JP2004344767A - 粉体塗布装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のスプレー式の粉体塗布装置の様々な課題を解決し、粉体の使用効率が高く、且つ板状体の面内均一に粉体を連続的に付着させて塗布し、粉体の空中への飛散が極めて少ない簡便な粉体塗布装置を提供することを目的とする。
【解決手段】搬送される板状体の下側に配置した上部を開放した粉体の入った粉体容器内に設けた回転可能な塗布ロールを回転させつつ板状体下面に接触させて、ロール面に保持した粉体を板状体下面に連続的に付着させて塗布する粉体塗布装置であって、粉体を板状体下面に塗布する際にロール面にブラシ先端を摺接させてロール面に保持した過剰の粉体を掻き落としロール面の粉体保持量を調整するためのブラシを備えたことを特徴とする粉体塗布装置。
【選択図】図1
【解決手段】搬送される板状体の下側に配置した上部を開放した粉体の入った粉体容器内に設けた回転可能な塗布ロールを回転させつつ板状体下面に接触させて、ロール面に保持した粉体を板状体下面に連続的に付着させて塗布する粉体塗布装置であって、粉体を板状体下面に塗布する際にロール面にブラシ先端を摺接させてロール面に保持した過剰の粉体を掻き落としロール面の粉体保持量を調整するためのブラシを備えたことを特徴とする粉体塗布装置。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は板状体に粉体を連続的に付着させて、板状体に粉体を塗布する粉体塗布装置に関し、特に、ガラス板等の板状体を積載する際に、板状体表面が直接擦れることによるキズの発生等なきよう、ガラス板の表面に粉体を連続的に付着させる粉体塗布装置および該粉体塗布装置を用いた粉体の塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、板状体、例えば、ガラス板を保管または運搬のため積載する際に、ガラス板表面どうしが直接擦れることによるキズの発生等を防止するために、ガラス板の間に合紙を挟んだり、ガラス板表面に樹脂製の粉体を散布して、スペーサとすることが行われてきた。合紙を挟むことは、ガラス基板に合紙からの付着物が転写することがあるとともに、ガラス板表面に樹脂製の粉体を散布等の方法により付着させてスペーサにすることに比較して自動化し難いという問題がった。
【0003】
ガラス板表面に粉体を散布する、または液体をロールによりガラス板表面に塗布する方法または装置について、以下の公報が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ガラス板の側方から定量供給装置で一定量の粉体を吹き出して、ガラス板上に散布するようにし、かつ、散布済のガラス板を1枚ずつ降下させて連続的に散布するようにした粉体の散布方法及び装置並びに定量供給装置が開示されている。しかしながら、粉体をエア−で吹き付けると飛散するため飛散防止対策の設備が必要となり、装置のスペ−スが大きくなるとともに、完全に漏れを防止することが困難で漏れた粉体は気中に飛散および漂い、作業環境を汚すとともに作業者が吸入する虞があり、安全衛生上好ましくない。
【0005】
また、特許文献2には、搬送されてくる被散布体(板状海苔)の表面に粉体(調味料)を、突起部が形成された円柱状ロールにより散布する粉体散布装置が開示されている。しかしながら、粉体を被散布体上部より散布する場合、被散布体の形状または大きさがまちまちな場合、粉体の使用効率が非常に低下し、粉体の回収装置が必要となる。よって、散布および回収装置を含めた設備が大型化するという問題があった。
【0006】
また、特許文献3には、合わせガラスとするための一対の素板をペアで同時に高温炉で曲げる場合の、融着防止するための剥離を可能とする粉体が開示され、本文中に該粉体を電子スプレーにより散布することが記載されている。しかしながら、粉体をスプレ−により散布すると粉体が気中に飛散および漂い、作業環境を汚すとともに作業者が吸入する虞があり、安全衛生上好ましくない。
【0007】
また、特許文献4には、刷毛またはスポンジ等の塗布液吸収体を用い、ガラスの凹凸面に被膜を形成する時、ガラスの下端部への液溜まりを防止するために、液ダレ防止具等を設けたガラス凹凸面の飛散防止被膜形成用具が開示されている。しかしながら、液体による塗布を目的とした用具であり、該公報記載の装置で粉体のみを塗り付けることは困難である。
【0008】
また、特許文献5には、車体に窓ガラスを組み付ける場合に、組付けを容易にする補助液を塗布する補助液塗布装置が開示され、回転するウレタンスポンジロ−ルの表面に補助液(石鹸水)を湿潤させ得るようにしている。しかしながら、液体による塗布を目的としているため、該公報記載の装置で粉体を塗り付けることは困難である。
【0009】
また、特許文献6には、窓ガラスに固定治具に取り付けたスポンジ(材質:MF80番)により塗料を塗布する被塗布面への塗料塗布方法が開示されている。しかしながら、液体による塗布を目的としているため、該公報記載の方法で粉体のみを塗り付けることは困難である。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−236826号公報
【特許文献2】
特開2002−177865号公報
【特許文献3】
特開平5−201742号公報
【特許文献4】
特開平9−1038号公報
【特許文献5】
特開平9−38548号公報
【特許文献6】
特開2000−515号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の粉体を散布して板状体表面に付着させるスプレーによる粉体塗布装置を使用すると、粉体を散布した際に、粉体が気中に飛散および漂い作業環境を汚すとともに作業者が吸入する虞があり安全衛生上好ましくない。また、飛散した粉体が該装置上に推積し、装置の故障が起こりトラブルが多くなる。また、板状体表面に付着する粉体は、散布した粉体の極く一部であり、粉体の使用効率が低く、付着しなかった殆どの粉体は集めて廃棄処分しなければならない。そこで、粉体回収のための粉体回収装置が設けると、回収装置および粉体の再生施設が必要で、コストが重む等、様々な問題があった。
【0012】
また、粉体を散布すると、散布手段であるスプレーがノズル詰まりを起こし易く、板状体の表面の粉体散布が不均一となり、粉体の付着状態の面内不均一、付着ムラになり易く、結果として、板状体を積載した際のキズ発生要因となる。
【0013】
本発明は従来のスプレー式の粉体塗布装置の様々な課題を解決し、且つ板状体に面内均一に粉体を連続的に付着させて塗布し、粉体の環境中への飛散が極めて少なく粉体の使用効率が高い簡便な粉体塗布装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の粉体塗布装置において、板状体へ粉体を連続的に付着させること、言い換えれば、板状体への粉体の塗布は粉体を保持した塗布ロールを連続的に板状体に接触させることによって行い、本発明の粉体塗布装置は、搬送される板状体の下側に配置した上部を開放した粉体の入った粉体容器内に設けた塗布ロールを回転させて粉体を板状体に連続的に付着させる。
【0015】
本発明の粉体塗布装置により、粉体を流動させ擦れ合わせることで粉体に静電気を帯びさせ、静電気を帯びた粉体を保持した塗布ロールを回転させつつ板状体に接触させて、静電気による引力で粉体を塗布することで、スプレーによる散布により粉体を板状体に付着させる従来の装置に比較して、粉体が作業環境中に飛散および漂うことがなく粉体の使用量が少なくてすみ、粉体の使用効率が向上し、且つ作業環境を汚さず作業者が粉体を吸入することがない。
【0016】
また、粉体を板状体に塗布する際に、回転するロール面の粉体の保持量を、塗布ロールに付設したブラシにて掻き落として調整することで、板状体への粉体の過多の塗布防止をした。更に、塗布ロールの回転速度を制御することで、塗布ロールの外周速度、即ち、ロール面の速度と板状体の搬送速度に差を持たせたことで、粉体が塗布された板状体下面において、粉体の塗布量を調整し、且つ塗布状態が板状体の面内で均一となり、塗布ムラによる板状体を積載した際のキズ欠陥の発生が抑制された。
【0017】
即ち、本発明は、搬送される板状体の下側に配置した、上部を開放した粉体の入った粉体容器内に設けた回転可能な塗布ロールを回転させつつ板状体下面に接触させて、ロール面に保持した粉体を板状体下面に連続的に付着させて塗布する粉体塗布装置である。
【0018】
更に、本発明は、粉体を板状体下面に塗布する際に、ロール面にブラシ先端を摺接させてロール面に保持した過剰の粉体を掻き落とし、ロール面の粉体保持量を調整するためのブラシを備えたことを特徴とする上記の粉体塗布装置である。
【0019】
更に、本発明は、塗布中に接触する板状体の搬送速度とロール面の速度差により板状体へ粉体の塗付量を調整するための塗布ロールの回転速度を制御する手段を備えたことを特徴とする上記の粉体塗布装置である。
【0020】
更に、本発明は、前記塗布ロールのロール面が多数の細孔を有する樹脂からなることを特徴とする上記の粉体塗布装置である。
【0021】
更に、本発明は、上記の粉体塗布装置を用いて、板状体に塗り付ける前記粉体がアクリル系またはスチレン系樹脂からなる微粒子であり、粒径が130μm以上、170μm以下であることを特徴とするロール面に保持した粉体を板状体下面に連続的に付着させて塗布する粉体の塗布方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明の粉体塗布装置について説明する。
【0023】
図1は、本発明の粉体塗布装置の概略平面図である。また、図2は、本発明の粉体塗布装置の概略側面図である。
【0024】
図1および図2に示すように、板状体1へ粉体2を塗布する際は、板状体1を上下動および水平方向に移動することが可能なロボットアーム3を用いて、ロボットアーム3の先端に設けた吸盤4により板状体1の上面を吸着した状態で、板状体1を保持した後に吊り上げつつ水平方向に搬送する。
【0025】
搬送する際に、粉体2を入れた上部を開放した粉体容器5内において塗布ロール6が回転することで、流動して擦れ合って静電気を帯びた粉体2を回転する塗布ロール6のロール面7に保持させた状態で板状体1の下面を接触させると、粉体2は板状体1の下面に静電気による引力で連続的に付着し塗布される。
【0026】
尚、粉体2が樹脂からなれば、塗布ロール6が回転することで流動して擦れ合うことで容易に静電気を帯び、このように静電気を帯びた樹脂からなる粉体2は、例えば、板状体1がガラスであれば容易に付着し、付着した粉体2は板状体1の下面から重力により容易には落下しない。また、塗布ロール6のロール面7が多数の細孔を有する樹脂であれば、細孔に引っかかることによって、ロール面7に粉体2が保持される。
【0027】
粉体2を板状体1の下面に塗布した後、ロボットアーム3により板状体1を重ねて積載し、吸盤4による吸着を解く。移動装置には、ロボットアーム3以外に搬送ローラ等も挙げられるが、粉体2を塗布した後の板状体1の下面へは、良好な塗布状態を保つため接触させないことが好ましく、ロボットアーム3を用いることが好ましい。また、塗布ロール6には、ロール面7の粉体2の保持量を調整するためにブラシ8を付設することが好ましい。
【0028】
次いで、本発明の粉体塗布装置で板状体に塗布する粉体2について説明する。
【0029】
板状体1を積載する際のキズ付き防止用スペーサに使用する粉体2は、通常、粒径130μm以上、170μm以下であり、材料としては、例えば、アクリル系樹脂、特に、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体、スチレン系樹脂、特に、ポリスチレン等の硬質樹脂からなる微粒子を用いることが好ましい、即ち、板状体1としてのガラス板にキズをつけない硬さの樹脂ビーズを用いることが好ましい。粒径が130μm未満であると、微粒子が積載物の重さにより砕け易く、粒径が170μmより大きいと、ガラス板にキズがつく等の不具合を生じ易い。
【0030】
次いで、本発明の粉体塗布装置を用いての、粉体2の板状体1の下面への連続的に均一な塗布について説明する。
【0031】
図1または図2に示すように、粉体2を入れた上部を開放した粉体容器5内で塗布ロール6を粉体2中に浸漬する状態とし、塗布ロール6を回転させることで粉体2は流動して擦れ合って静電気を帯びるので、ロール面7に保持された粉体は、ロール面7が板状体1の下面に接触した際に、静電気による引力で板状体1の下面に付着し、板状体1の下面に粉体2が順次塗布される。
【0032】
板状体1の下面と接触させる際の塗布ロール6の回転速度、および塗布ロール6と接触させる際の板状体1の搬送速度は、粉体1の塗布ムラが板状体1の下面で発生しないように、塗布中においては一定とすることが好ましい。
【0033】
また、ロール面7に保持される粉体2が過剰とならない様に、ロール面7にブラシ8の先端を摺接させてロール面7に保持された過剰の粉体2を掻き落とす、言い換えれば、ロール面7の粉体保持量を調整するためのブラシ8を設けることで、粉体2が塗布された板状体1の下面において、粉体2の塗布量が板状体1の下面内でムラなく均一となることで、塗布ムラが原因の板状体1を積載した際のキズの発生が抑制される。ロール面7にブラシ8を当て摺接する際のブラシ圧は、ロール面7とブラシ8のなす角度、即ち、ブラシ8の取付角度を調整し、所望のブラシ圧を得る。所望のブラシ圧を得ることで、ロール面7に保持された過剰の粉体2をブラシ8にて掻き落とし、ロール面7の粉体保持量を調整する。
【0034】
ブラシ8は、図1および図2に示すように塗布ロール6の長手方向に設け、ロール面7の全面をブラッシングし、ロール面7に保持された過剰の粉体2を掻き落とすようにすることが好ましい。
【0035】
塗布の際、塗布ロール6の外周速度、即ち、ロール面7の面速度と板状体1の搬送速度とが同じである場合に、前記ブラシ8のロール面7への摺接のみで粉体2の保持量が所望の保持量に調整することが可能ではあるが、ブラシ8の摺接と共にロール面7の面速度を変更することで、板状体1の搬送速度とロール面7の面速度に速度差を与え、板状体1の下面と粉体2を付着させた塗布ロール6の接触部にスリップを起こすことで、板状体1の下面に塗布された粉体2の塗布量を調整することを合わせて行う方が、調整がより簡便である。その際、ロボットアーム3による板状体1の搬送速度は変更せず、塗布ロール6の回転数を変更する調整を行う方が簡便であり、ロール面7の面速度を大きくしていくほどに板状体1の下面における粉体2の塗布量は少なくなっていく。塗布ロール6の回転速度を調整するには、塗布ロール6の回転速度を制御する手段である、例えば、塗布ロール6の回転を行うモーターの回転数可変装置であるスライダック、ギヤ等を使用すればよい。
【0036】
一方、ロボットアーム3による板状体1の搬送速度を遅くして、板状体1の下面とロール面7との接触部をスリップさせることは、板状体1の下面に粉体2を塗布する際、単位時間当たりの塗布枚数が少なくなり、効率が低下する。
【0037】
即ち、ロール面7に摺接させる際のブラシ8のブラシ圧を調整し、更に板状体1の搬送速度と塗布ロール6の外周速度であるロール面7の面速度との差を調整することで、ロール面7に均一に所望の保持量で粉体2を保持させた後、板状体1の下面に連続的に付着させることで、板状体1の下面に粉体2を面内均一に所望の塗布量で塗布することが容易となる。
【0038】
次いで、本発明の粉体塗布装置を構成する塗布ロール6、ブラシ8の材料について説明する。
【0039】
塗布ロール6のロール面7には、粉体2の付着が容易なように多数の細孔を有する樹脂であるスポンジ等の軟質樹脂発泡体を用いることが好ましい。このような軟質樹脂発泡体の材料には、ウレタン樹脂等が挙げられる。塗布ロール6の心棒9は加工しやすい金属、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金を用いることが好ましい。
【0040】
尚、ブラシ8の素材には、適度の剛性と弾力性によりロール面7にダメージを与えることなく、均質な強度のブラッシングを与える化学繊維を用いることが好ましい。このような化学繊維には、ポリプロピレン、塩化ビニール、ポリエチレンテレフタレート、アクリル等が挙げられるが、本発明の粉体塗布装置に用いるブラシの素材は、化学繊維の中で最も耐磨耗性に優れ、適度の剛性と弾力性がある、ナイロン−6、ナイロン−6、6等のポリアミド系合成繊維であるナイロンを用いることが好ましい。
【0041】
本発明の粉体塗布装置を、例えば、自動車用窓ガラスの製造において、フロート法によるガラス製造装置により製造される帯状のガラスを所望のサイズに切断した後に、表面および端面の研磨加工およびガラス表面にスクリーン印刷法等で印刷加工した曲げ加工前の自動車用窓ガラス向けの平板の積載保管の際に、粉体2の塗布に使用すれば、積載保管により発生するキズの抑制に効果的である。
【0042】
【実施例】
フロートによるガラス製造装置により製造された厚み、3.2mmの帯状のソーダ石灰シリカのガラスを、大きさ、1200mm×800mmに切断し、表面および端面を研磨加工した後に洗浄した。この様にして得られたガラス板1を、本発明の粉体塗布装置により粉体2を塗布し、製品パレット内へ順次積載した際のガラス板1への粉体2の塗布状態、言い換えれば粉体2の付着状態およびキズの発生状況を確認した。
【0043】
図1および図2に示すように、切断、研磨後の洗浄工程より搬送された前記ガラス板1をロボットアーム3の先端に取り付けられた吸盤4により吸着し吊り上げた後、向きを変えることなく、水平な状態および同じ高さを保って横方向に搬送した、即ち、ガラス基板を横方向から見て、直線的に移動させた。その際、粉体2を満たした上部を開放した粉体容器5内にて、外周速度133mm/secで回転する発泡ウレタン樹脂製の塗布ロール6の上部ロール面7に、ガラス板1の下面を接触させつつ搬送して、ガラス板1の下面全面に粉体2を塗布した。その後、ガラス板1を図示しない製品パレット内に積載した。
【0044】
塗布ロール6は、ロール面7に粉体2が付着保持され易いように発泡ウレタン樹脂、即ちウレタンスポンジ製とし、心棒9は加工しやすいアルミニウム合金製とした。心棒9の片側にギヤを設け、図示しないモーターを駆動源としモーターの回転を心棒9に伝達させて、電圧をスライダックで調整することでモーターの回転数を調整し、塗布ロール6に外周速度133mm/secを得た。
【0045】
尚、粉体2には、株式会社クラレ製、商品名、SS1000Pを使用した。SS1000Pは、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体を微粒子としたものであり、粒径は130μm〜170μmの範囲である。
尚、粉体2は、粉体容器5内に常時補給するようにした。
実施例1
図1および図2に示すように、塗布ロール6の長手方向にブラシ8を設け、ロール面7の全面をブラッシングし、ロール面7に保持された過剰の粉体2を掻き落とすようにした。ブラシ8は、塩化ビニール製の細長い角柱にナイロン繊維を多数植毛したものを使用した。尚、ブラシ8は、粉体容器5に角度調整自在に付設して、ロール面7にブラシ8の先端があたる際の圧力を調整した。
【0046】
前述の手順で、本発明の粉体塗布装置を用い、下面に粉体を塗布したガラス板1を製品パレット内に180枚積載させた後、1枚ずつ吸盤で吸着しロボットアーム3で持ち上げて、粉体2の付着状態およびキズの有無を確認したところ、粉体2の付着状態は面内均一でありキズは見つからなかった。また、作業中、粉体2が作業環境を汚すことはなかった。
【0047】
尚、フロートによるガラス製造装置により製造された厚み、2.0mm、2.8mm、3.2mm、4.0mm、5.0mmの帯状のソーダ石灰シリカガラスを、大きさ、1600mm×1100mm〜800mm×400mmの範囲で切断し様々なガラス板1とし、表面および端面を研磨加工し洗浄した後に、本発明の粉体塗布装置により粉体2をガラス板1の下面に塗布し製品パレット内へ順次積載させたところ、粉体2の付着状態は面内均一であり、積載した際にキズが発生なく、本発明の粉体塗布装置は良好に使用できた。
【0048】
尚、前述のブラシ8を用いない以外は、実施例1と同様の手順で、下面に粉体2を塗布したガラス板1を製品パレット内に180枚積載させた後、1枚ずつ吸盤4で吸着しロボットアーム3で持ち上げて、粉体2の付着状態およびキズの有無を確認した。キズは見つからなかったが、粉体2の付着状態にムラがあり、ブラシを用いた場合と比較して、粉体2の使用量が多かった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の粉体塗布装置を、複数の板状体を水平方向に搬送しつつ順次重ねて積載する際に用いる粉体の塗布装置として使用すると、搬送中に粉粒体を板状体表面に連続的に付着させる、即ち、塗布することが可能となり、板状体表面のキズ付き防止に効果的である。板状体の面内均一に粉体を塗布できることより、局所的な粉体不足によるキズ発生がない。
【0050】
本発明の粉体塗布装置は粉体を塗布ロ−ルに保持した後、板状体に連続的に付着させる、即ち、塗布するもので塗布ロールに粉体の保持量調整用のブラシを付設することにより、塗布における粉体の使用効率が極めて高い。
【0051】
従来のスプレー式の粉体塗布装置に比較して、装置が簡便でスペースを取らない上に、粉体の空中への飛散が極めて少ないために作業者の吸引等なく清浄な作業環境を保てる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉体塗布装置の概略平面図である。
【図2】本発明の粉体塗布装置の概略側面図である。
【符号の説明】
1 板状体(ガラス板)
2 粉体
3 ロボットアーム
4 吸盤
5 粉体容器
6 塗布ロール
7 ロール面
8 ブラシ
9 心棒
【発明の属する技術分野】
本発明は板状体に粉体を連続的に付着させて、板状体に粉体を塗布する粉体塗布装置に関し、特に、ガラス板等の板状体を積載する際に、板状体表面が直接擦れることによるキズの発生等なきよう、ガラス板の表面に粉体を連続的に付着させる粉体塗布装置および該粉体塗布装置を用いた粉体の塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、板状体、例えば、ガラス板を保管または運搬のため積載する際に、ガラス板表面どうしが直接擦れることによるキズの発生等を防止するために、ガラス板の間に合紙を挟んだり、ガラス板表面に樹脂製の粉体を散布して、スペーサとすることが行われてきた。合紙を挟むことは、ガラス基板に合紙からの付着物が転写することがあるとともに、ガラス板表面に樹脂製の粉体を散布等の方法により付着させてスペーサにすることに比較して自動化し難いという問題がった。
【0003】
ガラス板表面に粉体を散布する、または液体をロールによりガラス板表面に塗布する方法または装置について、以下の公報が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ガラス板の側方から定量供給装置で一定量の粉体を吹き出して、ガラス板上に散布するようにし、かつ、散布済のガラス板を1枚ずつ降下させて連続的に散布するようにした粉体の散布方法及び装置並びに定量供給装置が開示されている。しかしながら、粉体をエア−で吹き付けると飛散するため飛散防止対策の設備が必要となり、装置のスペ−スが大きくなるとともに、完全に漏れを防止することが困難で漏れた粉体は気中に飛散および漂い、作業環境を汚すとともに作業者が吸入する虞があり、安全衛生上好ましくない。
【0005】
また、特許文献2には、搬送されてくる被散布体(板状海苔)の表面に粉体(調味料)を、突起部が形成された円柱状ロールにより散布する粉体散布装置が開示されている。しかしながら、粉体を被散布体上部より散布する場合、被散布体の形状または大きさがまちまちな場合、粉体の使用効率が非常に低下し、粉体の回収装置が必要となる。よって、散布および回収装置を含めた設備が大型化するという問題があった。
【0006】
また、特許文献3には、合わせガラスとするための一対の素板をペアで同時に高温炉で曲げる場合の、融着防止するための剥離を可能とする粉体が開示され、本文中に該粉体を電子スプレーにより散布することが記載されている。しかしながら、粉体をスプレ−により散布すると粉体が気中に飛散および漂い、作業環境を汚すとともに作業者が吸入する虞があり、安全衛生上好ましくない。
【0007】
また、特許文献4には、刷毛またはスポンジ等の塗布液吸収体を用い、ガラスの凹凸面に被膜を形成する時、ガラスの下端部への液溜まりを防止するために、液ダレ防止具等を設けたガラス凹凸面の飛散防止被膜形成用具が開示されている。しかしながら、液体による塗布を目的とした用具であり、該公報記載の装置で粉体のみを塗り付けることは困難である。
【0008】
また、特許文献5には、車体に窓ガラスを組み付ける場合に、組付けを容易にする補助液を塗布する補助液塗布装置が開示され、回転するウレタンスポンジロ−ルの表面に補助液(石鹸水)を湿潤させ得るようにしている。しかしながら、液体による塗布を目的としているため、該公報記載の装置で粉体を塗り付けることは困難である。
【0009】
また、特許文献6には、窓ガラスに固定治具に取り付けたスポンジ(材質:MF80番)により塗料を塗布する被塗布面への塗料塗布方法が開示されている。しかしながら、液体による塗布を目的としているため、該公報記載の方法で粉体のみを塗り付けることは困難である。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−236826号公報
【特許文献2】
特開2002−177865号公報
【特許文献3】
特開平5−201742号公報
【特許文献4】
特開平9−1038号公報
【特許文献5】
特開平9−38548号公報
【特許文献6】
特開2000−515号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の粉体を散布して板状体表面に付着させるスプレーによる粉体塗布装置を使用すると、粉体を散布した際に、粉体が気中に飛散および漂い作業環境を汚すとともに作業者が吸入する虞があり安全衛生上好ましくない。また、飛散した粉体が該装置上に推積し、装置の故障が起こりトラブルが多くなる。また、板状体表面に付着する粉体は、散布した粉体の極く一部であり、粉体の使用効率が低く、付着しなかった殆どの粉体は集めて廃棄処分しなければならない。そこで、粉体回収のための粉体回収装置が設けると、回収装置および粉体の再生施設が必要で、コストが重む等、様々な問題があった。
【0012】
また、粉体を散布すると、散布手段であるスプレーがノズル詰まりを起こし易く、板状体の表面の粉体散布が不均一となり、粉体の付着状態の面内不均一、付着ムラになり易く、結果として、板状体を積載した際のキズ発生要因となる。
【0013】
本発明は従来のスプレー式の粉体塗布装置の様々な課題を解決し、且つ板状体に面内均一に粉体を連続的に付着させて塗布し、粉体の環境中への飛散が極めて少なく粉体の使用効率が高い簡便な粉体塗布装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の粉体塗布装置において、板状体へ粉体を連続的に付着させること、言い換えれば、板状体への粉体の塗布は粉体を保持した塗布ロールを連続的に板状体に接触させることによって行い、本発明の粉体塗布装置は、搬送される板状体の下側に配置した上部を開放した粉体の入った粉体容器内に設けた塗布ロールを回転させて粉体を板状体に連続的に付着させる。
【0015】
本発明の粉体塗布装置により、粉体を流動させ擦れ合わせることで粉体に静電気を帯びさせ、静電気を帯びた粉体を保持した塗布ロールを回転させつつ板状体に接触させて、静電気による引力で粉体を塗布することで、スプレーによる散布により粉体を板状体に付着させる従来の装置に比較して、粉体が作業環境中に飛散および漂うことがなく粉体の使用量が少なくてすみ、粉体の使用効率が向上し、且つ作業環境を汚さず作業者が粉体を吸入することがない。
【0016】
また、粉体を板状体に塗布する際に、回転するロール面の粉体の保持量を、塗布ロールに付設したブラシにて掻き落として調整することで、板状体への粉体の過多の塗布防止をした。更に、塗布ロールの回転速度を制御することで、塗布ロールの外周速度、即ち、ロール面の速度と板状体の搬送速度に差を持たせたことで、粉体が塗布された板状体下面において、粉体の塗布量を調整し、且つ塗布状態が板状体の面内で均一となり、塗布ムラによる板状体を積載した際のキズ欠陥の発生が抑制された。
【0017】
即ち、本発明は、搬送される板状体の下側に配置した、上部を開放した粉体の入った粉体容器内に設けた回転可能な塗布ロールを回転させつつ板状体下面に接触させて、ロール面に保持した粉体を板状体下面に連続的に付着させて塗布する粉体塗布装置である。
【0018】
更に、本発明は、粉体を板状体下面に塗布する際に、ロール面にブラシ先端を摺接させてロール面に保持した過剰の粉体を掻き落とし、ロール面の粉体保持量を調整するためのブラシを備えたことを特徴とする上記の粉体塗布装置である。
【0019】
更に、本発明は、塗布中に接触する板状体の搬送速度とロール面の速度差により板状体へ粉体の塗付量を調整するための塗布ロールの回転速度を制御する手段を備えたことを特徴とする上記の粉体塗布装置である。
【0020】
更に、本発明は、前記塗布ロールのロール面が多数の細孔を有する樹脂からなることを特徴とする上記の粉体塗布装置である。
【0021】
更に、本発明は、上記の粉体塗布装置を用いて、板状体に塗り付ける前記粉体がアクリル系またはスチレン系樹脂からなる微粒子であり、粒径が130μm以上、170μm以下であることを特徴とするロール面に保持した粉体を板状体下面に連続的に付着させて塗布する粉体の塗布方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明の粉体塗布装置について説明する。
【0023】
図1は、本発明の粉体塗布装置の概略平面図である。また、図2は、本発明の粉体塗布装置の概略側面図である。
【0024】
図1および図2に示すように、板状体1へ粉体2を塗布する際は、板状体1を上下動および水平方向に移動することが可能なロボットアーム3を用いて、ロボットアーム3の先端に設けた吸盤4により板状体1の上面を吸着した状態で、板状体1を保持した後に吊り上げつつ水平方向に搬送する。
【0025】
搬送する際に、粉体2を入れた上部を開放した粉体容器5内において塗布ロール6が回転することで、流動して擦れ合って静電気を帯びた粉体2を回転する塗布ロール6のロール面7に保持させた状態で板状体1の下面を接触させると、粉体2は板状体1の下面に静電気による引力で連続的に付着し塗布される。
【0026】
尚、粉体2が樹脂からなれば、塗布ロール6が回転することで流動して擦れ合うことで容易に静電気を帯び、このように静電気を帯びた樹脂からなる粉体2は、例えば、板状体1がガラスであれば容易に付着し、付着した粉体2は板状体1の下面から重力により容易には落下しない。また、塗布ロール6のロール面7が多数の細孔を有する樹脂であれば、細孔に引っかかることによって、ロール面7に粉体2が保持される。
【0027】
粉体2を板状体1の下面に塗布した後、ロボットアーム3により板状体1を重ねて積載し、吸盤4による吸着を解く。移動装置には、ロボットアーム3以外に搬送ローラ等も挙げられるが、粉体2を塗布した後の板状体1の下面へは、良好な塗布状態を保つため接触させないことが好ましく、ロボットアーム3を用いることが好ましい。また、塗布ロール6には、ロール面7の粉体2の保持量を調整するためにブラシ8を付設することが好ましい。
【0028】
次いで、本発明の粉体塗布装置で板状体に塗布する粉体2について説明する。
【0029】
板状体1を積載する際のキズ付き防止用スペーサに使用する粉体2は、通常、粒径130μm以上、170μm以下であり、材料としては、例えば、アクリル系樹脂、特に、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体、スチレン系樹脂、特に、ポリスチレン等の硬質樹脂からなる微粒子を用いることが好ましい、即ち、板状体1としてのガラス板にキズをつけない硬さの樹脂ビーズを用いることが好ましい。粒径が130μm未満であると、微粒子が積載物の重さにより砕け易く、粒径が170μmより大きいと、ガラス板にキズがつく等の不具合を生じ易い。
【0030】
次いで、本発明の粉体塗布装置を用いての、粉体2の板状体1の下面への連続的に均一な塗布について説明する。
【0031】
図1または図2に示すように、粉体2を入れた上部を開放した粉体容器5内で塗布ロール6を粉体2中に浸漬する状態とし、塗布ロール6を回転させることで粉体2は流動して擦れ合って静電気を帯びるので、ロール面7に保持された粉体は、ロール面7が板状体1の下面に接触した際に、静電気による引力で板状体1の下面に付着し、板状体1の下面に粉体2が順次塗布される。
【0032】
板状体1の下面と接触させる際の塗布ロール6の回転速度、および塗布ロール6と接触させる際の板状体1の搬送速度は、粉体1の塗布ムラが板状体1の下面で発生しないように、塗布中においては一定とすることが好ましい。
【0033】
また、ロール面7に保持される粉体2が過剰とならない様に、ロール面7にブラシ8の先端を摺接させてロール面7に保持された過剰の粉体2を掻き落とす、言い換えれば、ロール面7の粉体保持量を調整するためのブラシ8を設けることで、粉体2が塗布された板状体1の下面において、粉体2の塗布量が板状体1の下面内でムラなく均一となることで、塗布ムラが原因の板状体1を積載した際のキズの発生が抑制される。ロール面7にブラシ8を当て摺接する際のブラシ圧は、ロール面7とブラシ8のなす角度、即ち、ブラシ8の取付角度を調整し、所望のブラシ圧を得る。所望のブラシ圧を得ることで、ロール面7に保持された過剰の粉体2をブラシ8にて掻き落とし、ロール面7の粉体保持量を調整する。
【0034】
ブラシ8は、図1および図2に示すように塗布ロール6の長手方向に設け、ロール面7の全面をブラッシングし、ロール面7に保持された過剰の粉体2を掻き落とすようにすることが好ましい。
【0035】
塗布の際、塗布ロール6の外周速度、即ち、ロール面7の面速度と板状体1の搬送速度とが同じである場合に、前記ブラシ8のロール面7への摺接のみで粉体2の保持量が所望の保持量に調整することが可能ではあるが、ブラシ8の摺接と共にロール面7の面速度を変更することで、板状体1の搬送速度とロール面7の面速度に速度差を与え、板状体1の下面と粉体2を付着させた塗布ロール6の接触部にスリップを起こすことで、板状体1の下面に塗布された粉体2の塗布量を調整することを合わせて行う方が、調整がより簡便である。その際、ロボットアーム3による板状体1の搬送速度は変更せず、塗布ロール6の回転数を変更する調整を行う方が簡便であり、ロール面7の面速度を大きくしていくほどに板状体1の下面における粉体2の塗布量は少なくなっていく。塗布ロール6の回転速度を調整するには、塗布ロール6の回転速度を制御する手段である、例えば、塗布ロール6の回転を行うモーターの回転数可変装置であるスライダック、ギヤ等を使用すればよい。
【0036】
一方、ロボットアーム3による板状体1の搬送速度を遅くして、板状体1の下面とロール面7との接触部をスリップさせることは、板状体1の下面に粉体2を塗布する際、単位時間当たりの塗布枚数が少なくなり、効率が低下する。
【0037】
即ち、ロール面7に摺接させる際のブラシ8のブラシ圧を調整し、更に板状体1の搬送速度と塗布ロール6の外周速度であるロール面7の面速度との差を調整することで、ロール面7に均一に所望の保持量で粉体2を保持させた後、板状体1の下面に連続的に付着させることで、板状体1の下面に粉体2を面内均一に所望の塗布量で塗布することが容易となる。
【0038】
次いで、本発明の粉体塗布装置を構成する塗布ロール6、ブラシ8の材料について説明する。
【0039】
塗布ロール6のロール面7には、粉体2の付着が容易なように多数の細孔を有する樹脂であるスポンジ等の軟質樹脂発泡体を用いることが好ましい。このような軟質樹脂発泡体の材料には、ウレタン樹脂等が挙げられる。塗布ロール6の心棒9は加工しやすい金属、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金を用いることが好ましい。
【0040】
尚、ブラシ8の素材には、適度の剛性と弾力性によりロール面7にダメージを与えることなく、均質な強度のブラッシングを与える化学繊維を用いることが好ましい。このような化学繊維には、ポリプロピレン、塩化ビニール、ポリエチレンテレフタレート、アクリル等が挙げられるが、本発明の粉体塗布装置に用いるブラシの素材は、化学繊維の中で最も耐磨耗性に優れ、適度の剛性と弾力性がある、ナイロン−6、ナイロン−6、6等のポリアミド系合成繊維であるナイロンを用いることが好ましい。
【0041】
本発明の粉体塗布装置を、例えば、自動車用窓ガラスの製造において、フロート法によるガラス製造装置により製造される帯状のガラスを所望のサイズに切断した後に、表面および端面の研磨加工およびガラス表面にスクリーン印刷法等で印刷加工した曲げ加工前の自動車用窓ガラス向けの平板の積載保管の際に、粉体2の塗布に使用すれば、積載保管により発生するキズの抑制に効果的である。
【0042】
【実施例】
フロートによるガラス製造装置により製造された厚み、3.2mmの帯状のソーダ石灰シリカのガラスを、大きさ、1200mm×800mmに切断し、表面および端面を研磨加工した後に洗浄した。この様にして得られたガラス板1を、本発明の粉体塗布装置により粉体2を塗布し、製品パレット内へ順次積載した際のガラス板1への粉体2の塗布状態、言い換えれば粉体2の付着状態およびキズの発生状況を確認した。
【0043】
図1および図2に示すように、切断、研磨後の洗浄工程より搬送された前記ガラス板1をロボットアーム3の先端に取り付けられた吸盤4により吸着し吊り上げた後、向きを変えることなく、水平な状態および同じ高さを保って横方向に搬送した、即ち、ガラス基板を横方向から見て、直線的に移動させた。その際、粉体2を満たした上部を開放した粉体容器5内にて、外周速度133mm/secで回転する発泡ウレタン樹脂製の塗布ロール6の上部ロール面7に、ガラス板1の下面を接触させつつ搬送して、ガラス板1の下面全面に粉体2を塗布した。その後、ガラス板1を図示しない製品パレット内に積載した。
【0044】
塗布ロール6は、ロール面7に粉体2が付着保持され易いように発泡ウレタン樹脂、即ちウレタンスポンジ製とし、心棒9は加工しやすいアルミニウム合金製とした。心棒9の片側にギヤを設け、図示しないモーターを駆動源としモーターの回転を心棒9に伝達させて、電圧をスライダックで調整することでモーターの回転数を調整し、塗布ロール6に外周速度133mm/secを得た。
【0045】
尚、粉体2には、株式会社クラレ製、商品名、SS1000Pを使用した。SS1000Pは、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体を微粒子としたものであり、粒径は130μm〜170μmの範囲である。
尚、粉体2は、粉体容器5内に常時補給するようにした。
実施例1
図1および図2に示すように、塗布ロール6の長手方向にブラシ8を設け、ロール面7の全面をブラッシングし、ロール面7に保持された過剰の粉体2を掻き落とすようにした。ブラシ8は、塩化ビニール製の細長い角柱にナイロン繊維を多数植毛したものを使用した。尚、ブラシ8は、粉体容器5に角度調整自在に付設して、ロール面7にブラシ8の先端があたる際の圧力を調整した。
【0046】
前述の手順で、本発明の粉体塗布装置を用い、下面に粉体を塗布したガラス板1を製品パレット内に180枚積載させた後、1枚ずつ吸盤で吸着しロボットアーム3で持ち上げて、粉体2の付着状態およびキズの有無を確認したところ、粉体2の付着状態は面内均一でありキズは見つからなかった。また、作業中、粉体2が作業環境を汚すことはなかった。
【0047】
尚、フロートによるガラス製造装置により製造された厚み、2.0mm、2.8mm、3.2mm、4.0mm、5.0mmの帯状のソーダ石灰シリカガラスを、大きさ、1600mm×1100mm〜800mm×400mmの範囲で切断し様々なガラス板1とし、表面および端面を研磨加工し洗浄した後に、本発明の粉体塗布装置により粉体2をガラス板1の下面に塗布し製品パレット内へ順次積載させたところ、粉体2の付着状態は面内均一であり、積載した際にキズが発生なく、本発明の粉体塗布装置は良好に使用できた。
【0048】
尚、前述のブラシ8を用いない以外は、実施例1と同様の手順で、下面に粉体2を塗布したガラス板1を製品パレット内に180枚積載させた後、1枚ずつ吸盤4で吸着しロボットアーム3で持ち上げて、粉体2の付着状態およびキズの有無を確認した。キズは見つからなかったが、粉体2の付着状態にムラがあり、ブラシを用いた場合と比較して、粉体2の使用量が多かった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の粉体塗布装置を、複数の板状体を水平方向に搬送しつつ順次重ねて積載する際に用いる粉体の塗布装置として使用すると、搬送中に粉粒体を板状体表面に連続的に付着させる、即ち、塗布することが可能となり、板状体表面のキズ付き防止に効果的である。板状体の面内均一に粉体を塗布できることより、局所的な粉体不足によるキズ発生がない。
【0050】
本発明の粉体塗布装置は粉体を塗布ロ−ルに保持した後、板状体に連続的に付着させる、即ち、塗布するもので塗布ロールに粉体の保持量調整用のブラシを付設することにより、塗布における粉体の使用効率が極めて高い。
【0051】
従来のスプレー式の粉体塗布装置に比較して、装置が簡便でスペースを取らない上に、粉体の空中への飛散が極めて少ないために作業者の吸引等なく清浄な作業環境を保てる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉体塗布装置の概略平面図である。
【図2】本発明の粉体塗布装置の概略側面図である。
【符号の説明】
1 板状体(ガラス板)
2 粉体
3 ロボットアーム
4 吸盤
5 粉体容器
6 塗布ロール
7 ロール面
8 ブラシ
9 心棒
Claims (5)
- 搬送される板状体の下側に配置した、上部を開放した粉体の入った粉体容器内に設けた回転可能な塗布ロールを回転させつつ板状体下面に接触させて、ロール面に保持した粉体を板状体下面に連続的に付着させて塗布する粉体塗布装置。
- 粉体を板状体下面に塗布する際に、ロール面にブラシ先端を摺接させてロール面に保持した過剰の粉体を掻き落とし、ロール面の粉体保持量を調整するためのブラシを備えたことを特徴とする請求項1に記載の粉体塗布装置。
- 塗布中に接触する板状体の搬送速度とロール面の速度差により板状体へ粉体の塗付量を調整するための塗布ロールの回転速度を制御する手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粉体塗布装置。
- 前記塗布ロールのロール面が多数の細孔を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の粉体塗布装置。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の粉体塗布装置を用いて、板状体に塗り付ける前記粉体がアクリル系またはスチレン系樹脂からなる微粒子であり、粒径が130μm以上、170μm以下であることを特徴とするロール面に保持した粉体を板状体下面に連続的に付着させて塗布する粉体の塗布方法。
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2003
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