JP2004341439A - 断熱スリーブ、これを用いた定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

断熱スリーブ、これを用いた定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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淳 澤村
Kimiharu Inaba
公春 稲葉
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竹士 大越
Hideki Sato
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Abstract

【課題】加熱ローラ軸部と軸受部材との間に断熱スリーブを介在した定着装置において、加熱ローラの熱膨張によるストレスや、断熱スリーブと加熱ローラ軸部との間のすべりに起因した異常音の発生を防止する。
【解決手段】ヒートローラ14の軸部12に、周方向に長方形状の凹状部22を設ける。断熱スリーブ24には、周方向に沿ってスリット26を設け、このスリット26の近傍における回転方向上流側に、周方向に長方形状の係合突起28を設ける。断熱スリーブ24を軸部12に装着する際には、スリット26を拡開して軸部12に嵌め込み、係合突起28を凹状部22に係合させることにより断熱スリーブ24が軸部12に回り止め状態で装着される。これにより、係合突起28に対して回転方向に作用する力が断熱スリーブ24のスリット26を締める方向に働き、断熱スリーブ24と軸部12との間のすべりが防止される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置、この画像形成装置に用いられる定着装置、およびこの定着装置に用いられる断熱スリーブに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真方式を採用した複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、感光体ドラムの表面を帯電装置によって一様に帯電した後、感光体ドラムの表面に像光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置によって現像してトナー像を形成する。そして、トナー像を用紙上に転写した後、この用紙上のトナー像を定着装置によって加熱及び加圧して定着させることにより、画像を形成するように構成されている。
【0003】
上記定着装置は、内部にヒーターを内蔵した加熱ローラと、この加熱ローラに用紙を圧接する加圧ローラとを備えている。そして、加熱ローラと加圧ローラとの間に、トナー像を担持した用紙を通過させ、トナー像を加熱及び加圧により溶融して用紙上に定着させるように構成されている。
【0004】
このような定着装置では、プロセススピードを速くして加熱温度を高温に設定した場合に、ヒーターの消費電力を抑えるために熱効率の向上を追及する要請がある。そのため、例えば図8に示すように、内部にヒーター101を備えた加熱ローラ100の軸部102と、この加熱ローラ100を回転自在に支持するボールベアリング104との間に断熱スリーブ106を介在させ、加熱ローラ100の熱がボールベアリング104に伝わるのを防止するようにしている。
【0005】
また、断熱スリーブ106には、図9に示すように軸方向に沿ってスリット108を設け、加熱ローラ100の軸部102の熱膨張を吸収するようになっている(例えば特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−56020号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の定着装置では、加熱ローラ100の軸部102の熱膨張に対して断熱スリーブ106のスリット108が広がることにより、熱膨張を吸収することができるが、加熱ローラの軸部102と断熱スリーブ106との間にすべりが発生し、このすべりに起因して異常音が発生するという問題がある。
【0008】
このため、例えば図10に示すように、断熱スリーブ116の内周面に係合用のボス部117を設け、このボス部117を加熱ローラの軸部112の溝孔118に係合させて、加熱ローラの軸部112と断熱スリーブ116との間のすべりを防止するものが使用されている。
【0009】
この定着装置では、断熱スリーブ116と軸部112との間のすべりを防止しているため、異常音は発生しにくいが、加熱ローラの軸部112の熱膨張に対して断熱スリーブ116がストレスを受ける。また、加熱ローラ110内のヒーターによる熱が開口状の溝孔118から漏れてしまい、熱効率が悪くなるという問題もある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、加熱ローラの熱膨張によるストレスや、断熱スリーブと加熱ローラ軸部との間のすべりに起因した異常音の発生を防止し、熱効率を向上することができる断熱スリーブ、定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ヒーターが内蔵された加熱回転部材の軸部を回転自在に支持する軸受部材と、前記軸部との間に配置される断熱スリーブであって、周方向に拡開可能に分割されたスリットと、前記加熱回転部材の軸部に形成された被係合部と係合される周方向に長方形状の係合部と、を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載の断熱スリーブによれば、加熱回転部材の軸部が熱膨張しても断熱スリーブのスリットが広がり、断熱スリーブが機械的ストレスを受けることがない。さらに、係合部を周方向に対して長方形状に設けたので、せん断方向に対してせん断面積が広く、耐性が高くなり、係合部の許容せん断応力が大きくなる。また、係合部を周方向に対して長方形状に設けたので、軸方向の断熱スリーブの巾を小さくでき、省スペース化が可能となる。さらに、スリットを開いて係合部を加熱ローラ軸部に係合させることができるので、リング等の止め輪を使用する必要がなく、部品点数を削減でき、組み立てを簡略化できるとともに、コストダウンが可能となる。尚、ここでいう長方形状とは、周方向の長さと軸方向の長さとを比較したときに周方向の方が長いものをいい、矩形状のものは勿論、長丸状、楕円状等の形状も含むものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、内蔵されたヒーターによって加熱される加熱ローラと、前記加熱ローラの軸部に取り付けられた断熱スリーブと、前記断熱スリーブを回転自在に支持する軸受部材と、を備える定着装置において、前記断熱スリーブは、周方向に拡開可能に分割されたスリットと、前記スリットの近傍であって前記スリットより前記加熱ローラの回転方向上流側に形成され、前記加熱ローラの軸部に形成された被係合部と係合される周方向に長方形状の係合部と、を有することを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の定着装置によれば、加熱ローラの軸部が熱膨張しても断熱スリーブのスリットが広がり、断熱スリーブが機械的ストレスを受けることがない。また、断熱スリーブの係合部がスリットの近傍であって回転方向上流側に形成されているので、係合部に対して回転方向に作用する力は、断熱スリーブのスリットの間隔を狭め軸部へ締める方向に働く。また被係合部と係合部が係合しているので、加熱ローラを回転駆動しても、断熱スリーブが軸部に係合された状態が維持され、断熱スリーブと軸部とが擦れることがなく、異常音の発生を防止することができる。
【0015】
さらに、係合部を周方向に対して長方形状に設けたので、せん断方向に対してせん断面積が広く、耐性が高くなり、係合部の許容せん断応力が大きくなる。また、係合部を周方向に対して長方形状に設けたので、断熱スリーブの巾が小さく軸方向の省スペース化が可能となり、装置の小型化に寄与する。さらに、スリットを開いて係合部を加熱ローラ軸部に係合させることができるので、リング等の止め輪を使用する必要がなく、部品点数を削減でき、組み立てを簡略化できるとともに、コストダウンを図ることが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記軸部の被係合部は、凹形状に形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の定着装置によれば、加熱ローラ軸部の被係合部を凹形状としたので、従来のような開口状の溝孔を設けた場合と比較して加熱ローラ内部の熱が被係合部から漏れるのを防止することができ、熱効率を向上することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の構成において、前記加熱ローラは、前記ヒーターが内蔵された中空形状の円筒部と、前記円筒部の両端部を絞り加工した前記軸部とを備え、前記被係合部の近傍を除いて前記軸部及び前記円筒部の内周壁に黒塗り塗装が施されていることを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載の定着装置によれば、加熱ローラの内周壁(円筒部と軸部の内周壁)に黒塗り塗装を施すことにより、ヒーターの熱を効率的に加熱ローラに伝達することが可能となる。さらに、係合部の近傍をマスキング処理して黒塗り塗装が施されないようにすることで、係合部から熱が吸収されるのを防止することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項2乃至請求項4に記載の構成において、前記断熱スリーブが黒色以外の色で形成されていることを特徴としている。
【0021】
請求項5に記載の定着装置によれば、断熱スリーブが黒以外の色で形成されているので、断熱効果が高く、加熱ローラの熱を断熱スリーブが奪うのをより確実に防止できる。黒以外の色としては、熱を奪いにくい色が好ましく、白色が最も好ましい。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項2乃至請求項5に記載の構成において、前記係合部と前記被係合部の係合面を傾斜面とし、前記被係合部から前記係合部へ伝わる力を、前記断熱スリーブを外側へ拡開させる方向とすることを特徴としている。
【0023】
請求項6に記載の定着装置によれば、係合部に被係合部から回転方向の力が加わったときに、この力が傾斜面により断熱スリーブを外側へ押し拡げる方向に作用するので、軸受部材と断熱スリーブとが圧接され、軸受部材と断熱スリーブとの間のすべりに起因した異常音の発生を防止することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項2乃至請求項6の構成において、前記係合部は、前記断熱スリーブの巾方向において、前記加熱ローラの内側へ偏って設けられていることを特徴としている。
【0025】
請求項7に記載の定着装置によれば、断熱スリーブの巾方向において、加熱ローラの内側へ係合部が偏って設けられているので、軸部が短くなり、加熱ローラの軸方向の省スペース化が可能となる。このため、装置の小型化を実現できる。
【0026】
請求項8に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項2乃至請求項7に記載の定着装置を備えたことを特徴としている。
【0027】
請求項8に記載の画像形成装置によれば、請求項2乃至請求項7に記載の定着装置を備えているので、画像形成装置の駆動時に、加熱ローラの熱膨張によるストレスを防止して断熱スリーブ等の部品の破損を防止できる。これとともに、断熱スリーブと加熱ローラとのすべりに起因した異常音の発生を防止できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る断熱スリーブを用いた定着装置の第1実施形態を図1から図7に基づいて説明する。
【0029】
本実施形態の定着装置は、図4及び図7に示すように、画像形成装置本体200に対して脱着可能な定着ユニット10として構成されている。
【0030】
図5に示すように、定着ユニット10の内部には、所定の温度に加熱されるヒートローラ14と、このヒートローラ14に用紙を圧接する加圧ローラ16とを備えている。ヒートローラ14は、表面に低摩擦係数の離型層(膜厚30μmのPFAからなるチューブ)を設けた中空形状の芯金(肉厚0.5mm〜1.5mmの鉄またはアルミ素管)からなり、内部にランプヒーター18が配置されている。このランプヒーター18は、図2(a)に示すように、ヒートローラ14の中心よりは右側にオフセットされており、図示しない温度センサによって高めの温度が検出される。これにより、ヒートローラ14がオーバーヒートしないように制御している。
【0031】
また、ヒートローラ14の軸部12(後述)には、画像形成装置本体200の駆動ギア(図示せず)と噛み合い、ヒートローラ14に回転駆動力を伝達するヒートローラギア20がキー溝23に嵌め込まれている。一方、加圧ローラ16は、ステンレス又は鉄製の芯金に耐熱性の弾性体層(シリコーンスポンジ、アスカーC硬度40°)を備え、さらに表層に低摩擦係数の離型層(膜厚30μmのPFAからなるチューブ)が設けられている。
【0032】
図1〜図3に示すように、ヒートローラ14の両端部は絞り加工によって小径に成形され、軸部12となっている。この軸部12には、回り止め用のDカット24Aが形成された断熱スリーブ24を介して軸受部材としてのボールベアリング30(図5参照)が嵌合されている。この断熱スリーブ24は、ヒートローラ14の熱がより熱容量の大きいボールベアリング30に伝達して熱損失が生じるのを防止するために配置されるものである。
【0033】
ヒートローラ14の軸部12には、図1及び図2に示すように周方向に長方形状の凹状部22が設けられている。この凹状部22は、具体的にはヒートローラ管壁に絞り加工等で成形される。
【0034】
断熱スリーブ24には、周方向に沿ってスリット26が設けられており、このスリット26によって断熱スリーブ24が周方向に拡開自在に分割されている。また、図1に示すようにスリット26の近傍であって、スリット26よりヒートローラ14の回転方向上流側には、凹状部22よりもわずかに小さい寸法で成形された周方向に長方形状の係合突起28が設けられている。そして、図2(a)に示すように、係合突起28を凹状部22に係合させることにより、断熱スリーブ24が軸部12に回り止め状態で装着されるようになっている。
【0035】
この凹状部22は、図2(b)に示すように、係合突起28と回転方向に接する部分(係合突起28との係合面)が断熱スリーブ24の外周に向かって広がるような傾斜面22aとなっており、この形状に合わせて係合突起28にも傾斜面28aが形成されている。
【0036】
この断熱スリーブ24は、例えばポリイミド樹脂等の耐熱性の合成樹脂によって一体的に成形されている。また、断熱スリーブ24は白色に調色されており、ヒートローラ14の熱を奪いにくくしている。
【0037】
また、ヒートローラ14の円筒部及び軸部12の内周壁には、ランプヒーター18からの輻射熱を吸収しやすくするために黒塗り塗装Pが施されているが、凹状部22の近傍はマスキング処理により黒塗り塗装Pが施されていない。
【0038】
次に、この断熱スリーブ24を用いた定着ユニット10の作用について説明する。
【0039】
断熱スリーブ24をヒートローラ14の軸部12に装着するときには、スリット26を周方向に拡開して軸部12に嵌め込んで、係合突起28を凹状部22に係合することによって断熱スリーブ24を固定する。これにより、リング等の止め輪を使用しなくても、断熱スリーブ24が軸部12の所定位置に固定され、脱落することがない。さらに、図5に示すように、断熱スリーブ24の外周にはボールベアリング30が嵌合され、ヒートローラ14が回転自在に軸支される。そして、画像形成装置本体200の駆動ギア(図示せず)からヒートローラギア20に回転駆動力が伝達されることにより、ヒートローラ14が一定方向に回転するようになっている。
【0040】
このような定着ユニット10では、ヒートローラ14と加圧ローラ16とが一定方向に回転駆動され、これらの間にトナー像を担持した用紙が搬送されることによって、トナー像が加熱及び加圧により溶融され、用紙上に定着画像が形成されるようになっている。
【0041】
定着ユニット10に使用される断熱スリーブ24は、スリット26によって拡開自在に分割されているので、ヒートローラ14の軸部12が熱膨張により拡径しても、ヒートローラ14の熱膨張を吸収することができる。また、断熱スリーブ24には、スリット26の近傍であってスリット26より回転方向上流側に係合突起28が設けられているので、断熱スリーブ24が回転し、スリット26の反対側からスリット26の方向に加圧ローラ16からの荷重が作用する状態となった場合でも、係合突起28に対して回転方向に作用する力が断熱スリーブ24のスリット26を締める方向に働き、断熱スリーブ24が軸部12に装着された状態が維持される。
【0042】
さらに、係合突起28と凹状部22とが回転方向に接する部分(係合面)には、断熱スリーブ24の外周に向かって広がる傾斜面28a,22aが形成されているので、回転力が凹状部22から断熱スリーブ24の係合突起28に作用すると、図2(b)に示すように断熱スリーブ24を外側へ押し拡げる方向に力Fが働く。このため、ボールベアリング30と断熱スリーブ24とが圧接された状態となり、ボールベアリング30と断熱スリーブ24とがすべることがなく、異常音の発生を防止することができる。
【0043】
また、係合突起28は周方向に長方形状であるので、せん断方向に対してせん断面積が広く、耐性が高くなり、係合突起28の許容せん断応力が大きくなる。このため、断熱スリーブ24のストレスによる破損を防止できる。また、係合突起28を長方形状とすることで、断熱スリーブ24の軸方向長さを最小化でき、軸方向の省スペース化が可能となる。
【0044】
さらに、軸部12の凹状部22が従来のような開口状の溝孔ではないため、ヒートローラ14の内部の熱が漏れるのを防止できる。また、ヒートローラ14及び軸部12の内周壁に黒塗り塗装Pが施されているので、ランプヒーター18の熱を効率的にヒートローラ14に伝達できるとともに、凹状部22の近傍がマスキング処理により黒塗り塗装されていないので、係合突起28から熱が吸収されるのを防止できる。
【0045】
次に、上記定着ユニット10を適用した画像形成装置の一実施形態を図6に基づき説明する。
【0046】
この画像形成装置は、画像形成装置本体200に開閉カバー202を備えており、この開閉カバー202を開放して画像形成装置本体200の中に定着ユニット10が装填されるようになっている。定着ユニット10が画像形成装置本体200に装填されると、これと同時に定着ユニット10のコネクター52が画像形成装置本体200のコネクター50と結合され、定着ユニット10に給電が可能となるとともに、定着ユニット10の装填完了が検知される。画像形成装置本体200に定着ユニット10が装填された後は、開閉カバー202を閉じることで画像形成装置が作動可能な状態になる。
【0047】
また、画像形成装置本体200には、画像形成部を一体的にユニット化したプロセスカートリッジ204が設けられている。このプロセスカートリッジ204の内部には、一定方向に回転する感光体ドラム216が設けられている。この感光体ドラム216の周囲には、回転方向上流側から、感光体ドラムを帯電する帯電ローラ218と、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像する現像ローラ220と、感光体ドラム上の現像されたトナー像を用紙に転写する転写ローラ222とが配設されている。さらに、感光体ドラム216の回転方向における転写ローラ222の下流側には、転写後の感光体ドラム表面を清掃するクリーニング部材224が設けられている。また、画像形成装置本体200には、帯電ローラ218と現像ローラ220との間で、感光体ドラム216に像光を照射する露光装置214が設けられている。
【0048】
画像形成装置本体200の下部には、用紙を収容する給紙カセット206,208が外部に引き出し可能に配設されており、この給紙カセット206,208の用紙の取り出し位置には、用紙を一枚ずつ取り出して搬送する給紙ローラ205,207が設けられている。さらに、給紙ローラ205,207から供給される用紙を感光体ドラム216と転写ローラ222との対向位置に搬送する搬送ローラ210,211,212,213が設けられている。用紙の搬送方向における転写ローラ222の下流側には定着ユニット10が装填されており、さらに定着ユニット10の下流側には、定着後の用紙を排出する排紙トレイ230が設けられている。
【0049】
このような画像形成装置では、感光体ドラム216が帯電ローラ218により帯電され、露光装置214から像光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ220によって現像され、感光体ドラム216上にトナー像が形成される。
【0050】
一方、給紙カセット206から給紙ローラ205により用紙が供給され、搬送ローラ210,211,212,213によって感光体ドラム216と転写ローラ222との対向位置に搬送される。そして、感光体ドラム216上のトナー像が転写ローラ222によって用紙上に転写され、さらに定着ユニット10のヒートローラ14と加圧ローラ16との間で加熱加圧されることによってトナー像が溶融して用紙上に画像が定着される。その後、画像が形成された用紙は排紙トレイ230に排出される。
【0051】
このような画像形成装置では、本実施形態の断熱スリーブ24及び定着ユニット10を適用したので、ヒートローラ14の熱膨張によるストレスを防止できるとともに、断熱スリーブ24とヒートローラ14との間のすべりに起因した異常音の発生を防止できる。
【0052】
次に、本発明に係る断熱スリーブ及び定着ユニットの第2実施形態を図7に基づいて説明する。
【0053】
なお、第1実施形態で説明した部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0054】
この実施形態では、図7(a)に示すように、ヒートローラギア20と反対側に配置される断熱スリーブ24の係合突起38が、断熱スリーブ24の巾方向において、ヒートローラ14の内側へ偏って設けられている。一方、ヒートローラギア20側の断熱スリーブ24の係合突起28は、断熱スリーブ24の巾方向のヒートローラギア20側へ偏って設けられているが、ヒートローラ14の内側へ偏って設けてもよい。係合突起38をこのように配置したのは以下の理由による。
【0055】
ランプヒーター18は、両端部に太径の硝子部19を有するため、硝子部19をヒートローラ14内部に設けると、ヒートローラ14と硝子部19とが干渉するので、ランプヒーター18とヒートローラ14を接近して設けることができず、熱効率の観点から好ましくない。したがって、図7(a)に示すように硝子部19をヒートローラ14の円筒部14A及び軸部12の外側に配置する必要がある。
【0056】
このとき、図7(b)に示すように、断熱スリーブ24の係合突起39をヒートローラ14の端部側に偏って設けると、軸部12に凹状部22を形成しているため、図7(a)に示す場合と比較すると、軸部が長くなった寸法L分だけヒートローラ14の長さが長くなってしまう。したがって、図7(a)に示すように、ヒートローラギア20と反対側に配置される断熱スリーブ24の係合突起38を断熱スリーブ24の巾方向において、ヒートローラ14の内側へ偏って設けることで、ランプヒーター18の硝子部19を含めた全長を小さくすることができる。これにより、定着ユニットの軸方向の長さを小さくでき、省スペース化を実現できる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る断熱スリーブ、定着装置及び画像形成装置によれば、加熱ローラの熱膨張による断熱スリーブのストレスを防止できるとともに、断熱スリーブと加熱ローラとの間のすべりに起因した異常音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る断熱スリーブ及びヒートローラを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る断熱スリーブ及びヒートローラを示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る断熱スリーブ及びヒートローラを示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る断熱スリーブを使用した定着ユニットを示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る断熱スリーブを装着したヒートローラ及び加圧ローラを示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る断熱スリーブ及び定着ユニットを適用した画像形成装置を示す構成図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る断熱スリーブ及びヒートローラを示す断面図であり、係合突起の位置が異なる場合を比較した図である。
【図8】従来の断熱スリーブ及び加熱ローラを示す断面図である。
【図9】従来の断熱スリーブを示す図である。
【図10】従来の断熱スリーブ及び加熱ローラの軸部を示す平面図である。
【符号の説明】
10 定着ユニット(定着装置)
12 軸部
14 ヒートローラ(加熱ローラ)
14A 円筒部
18 ランプヒーター
20 ヒートローラギア(駆動手段)
22 凹状部(被係合部)
22a 傾斜面
24 断熱スリーブ
26 スリット
28 係合突起(係合部)
28a 傾斜面
30 ボールベアリング(軸受部材)
38 係合突起
P 黒塗り塗装

Claims (8)

  1. ヒーターが内蔵された加熱回転部材の軸部を回転自在に支持する軸受部材と、前記軸部との間に配置される断熱スリーブであって、
    周方向に拡開可能に分割されたスリットと、
    前記加熱回転部材の軸部に形成された被係合部と係合される周方向に長方形状の係合部と、を備えることを特徴とする断熱スリーブ。
  2. 内蔵されたヒーターによって加熱される加熱ローラと、前記加熱ローラの軸部に取り付けられた断熱スリーブと、前記断熱スリーブを回転自在に支持する軸受部材と、を備える定着装置において、
    前記断熱スリーブは、周方向に拡開可能に分割されたスリットと、
    前記スリットの近傍であって前記スリットより前記加熱ローラの回転方向上流側に形成され、前記加熱ローラの軸部に形成された被係合部と係合される周方向に長方形状の係合部と、を有することを特徴とする定着装置。
  3. 前記軸部の被係合部は、凹形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記加熱ローラは、前記ヒーターが内蔵された中空形状の円筒部と、前記円筒部の両端部を絞り加工した前記軸部とを備え、
    前記被係合部の近傍を除いて前記軸部及び前記円筒部の内周壁に黒塗り塗装が施されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記断熱スリーブが黒色以外の色で形成されていることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記係合部と前記被係合部の係合面を傾斜面とし、前記被係合部から前記係合部へ伝わる力を、前記断熱スリーブを外側へ拡開させる方向とすることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記係合部は、前記断熱スリーブの巾方向において、前記加熱ローラの内側へ偏って設けられていることを特徴とする請求項2から請求項6までのいずれかに記載の定着装置。
  8. 請求項2乃至請求項7に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018031962A (ja) * 2016-08-26 2018-03-01 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 定着装置及び画像形成装置

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