JP2004342544A - 回路保護素子 - Google Patents

回路保護素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2004342544A
JP2004342544A JP2003140153A JP2003140153A JP2004342544A JP 2004342544 A JP2004342544 A JP 2004342544A JP 2003140153 A JP2003140153 A JP 2003140153A JP 2003140153 A JP2003140153 A JP 2003140153A JP 2004342544 A JP2004342544 A JP 2004342544A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit protection
metal
protection element
conductive
fusible
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003140153A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Todaka
秀幸 戸高
Takuya Fujimaru
琢也 藤丸
Yasuhiro Izumi
泰博 泉
Tokuji Nishino
徳次 西野
Yasutaka Hieda
恭高 稗田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2003140153A priority Critical patent/JP2004342544A/ja
Publication of JP2004342544A publication Critical patent/JP2004342544A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fuses (AREA)
  • Thermistors And Varistors (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、溶断性能に優れ、環境変化による性能劣化などの少ない耐久性、耐候性に優れた回路保護素子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、基体2と、基体2に設けられた導電性可溶体4と、基体2の両端に設けられ導電性可溶体4を介して電気接続された端子電極3を有する回路保護素子であって、金属と非金属からなる混合体5からなる補助可溶体もしくは金属有機化合物からなる補助可溶体が導電性可溶体4の少なくとも一部に接合される構成とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モーター等のデバイスや、ハードディスクドライブ、DVDドライブ、ゲーム機、携帯電話機などの電気機器、電子機器に用いられ、設定電流以上の電流が流れると導電性可溶体が溶断して回路を遮断する回路保護素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電気機器、電子機器は小型化が進み、電気回路部も小型化、高密度化が要求されている。この中で、漏電や発熱といった予期せぬ事態を未然に防止して安全性を確保するために使用される回路保護素子、いわゆるヒューズも、小型化とともに安全かつ確実に作動することが要請されている。
【0003】
特に、現在のコンピュータおよび周辺機器には、これまで以上に過電流保護が必要になっている。いわゆる中央演算処理装置(以下「CPU」という)などの高速のLSIは過電流の影響を受けやすく、更に非常に高価である。このため、これらのLSIを、回路の故障や、外部の障害によって生じる過電流から保護する必要がある。
【0004】
このような過電流保護のために、端子電極間に溶断部となる導電性可溶体を設けた数多くの溶断型回路保護素子が提供されている。
【0005】
例えば、導電性可溶体をセラミック製の基体上に形成した積層型回路保護素子が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
図10は従来の技術における回路保護素子の斜視図である。
【0007】
100は回路保護素子、101は基体、102は端子電極、103は導電性可溶体、104は溶断部である。導電性可溶体103には補助可溶体が設けられていないため、溶断部104は溶断を促すために幅を狭く形成されている。導電性可溶体103を流れる電流が上昇すると、その幅の狭くなっている溶断部104は抵抗値が高いため他の部分よりも高く発熱する。発熱の結果、溶断が実現される。
【0008】
また、基体上に金属からなる導電性の層を形成し、これを基体の両端に設けられた端子電極と接続した回路保護素子であって、導電性の層の溶断部となる一部上面に別の導電性層を接合させることで、接合部分に合金を形成する回路保護素子が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0009】
図11は従来の技術における回路保護素子の斜視図である。105は回路保護素子であり、106は基体、107は端子電極、108は導電性可溶体、109は補助可溶体であり、補助可溶体109は半田やすず、ニッケルなどの金属ペーストや金属めっきなどである。導電性可溶体108と補助可溶体109の接触部分では合金が形成されるため、抵抗値が高く、融点も低くなるために溶断しやすくなる。導電性可溶体108を流れる電流が増加すると温度上昇し、補助可溶体109付近で溶断して電流が遮断される。
【0010】
【特許文献1】
特表2001−503558号公報
【特許文献2】
特開平9−510824号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(特許文献1)に記載されているような端子電極間に溶断部となる導電性可溶体を設けた回路保護素子では、その定格電流が小さくなる場合には十分な溶断を確保するために導電性可溶体の抵抗を高くするように設計しておく必要がある。すなわち導電性可溶体を非常に幅狭くまたは非常に薄く形成するなどの必要が生じるので、設計での困難性や耐久性の低下などの問題があった。特に、低消費電力化が進む電子機器では定格電流を小さくする必要があるのに対し、本来の溶断基準を確保する回路保護素子の提供が困難であるという問題があった。
【0012】
一方、(特許文献2)記載されているような回路保護素子では、導電性の層の上に更に金属からなる導電性の層を設けており、これらの層の間で金属元素の拡散が起こって合金部分の抵抗が増加するいわゆるM効果と呼ばれる効果が生じる。合金部の抵抗が増加するために、電流による温度上昇が高くなり合金部での溶断が容易となって十分な溶断が得られる効果である。このため、回路保護素子を低抵抗で設計しておくことが可能となる。しかしながら、100度程度の高温状態が一定時間続いた場合には層の間での合金化が進行し、合金化の結果抵抗が本来予定していたものよりも高くなってしまう問題が生じる。これにより本来の溶断基準以下の電流で溶断する状態に変化するという、回路保護素子の性能劣化の問題があった。
【0013】
また、導電性層の上に接合される伝導性の層は金属であるため、酸化しやすく、酸化によって同様に抵抗が上昇する問題があった。
【0014】
特に、近年の電子機器でのクロック周波数の高速化などは目覚しく、電子部品の高温化などにより回路保護素子が長時間高温環境にさらされたりすることも多々あり、回路保護素子が使用される中で性能劣化することは大きな問題となっていた。もちろん、これを放置すれば回路保護素子が定格以下で溶断することが頻発し、その都度修理や取替えなどのコストが発生して、結果的にはこれを組み込む電子機器の高コスト化にもつながりかねない問題があった。もちろん、電子機器自体の耐久性などにも悪影響は大きいものがある。
【0015】
本発明は、定格電流が低い場合であっても低抵抗を実現し、更に高温状態などが続く環境下であってもその性能劣化の少ない、耐久性と性能維持性に優れた回路保護素子を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、基体と、基体に設けられた導電性可溶体と、基体の両端に設けられ導電性可溶体を介して電気接続された端子電極を有する回路保護素子であって、導電性可溶体に用いられる金属と合金を形成する少なくとも一種類以上の金属と非金属からなる混合体からなる補助可溶体とを有し、補助可溶体が導電性可溶体の少なくとも一部に接触する構成とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、基体と、基体に設けられた導電性可溶体と、基体の両端に設けられ導電性可溶体を介して電気接続された端子電極を有する回路保護素子であって、導電性可溶体に用いられる金属と合金を形成する少なくとも一種類以上の金属と非金属からなる混合体からなる補助可溶体とを有し、補助可溶体が導電性可溶体の少なくとも一部に接触することを特徴とする回路保護素子低定格電流であって、低抵抗での設計が可能で溶断時間が短く、環境変化による抵抗上昇などの性能劣化が少なくなる。
【0018】
本発明の請求項2に記載の発明は、混合体に含まれる金属と非金属において、金属の融点が非金属の融点より高いことを特徴とする請求項1に記載の回路保護素子であって、一定以上の電流になり一定の温度を越えたところで非金属部分が溶融、蒸散し、金属部分が導電性可溶体と接触を開始するので接触部分での合金形成が開始される作用を有する。
【0019】
本発明の請求項3に記載の発明は、混合体が、非金属ペーストに金属微粒子が含まれるゲル状体であることを特徴とする請求項1乃至2いずれか1に記載の回路保護素子であって、一定以上の発熱になった後で非金属ペーストが溶融、蒸散して金属微粒子と導電性可溶体との間で合金形成が開始され、溶断が開始される。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明は、基体と、基体に設けられた導電性可溶体と、基体の両端に設けられ導電性可溶体を介して電気接続された端子電極を有する回路保護素子であって、導電性可溶体の金属元素と合金を形成する少なくとも一種類以上の金属元素を含む有機金属化合物からなる補助可溶体を有し、有機金属化合物からなる補助可溶体が導電性可溶体の少なくとも一部に接触することを特徴とする回路保護素子であって、低抵抗での設計が可能で溶断時間が短く、環境変化による抵抗上昇などの性能劣化が少なくなる作用を有する。
【0021】
本発明の請求項5に記載の発明は、導電性可溶体に用いられる金属元素と有機金属化合物に含まれる金属元素から形成される合金が該導電性可溶体よりも低融点となるように、導電性可溶体の金属元素と有機金属化合物の金属元素を組み合わせることを特徴とする請求項4に記載の回路保護素子であって、形成された合金部は高抵抗となると共に、融点の低下により溶断が容易となって、短い時間で溶断する作用を有する。
【0022】
本発明の請求項6に記載の発明は、有機金属化合物が金属石鹸であることを特徴とする請求項4乃至5いずれか1に記載の回路保護素子であって、環境変化による抵抗上昇などの性能劣化を生じない。更に一定温度以上で有機物の分解が開始されて合金形成が開始され、短い時間で溶断する作用を有する。
【0023】
本発明の請求項7に記載の発明は、金属石鹸がオクチル酸ビスマスであることを特徴とする請求項6に記載の回路保護素子であって、環境変化による抵抗上昇などの性能劣化を生じない。更に一定温度以上で有機物の分解が開始されて合金形成が開始され、短い時間で溶断する作用を有する。
【0024】
本発明の請求項8に記載の発明は、金属石鹸がオクチル酸すずであることを特徴とする請求項6に記載の回路保護素子であって、環境変化による抵抗上昇などの性能劣化を生じない。更に一定温度以上で有機物の分解が開始されて合金形成が開始され、短い時間で溶断する作用を有する。
【0025】
本発明の請求項9に記載の発明は、金属石鹸がオクチル酸ビスマスもしくはオクチル酸すずのいずれかであり、導電性可溶体の金属元素の少なくとも一部に銀が用いられることを特徴とする請求項5に記載の回路保護素子であって、環境変化による抵抗上昇などの性能劣化を生じない。更に一定温度以上で有機物の分解が開始されて合金形成が開始され、短い時間で溶断する作用を有する。
【0026】
本発明の請求項10に記載の発明は、補助可溶体が導電性可溶体の溶断部位にのみ接合されることを特徴とする請求項1〜9いずれか1記載の回路保護素子であって、少ない補助可溶体で十分な溶断を促す作用を有する。
【0027】
本発明の請求項11に記載の発明は、表面に導電膜が設けられた基体と、導電膜の一部に設けられた狭域部と、基体の両端に設けられ基体の導電膜を介して電気接続された端子電極を有する回路保護素子であって、基体の導電膜の金属元素と合金を形成する少なくとも一種類以上の金属元素を含む有機金属化合物からなる補助可溶体を有し、有機金属化合物からなる補助可溶体が狭域部に接触することを特徴とする回路保護素子であって、低抵抗での設計が可能で溶断時間が短く、環境変化による抵抗上昇などの性能劣化が少なくなる作用を有する。
【0028】
本発明の請求項12に記載の発明は、請求項1〜11いずれか記載の回路保護素子と、回路保護素子と他の電子部品が実装された電子基板であって、電子基板の過電流からの保護に加えて、耐久性と耐候性に優れた長寿命を実現する。
【0029】
本発明の請求項13に記載の発明は、請求項1〜11いずれか1記載の回路保護素子と、回路保護素子と電気的接続される処理装置と、処理装置に電圧を与える駆動源と、これらを格納する筺体を有することを特徴とする電子機器であって、電子機器の過電流からの保護が実現され、電子機器の長寿命が実現される。
【0030】
本発明の請求項14に記載の発明は、電子機器がノートブック型パソコンであることを特徴とする電子機器であって、過電流からの保護が実現され、電子機器の長寿命と修理コスト低減が実現される。
【0031】
以下、図面を用いて説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における回路保護素子の斜視図である。図2は本発明の実施の形態1における回路保護素子の断面図である。図3(a)〜図3(d)は本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図である。図4は本発明の実施の形態1における回路保護素子の斜視図である。図5(a)〜(d)は本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図である。図6は合金形成に関する従来との比較図である。
【0033】
図1を用いて混合体を用いた場合の回路保護素子の構成について説明する。
【0034】
1は回路保護素子であり、2は基体、3は端子電極、4は導電性可溶体、5は混合体であり補助可溶体を構成し、6は溶断部、7は保護膜である。
【0035】
基体2はアルミナもしくはアルミナを主成分とするセラミック材料等の絶縁体もしくは誘電体などをプレス加工、押し出し法等を施して形成される。あるいはセラミック材料などからなる積層シートを複数重ねた上で焼結させることで形成される。なお、基体2の構成材料としては、フォルステライト、チタン酸マグネシウム系、チタン酸カルシウム系、ジルコニア・スズ・チタン系、チタン酸バリウム系、鉛・カルシウム・チタン系などのセラミック材料を用いてもよく、エポキシ樹脂などの樹脂材料を用いても良い。なお、強度や絶縁性からアルミナもしくはアルミナを主成分としたセラミック材料が好適である。
【0036】
端子電極3は基体2の両端部に設けられ、基体2と同じセラミック材料などにより形成された基礎部分に導電膜を施して形成される。基体2を形成する際に端子電極3を構成する基礎部分を同時に形成してもよく、別個に形成して張り合わせてもよい。また端子電極3は電子基板との実装性を向上させるために、基体2よりも上下方向に突出させておくことも好適である。もちろん、突出させていなくてもよく、その場合には実装時に端子電極3の底面に設けられた半田が基体2の底面にあふれないように注意するべきである。また、端子電極3の幅L1は実装強度が十分な長さを確保するべきである。
【0037】
端子電極3に導電膜を施す場合には、銅、銀、金、ニッケル、チタン、パラジウム等の導電材料の導電膜を単層乃至複数積層することで、導電性を有する表面が形成され、電極として電気的接続が可能となる。導電膜はめっきで形成されてもよく、印刷、蒸着やペーストなどの方法で形成されてもよい。また、めっきで形成する場合には、無電解めっきを施した上で電界めっきを施すことで容易にめっき形成を実現することができる。
【0038】
導電性可溶体4は基体2の上面に形成される。もちろん基体の側面に形成されても良い。導電性可溶体4は、銅、銀、金、ニッケル、チタン、パラジウムなどの導電材料を印刷、蒸着、めっきやペーストなどをもちいて基体2上に形成する。あるいは金属線により形成してもよい。なお、導電性可溶体4は端子電極3の表面に形成される導電膜と一体で形成されても良いし、別に刑した後に接触部を溶融接続させて電気接続させても良い。また導電性可溶体4と端子電極3表面の導電膜の材料や膜構造は同一であっても良いし、別であっても良い。ここで、導電性可溶体4は端子電極3と電気接続されているので、端子電極3を介して電流が流れるようになっている。また、導電性可溶体4は端子電極3に近づくにつれその幅を広げ、中央付近で狭くすることで中央付近での溶断を容易にすることも好適である。もちろん、ほぼ一定の幅をもって形成してもよい。なお、溶断部6の部分には溶融した導電性可溶体4や混合体5の逃げ道となる空間が確保されていることが好ましい。特に保護膜7により密閉されている場合には必要である。更に、混合体5には金属より融点の低い非金属が先に溶融することが溶断部6の溶断の前提ステップであるから、溶融したりガス化したりした非金属の逃げ道となる空間の確保が必要となる。保護膜7にガス抜き穴を設けたり、溶断部6周辺の基体2に窪み部分を設けたりしておくことなどで解決される。
【0039】
混合体5は金属と非金属からなる混合体であり導電性可溶体4の表面に接触するように接合されており、印刷、めっき、蒸着、ペースト塗布、貼り合わせなどにより接合される。例えば非金属のペーストに金属微粒子が含まれるゲル状の混合体5などである。ここで、混合体5に含まれる非金属の融点は含まれる金属の融点よりも低いことが必要である。後述するが、導電性可溶体4の温度が上昇することで混合体5内部の非金属が溶融、蒸発し、混合体5内部の金属が導電性可溶体4と接触して導電するようになることで、溶断部6での溶断が実現されるからである。なお、混合体5は導電性可溶体4上部の全面に渡って接合されてもよいが、溶断部6付近にのみ接合されるほうが望ましい。溶断部6においてのみ混合体5に含まれる金属が導電性可溶体4と接すれば十分だからである。なお、混合体5に用いられる非金属ペーストなどは、100度程度以上の融点を持っているものである必要がある。
【0040】
なお、混合体5に含まれる金属はビスマスやすず、鉛、バリウムなどがあるが、導電性可溶体4を構成する金属と混合体5にふくまれる金属からなる合金の融点が、導電性可溶体4を構成する金属単体の融点よりも低くなる組み合わせが望ましい。例えば、導電性可溶体4を構成する金属が銀で、混合体5に含まれる金属がビスマスの時にはこれらの合金の融点は262度であり、銀単体の融点962度よりも低い。これにより導電性可溶体4を電流が流れて温度が上昇したときには、混合体5が接合されている溶断部6が他の部分よりはるかに先に溶融するので、溶断部6において溶断されることが実現される。なお、導電性可溶体4が銀で、混合体5に含まれる金属がすずやバリウム、マグネシウムなどであっても、合金の融点のほうが銀単体よりも低いため、同様の効果が得られる。
【0041】
保護膜7は溶断部6に対する物理的衝撃に対する保護や酸化防止、湿気や光などからの保護のために設けられるものであり、プラスチック樹脂やシリコン樹脂、シリコンゴムなどが用いられる。また、保護膜7を設ける前に松脂などのフラックスを施すことも好適である。フラックスにより溶断速度が向上するメリットがあるからである。
【0042】
なお、導電性可溶体4と混合体5は基体2の上部表面に形成されるだけでなく、側面に形成されてもよく、基体2内部に形成されてもよい。基体2側面に形成された場合には、溶断部6が側面となるため溶融した金属が溶け落ちる空間が広く確保されているため、溶断が確実になるメリットがある。一方基体2内部に形成された場合には外部からの物理衝撃や環境衝撃に強くなるメリットがある。但し、内部に設ける場合には溶融する金属や混合体5中の非金属の逃げ場を確保しておく必要がある。
【0043】
次に、本発明に係る回路保護素子の動作について図2を用いて説明する。
【0044】
8は非金属ペーストであり、9は金属微粒子である。混合体5は非金属ペースト8に金属微粒子9が含まれることで構成されている。なお、図2には表されていないが、混合体5の上面には保護膜7が存在していてもよい。
【0045】
10は端子ランド、11は合金形成部、12は溶断箇所、I1、I2は電流である。
【0046】
次に図3(a)〜図3(d)を用いて回路保護素子の溶断のメカニズムを説明する。
【0047】
図3(a)には通常の電流I1が流れている状態が表されている。まず通常状態では端子ランド10から入力した電流I1が導電性能を有する導電性可溶体4を流れて、端子電極3から出力される。このとき、補助可溶体である混合体5は非金属ペースト8の部分が導電性可溶体4の表面と接しており混合体5にはほとんど電流I1が流れていない。
【0048】
図3(b)には、電流I1が大きくなるにつれ混合体5の非金属ペースト8が溶融、もしくは蒸散して金属微粒子9が導電性可溶体4と接している状態が表されている。電流I1が大きくなるにつれて導電性可溶体4は自己発熱し、発熱が一定以上になると金属微粒子9や導電性可溶体4よりも融点の低い非金属ペースト8のみが溶融して周囲に流れ出す。もしくは蒸散する。これにより非金属ペースト8に囲まれていたために、導電性可溶体4に接することの無かった金属微粒子9が導電性可溶体4の表面と接する状態が生じる。結果として金属微粒子9と導電性可溶体4表面の金属により合金形成部11に合金が形成される。合金が形成されることで、電流I1は導電性可溶体4と合金形成部11を流れるようになる。この時、導電性可溶体4が銀や銅などの場合には、合金形成部11に現れる合金相は銀や銅単体部分より高抵抗となる。また、合金形成部11が発生することで、合金形成部11周辺の導電性可溶体4に用いられていた銀や銅などの単体部分の体積が減少してこの単体部分の抵抗も上昇することになる。このため高抵抗となった合金形成部11とその周辺の発熱量が増加する。すなわち、合金形成がなされることで、形成された部位の抵抗が上昇することになり、溶断に必要な温度上昇が容易に行われることになる。
【0049】
図3(c)には、合金形成部11を流れる電流I1が更に増加して合金形成部11とその周辺の温度が上昇している状態が表されている。このとき、合金形成部11に形成された合金は、例えば導電性可溶体4に銀が用いられており、金属微粒子9がビスマスである場合には、その合金の融点は262度であり、銀単体の融点962度よりも十分に低い。このため、電流I1の増加に伴い発熱が上昇すると合金形成部11が導電性可溶体4の他の部分よりも先に融点に達することになる。
【0050】
図3(d)には、温度上昇が合金形成部11の融点に達した結果、導電性可溶体4の溶断部7が溶断した状態が表されている。導電性可溶体4は合金が形成された合金形成部11が最初に溶断するため、溶断箇所12において溶断することになる。
【0051】
以上の動作により、回路保護素子は断線状態になるので電流の通電が遮断され、回路保護素子1に接続されるLSIなどが過電流により破壊や故障されることが防止される。
【0052】
このとき、本発明の回路保護素子では溶断部7には導電性可溶体4と金属微粒子9による合金形成がなされるので、抵抗値は低いままに抑えることが可能である。更に、100度程度の温度状態が続いたとしても、混合体5の非金属ペースト8はまだ溶融したり蒸散したりすることがないので、合金形成が行われず、最初から導電性可溶体4に直接金属板などを接合させて合金を形成させておく従来の方式のような抵抗の上昇といった問題も生じない。すなわち、周辺環境変化による性能劣化などが生じず、耐久性に優れた長寿命の回路保護素子を提供できるメリットがある。これはとりもなおさず回路保護素子を組み込む電子機器の性能向上と耐久性向上につながり、結果として長寿命化が達成されることになる。なお、混合体5の非金属ペースト8は100℃以上の温度に対して溶融・蒸散しない、例えば比較的分子量の大きいものを選んでおかなければならないことは当然である。
【0053】
次に、図4を用いて有機金属化合物を用いた場合の回路保護素子について説明する。
【0054】
13は有機金属化合物であり補助可溶体を構成するものであり、導電性可溶体4の表面に接触するように接合されている。接合には塗布ペーストや蒸着、印刷、めっきなどの方法が用いられる。なお、有機金属化合物13は導電性可溶体4の溶断部6となる一部分のみに接合させてもよいし、導電性可溶体4の全面に渡って接合させてもよい。ここで、有機金属化合物とは、混合体5と異なり非金属である有機物元素と金属元素との化合物であり、ナフテン酸やオクチル酸をベースにビスマスやバリウムなどの金属原子を化合させたいわゆる金属石鹸などである。ナフテン酸などを構成する炭素原子や水素原子のバリウム原子などが結合した化合物である。このような有機金属化合物13を用いることの特徴としては、金属原子が非金属の炭素原子や水素原子と結合しているために、有機金属化合物13が導電性可溶体4表面に接合されていても、有機金属化合物13には直接電流がほとんど流れないことである。なお、有機金属化合物13にはビスマスやバリウムのみならず、すず、鉛、マグネシウム、金、銀、ゲルマニウム、パラジウムなどの金属原子を、ナフテン酸やオクチル酸などに結合させた化合物であってもよく、金属原子が異なる場合には、有機金属化合物13に含まれる金属原子と導電性可溶体4に用いられる金属とによる形成される合金の融点が異なるという相違がある。このとき、有機金属化合物13に含まれる金属と導電性可溶体4に用いられる金属とでは、その金属の組み合わせにより形成される合金の融点が、導電性可溶体4に用いられる金属単体の融点よりも低くなる組み合わせとすることが好適である。なお、有機金属化合物13は100度程度以上の融点を持っているものである必要がある。
【0055】
また、図1の場合と同じく有機金属化合物13の上に松脂などのフラックスを施したり、溶断部6に保護膜7を設けたりすることも好適である。更に後で述べるが、有機金属化合物13の有機物が分解した際の逃げ道を確保しておくことが望ましい。保護膜7にガス抜き用の穴を設けたり、溶断部6周辺の基体2表面に窪みをつけて逃げ道の確保としたりするなどが望ましい。
【0056】
次に、図5(a)〜(d)を用いて回路保護素子1の溶断のメカニズムについて説明する。14は分解された有機物、15は金属、16は合金形成部、17は溶断箇所である。
【0057】
図5(a)には、通常の電流通電状態の場合が表されている。補助可溶体を構成する有機金属化合物13が導電性可溶体4の上面に接合されている。図5には表していないが、保護膜7で覆われていてもよい。電流I1は端子ランド10から端子電極3を通じて、導電性可溶体4を流れる。電流I1が一定範囲内であれば導電性可溶体の温度上昇は一定範囲に収まっている。このとき導電性可溶体4に直接接する有機金属化合物13の金属原子はほとんどないため、有機金属化合物13にはほとんど電流I1は流れていない。このため、導電性可溶体の抵抗は低いままに保たれている。
【0058】
図5(b)には、電流I1が増加し有機金属化合物の有機物が分解された状態が表されている。電流I1が増加することで、導電性可溶体4の温度が上昇する。導電性可溶体4の温度が一定の温度を超えると有機金属化合物13の有機物が分解する。具体的にはナフテン酸やオクチル酸を構成する炭素原子や水素原子などが熱により分解されガス化などする。ガス化した有機物は分解された有機物14として、元々の有機金属化合物13の存在していた場所から離散する。結果として、有機金属化合物13に含まれていた金属15のみが残る状態になる。この結果、金属15と導電性可溶体4に用いられる金属との間で合金形成が始まり、合金が形成される。
【0059】
図5(c)は、合金が形成された状態が表されている。合金形成部16は導電性可溶体4の一部に形成され、電流I1が流れるようになる。電流I1が増加すると導電性可溶体4の温度が上昇する。この時、導電性可溶体4が銀や銅などの場合には、合金形成部16に現れる合金相は銀や銅単体部分より高抵抗となる。また、合金形成部16が発生することで、導電性可溶体4に用いられていた銀や銅などの単体部分の体積が減少してこの単体部分の抵抗も上昇することになる。このため高抵抗となった合金形成部16とその周辺の発熱量が増加する。すなわち、合金形成がなされることで、形成された部位の抵抗が上昇することになり、溶断に必要な温度上昇が容易に行われることになる。
【0060】
抵抗が上昇することで温度上昇が効果的に促されるが、合金形成部16は導電性可溶体4に用いられている単体の金属より融点が低く、更に合金形成部16は抵抗値も高くなるため、温度上昇により他の部分よりも溶断しやすい条件が整うことになる。例えば、導電性可溶体4に用いられている金属が銀で、有機金属化合物13に用いられている金属がビスマスの時には、形成される合金の融点は262度であり、銀単体の融点962度よりも十分に低いため合金形成部16が先に溶断発生しうる状態となる。
【0061】
図5(d)は導電性可溶体4が溶断した状態が表されている。合金形成部16が溶断することで、導電性可溶体4が溶断箇所17において断線する。断線した結果、導電性可溶体13が分割され、電流I1の通電が遮断される。
【0062】
以上より、回路保護素子に接続されるLSIなどが過電流から保護されることになる。
【0063】
ここで、本発明の回路保護素子の従来の保護素子に対する利点について説明する。
【0064】
従来の技術で説明した導電性可溶体4のみで形成された回路保護素子では、短い溶断時間を実現するためにその抵抗を高く設計する必要があり、導電性可溶体4の溶断部6での幅を狭くするなどの設計が必要となっていた。このため耐久性などが劣る。
【0065】
これに対して本発明の回路保護素子では溶断部7には導電性可溶体4と有機金属化合物13に含まれる金属による合金形成により、抵抗値が高くなり融点も低くなるため溶断時間を短くできる利点がある。よってあらかじめ高抵抗となる構造をとる必要がなくなり、設計の容易性と耐久性の向上が図られるメリットがある。
【0066】
次に、従来の技術で説明した補助可溶体に半田やすずなどの金属を用いた回路保護素子では、100度程度の高温状態が続くとその接触部で合金が形成され、抵抗値が上昇する。これにより所定の仕様未満の電流値で溶断するなどの問題がある。すなわち、周辺環境の変化に対する性能劣化が大きく、耐久性、耐候性が悪く、低寿命というデメリットがある。これらは回路保護素子を組み込む電子機器の修理コストなどにも悪影響がある。
【0067】
これに対して、補助可溶体に有機金属化合物13や混合体5を用いた場合には、100度程度の高温状態が続いても、接触部分で合金形成がなされない。
【0068】
図6を用いて従来との比較について説明する。1bは導電性可溶体4に金属を補助可溶体として接合させる従来の方式の回路保護素子であり、13bは金属(図6では半田)を用いた補助可溶体であり、導電性可溶体4(図6では銀)の上面に塗布されている。16bは合金形成部である。従来の方式の回路保護素子1bは100度程度の高温状態(現在の高速動作の多い電子機器では頻発すると思われる)では接触部に合金形成部16bが発生する。このため、抵抗値が上昇し、所定の仕様の電流値を下回る電流値で溶断することが発生する。一方、有機金属化合物13を用いた本発明に係る回路保護素子1では、100度程度の高温状態ではいまだ有機物は分解せず、有機金属化合物13に含まれる金属は導電性可溶体4に用いられている銀と接触せず、合金が形成されない。このため、高温状態が長く続いても抵抗値が上昇することはなく、所定の仕様の電流値を下回る電流値で溶断する問題がない。もちろん、一定以上の電流が発生して初めて有機金属化合物13と導電性可溶体4の金属との間で化合物が形成され、その時点から溶断プロセスが開始されるので、LSIなどの保護という回路保護素子の目的は十分に達成される。なお、有機金属化合物13は100℃以上の温度に対して溶融・蒸散しない、有機化合物を選んでおかなければならないことは当然である。
【0069】
次に、本発明の回路保護素子の作用効果を明示する実験結果について説明する。
【0070】
(表1)は導電性可溶体4に銀を用いた回路保護素子であり、素子タイプAは導電性可溶体4のみで構成された回路保護素子、素子タイプBは導電性可溶体4に半田を用いた補助可溶体を接合させて構成された回路保護素子、素子タイプCは導電性可溶体4にオクチル酸ビスマスである有機金属化合物(金属石鹸)を接合させて構成された回路保護素子である。表には抵抗値と溶断電流と溶断時間が記載されている。(表1)から明らかな通り素子タイプC(すなわち本発明に係る回路保護素子)が同一の溶断電流に対して溶断時間が最も短いことが分かる。
【0071】
【表1】
Figure 2004342544
【0072】
(表1)をグラフ化したものが図12である。
【0073】
図12は(表1)をグラフ化した図である。
【0074】
図12から分かるとおり、抵抗値が等しい3種類の回路保護素子において、素子タイプCの溶断性能が、タイプAより低電流側で溶断しており、タイプBのものとほぼ同等の値を示している。このグラフからも明らかな通り、補助可溶体に半田等の低融点金属を用いた回路保護素子と同等の溶断性能を示している。
【0075】
図13は高温状態が長く続いた場合の性能劣化を示すグラフである。
【0076】
タイプ1は補助可溶体を用いない回路保護素子であり、タイプ2は補助可溶体にすずを用いた場合であり、タイプ3は補助可溶体に有機金属化合物を用いた場合である。タイプ1は補助可溶体がないために合金が形成されることは当然にないので、抵抗値の変化はほとんどない。一方、タイプ2は高温状態が続くことで接触部に合金が形成されて抵抗値が上昇していくことが分かる。一方、有機金属化合物であるタイプ3は120度程度の高温状態では合金形成がなされないために、抵抗値の変化はほとんど生じない。すなわち、環境変化による性能劣化という問題のない耐久性、耐候性に優れた回路保護素子であることが分かる。
【0077】
以上の実験結果から、本発明に係る回路保護素子は、補助可溶体を用いない場合に比べて溶断時間が非常に短いという溶断性能を有し、補助可溶体に通常の金属を用いる場合と同等の溶断性能を維持しつつ、補助可溶体に通常の金属を用いる場合に比べて性能維持性、耐久性、耐候性に優れているという利点を有していることが明確である。
【0078】
以上のように、本発明に係る回路保護素子は、周辺環境変化による性能劣化などが生じず、耐久性、耐候性に優れた長寿命のものである。これはとりもなおさず回路保護素子を組み込む電子機器の性能向上と耐久性向上につながり、結果として電子機器の長寿命化が達成されることになる。
【0079】
なお、本発明の回路保護素子1の代表的な大きさとして、長さをL1、幅をL2、厚さをL3とすると、
0.6mm≦ L1 ≦3mm
0.3mm≦ L2 ≦1.5mm
0.1mm≦ L3 ≦1.5mm
が考えられる。もちろんこれ以外のサイズのものであっても同様である。
【0080】
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2における回路保護素子の構成図である。
【0081】
18は回路保護素子であり、19は端子電極、20は基体に設けられた導電膜、21は補助可溶体、22は溝、23は狭域部、24は保護膜である。補助可溶体21は実施の形態1で説明した混合体5であっても、有機金属化合物13であってもよい。
【0082】
回路保護素子18は、実施の形態1で説明したのと同じように、アルミナもしくはアルミナを主成分とするセラミック材料等の絶縁体もしくは誘電体などをプレス加工、押し出し法等を施して形成される。あるいはセラミック材料などからなる積層シートを複数重ねた上で焼結させることで基体2が形成された後に(あるいは端子電極の基礎部分まで一体として形成された後に)、その表面に導電膜20が施される。導電膜20は、金、銀、銅、ニッケル、すず、パラジウム、チタンなどがスパッタリングなどによる蒸着やめっき、塗布などにより形成される。端子電極19表面にも同様に金、銀、銅、ニッケルなどが蒸着、めっき、塗布などが行われる。なお、基体2と端子電極19は一体で形成してもよく、個別に形成した後に嵌合や接着により一体化させてもよい。また基体部の導電膜20と端子電極19の表面の導電膜は同一に形成させてもよく、個別に形成させてもよい。溝22はレーザートリミングなどにより表面の導電膜20を切り取って形成され、基体の絶縁体まで達するように導電膜20が剥ぎ取られる。この溝22により導電膜20上に狭域部23が形成され、この狭域部23は抵抗値が高くなり、過電流の通電により溶断しやすくなる箇所となる。すなわち、実施の形態1では基体表面に導電性可溶体を形成して溶断部を構成したが、実施の形態2に係る回路保護素子は、導電膜20に狭域部23が作られることで溶断部が構成される。補助可溶体21は狭域部23の表面に接合される。保護膜24を設けることで耐衝撃性や耐候性を向上させることができるが、混合体や有機金属化合物の非金属ペーストや有機物の分解時の逃げ道を確保しておくことが望ましい。もちろん、耐衝撃性などの要求がそこまで強くない場合には製造コストとのバランスなどから保護膜24を設けなくてもよい。
【0083】
次に、回路保護素子18の溶断のメカニズムについて説明する。
【0084】
端子電極19の一方から入力した電流は導電膜20を流れて他方の端子電極19から出力して、回路保護素子18に接続される他の電子部品へと出力される。流れる電流が一定以下の状態では、実施の形態1で図3、図5を用いて説明したように、補助可溶体21が混合体や有機金属化合物である場合には、補助可溶体にまだ電流がほとんど流れない。次に、電流が増加すると狭域部23では抵抗が高くなるために発熱が始まる。発熱した結果混合体に含まれる非金属の溶融や、有機金属化合物に含まれる有機物の分解が生じ始める。これらが生じた結果、混合体や有機金属化合物に含まれる金属が導電膜20に用いられる金属と接触し合金が形成される。合金部は抵抗が高くなり更に融点も低下するため、溶断しやすい状態になる。次いで電流が更に上昇すると合金部で溶断が発生して、電流が遮断され、接続されるLSIなどを過電流から保護することが可能となる。
【0085】
以上の補助可溶体に混合体や有機金属化合物を用いる回路保護素子により、あらかじめ低抵抗での設計が可能となる。更に、通常状態で合金が形成されることがないので、抵抗の増加などの性能劣化もなく、周辺環境変化に対する耐久性と、性能維持性能に優れている。この回路保護素子を組み込むことにより、電子機器の保護はもちろんのこと、電子機器の長寿命化などが達成される。
【0086】
(実施の形態3)
図8は本発明の実施の形態3における電子基板の構成図である。
【0087】
25は電子基板、26は回路保護素子、27は駆動源、28は処理装置であり例えばLSIである。
【0088】
駆動源27から発生される信号電流は、電子基板25に形成された基板パターンを通じて回路保護素子26に入力する。回路保護素子26を通過した信号電流は処理装置28に入力する。このとき駆動源27の誤動作や他の電子部品での誤動作などで過電流が発生することがありうる。発生した過電流が処理装置28に直接入力すると、処理装置28の破壊や故障につながる恐れがある。しかし、回路保護素子26は過電流が発生した場合には、実施の形態1と2で説明したとおり導電性可溶体が溶断して電流を遮断して処理装置28を保護する。
【0089】
このとき金属と非金属の混合体や有機金属化合物からなる補助可溶体により、周辺環境の変化に対する性能劣化が生じず、耐久性や耐候性に優れている。このように回路保護素子26が耐久性に優れているため、処理装置28の長期間にわたる保護が実現され、結果として電子基板の長寿命化も実現される。
【0090】
(実施の形態4)
図9は本発明の実施の形態4における電子機器の構成図である。電子機器の一例としてノートブック型パソコンを例に説明する。
【0091】
30はノートブック型パソコン、31は上部筺体、32は下部筺体、33は表示面、34はキーボード、35は電子基板、36は回路保護素子である。上部筺体31は表示面33とその制御回路を格納し、下部筺体32はCPUなどの載った電子基板35などを格納してキーボード34がその表面に搭載される。電子基板35はCPUなどをはじめとした処理装置や各種LSIが搭載されており、バッテリーから電源が供給され、電子基板35上を信号電流が流れている。回路保護素子36はCPUなどへの電流入力側に接続される。電子基板35に過電流が生じた場合には、回路保護素子36は実施の形態1と2で説明したように溶断し、電流を遮断してCPUなどを過電流から保護する。ノートブック型パソコン30などでは、低消費電力化が進んでいるため、CPUなどは過電流に対してデリケートであり、定格電流の低い状態でも適切に過電流から保護される必要がある。このため実施の形態1と2で説明した回路保護素子36を用いることで、このような状態でも適切にCPUなどを過電流から保護することが可能となる。
【0092】
以上のように、ノートブック型パソコン30に搭載されたCPUなどを、過電流から適切に保護することができ、更に回路保護素子36は性能維持性、耐久性などに優れているので回路保護素子36の余分な交換も生じず、修理コストや交換コストも低減できる。
【0093】
なお、実施の形態4では電子機器の例としてノートブック型パソコン30を例に説明したが、携帯電話やPDAなどの携帯端末などであっても同様である。
【0094】
【発明の効果】
以上のように、本発明では溶断部に合金を形成することが可能となり、合金形成によって高抵抗化、低融点化が可能となり短い時間で溶断が可能となり、溶断性能を向上させることができる。このため、当初から低抵抗での設計が可能となるため、素子構造の衝撃耐久性などが向上する効果がある。
【0095】
更に、補助可溶体に塗布金属ではなく、混合体や有機金属化合物を用いることで、高温状態の続行による不要な合金化や高抵抗化が生じず、性能劣化も生じない。すなわち、所定の仕様未満での電流値で溶断するなどの不具合が発生することがなくなり、耐久性、耐候性に優れ、回路保護素子の寿命が長くなる効果がある。また、混合体や有機金属化合物に含まれる金属は外気に直接触れないために酸化することも少なく、酸化による性能劣化も生じさせない。
【0096】
また、回路保護素子の長寿命化の結果、LSIなどが適切に過電流から保護されることになり、電子基板や電子機器などの長寿命化につながる効果がある。更に、回路保護素子の耐久性が高いことで交換コストや修理コストなどの削減も可能となり、電子機器の維持費用の低減という効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における回路保護素子の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における回路保護素子の断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図
(b)本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図
(c)本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図
(d)本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図
【図4】本発明の実施の形態1における回路保護素子の斜視図
【図5】(a)本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図
(b)本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図
(c)本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図
(d)本発明の実施の形態1における回路保護素子の動作メカニズム図
【図6】合金形成に関する従来との比較図
【図7】本発明の実施の形態2における回路保護素子の構成図
【図8】本発明の実施の形態3における電子基板の構成図
【図9】本発明の実施の形態4における電子機器の構成図
【図10】従来の技術における回路保護素子の斜視図
【図11】従来の技術における回路保護素子の斜視図
【図12】表1をグラフ化した図
【図13】高温状態が長く続いた場合の性能劣化を示すグラフ
【符号の説明】
1、1b 回路保護素子
2 基体
3 端子電極
4 導電性可溶体
5 混合体
6 溶断部
7 保護膜
8 非金属ペースト
9 金属微粒子
10 端子ランド
11、16、16b 合金形成部
12、17 溶断箇所
13 有機金属化合物
13b 補助可溶体
14 分解された有機物
15 金属
18 回路保護素子
19 端子電極
20 導電膜
21 補助可溶体
22 溝
23 狭域部
24 保護膜
25 電子基板
26 回路保護素子
27 駆動源
28 処理装置
30 ノートブック型パソコン
31 上部筺体
32 下部筺体
33 表示面
34 キーボード
35 電子基板
36 回路保護素子
100、105 回路保護素子
101、106 基体
102、107 端子電極
103、108 導電性可溶体
104 溶断部
109 補助可溶体

Claims (14)

  1. 基体と、
    前記基体に設けられた導電性可溶体と、
    前記基体の両端に設けられ前記導電性可溶体を介して電気接続された端子電極を有する回路保護素子であって、
    前記導電性可溶体に用いられる金属と合金を形成する少なくとも一種類以上の金属と非金属からなる混合体を有する補助可溶体とを有し、
    前記補助可溶体が前記導電性可溶体の少なくとも一部に接触することを特徴とする回路保護素子。
  2. 前記混合体に含まれる金属と非金属において、金属の融点が非金属の融点より高いことを特徴とする請求項1に記載の回路保護素子。
  3. 前記混合体が、非金属ペーストに金属微粒子が含まれるゲル状体であることを特徴とする請求項1乃至2いずれか1に記載の回路保護素子。
  4. 基体と、
    前記基体に設けられた導電性可溶体と、
    前記基体の両端に設けられ前記導電性可溶体を介して電気接続された端子電極を有する回路保護素子であって、
    前記導電性可溶体の金属元素と合金を形成する少なくとも一種類以上の金属元素を含む有機金属化合物からなる補助可溶体を有し、
    前記有機金属化合物からなる補助可溶体が前記導電性可溶体の少なくとも一部に接触することを特徴とする回路保護素子。
  5. 前記導電性可溶体に用いられる金属元素と前記有機金属化合物に含まれる金属元素から形成される合金が該導電性可溶体よりも低融点となるように、導電性可溶体の金属元素と有機金属化合物の金属元素を組み合わせることを特徴とする請求項4に記載の回路保護素子。
  6. 前記有機金属化合物が金属石鹸であることを特徴とする請求項4乃至5いずれか1に記載の回路保護素子。
  7. 前記金属石鹸がオクチル酸ビスマスであることを特徴とする請求項6に記載の回路保護素子。
  8. 前記金属石鹸がオクチル酸すずであることを特徴とする請求項6に記載の回路保護素子。
  9. 前記金属石鹸がオクチル酸ビスマスもしくはオクチル酸すずのいずれかであり、前記導電性可溶体の金属元素の少なくとも一部に銀が用いられることを特徴とする請求項5に記載の回路保護素子。
  10. 前記補助可溶体が前記導電性可溶体の溶断部位にのみ接合されることを特徴とする請求項1〜9いずれか1記載の回路保護素子。
  11. 表面に導電膜が設けられた基体と、
    前記導電膜の一部に設けられた狭域部と、
    前記基体の両端に設けられ前記基体の導電膜を介して電気接続された端子電極を有する回路保護素子であって、
    前記基体の導電膜の金属元素と合金を形成する少なくとも一種類以上の金属元素を含む有機金属化合物からなる補助可溶体を有し、
    前記有機金属化合物からなる補助可溶体が前記狭域部に接触することを特徴とする回路保護素子。
  12. 請求項1〜11いずれか記載の回路保護素子と、前記回路保護素子と他の電子部品が実装された電子基板。
  13. 請求項1〜11いずれか1記載の回路保護素子と、
    前記回路保護素子と電気的接続される処理装置と、
    前期処理装置に電圧を与える駆動源と、
    これらを格納する筺体を有することを特徴とする電子機器。
  14. 前記電子機器がノートブック型パソコンであることを特徴とする電子機器。
JP2003140153A 2003-05-19 2003-05-19 回路保護素子 Withdrawn JP2004342544A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003140153A JP2004342544A (ja) 2003-05-19 2003-05-19 回路保護素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003140153A JP2004342544A (ja) 2003-05-19 2003-05-19 回路保護素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004342544A true JP2004342544A (ja) 2004-12-02

Family

ID=33528953

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003140153A Withdrawn JP2004342544A (ja) 2003-05-19 2003-05-19 回路保護素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004342544A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006237008A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Cooper Technol Co 低抵抗ヒューズおよび低抵抗ヒューズを製造する方法
JP2009527799A (ja) * 2006-02-22 2009-07-30 テイラー−リスタグ、インク 楽器の弦アース回路遮断器
JP2009199880A (ja) * 2008-02-21 2009-09-03 Sumitomo Wiring Syst Ltd ヒュージブルリンク
WO2012144578A1 (ja) * 2011-04-22 2012-10-26 双信電機株式会社 電力用ヒューズ
JP2016513869A (ja) * 2013-03-27 2016-05-16 深▲セン▼市華星光電技術有限公司 Ledバックライト駆動回路及びバックライトモジュール
JP5939311B2 (ja) * 2013-01-11 2016-06-22 株式会社村田製作所 ヒューズ
JPWO2014034287A1 (ja) * 2012-08-29 2016-08-08 株式会社村田製作所 ヒューズ
JP2021077567A (ja) * 2019-11-12 2021-05-20 ジンヨングローバル カンパニーリミテッド ヒューズ素子、フレキシブル配線基板及びバッテリーパック

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006237008A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Cooper Technol Co 低抵抗ヒューズおよび低抵抗ヒューズを製造する方法
JP2009527799A (ja) * 2006-02-22 2009-07-30 テイラー−リスタグ、インク 楽器の弦アース回路遮断器
JP2009199880A (ja) * 2008-02-21 2009-09-03 Sumitomo Wiring Syst Ltd ヒュージブルリンク
WO2012144578A1 (ja) * 2011-04-22 2012-10-26 双信電機株式会社 電力用ヒューズ
JP2012227077A (ja) * 2011-04-22 2012-11-15 Soshin Electric Co Ltd 電力用ヒューズ
JPWO2014034287A1 (ja) * 2012-08-29 2016-08-08 株式会社村田製作所 ヒューズ
JP5939311B2 (ja) * 2013-01-11 2016-06-22 株式会社村田製作所 ヒューズ
JP2016513869A (ja) * 2013-03-27 2016-05-16 深▲セン▼市華星光電技術有限公司 Ledバックライト駆動回路及びバックライトモジュール
JP2021077567A (ja) * 2019-11-12 2021-05-20 ジンヨングローバル カンパニーリミテッド ヒューズ素子、フレキシブル配線基板及びバッテリーパック

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI398894B (zh) Protection element
US20110068889A1 (en) Thermal fuse element, thermal fuse and battery using the thermal fuse
WO2015052923A1 (ja) 電流ヒューズ
US20100245024A1 (en) Protective element
JP2005026036A (ja) ヒューズおよびヒューズ製造方法
JP6371118B2 (ja) 保護素子、及びバッテリパック
US20220319792A1 (en) Protection element
JPH08161990A (ja) 保護素子及びその製造方法
WO2004070758A1 (ja) 保護素子
JP2004342544A (ja) 回路保護素子
KR20230022131A (ko) 솔더 링크 및 디웨팅 기판이 있는 표면 장착 퓨즈
JP4802861B2 (ja) サージアブソーバ
WO2017163766A1 (ja) 保護素子
CN110741457B (zh) 保护元件
JP2007317541A (ja) サージアブソーバ
JP6869309B2 (ja) 電力変換装置および電力変換装置一体型回転電機
JP2011249177A (ja) ヒューズ装置および回路基板
JP2005123516A (ja) ヒューズ機能付きコンデンサモジュール
JP6711704B2 (ja) バイパス電極付き保護素子
JP2006031991A (ja) 回路保護素子
JP7344857B2 (ja) 保護素子
CN220796639U (zh) 保护元件
JP2010282859A (ja) 回路保護素子
TWM653402U (zh) 保護元件
JPH0622093B2 (ja) 基板型温度ヒューズ・抵抗体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060517

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20060613

A761 Written withdrawal of application

Effective date: 20070807

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761