの暖房運転時にハンドルを加熱するヒーターを設けることにより、ヒーターがハンドルを直接加温するため、エアコンの送風温度が上昇するまでにおいてもハンドルを温めることができる。ハンドルの表面温度を検知する温度センサーと、温度センサーの検知温度信号を判別し、送風切替弁の開閉及び噴霧器又はヒーターの作動・停止を制御する制御部を設けている。また、エアコンを作動・停止するACスイッチにより制御部を操作するようになっている。
【0009】
すなわち、本発明は、ハンドルの内部に形成された送風通路と、送風通路にエアコンの送風を導入する導入管路と、エアコンの送風を導入・遮断する送風切替弁を備え、エアコンの送風によりハンドルの内部から表面温度を制御するハンドルの温度制御装置であって、エアコンの冷房運転時にエアコンの送風に揮発性液体を霧状に供給する噴霧器を備えていることを特徴としている。
【0010】
ハンドルの表面温度を検知する温度センサーと、温度センサーの検知温度を判別し、送風切替弁及び噴霧器を制御する信号を出力する制御部を備えていてもよい。その際、制御部は、噴霧停止温度とこれより低温の冷風停止温度が設定され、温度センサーの検知温度が噴霧停止温度以上の高温時には送風切替弁の開信号及び噴霧器の作動信号を出力し、噴霧停止温度より低温時には送風切替弁の開信号のみを出力し、冷風停止温度より低温時には送風切替弁の閉信号のみを出力するようになっていてもよい。また、制御部は、エアコンを作動・停止するACスイッチにより操作するようになっていてもよい。さらに、本発明は、エアコンの暖房運転時にハンドルを加熱するヒーターを備え、制御部が、ヒーター停止温度、これより高温の温風停止温度及び冷風停止温度より低温の冷暖房判定温度が設定され、温度センサーの検知温度が冷暖房判定温度より低温の場合にはエアコンの暖房作動信号と送風切替弁及びヒーターを制御する信号を出力し、冷暖房判定温度以上の場合にはエアコンの冷房作動信号と送風切替弁及び噴霧器を制御する信号を出力するようになっていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図において、1は4本スポークのハンドルで、リム2が第1〜4のスポーク3,4,5,6でハブ7に一体に取付けられ、ハブ7の下端でステアリングコラム8に取付けられている。9は、送風通路で、ハンドル1の内部、すなわち図2に示すように、ハブ7、第1スポーク3、リム2の第1スポーク3から時計回りに第4スポーク6に至る間の部位、第4スポーク6の中間まで中空状に貫通して形成されている。10は、送風口、11は排気口である。排気口11、第4スポークの中間に下向きに形成されているが、リム2に設けられていてもよい。12は、接続通路で、ステアリングコラム8の上部側に上端が開口する中空円筒状に形成され、送風口10に気密状に接続されている。13は、導入口で、接続通路12の下部側方の2個所に形成されている。
【0012】
14は、混合容器で、ステアリングコラム8の外周にシール材16を介して気密状に配置され、車体(図示せず)に取付けられている。混合容器14は、内部が円筒状の気液混合室15を形成し、気液混合室15が導入口13を囲うとともに、ステアリングコラム8に対して偏心状になるように配置されている。なお、同心状に配置されていてもよい。17は、導入配管で、AC(図示せず)の送風を導入する導入管路18を形成している。導入配管17の一端は、ACに接続され、他端は導入管路18が気液混合室15に対して接線方向になるように接続されている。19は、送風切替弁で、導入配管17に90度回転可能に設けられ、弁駆動機構(図示せず)により駆動して導入管路18を開放・閉鎖し、ACの送風を導入・遮断するようになっている。
【0013】
20は、噴霧器で、液体容器21に収納された水を噴霧ポンプ22で噴霧ノズル23から霧状に噴出させるようになっている。噴霧器20は、噴霧ノズル23が気液混合室15における導入管路18の接続位置付近に上向きに設けられ、霧状の水がACの送風に均一に混合されるようになっている。なお、霧状の水は、微細であるほど好ましく、例えば湯気のように微細であることが好ましい。液体容器21に収納される液体は、無害な揮発性液体、例えばアルコールを溶解した水等でもよい。また、噴霧器20は、ステアリングコラム8に形成された接続通路12内に配置されていてもよく、その際、接続通路12を深くして液体収納部を形成し、噴霧ノズル23を導入口13より上方になるように配置することが好ましい。
【0014】
24は、面状のヒーターで、図2に示すように、第2及び第3のスポーク4,5の取付け位置付近におけるリム2の表面を包むように取付けられている。なお、ヒーター24は、コイル状でもよく、リム2の表面近くに埋め込んで設ける。25、26は、温度センサーで、第2及び第3のスポーク4,5におけるリム2に近い部位に埋め込んで設けられ、ハンドル1の表面温度を検出するようになっている。温度センサー25,26は、いずれか一方でもよく、また3個所以上に設けられていてもよい。
【0015】
27は、マイクロコンピューターからなる制御部で、ACスイッチの操作により作動・停止するようになっている。制御部27には、低い順にヒーター停止温度T1、温風停止温度T2、冷暖房判定温度T3、冷風停止温度T4及び噴霧停止温度T5が設定されており、温度センサー25,26によるハンドルの検知温度Tを判別し、図4に示すプログラムに従ってAC,ヒーター24、噴霧器20及び送風切替弁19を操作するようになっている。なお、各設定温度T1、T2、T3、T4、T5は、相対的なものであり、例えば、ヒーター停止温度T1が20℃、温風停止温度T2が25℃、冷暖房判定温度T3が30℃、冷風停止温度T4が35℃及び噴霧停止温度T5が40℃に設定されていてもよい。なお、ハンドルの検知温度Tは、2つの温度センサー25,26によるが、制御部27において高温側を選択して判別するようになっている。しかし、低温側又は平均値を採用して判別するようになっていてもよい。
【0016】
本実施の形態は、以上のように構成されており、その作用を次に説明する。ACスイッチをONすることにより、温度センサーからハンドルの表面温度Tの検出信号が制御装置に入力され、冷暖房判定温度T3以上であるか否かが判別される。冷暖房判定温度T3以上の場合には、ACが冷房作動され、冷暖房判定温度T3より低い場合には、ACが暖房作動される。ACが冷房作動され場合において、噴霧停止温度T4以上である時には送風切替弁が開状態に設定されるとともに、噴霧器から水が噴霧される。送風切替弁が開状態であることから、ACの送風が導入通路に流入し、気液混合室15、導入口13、接続通路12を通過して送風通路9に流入し、排気口11から車室内に放出される。その際、噴霧器から水が噴霧されていることから、気液混合室15においてACの送風に霧状の水が混合され、ACの送風が水の気化熱により冷やされる。また、気液混合室15を通過した送風は、霧状の水が混合された状態であり、送風通路9を通過する間に水が気化することから、ハンドルが冷やされる。以上において、ACの送風は、冷房作動開始からしばらくの間は高温であるが、その間において気液混合室15に水を霧状に供給することにより冷やされる。そして、ACの送風が冷風になり、ハンドルの表面温度Tが噴霧停止温度T4より低くなった時に噴霧器が停止する。送風通路9にはACの送風のみが流入するが、すでにACの送風が低温になつていることから、ハンドルをさらに冷やすことになる。ハンドルの表面温度Tが冷風停止温度T5より低温、すなわち適温になった時、送風切替弁を閉止し、導入管路18を遮断する。これにより、送風通路9へのACの送風を遮断するが、ACの冷房作動自体は車室の冷房条件に従って継続される。
【0017】
一方、ACが暖房作動され場合において、ヒーター停止温度T1以下である時には送風切替弁19が開状態に設定されるとともに、ヒーター24が加熱作動される。ACの送風は、前記冷房作動の場合と同様にして送風通路9に導入されるが、ACの暖房開始からしばらくの間は冷たい状態であるため、ハンドル1を暖めることはできない。一方、ヒーター24が加熱作動されることから、ハンドル1の操作位置付近については比較的早期に温められる。温度センサー25,26の検知温度Tがヒーター停止温度T1より高温になった時にヒーター24の加熱を停止する。この間にACの送風の温度が上昇しており、以後ACの送風のみによりハンドル1を暖めることになる。そして、温度センサー25,26の検知温度Tが温風停止温度T2より高温になった時に、送風切替弁19を閉止し、導入管路18を遮断する。これにより、送風通路9へのACの送風を遮断するが、ACの暖房作動自体は車室の暖房条件に従って継続される。
【0018】
なお、本実施の形態において、制御部27の操作をACスイッチで行うようになっているが、ACスイッチによらず固有の操作スイッチにより操作してもよい。その際、制御部27には、ヒーター停止温度T1、温風停止温度T2、冷風停止温度T4及び噴霧停止温度T5を設定し、冷暖房判定温度T3は設定しない。そして、ACスイッチをONするとともに操作スイッチをONすることにより、温度センサー25,26からの検知信号に基づいて送風切替弁19及び噴霧器20又はヒーター24を操作し、本実施の形態と同様にしてハンドル1の温度を制御することになる。
【0019】
【発明の効果】
本発明よれば、ハンドルの高温時にACの送風に水等の揮発性液体を霧状に混合することにより、ACの送風及びハンドルを揮発性液体の気化熱で冷やすことができるため、温度が低下するまでの間においてもハンドルを幾分でも冷やすことができ、従来よりもはるかに短時間で適温に冷やすことが可能になった。
【0020】
ハンドルを加熱するヒーターを備えている場合には、ハンドルを直接加温するため、ACの送風温度が上昇するまでの間においてもハンドルを温めることができ、従来よりもはるかに短時間で適温に温めることが可能になった。
【0021】
制御部がACスイッチで操作するようになっている場合には、ACの冷房又は暖房の作動と同時にハンドルの冷却又は加温を行うことができ、従来のような操作ミスを防ぎ、短時間に適温に調整することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の概念的説明図で、図2のA−A線断面図である。
【図2】同じく、図1のB−B線断面図である。
【図3】同じく、図1のC−C線拡大断面図である。
【図4】同じく、制御部のプログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ハンドル
8 ステアリングコラム
9 送風通路
12 接続通路
13 導入口
15 気液混合室
18 導入管路
19 送風切替弁
20 噴霧器
21 液体容器
22 噴霧ポンプ
23 噴霧ノズル
24 ヒーター
25、26 温度センサー
27 制御部
T ハンドルの検知温度
T1 ヒーター停止温度
T2 温風停止温度
T3 冷暖房判定温度
T4 冷風停止温度
T5 噴霧停止温度
Claims (5)
- ハンドル(1)の内部に形成された送風通路(9)と、送風通路(9)にエアコンの送風を導入する導入管路(18)と、エアコンの送風を導入・遮断する送風切替弁(19)を備え、エアコンの送風によりハンドル(1)の内部から表面温度を制御するハンドルの温度制御装置であって、エアコンの冷房運転時にエアコンの送風に揮発性液体を霧状に供給する噴霧器(20)を備えていることを特徴とするハンドルの温度制御装置。
- ハンドル(1)の表面温度を検知する温度センサー(25,26)と、温度センサー(25,26)の検知温度を判別し、送風切替弁(19)及び噴霧器(20)を制御する信号を出力する制御部(27)を備えてなる請求項1記載のハンドルの温度制御装置。
- 制御部(27)は、噴霧停止温度(T5)とこれより低温の冷風停止温度(T4)が設定され、温度センサー(25,26)の検知温度(T)が噴霧停止温度(T5)以上の高温時には送風切替弁(19)の開信号及び噴霧器(20)の作動信号を出力し、噴霧停止温度(T5)より低温時には送風切替弁(19)の開信号のみを出力し、冷風停止温度(T4)より低温時には送風切替弁(19)の閉信号のみを出力するようになっている請求項2記載のハンドルの温度制御装置。
- 制御部(27)は、エアコンを作動・停止するACスイッチにより作動・停止するようになっている請求項2又は3記載のハンドルの温度制御装置。
- エアコンの暖房運転時にハンドル(1)を加熱するヒーター(24)を備え、制御部(27)は、ヒーター停止温度(T1)、これより高温の温風停止温度(T2)及び冷風停止温度(T4)より低温の冷暖房判定温度(T3)が設定され、温度センサー(25,26)の検知温度(T)が冷暖房判定温度(T3)より低温の場合にはエアコンの暖房作動信号と送風切替弁(19)及びヒーター(24)を制御する信号を出力し、冷暖房判定温度(T3)以上の場合にはエアコンの冷房作動信号と送風切替弁(19)及び噴霧器(20)を制御する信号を出力するようになっている請求項4記載のハンドルの温度制御装置。
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