JP2004344763A - 結晶成長装置及び方法と結晶解析装置及び方法 - Google Patents

結晶成長装置及び方法と結晶解析装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スクリーニング作業を、少ないセッティング回数で簡便に実施することができ、かつ、宇宙環境を利用して生体化合物の結晶化を行うことができる結晶成長装置及び方法と、複数の生体化合物結晶を効率的に構造解析することができ、自動化等により高処理効率化(ハイスループット化)を可能にすることができる結晶解析装置及び方法を提供する。
【解決手段】生体高分子を含む溶液の液滴を、液滴からの水分の蒸発により溶液を過飽和状態にして生体高分子の結晶を生成させる結晶成長装置。第1結晶化剤溶液2を収容する第1密封容器12と、第1密封容器と連通し対流を抑制する断面積の小さい連通管16とを備え、連通管内に生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴1を互いに間隔を隔てて複数保持する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛋白質等の生体高分子の結晶成長装置及び方法と結晶解析装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明において、生体高分子とは、蛋白質、核酸、酵素、抗体などの結晶化可能な高分子化合物をいう。
【0003】
生体高分子は生体内で生命維持のための様々な化学反応を担っており、その機能を明らかにすることは生命活動メカニズムの解明や効果の高い医薬品の開発をする上で極めて重要である。生体高分子の機能の発現は生体高分子の立体構造に深く関連しており、機能の発現機構を明らかにするために、種々の方法によって立体構造を解明する試みが行われている。なかでもX線構造解析は生体高分子の立体構造解明のための最も有力な手法の1つである。
【0004】
X線構造解析を行うためには、生体高分子の結晶が必要となる。一般に結晶化の条件は予測することが困難で、結晶化剤種類、濃度、生体高分子濃度、緩衝材種類、pH、温度等の多くのパラメータを実験的にスクリーニングする必要があり、また結晶化には通常数日から数週間を必要とすることから良質な単結晶に成長させるまでには多大な労力と時間を必要とする。このため生体高分子の良質な結晶を得るステップは、X線構造解析を行う上でのボトルネックとなっている。
【0005】
また近年、宇宙環境を利用した生体高分子の結晶化が行われている。生成した結晶核が重力により溶液の底部に沈降しないこと、結晶周囲の溶液の無対流が実現できること、等から、宇宙は結晶成長に良好な環境を与えると考えられる。そこで宇宙で高品質結晶を作製し、地上に回収してX線構造解析を高分解能で行うことが試みられている。
【0006】
なお、「生体高分子の結晶化手段」と「生体高分子のX線構造解析」は、[非特許文献1]、[非特許文献2]、[特許文献1]〜[特許文献4]、[特許文献5]〜[特許文献11]等に開示されている。
【0007】
【非特許文献1】
平山令明編著、有機結晶作製ハンドブック、丸善株式会社
【非特許文献2】
佐藤衛著、タンパク質のX線解析、共立出版
【0008】
【特許文献1】
特開2001−213699号公報
【特許文献2】
特開2002−233702号公報
【特許文献3】
特開平6−300718号公報
【特許文献4】
特開平11−94773号公報
【特許文献5】
特許第2650274号公報
【特許文献6】
特開平6−62848号公報
【特許文献7】
特開平6−321700号公報
【特許文献8】
特開平6−183400号公報
【特許文献9】
特開平6−157598号公報
【特許文献10】
特開平6−116098号公報
【特許文献11】
特開平5−25000号公報
【0009】
図21は、[非特許文献2]に記載された「蒸気拡散法による蛋白質の結晶化」の原理図である。
図21(b)は結晶化溶液中の生体高分子(蛋白質)濃度(縦軸)と結晶化剤(塩)濃度(横軸)の変化を示す模式図である。この図において、曲線(1)は溶解度曲線であり、領域Aは未飽和状態であり生体高分子は完全に溶解している。B,C,D領域はいずれも過飽和状態で、これらの領域で生体高分子分子の会合が始まる。しかし、安定した核形成のためにはある程度の過飽和が必要であり、過飽和度の低い領域Bでは分子が会合しても不安定でありすぐに解離してしまい、過度の過飽和領域Dでは分子の会合は生じても核形成に必要な特異的な相互作用は形成されず沈殿物が生じる。従って、生体高分子の結晶化には、生体高分子の溶解度を変化させて領域Cの過飽和状態にする必要がある。
【0010】
図21(a)に示すように、蒸気拡散法における生体高分子溶液の置き方には3種類あり、それぞれハンギングドロップ法、シッティングドロップ法、サンドイッチドロップ法と呼ばれる。
蒸気拡散法では、結晶化剤(沈澱剤)を含む生体高分子(蛋白質)溶液の液滴と沈殿剤を含む緩衝液を同一の密閉した容器の中に置き、生体高分子(蛋白質)溶液を蒸発させながら結晶化する。図21(b)において、はじめ結晶化剤を含む生体高分子溶液は、領域Aの未飽和状態であり生体高分子は完全に溶解している。密閉容器内で生体高分子溶液内の水分が徐々に蒸発すると、生体高分子溶液が過飽和領域Cに達し、領域Cで結晶が析出すると、生体高分子溶液の濃度は徐々に低下して溶解度曲線(1)に達し、結晶析出が停止する。
【0011】
[特許文献1]の「結晶調製用装置、結晶調製方法および該装置用キット」は、種々の高分子の結晶化に適した条件をより短い時間でもたらし得るスクリーニング装置を提供することを目的とするものである。
この発明では、図22に示すように、結晶調製用装置170は、複数の貫通孔173が互いに離れて設けられている第1基板171、および高分子を含む溶液中で互いに異なる表面電位またはゼータ電位を示す複数種の表面をそれぞれ有する複数の第2基板172を備える。第1基板171の複数の貫通孔173をふさぐように、第2基板172が配置される。溶液を保持するための複数の部分174においてそれぞれ、互いに異なる表面電位またはゼータ電位を示す複数種の表面が溶液に同時に接触できるように配置されている。なおこの図で、175は凸部、176は凹部である。
【0012】
[特許文献2]の「結晶成長用装置およびそれに使用する部材ならびに結晶成長方法」は、蒸気拡散法による生体高分子の結晶化において、沈殿剤の種類や濃度を変えなくても、水分の蒸発速度を制御できる装置を提供することを目的とするものである。
この発明では、図23に示すように、生体高分子を含む溶液の液滴221および沈殿剤220を収容する密封可能な容器211と、容器211内の空間を沈殿剤220を収容するための第1室218と、液滴221を収容するための第2室219とに分ける仕切り板213とを備え、結晶化の過程における第1室218と第2室219との間での物質の拡散は、仕切り板213の貫通孔232を介して行われる。なおこの図で、212は突起、214は上壁部、215はカバー、231は窪みである。
【0013】
[特許文献3]の「X線解析装置」は、試料に大きな位置変化を与えることにより、試料の微小領域のX線解析を容易にすることを目的とするものである。
この発明では、図24に示すように、X線発生装置に集光結像作用のある作動距離の長いX線光学素子を組み合わせて、その焦点面上に、ゴニオステージ315と回転ステージ313と三軸精密移動可能な直進ステージ317、318、319とを装着した試料走査台310の回転中心を、前記X線光学素子の焦点面上に配置し、さらに前記試料走査台310を中心とし回転可能なX線位置検出器あるいはX線エネルギー検出器を配置する。なおこの図で、302はX線光軸、320は大型試料ホルダーである。
【0014】
[特許文献4]の「X線解析装置」は、多数の試料を効率的に精度良く測定することを目的とするものである。
この発明では、図25に示すように、X線解析装置401は、試料マガジン409内に複数の試料がセットされると、試料マガジン409内の圧縮バネが板部材を介して試料を治具408の胴部方向に押圧し、当該押圧される試料が、アーム部材412の試料マガジン409に対向する方の試料穴413a,413b内に入り込んで、面出しされた治具408の上側腕部の先端面及び下側腕部の段部に押し付けられて確実に保持される。この状態で、X線発生器402からX線405を試料に照射し、試料で反射・回折されたX線405をX線検出器403で検出する。次に、駆動モータ416によりアーム部材412を、他方の試料窓413a,413bが試料マガジン409と対向する位置に移動させ、試料マガジン409内の試料を当該試料窓413a,413bに進入させるとともに、測定済みの試料を試料窓413a,413bから受け皿418a,418b上に落下させて、次の測定を行うものである。なおこの図で、407は回転台である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、生体高分子の分子構造を明らかにすることは生体高分子の機能の解明に最も有力な手段であり、このためには良質な生体高分子の単結晶が必要となる。結晶化は通常、生体高分子溶液に対し溶液中の結晶化剤濃度を徐々に上げることにより、溶解している生体高分子を過飽和状態とし、生体高分子を析出させることによって行う。
【0016】
生体高分子の結晶化手段のうち、現在最もよく使用されているのは上述した蒸気拡散法である。蒸気拡散法では生体高分子溶液と結晶化剤溶液をあらかじめ混合した溶液の液滴と、液滴よりも結晶化剤濃度の高い結晶化剤溶液を密閉し閉鎖系とすることにより、液滴と結晶化剤溶液間の蒸気平衡が達せられる際に液滴が濃縮し、結晶化剤濃度(および生体高分子濃度も)が高くなることを利用した結晶化手段である。
【0017】
図26は、蒸気拡散法のうち最も良く使用されるハンギングドロップ法の概念図である。ハンギングドロップ法では生体高分子結晶成長室となるウェルを複数(例えば、市販されてるものは通常4列×6列で24個)有するプレートを用いて結晶化を行う。結晶化の概要は以下のようなものである。
1つのウェルには0.5mL程度の結晶化剤溶液をいれておく。1〜10μL程度(大きさは約2〜3mm)の生体高分子と結晶化剤の混合溶液の液滴を付着したカバーガラスを裏返しにすることによって、カバーガラスに生体高分子溶液の液滴を懸垂させた状態とし、そのカバーガラスを蓋にしてウェルにかぶせ、さらにグリース等で気密して閉鎖系とする。このまま静置しておくと、溶液条件が好適な場合、通常数日から数週間かけて生体高分子結晶が液滴中で析出し成長する。
【0018】
しかし、あらかじめ結晶の析出、成長に好適な条件が分かっている場合を除いて、液滴中で生体高分子の良質な単結晶が得られるのは稀である。生体高分子結晶化の好適条件を理論的に予測することは極めて困難で、通常は使用する結晶化剤の種類、結晶化剤濃度や生体高分子濃度、生体高分子を溶解させる緩衝溶液の種類、pH、結晶化温度等の条件をウェルごとに少しづつ変化させて結晶化を試みる(スクリーニング)。スクリーニングは試行錯誤の作業であり、多数の条件を繰り返した末、はじめて好条件に合致して結晶が得られるのが一般的である。このためスクリーニングをなるべく簡便に効率よく行うことが可能な結晶化方法が望まれている。
【0019】
すなわち、ハンギングドロップをはじめとする従来の蒸気拡散法は、生体高分子溶液の使用量が少なくて済むなどの利点を持つが、生体高分子溶液を含む液滴と結晶化剤溶液の対を閉鎖系となるウェルにひとつひとつセッティングする作業を多数行わなければならないことから、スクリーニングには多大な労力を必要とするという問題点があった。
【0020】
一方、図26に示した従来の蒸気拡散法における液滴の濃度変化は次のようなものである。
(1)セッティング後、液滴は水分の蒸発により時間とともに濃縮していき、生体高分子濃度、結晶化剤濃度がともに上昇する。
(2)生体高分子濃度、結晶化剤濃度が核形成を起こさせる領域まで進み、結晶核が生成する。
(3)続いて結晶成長が起こり溶液中のタンパクが結晶に取り込まれるにつれ、タンパク濃度は減少に転じる。
上記(1)〜(2)の段階において液滴内の結晶化剤濃度は結晶化剤溶液と同濃度になるよう濃縮が進んでいくが、濃縮の速度は温度、液滴の大きさ、結晶化剤の種類、濃度等の他に、使用する容器の大きさ、形状によっても依存することになる。
【0021】
液滴の濃度変化の速度は結晶成長のカイネティクスに影響を及ぼすため、良質な結晶を得るための条件パラメータの一つと考えられているが、従来の手段では濃度変化の速度に対して、温度、液滴の大きさ、結晶化剤種類、濃度等を変える以外には積極的に条件を変化させることは行われておらず、スクリーニングの見落しが生じる可能性があった。
【0022】
一方、生体高分子の機能を明らかにするためには、生体高分子の立体構造を知ることが不可欠である。そのため結晶化によって得られた生体高分子単結晶はX線回折計に供せられ、結晶構造解析が行われる。そのため、何らかの手段により作製された生体高分子結晶は結晶成長装置から取り出して治具にマウントし、X線回折計のゴニオメータヘッドに取り付けなければならない。結晶化は様々な方法によって行われるが、結晶のマウントは通常、次のような治具が用いられる。
【0023】
1つは図27Aに示すキャピラリを使った結晶マウント法である。直径1mm程度の肉薄なガラス製キャピラリ内部に結晶化母液を入れ、両端を封入したものをゴニオメータヘッドに取り付ける。もう1つは図27Bに示すクライオループによる結晶マウントである。このために10〜20μm径のナイロン繊維で直径0.1から1mmくらいの大きさのループをつくったものが市販されている。ループに母液ごと結晶をすくい取ると、表面張力によって結晶が保持される。この方法は窒素などを極低温にしたガスをループに保持された結晶に吹き付けることにより、主に低温下のX線回折を行うのに使用される。このように通常は対象とする1つの結晶を結晶成長装置から取り出し、何らかの治具にマウントしてゴニオメータヘッドに取り付けることが行われていた。
【0024】
上述したように、生体高分子の結晶構造解析は重要性を増しており、各国の研究者らによって精力的に進められている。しかし、生体中で機能する膨大な生体高分子の種類に比べこれまで立体構造が明らかとなったものはごく一部に過ぎず、結晶構造解析の処理スピードを上げる必要がある。そのため従来、手作業で行ってきた作業の効率化、自動化等により高処理効率化(ハイスループット化)することが望まれている。
【0025】
ハイスループット化を実現する上でのネックの1つは、得られた結晶を取り出し、治具にマウントしてゴニオメータに取り付ける作業である。これらの作業は、X線回折のたびに1つずつ行っているため多大な労力が必要である。また高度な習熟性を必要とする手作業であるため、自動化のネックとなっていた。そのためハイスループット化のための、結晶取り出し−マウント−ゴニオメータヘッドへの取り付けまでをなるべく簡便に効率よく行える手段が望まれていた。
【0026】
本発明は上述した問題点を解決し、要望を満たすために創案されたものである。すなわち、本発明の第1の目的は、スクリーニング作業を、少ないセッティング回数で簡便に実施することができる生体高分子の結晶成長装置及び方法を提供することにある。
また第2の目的は、濃縮速度をパラメータに加えたスクリーニングを1回の実験で行うことができる結晶解析装置及び方法を提供することにある。
更に本発明の第3の目的は、宇宙環境を利用して生体高分子の結晶化を行うことができる生体高分子の結晶成長装置及び方法を提供することにある。
更に、本発明の第4の目的は、複数の生体高分子結晶を効率的に構造解析することができ、手作業で行ってきた作業の効率化、自動化等により高処理効率化(ハイスループット化)を可能にする結晶解析装置及び方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、生体高分子溶液から水分を蒸発させることにより溶液を過飽和状態にして生体高分子の結晶を生成させる結晶成長装置において、
第1結晶化剤溶液(2)を収容する第1密封容器(12)と、該第1密封容器と連通し対流を抑制する断面積の小さい連通管(16)とを備え、
該連通管内に生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴(1)を互いに間隔を隔てて複数保持する、ことを特徴とする結晶成長装置が提供される。
【0028】
また、本発明によれば、第1結晶化剤溶液(2)を収容する第1密封容器(12)と、該第1密封容器と連通し対流が抑制される程度に断面積の小さい連通管(16)とで構成され、該連通管内に生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴を互いに間隔を隔てて複数保持し、液滴からの水分の蒸発により溶液を過飽和状態にして生体高分子の結晶を生成させる、ことを特徴とする結晶成長方法が提供される。
【0029】
上記本発明の装置及び方法によれば、連通管(16)は対流が抑制される程度に断面積が小さく、これと連通する第1密封容器(12)には第1結晶化剤溶液(2)が収容されるので、水蒸気の輸送は拡散が主体となり、液滴の位置に応じて蒸発速度に差が生じるようになる。従って、液滴は第1密封容器に近いところでは比較的速やかに結晶化剤溶液と平衡し、遠いところでは平衡までに時間がかかるようになり、第1密封容器との結合部からの距離に応じて、液滴の濃縮速度が徐々に変化することになる。
これにより、従来のパラメータである結晶化剤濃度、種類を固定したまま、濃縮速度をパラメータに加えたスクリーニングを1回の実験で行え、効率的なスクリーニングが可能となる。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記第1結晶化剤溶液とは水蒸気圧が異なる第2結晶化剤溶液(4)を収容する第2密封容器(14)を備え、該第2密封容器は前記第1密封容器(12)と連通管(16)を介して連通する。
【0031】
この装置及び方法によれば、第1密封容器(12)と第2密封容器(14)が連通管(16)で連通しており、第1密封容器(12)には第1結晶化剤溶液(2)が収容され、第2密封容器(14)には第1結晶化剤溶液とは水蒸気圧の異なる第2結晶化剤溶液(4)が収容されるので、連通管(16)の両端では水蒸気圧が異なり、その間に水蒸気分圧の勾配が形成される。
また、液滴(1)の水蒸気圧が第1、第2結晶化剤溶液(2、4)のうち水蒸気圧が低い方と同一又はこれより低く設定しておくことにより、連通管内の水蒸気圧は、液滴(1)よりは低いため、液滴から水分の蒸発が行われるようになる。
従って、互いに間隔を隔てて複数保持された生体高分子溶液の液滴(1)は、二つの結晶化剤溶液量を液滴に比べ十分大きく取っておくと、結晶化が行われる程度の時間スケールでは、各液滴は第1結晶化剤溶液に近い位置では第1結晶化剤溶液に、または第2結晶化剤溶液に近い位置では第2結晶化剤溶液に、そして中間位置では中間的な濃度に平衡するように水分の蒸発が起こる。これにより、初期の液滴がすべて同一の組成であっても、連通管内での位置により異なる結晶化条件とすることができ、1回のセッティングで、効率的なスクリーニングを行うことができる。
【0032】
前記連通管(16)内に生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴(1)を互いに間隔を隔てて複数保持する結晶成長板(18)を備える。
この構成により、結晶成長板(18)に複数の液滴を保持することにより、液滴の取扱を容易にすることができる。
【0033】
前記連通管(16)は、連通路(16a)の側面を構成する成長板取付壁(16b)を有し、該成長板取付壁に形成された開口(17)に、前記結晶成長板(18)は、該開口を気密に閉鎖しかつ着脱可能に取付けられる。
この構成により、結晶成長板(18)に複数の液滴(1)を互いに間隔を隔てて保持し、これを成長板取付壁(16b)に開口を気密に閉鎖して取り付けるだけで、簡便にセッティングし、液滴(1)の数に相当する結晶化条件のスクリーニングを行うことができる。
【0034】
また、前記連通管(16)は、成長板取付壁(16b)に対向する観察壁(16c)を有する。
この構成により、成長板取付壁(16b)及び/又は観察壁(16c)を通して結晶成長過程を観察したり、成長した結晶の結晶解析、液滴中の結晶、溶液の、物理、化学状態の測定等を行うことができる。なお、観察壁(16c)が透明であると共に、結晶成長板(18)が透明であると観察に非常に好適である。
【0035】
また、本発明の別の好ましい実施形態によれば、複数の第1密封容器(12)と、複数の第2密封容器(14)と、複数の連通管(16)と、複数の結晶成長板(18)とを備え、前記各第1密封容器(12)は、単一の第2密封容器と単一の連通管を介して連通し、該連通管に結晶成長板が取付けられる。
この構成により、複数の第1結晶化剤溶液(2)、第2結晶化剤溶液(4)および結晶成長板(18)を用いて、液滴1の濃縮条件が少しづつ異なる多数の結晶化条件を試みることができ、スクリーニングを簡便に実施することができる。
【0036】
また、本発明の別の好ましい実施形態によれば、単一の第1密封容器(12)と、複数の第2密封容器(14)と、複数の連通管(16)と、複数の結晶成長板(18)とを備え、前記単一の第1密封容器(12)に複数の第2密封容器がそれぞれ別の連通管を介して連通し、該連通管に結晶成長板が取付けられる。
この構成により、単一の第1密封容器(12)に同一の第1結晶化剤溶液(2)を準備するだけで、単一の第1結晶化剤溶液(2)、複数の第2結晶化剤(4)および結晶成長板(18)を用いて、液滴溶液1の濃縮条件が少しづつ異なる多数の結晶化条件を試みることができ、スクリーニングを簡便に実施することができる。
【0037】
また、本発明の別の好ましい実施形態によれば、前記第1密封容器(12)及び/又は第2密封容器(14)内に充填され、第1結晶化剤溶液(2)及び/又は第2結晶化剤溶液(4)を表面張力で保持する保持体(20)を備える。
この構成により、保持体(20)で第1結晶化剤溶液(2)及び/又は第2結晶化剤溶液(4)を表面張力で保持することができるので、結晶成長装置を自由な姿勢にでき、取り扱い性が向上するほか、宇宙環境を利用した生体高分子の結晶化にも応用が可能となる。
【0038】
また、本発明の別の好ましい実施形態によれば、前記結晶成長板(18)に保持される生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴(1)がゲル状態で保持されている。
この構成により、結晶成長装置を自由な姿勢にでき、取り扱い性が向上する。また生成した結晶が溶液中で固定されるので、結晶を取り出すことなくX線解析が可能となる。
【0039】
また、本発明の別の好ましい実施形態によれば、前記第1密封容器(12)及び/又は第2密封容器(14)と連通管(16)との間を開閉可能な結晶化開始機構(22)を備える。
この構成により、第1密封容器(12)及び/又は第2密封容器(14)と連通管(16)との間を結晶化開始機構(22)で閉鎖した状態で地上からの打上げ、宇宙環境に達した後にその間を開放して結晶成長を開始することができる。
【0040】
また、本発明の別の好ましい実施形態によれば、前記結晶成長板(18)は、複数の液滴(1)を互いに間隔を隔てて複数保持するための窪み又は貫通穴を有する。
この構成により、窪み又は貫通穴により液滴(1)をより確実に保持することができ、結晶成長装置を自由な姿勢にでき、取り扱い性が向上するほか、宇宙環境を利用した生体高分子の結晶化にも応用が可能となる。
【0041】
また、本発明の別の好ましい実施形態によれば、前記結晶成長板(18)は、複数の液滴(1)の干渉を低減し対流を抑えるための仕切り又は遮蔽板を有する。
この構成により、液滴(1)相互の干渉と導通路内の対流を抑制することができる。
【0042】
また、本発明によれば、多数の生体高分子溶液をX線透過性、耐X線性を有する結晶成長板上に、2次元的に高密度に配置し前記生体高分子溶液を結晶化する結晶成長装置(30)と、
該結晶成長装置をそのままあるいは結晶成長板を取り出して取り付けることのできる結晶移動機構(32)と、
該結晶移動機構をX線解析装置の試料回転機構に取り付けることの出来るゴニオメータヘッド(34)とを備えた、ことを特徴とする結晶解析装置が提供される。
【0043】
また、本発明によれば、結晶成長装置(30)により、結晶成長板上で2次元的に高密度に配置した多数の生体高分子溶液を結晶化する結晶成長化ステップ(A)と、
ゴニオメータヘッド(34)を介してX線解析装置に取り付けられた結晶移動機構(32)に前記結晶成長装置をそのままあるいは結晶成長板を取付ける成長装置取付ステップ(B)と、
結晶移動機構により結晶成長板にある結晶を次々と、X線ビーム上の試料回転装置の回転軸(ω軸、χ軸、φ軸など)中心上の位置へ移動させ、生体高分子結晶のX線解析を行うことを繰り返すX線解析ステップ(C)とを有する、ことを特徴とする結晶解析方法が提供される。
上記本発明の装置及び方法によれば、結晶成長化ステップ(A)において結晶成長装置(30)により、結晶成長板上に、2次元的に高密度に配置した多数の生体高分子溶液を結晶化し、成長装置取付ステップ(B)において結晶移動機構(32)に結晶成長装置をそのままあるいは結晶成長板を結晶成長装置から取り出して取付け、X線解析ステップ(C)において結晶移動機構により結晶成長板にある結晶を次々と、X線ビーム上の試料回転装置の回転軸(ω軸、χ軸、φ軸など)中心上の位置へ移動させ、生体高分子結晶のX線解析を連続的に行うことができる。
従って、複数の結晶を効率的に構造解析することができ、手作業で行ってきた作業の効率化、自動化が可能となり、高処理効率化(ハイスループット化)が達成できる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0045】
図1は、本発明による結晶成長装置の第1実施形態図である。この図において、(A)は横置きタイプ、(B)は縦置きタイプである。
図1(A)(B)に示す結晶成長装置は、生体高分子を含む溶液の液滴1を、液滴1からの水分の蒸発により溶液を過飽和状態にして生体高分子の結晶を生成させる結晶成長装置である。
また、この結晶成長装置は、第1結晶化剤溶液2を収容する第1密封容器12と、第1密封容器12と連通する連通管16とを備える。この連通管16は、内部の対流を抑制するように断面積が小さく構成されている。この断面形状は、細長い平板状であっても、細管状であってもよい。また、断面積は一定であるのが好ましいが、必要により断面積が漸増または漸減してもよい。
この連通管16内には、生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴1を互いに間隔を隔てて複数保持するようになっている。
【0046】
この構成の装置を用い、本発明の方法では、連通管16内に生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴1を互いに間隔を隔てて複数保持し、液滴1からの水分の蒸発により溶液を過飽和状態にして生体高分子の結晶を生成させる。
【0047】
結晶化する生体高分子溶液は、図21bにおける領域Aの未飽和状態であり、生体高分子が完全に溶解しているものを準備する。
【0048】
図2は、図1の横置きタイプの別形態であり、(A)は複管式、(B)は一室式、(C)は、仕切管式である。
図2(A)の複管式は、図1の連通管16を複数独立に設けたものであり、図1と同一の条件で、同時に複数倍のスクリーニングを1回の実験で行える利点を有する。
図2(B)の一室式は、単一の連通管16の幅を広く設定し、液滴1を長さ方向と幅方向の両方に分散させて配置するものであり、単一の連通管16で同時に複数倍のスクリーニングを1回の実験で行える利点を有する。
図2(C)の仕切管式は、単一の連通管16の幅を広く設定しかつ長さ方向に延びる仕切りで複数の管路に区分し、それぞれに液滴1を保持するものである。なお、この例では、区分した管路毎に液滴を1つづつ配置し、各管路内の液滴同士の干渉を避けて、蒸発速度の違いをより明確化するようになっている。
なお、図2(C)はこれに限定されず、(A)のように複数を間隔を隔てて配置してもよい。
【0049】
図3は、図1(A)における連通管16内の結晶化剤濃度変化(A)と水蒸気濃度変化(B)を示す図である。この図において、横軸は左側に第1密封容器12を配置した場合の位置であり、縦軸はそれぞれの濃度である。また、各図において,複数の曲線は平衡濃度に達するまでの時間変化を模式的に示している。
【0050】
図3に示すように、上述した本発明の装置及び方法によれば、連通管16は対流が抑制される程度に断面積が小さく、これと連通する第1密封容器12には第1結晶化剤溶液2が収容されるので、水蒸気の輸送は拡散が主体となり、液滴の位置によりで蒸発速度に差が生じるようになる。従って、液滴1は第1密封容器12に近いところでは比較的速やかに結晶化剤溶液2と平衡し、遠いところでは平衡までに時間がかかるようになり、第1密封容器との結合部からの距離に応じて、液滴の濃縮速度が徐々に変化することになる。
これにより、従来のパラメータである結晶化剤濃度、種類を固定したまま、濃縮速度をパラメータに加えたスクリーニングを1回の実験で行え、効率的なスクリーニングが可能となる。
【0051】
図4は、本発明の第2実施形態図であり、(A)はハンギングタイプ、(B)はシッティングタイプ、(C)はハンギングタイプの積層型を示している。
この図に示すように、これらの例では、第1結晶化剤溶液2とは水蒸気圧の異なる第2結晶化剤溶液4を収容する第2密封容器14を備える。この第2密封容器14は、第1密封容器12と連通管16を介して連通している。
【0052】
結晶化する生体高分子溶液は、図21bにおける領域Aの未飽和状態であり、生体高分子が完全に溶解しているものを準備する。第1密封容器12には、第1結晶化剤溶液2を収容する。第2密封容器14には、第1結晶化剤溶液2とは水蒸気圧の異なる第2結晶化剤溶液4を収容する。連通管16は、第1密封容器12と第2密封容器14を互いに連通し、その間に水蒸気圧の勾配を形成する。
【0053】
図4(A)のハンギングタイプでは、液滴1を連通管16を構成する上板の下面につり下げて配置する。図4(B)のシッティングタイプでは、液滴1を連通管16を構成する下板の上面に載せて配置する。図4(C)の積層型では、連通管16内に複数の板を配置し、それぞれの下面につり下げて液滴を配置する。なお、同様にシッティングタイプの積層型であってもよい。
【0054】
図5は、図4の平面図であり、(A)は単管式、(B)は仕切管式、(C)は一室式を示してんる。
図5(A)の単管式は、図4の連通管16を単独に設けたものであり、安定した条件で実験を行える利点を有する。
図5(B)の仕切管式は、単一の連通管16の幅を広く設定しかつ長さ方向に延びる仕切りで複数の管路に区分し、それぞれに液滴1を保持するものである。この構成により、各管路内の液滴同士の干渉を避けて、蒸発速度の違いをより明確化するようになっている。
図5(C)の一室式は、単一の連通管16の幅を広く設定し、液滴1を長さ方向と幅方向の両方に分散させて配置するものであり、単一の連通管16で同時に複数倍のスクリーニングを1回の実験で行える利点を有する。
【0055】
図6は、図4(A)(B)における連通管16内の液滴1の結晶化剤濃度変化を示す図であり、(A)は液滴1の濃度がはじめすべて同一で、2つの結晶化剤溶液のいずれよりも低い場合、(B)は液滴1の濃度がはじめすべて同一で第1第1結晶化剤溶液2と等しい場合である。これらの図において、横軸は位置であり、縦軸はそれぞれの濃度である。また、各図において,複数の曲線は平衡濃度に達するまでの時間変化を模式的に示している。
【0056】
図7は、図4(A)(B)における連通管16内の水蒸気濃度変化を示す図である。この図において、横軸は位置であり、縦軸はそれぞれの濃度である。また、各図において,複数の曲線は平衡濃度に達するまでの時間変化を模式的に示している。
【0057】
図6及び図7に示すように、図4及び図5の装置及び方法によれば、第1密封容器12と第2密封容器14が連通管16で連通しており、第1密封容器12には第1結晶化剤溶液2が収容され、第2密封容器14には第1結晶化剤溶液とは水蒸気圧の異なる第2結晶化剤溶液4が収容されるので、連通管16の両端では水蒸気圧が異なり、その間に水蒸気分圧の勾配が形成される。
また、液滴1の水蒸気圧が第1、第2結晶化剤溶液2、4のうち水蒸気圧が低い方と同一又はこれより低く設定しておくことにより、連通管内の水蒸気圧は、液滴1よりは低いため、液滴から水分の蒸発が行われるようになる。
従って、互いに間隔を隔てて複数保持された生体高分子溶液の液滴1は、二つの結晶化剤溶液量を液滴に比べ十分大きく取っておくと、結晶化が行われる程度の時間スケールでは、各液滴は第1結晶化剤溶液に近い位置では第1結晶化剤溶液に、または第2結晶化剤溶液に近い位置では第2結晶化剤溶液に、そして中間位置では中間的な濃度に平衡するように水分の蒸発が起こることになる。これにより、初期の液滴がすべて同一の組成であっても、連通内での位置により異なる結晶化条件とすることができ、1回のセッティングで、効率的なスクリーニングを行うことができる。
【0058】
図8は、本発明による結晶成長装置の第3実施形態図であり、(A)は横断面図、(B)はその平面図である。
【0059】
この例において、結晶成長板18は、連通管16内に少なくとも一部が露出する露出部18aを有し、この露出部18aに結晶化する生体高分子溶液と結晶化剤溶液を混合した液滴1を互いに間隔を隔てて複数保持する。このとき液滴1の水蒸気圧は、第1結晶化剤溶液2、第2結晶化剤溶液4のうち、水蒸気圧の低い方と同一あるいは低いものとする。結晶成長板18は、複数の液滴1をその下面に表面張力で保持するように、下面が水平になるように構成されている。
【0060】
図8において、連通管16は、連通路16aの側面を構成する成長板取付壁16bを有する。なおこの例では、第1密封容器12と第2密封容器14をグリース、Oリング等で気密に覆う蓋15の一部として成長板取付壁16bが構成されている。
また、結晶成長板18は、成長板取付壁16b(この例では蓋15)に形成された開口17に、この開口をグリース等で気密に閉鎖しかつ着脱可能に取付けられる。
【0061】
また、図8において、連通管16は、成長板取付壁16bに対向する透明な観察壁16cを有し、これを透して液滴1における結晶成長化を観察できるようになっている。なお、観察壁16cが透明であると共に、結晶成長板18が透明であると観察に非常に好適である。
なお、図8と相違し、図4(C)のように、複数の結晶成長板18を連通管16内に間隔を隔てて多層に積層してもよい。
【0062】
結晶成長中の観察に対しては、結晶成長板18と観察壁16cが共に透明であると最も都合がよい。ただしいずれかが透明材質(例えばガラス、透明プラスチック)であれば、観察不可能ではない。
結晶生成後、結晶を容器から取り出さずに容器ごとX線回折装置に設置して、X線回折を行うときには、結晶成長板18と観察壁16cが共にX線透過性、耐X線性、気密性のある肉薄の材料(例えば、ガラス、プラスチック、ベリリウム等)であることが好ましい。なお、X線回折自体には透明性は必須ではないが、透明であるとX線の照射位置を結晶に合わせ込むことなどが容易となるのでより好適となる。
【0063】
また結晶生成後、容器から結晶成長板を取り外して、結晶成長板ごとX線回折装置に設置して、X線回折を行うときには、結晶成長板18がX線透過性、耐X線性のある肉薄の材料であることが好ましい。
結晶成長中の観察も結晶生成後のX線回折も行うときは、結晶成長板18と観察壁16cはX線透過性、耐X線性、気密性のある肉薄の材料で、かつ少なくともどちらかが透明である必要がある。従って、両方行う場合の材料例はガラス、透明なプラスチックとなる。ベリリウムは金属で不透明のため不適当である。
【0064】
図9は、本発明による結晶成長装置の第4実施形態図であり、図8(B)と同様の図を示している。
この例では、保持体20が、第1密封容器12及び第2密封容器14内に充填され、第1結晶化剤溶液2及び第2結晶化剤溶液4を表面張力で保持するようになっている。保持体の例としては、多孔質体、樹脂粉体の焼結体や綿、布、スポンジ状の材料を用いることができる。またこの例では、第1密封容器12を上に第2密封容器14を下に配置し、成長板取付壁16bを鉛直に配置しているが、第1結晶化剤溶液、第2結晶化剤溶液のうち水蒸気圧の低い方を下にして、移動する蒸気拡散方向を重力の向きに合わせることにより連通路内の空気の対流を抑制することができる。その他の構成は第3実施形態と同様である。
【0065】
図10は、結晶成長板18の具体例であり、(a)はフィルム、(b)はプレート、(c)はプレートに窪み、(d)はプレートに貫通穴、(e)は貫通穴付きのプレートとフィルムの積層構造を示している。(c)、(d)に示すように、試験状態に応じて、必要な場合には、窪みの中に液滴1を注入することにより確実に保持することができ、結晶成長装置を自由な姿勢にできる。またX線構造解析を行う場合には(d)のように貫通穴にすれば結晶成長板での不要な回折を防ぐことができ有用である。また(a)から(e)のいずれの形態においてもゲル化をすることによっても結晶成長装置を自由な姿勢にでき、またゲル化はX線構造解析を行う場合に結晶が固定されるため有用である。
【0066】
図11は、結晶成長板18の別の具体例であり、(a)は蒸気拡散の方向に沿って液滴の列を仕切るための仕切り19aを設けたもの、(b)は更に拡散方向に直交する方向に遮蔽板19bを設けたものである。仕切り19aは結晶成長板を取り付けたときに対向する壁に接触し、隣り合う液滴列との水蒸気の流れを抑えるのに対し、遮蔽板19bは仕切り19aよりも高さが低く、隣り合う液滴間の水蒸気の流れをを完全に仕切るものではなく、わずかに導通する隙間が残るようにしてある。
このように、仕切り19a及び/又は遮蔽板19bを設けることにより、液滴1の相互干渉と導通路内の対流を抑制することができる。
【0067】
上述した装置を用い、本発明の結晶成長方法では、第1密封容器12内に第1結晶化剤溶液2を収容し、第2密封容器14内に第1結晶化剤溶液2とは水蒸気圧の異なる第2結晶化剤溶液4を収容し、第1密封容器12と第2密封容器14を互いに連通する連通路16aを形成してその間に水蒸気圧の勾配を形成し、結晶成長板18を連通路16a内に少なくとも一部を露出させ、その露出部18aに生体高分子溶液と結晶化剤を含む溶液の液滴1を互いに間隔を隔てて複数保持して、複数の生体高分子溶液の液滴からの結晶化を同時に行う。
【0068】
上述した本発明の装置及び方法によれば、第1密封容器12と第2密封容器14が連通管16で連通しており、第1密封容器12には第1結晶化剤溶液2が収容され、第2密封容器14には第1結晶化剤溶液とは水蒸気圧の異なる第2結晶化剤溶液4が収容されるので、連通管16の連通路16aの両端では水蒸気が異なり、その間に水蒸気圧の勾配が形成される。
また、液滴1の水蒸気圧が第1結晶化剤溶液2、第2結晶化剤溶液4よりも低いので、連通路16aの水蒸気圧は、液滴よりも低く、液滴から水分の蒸発が行われるようになる。さらに結晶成長板18の露出部18aには生体高分子溶液の液滴1が互いに間隔を隔てて複数保持されているが、二つの結晶化剤溶液量を液滴に比べ十分大きく取っておくと、結晶化が行われる程度の時間スケールでは、各液滴は第1結晶化剤溶液に近い位置では第1結晶化剤溶液に、または第2結晶化剤溶液に近い位置では第2結晶化剤溶液に、そして中間位置では中間的な濃度に平衡するように水分の蒸発が起こることになる。
従って、初期の液滴がすべて同一の組成であっても、連通路16aでの位置により異なる結晶化条件とすることができ、1回のセッティングで、効率的なスクリーニングを行うことができる。
【0069】
図12は、本発明による結晶成長装置の第5実施形態図であり、図8Bと同様の平面図である。この例は、第4実施形態の結晶成長装置10を複数(この例では8つ)連結したものであり、複数の第1密封容器12と、複数の第2密封容器14と、複数の連通管16と、複数の結晶成長板18とを備える。複数の第1密封容器12と複数の第2密封容器14は一体に成形され、蓋15で各区画が気密に覆われる。蓋15には複数の開口17が設けられ、それぞれの開口17に結晶成長板18が気密に取付けられる。
すなわち各第1密封容器12は、単一の第2密封容器14と単一の連通管16を介して連通し、連通管16に結晶成長板18が取付けられる。従って各結晶成長板18とこれに関連する単一の第1密封容器12、単一の第2密封容器14、単一の連通管16との関係は、第3実施形態と同様である。
【0070】
この構成により、複数の第1結晶化剤溶液2、第2結晶化剤溶液4および結晶成長板18を用いて、液滴1の濃縮条件が少しづつ異なる多数の結晶化条件を1つの容器で試みることができ、スクリーニングをより簡便に実施することができる。
【0071】
図13は、本発明による結晶成長装置の第6実施形態図であり、図12と同様の平面図である。この図において、左半分と右半分は異なる構成となっている。
図13の左半分は、4つの結晶成長装置10を連結したものであり、この例では第1密封容器を共通化して、単一の第1密封容器12と、4つの第2密封容器14と、4つの連通管16と、4つの結晶成長板18とからなる。また、この例では単一の第1密封容器12に4つの第2密封容器14がそれぞれ別の連通管16を介して連通し、この連通管16に結晶成長板18が取付けられている。
図13の右半分は、同様に4つの結晶成長装置10を連結したものであるが、この例では、4つの第1密封容器12と、単一の第2密封容器14と、4つの連通管16と、4つの結晶成長板18とからなる。また、この例では4つの第1密封容器12に単一の第2密封容器14がそれぞれ別の連通管16を介して連通し、この連通管16に結晶成長板18が取付けられる。
この構成により、結晶化剤溶液を複数の区画で共通化することになり 効率化を図ることができる。
【0072】
なお本発明は図13の構成に限定されず、図13の全体を左半分又は右半分と同一に構成してもよい。
【0073】
図14は、本発明による結晶成長装置の第7実施形態図である。この例では、8つの結晶成長装置10を連結したものであり、各結晶成長装置10は、中央の単一の第2密封容器14の両側に2つの第1密封容器12と、2つの連通管16と、2つの結晶成長板18を備える。
なお、この例とは逆に中央の単一の第1密封容器12の両側に2つの第2密封容器14と、2つの連通管16と、2つの結晶成長板18を備えてもよい。
【0074】
図15は、本発明による結晶成長装置の第8実施形態図である。この例も図14と同様に、8つの結晶成長装置10を連結したものである。各結晶成長装置10は、中央の第2密封容器14が連結されて一体化し、その両側に計8つの第1密封容器12と、8つの連通管16と、8つの結晶成長板18を備える。これによりすべての区画の結晶化剤溶液の一方を共通化している。
なお、この例とは逆に中央の第1密封容器12を連結して一体化し、その両側に8つの第2密封容器14と、8つの連通管16と、8つの結晶成長板18を備えてもよい。
【0075】
図16は、本発明による結晶成長装置の第9実施形態図である。この例は図15の形態を円形に構成し、この例では8つの結晶成長装置10を連結したものである。中央の単一の第2密封容器14が円形に構成されて共通であり、第2密封容器14を囲んでその周囲に8つの第1密封容器12と、8つの連通管16と、8つの結晶成長板18を備える。
なお、この例とは逆に中央に単一の第1密封容器12を配置ち、この第1密封容器12を囲んでその周囲に複数の第2密封容器14と、複数の連通管16と、複数の結晶成長板18を備えてもよい。
【0076】
図14乃至図16の構成によっても、液滴1の濃縮条件が少しづつ異なる多数の結晶化条件を試みることができ、スクリーニングを簡便に実施することができる。
【0077】
図17は、本発明による結晶成長装置の第10実施形態図であり、(A)は横断面図、(B)はその平面図である。この例では第1密封容器12、第2密封容器14及び連通管16が一体化され、全体が平板形状としている。またこの例では、第1密封容器12及び第2密封容器14に多孔質体20が充填され、第1結晶化剤溶液2及び第2結晶化剤溶液4をこれらに浸込ませ表面張力で保持するようになっている。
【0078】
図18は、本発明による結晶成長装置の第11実施形態図であり、(A)は横断面図、(B)はその側面図である。この例では第1密封容器12、第2密封容器14及び連通管16が一体化され、全体が縦型の平板形状としている。またこの例では、第1密封容器12及び第2密封容器14に多孔質体20が充填され、第1結晶化剤溶液2及び第2結晶化剤溶液4をこれらに浸込ませ表面張力で保持するようになっている。
【0079】
図17と18の構成により、結晶成長板18を水平、垂直又はその他の自由な姿勢にすることができ、またコンパクトにすることができるため取り扱い性が非常に良好となる。この構成で必要に応じ液滴をゲル化すれば、姿勢変更に対し結晶も固定することができるので、後述する結晶移動機構付きゴニオメータを使用して、結晶化後そのままX線回折に供する上で有用である。
【0080】
結晶成長板18と観察壁16cの材質は、結晶成長中の結晶観察に対しては、いずれかが透明材質(例えばガラス、透明プラスチック)であればよく、容器ごとX線回折を行うときには、共にX線透過性、耐X線性、気密性のある肉薄の材料(例えば、ガラス、プラスチック、ベリリウム等)が好ましい。
また結晶成長中の観察もX線回折も行うときは、結晶成長板18と観察壁16cはX線透過性、耐X線性、気密性のある肉薄の材料で、かつ少なくともどちらかが透明である必要がある。
【0081】
図19は、本発明による結晶成長装置の第12実施形態図であり、(A)は斜視図(断面)、(B)は平面図である。この図において、21は、第1密封容器12及び第2密封容器14と観察壁16cとの間を気密にシールするOリング等のシール材、22は第2密封容器14と連通管16(この例では2枚の観察壁16cの間)との間を開閉可能な結晶化開始機構である。
【0082】
結晶化開始機構22は、中空円筒形のシェード23とこれを軸心を中心に回転させる結晶化開始用ギア24からなる。シェード23は、その円筒部に軸方向に延びるスリット23aを有し、このスリット23aが2枚の観察壁16cの間に向くようにシェード23を回転させることにより、蒸気の拡散を開始し、結晶化を開始するようになっている。
【0083】
この例は、宇宙実験用に特に適したものである。すなわち宇宙実験のためには地上では結晶化を起こさず、軌道上で結晶化が行えるように結晶化開始機構が必要である。
この例において、第1結晶化剤溶液2は、好ましくは液滴1の濃度変化を起こさず平衡状態を保てる濃度、例えば水蒸気圧が液滴1と同一にする。また第2結晶化剤溶液4は、生体高分子溶液の液滴1の濃度変化を起こす濃度、例えば第1結晶化剤溶液2より水蒸気圧を低く設定する。第2結晶化剤溶液4は、スリット23aを有するシェード23によりはじめ液滴1のある空間(2枚の観察壁16cの間)とは隔離されている。ここには図示しない駆動機構により、軌道上でギア24を回転しシェード23を回転させることにより、液滴1のある空間(2枚の観察壁16cの間)に第2結晶化剤溶液4を露出することにより結晶化を開始させる。
【0084】
なお結晶化開始機構の構造は上述したものに限定されず、第1密封容器12及び/又は第2密封容器14と連通管16との間を開閉可能な結晶化開始機構22であればよい。
上述した構成により、第1密封容器12及び/又は第2密封容器14と連通管16との間を結晶化開始機構22で閉鎖した状態で地上からの打上げ、宇宙環境に達した後にその間を開放して結晶成長を開始することができる。
【0085】
上述したように、第1実施形態図〜第12実施形態図に示した結晶成長装置及び方法では、次に示す方法で蒸気拡散法を行うことにより、従来技術より簡便かつ効率的にスクリーニングを行うことを可能にした。
【0086】
従来は生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴と結晶化剤溶液の1対(または1つの結晶化剤溶液に対し、複数の液滴という場合もある)を、1つのウェルに入れ閉鎖系としていたが、本発明では上述のように、結晶化剤濃度が異なることなどにより水蒸気圧が違う2つの結晶化剤溶液A,Bを入れた2つの結晶化剤溶液室(結晶化剤溶液A室、結晶化剤溶液B室)を有し、その2室を連結させた容器をつくる。さらに連結部分に複数の生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴を配置して気密をとり、全体として1つの閉鎖空間をつくる。2つの結晶化剤溶液A,Bおよび複数の液滴は蒸気平衡を達成するまで、すべての水蒸気圧が等しくなるように濃度が変化するが、2つの結晶化剤溶液量を液滴に比べ十分大きく取っておくと、結晶化が行われる程度の時間スケールでは、二つの結晶化剤溶液の濃度変化はほとんど起こらない。液滴は位置により水蒸気圧が異なるため、結晶化剤溶液Aに近い位置では結晶化剤溶液Aに、結晶化剤溶液Bに近い位置では結晶化剤溶液Bに、そして中間位置では中間的な濃度にに平衡するように濃度が変化することになる。したがって、液滴は結晶化剤溶液A,Bからの位置により異なる濃縮条件を持つことになる。なお液滴が置かれる連通路部分は十分狭くとっておくことにより、空気の対流により連通路内の水蒸気圧が一様化するのが抑えられ、位置による濃縮条件の違いをより顕著にすることができる。
【0087】
このようにして、従来であれば結晶化剤溶液A,Bを端成分とするn通りの中間濃度のスクリーニングを行うのに際し、n通りの濃度の結晶化剤溶液を入れたn個のウェルを準備しなければならなかったが、本発明によれば1回のセッティングで、結晶化剤溶液A−B間の濃度条件をスクリーニングすることが可能となり、大幅な効率化が望める。
【0088】
従って、本発明の結晶成長装置及び方法により以下の効果が得られる。
(1) 従来は1つの閉鎖室にある生体高分子溶液の液滴は、一種類の結晶化剤溶液とのみ平衡するため、多くの結晶化条件を試行しようとすると、多くの閉鎖室と少しずつ濃度が異なる多数の結晶化剤溶液を必要としたが、本発明では1回のセッティングで1つの閉鎖空間中の位置により少しづつ異なる平衡条件を作り出せることから、より少ない手間で多数の条件の試行が可能となる。
(2) 従来結晶化剤溶液が占めていた液滴の直下の空間を利用できることから、液滴のある面に垂直な方向から液滴中の結晶、溶液の観察や物理、化学状態の測定等が容易となる。
(3) 使用する結晶化剤溶液の数が大幅に減ること、生体高分子溶液の液滴を高密度に配置できることから、結晶成長装置の小型化を図ることが可能である。
(4) 液滴から結晶を取り出すことなく容器ごとあるいは結晶成長板を取り出して、直接X線回折に供することが可能である。
(5) 生体高分子結晶化の自動装置化、自動装置の高処理効率化、宇宙実験装置化への応用が可能である。
【0089】
図20は、本発明による結晶解析装置の第1実施形態図である。この図に示すように、本発明の結晶解析装置は、結晶成長装置30、結晶移動機構32、及びゴニオメータヘッド34を備える。
結晶成長装置30は、結晶化を行う生体高分子溶液をX線透過性、耐X線性、を有する結晶成長板上に2次元的に高密度に配置し、生体高分子溶液中で結晶を生成する装置である。結晶成長装置30には、第1実施形態図〜第12実施形態図に示した結晶成長装置10と第11実施形態図に示した結晶成長容器の一部を用いることができる。生体高分子溶液の液滴1の2次元的な高密度配置は、この図に示すように、X方向及びY方向に一定のピッチで配置するのが好ましい。また生体高分子溶液はゲル化されていることが好ましい。
【0090】
結晶移動機構32は、結晶成長装置30を生体高分子溶液の配置面に平行に2次元的に移動できるようになっており、結晶成長装置30にある任意の結晶に対して、中心をX線ビーム上の試料回転装置の回転軸(ω軸、χ軸、φ軸など)中心上の位置に移動させることが可能である。この具体的構造は特に図示しないが、周知のトラバース機構を適用することができる。また、必要に応じて、Z方向にも移動できるようにしてもよい。
ゴニオメータヘッド34は、結晶移動機構32を取り付けることができる。このゴニオメータヘッド34には、結晶移動機構32との連結治具を用いれば周知のものをそのまま用いることができる。
【0091】
上述した装置を用い、本発明の結晶解析方法は、結晶成長化ステップ(A)と成長装置取付ステップ(B)とX線解析ステップ(C)からなる。
結晶成長化ステップ(A)では、結晶成長装置30により、結晶成長板上に2次元的に高密度に配置した生体高分子溶液を結晶化する。また、好ましくは、生体高分子溶液を結晶化した後に結晶が入った溶液をゲル化し、或いは予めゲル化した生体高分子溶液を結晶化する。
成長装置取付ステップ(B)では、ゴニオメータヘッド34を介してX線解析装置に取り付けられた結晶移動機構32に結晶成長装置30をそのままあるいは結晶成長板を取り出して取付ける。
X線解析ステップ(C)では、結晶移動機構32により結晶成長装置30にある結晶をX線ビーム上の試料回転装置の回転軸(ω軸、χ軸、φ軸など)中心上の位置への移動させ、生体高分子結晶のX線解析を行うことを繰り返し行う。
【0092】
上述した本発明の結晶解析装置及び方法によれば、結晶成長化ステップ(A)において結晶成長装置30により2次元的に高密度に配置した生体高分子溶液を結晶化し、成長装置取付ステップ(B)において結晶移動機構32に結晶成長装置をそのままあるいは一部を取付け、X線解析ステップ(C)において結晶移動機構により結晶成長装置を移動させて多数の生体高分子結晶のX線解析を連続的に行うことができる。
従って、複数の生体高分子結晶を効率的に構造解析することができ、従来は手作業で行ってきた作業の効率化、自動化が可能となり、高処理効率化(ハイスループット化)が達成できる。
【0093】
上述したように、第1実施形態図に示した結晶解析装置及び方法では、結晶成長装置30で結晶化が成功すると、そのままX線解析装置に取り付けることができるので、生体高分子溶液からの結晶の取出し等の手間が省ける。
すなわち、多数の結晶を含む結晶成長装置30をそのまま(あるいは結晶成長板などの一部を取り出して)X線解析装置に取り付けできるようにすることで、生成した結晶の1つ1つを取り出して、キャピラリやクライオループでマウントする作業・ゴニオメータヘッドへの取り付け作業をなくすことが可能となる。
【0094】
そのために結晶成長装置は、装置全体を小型化する、結晶化を行う生体高分子溶液を2次元的に高密度に配置する、生体高分子溶液はX線透過性、耐X線性、気密性等を考慮した肉薄の材質(樹脂、ガラス、ベルルウム等)の板の上に配置する。
また、生体高分子結晶が入った母液をゲル化、または予めゲル化した母液中で結晶を生成することが好ましい。ゲル化は、ゲルの性質により結晶が母液中で固定されることを狙うものである。
【0095】
さらに当該結晶成長装置(あるいは結晶成長板)を取り付けることが可能な結晶移動機構を有するゴニオメータヘッドを用意する。結晶化の終了した結晶成長装置を結晶移動機構に取り付けると、生成したどの結晶に対してもX線ビーム上にある解析のための所定の位置(試料回転装置の回転中心)に移動させることが可能となる。したがって1回のマウントで、対象とする結晶を順次変えていくことができ、構造解析作業が効率化できる。
【0096】
従って、本発明の結晶解析装置及び方法により以下の効果が得られる。
本発明によれば、結晶成長装置とX線解析用マウント具の兼用化、マウントする結晶の多数化を図ることができる。結晶の取り出し作業を省くことができ、またマウント作業を著しく軽減することができる。
【0097】
ハイスループット化は究極的には、結晶化〜構造解析までの一連の作業を全自動化することにより高処理効率で行うことに向かうと考えられるが、これまで、結晶化のための試料注入の自動化や、あらかじめ結晶をマウントした多数のキャピラリ、クライオループを用意しておきゴニオメータヘッドの取り付け作業のみを自動化した例はあるが、熟練した人手によっていた結晶の取り出し・マウントの作業の自動化は困難であった。本発明では結晶取り出しを省くことができるため、自動化システムや自動化が必要な宇宙実験装置等を構築する上で特に有用である。
【0098】
なお、本発明は上述した実施例及び実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0099】
【発明の効果】
上述したように、本発明の生体高分子の結晶成長装置及び方法は、液滴1の濃縮条件を少しづつ変化させて結晶化を試みるスクリーニング作業を、少ないセッティング回数で簡便に実施することができ、かつ、宇宙環境を利用して生体高分子の結晶化を行うことができる等の効果を有する。
また本発明の結晶成長装置及び方法は、濃縮速度をパラメータに加えたスクリーニングを1回の実験で行うことができる。
さらに、本発明の結晶解析装置及び方法は、複数の生体高分子結晶を効率的に構造解析することができ、手作業で行ってきた作業の効率化、自動化等により高処理効率化(ハイスループット化)を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による結晶成長装置の第1実施形態図である。
【図2】図1の横置きタイプの別形態である。
【図3】図1(A)における連通管16内の液滴の結晶化剤濃度変化(A)と連通管16内の水蒸気濃度変化(B)を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】図4(A)(B)における連通管16内の液滴の結晶化剤濃度変化を示す図である。
【図7】図4(A)(B)における連通管16内の水蒸気濃度変化を示す図である。
【図8】本発明による結晶成長装置の第3実施形態図である。
【図9】本発明による結晶成長装置の第4実施形態図である。
【図10】結晶成長板の具体例を示す図である。
【図11】結晶成長板の別の具体例を示す図である。
【図12】本発明による結晶成長装置の第5実施形態図である。
【図13】本発明による結晶成長装置の第6実施形態図である。
【図14】本発明による結晶成長装置の第7実施形態図である。
【図15】本発明による結晶成長装置の第8実施形態図である。
【図16】本発明による結晶成長装置の第9実施形態図である。
【図17】本発明による結晶成長装置の第10実施形態図である。
【図18】本発明による結晶成長装置の第11実施形態図である。
【図19】本発明による結晶成長装置の第12実施形態図である。
【図20】本発明による結晶解析装置の第1実施形態図である。
【図21】蒸気拡散法による生体高分子の結晶化の原理図である。
【図22】従来の結晶成長手段の模式図である。
【図23】従来の別の結晶成長手段の模式図である。
【図24】従来のX線解析装置の模式図である。
【図25】従来の別のX線解析装置の模式図である。
【図26】ハンギングドロップ法の概念図である。
【図27】従来の結晶マウント手段の模式図である。
【符号の説明】
1 生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴
2 第1結晶化剤溶液、4 第2結晶化剤溶液、
10 結晶成長装置、12 第1密封容器、
14 第2密封容器、16 連通管、16a 連通路、
16b 成長板取付壁、16c 観察壁、17 開口、
18 結晶成長板、18a 露出部、
19a 仕切り、19b 遮蔽板、
20 多孔質体、21 シール材、
22 結晶化開始機構、23 シェード、
23a スリット、24 結晶化開始用ギア、
30 結晶成長装置、32 結晶移動機構、
34 ゴニオメータヘッド

Claims (16)

  1. 生体高分子溶液から水分を蒸発させることにより溶液を過飽和状態にして生体高分子の結晶を生成させる結晶成長装置において、
    第1結晶化剤溶液(2)を収容する第1密封容器(12)と、該第1密封容器と連通し対流を抑制する断面積の小さい連通管(16)とを備え、
    該連通管内に生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴(1)を互いに間隔を隔てて複数保持する、ことを特徴とする結晶成長装置。
  2. 前記第1結晶化剤溶液とは水蒸気圧が異なる第2結晶化剤溶液(4)を収容する第2密封容器(14)を備え、該第2密封容器は前記第1密封容器(12)と連通管(16)を介して連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶成長装置。
  3. 前記連通管(16)内に生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴(1)を互いに間隔を隔てて複数保持する結晶成長板(18)を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶成長装置。
  4. 前記連通管(16)は、連通路(16a)の側面を構成する成長板取付壁(16b)を有し、該成長板取付壁に形成された開口(17)に、前記結晶成長板(18)は、該開口を気密に閉鎖しかつ着脱可能に取付けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の結晶成長装置。
  5. 前記連通管(16)は、成長板取付壁(16b)に対向する観察壁(16c)を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の結晶成長装置。
  6. 複数の第1密封容器(12)と、複数の第2密封容器(14)と、複数の連通管(16)と、複数の結晶成長板(18)とを備え、前記各第1密封容器(12)は、単一の第2密封容器と単一の連通管を介して連通し、該連通管に結晶成長板が取付けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の結晶成長装置。
  7. 単一の第1密封容器(12)と、複数の第2密封容器(14)と、複数の連通管(16)と、複数の結晶成長板(18)とを備え、前記単一の第1密封容器(12)に複数の第2密封容器がそれぞれ別の連通管を介して連通し、該連通管に結晶成長板が取付けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の結晶成長装置。
  8. 前記第1密封容器(12)及び/又は第2密封容器(14)内に充填され、第1結晶化剤溶液(2)及び/又は第2結晶化剤溶液(4)を表面張力で保持する保持体(20)を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶成長装置。
  9. 前記結晶成長板(18)に保持される生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴(1)がゲル状態で保持されている、ことを特徴とする請求項3に記載の結晶成長装置。
  10. 前記第1密封容器(12)及び/又は第2密封容器(14)と連通管(16)との間を開閉可能な結晶化開始機構(22)を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶成長装置。
  11. 前記結晶成長板(18)は、複数の液滴(1)を互いに間隔を隔てて複数保持するための窪み又は貫通穴を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の結晶成長装置。
  12. 前記結晶成長板(18)は、複数の液滴(1)の干渉を低減し対流を抑えるための仕切り又は遮蔽板を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の結晶成長装置。
  13. 第1結晶化剤溶液(2)を収容する第1密封容器(12)と、該第1密封容器と連通し対流が抑制される程度に断面積の小さい連通管(16)とで構成され、該連通管内に生体高分子と結晶化剤を含む溶液の液滴を互いに間隔を隔てて複数保持し、液滴からの水分の蒸発により溶液を過飽和状態にして生体高分子の結晶を生成させる、ことを特徴とする結晶成長方法。
  14. 更に、前記第1結晶化剤溶液とは水蒸気圧が異なる第2結晶化剤溶液(4)を収容する第2密封容器(14)を備え、該第2密封容器は前記第1密封容器(12)と連通管(16)を介して連通する、ことを特徴とする請求項13に記載の結晶成長方法。
  15. 多数の生体高分子溶液をX線透過性、耐X線性を有する結晶成長板上に、2次元的に高密度に配置し前記生体高分子溶液を結晶化する結晶成長装置(30)と、
    該結晶成長装置をそのままあるいは結晶成長板を取り出して取り付けることのできる結晶移動機構(32)と、
    該結晶移動機構をX線解析装置の試料回転機構に取り付けることの出来るゴニオメータヘッド(34)とを備えた、ことを特徴とする結晶解析装置。
  16. 結晶成長装置(30)により、結晶成長板上で2次元的に高密度に配置した多数の生体高分子溶液を結晶化する結晶成長化ステップ(A)と、
    ゴニオメータヘッド(34)を介してX線解析装置に取り付けられた結晶移動機構(32)に前記結晶成長装置をそのままあるいは結晶成長板を取付ける成長装置取付ステップ(B)と、
    結晶移動機構により結晶成長板にある結晶を次々と、X線ビーム上の試料回転装置の回転軸(ω軸、χ軸、φ軸など)中心上の位置へ移動させ、生体高分子結晶のX線解析を行うことを繰り返すX線解析ステップ(C)とを有する、ことを特徴とする結晶解析方法。
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