JP2004341267A - 表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示パネルを構成する各表示画素の配置位置に関わらず、信号配線の寄生容量や配線抵抗に起因する表示データの書込率の低下を抑制して、均一な輝度階調で発光素子を発光動作させ、表示画質の改善を図ることができる表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法を提供する。
【解決手段】表示装置100は、複数の表示画素EMがマトリクス状に配列された表示パネル110と、行ごとの表示画素EMを選択状態に設定する走査ドライバ120と、所定のタイミングで各データラインDLへ階調電流Ipixを供給するデータドライバ130と、を備え、各表示画素EMへの表示データの書込動作に際し、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、階調電流の電流値を補正制御することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データの書込率が均一化されるように制御される。
【選択図】 図7
【解決手段】表示装置100は、複数の表示画素EMがマトリクス状に配列された表示パネル110と、行ごとの表示画素EMを選択状態に設定する走査ドライバ120と、所定のタイミングで各データラインDLへ階調電流Ipixを供給するデータドライバ130と、を備え、各表示画素EMへの表示データの書込動作に際し、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、階調電流の電流値を補正制御することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データの書込率が均一化されるように制御される。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法に関し、特に、表示データに応じた電流を供給することにより所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子を備えた表示画素を、複数配列してなる表示パネルに適用可能な表示駆動装置、及び、該表示駆動装置を備えた表示装置、並びに、該表示装置における駆動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)や発光ダイオード(LED)等のように供給される駆動電流の電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子を備えた表示画素を、2次元配列した表示パネルを具備する発光素子型のディスプレイ(表示装置)が知られている。
【0003】
特に、アクティブマトリックス駆動方式を適用した発光素子型ディスブレイは、近年普及が著しい液晶表示装置(LCD)に比較して、表示応答速度が速く、視野角依存性もなく、また、高輝度・高コントラスト化、表示画質の高精細化、低消費電力化等が可能であるとともに、液晶表示装置の場合のように、バックライトを必要としないので、一層の薄型軽量化が可能という極めて優位な特徴を有しており、次世代のディスプレイとして研究開発が盛んに行われている。
【0004】
そして、このような発光素子型ディスブレイにおいては、上述した電流制御型の発光素子を発光制御するための駆動制御機構や制御方法が種々提案されている。例えば、特許文献1等に記載されているように、表示パネルを構成する各表示画素ごとに、上記発光素子に加えて、該発光素子を発光制御するための複数のスイッチング手段からなる駆動回路(以下、便宜的に「発光駆動回路」又は「画素駆動回路」と記す)を備えたものが知られている。
【0005】
図18は、従来技術における発光素子型ディスプレイに適用可能な表示画素の構成例を示す等価回路図である。
すなわち、特許文献1等に記載された表示画素は、図18に示すように、表示パネルにマトリクス状に配設された複数の走査ライン(選択ライン)SL及びデータライン(信号ライン)DLの各交点近傍に、ゲート端子が走査ラインSLに、ソース端子及びドレイン端子がデータラインDL及び接点N111に各々接続された薄膜トランジスタ(TFT)Tr111と、ゲート端子が接点N111に接続され、ソース端子に接地電位Vgndが印加された薄膜トランジスタTr112と、を備えた発光駆動回路DCp、及び、該発光駆動回路DCpの薄膜トランジスタTr112のドレイン端子にアノード端子が接続され、カソード端子に接地電位Vgndよりも低電位の低電源電圧Vssが印加された有機EL素子(電流制御型の発光素子)OELを有して構成されている。
【0006】
ここで、図18において、Cpは、薄膜トランジスタTr112のゲート−ソース間に形成される寄生容量である。また、薄膜トランジスタTr111は、nチャネル型の電界効果型トランジスタにより構成され、薄膜トランジスタTr112は、pチャネル型の電界効果型トランジスタにより構成されている。
そして、このような構成を有する発光駆動回路DCpにおいては、薄膜トランジスタTr111及びTr112からなる2個のトランジスタ(スイッチング手段)を所定のタイミングでオン、オフ制御することにより、以下に示すように、有機EL素子OELを発光制御する。
【0007】
すなわち、発光駆動回路DCpにおいて、図示を省略した走査ドライバにより、走査ラインSLにハイレベルの走査信号Vselを印加して表示画素を選択状態に設定すると、薄膜トランジスタTr111がオン動作して、図示を省略したデータドライバによりデータラインDLに印加された、表示データに応じた階調信号電圧Vpixが薄膜トランジスタTr111を介して、接点N111(すなわち、薄膜トランジスタTr112のゲート端子)に印加される。これにより、薄膜トランジスタTr112が上記階調信号電圧Vpixに応じた導通状態でオン動作して、接地電位Vgndから所定の発光駆動電流が薄膜トランジスタTr112及び有機EL素子OELを介して低電源電圧Vssに流れ、有機EL素子OELが上記表示データに応じた輝度階調で発光動作する。
【0008】
次いで、走査ラインSLにローレベルの走査信号Vselを印加して表示画素を非選択状態に設定すると、薄膜トランジスタTr111がオフ動作することにより、データラインDLと発光駆動回路DCpとが電気的に遮断される。これにより、薄膜トランジスタTr112のゲート端子に印加された電圧が寄生容量CP1により保持されて、薄膜トランジスタTr112は、オン状態を持続することになり、上記選択状態と同様に、接地電位Vgndから所定の発光駆動電流が薄膜トランジスタTr12を介して有機EL素子OELに流れて、発光動作が継続される。この発光動作は、次の表示データに応じた階調信号電圧が各表示画素に印加される(書き込まれる)まで、例えば、1フレーム期間継続されるように制御される。
このような駆動制御方法は、各表示画素(薄膜トランジスタTr112のゲート端子)に印加する電圧(階調信号電圧)を調整することにより、有機EL素子OELに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所定の輝度階調で発光動作させていることから、電圧指定方式(又は、電圧印加方式)と呼ばれている。
【0009】
ところで、上述したような電圧指定方式を採用した発光駆動回路を備えた表示画素においては、選択機能を有する薄膜トランジスタTr111や発光駆動機能を有する薄膜トランジスタTr112の素子特性(チャネル抵抗等)が、外部環境(周囲の温度等)や使用時間等に依存してバラツキや変動(劣化)を生じた場合には、発光素子(有機EL素子OEL)に供給される発光駆動電流に影響を与えることになり、長期間にわたり安定的に所望の発光特性(所定の輝度階調での表示)を実現することが困難になるという問題を有していた。
【0010】
また、表示パネルの高精細化を図るために、各表示画素を微細化すると、発光駆動回路DCpを構成する薄膜トランジスタTr111及びTr112の動作特性(ソース−ドレイン間電流等)のバラツキが大きくなるため、適正な階調制御が行えなくなり、各表示画素の発光特性にバラツキが生じて表示画質の劣化を招くという問題を有していた。
そこで、このような問題点を解決する構成として、いわゆる、電流印加方式(又は、電流指定方式)と呼ばれる駆動制御方法に対応した発光駆動回路の構成が知られている。なお、この電流印加方式に対応した発光駆動回路の構成例については、後述する発明の実施の形態において詳しく説明するが、概略、以下のような構成及び動作(機能)を有するものである。
【0011】
すなわち、電流印加方式においては、発光素子(例えば、上述した有機EL素子OEL等)に供給する発光駆動電流の電流値を制御する駆動電流制御手段(上述した薄膜トランジスタTr112に相当する)を備え、該駆動電流制御手段に対して、表示データに応じた電流値を指定した階調電流をデータドライバから直接供給し、該電流に基づいて保持される電圧に基づいて、上記発光駆動電流の電流値を設定制御して、発光素子を所定の輝度階調で発光動作させるように構成されている。
【0012】
このように、電流印加方式を採用した発光駆動回路においては、上述した駆動電流制御手段により、各表示画素に供給される表示データに応じた階調電流の電流レベルを電圧レベルに変換する機能(電流/電圧変換機能)と、該電圧レベルに基づく所定の電流値を有する発光駆動電流を発光素子に供給する機能(発光駆動機能)とを実現することができるので、電流生成制御手段を、例えば、単一の能動素子(薄膜トランジスタ)により構成することにより、図18に示したような複数の薄膜トランジスタ相互の動作特性のバラツキが、発光駆動電流に与える影響を抑制することができるという利点を有している。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−156923号公報 (第4頁、図2)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような電流印加方式を採用した発光駆動回路においては、以下に示すような問題を有していた。
すなわち、電流指定方式の発光駆動回路においては、最下位又は比較的輝度階調の低い表示データに基づく階調電流を各表示画素に書き込む場合(低階調表示時)、表示データの輝度階調に対応した小さい電流値を有する信号電流を各表示画素に供給する必要がある。
【0015】
ここで、各表示画素に表示データ(階調電流)を書き込む動作は、データラインに寄生する容量成分(配線容量)を所定の電圧まで充電することに相当するため、特に、表示パネルの大型化等によりデータラインの配線長を長く設計した場合には、階調電流の電流値が小さくなるほど(すなわち、低階調表示時ほど)、データラインの配線容量や配線抵抗の影響を受けやすくなって、同一の電流値を有する階調電流を各表示画素に供給した場合であっても、当該表示画素の表示パネルにおける配置位置によって、表示データに応じた階調電流によって供給される供給電荷量に対し、表示画素に実際に書き込まれる電荷量の割合(書込率)が異なるという問題を有していた。
【0016】
図19は、表示パネルにおける表示画素の配置位置とデータラインの配線長の関係を示す概略構成図である。ここで、図19に示す表示画素は、図18に示した発光駆動回路DCpと有機EL素子OELを含む構成を有している。
具体的には、図19に示すように、データドライバ130において、各表示画素に供給される階調電流が入力される階調電流入力端に対して、表示パネル110上であって、略直近の位置に配置された(例えば、1行目の走査ラインに接続された)表示画素EMaと、最遠の位置に配置された(例えば、最終行であるn行目の走査ラインに接続された)表示画素EMbとでは、階調電流入力端から経由するデータラインDLの配線長が短い表示画素EMaにおいては、該データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響をほとんど受けることなく、データドライバからの階調電流がそのまま瞬時に供給されるのに対して、階調電流入力端から経由するデータラインDLの配線長が長い(データラインDLの全長分)表示画素EMbにおいては、該データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響を受けて、書込動作が大きく遅延する。
【0017】
ここで、例えば、図20(a)に示すように、表示パネル上における表示画素の配置位置を、データドライバ直近の位置(階調電流入力端)を規格化位置“0”、データドライバから最遠となる位置(最遠方位置)を規格化位置“1”と規定し、また、書込動作の状態を所定の選択期間に各表示画素に書き込まれた表示データの比率(書込率)で表すと、規格化位置“0”では略100%の書込率が得られるのに対して、規格化位置“1”では書込率が10%程度にまで低下するシミュレーション結果も得られている。
【0018】
なお、図20は、表示パネルにおける表示画素の配置位置(規格化位置)と表示データの書込率との関係をシミュレーション結果である。ここで、図20(a)に示したシミュレーション結果は、図20(b)に示すように、37インチの画面サイズを有し、水平画素数1365、垂直画素数768データラインの配線幅544μm、データラインの配線容量19.9pFに構成された表示パネルを用い、画素選択時間22μsec、最高階調電流値19.37μA/pix、最低階調電流値0.30μA/pixと設定して、特定の階調電流を供給し、各表示画素の有機EL素子を発光動作させた場合の発光輝度を測定し、設計値(理想値)500cd/m2に対する比率(書込率)を算出したものである。
【0019】
そのため、表示パネルに配設された走査ライン数等に基づいて予め設定された選択期間(書込時間)では、表示画素に表示データを充分に書き込むことができない(飽和状態に達しない)、いわゆる、書込不足が生じ、表示データに応じた適切な輝度階調で発光動作することができない表示画素が発生して、表示パネル内で輝度差が生じて表示画質の劣化を招くという問題を有していた。
このような問題は、表示パネルを高精細化して走査ラインの数を増加させ、各走査ラインの選択期間を短く設定した場合には、より顕著になり、表示パネルの高精細化を制約するという問題も有していた。
【0020】
また、上述したような表示データの書込不足の問題を解決するために、各表示画素に供給される階調電流の電流値を大きく設定することも考えられるが、この場合、図21に示すように、表示画素を同一の輝度(例えば、規格化輝度0.40)で発光動作させるためには、規格化位置“0”の表示画素に供給する電流値(規格化電流I1=0.04)に比較して、規格化位置“1”の表示画素においては、極めて大きな電流値(規格化電流I2=0.08以上)を供給する必要があり、最高輝度階調で最遠方位置に配置された表示画素を、予め設定された選択期間で良好な輝度で発光駆動するためには、データドライバの電流供給能力を極めて大きく設計しなければならないという問題を有していた。
【0021】
なお、図21は、表示パネルの特定の位置(規格化位置“0”及び規格化位置“1”)に配置された表示画素における入力電流(規格化電流)に対する出力輝度(規格化輝度)の関係を示すシミュレーション結果である。ここで、図21に示したシミュレーション結果は、図20(b)に示した仕様を有する表示パネルにおいて、規格化位置“0”及び規格化位置“1”の表示画素に供給する電流値に対する発光輝度の変化を測定し、各々を規格化して特性曲線PS0、PS1として示したものである。
【0022】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、表示パネルを構成する各表示画素の配置位置に関わらず、信号配線の寄生容量や配線抵抗に起因する表示データの書込率の低下を抑制して、均一な輝度階調で発光素子を発光動作させ、表示画質の改善を図ることができる表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の表示駆動装置は、互いに直交する複数の信号ライン及び複数の走査ラインと、該各信号ラインと各走査ラインの交点近傍に配置される、電流制御型の発光素子を備える複数の表示画素と、を備える表示パネルの該各表示画素に、前記各信号ラインを介して表示データの輝度階調に基づく階調電流を供給し、該階調電流によって前記表示画素に書き込まれる電荷量に基づいて前記各発光素子を発光動作させる表示駆動装置において、前記表示データの輝度階調範囲の少なくとも一部において、前記階調電流によって前記各表示画素に供給される供給電荷量に対して、該各表示画素に書き込まれる電荷量の割合が一定となる方向に補正する補正手段を備えることを特徴とする表示駆動装置。
請求項2記載の表示駆動装置は、請求項1記載の表示駆動装置において、前記補正手段は、前記表示データの全輝度階調範囲において、前記補正を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項3記載の表示駆動装置は、請求項1又は2記載の表示駆動装置において、前記補正手段は、少なくとも、前記表示パネルにおける、前記信号ラインの、前記表示駆動装置から該表示画素までの間に寄生する容量成分に基づいて、前記階調電流を調整制御する電流供給制御手段を備えることを特徴とする。
請求項4記載の表示駆動装置は、請求項3記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に供給する前記階調電流の電流値を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の表示駆動装置は、請求項3又は4のいずれかに記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、該表示画素を選択状態に設定する選択期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項6記載の表示駆動装置は、請求項5記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記選択期間の時間幅を、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する一定の時間幅を有する電流供給期間内で調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の表示駆動装置は、請求項3記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、該表示画素に前記階調電流を供給する電流供給期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項8記載の表示駆動装置は、請求項7記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記電流供給期間の時間幅を、前記表示画素の各々を選択状態に設定する一定の時間幅を有する選択期間内で調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項9記載の表示駆動装置は、請求項3乃至8のいずれかに記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記表示駆動装置から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置と前記階調電流の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、前記表示画素の配置位置に基づいて、前記補正テーブルを参照することにより一義的に決定された前記補正係数を用いて、前記階調電流を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項10記載の表示駆動装置は、請求項9記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の配置位置に基づいて、前記補正テーブルから抽出された前記補正係数を、所定の基準値に乗算することにより、前記階調電流を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0028】
請求項11記載の表示駆動装置は、請求項3乃至10のいずれかに記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する動作に先立って、前記表示画素に、特定のリセット信号を印加して、少なくとも、該表示画素に蓄積された電荷を放電して初期化する手段を備えることを特徴とする。
【0029】
請求項12記載の表示装置は、互いに直交する複数の信号ライン及び複数の走査ラインと、該各信号ラインと各走査ラインの交点近傍に配置される、電流制御型の発光素子を備える複数の表示画素と、を備える表示パネルの前記各表示画素に、前記各信号ラインを介して、表示データの輝度階調に基づく階調電流を供給し、該階調電流によって前記表示画素に書き込まれる電荷量に基づいて前記各発光素子発光動作させて、前記表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置において、少なくとも、前記表示パネルの前記複数の走査ラインに順次走査信号を印加して、前記表示画素を所定の選択期間毎に順次選択状態に設定する走査駆動回路と、前記選択期間毎に、前記表示パネルの前記各信号ラインに前記階調電流を印加して、該階調電流を前記各表示画素に供給する信号駆動回路と、を具備し、前記表示データの輝度階調範囲の少なくとも一部において、前記階調電流によって前記各表示画素に供給される供給電荷量に対して、該各表示画素に書き込まれる電荷量の割合が一定となる方向に補正する補正手段を備えることを特徴とする
【0030】
請求項13記載の表示装置は、請求項12記載の表示装置において、前記補正手段は、前記表示データの全輝度階調範囲において、前記補正を行うことを特徴とする。
請求項14記載の表示装置は、請求項12又は13記載の表示装置において、前記補正手段は、少なくとも、前記表示パネルにおける、前記信号駆動装置から前記表示画素までの間に寄生する容量成分に基づいて、前記階調電流を調整制御する電流供給制御手段を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項15記載の表示装置は、請求項14記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示パネルにおける前記表示画素の、該信号駆動回路から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置に応じて、該表示画素の各々に供給する前記階調電流の電流値を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項16記載の表示装置は、請求項14記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記信号駆動回路において、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号駆動回路から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置に応じて、該表示画素に前記階調電流を供給する電流供給期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0032】
請求項17記載の表示装置は、請求項16記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記電流供給期間の時間幅を、前記表示画素の各々を選択状態に設定する前記選択期間内で調整制御することを特徴とする。
請求項18記載の表示装置は、請求項14記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記走査駆動回路において、前記信号駆動回路より前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号駆動装置から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置に応じて、前記選択期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項19記載の表示装置は、請求項18記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記選択期間の時間幅を、前記信号駆動回路より前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する一定の時間幅を有する電流供給期間内で調整制御することを特徴とする。
【0033】
請求項20記載の表示装置は、請求項14乃至19のいずれかに記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の配置位置と前記階調電流の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、前記表示画素の配置位置に基づいて、前記補正テーブルを参照することにより一義的に決定された前記補正係数を、所定の基準値に乗算することにより、前記階調電流の供給状態を調整制御することを特徴とする。
【0034】
請求項21記載の表示装置は、請求項14乃至20のいずれかに記載の表示装置において、前記信号駆動回路は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する動作に先立って、前記表示画素に、特定のリセット信号を印加して、少なくとも、該表示画素に蓄積された電荷を放電して初期化することを特徴とする。
請求項22記載の表示装置は、請求項14記載の表示装置において、前記補正手段は、前記表示パネルにおける、前記信号駆動回路に対する、前記各表示画素の、少なくとも、前記信号ライン及び前記表示画素の各々に付加される容量成分の総和からなる負荷容量が一定になる方向に容量値を調整する手段を備えることを特徴とする。
【0035】
請求項23記載の表示装置は、請求項14乃至22のいずれかに記載の表示装置において、前記表示画素は、少なくとも、前記階調電流に基づく電荷を電圧成分として保持する保持容量を備える電荷保持手段と、該電荷保持手段に保持された電圧成分に基づいて、前記発光素子に発光駆動電流を流す発光駆動手段と、を備えた発光駆動回路を具備し、前記発光駆動回路は、前記選択期間においては前記発光素子に前記発光駆動電流を供給しない非発光状態に設定し、前記選択期間終了後の非選択期間においては前記電荷保持手段に保持された電圧成分に基づいて、前記発光素子に前記発光駆動電流を供給して、前記階調電流に応じた輝度階調で発光動作させる発光状態に設定することを特徴とする。
請求項24記載の表示装置は、請求項23記載の表示装置において、前記補正手段は、前記表示パネルにおける、前記信号駆動回路に対する、該信号駆動回路から前記表示画素の各々までの前記信号ラインに寄生する容量成分と、該表示画素の各々に設けられた前記保持容量と、の容量値の総和からなる負荷容量が一定になる方向に前記保持容量の容量値を調整する手段を備えることを特徴とする。
【0036】
請求項25記載の表示装置は、請求項23記載の表示装置において、前記補正手段は、前記表示パネルにおける、前記信号駆動回路から前記表示画素の各々までの信号ラインに寄生する容量成分と、前記表示画素の各々に設けられた前記保持容量と、前記表示パネルの各行ごとの前記表示画素に共通に接続される特定の信号供給ラインに設けられた容量成分と、の容量値の総和からなる負荷容量が一定になる方向に、前記信号供給ラインごとに設けられる容量成分の容量値を各行ごとに個別に設定する手段を備えることを特徴とする。
請求項26記載の表示装置は、請求項14乃至25のいずれかに記載の表示装置において、前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセント素子であることを特徴とする。
【0037】
請求項27記載の表示装置の駆動制御方法は、互いに直交する複数の信号ライン及び複数の走査ラインと、該各信号ラインと各走査ラインの交点近傍に配置される、電流制御型の発光素子を備える複数の表示画素と、を備える表示パネルの前記各表示画素に、前記信号ラインを介して表示データの輝度階調に基づく階調電流を供給し、該階調電流によって前記表示画素に書き込まれる電荷量に基づいて前記各発光素子を発光動作させて、前記表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置の駆動制御方法において、前記表示データの輝度階調範囲の少なくとも一部において、前記階調電流によって前記各表示画素に供給される供給電荷量に対して、該各表示画素に書き込まれる電荷量の割合が一定となる方向に、前記階調電流を調整制御することを特徴とする。
【0038】
請求項28記載の表示装置の駆動制御方法は、請求項27記載の表示装置の駆動制御方法において、前記表示装置の駆動制御方法は、少なくとも、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号ラインに沿う配置位置に基づいて、所定の補正テーブルを参照して、前記階調電流の調整制御に係る補正係数を抽出するステップと、前記補正係数を所定の基準値に乗算して、前記階調電流の電流値を調整制御するステップと、前記調整制御された電流値を有する前記階調電流を、所定のタイミングで前記表示画素に供給するステップと、含むことを特徴とする。
【0039】
請求項29記載の表示装置の駆動制御方法は、請求項27記載の表示装置の駆動制御方法において、前記表示装置の駆動制御方法は、少なくとも、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号ラインに沿う配置位置に基づいて、所定の補正テーブルを参照して、前記階調電流の調整制御に係る補正係数を抽出するステップと、前記補正係数を所定の基準値に乗算して、前記階調電流を前記表示画素に供給する電流供給期間の時間幅を調整制御するステップと、前記表示画素の各々を選択状態に設定する一定の時間幅を有する選択期間内に、前記調整制御された時間幅を有する前記電力供給期間で、前記階調電流を前記表示画素に供給するステップと、を含むことを特徴とする。
【0040】
請求項30記載の表示装置の駆動制御方法は、請求項27記載の表示装置の駆動制御方法において、前記表示装置の駆動制御方法は、少なくとも、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号ラインに沿う配置位置に基づいて、所定の補正テーブルを参照して、前記階調電流の調整制御に係る補正係数を抽出するステップと、前記補正係数を所定の基準値に乗算して、前記表示画素を選択状態に設定する選択期間の時間幅を調整制御するステップと、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する一定の時間幅を有する電流供給期間内に、前記調整制御された時間幅を有する前記選択期間で、前記階調電流を前記表示画素に供給するステップと、を含むことを特徴とする。
【0041】
請求項31記載の表示装置の駆動制御方法は、請求項28乃至30のいずれかに記載の表示装置の駆動制御方法において、前記表示装置の駆動制御方法は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給するステップに先立って、前記表示画素に、特定のリセット信号を印加して、少なくとも、該表示画素に蓄積された電荷を放電して初期化するステップを含むことを特徴とする。
【0042】
すなわち、本発明に係る表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法は、有機EL素子等のように、供給される発光駆動電流の電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子を備えた表示画素に対して、表示データに応じた階調電流を供給することにより、該表示画素が、互いに直交する複数のデータライン(信号ライン)及び複数の走査ラインの交点近傍に配置される表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置において、各表示画素への表示データの書込動作に際し、当該表示画素の表示パネル上での配置位置、具体的には、データドライバ(信号駆動回路)から当該表示画素までのデータラインに寄生する容量成分(配線容量)に応じて、階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間、あるいは、データドライバに対する各表示画素の負荷容量を調整制御(補正)することができるように構成されている。
【0043】
これによれば、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように、上記階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間を調整制御(補正)して、階調電流によって供給される供給電荷量に対して、各表示画素に書き込まれる電荷量の割合(書込率)が一定となる方向に補正することができるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して、表示画質の向上を図ることができる。
【0044】
ここで、上記階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間を調整制御する手法としては、表示画素の配置位置と階調電流の供給状態の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、表示画素の配置位置に基づいて、該補正テーブルから補正係数を一義的に抽出し、該補正係数を所定の基準値(基本電流値、基本供給時間、基本印加時間)に乗算することにより、階調電流の供給状態を調整制御すること手法を適用することができる。
【0045】
また、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように、上記データドライバから見た各表示画素における容量負荷(具体的には、各表示画素に設けられる電荷保持手段や、該表示画素が共通に接続される行方向の信号供給ライン(電源ライン)に付加される容量成分(補正容量))を均一に調整制御(補正)することができるので、各表示画素への表示データの書込率を一定となるように設定することができ、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して、表示画質の向上を図ることができる。
【0046】
さらに、各行の表示画素に上記階調電流を供給する動作(表示データを書き込む動作)に先立って、各データライン及び表示画素に所定電圧を有するリセット信号(リセット電圧)を印加して、データラインや表示画素に保持されている電荷を放電させるリセット動作(リセット期間)を実行するものであってもよい。これによれば、各表示画素への表示データの書込動作に際し、常に一定の初期化状態に設定された表示画素に対して、上記階調電流が供給されることになるので、各表示画素に表示データに適切に対応した電荷が蓄積され、発光素子を適切な輝度階調で発光動作させることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法について、実施の形態を示して詳しく説明する。
<表示装置>
まず、本発明に係る表示駆動装置を適用可能な表示装置の概略構成(基本構成)について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る表示装置の基本構成を示す概略ブロック図であり、図2は、本発明に係る表示装置の要部構成を示す概略構成図である。
【0048】
図1、図2に示すように、本実施形態に係る表示装置100は、概略、相互に直交するように配設された複数の走査ラインSLと複数のデータライン(信号ライン)DLとの各交点近傍に、例えば、後述する発光駆動回路(画素駆動回路)及び電流制御型の発光素子(有機EL素子)を備えた複数の表示画素EMがマトリクス状に配列された表示パネル110と、該表示パネル110の走査ラインSLに接続され、各走査ラインSLに所定のタイミングで順次走査信号Vselを印加することにより、行ごとの表示画素EMを選択状態に設定(走査)する走査ドライバ(表示駆動装置、走査駆動回路)120と、表示パネル110のデータラインDLに接続され、後述する表示信号生成回路150から供給される表示データを取り込んで、所定のタイミングで各データラインDLへ表示データに応じた階調電流Ipixを供給するデータドライバ(表示駆動装置、信号駆動回路)130と、後述する表示信号生成回路150から供給されるタイミング信号に基づいて、少なくとも、走査ドライバ120及びデータドライバ130の動作状態を制御する走査制御信号及びデータ制御信号を生成して出力するシステムコントローラ140と、例えば、表示装置100の外部から供給される映像信号に基づいて、表示データを生成して上記データドライバ130に供給するとともに、該表示データを表示パネル110に画像表示するためのタイミング信号(システムクロック等)を抽出、又は、生成して上記システムコントローラ140に供給する表示信号生成回路150と、を備えて構成されている。
【0049】
以下、上記各構成について具体的に説明する。
(表示パネル110)
図2に示した表示パネル110に配列された表示画素EMは、後述するように、走査ドライバ120から走査ラインSLに走査信号Vselを印加するタイミングに基づいて、信号ドライバ130からデータラインDLに供給される階調電流Ipixを取り込んで、該階調電流Ipixに応じた電圧成分を保持する書込動作と、該電圧成分に基づく発光駆動電流を発光素子に供給して所定の輝度階調で発光させる発光動作と、を選択的に実行するように構成されている。
【0050】
すなわち、本実施形態に適用される表示画素EM(発光駆動回路)は、選択レベル(例えば、ハイレベル)の走査信号Vselが印加されることにより設定される選択状態(選択期間)においては、階調電流Ipixが書き込まれる(書込動作)とともに、発光素子への発光駆動電流の供給が遮断されて非発光状態となり、また、非選択レベル(例えば、ローレベル)の走査信号Vselが印加されることにより設定される非選択状態(非選択期間)においては、上記書込動作により書き込まれた階調電流Ipixに基づく発光駆動電流が発光素子に供給されて、該発光素子が所定の輝度階調で発光する(発光動作)。なお、本実施形態に係る表示パネルに適用される表示画素EMの具体回路例や回路動作については、詳しく後述する。
【0051】
(走査ドライバ120)
走査ドライバ120は、システムコントローラ140から供給される走査制御信号に基づいて、上記各走査ラインSLに選択レベル(例えば、ハイレベル)の走査信号Vselを順次印加することにより、各行ごとの表示画素EMを選択状態に設定し、当該選択状態(選択期間)に設定される一定期間、又は、特定の時間幅に設定された期間中に、データドライバ130により各データラインDLを介して供給される表示データに基づく階調電流Ipixを、各表示画素EMに書き込むように制御する。
【0052】
走査ドライバ120は、具体的には、図2に示すように、シフトレジスタとバッファからなるシフトブロックSB1、SB2、SB3、・・・を、各走査ラインSLに対応させて複数段備え、後述するシステムコントローラ140から走査制御信号として供給される走査クロック信号SCKに基づいて、走査スタート信号SSTを表示パネル110の上方から下方に順次シフトしつつ生成されたシフト信号を、バッファを介して所定の電圧レベル(ハイレベル)に変換して走査信号Vselとして各走査ラインSLに印加する。なお、走査ドライバにおける本発明特有の動作制御については、詳しく後述する。
【0053】
(データドライバ130)
データドライバ130は、システムコントローラ140から供給されるデータ制御信号に基づいて、後述する表示信号生成回路150から供給される1行分ごとの表示データを所定のタイミングで順次取り込み、該表示データの輝度階調に対応する電流値、又は、電流供給時間(パルス幅)に設定された階調電流Ipixを生成して、上記各走査ラインごとに設定される選択期間内の所定のタイミングで各データラインDLに供給する。なお、データドライバにおける本発明特有の構成及び動作制御については、詳しく後述する。
【0054】
(システムコントローラ140)
システムコントローラ140は、上述した走査ドライバ120及びデータドライバ130に対して、動作状態を制御する走査制御信号及びデータ制御信号を出力することにより、各ドライバを所定のタイミングで動作させて走査信号Vsel及び階調電流Ipixを生成して出力させ、表示信号生成回路150により生成される表示データを各表示画素EMに書き込んで発光動作させ、所定の画像情報を表示パネル110に表示させる制御を行う。なお、システムコントローラにより実現される駆動制御動作については、後述する各実施形態において詳しく説明する。
【0055】
(表示信号生成回路150)
表示信号生成回路150は、例えば、表示装置100の外部から供給される映像信号から輝度階調信号成分を抽出し、表示パネル110の1行分ごとに表示データとしてデータドライバ130に供給する。ここで、上記映像信号が、テレビ放送信号(コンポジット映像信号)のように、画像情報の表示タイミングを規定するタイミング信号成分を含む場合には、表示信号生成回路150は、上記輝度階調信号成分を抽出する機能のほか、タイミング信号成分を抽出してシステムコントローラ140に供給する機能を有するものであってもよい。この場合においては、上記システムコントローラ140は、表示信号生成回路150から供給されるタイミング信号に基づいて、走査ドライバ120やデータドライバ130に対して供給する走査制御信号及びデータ制御信号を生成する。
【0056】
<表示画素の具体例>
次いで、上述した表示パネルに配列される表示画素の具体回路例について、図面を参照して説明する。
図3は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示画素(発光駆動回路)の具体回路例を示す回路構成図であり、図4は、本実施例に係る発光駆動回路の動作状態を示す概念図である。図5は、本実施例に係る発光駆動回路を適用した表示画素の基本動作を示すタイミングチャ−トである。また、図6は、本実施例に係る表示画素を適用した表示装置の一構成例を示す概略ブロック図である。
【0057】
本実施例に係る表示画素EMは、図3に示すように、概略、上述した走査ドライバ120から印加される走査信号Vselに基づいて表示画素EMを選択状態に設定し、該選択状態においてデータドライバ130から供給される階調電流Ipixを取り込み、該階調電流Ipixに応じた発光駆動電流を発光素子に流す発光駆動回路DCと、発光駆動回路DCから供給される発光駆動電流に基づいて、所定の輝度階調で発光動作する有機EL素子OEL等の電流制御型の発光素子と、を有して構成されている。
【0058】
発光駆動回路DCは、例えば、図3に示すように、ゲート端子が走査ラインSLに、ソース端子が電源ラインVL(電源電圧Vsc)に、ドレイン端子が接点N1に各々接続されたnチャネル型の薄膜トランジスタTr11と、ゲート端子が走査ラインSLに、ソース端子及びドレイン端子がデータラインDL及び接点N12に各々接続されたnチャネル型の薄膜トランジスタTr12と、ゲート端子が接点N11に、ソース端子及びドレイン端子が電源ラインVL及び接点N12に各々接続されたnチャネル型の薄膜トランジスタ(発光駆動手段)Tr13と、接点N11及び接点N12間に接続されたコンデンサ(電荷保持手段)Csと、を備えた構成を有し、有機EL素子OELのアノード端子が接点N12に、カソード端子が接地電位に各々接続されている。ここで、コンデンサCsは、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に形成される寄生容量であってもよい。
【0059】
このような構成を有する発光駆動回路DCにおける発光素子(有機EL素子OEL)の発光駆動制御は、例えば、図5に示すように、一走査期間Tscを1サイクルとして、該一走査期間Tsc内に、走査ラインSLに接続された表示画素を選択して表示データに対応する階調電流Ipixを書き込み、電圧成分として保持する選択期間(書込動作期間)Tseと、該選択期間Tseに書き込み、保持された電圧成分に基づいて、上記表示データに応じた発光駆動電流を有機EL素子OELに供給して、所定の輝度階調で発光動作させる非選択期間(発光動作期間)Tnseと、を設定することにより実行される(Tsc=Tse+Tnse)。ここで、各行の表示画素EMが接続された各走査ラインSLごとに設定される選択期間Tseは、相互に時間的な重なりが生じないように設定される。
【0060】
(選択期間)
すなわち、表示画素の選択期間Tseにおいては、図5に示すように、まず、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して、ハイレベルの走査信号Vsel(Vslh)が印加されて当該行の表示画素が選択状態に設定されるとともに、当該行の表示画素の電源ラインVLに対して、ローレベルの電源電圧Vsclが印加される。また、このタイミングに同期して、データドライバ130から当該行の表示画素に対応する電流値を有する負極性の階調電流(−Ipix)が各データラインDLに供給される。
【0061】
これにより、発光駆動回路DCを構成する薄膜トランジスタTr11及びTr12がオン動作して、ローレベルの電源電圧Vsc(Vscl)が接点N11(すなわち、薄膜トランジスタTr13のゲート端子及びコンデンサCsの一端)に印加されるとともに、データラインDLを介して負極性の階調電流(−Ipix)を引き込む動作が行われることにより、ローレベルの電源電圧Vsclよりも低電位の電圧レベルが接点N12(すなわち、薄膜トランジスタTr13のソース端子及びコンデンサCsの他端)に印加される。
【0062】
このように、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間)に電位差が生じることにより、薄膜トランジスタTr13がオン動作して、図4(a)に示すように、電源ラインVLから薄膜トランジスタTr13、接点N12、薄膜トランジスタTr12、データラインDLを介して、データドライバ130に、階調電流Ipixの電流値に対応した書込電流Iaが流れる。
【0063】
このとき、コンデンサCsには、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタのTr13のゲート−ソース間)に生じた電位差に対応する電荷が蓄積され、電圧成分として保持される(充電される)。また、電源ラインVLには、接地電位以下の電圧レベルを有する電源電圧Vsclが印加され、さらに、書込電流IaがデータラインDL方向に流れるように制御されていることから、有機EL素子OELのアノード端子(接点N12)に印加される電位はカソード端子の電位(接地電位)よりも低くなり、有機EL素子OELに逆バイアス電圧が印加されていることになるため、有機EL素子OELには駆動電流が流れず、発光動作は行われない。
【0064】
(非選択期間)
次いで、選択期間Tse終了後の非選択期間Tnseにおいては、図5に示すように、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して、ローレベルの走査信号Vsel(Vsll)が印加されて当該行の表示画素が非選択状態に設定されるとともに、当該行の表示画素の電源ラインVLに対して、ハイレベルの電源電圧Vschが印加される。また、このタイミングに同期して、データドライバ130による階調電流Ipixの引き込み動作が停止される。
【0065】
これにより、発光駆動回路DCを構成する薄膜トランジスタTr11及びTr12がオフ動作して、接点N11(すなわち、薄膜トランジスタTr13のゲート端子及びコンデンサCsの一端)への電源電圧Vscの印加が遮断されるとともに、接点N12(すなわち、薄膜トランジスタTr13のソース端子及びコンデンサCsの他端)へのデータドライバ130による階調電流Ipixの引き込み動作に起因する電圧レベルの印加が遮断されるので、コンデンサCsは、上述した選択期間において蓄積された電荷を保持する。
【0066】
このように、コンデンサCsが書込動作時の充電電圧を保持することにより、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタのTr13のゲート−ソース間)の電位差が保持されることになり、薄膜トランジスタTr13はオン状態を維持する。また、電源ラインVLには、接地電位よりも高い電圧レベルを有する電源電圧Vsc(Vsch)が印加されるので、有機EL素子OELのアノード端子(接点N2)に印加される電位はカソード端子の電位(接地電位)よりも高くなる。
【0067】
したがって、図4(b)に示すように、電源ラインVLから薄膜トランジスタTr13、接点N12を介して、有機EL素子OELに順バイアス方向に所定の発光駆動電流Ibが流れ、有機EL素子OELが発光する。ここで、コンデンサCsにより蓄積された電荷に基づく電位差(充電電圧)は、薄膜トランジスタTr13において階調電流Ipixに対応した書込電流Iaを流下させる場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流下する発光駆動電流Ibは、上記書込電流Iaと同等の電流値を有することになる。これにより、選択期間Tse後の非選択期間Tnseにおいては、選択期間Tseに書き込まれた表示データ(階調電流Ipix)に対応する電圧成分に基づいて、薄膜トランジスタTr13を介して、発光駆動電流Ibが継続的に供給されることになり、有機EL素子OELは表示データに対応する輝度階調で発光する動作を継続する。
【0068】
そして、上述した一連の動作を、表示パネル110を構成する全ての走査ラインSLについて順次繰り返し実行することにより、表示パネル1画面分の表示データが書き込まれて、所定の輝度階調で発光し、所望の画像情報が表示される。
ここで、本実施例に係る発光駆動回路DCに適用される薄膜トランジスタTr11〜Tr13については、特に限定するものではないが、薄膜トランジスタTr11〜Tr13を全てnチャネル型の薄膜トランジスタにより構成することができるため、nチャネル型アモルファスシリコンTFTを良好に適用することができる。この場合、すでに確立されたアモルファスシリコン製造技術を適用して、動作特性の安定した発光駆動回路を比較的安価に製造することができる。
【0069】
また、本実施例に係る発光駆動回路DCにおいて電源ラインVLに所定の電源電圧Vcsを印加する構成としては、例えば、図6に示すように、表示パネル110の各走査ラインSLに並行に配設された複数の電源ラインVLに接続された電源ドライバ160を備え、システムコントローラ140から供給される電源制御信号に基づいて、走査ドライバ120から出力される走査信号Vselに同期する所定のタイミング(図5参照)で、電源ドライバ160から所定の電圧値を有する電源電圧Vcsを、走査ドライバ120により走査信号Vselが印加される行(選択状態に設定される表示画素EM)の電源ラインVLに対して印加するようにした構成を良好に適用することができる。
【0070】
なお、上述した表示画素においては、発光駆動回路として3個の薄膜トランジスタを備え、データドライバにより負極性の階調電流を生成して、データラインを介してデータドライバ方向に該階調電流を引き込む形態の電流印加方式に対応した回路構成を示したが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。すなわち、少なくとも、電流印加方式に対応した発光駆動回路を備えた表示装置であって、発光素子への発光駆動電流の供給を制御する駆動電流制御手段(薄膜トランジスタTr11、Tr13に相当)を備え、該駆動電流制御手段により、表示データに応じた階調電流を(電圧成分として)保持した後、該階調電流に基づく発光駆動電流を供給して、発光素子を所定の輝度階調で発光動作させるものであれば、他の回路構成を有するものであればよく、例えば、4個の薄膜トランジスタを備えた回路構成を有するものであってもよく、さらには、データドライバにより正極性の階調電流を生成して、データドライバからデータライン方向に該階調電流を印加する(流し込む)形態の回路構成を有するものであってもよい。
【0071】
また、上述した実施例においては、表示画素を構成する発光素子として、有機EL素子を適用した構成を示したが、本発明に係る表示装置はこれに限るものではなく、供給される発光駆動電流の電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子であれば、上述した有機EL素子の他に、例えば、発光ダイオードやその他の発光素子を適用するものであってもよい。
【0072】
そして、本発明においては、上述したような構成を有する表示装置において、各表示画素EMへの表示データの書込動作に際し、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(具体的には、データドライバ130から当該表示画素EMまでのデータラインDLの配線長)に応じて、階調電流の電流値又は供給時間、もしくは、各表示画素における容量成分を補正制御することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データに応じた階調電流によって表示画素に供給される供給電荷量に対し、当該表示画素に書き込まれる電荷量の割合(書込率)が均一化されるように制御される。以下、実施形態を具体的に説明する。
【0073】
<第1の実施形態>
図7は、本発明に係る表示装置の第1の実施形態に適用可能なデータドライバを示す概略ブロック図である。なお、本実施形態においては、表示画素EMに上述した発光駆動回路(図3参照)を適用し、負極性の階調電流Ipixを生成、供給して、表示画素EM側からデータドライバ130に階調電流Ipixを引き込む方向に流す場合について説明する。
本実施形態に適用されるデータドライバは、システムコントローラ140から供給されるデータ制御信号に基づいて、表示信号生成回路160から供給される表示データを所定のタイミングで取り込み、該表示データ及び表示画素の配置位置に対応した電流値を有する階調電流に変換して各データラインに供給する。
【0074】
具体的には、図7に示すように、データドライバ130Aは、システムコントローラ140からデータ制御信号として供給されるシフトクロック信号CLKに基づいて、サンプリングスタート信号STRを順次シフトしつつシフト信号を出力するシフトレジスタ回路131Aと、該シフト信号の入力タイミングに基づいて、表示信号生成回路160から供給される1行分の表示データD0〜Dm(デジタルデータ)を順次取り込むデータレジスタ回路132Aと、データラッチ信号STBに基づいて、データレジスタ回路132Aにより取り込まれた1行分の表示データD0〜Dmを保持するデータラッチ回路133Aと、図示を省略した電源供給手段から供給される階調基準電圧V0〜Vpに基づいて、上記保持された表示データD0〜Dmを所定のアナログ信号電圧(階調電圧Vpix)に変換するD/Aコンバ−タ(デジタル−アナログ変換器)134Aと、アナログ信号電圧に変換された表示データに対応する信号電流Icを生成し、システムコントローラ140から供給される出力イネ−ブル信号OEに基づいて、該信号電流Icを一斉に出力する電圧電流変換・電流供給回路135Aと、上記データレジスタ回路132Aにおいて取り込んだ表示データD0〜Dmが書き込まれる各表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、上記信号電流Icの電流値を補正して、階調電流Ipixとして各データラインDLを介して各表示画素EMに供給する電流値補正回路(電流供給制御手段)136Aと、を有して構成されている。
【0075】
(電圧電流変換・電流供給回路)
図8は、本実施形態に係るデータドライバに適用可能な電圧電流変換・電流供給回路の一例を示す回路構成図である。
上述した電圧電流変換・電流供給回路135Aに適用可能であって、各データラインDLごとに設けられる回路構成としては、例えば、図8に示すように、一方の入力端子(負入力(−))に、入力抵抗Rを介して逆極性の階調電圧(−Vpix)が入力され、他方の入力端子(正入力(+))に、入力抵抗Rを介して基準電圧(接地電位)が入力されるとともに、出力端子が帰還抵抗Rを介して一方の入力端子(−)に接続されたオペアンプOP1と、オペアンプOP1の出力端子に出力抵抗Rを介して設けられた接点NAの電位が、一方の入力端子(+)に入力され、出力端子が他方の入力端子(−)に接続されるとともに、出力抵抗Rを介してオペアンプOP1の他方の入力端子(+)に基準電圧(接地電位)を入力し、出力端子が帰還抵抗Rを介して一方の入力端子接続されたオペアンプOP2と、接点NAに、システムコントローラ140から供給される出力イネ−ブル信号OEに基づいてオン/オフ動作し、データラインDLへの階調電流Ipixの供給状態(本実施形態においては、生成される階調電流Ipixが負極性となるので、当該電流を引き込む動作状態)を制御するスイッチング手段SWと、を備えた構成を有している。
このような電圧電流変換・電流供給回路135Aによれば、入力される負極性の階調電圧(−Vpix)に対して、−Ipix=(−Vpix)/Rからなる負極性の階調電流(−Ipix)が生成され、出力イネーブル信号OEに基づいて、電流値補正回路136Aを介して各データラインDLに供給される。
【0076】
(電流値補正回路)
図9は、本実施形態に係るデータドライバに適用可能な電流値補正回路における補正処理のための特性曲線を示す図である。
また、電流値補正回路136Aは、電圧電流変換・電流供給回路135Aにより生成された、表示画素EMごとの信号電流Icに対して、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置、すなわち、データドライバ130Aから伸延して配設されたデータラインDLの、データドライバ130Aと表示画素EM間の配線長(換言すれば、表示データD0〜Dmが書き込まれる表示画素EMの行番号又は走査ラインSLの位置に相当する)に応じて、電流値を補正する処理を実行する。
【0077】
ここで、電流値補正回路136Aにおける電流値補正処理において、データドライバ130A(データレジスタ回路132A)に取り込まれた表示データD0〜Dmが書き込まれる表示画素EMの配置位置を示す情報(位置情報POS)は、例えば、走査ドライバ120及びデータドライバ130Aの動作状態を制御するシステムコントローラ140から供給されるものであってもよいし、表示信号生成回路150から供給される表示データD0〜Dmに付加情報として設定されるものであってもよいし、走査ドライバ120における走査信号Vselの印加状態に基づくものであってもよい。
【0078】
そして、電流値補正回路136Aにおける電流値補正処理は、具体的には、図19、図20に示したように、表示画素EMの配置位置がデータドライバ130Aから離れるほど、データラインDLに寄生する配線容量(容量成分)や配線抵抗の影響を受けて表示データ(階調電流)の書込動作に遅延を生じ、書込率が低下することから、図9に示すような特性曲線Srに基づいて、この書込率の低下を補完するように、補正係数αを規定し、例えば、階調電流Ipixの電流値として、上記信号電流Icの電流値(基本電流値)に当該補正係数αを乗算した数値に設定する。
【0079】
すなわち、データドライバ130Aの直近に配置された表示画素EMに対しては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響をほとんど受けないので、電圧電流変換・電流供給回路135Aにより生成された信号電流Icがそのまま階調電流Ipixとして出力されるように、図9の規格化位置“0”において規格化電流が“1”となるように補正係数α(=1)を設定する。
一方、データラインDLの配線長が長くなる位置に配置された表示画素EMにおいては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響を受けて図20に示したように書込率が低下するので、該書込率を、データドライバ130Aの直近に配置された表示画素EMの書込率と同等程度(例えば、100%、もしくは、100%に近似する書込率)となるように、図9の規格化位置に応じて規格化電流が大きくなるように補正係数α(>1)を設定し、階調電流Ipixの電流値を大きく設定する。
【0080】
具体的には、図21に示した表示画素における入力電流(規格化電流)に対する出力輝度(規格化輝度)の関係図において、例えば、規格化輝度0.04の出力を、表示パネルの全域で実現する場合、データドライバ130Aの直近の位置(規格化位置“0”)に配置された表示画素EMに対しては、規格化電流I1=0.04となる階調電流Ipixを供給し、データドライバ130Aから最遠方の位置(規格化位置“1”)に配置された表示画素EMに対しては、規格化電流I2=0.08〜0.09となるように電流値を補正した階調電流Ipixを供給する。
【0081】
ここで、電流値補正処理における補正係数又は規格化電流の設定手法は、図9に示したように、データラインの配線長に応じて予め判明している配線容量や配線抵抗の影響(図20参照)に基づいて、書込率を均一化するように補正係数又は規格化電流を規定した特性曲線Srの相関関係から、表示パネル110の仕様(画素数や走査線数等)に基づいて予め判明している各表示画素EMの配置位置に対応する規格化位置の補正係数又は規格化電流のみを抽出した補正テーブルを備え、該補正テーブルを参照することにより、補正係数を一義的に求めるものであってもよいし、図9に示した特性曲線Srから、表示画素の配置位置(規格化位置)対する補正係数を一義的に求めるものであってもよい。
【0082】
したがって、本実施形態に係るデータドライバ130Aによれば、表示データに応じた信号電流Icが生成され、さらに、該表示データが書き込まれる表示画素EMの配置位置(データラインDLの配線長)に応じた電流値に補正された階調電流Ipixが、所定のタイミングでデータラインDLに供給されることにより、表示パネル110上での表示画素EMの配置位置(データラインDLの配線長)に関わらず、各表示画素EMへの書込率が均一になるように制御される。
【0083】
なお、本実施形態においては、電流値補正回路136Aを、データドライバ130Aに設けられた他の構成とは独立した構成として示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、電圧電流変換・電流供給回路135Aと一体的に構成するものであってもよいし、電圧電流変換・電流供給回路135Aを構成する各能動素子の特性を、上記補正係数に応じて調整制御して、生成される信号電流Icの電流値を、表示画素の配置位置に応じた数値に設定し、そのまま階調電流IpixとしてデータラインDLに供給するようにしたものであってもよい。
【0084】
(表示装置の駆動制御動作)
次いで、上述したデータドライバを適用した表示装置における駆動制御動作について、図面を参照して説明する。
図10は、本実施形態に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。ここで、図5に示した各表示画素における発光駆動回路の基本動作を適宜参照するものとする。
本実施形態に係る表示装置における駆動制御動作は、図10に示すように、上述した発光駆動回路における動作と同様に、一走査期間Tsc内に選択期間(書込動作期間)Tse及び非選択期間(発光動作期間)Tnseを設定することにより実行される(Tsc=Tse+Tnse)。
【0085】
(選択期間)
すなわち、本実施形態に係る表示装置に設定される選択期間Tseにおいては、図10に示すように、まず、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して、選択レベルの走査信号Vsel(Vslh)が印加されるとともに、当該行の表示画素の電源ラインVLに対して、ローレベルの電源電圧Vsclが印加されて、当該行の表示画素が選択状態に設定される。
また、この選択期間Tseにおいては、選択期間Tse開始後の特定の期間、データドライバ130Aから各データラインDLにリセット電圧(0V;リセット信号)が印加されて、各データラインDLに寄生する配線容量や表示画素EM等に保持されていた電荷を放電して初期化するリセット動作(リセット期間Trt)を実行した後、上述したようなデータドライバ130Aにより、当該行の表示画素EMの配置位置(データラインの配線長)に対応するように補正された電流値を有する負極性の階調電流(−Ipix)が各データラインDLに供給される(電流供給期間Ta)。
【0086】
これにより、当該行の表示画素EMに設けられた発光駆動回路DCに、リセット期間Trtにおいては、リセット電圧が印加されてコンデンサCs等に保持されていた電荷が放電されて初期化され、その後の電流供給期間Taにおいては、データラインDLを介して負極性の階調電流(−Ipix)が供給されることにより、図4(a)に示した場合と同様に、データラインDLを介してデータドライバ130A方向に、階調電流Ipixの電流値に対応した書込電流Iaが流れるとともに、コンデンサCsに書込電流Iaに応じた電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。このとき、有機EL素子OELには逆バイアス電圧が印加されるように各印加電圧が設定されて、有機EL素子OELは非発光状態を維持する。
【0087】
ここで、データドライバ130からデータラインDLを介して各表示画素に供給される階調電流Ipixは、図9に示したように、該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(すなわち、行番号;規格化位置)に対応して、データドライバ130からの距離(データラインDLの配線長)が長くなるほど、階調電流Ipixの規格化電流の値が大きくなるように電流値が補正されるので、該表示画素EMの表示パネル110上の配置位置(データラインDLの配線長)に関わらず、選択期間Tse(詳しくは、電流供給期間Ta)に、同一階調の表示データに対して略同等の電荷量(データドライバ130A直近の規格化位置“0”における表示画素EMのコンデンサCsと同等の電荷量)が、表示パネル110の各表示画素EMのコンデンサCsに蓄積される。
【0088】
(非選択期間)
次いで、選択期間Tse終了後の非選択期間Tnseにおいては、図10に示すように、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して、非選択レベルの走査信号Vsel(Vsll)が印加されるとともに、当該行の表示画素EMの電源ラインVLに対して、ハイレベルの電源電圧Vschが印加されて、当該行の表示画素EMが非選択状態に設定される。また、このタイミングに同期して、データドライバ130Aによる階調電流Ipixの引き込み動作が停止される。
【0089】
これにより、当該表示画素EMとデータラインDLとの電気的な接続が遮断されるとともに、上述した選択期間TseにおいてコンデンサCsに蓄積された電荷(充電電圧)が保持されることにより、図4(b)に示した場合と同様に、有機EL素子OELに対して順バイアス方向に、上記書込電流Iaと同等の電流値を有する発光駆動電流Ibが流れ、表示データに対応する輝度階調で有機EL素子OELが発光する動作を継続する。
そして、上述した一連の動作を、表示パネル110を構成する全ての走査ラインSLについて、データドライバ130Aから供給する階調電流Ipixの規格化電流の値を補正しつつ、順次繰り返し実行することにより、表示パネル1画面分の表示データが、表示画素EMの配置位置に関わらず、均一に書き込まれて、所定の輝度階調で発光し、所望の画像情報が表示される。
【0090】
したがって、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように階調電流の電流値が補正されて供給され、データドライバ直近に配置された表示画素と同等の書込率で表示データが書き込まれるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルの全域で輝度階調の均一化を図ることができ、表示画質の向上を図ることができる。
また、データドライバにおいて実行される電流値補正処理における補正係数を制御することにより、各表示画素への表示データの書込速度を向上させることができるので、例えば、表示パネルを高精細化して走査ラインの数を増加させて、選択期間を短く設定した場合であっても、表示データを良好に書込むことができ、表示パネルの高精細化に良好に対応することができる。
【0091】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
上述した第1の実施形態においては、各表示画素EMに供給する階調電流Ipixの電流値を、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(データラインDLの配線長)に応じて補正処理(調整)する構成及び駆動制御方法について説明したが、本実施形態においては、各表示画素への階調電流Ipixの供給時間を補正処理することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データ(階調電流)の書込率が均一化されるように制御される。
【0092】
図11は、本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバの一構成例を示す概略ブロック図である。ここで、上述した実施形態に示したデータドライバと同一の構成については、同等の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
本実施例では、表示画素に設定される選択期間を補正することにより、各表示画素における表示データの書込率を略均一化する構成及び駆動制御方法について説明する。
【0093】
図11に示すように、本実施例に適用されるデータドライバ130Bは、上述した第1の実施形態に示したデータドライバ130Aと同様の構成及び機能を有するシフトレジスタ回路131B、データレジスタ回路132B、データラッチ回路133B、D/Aコンバ−タ134Bと、アナログ信号電圧に変換された表示データ(階調電圧Vpix)に対応する階調電流Ipixを生成し、出力イネ−ブル信号OEに基づくタイミング及び一定の信号幅(パルス幅)で、該階調電流Ipixを各データラインDLを介して各表示画素EMに一斉に供給する電圧電流変換・電流供給回路135Bと、を有して構成されている。
【0094】
また、本実施例に適用される走査ドライバ(図示を省略)は、上述した走査ドライバ120と同様の構成及び機能を有するシフトブロックに加え、各シフトブロックの出力部に(すなわち、各走査ラインSLに対応させて)、各走査ラインSLに接続された表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、走査信号Vselの印加時間を個別に設定した印加時間設定部(図示を省略;電流供給制御手段)が設けられた構成を有している。
【0095】
ここで、印加時間設定部により設定される、各走査ラインにおける走査信号Vselの印加時間(選択期間の時間幅)は、図19、図20に示したように、表示画素EMの配置位置(表示画素EMの行番号又は走査ラインSLの位置)がデータドライバ130Aから離れるほど、表示データの書込率が低下することから、上述した第1の実施形態において図9に示したような特性曲線Srに基づいて、各走査ライン(行)ごとの補正係数α(≧1)を規定し、例えば、1行目(データドライバ直近)の走査ラインSLにおける走査信号の印加時間(基本印加時間;基準値)を基準として、2行目以降の各走査ラインごとの印加時間を、該基本印加時間に各走査ラインごとに設定された補正係数αを乗算した数値に設定する。
【0096】
すなわち、データドライバ130Bの直近に配設された走査ラインに接続された表示画素EMに対しては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響をほとんど受けないので、データドライバ130Bにより生成された階調電流Ipixが比較的短い時間だけ、当該行の表示画素EMに供給されるように、走査信号Vselの印加時間により設定される選択期間が、上記基本印加時間程度に短く設定される。
【0097】
一方、データラインDLの配線長が長くなる位置に配置された表示画素EMにおいては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響を受けて図20に示したように書込率が低下するので、該書込率を、データドライバ130Aの直近に配置された表示画素EMの書込率と同等程度(例えば、100%、もしくは、100%に近似する書込率)となるように補正係数α(>1)を設定し、階調電流Ipixが比較的長い時間、当該行の表示画素に供給されるように選択期間(基本印加時間×α)が設定される。
【0098】
(表示装置の駆動制御動作)
次いで、上述した構成を有する表示装置における駆動制御動作について、図面を参照して説明する。
図12は、本実施例に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。ここで、図5に示した各表示画素における発光駆動回路の基本動作を適宜参照するものとする。
本実施例に係る表示装置の駆動制御動作においては、一走査期間Tsc内に、各行ごとに順次時間幅が異なるように設定される選択期間Tse(Tse1、Tse2、・・・TseN)、及び、一定の時間幅に設定された非選択期間Tnseを設定することにより実行される。
【0099】
(選択期間)
まず、図12に示すように、一走査期間のTscの開始タイミングに同期して、一定の時間に設定された電流供給期間Tcに、図11に示した構成を有するデータドライバ130Bにより、当該行の表示画素EMにおける表示データに対応するように電流値が設定された負極性の階調電流(−Ipix)が、各データラインDLに供給される。
そして、この電流供給期間Tc内であって、所定のブランク期間Tbの経過後に、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して走査信号Vsel(Vslh)が印加されるとともに、当該行の電源ラインVLに対して電源ドライバ160から電源電圧Vsclが印加されて、当該行の表示画素EMが選択状態に設定される(選択期間Tse=Tse1、Tse2、・・・TseN)。
【0100】
ここで、選択期間Tseを規定する走査信号Vselの印加タイミング(すなわち、ブランク期間Tb)は、電流供給期間Tcの終了タイミングと選択期間Tseの終了タイミングが同期するように設定される。また、選択期間Tseは、当該行の表示画素EMの配置位置(データラインDLの配線長)に対応して予め設定された補正係数αに基づいて、上記基準印加時間(1行目の走査ラインSLにおける選択期間Tse1に相当する)に当該補正係数αを乗算した時間に設定される。また、選択期間Tseは、少なくとも、データドライバ130Bから最遠方となる位置に配設された行の走査ラインSL(すなわち、最終行の走査ライン、又は、規格化位置が“1”となる位置に配置された表示画素EM)において設定される選択期間Tse(選択期間Tseの最大値)が、一定の時間幅に設定された電流供給期間Tcと同等又はそれ以下となるように、上記補正係数αが設定される。
【0101】
これにより、当該行の表示画素EMに設けられた発光駆動回路DCに、電流供給期間Tcのうち、ブランク期間Tbが経過した後に設定される選択期間Tseにおいて、データラインDLを介して負極性の階調電流(−Ipix)が供給されることにより、図4(a)に示した場合と同様に、階調電流Ipixの電流値に対応した書込電流Iaが流れるとともに、コンデンサCsに書込電流Iaに応じた電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。
【0102】
ここで、データドライバ130からデータラインDLを介して各表示画素EMに供給される階調電流Ipixは、表示データに対応した電流値を有し、また、走査ドライバ120から走査ラインSLに印加される走査信号Vselにより設定される選択期間Tseは、図9に示した場合と同様に、該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(すなわち、行番号;規格化位置)に対応して、データドライバ130からの距離(データラインDLの配線長)が長くなるほど、選択期間Tseに設定される時間が長くなるように補正されるので、該表示画素EMの表示パネル110上の配置位置(データラインDLの配線長)に関わらず、各選択期間Tseに、同一階調の表示データに対して略同等の電荷量が各表示画素EMのコンデンサCsに蓄積される。
【0103】
(非選択期間)
次いで、選択期間Tse(電流供給期間Tc)終了後の非選択期間Tnseにおいては、図12に示すように、上述した第1の実施形態と同様に、当該行の表示画素EMが非選択状態に設定されるとともに、データドライバ130Aによる階調電流Ipixの引き込み動作が停止される。
これにより、選択期間Tseにおいて当該表示画素EMのコンデンサCsに蓄積された電荷(充電電圧)が保持されて、図4(b)に示した場合と同様に、有機EL素子OELに対して、上記書込電流Iaと同等の電流値を有する発光駆動電流Ibが流れ、表示データに対応する輝度階調で有機EL素子OELが発光する動作を継続する。
【0104】
したがって、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように階調電流の供給時間(表示画素の選択期間)が補正されて、データドライバ直近に配置された表示画素と同等の書込率で表示データが書き込まれるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルの全域で輝度階調の均一化を図ることができ、表示画質の向上を図ることができる。
【0105】
また、本実施例に係る表示装置においては、表示パネル上における各表示画素の配置位置(各走査ラインの配設位置)に応じて、各走査ラインごとの選択期間の時間幅(例えば、各走査ラインごとに設けられる印加時間設定部における、各走査信号の印加時間)を予め固定的に設定しておくことができるので、駆動制御動作に対する処理負担を軽減することができるとともに、既存のデータドライバをそのまま適用することができ、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して表示画質を向上した表示装置を簡易に実現することができる。
【0106】
次に、本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用される他の実施例について、図面を参照して説明する。
図13は、本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバの他の構成例を示す概略ブロック図である。ここで、上述した実施形態に示したデータドライバと同一の構成については、同等の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
【0107】
上述した実施例においては、各表示画素EMへの表示データの書込みに際し、走査ドライバにより設定される選択期間の時間幅を、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(データラインDLの配線長)に応じて補正する構成及び駆動制御方法について説明したが、本実施例においては、データドライバによる階調電流Ipixの供給時間(電流供給期間の時間幅)を補正処理することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データ(階調電流)の書込率が均一化されるように制御される。
【0108】
図13に示すように、本実施形態に適用されるデータドライバ13Cは、上述した実施例に示したデータドライバ130Bと同様の構成及び機能を有するシフトレジスタ回路131C、データレジスタ回路132C、データラッチ回路133C、D/Aコンバ−タ134C、電圧電流変換・電流供給回路135Cと、上記データレジスタ回路132Cにおいて取り込んだ表示データD0〜Dmが書き込まれる各表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、電圧電流変換・電流供給回路135Cにより生成された階調電流IpixをデータラインDL(各表示画素EM)に供給する電流供給期間(電流供給パルスのパルス幅)を補正する供給時間補正回路(電流供給制御手段)136Cと、を有して構成されている。
【0109】
ここで、供給時間補正回路136Cにより設定される、各表示画素EMへの階調電流Ipixの供給時間は、上述した第1の実施形態において図9に示したような特性曲線Srに基づく補正テーブルを用いて、各行の表示画素ごとの補正係数α(≧1)を抽出し、例えば、1行目(データドライバ直近)の表示画素における階調電流Ipixの供給時間(基本供給時間;基準値)を基準として、2行目以降の各行ごとの供給時間を、該基本供給時間に各行ごとに設定された補正係数αを乗算した数値に設定する。
【0110】
すなわち、データドライバ130Cの直近に配設された走査ラインSLに接続された表示画素EMに対しては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響をほとんど受けないので、データドライバ130Cにより生成された階調電流Ipixが比較的短い時間だけ、当該行の表示画素EMに供給されるように、データドライバ130Cからの階調電流Ipixの供給時間が、上記基本供給時間程度に短く設定される。
【0111】
一方、データラインDLの配線長が長くなる位置に配置された表示画素EMにおいては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響を受けて図20に示したように書込率が低下するので、該書込率を、データドライバ130Cの直近に配置された表示画素EMの書込率と同等程度(例えば、100%、もしくは、100%に近似する書込率)となるように補正係数α(>1)を設定し、階調電流Ipixが比較的長い時間、当該行の表示画素EMに供給されるように電流供給時間(基本供給時間×α)が設定される。
【0112】
(表示装置の駆動制御動作)
次いで、上述した構成を有する表示装置における駆動制御動作について、図面を参照して説明する。
図14は、本実施例に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。ここで、図5に示した各表示画素における発光駆動回路の基本動作を適宜参照するものとする。
本実施例に係る表示装置の駆動制御動作においては、一走査期間Tsc内に、各々一定の時間幅に設定された選択期間Tse及び非選択期間Tnseを設定することにより実行される(Tsc=Tse+Tnse)。
【0113】
(選択期間)
すなわち、選択期間Tseにおいては、図14に示すように、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して走査信号Vsel(Vslh)が印加されるとともに、当該行の表示画素の電源ラインVLに対して電源電圧Vsclが印加されて、当該行の表示画素が選択状態に設定される(選択期間Tse)。
また、この選択期間Tse内であって、所定のブランク期間Tbの経過後に、図11に示した構成を有するデータドライバ130Cにより、当該行の表示画素における表示データに対応するように電流値が設定された負極性の階調電流(−Ipix)が、各データラインDLに供給される(電流供給期間Tc=Tc1、Tc2、・・・TcN)。
【0114】
ここで、電流供給期間Tcを規定する電流供給パルスの印加タイミング(すなわち、ブランク期間Tb)は、選択期間Tseの終了タイミングと電流供給期間Tcの終了タイミングが同期するように設定される。また、電流供給期間Tcは、当該行の表示画素EMの配置位置(データラインDLの配線長)に対応して予め設定された補正係数に基づいて、上記基準供給時間(1行目の表示画素EMに対する電流供給期間Tc1に相当する)に対して当該補正係数を乗算した時間に設定される。そして、この電流供給期間Tcの最大値(すなわち、最終行の表示画素EMに対する電流供給期間TcN)は、少なくとも、一定の時間幅に設定された上記選択期間Tseと同等又はそれ以下の時間に設定されるように、供給時間補正回路136Cに設定される補正係数αが設定されている。
【0115】
これにより、当該行の表示画素EMに設けられた発光駆動回路DCに、選択期間Tseのうち、ブランク期間Tbが経過した後に設定される電流供給期間Tcにおいて、データラインDLを介して負極性の階調電流(−Ipix)が供給されることにより、図4(a)に示した場合と同様に、階調電流Ipixの電流値に対応した書込電流Iaが流れるとともに、コンデンサCsに書込電流Iaに応じた電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。
【0116】
ここで、データドライバ130CからデータラインDLを介して各表示画素EMに供給される階調電流Ipixは、表示データに対応した電流値を有するとともに、該階調電流Ipixの供給時間(電流供給期間Tc)は、各表示画素の表示パネル110上での配置位置(すなわち、行番号;規格化位置)に対応して、データドライバ130Cからの距離(データラインDLの配線長)が長くなるほど、供給時間が長くなるように補正されるので、該表示画素EMの表示パネル110上の配置位置(データラインDLの配線長)に関わらず、同一階調の表示データに対して略同等の電荷量が各表示画素EMのコンデンサCsに蓄積される。
【0117】
(非選択期間)
次いで、選択期間Tse(電流供給期間Tc)終了後の非選択期間Tnseにおいては、図14に示すように、上述した実施例と同様に、当該行の表示画素EMが非選択状態に設定されるとともに、データドライバ130Aによる階調電流Ipixの引き込み動作が停止されることにより、選択期間Tseにおいて当該表示画素EMのコンデンサCsに蓄積された電荷(充電電圧)が保持されて、図4(b)に示した場合と同様に、有機EL素子OELに対して、上記書込電流Iaと同等の電流値を有する発光駆動電流Ibが流れ、表示データに対応する輝度階調で有機EL素子OELが発光する動作を継続する。
【0118】
したがって、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように階調電流の供給時間(電流供給期間)が補正されて、データドライバ直近に配置された表示画素と同等の書込率で表示データが書き込まれるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルに全域で輝度階調の均一化を図ることができ、表示画質の向上を図ることができる。
【0119】
なお、本実施形態に係る各実施例においては、データドライバにより表示データに応じた電流値を有する階調電流Ipixを生成して、各表示画素EMに供給する構成及び駆動制御方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一定の電流値を有する信号電流の信号幅(パルス幅)を、各表示データに応じて設定するパルス幅変調(PWM)制御方式を採用した駆動制御方法に適用するものであってもよい。
【0120】
図15は、本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバのさらに他の構成例を示す概略ブロック図である。
図15に示すように、本実施例に適用されるデータドライバ130Dは、例えば、各列のデータラインDLに接続された表示画素EMに供給される階調電流Ipixの電流値を規定する、一定の電流値を有する定電流Ipを生成して出力する定電流発生回路131Dと、該定電流発生回路131Dから供給される定電流Ipを、後述する定電流ラッチ回路134Dの各々へ順次供給するタイミングを設定するシフトレジスタ132Dと、シフトレジスタ132Dから所定のタイミングで順次出力されるスイッチ切換信号(シフト出力)SRにより、上記定電流発生回路131Dから各定電流ラッチ回路134Dへの定電流Ipの供給状態を制御する複数のスイッチ手段133Dと、データラインDLごとに設けられ、定電流発生回路131Dから供給される定電流Ipを、シフトレジスタ132Dに基づく所定のタイミングで各スイッチ手段133Dを介して順次取り込んで保持(記憶)する複数の定電流ラッチ回路134Dと、各データラインDLに接続され、表示信号生成回路150から供給される表示データに含まれる輝度階調成分に基づいて、パルス幅変調(PWM)制御によって定電流ラッチ回路134Dから出力される一定電流値を有する信号電流Idの信号幅を設定するPWM制御回路135Dと、上記PWM制御回路135Dにおいて取り込んだ表示データが書き込まれる各表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、PWM制御回路135Dにより設定された信号電流Idの信号幅を補正し、所定の電流供給期間(電流供給パルスのパルス幅)で、上記信号電流Idを階調電流Ipixとして各データラインDL(各表示画素EM)に供給するパルス幅補正回路(電流供給制御手段)136Dと、を備えて構成されている。
【0121】
ここで、パルス幅補正回路136Dにより設定される、各表示画素EMへの階調電流Ipixの電流供給期間は、上述した第1の実施形態に示したような表示画素の配置位置と補正係数との関係が規定された補正テーブルを用いて、各行の表示画素ごとの補正係数α(≧1)を抽出し、PWM制御回路135Dにおいて各表示データに基づいて設定された信号電流Idの信号幅に対して、抽出された補正係数αを乗算した信号幅に設定する。そして、この電流供給期間の最大値(すなわち、最終行の表示画素に対して最大階調表示動作を行う場合の電流供給期間)は、少なくとも、一定の時間幅に設定された各行の表示画素EMにおける選択期間Tseと同等又はそれ以下の時間に設定されるように、パルス幅補正回路136Dに設定される補正係数αが設定されている。
【0122】
このような構成を有する表示装置における駆動制御動作(駆動制御方法)は、表示画素EMの選択期間中に、表示データ及び表示画素EMの配置位置に対応した電流供給時間(電流供給パルスのパルス幅)で、一定の電流値を有する階調電流Ipixを各表示画素に供給することにより、表示画素EM(発光素子)の階調制御を行う。
【0123】
すなわち、上述したような構成を有する表示装置において、まず、定電流発生回路131Dから供給される一定の電流値を有する定電流Ipが、シフトレジスタ132Dから出力されるスイッチ切換信号(シフト出力)SRに基づいて、個別のタイミングで各定電流ラッチ回路に取り込み、保持される。そして、システムコントローラ140から出力される出力イネーブル信号OEに基づいて、所定のタイミングで、各データラインDLに対応して一定電流値を有する信号電流Idが一斉に出力され、PWM制御回路135Dにより各表示データに含まれる輝度階調成分に応じて、各信号電流Idの信号幅が設定される。
【0124】
次いで、パルス幅補正回路136Dにより上記各表示データが書き込まれる表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に基づいて、予め設定された補正係数αを用いて、上記各信号電流Idの信号幅に当該補正係数を乗算する補正処理を行い、電流供給期間を設定し、各表示画素に設定される選択期間中の該電流供給期間に、信号電流Idを階調電流Ipixとして各データラインDLを介して表示画素EMに供給する。
これにより、選択状態に設定された表示画素EMに、表示データ及び表示画素の配置位置に応じた電流供給期間、階調電流Ipix(書込電流Ia)が供給され、該表示画素(発光駆動回路DC)に設けられたコンデンサCsに表示データに応じた電荷が保持される。
【0125】
そして、上記選択期間の終了後の非選択期間においては、選択期間において当該表示画素EMのコンデンサCsに蓄積された電荷(充電電圧)に基づいて、有機EL素子OELに対して、上記階調電流Ipix(書込電流Ia)と同等の電流値を有する発光駆動電流Ibが流れ、表示データに対応する輝度階調で有機EL素子OELが発光する動作を継続する。
【0126】
したがって、本実施例においても、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように階調電流の供給時間(電流供給期間)が補正されて、表示パネルの全域で表示データが同等の書込率で書き込まれることになるので、データラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、輝度階調の均一化を図ることができ、表示画質の向上を図ることができる。
【0127】
なお、本実施形態に示した各実施例においても、上述した第1の実施形態と同様に、各行の表示画素EMに表示データを書き込む動作(階調電流を供給する動作)に先立って、各データラインDL及び表示画素EMにリセット電圧(例えば、0V)を印加して、データラインDLや表示画素EMに保持されている電荷を放電させるリセット動作(リセット期間)を実行するものであってもよい。
これによれば、各表示画素への表示データの書込動作に際し、常に一定の初期化状態に設定されたデータライン及び表示画素に対して、階調電流が供給されることになるので、各表示画素に表示データに適切に対応した電荷が蓄積されることになり、有機EL素子を適切な輝度階調で発光動作させることができる。
【0128】
また、上述したような第1及び第2の本実施形態においては、別個の実施形態として構成及び駆動制御方法を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、表示データに対応した電流値を有する階調電流の各表示画素への供給に際し、第1の実施形態に示したように、該表示画素の配置位置に応じて該階調電流の電流値を補正する手法に加え、第2の実施形態に示したように、当該表示画素の配置位置に応じて当該階調電流の電流供給期間のパルス幅も補正する手法を適用して、階調電流の電流値と供給期間の双方を調整することにより、表示データ及び表示画素の配置位置により適切に対応した書込動作を行うようにしてもよい。
【0129】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
上述した第1及び第2の実施形態においては、表示パネル上の各表示画素の配置位置(データラインの配線長)に基づく表示データの書込率の低下を抑制するために、各表示画素に供給される階調電流の電流値や供給時間を調整する補正処理を行う構成及び駆動制御方法について説明したが、本実施形態においては、データドライバから見た各表示画素における容量負荷を均一化するように構成することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データの書込率が均一化されるように制御される。
【0130】
図16は、本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用可能な表示パネル(表示画素)の一構成例を示す概略構成図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、同一の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
本実施例では、表示画素の発光駆動回路に設けられる容量成分(コンデンサCs)に蓄積される電荷量を、当該表示画素の配置位置に応じて補正することにより、各表示画素における表示データの書込率を略均一化する構成及び駆動制御方法について説明する。
【0131】
図16(a)、(b)に示すように、本実施例に係る表示パネル110Eにおいては、マトリクス状に配列された各表示画素EMi(i=1、2、・・・n)の発光駆動回路DCiに設けられるコンデンサCsiの容量値が、該表示画素EMiの表示パネル110E上での配置位置に応じて、各々、固定的に設定された構成を有している。
すなわち、図20に示したように、表示パネル110にマトリクス状に配列された各表示画素EMiにおける表示データ(階調電流)の書込率は、該表示画素EMiの表示パネル110E上での配置位置(データドライバ130からのデータドライバの配線長)に依存し、データドライバの直近の位置に配置された表示画素EMi(例えば、i=1)においては、データラインの配線容量及び配線抵抗の影響をほとんど受けることがないのに対して、データドライバ130から離れるにしたがって、配線容量及び配線抵抗の影響を受けて表示データの書込率が低下し、データドライバ130から最遠方の位置に配置された表示画素EMi(例えば、i=n)においては、データラインDLの略全長分の配線容量の影響を受けることになる。
【0132】
そこで、本実施例においては、表示パネル上のいずれの位置に配置された表示画素においても、データドライバから見た容量負荷が略一定になるように、すなわち、データドライバから各表示画素までのデータラインに寄生する配線容量、及び、当該表示画素EMiの画素駆動回路DCiに設けられたコンデンサCsiからなる容量成分の総和が略一定になるように、各表示画素EMiのコンデンサCsiの容量値を設定する。
【0133】
具体的には、図16(b)に示すように、データドライバ130から最遠方の位置に配置された表示画素(最終行の表示画素)EMnにおいては、該表示画素EMnにおける発光駆動動作に必要な最低限の容量値C0が発光駆動回路DCnのコンデンサCsnに設定される。これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EMnの容量負荷は、コンデンサCsnの容量値C0に、データラインDLの全長分に相当する配線容量Cxが付加された容量値(C0+Cx)となる。
【0134】
一方、データドライバ130の直近の位置に配置された表示画素(1行目の表示画素)EM1においては、上述した発光駆動動作に必要な最低限の容量値C0に加え、データラインDLの全長分に相当する配線容量Cxが付加された容量値(C0+Cx)を、発光駆動回路DCiのコンデンサCsiに設定する。これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EM1の容量負荷は、上述した最遠方に配置された表示画素EMnと同等の容量値(C0+Cx)を有することになる。
【0135】
また、上記以外の位置に配置された表示画素EMiにおいても、データドライバ130から見た当該表示画素EMiの容量負荷が、容量値(C0+Cx)となるように、コンデンサCsiの容量値が設定される。すなわち、コンデンサCsiは、該表示画素EMiにおける画素駆動動作に必要な容量値C0に加え、データラインDLの全長から、データドライバDLから当該表示画素EMiまでのデータラインDLの配線長分を差し引いた配線長分(すなわち、表示画素EMi及び表示画素EMn間のデータラインDLの配線長)に相当する配線容量Czが付加された容量値(C0+Cz)を有するように設定される。
【0136】
これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EMiの容量負荷は、コンデンサCsiの容量値C0と、データドライバDLから当該表示画素EMiまでのデータラインDLの配線長分の容量値(Cx−Cz)と、表示画素EMiから表示画素EMnまでのデータラインDLの配線長分の容量値Czと、の総和となり、上述した表示画素EM1、EMnと同等の容量値(C0+Cx)を有することになる。
【0137】
このような構成を有する表示装置によれば、各表示画素への表示データの書込動作において、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、データドライバから見た容量負荷が略均一となるので、各行の表示画素の選択期間や表示データ(階調電流)の供給期間を制御することなく、表示データの書込率を均一化することができ、表示パネル全域における発光輝度を均一化して表示画質の向上を図ることができる。
【0138】
また、本実施例に係る表示装置においては、表示パネル上における各表示画素の配置位置に応じて、各表示画素に設けられるコンデンサの容量値を予め固定的に設定しておくことができるので、駆動制御動作に対する処理負担を軽減することができるとともに、既存のデータドライバや走査ドライバをそのまま適用することができ、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して表示画質を向上した表示装置を簡易に実現することができる。
【0139】
次に、本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用される他の実施例について、図面を参照して説明する。
図17は、本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用可能な表示パネル(表示画素)の他の構成例を示す概略構成図である。ここで、上述した実施例と同等の構成については、同等の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
【0140】
上述した実施例においては、表示画素の表示パネル上での配置位置(データドライバから表示画素までのデータラインDLに寄生する配線容量)に応じて、各表示画素に設けられる発光駆動回路のコンデンサの容量値を補正する構成について説明したが、本実施例においては、各表示画素の配置位置(各走査ラインの行番号)に応じて、各行ごとに設けられる電源ライン(信号供給ライン)に付加される容量成分を補正することにより、各表示画素における表示データの書込率を略均一化する。
【0141】
図17に示すように、本実施例に係る表示パネル110Fにおいては、マトリクス状に配列された各表示画素EMiの発光駆動回路DCiに設けられるコンデンサCsの容量値が、少なくとも、該表示画素EMiにおける発光駆動動作に必要な一定の容量値C0に設定されているとともに、各行の表示画素EMiごとに配設される電源ラインVLに付加される補正容量(容量成分)Cvの容量値Cviが、該表示画素EMiの表示パネル110E上での配置位置(表示画素EMiの行番号i)に応じて、各々、固定的に設定された構成を有している。
【0142】
すなわち、図17に示すように、データドライバ130から最遠方の位置に配置された表示画素(最終行の表示画素)EMnに接続された電源ラインVLnにおいては、容量値Cvnが0となる補正容量Cvが付加される(換言すれば、電源ラインVLnに補正容量Cvが付加されない)。これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EMnの容量負荷は、コンデンサCsnの容量値C0に、データラインDLの全長分に相当する配線容量Cxが付加された容量値(C0+Cx)となる。
【0143】
一方、データドライバ130の直近の位置に配置された表示画素(1行目の表示画素)EM1に接続された電源ラインVL1においては、容量値Cv1としてデータラインDLの全長分に相当する配線容量Cxとなる補正容量Cvが付加される。これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EM1の容量負荷は、上述した最遠方に配置された表示画素EMnと同等の容量値(C0+Cx)を有することになる。
【0144】
また、上記以外の位置に配置された表示画素EMiに接続された電源ラインVLiにおいても、データドライバ130から見た当該表示画素EMiの容量負荷が、容量値(C0+Cx)となるように、補正容量Cvの容量値Cviが設定される。すなわち、電源ラインVLiに付加される補正容量Cvは、データラインDLの全長から、データドライバDLから当該表示画素EMiまでのデータラインDLの配線長分を差し引いた配線長分(すなわち、表示画素EMi及び表示画素EMn間のデータラインDLの配線長)に相当する配線容量Czが付加された容量値Czを有するように設定される。
【0145】
これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EMiの容量負荷は、コンデンサCsiの容量値C0と、データドライバDLから当該表示画素EMiまでのデータラインDLの配線長分の容量値(Cx−Cz)と、表示画素EMiから表示画素EMnまでのデータラインDLの配線長分の容量値Czと、の総和となり、上述した表示画素EM1、EMnと同等の容量値(C0+Cx)を有することになる。
【0146】
このような構成を有する表示装置によれば、各表示画素への表示データの書込動作において、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、データドライバから見た容量負荷が略均一となるので、表示データの書込率を均一化することができ、表示パネル全域における発光輝度を均一化して表示画質の向上を図ることができる。
【0147】
また、本実施例に係る表示装置においては、表示パネル上における各表示画素の配置位置に応じて、各表示画素に設けられたコンデンサの容量値を個別に補正する必要がなく、各行ごとの表示画素に接続される電源ラインに付加される補正容量の容量値を予め固定的に設定すればよいので、表示データの書込率を簡易な構成で均一化することができるとともに、駆動制御動作に対する処理負担の軽減及びデータドライバから見た容量負荷の安定化を図ることができる。さらに、既存の表示パネルやデータドライバ、走査ドライバをそのまま適用することができるので、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して表示画質を向上した表示装置を簡易に実現することができる。
【0148】
なお、上述した各実施形態及び各実施例に示した表示装置においては、表示パネルの特定の一端側(図面上方側)にデータドライバを配置し、1行目の走査ラインに接続された表示画素を、直近の配置位置(規格化位置“0”)とし、最終行の走査ラインに接続された表示画素を、最遠方の配置位置(規格化位置“1”)に設定した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、データドライバを表示パネルの下方側に配置され構成を有するものであってもよいことはいうまでもない。要するに、データドライバの直近に配置された表示画素の位置を規格化位置“0”とし、最遠方に配置された表示画素の位置を規格化位置“1”として、上記補正係数を設定し、該補正係数に基づいて、各表示画素に書き込まれる表示データの書込率を略均一化することができるものであれば他の構成を有するものであってもよい。
【0149】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法によれば、有機EL素子等のような電流制御型の発光素子を備えた複数の表示画素を、互いに直交する複数のデータライン及び複数の走査ラインの交点近傍に配置した表示パネルに対して、表示データに応じた階調電流を供給することにより、所望の画像情報を表示する表示装置において、各表示画素への表示データの書込動作に際し、表示パネル上でのデータドライバから当該表示画素までのデータドライバに沿う配置位置に応じて、階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間、あるいは、データドライバから見た各表示画素における容量負荷を調整制御(補正)することにより、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、表示データに応じた階調電流によって供給される供給電荷量に対し、表示画素に書き込まれる電荷量の割合(書込率)が一定となる方向に補正することができるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して、表示画質の向上を図ることができる。
【0150】
また、上記階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間を調整制御する手法としては、表示画素の配置位置と階調電流の供給状態の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、表示画素の配置位置に基づいて、該補正テーブルから補正係数を一義的に抽出し、該補正係数を所定の基準値に乗算することにより、階調電流の供給状態を調整制御すること手法を適用することができるので、比較的簡易かつ制御負担の少ない駆動制御方法により、輝度階調の均一化を実現することができる。
【0151】
さらに、各行の表示画素に上記階調電流を供給する動作に先立って、各データライン及び表示画素に所定電圧を有するリセット信号を印加して、データラインや表示画素に保持されている電荷を放電させるリセット動作を実行するものであってもよく、これによれば、各表示画素への表示データの書込動作に際し、常に一定の初期化状態に設定された表示画素に対して、上記階調電流が供給されることになるので、各表示画素に表示データに適切に対応した電荷が蓄積され、発光素子を適切な輝度階調で発光動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示装置の基本構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る表示装置の要部構成を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る表示装置に適用可能な表示画素(発光駆動回路)の具体回路例を示す回路構成図である。
【図4】本実施例に係る発光駆動回路の動作状態を示す概念図である。
【図5】本実施例に係る発光駆動回路を適用した表示画素の基本動作を示すタイミングチャ−トである。
【図6】本実施例に係る表示画素を適用した表示装置の一構成例を示す概略ブロック図である。
【図7】本発明に係る表示装置の第1の実施形態に適用可能なデータドライバを示す概略ブロック図である。
【図8】本実施形態に係るデータドライバに適用可能な電圧電流変換・電流供給回路の一例を示す回路構成図である。
【図9】本実施形態に係るデータドライバに適用可能な電流値補正回路における補正処理のための特性曲線を示す図である。
【図10】本実施形態に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。
【図11】本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバの一構成例を示す概略ブロック図である。
【図12】本実施例に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。
【図13】本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバの他の構成例を示す概略ブロック図である。
【図14】本実施例に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。
【図15】本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバのさらに他の構成例を示す概略ブロック図である。
【図16】本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用可能な表示パネル(表示画素)の一構成例を示す概略構成図である。
【図17】本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用可能な表示パネル(表示画素)の他の構成例を示す概略構成図である。
【図18】従来技術における発光素子型ディスプレイに適用される表示画素の構成例を示す等価回路図である。
【図19】表示パネルにおける表示画素の配置位置とデータラインの配線長の関係を示す概略構成図である。
【図20】表示パネルにおける表示画素の配置位置(規格化位置)と表示データの書込率との関係をシミュレーション結果である。
【図21】表示パネルの特定の位置(規格化位置“0”及び規格化位置“1”)に配置された表示画素における入力電流(規格化電流)に対する出力輝度(規格化輝度)の関係を示すシミュレーション結果である。
【符号の説明】
100 表示装置
110 表示パネル
120 走査ドライバ
130 データドライバ
140 システムコントローラ
150 表示信号生成回路
160 電源ドライバ
EM 表示画素
DC 発光駆動回路
SL 走査ライン
DL データライン
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法に関し、特に、表示データに応じた電流を供給することにより所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子を備えた表示画素を、複数配列してなる表示パネルに適用可能な表示駆動装置、及び、該表示駆動装置を備えた表示装置、並びに、該表示装置における駆動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)や発光ダイオード(LED)等のように供給される駆動電流の電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子を備えた表示画素を、2次元配列した表示パネルを具備する発光素子型のディスプレイ(表示装置)が知られている。
【0003】
特に、アクティブマトリックス駆動方式を適用した発光素子型ディスブレイは、近年普及が著しい液晶表示装置(LCD)に比較して、表示応答速度が速く、視野角依存性もなく、また、高輝度・高コントラスト化、表示画質の高精細化、低消費電力化等が可能であるとともに、液晶表示装置の場合のように、バックライトを必要としないので、一層の薄型軽量化が可能という極めて優位な特徴を有しており、次世代のディスプレイとして研究開発が盛んに行われている。
【0004】
そして、このような発光素子型ディスブレイにおいては、上述した電流制御型の発光素子を発光制御するための駆動制御機構や制御方法が種々提案されている。例えば、特許文献1等に記載されているように、表示パネルを構成する各表示画素ごとに、上記発光素子に加えて、該発光素子を発光制御するための複数のスイッチング手段からなる駆動回路(以下、便宜的に「発光駆動回路」又は「画素駆動回路」と記す)を備えたものが知られている。
【0005】
図18は、従来技術における発光素子型ディスプレイに適用可能な表示画素の構成例を示す等価回路図である。
すなわち、特許文献1等に記載された表示画素は、図18に示すように、表示パネルにマトリクス状に配設された複数の走査ライン(選択ライン)SL及びデータライン(信号ライン)DLの各交点近傍に、ゲート端子が走査ラインSLに、ソース端子及びドレイン端子がデータラインDL及び接点N111に各々接続された薄膜トランジスタ(TFT)Tr111と、ゲート端子が接点N111に接続され、ソース端子に接地電位Vgndが印加された薄膜トランジスタTr112と、を備えた発光駆動回路DCp、及び、該発光駆動回路DCpの薄膜トランジスタTr112のドレイン端子にアノード端子が接続され、カソード端子に接地電位Vgndよりも低電位の低電源電圧Vssが印加された有機EL素子(電流制御型の発光素子)OELを有して構成されている。
【0006】
ここで、図18において、Cpは、薄膜トランジスタTr112のゲート−ソース間に形成される寄生容量である。また、薄膜トランジスタTr111は、nチャネル型の電界効果型トランジスタにより構成され、薄膜トランジスタTr112は、pチャネル型の電界効果型トランジスタにより構成されている。
そして、このような構成を有する発光駆動回路DCpにおいては、薄膜トランジスタTr111及びTr112からなる2個のトランジスタ(スイッチング手段)を所定のタイミングでオン、オフ制御することにより、以下に示すように、有機EL素子OELを発光制御する。
【0007】
すなわち、発光駆動回路DCpにおいて、図示を省略した走査ドライバにより、走査ラインSLにハイレベルの走査信号Vselを印加して表示画素を選択状態に設定すると、薄膜トランジスタTr111がオン動作して、図示を省略したデータドライバによりデータラインDLに印加された、表示データに応じた階調信号電圧Vpixが薄膜トランジスタTr111を介して、接点N111(すなわち、薄膜トランジスタTr112のゲート端子)に印加される。これにより、薄膜トランジスタTr112が上記階調信号電圧Vpixに応じた導通状態でオン動作して、接地電位Vgndから所定の発光駆動電流が薄膜トランジスタTr112及び有機EL素子OELを介して低電源電圧Vssに流れ、有機EL素子OELが上記表示データに応じた輝度階調で発光動作する。
【0008】
次いで、走査ラインSLにローレベルの走査信号Vselを印加して表示画素を非選択状態に設定すると、薄膜トランジスタTr111がオフ動作することにより、データラインDLと発光駆動回路DCpとが電気的に遮断される。これにより、薄膜トランジスタTr112のゲート端子に印加された電圧が寄生容量CP1により保持されて、薄膜トランジスタTr112は、オン状態を持続することになり、上記選択状態と同様に、接地電位Vgndから所定の発光駆動電流が薄膜トランジスタTr12を介して有機EL素子OELに流れて、発光動作が継続される。この発光動作は、次の表示データに応じた階調信号電圧が各表示画素に印加される(書き込まれる)まで、例えば、1フレーム期間継続されるように制御される。
このような駆動制御方法は、各表示画素(薄膜トランジスタTr112のゲート端子)に印加する電圧(階調信号電圧)を調整することにより、有機EL素子OELに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所定の輝度階調で発光動作させていることから、電圧指定方式(又は、電圧印加方式)と呼ばれている。
【0009】
ところで、上述したような電圧指定方式を採用した発光駆動回路を備えた表示画素においては、選択機能を有する薄膜トランジスタTr111や発光駆動機能を有する薄膜トランジスタTr112の素子特性(チャネル抵抗等)が、外部環境(周囲の温度等)や使用時間等に依存してバラツキや変動(劣化)を生じた場合には、発光素子(有機EL素子OEL)に供給される発光駆動電流に影響を与えることになり、長期間にわたり安定的に所望の発光特性(所定の輝度階調での表示)を実現することが困難になるという問題を有していた。
【0010】
また、表示パネルの高精細化を図るために、各表示画素を微細化すると、発光駆動回路DCpを構成する薄膜トランジスタTr111及びTr112の動作特性(ソース−ドレイン間電流等)のバラツキが大きくなるため、適正な階調制御が行えなくなり、各表示画素の発光特性にバラツキが生じて表示画質の劣化を招くという問題を有していた。
そこで、このような問題点を解決する構成として、いわゆる、電流印加方式(又は、電流指定方式)と呼ばれる駆動制御方法に対応した発光駆動回路の構成が知られている。なお、この電流印加方式に対応した発光駆動回路の構成例については、後述する発明の実施の形態において詳しく説明するが、概略、以下のような構成及び動作(機能)を有するものである。
【0011】
すなわち、電流印加方式においては、発光素子(例えば、上述した有機EL素子OEL等)に供給する発光駆動電流の電流値を制御する駆動電流制御手段(上述した薄膜トランジスタTr112に相当する)を備え、該駆動電流制御手段に対して、表示データに応じた電流値を指定した階調電流をデータドライバから直接供給し、該電流に基づいて保持される電圧に基づいて、上記発光駆動電流の電流値を設定制御して、発光素子を所定の輝度階調で発光動作させるように構成されている。
【0012】
このように、電流印加方式を採用した発光駆動回路においては、上述した駆動電流制御手段により、各表示画素に供給される表示データに応じた階調電流の電流レベルを電圧レベルに変換する機能(電流/電圧変換機能)と、該電圧レベルに基づく所定の電流値を有する発光駆動電流を発光素子に供給する機能(発光駆動機能)とを実現することができるので、電流生成制御手段を、例えば、単一の能動素子(薄膜トランジスタ)により構成することにより、図18に示したような複数の薄膜トランジスタ相互の動作特性のバラツキが、発光駆動電流に与える影響を抑制することができるという利点を有している。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−156923号公報 (第4頁、図2)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような電流印加方式を採用した発光駆動回路においては、以下に示すような問題を有していた。
すなわち、電流指定方式の発光駆動回路においては、最下位又は比較的輝度階調の低い表示データに基づく階調電流を各表示画素に書き込む場合(低階調表示時)、表示データの輝度階調に対応した小さい電流値を有する信号電流を各表示画素に供給する必要がある。
【0015】
ここで、各表示画素に表示データ(階調電流)を書き込む動作は、データラインに寄生する容量成分(配線容量)を所定の電圧まで充電することに相当するため、特に、表示パネルの大型化等によりデータラインの配線長を長く設計した場合には、階調電流の電流値が小さくなるほど(すなわち、低階調表示時ほど)、データラインの配線容量や配線抵抗の影響を受けやすくなって、同一の電流値を有する階調電流を各表示画素に供給した場合であっても、当該表示画素の表示パネルにおける配置位置によって、表示データに応じた階調電流によって供給される供給電荷量に対し、表示画素に実際に書き込まれる電荷量の割合(書込率)が異なるという問題を有していた。
【0016】
図19は、表示パネルにおける表示画素の配置位置とデータラインの配線長の関係を示す概略構成図である。ここで、図19に示す表示画素は、図18に示した発光駆動回路DCpと有機EL素子OELを含む構成を有している。
具体的には、図19に示すように、データドライバ130において、各表示画素に供給される階調電流が入力される階調電流入力端に対して、表示パネル110上であって、略直近の位置に配置された(例えば、1行目の走査ラインに接続された)表示画素EMaと、最遠の位置に配置された(例えば、最終行であるn行目の走査ラインに接続された)表示画素EMbとでは、階調電流入力端から経由するデータラインDLの配線長が短い表示画素EMaにおいては、該データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響をほとんど受けることなく、データドライバからの階調電流がそのまま瞬時に供給されるのに対して、階調電流入力端から経由するデータラインDLの配線長が長い(データラインDLの全長分)表示画素EMbにおいては、該データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響を受けて、書込動作が大きく遅延する。
【0017】
ここで、例えば、図20(a)に示すように、表示パネル上における表示画素の配置位置を、データドライバ直近の位置(階調電流入力端)を規格化位置“0”、データドライバから最遠となる位置(最遠方位置)を規格化位置“1”と規定し、また、書込動作の状態を所定の選択期間に各表示画素に書き込まれた表示データの比率(書込率)で表すと、規格化位置“0”では略100%の書込率が得られるのに対して、規格化位置“1”では書込率が10%程度にまで低下するシミュレーション結果も得られている。
【0018】
なお、図20は、表示パネルにおける表示画素の配置位置(規格化位置)と表示データの書込率との関係をシミュレーション結果である。ここで、図20(a)に示したシミュレーション結果は、図20(b)に示すように、37インチの画面サイズを有し、水平画素数1365、垂直画素数768データラインの配線幅544μm、データラインの配線容量19.9pFに構成された表示パネルを用い、画素選択時間22μsec、最高階調電流値19.37μA/pix、最低階調電流値0.30μA/pixと設定して、特定の階調電流を供給し、各表示画素の有機EL素子を発光動作させた場合の発光輝度を測定し、設計値(理想値)500cd/m2に対する比率(書込率)を算出したものである。
【0019】
そのため、表示パネルに配設された走査ライン数等に基づいて予め設定された選択期間(書込時間)では、表示画素に表示データを充分に書き込むことができない(飽和状態に達しない)、いわゆる、書込不足が生じ、表示データに応じた適切な輝度階調で発光動作することができない表示画素が発生して、表示パネル内で輝度差が生じて表示画質の劣化を招くという問題を有していた。
このような問題は、表示パネルを高精細化して走査ラインの数を増加させ、各走査ラインの選択期間を短く設定した場合には、より顕著になり、表示パネルの高精細化を制約するという問題も有していた。
【0020】
また、上述したような表示データの書込不足の問題を解決するために、各表示画素に供給される階調電流の電流値を大きく設定することも考えられるが、この場合、図21に示すように、表示画素を同一の輝度(例えば、規格化輝度0.40)で発光動作させるためには、規格化位置“0”の表示画素に供給する電流値(規格化電流I1=0.04)に比較して、規格化位置“1”の表示画素においては、極めて大きな電流値(規格化電流I2=0.08以上)を供給する必要があり、最高輝度階調で最遠方位置に配置された表示画素を、予め設定された選択期間で良好な輝度で発光駆動するためには、データドライバの電流供給能力を極めて大きく設計しなければならないという問題を有していた。
【0021】
なお、図21は、表示パネルの特定の位置(規格化位置“0”及び規格化位置“1”)に配置された表示画素における入力電流(規格化電流)に対する出力輝度(規格化輝度)の関係を示すシミュレーション結果である。ここで、図21に示したシミュレーション結果は、図20(b)に示した仕様を有する表示パネルにおいて、規格化位置“0”及び規格化位置“1”の表示画素に供給する電流値に対する発光輝度の変化を測定し、各々を規格化して特性曲線PS0、PS1として示したものである。
【0022】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、表示パネルを構成する各表示画素の配置位置に関わらず、信号配線の寄生容量や配線抵抗に起因する表示データの書込率の低下を抑制して、均一な輝度階調で発光素子を発光動作させ、表示画質の改善を図ることができる表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の表示駆動装置は、互いに直交する複数の信号ライン及び複数の走査ラインと、該各信号ラインと各走査ラインの交点近傍に配置される、電流制御型の発光素子を備える複数の表示画素と、を備える表示パネルの該各表示画素に、前記各信号ラインを介して表示データの輝度階調に基づく階調電流を供給し、該階調電流によって前記表示画素に書き込まれる電荷量に基づいて前記各発光素子を発光動作させる表示駆動装置において、前記表示データの輝度階調範囲の少なくとも一部において、前記階調電流によって前記各表示画素に供給される供給電荷量に対して、該各表示画素に書き込まれる電荷量の割合が一定となる方向に補正する補正手段を備えることを特徴とする表示駆動装置。
請求項2記載の表示駆動装置は、請求項1記載の表示駆動装置において、前記補正手段は、前記表示データの全輝度階調範囲において、前記補正を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項3記載の表示駆動装置は、請求項1又は2記載の表示駆動装置において、前記補正手段は、少なくとも、前記表示パネルにおける、前記信号ラインの、前記表示駆動装置から該表示画素までの間に寄生する容量成分に基づいて、前記階調電流を調整制御する電流供給制御手段を備えることを特徴とする。
請求項4記載の表示駆動装置は、請求項3記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に供給する前記階調電流の電流値を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の表示駆動装置は、請求項3又は4のいずれかに記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、該表示画素を選択状態に設定する選択期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項6記載の表示駆動装置は、請求項5記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記選択期間の時間幅を、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する一定の時間幅を有する電流供給期間内で調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の表示駆動装置は、請求項3記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、該表示画素に前記階調電流を供給する電流供給期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項8記載の表示駆動装置は、請求項7記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記電流供給期間の時間幅を、前記表示画素の各々を選択状態に設定する一定の時間幅を有する選択期間内で調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項9記載の表示駆動装置は、請求項3乃至8のいずれかに記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記表示駆動装置から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置と前記階調電流の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、前記表示画素の配置位置に基づいて、前記補正テーブルを参照することにより一義的に決定された前記補正係数を用いて、前記階調電流を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項10記載の表示駆動装置は、請求項9記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の配置位置に基づいて、前記補正テーブルから抽出された前記補正係数を、所定の基準値に乗算することにより、前記階調電流を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0028】
請求項11記載の表示駆動装置は、請求項3乃至10のいずれかに記載の表示駆動装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する動作に先立って、前記表示画素に、特定のリセット信号を印加して、少なくとも、該表示画素に蓄積された電荷を放電して初期化する手段を備えることを特徴とする。
【0029】
請求項12記載の表示装置は、互いに直交する複数の信号ライン及び複数の走査ラインと、該各信号ラインと各走査ラインの交点近傍に配置される、電流制御型の発光素子を備える複数の表示画素と、を備える表示パネルの前記各表示画素に、前記各信号ラインを介して、表示データの輝度階調に基づく階調電流を供給し、該階調電流によって前記表示画素に書き込まれる電荷量に基づいて前記各発光素子発光動作させて、前記表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置において、少なくとも、前記表示パネルの前記複数の走査ラインに順次走査信号を印加して、前記表示画素を所定の選択期間毎に順次選択状態に設定する走査駆動回路と、前記選択期間毎に、前記表示パネルの前記各信号ラインに前記階調電流を印加して、該階調電流を前記各表示画素に供給する信号駆動回路と、を具備し、前記表示データの輝度階調範囲の少なくとも一部において、前記階調電流によって前記各表示画素に供給される供給電荷量に対して、該各表示画素に書き込まれる電荷量の割合が一定となる方向に補正する補正手段を備えることを特徴とする
【0030】
請求項13記載の表示装置は、請求項12記載の表示装置において、前記補正手段は、前記表示データの全輝度階調範囲において、前記補正を行うことを特徴とする。
請求項14記載の表示装置は、請求項12又は13記載の表示装置において、前記補正手段は、少なくとも、前記表示パネルにおける、前記信号駆動装置から前記表示画素までの間に寄生する容量成分に基づいて、前記階調電流を調整制御する電流供給制御手段を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項15記載の表示装置は、請求項14記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示パネルにおける前記表示画素の、該信号駆動回路から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置に応じて、該表示画素の各々に供給する前記階調電流の電流値を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項16記載の表示装置は、請求項14記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記信号駆動回路において、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号駆動回路から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置に応じて、該表示画素に前記階調電流を供給する電流供給期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
【0032】
請求項17記載の表示装置は、請求項16記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記電流供給期間の時間幅を、前記表示画素の各々を選択状態に設定する前記選択期間内で調整制御することを特徴とする。
請求項18記載の表示装置は、請求項14記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記走査駆動回路において、前記信号駆動回路より前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号駆動装置から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置に応じて、前記選択期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項19記載の表示装置は、請求項18記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記選択期間の時間幅を、前記信号駆動回路より前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する一定の時間幅を有する電流供給期間内で調整制御することを特徴とする。
【0033】
請求項20記載の表示装置は、請求項14乃至19のいずれかに記載の表示装置において、前記電流供給制御手段は、前記表示画素の配置位置と前記階調電流の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、前記表示画素の配置位置に基づいて、前記補正テーブルを参照することにより一義的に決定された前記補正係数を、所定の基準値に乗算することにより、前記階調電流の供給状態を調整制御することを特徴とする。
【0034】
請求項21記載の表示装置は、請求項14乃至20のいずれかに記載の表示装置において、前記信号駆動回路は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する動作に先立って、前記表示画素に、特定のリセット信号を印加して、少なくとも、該表示画素に蓄積された電荷を放電して初期化することを特徴とする。
請求項22記載の表示装置は、請求項14記載の表示装置において、前記補正手段は、前記表示パネルにおける、前記信号駆動回路に対する、前記各表示画素の、少なくとも、前記信号ライン及び前記表示画素の各々に付加される容量成分の総和からなる負荷容量が一定になる方向に容量値を調整する手段を備えることを特徴とする。
【0035】
請求項23記載の表示装置は、請求項14乃至22のいずれかに記載の表示装置において、前記表示画素は、少なくとも、前記階調電流に基づく電荷を電圧成分として保持する保持容量を備える電荷保持手段と、該電荷保持手段に保持された電圧成分に基づいて、前記発光素子に発光駆動電流を流す発光駆動手段と、を備えた発光駆動回路を具備し、前記発光駆動回路は、前記選択期間においては前記発光素子に前記発光駆動電流を供給しない非発光状態に設定し、前記選択期間終了後の非選択期間においては前記電荷保持手段に保持された電圧成分に基づいて、前記発光素子に前記発光駆動電流を供給して、前記階調電流に応じた輝度階調で発光動作させる発光状態に設定することを特徴とする。
請求項24記載の表示装置は、請求項23記載の表示装置において、前記補正手段は、前記表示パネルにおける、前記信号駆動回路に対する、該信号駆動回路から前記表示画素の各々までの前記信号ラインに寄生する容量成分と、該表示画素の各々に設けられた前記保持容量と、の容量値の総和からなる負荷容量が一定になる方向に前記保持容量の容量値を調整する手段を備えることを特徴とする。
【0036】
請求項25記載の表示装置は、請求項23記載の表示装置において、前記補正手段は、前記表示パネルにおける、前記信号駆動回路から前記表示画素の各々までの信号ラインに寄生する容量成分と、前記表示画素の各々に設けられた前記保持容量と、前記表示パネルの各行ごとの前記表示画素に共通に接続される特定の信号供給ラインに設けられた容量成分と、の容量値の総和からなる負荷容量が一定になる方向に、前記信号供給ラインごとに設けられる容量成分の容量値を各行ごとに個別に設定する手段を備えることを特徴とする。
請求項26記載の表示装置は、請求項14乃至25のいずれかに記載の表示装置において、前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセント素子であることを特徴とする。
【0037】
請求項27記載の表示装置の駆動制御方法は、互いに直交する複数の信号ライン及び複数の走査ラインと、該各信号ラインと各走査ラインの交点近傍に配置される、電流制御型の発光素子を備える複数の表示画素と、を備える表示パネルの前記各表示画素に、前記信号ラインを介して表示データの輝度階調に基づく階調電流を供給し、該階調電流によって前記表示画素に書き込まれる電荷量に基づいて前記各発光素子を発光動作させて、前記表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置の駆動制御方法において、前記表示データの輝度階調範囲の少なくとも一部において、前記階調電流によって前記各表示画素に供給される供給電荷量に対して、該各表示画素に書き込まれる電荷量の割合が一定となる方向に、前記階調電流を調整制御することを特徴とする。
【0038】
請求項28記載の表示装置の駆動制御方法は、請求項27記載の表示装置の駆動制御方法において、前記表示装置の駆動制御方法は、少なくとも、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号ラインに沿う配置位置に基づいて、所定の補正テーブルを参照して、前記階調電流の調整制御に係る補正係数を抽出するステップと、前記補正係数を所定の基準値に乗算して、前記階調電流の電流値を調整制御するステップと、前記調整制御された電流値を有する前記階調電流を、所定のタイミングで前記表示画素に供給するステップと、含むことを特徴とする。
【0039】
請求項29記載の表示装置の駆動制御方法は、請求項27記載の表示装置の駆動制御方法において、前記表示装置の駆動制御方法は、少なくとも、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号ラインに沿う配置位置に基づいて、所定の補正テーブルを参照して、前記階調電流の調整制御に係る補正係数を抽出するステップと、前記補正係数を所定の基準値に乗算して、前記階調電流を前記表示画素に供給する電流供給期間の時間幅を調整制御するステップと、前記表示画素の各々を選択状態に設定する一定の時間幅を有する選択期間内に、前記調整制御された時間幅を有する前記電力供給期間で、前記階調電流を前記表示画素に供給するステップと、を含むことを特徴とする。
【0040】
請求項30記載の表示装置の駆動制御方法は、請求項27記載の表示装置の駆動制御方法において、前記表示装置の駆動制御方法は、少なくとも、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号ラインに沿う配置位置に基づいて、所定の補正テーブルを参照して、前記階調電流の調整制御に係る補正係数を抽出するステップと、前記補正係数を所定の基準値に乗算して、前記表示画素を選択状態に設定する選択期間の時間幅を調整制御するステップと、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する一定の時間幅を有する電流供給期間内に、前記調整制御された時間幅を有する前記選択期間で、前記階調電流を前記表示画素に供給するステップと、を含むことを特徴とする。
【0041】
請求項31記載の表示装置の駆動制御方法は、請求項28乃至30のいずれかに記載の表示装置の駆動制御方法において、前記表示装置の駆動制御方法は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給するステップに先立って、前記表示画素に、特定のリセット信号を印加して、少なくとも、該表示画素に蓄積された電荷を放電して初期化するステップを含むことを特徴とする。
【0042】
すなわち、本発明に係る表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法は、有機EL素子等のように、供給される発光駆動電流の電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子を備えた表示画素に対して、表示データに応じた階調電流を供給することにより、該表示画素が、互いに直交する複数のデータライン(信号ライン)及び複数の走査ラインの交点近傍に配置される表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置において、各表示画素への表示データの書込動作に際し、当該表示画素の表示パネル上での配置位置、具体的には、データドライバ(信号駆動回路)から当該表示画素までのデータラインに寄生する容量成分(配線容量)に応じて、階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間、あるいは、データドライバに対する各表示画素の負荷容量を調整制御(補正)することができるように構成されている。
【0043】
これによれば、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように、上記階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間を調整制御(補正)して、階調電流によって供給される供給電荷量に対して、各表示画素に書き込まれる電荷量の割合(書込率)が一定となる方向に補正することができるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して、表示画質の向上を図ることができる。
【0044】
ここで、上記階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間を調整制御する手法としては、表示画素の配置位置と階調電流の供給状態の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、表示画素の配置位置に基づいて、該補正テーブルから補正係数を一義的に抽出し、該補正係数を所定の基準値(基本電流値、基本供給時間、基本印加時間)に乗算することにより、階調電流の供給状態を調整制御すること手法を適用することができる。
【0045】
また、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように、上記データドライバから見た各表示画素における容量負荷(具体的には、各表示画素に設けられる電荷保持手段や、該表示画素が共通に接続される行方向の信号供給ライン(電源ライン)に付加される容量成分(補正容量))を均一に調整制御(補正)することができるので、各表示画素への表示データの書込率を一定となるように設定することができ、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して、表示画質の向上を図ることができる。
【0046】
さらに、各行の表示画素に上記階調電流を供給する動作(表示データを書き込む動作)に先立って、各データライン及び表示画素に所定電圧を有するリセット信号(リセット電圧)を印加して、データラインや表示画素に保持されている電荷を放電させるリセット動作(リセット期間)を実行するものであってもよい。これによれば、各表示画素への表示データの書込動作に際し、常に一定の初期化状態に設定された表示画素に対して、上記階調電流が供給されることになるので、各表示画素に表示データに適切に対応した電荷が蓄積され、発光素子を適切な輝度階調で発光動作させることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法について、実施の形態を示して詳しく説明する。
<表示装置>
まず、本発明に係る表示駆動装置を適用可能な表示装置の概略構成(基本構成)について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る表示装置の基本構成を示す概略ブロック図であり、図2は、本発明に係る表示装置の要部構成を示す概略構成図である。
【0048】
図1、図2に示すように、本実施形態に係る表示装置100は、概略、相互に直交するように配設された複数の走査ラインSLと複数のデータライン(信号ライン)DLとの各交点近傍に、例えば、後述する発光駆動回路(画素駆動回路)及び電流制御型の発光素子(有機EL素子)を備えた複数の表示画素EMがマトリクス状に配列された表示パネル110と、該表示パネル110の走査ラインSLに接続され、各走査ラインSLに所定のタイミングで順次走査信号Vselを印加することにより、行ごとの表示画素EMを選択状態に設定(走査)する走査ドライバ(表示駆動装置、走査駆動回路)120と、表示パネル110のデータラインDLに接続され、後述する表示信号生成回路150から供給される表示データを取り込んで、所定のタイミングで各データラインDLへ表示データに応じた階調電流Ipixを供給するデータドライバ(表示駆動装置、信号駆動回路)130と、後述する表示信号生成回路150から供給されるタイミング信号に基づいて、少なくとも、走査ドライバ120及びデータドライバ130の動作状態を制御する走査制御信号及びデータ制御信号を生成して出力するシステムコントローラ140と、例えば、表示装置100の外部から供給される映像信号に基づいて、表示データを生成して上記データドライバ130に供給するとともに、該表示データを表示パネル110に画像表示するためのタイミング信号(システムクロック等)を抽出、又は、生成して上記システムコントローラ140に供給する表示信号生成回路150と、を備えて構成されている。
【0049】
以下、上記各構成について具体的に説明する。
(表示パネル110)
図2に示した表示パネル110に配列された表示画素EMは、後述するように、走査ドライバ120から走査ラインSLに走査信号Vselを印加するタイミングに基づいて、信号ドライバ130からデータラインDLに供給される階調電流Ipixを取り込んで、該階調電流Ipixに応じた電圧成分を保持する書込動作と、該電圧成分に基づく発光駆動電流を発光素子に供給して所定の輝度階調で発光させる発光動作と、を選択的に実行するように構成されている。
【0050】
すなわち、本実施形態に適用される表示画素EM(発光駆動回路)は、選択レベル(例えば、ハイレベル)の走査信号Vselが印加されることにより設定される選択状態(選択期間)においては、階調電流Ipixが書き込まれる(書込動作)とともに、発光素子への発光駆動電流の供給が遮断されて非発光状態となり、また、非選択レベル(例えば、ローレベル)の走査信号Vselが印加されることにより設定される非選択状態(非選択期間)においては、上記書込動作により書き込まれた階調電流Ipixに基づく発光駆動電流が発光素子に供給されて、該発光素子が所定の輝度階調で発光する(発光動作)。なお、本実施形態に係る表示パネルに適用される表示画素EMの具体回路例や回路動作については、詳しく後述する。
【0051】
(走査ドライバ120)
走査ドライバ120は、システムコントローラ140から供給される走査制御信号に基づいて、上記各走査ラインSLに選択レベル(例えば、ハイレベル)の走査信号Vselを順次印加することにより、各行ごとの表示画素EMを選択状態に設定し、当該選択状態(選択期間)に設定される一定期間、又は、特定の時間幅に設定された期間中に、データドライバ130により各データラインDLを介して供給される表示データに基づく階調電流Ipixを、各表示画素EMに書き込むように制御する。
【0052】
走査ドライバ120は、具体的には、図2に示すように、シフトレジスタとバッファからなるシフトブロックSB1、SB2、SB3、・・・を、各走査ラインSLに対応させて複数段備え、後述するシステムコントローラ140から走査制御信号として供給される走査クロック信号SCKに基づいて、走査スタート信号SSTを表示パネル110の上方から下方に順次シフトしつつ生成されたシフト信号を、バッファを介して所定の電圧レベル(ハイレベル)に変換して走査信号Vselとして各走査ラインSLに印加する。なお、走査ドライバにおける本発明特有の動作制御については、詳しく後述する。
【0053】
(データドライバ130)
データドライバ130は、システムコントローラ140から供給されるデータ制御信号に基づいて、後述する表示信号生成回路150から供給される1行分ごとの表示データを所定のタイミングで順次取り込み、該表示データの輝度階調に対応する電流値、又は、電流供給時間(パルス幅)に設定された階調電流Ipixを生成して、上記各走査ラインごとに設定される選択期間内の所定のタイミングで各データラインDLに供給する。なお、データドライバにおける本発明特有の構成及び動作制御については、詳しく後述する。
【0054】
(システムコントローラ140)
システムコントローラ140は、上述した走査ドライバ120及びデータドライバ130に対して、動作状態を制御する走査制御信号及びデータ制御信号を出力することにより、各ドライバを所定のタイミングで動作させて走査信号Vsel及び階調電流Ipixを生成して出力させ、表示信号生成回路150により生成される表示データを各表示画素EMに書き込んで発光動作させ、所定の画像情報を表示パネル110に表示させる制御を行う。なお、システムコントローラにより実現される駆動制御動作については、後述する各実施形態において詳しく説明する。
【0055】
(表示信号生成回路150)
表示信号生成回路150は、例えば、表示装置100の外部から供給される映像信号から輝度階調信号成分を抽出し、表示パネル110の1行分ごとに表示データとしてデータドライバ130に供給する。ここで、上記映像信号が、テレビ放送信号(コンポジット映像信号)のように、画像情報の表示タイミングを規定するタイミング信号成分を含む場合には、表示信号生成回路150は、上記輝度階調信号成分を抽出する機能のほか、タイミング信号成分を抽出してシステムコントローラ140に供給する機能を有するものであってもよい。この場合においては、上記システムコントローラ140は、表示信号生成回路150から供給されるタイミング信号に基づいて、走査ドライバ120やデータドライバ130に対して供給する走査制御信号及びデータ制御信号を生成する。
【0056】
<表示画素の具体例>
次いで、上述した表示パネルに配列される表示画素の具体回路例について、図面を参照して説明する。
図3は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示画素(発光駆動回路)の具体回路例を示す回路構成図であり、図4は、本実施例に係る発光駆動回路の動作状態を示す概念図である。図5は、本実施例に係る発光駆動回路を適用した表示画素の基本動作を示すタイミングチャ−トである。また、図6は、本実施例に係る表示画素を適用した表示装置の一構成例を示す概略ブロック図である。
【0057】
本実施例に係る表示画素EMは、図3に示すように、概略、上述した走査ドライバ120から印加される走査信号Vselに基づいて表示画素EMを選択状態に設定し、該選択状態においてデータドライバ130から供給される階調電流Ipixを取り込み、該階調電流Ipixに応じた発光駆動電流を発光素子に流す発光駆動回路DCと、発光駆動回路DCから供給される発光駆動電流に基づいて、所定の輝度階調で発光動作する有機EL素子OEL等の電流制御型の発光素子と、を有して構成されている。
【0058】
発光駆動回路DCは、例えば、図3に示すように、ゲート端子が走査ラインSLに、ソース端子が電源ラインVL(電源電圧Vsc)に、ドレイン端子が接点N1に各々接続されたnチャネル型の薄膜トランジスタTr11と、ゲート端子が走査ラインSLに、ソース端子及びドレイン端子がデータラインDL及び接点N12に各々接続されたnチャネル型の薄膜トランジスタTr12と、ゲート端子が接点N11に、ソース端子及びドレイン端子が電源ラインVL及び接点N12に各々接続されたnチャネル型の薄膜トランジスタ(発光駆動手段)Tr13と、接点N11及び接点N12間に接続されたコンデンサ(電荷保持手段)Csと、を備えた構成を有し、有機EL素子OELのアノード端子が接点N12に、カソード端子が接地電位に各々接続されている。ここで、コンデンサCsは、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に形成される寄生容量であってもよい。
【0059】
このような構成を有する発光駆動回路DCにおける発光素子(有機EL素子OEL)の発光駆動制御は、例えば、図5に示すように、一走査期間Tscを1サイクルとして、該一走査期間Tsc内に、走査ラインSLに接続された表示画素を選択して表示データに対応する階調電流Ipixを書き込み、電圧成分として保持する選択期間(書込動作期間)Tseと、該選択期間Tseに書き込み、保持された電圧成分に基づいて、上記表示データに応じた発光駆動電流を有機EL素子OELに供給して、所定の輝度階調で発光動作させる非選択期間(発光動作期間)Tnseと、を設定することにより実行される(Tsc=Tse+Tnse)。ここで、各行の表示画素EMが接続された各走査ラインSLごとに設定される選択期間Tseは、相互に時間的な重なりが生じないように設定される。
【0060】
(選択期間)
すなわち、表示画素の選択期間Tseにおいては、図5に示すように、まず、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して、ハイレベルの走査信号Vsel(Vslh)が印加されて当該行の表示画素が選択状態に設定されるとともに、当該行の表示画素の電源ラインVLに対して、ローレベルの電源電圧Vsclが印加される。また、このタイミングに同期して、データドライバ130から当該行の表示画素に対応する電流値を有する負極性の階調電流(−Ipix)が各データラインDLに供給される。
【0061】
これにより、発光駆動回路DCを構成する薄膜トランジスタTr11及びTr12がオン動作して、ローレベルの電源電圧Vsc(Vscl)が接点N11(すなわち、薄膜トランジスタTr13のゲート端子及びコンデンサCsの一端)に印加されるとともに、データラインDLを介して負極性の階調電流(−Ipix)を引き込む動作が行われることにより、ローレベルの電源電圧Vsclよりも低電位の電圧レベルが接点N12(すなわち、薄膜トランジスタTr13のソース端子及びコンデンサCsの他端)に印加される。
【0062】
このように、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間)に電位差が生じることにより、薄膜トランジスタTr13がオン動作して、図4(a)に示すように、電源ラインVLから薄膜トランジスタTr13、接点N12、薄膜トランジスタTr12、データラインDLを介して、データドライバ130に、階調電流Ipixの電流値に対応した書込電流Iaが流れる。
【0063】
このとき、コンデンサCsには、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタのTr13のゲート−ソース間)に生じた電位差に対応する電荷が蓄積され、電圧成分として保持される(充電される)。また、電源ラインVLには、接地電位以下の電圧レベルを有する電源電圧Vsclが印加され、さらに、書込電流IaがデータラインDL方向に流れるように制御されていることから、有機EL素子OELのアノード端子(接点N12)に印加される電位はカソード端子の電位(接地電位)よりも低くなり、有機EL素子OELに逆バイアス電圧が印加されていることになるため、有機EL素子OELには駆動電流が流れず、発光動作は行われない。
【0064】
(非選択期間)
次いで、選択期間Tse終了後の非選択期間Tnseにおいては、図5に示すように、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して、ローレベルの走査信号Vsel(Vsll)が印加されて当該行の表示画素が非選択状態に設定されるとともに、当該行の表示画素の電源ラインVLに対して、ハイレベルの電源電圧Vschが印加される。また、このタイミングに同期して、データドライバ130による階調電流Ipixの引き込み動作が停止される。
【0065】
これにより、発光駆動回路DCを構成する薄膜トランジスタTr11及びTr12がオフ動作して、接点N11(すなわち、薄膜トランジスタTr13のゲート端子及びコンデンサCsの一端)への電源電圧Vscの印加が遮断されるとともに、接点N12(すなわち、薄膜トランジスタTr13のソース端子及びコンデンサCsの他端)へのデータドライバ130による階調電流Ipixの引き込み動作に起因する電圧レベルの印加が遮断されるので、コンデンサCsは、上述した選択期間において蓄積された電荷を保持する。
【0066】
このように、コンデンサCsが書込動作時の充電電圧を保持することにより、接点N11及びN12間(薄膜トランジスタのTr13のゲート−ソース間)の電位差が保持されることになり、薄膜トランジスタTr13はオン状態を維持する。また、電源ラインVLには、接地電位よりも高い電圧レベルを有する電源電圧Vsc(Vsch)が印加されるので、有機EL素子OELのアノード端子(接点N2)に印加される電位はカソード端子の電位(接地電位)よりも高くなる。
【0067】
したがって、図4(b)に示すように、電源ラインVLから薄膜トランジスタTr13、接点N12を介して、有機EL素子OELに順バイアス方向に所定の発光駆動電流Ibが流れ、有機EL素子OELが発光する。ここで、コンデンサCsにより蓄積された電荷に基づく電位差(充電電圧)は、薄膜トランジスタTr13において階調電流Ipixに対応した書込電流Iaを流下させる場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流下する発光駆動電流Ibは、上記書込電流Iaと同等の電流値を有することになる。これにより、選択期間Tse後の非選択期間Tnseにおいては、選択期間Tseに書き込まれた表示データ(階調電流Ipix)に対応する電圧成分に基づいて、薄膜トランジスタTr13を介して、発光駆動電流Ibが継続的に供給されることになり、有機EL素子OELは表示データに対応する輝度階調で発光する動作を継続する。
【0068】
そして、上述した一連の動作を、表示パネル110を構成する全ての走査ラインSLについて順次繰り返し実行することにより、表示パネル1画面分の表示データが書き込まれて、所定の輝度階調で発光し、所望の画像情報が表示される。
ここで、本実施例に係る発光駆動回路DCに適用される薄膜トランジスタTr11〜Tr13については、特に限定するものではないが、薄膜トランジスタTr11〜Tr13を全てnチャネル型の薄膜トランジスタにより構成することができるため、nチャネル型アモルファスシリコンTFTを良好に適用することができる。この場合、すでに確立されたアモルファスシリコン製造技術を適用して、動作特性の安定した発光駆動回路を比較的安価に製造することができる。
【0069】
また、本実施例に係る発光駆動回路DCにおいて電源ラインVLに所定の電源電圧Vcsを印加する構成としては、例えば、図6に示すように、表示パネル110の各走査ラインSLに並行に配設された複数の電源ラインVLに接続された電源ドライバ160を備え、システムコントローラ140から供給される電源制御信号に基づいて、走査ドライバ120から出力される走査信号Vselに同期する所定のタイミング(図5参照)で、電源ドライバ160から所定の電圧値を有する電源電圧Vcsを、走査ドライバ120により走査信号Vselが印加される行(選択状態に設定される表示画素EM)の電源ラインVLに対して印加するようにした構成を良好に適用することができる。
【0070】
なお、上述した表示画素においては、発光駆動回路として3個の薄膜トランジスタを備え、データドライバにより負極性の階調電流を生成して、データラインを介してデータドライバ方向に該階調電流を引き込む形態の電流印加方式に対応した回路構成を示したが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。すなわち、少なくとも、電流印加方式に対応した発光駆動回路を備えた表示装置であって、発光素子への発光駆動電流の供給を制御する駆動電流制御手段(薄膜トランジスタTr11、Tr13に相当)を備え、該駆動電流制御手段により、表示データに応じた階調電流を(電圧成分として)保持した後、該階調電流に基づく発光駆動電流を供給して、発光素子を所定の輝度階調で発光動作させるものであれば、他の回路構成を有するものであればよく、例えば、4個の薄膜トランジスタを備えた回路構成を有するものであってもよく、さらには、データドライバにより正極性の階調電流を生成して、データドライバからデータライン方向に該階調電流を印加する(流し込む)形態の回路構成を有するものであってもよい。
【0071】
また、上述した実施例においては、表示画素を構成する発光素子として、有機EL素子を適用した構成を示したが、本発明に係る表示装置はこれに限るものではなく、供給される発光駆動電流の電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作する電流制御型の発光素子であれば、上述した有機EL素子の他に、例えば、発光ダイオードやその他の発光素子を適用するものであってもよい。
【0072】
そして、本発明においては、上述したような構成を有する表示装置において、各表示画素EMへの表示データの書込動作に際し、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(具体的には、データドライバ130から当該表示画素EMまでのデータラインDLの配線長)に応じて、階調電流の電流値又は供給時間、もしくは、各表示画素における容量成分を補正制御することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データに応じた階調電流によって表示画素に供給される供給電荷量に対し、当該表示画素に書き込まれる電荷量の割合(書込率)が均一化されるように制御される。以下、実施形態を具体的に説明する。
【0073】
<第1の実施形態>
図7は、本発明に係る表示装置の第1の実施形態に適用可能なデータドライバを示す概略ブロック図である。なお、本実施形態においては、表示画素EMに上述した発光駆動回路(図3参照)を適用し、負極性の階調電流Ipixを生成、供給して、表示画素EM側からデータドライバ130に階調電流Ipixを引き込む方向に流す場合について説明する。
本実施形態に適用されるデータドライバは、システムコントローラ140から供給されるデータ制御信号に基づいて、表示信号生成回路160から供給される表示データを所定のタイミングで取り込み、該表示データ及び表示画素の配置位置に対応した電流値を有する階調電流に変換して各データラインに供給する。
【0074】
具体的には、図7に示すように、データドライバ130Aは、システムコントローラ140からデータ制御信号として供給されるシフトクロック信号CLKに基づいて、サンプリングスタート信号STRを順次シフトしつつシフト信号を出力するシフトレジスタ回路131Aと、該シフト信号の入力タイミングに基づいて、表示信号生成回路160から供給される1行分の表示データD0〜Dm(デジタルデータ)を順次取り込むデータレジスタ回路132Aと、データラッチ信号STBに基づいて、データレジスタ回路132Aにより取り込まれた1行分の表示データD0〜Dmを保持するデータラッチ回路133Aと、図示を省略した電源供給手段から供給される階調基準電圧V0〜Vpに基づいて、上記保持された表示データD0〜Dmを所定のアナログ信号電圧(階調電圧Vpix)に変換するD/Aコンバ−タ(デジタル−アナログ変換器)134Aと、アナログ信号電圧に変換された表示データに対応する信号電流Icを生成し、システムコントローラ140から供給される出力イネ−ブル信号OEに基づいて、該信号電流Icを一斉に出力する電圧電流変換・電流供給回路135Aと、上記データレジスタ回路132Aにおいて取り込んだ表示データD0〜Dmが書き込まれる各表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、上記信号電流Icの電流値を補正して、階調電流Ipixとして各データラインDLを介して各表示画素EMに供給する電流値補正回路(電流供給制御手段)136Aと、を有して構成されている。
【0075】
(電圧電流変換・電流供給回路)
図8は、本実施形態に係るデータドライバに適用可能な電圧電流変換・電流供給回路の一例を示す回路構成図である。
上述した電圧電流変換・電流供給回路135Aに適用可能であって、各データラインDLごとに設けられる回路構成としては、例えば、図8に示すように、一方の入力端子(負入力(−))に、入力抵抗Rを介して逆極性の階調電圧(−Vpix)が入力され、他方の入力端子(正入力(+))に、入力抵抗Rを介して基準電圧(接地電位)が入力されるとともに、出力端子が帰還抵抗Rを介して一方の入力端子(−)に接続されたオペアンプOP1と、オペアンプOP1の出力端子に出力抵抗Rを介して設けられた接点NAの電位が、一方の入力端子(+)に入力され、出力端子が他方の入力端子(−)に接続されるとともに、出力抵抗Rを介してオペアンプOP1の他方の入力端子(+)に基準電圧(接地電位)を入力し、出力端子が帰還抵抗Rを介して一方の入力端子接続されたオペアンプOP2と、接点NAに、システムコントローラ140から供給される出力イネ−ブル信号OEに基づいてオン/オフ動作し、データラインDLへの階調電流Ipixの供給状態(本実施形態においては、生成される階調電流Ipixが負極性となるので、当該電流を引き込む動作状態)を制御するスイッチング手段SWと、を備えた構成を有している。
このような電圧電流変換・電流供給回路135Aによれば、入力される負極性の階調電圧(−Vpix)に対して、−Ipix=(−Vpix)/Rからなる負極性の階調電流(−Ipix)が生成され、出力イネーブル信号OEに基づいて、電流値補正回路136Aを介して各データラインDLに供給される。
【0076】
(電流値補正回路)
図9は、本実施形態に係るデータドライバに適用可能な電流値補正回路における補正処理のための特性曲線を示す図である。
また、電流値補正回路136Aは、電圧電流変換・電流供給回路135Aにより生成された、表示画素EMごとの信号電流Icに対して、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置、すなわち、データドライバ130Aから伸延して配設されたデータラインDLの、データドライバ130Aと表示画素EM間の配線長(換言すれば、表示データD0〜Dmが書き込まれる表示画素EMの行番号又は走査ラインSLの位置に相当する)に応じて、電流値を補正する処理を実行する。
【0077】
ここで、電流値補正回路136Aにおける電流値補正処理において、データドライバ130A(データレジスタ回路132A)に取り込まれた表示データD0〜Dmが書き込まれる表示画素EMの配置位置を示す情報(位置情報POS)は、例えば、走査ドライバ120及びデータドライバ130Aの動作状態を制御するシステムコントローラ140から供給されるものであってもよいし、表示信号生成回路150から供給される表示データD0〜Dmに付加情報として設定されるものであってもよいし、走査ドライバ120における走査信号Vselの印加状態に基づくものであってもよい。
【0078】
そして、電流値補正回路136Aにおける電流値補正処理は、具体的には、図19、図20に示したように、表示画素EMの配置位置がデータドライバ130Aから離れるほど、データラインDLに寄生する配線容量(容量成分)や配線抵抗の影響を受けて表示データ(階調電流)の書込動作に遅延を生じ、書込率が低下することから、図9に示すような特性曲線Srに基づいて、この書込率の低下を補完するように、補正係数αを規定し、例えば、階調電流Ipixの電流値として、上記信号電流Icの電流値(基本電流値)に当該補正係数αを乗算した数値に設定する。
【0079】
すなわち、データドライバ130Aの直近に配置された表示画素EMに対しては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響をほとんど受けないので、電圧電流変換・電流供給回路135Aにより生成された信号電流Icがそのまま階調電流Ipixとして出力されるように、図9の規格化位置“0”において規格化電流が“1”となるように補正係数α(=1)を設定する。
一方、データラインDLの配線長が長くなる位置に配置された表示画素EMにおいては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響を受けて図20に示したように書込率が低下するので、該書込率を、データドライバ130Aの直近に配置された表示画素EMの書込率と同等程度(例えば、100%、もしくは、100%に近似する書込率)となるように、図9の規格化位置に応じて規格化電流が大きくなるように補正係数α(>1)を設定し、階調電流Ipixの電流値を大きく設定する。
【0080】
具体的には、図21に示した表示画素における入力電流(規格化電流)に対する出力輝度(規格化輝度)の関係図において、例えば、規格化輝度0.04の出力を、表示パネルの全域で実現する場合、データドライバ130Aの直近の位置(規格化位置“0”)に配置された表示画素EMに対しては、規格化電流I1=0.04となる階調電流Ipixを供給し、データドライバ130Aから最遠方の位置(規格化位置“1”)に配置された表示画素EMに対しては、規格化電流I2=0.08〜0.09となるように電流値を補正した階調電流Ipixを供給する。
【0081】
ここで、電流値補正処理における補正係数又は規格化電流の設定手法は、図9に示したように、データラインの配線長に応じて予め判明している配線容量や配線抵抗の影響(図20参照)に基づいて、書込率を均一化するように補正係数又は規格化電流を規定した特性曲線Srの相関関係から、表示パネル110の仕様(画素数や走査線数等)に基づいて予め判明している各表示画素EMの配置位置に対応する規格化位置の補正係数又は規格化電流のみを抽出した補正テーブルを備え、該補正テーブルを参照することにより、補正係数を一義的に求めるものであってもよいし、図9に示した特性曲線Srから、表示画素の配置位置(規格化位置)対する補正係数を一義的に求めるものであってもよい。
【0082】
したがって、本実施形態に係るデータドライバ130Aによれば、表示データに応じた信号電流Icが生成され、さらに、該表示データが書き込まれる表示画素EMの配置位置(データラインDLの配線長)に応じた電流値に補正された階調電流Ipixが、所定のタイミングでデータラインDLに供給されることにより、表示パネル110上での表示画素EMの配置位置(データラインDLの配線長)に関わらず、各表示画素EMへの書込率が均一になるように制御される。
【0083】
なお、本実施形態においては、電流値補正回路136Aを、データドライバ130Aに設けられた他の構成とは独立した構成として示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、電圧電流変換・電流供給回路135Aと一体的に構成するものであってもよいし、電圧電流変換・電流供給回路135Aを構成する各能動素子の特性を、上記補正係数に応じて調整制御して、生成される信号電流Icの電流値を、表示画素の配置位置に応じた数値に設定し、そのまま階調電流IpixとしてデータラインDLに供給するようにしたものであってもよい。
【0084】
(表示装置の駆動制御動作)
次いで、上述したデータドライバを適用した表示装置における駆動制御動作について、図面を参照して説明する。
図10は、本実施形態に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。ここで、図5に示した各表示画素における発光駆動回路の基本動作を適宜参照するものとする。
本実施形態に係る表示装置における駆動制御動作は、図10に示すように、上述した発光駆動回路における動作と同様に、一走査期間Tsc内に選択期間(書込動作期間)Tse及び非選択期間(発光動作期間)Tnseを設定することにより実行される(Tsc=Tse+Tnse)。
【0085】
(選択期間)
すなわち、本実施形態に係る表示装置に設定される選択期間Tseにおいては、図10に示すように、まず、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して、選択レベルの走査信号Vsel(Vslh)が印加されるとともに、当該行の表示画素の電源ラインVLに対して、ローレベルの電源電圧Vsclが印加されて、当該行の表示画素が選択状態に設定される。
また、この選択期間Tseにおいては、選択期間Tse開始後の特定の期間、データドライバ130Aから各データラインDLにリセット電圧(0V;リセット信号)が印加されて、各データラインDLに寄生する配線容量や表示画素EM等に保持されていた電荷を放電して初期化するリセット動作(リセット期間Trt)を実行した後、上述したようなデータドライバ130Aにより、当該行の表示画素EMの配置位置(データラインの配線長)に対応するように補正された電流値を有する負極性の階調電流(−Ipix)が各データラインDLに供給される(電流供給期間Ta)。
【0086】
これにより、当該行の表示画素EMに設けられた発光駆動回路DCに、リセット期間Trtにおいては、リセット電圧が印加されてコンデンサCs等に保持されていた電荷が放電されて初期化され、その後の電流供給期間Taにおいては、データラインDLを介して負極性の階調電流(−Ipix)が供給されることにより、図4(a)に示した場合と同様に、データラインDLを介してデータドライバ130A方向に、階調電流Ipixの電流値に対応した書込電流Iaが流れるとともに、コンデンサCsに書込電流Iaに応じた電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。このとき、有機EL素子OELには逆バイアス電圧が印加されるように各印加電圧が設定されて、有機EL素子OELは非発光状態を維持する。
【0087】
ここで、データドライバ130からデータラインDLを介して各表示画素に供給される階調電流Ipixは、図9に示したように、該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(すなわち、行番号;規格化位置)に対応して、データドライバ130からの距離(データラインDLの配線長)が長くなるほど、階調電流Ipixの規格化電流の値が大きくなるように電流値が補正されるので、該表示画素EMの表示パネル110上の配置位置(データラインDLの配線長)に関わらず、選択期間Tse(詳しくは、電流供給期間Ta)に、同一階調の表示データに対して略同等の電荷量(データドライバ130A直近の規格化位置“0”における表示画素EMのコンデンサCsと同等の電荷量)が、表示パネル110の各表示画素EMのコンデンサCsに蓄積される。
【0088】
(非選択期間)
次いで、選択期間Tse終了後の非選択期間Tnseにおいては、図10に示すように、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して、非選択レベルの走査信号Vsel(Vsll)が印加されるとともに、当該行の表示画素EMの電源ラインVLに対して、ハイレベルの電源電圧Vschが印加されて、当該行の表示画素EMが非選択状態に設定される。また、このタイミングに同期して、データドライバ130Aによる階調電流Ipixの引き込み動作が停止される。
【0089】
これにより、当該表示画素EMとデータラインDLとの電気的な接続が遮断されるとともに、上述した選択期間TseにおいてコンデンサCsに蓄積された電荷(充電電圧)が保持されることにより、図4(b)に示した場合と同様に、有機EL素子OELに対して順バイアス方向に、上記書込電流Iaと同等の電流値を有する発光駆動電流Ibが流れ、表示データに対応する輝度階調で有機EL素子OELが発光する動作を継続する。
そして、上述した一連の動作を、表示パネル110を構成する全ての走査ラインSLについて、データドライバ130Aから供給する階調電流Ipixの規格化電流の値を補正しつつ、順次繰り返し実行することにより、表示パネル1画面分の表示データが、表示画素EMの配置位置に関わらず、均一に書き込まれて、所定の輝度階調で発光し、所望の画像情報が表示される。
【0090】
したがって、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように階調電流の電流値が補正されて供給され、データドライバ直近に配置された表示画素と同等の書込率で表示データが書き込まれるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルの全域で輝度階調の均一化を図ることができ、表示画質の向上を図ることができる。
また、データドライバにおいて実行される電流値補正処理における補正係数を制御することにより、各表示画素への表示データの書込速度を向上させることができるので、例えば、表示パネルを高精細化して走査ラインの数を増加させて、選択期間を短く設定した場合であっても、表示データを良好に書込むことができ、表示パネルの高精細化に良好に対応することができる。
【0091】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
上述した第1の実施形態においては、各表示画素EMに供給する階調電流Ipixの電流値を、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(データラインDLの配線長)に応じて補正処理(調整)する構成及び駆動制御方法について説明したが、本実施形態においては、各表示画素への階調電流Ipixの供給時間を補正処理することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データ(階調電流)の書込率が均一化されるように制御される。
【0092】
図11は、本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバの一構成例を示す概略ブロック図である。ここで、上述した実施形態に示したデータドライバと同一の構成については、同等の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
本実施例では、表示画素に設定される選択期間を補正することにより、各表示画素における表示データの書込率を略均一化する構成及び駆動制御方法について説明する。
【0093】
図11に示すように、本実施例に適用されるデータドライバ130Bは、上述した第1の実施形態に示したデータドライバ130Aと同様の構成及び機能を有するシフトレジスタ回路131B、データレジスタ回路132B、データラッチ回路133B、D/Aコンバ−タ134Bと、アナログ信号電圧に変換された表示データ(階調電圧Vpix)に対応する階調電流Ipixを生成し、出力イネ−ブル信号OEに基づくタイミング及び一定の信号幅(パルス幅)で、該階調電流Ipixを各データラインDLを介して各表示画素EMに一斉に供給する電圧電流変換・電流供給回路135Bと、を有して構成されている。
【0094】
また、本実施例に適用される走査ドライバ(図示を省略)は、上述した走査ドライバ120と同様の構成及び機能を有するシフトブロックに加え、各シフトブロックの出力部に(すなわち、各走査ラインSLに対応させて)、各走査ラインSLに接続された表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、走査信号Vselの印加時間を個別に設定した印加時間設定部(図示を省略;電流供給制御手段)が設けられた構成を有している。
【0095】
ここで、印加時間設定部により設定される、各走査ラインにおける走査信号Vselの印加時間(選択期間の時間幅)は、図19、図20に示したように、表示画素EMの配置位置(表示画素EMの行番号又は走査ラインSLの位置)がデータドライバ130Aから離れるほど、表示データの書込率が低下することから、上述した第1の実施形態において図9に示したような特性曲線Srに基づいて、各走査ライン(行)ごとの補正係数α(≧1)を規定し、例えば、1行目(データドライバ直近)の走査ラインSLにおける走査信号の印加時間(基本印加時間;基準値)を基準として、2行目以降の各走査ラインごとの印加時間を、該基本印加時間に各走査ラインごとに設定された補正係数αを乗算した数値に設定する。
【0096】
すなわち、データドライバ130Bの直近に配設された走査ラインに接続された表示画素EMに対しては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響をほとんど受けないので、データドライバ130Bにより生成された階調電流Ipixが比較的短い時間だけ、当該行の表示画素EMに供給されるように、走査信号Vselの印加時間により設定される選択期間が、上記基本印加時間程度に短く設定される。
【0097】
一方、データラインDLの配線長が長くなる位置に配置された表示画素EMにおいては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響を受けて図20に示したように書込率が低下するので、該書込率を、データドライバ130Aの直近に配置された表示画素EMの書込率と同等程度(例えば、100%、もしくは、100%に近似する書込率)となるように補正係数α(>1)を設定し、階調電流Ipixが比較的長い時間、当該行の表示画素に供給されるように選択期間(基本印加時間×α)が設定される。
【0098】
(表示装置の駆動制御動作)
次いで、上述した構成を有する表示装置における駆動制御動作について、図面を参照して説明する。
図12は、本実施例に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。ここで、図5に示した各表示画素における発光駆動回路の基本動作を適宜参照するものとする。
本実施例に係る表示装置の駆動制御動作においては、一走査期間Tsc内に、各行ごとに順次時間幅が異なるように設定される選択期間Tse(Tse1、Tse2、・・・TseN)、及び、一定の時間幅に設定された非選択期間Tnseを設定することにより実行される。
【0099】
(選択期間)
まず、図12に示すように、一走査期間のTscの開始タイミングに同期して、一定の時間に設定された電流供給期間Tcに、図11に示した構成を有するデータドライバ130Bにより、当該行の表示画素EMにおける表示データに対応するように電流値が設定された負極性の階調電流(−Ipix)が、各データラインDLに供給される。
そして、この電流供給期間Tc内であって、所定のブランク期間Tbの経過後に、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して走査信号Vsel(Vslh)が印加されるとともに、当該行の電源ラインVLに対して電源ドライバ160から電源電圧Vsclが印加されて、当該行の表示画素EMが選択状態に設定される(選択期間Tse=Tse1、Tse2、・・・TseN)。
【0100】
ここで、選択期間Tseを規定する走査信号Vselの印加タイミング(すなわち、ブランク期間Tb)は、電流供給期間Tcの終了タイミングと選択期間Tseの終了タイミングが同期するように設定される。また、選択期間Tseは、当該行の表示画素EMの配置位置(データラインDLの配線長)に対応して予め設定された補正係数αに基づいて、上記基準印加時間(1行目の走査ラインSLにおける選択期間Tse1に相当する)に当該補正係数αを乗算した時間に設定される。また、選択期間Tseは、少なくとも、データドライバ130Bから最遠方となる位置に配設された行の走査ラインSL(すなわち、最終行の走査ライン、又は、規格化位置が“1”となる位置に配置された表示画素EM)において設定される選択期間Tse(選択期間Tseの最大値)が、一定の時間幅に設定された電流供給期間Tcと同等又はそれ以下となるように、上記補正係数αが設定される。
【0101】
これにより、当該行の表示画素EMに設けられた発光駆動回路DCに、電流供給期間Tcのうち、ブランク期間Tbが経過した後に設定される選択期間Tseにおいて、データラインDLを介して負極性の階調電流(−Ipix)が供給されることにより、図4(a)に示した場合と同様に、階調電流Ipixの電流値に対応した書込電流Iaが流れるとともに、コンデンサCsに書込電流Iaに応じた電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。
【0102】
ここで、データドライバ130からデータラインDLを介して各表示画素EMに供給される階調電流Ipixは、表示データに対応した電流値を有し、また、走査ドライバ120から走査ラインSLに印加される走査信号Vselにより設定される選択期間Tseは、図9に示した場合と同様に、該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(すなわち、行番号;規格化位置)に対応して、データドライバ130からの距離(データラインDLの配線長)が長くなるほど、選択期間Tseに設定される時間が長くなるように補正されるので、該表示画素EMの表示パネル110上の配置位置(データラインDLの配線長)に関わらず、各選択期間Tseに、同一階調の表示データに対して略同等の電荷量が各表示画素EMのコンデンサCsに蓄積される。
【0103】
(非選択期間)
次いで、選択期間Tse(電流供給期間Tc)終了後の非選択期間Tnseにおいては、図12に示すように、上述した第1の実施形態と同様に、当該行の表示画素EMが非選択状態に設定されるとともに、データドライバ130Aによる階調電流Ipixの引き込み動作が停止される。
これにより、選択期間Tseにおいて当該表示画素EMのコンデンサCsに蓄積された電荷(充電電圧)が保持されて、図4(b)に示した場合と同様に、有機EL素子OELに対して、上記書込電流Iaと同等の電流値を有する発光駆動電流Ibが流れ、表示データに対応する輝度階調で有機EL素子OELが発光する動作を継続する。
【0104】
したがって、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように階調電流の供給時間(表示画素の選択期間)が補正されて、データドライバ直近に配置された表示画素と同等の書込率で表示データが書き込まれるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルの全域で輝度階調の均一化を図ることができ、表示画質の向上を図ることができる。
【0105】
また、本実施例に係る表示装置においては、表示パネル上における各表示画素の配置位置(各走査ラインの配設位置)に応じて、各走査ラインごとの選択期間の時間幅(例えば、各走査ラインごとに設けられる印加時間設定部における、各走査信号の印加時間)を予め固定的に設定しておくことができるので、駆動制御動作に対する処理負担を軽減することができるとともに、既存のデータドライバをそのまま適用することができ、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して表示画質を向上した表示装置を簡易に実現することができる。
【0106】
次に、本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用される他の実施例について、図面を参照して説明する。
図13は、本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバの他の構成例を示す概略ブロック図である。ここで、上述した実施形態に示したデータドライバと同一の構成については、同等の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
【0107】
上述した実施例においては、各表示画素EMへの表示データの書込みに際し、走査ドライバにより設定される選択期間の時間幅を、当該表示画素EMの表示パネル110上での配置位置(データラインDLの配線長)に応じて補正する構成及び駆動制御方法について説明したが、本実施例においては、データドライバによる階調電流Ipixの供給時間(電流供給期間の時間幅)を補正処理することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データ(階調電流)の書込率が均一化されるように制御される。
【0108】
図13に示すように、本実施形態に適用されるデータドライバ13Cは、上述した実施例に示したデータドライバ130Bと同様の構成及び機能を有するシフトレジスタ回路131C、データレジスタ回路132C、データラッチ回路133C、D/Aコンバ−タ134C、電圧電流変換・電流供給回路135Cと、上記データレジスタ回路132Cにおいて取り込んだ表示データD0〜Dmが書き込まれる各表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、電圧電流変換・電流供給回路135Cにより生成された階調電流IpixをデータラインDL(各表示画素EM)に供給する電流供給期間(電流供給パルスのパルス幅)を補正する供給時間補正回路(電流供給制御手段)136Cと、を有して構成されている。
【0109】
ここで、供給時間補正回路136Cにより設定される、各表示画素EMへの階調電流Ipixの供給時間は、上述した第1の実施形態において図9に示したような特性曲線Srに基づく補正テーブルを用いて、各行の表示画素ごとの補正係数α(≧1)を抽出し、例えば、1行目(データドライバ直近)の表示画素における階調電流Ipixの供給時間(基本供給時間;基準値)を基準として、2行目以降の各行ごとの供給時間を、該基本供給時間に各行ごとに設定された補正係数αを乗算した数値に設定する。
【0110】
すなわち、データドライバ130Cの直近に配設された走査ラインSLに接続された表示画素EMに対しては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響をほとんど受けないので、データドライバ130Cにより生成された階調電流Ipixが比較的短い時間だけ、当該行の表示画素EMに供給されるように、データドライバ130Cからの階調電流Ipixの供給時間が、上記基本供給時間程度に短く設定される。
【0111】
一方、データラインDLの配線長が長くなる位置に配置された表示画素EMにおいては、データラインDLの配線容量や配線抵抗の影響を受けて図20に示したように書込率が低下するので、該書込率を、データドライバ130Cの直近に配置された表示画素EMの書込率と同等程度(例えば、100%、もしくは、100%に近似する書込率)となるように補正係数α(>1)を設定し、階調電流Ipixが比較的長い時間、当該行の表示画素EMに供給されるように電流供給時間(基本供給時間×α)が設定される。
【0112】
(表示装置の駆動制御動作)
次いで、上述した構成を有する表示装置における駆動制御動作について、図面を参照して説明する。
図14は、本実施例に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。ここで、図5に示した各表示画素における発光駆動回路の基本動作を適宜参照するものとする。
本実施例に係る表示装置の駆動制御動作においては、一走査期間Tsc内に、各々一定の時間幅に設定された選択期間Tse及び非選択期間Tnseを設定することにより実行される(Tsc=Tse+Tnse)。
【0113】
(選択期間)
すなわち、選択期間Tseにおいては、図14に示すように、走査ドライバ120から特定の走査ラインSLに対して走査信号Vsel(Vslh)が印加されるとともに、当該行の表示画素の電源ラインVLに対して電源電圧Vsclが印加されて、当該行の表示画素が選択状態に設定される(選択期間Tse)。
また、この選択期間Tse内であって、所定のブランク期間Tbの経過後に、図11に示した構成を有するデータドライバ130Cにより、当該行の表示画素における表示データに対応するように電流値が設定された負極性の階調電流(−Ipix)が、各データラインDLに供給される(電流供給期間Tc=Tc1、Tc2、・・・TcN)。
【0114】
ここで、電流供給期間Tcを規定する電流供給パルスの印加タイミング(すなわち、ブランク期間Tb)は、選択期間Tseの終了タイミングと電流供給期間Tcの終了タイミングが同期するように設定される。また、電流供給期間Tcは、当該行の表示画素EMの配置位置(データラインDLの配線長)に対応して予め設定された補正係数に基づいて、上記基準供給時間(1行目の表示画素EMに対する電流供給期間Tc1に相当する)に対して当該補正係数を乗算した時間に設定される。そして、この電流供給期間Tcの最大値(すなわち、最終行の表示画素EMに対する電流供給期間TcN)は、少なくとも、一定の時間幅に設定された上記選択期間Tseと同等又はそれ以下の時間に設定されるように、供給時間補正回路136Cに設定される補正係数αが設定されている。
【0115】
これにより、当該行の表示画素EMに設けられた発光駆動回路DCに、選択期間Tseのうち、ブランク期間Tbが経過した後に設定される電流供給期間Tcにおいて、データラインDLを介して負極性の階調電流(−Ipix)が供給されることにより、図4(a)に示した場合と同様に、階調電流Ipixの電流値に対応した書込電流Iaが流れるとともに、コンデンサCsに書込電流Iaに応じた電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。
【0116】
ここで、データドライバ130CからデータラインDLを介して各表示画素EMに供給される階調電流Ipixは、表示データに対応した電流値を有するとともに、該階調電流Ipixの供給時間(電流供給期間Tc)は、各表示画素の表示パネル110上での配置位置(すなわち、行番号;規格化位置)に対応して、データドライバ130Cからの距離(データラインDLの配線長)が長くなるほど、供給時間が長くなるように補正されるので、該表示画素EMの表示パネル110上の配置位置(データラインDLの配線長)に関わらず、同一階調の表示データに対して略同等の電荷量が各表示画素EMのコンデンサCsに蓄積される。
【0117】
(非選択期間)
次いで、選択期間Tse(電流供給期間Tc)終了後の非選択期間Tnseにおいては、図14に示すように、上述した実施例と同様に、当該行の表示画素EMが非選択状態に設定されるとともに、データドライバ130Aによる階調電流Ipixの引き込み動作が停止されることにより、選択期間Tseにおいて当該表示画素EMのコンデンサCsに蓄積された電荷(充電電圧)が保持されて、図4(b)に示した場合と同様に、有機EL素子OELに対して、上記書込電流Iaと同等の電流値を有する発光駆動電流Ibが流れ、表示データに対応する輝度階調で有機EL素子OELが発光する動作を継続する。
【0118】
したがって、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように階調電流の供給時間(電流供給期間)が補正されて、データドライバ直近に配置された表示画素と同等の書込率で表示データが書き込まれるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルに全域で輝度階調の均一化を図ることができ、表示画質の向上を図ることができる。
【0119】
なお、本実施形態に係る各実施例においては、データドライバにより表示データに応じた電流値を有する階調電流Ipixを生成して、各表示画素EMに供給する構成及び駆動制御方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一定の電流値を有する信号電流の信号幅(パルス幅)を、各表示データに応じて設定するパルス幅変調(PWM)制御方式を採用した駆動制御方法に適用するものであってもよい。
【0120】
図15は、本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバのさらに他の構成例を示す概略ブロック図である。
図15に示すように、本実施例に適用されるデータドライバ130Dは、例えば、各列のデータラインDLに接続された表示画素EMに供給される階調電流Ipixの電流値を規定する、一定の電流値を有する定電流Ipを生成して出力する定電流発生回路131Dと、該定電流発生回路131Dから供給される定電流Ipを、後述する定電流ラッチ回路134Dの各々へ順次供給するタイミングを設定するシフトレジスタ132Dと、シフトレジスタ132Dから所定のタイミングで順次出力されるスイッチ切換信号(シフト出力)SRにより、上記定電流発生回路131Dから各定電流ラッチ回路134Dへの定電流Ipの供給状態を制御する複数のスイッチ手段133Dと、データラインDLごとに設けられ、定電流発生回路131Dから供給される定電流Ipを、シフトレジスタ132Dに基づく所定のタイミングで各スイッチ手段133Dを介して順次取り込んで保持(記憶)する複数の定電流ラッチ回路134Dと、各データラインDLに接続され、表示信号生成回路150から供給される表示データに含まれる輝度階調成分に基づいて、パルス幅変調(PWM)制御によって定電流ラッチ回路134Dから出力される一定電流値を有する信号電流Idの信号幅を設定するPWM制御回路135Dと、上記PWM制御回路135Dにおいて取り込んだ表示データが書き込まれる各表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に応じて、PWM制御回路135Dにより設定された信号電流Idの信号幅を補正し、所定の電流供給期間(電流供給パルスのパルス幅)で、上記信号電流Idを階調電流Ipixとして各データラインDL(各表示画素EM)に供給するパルス幅補正回路(電流供給制御手段)136Dと、を備えて構成されている。
【0121】
ここで、パルス幅補正回路136Dにより設定される、各表示画素EMへの階調電流Ipixの電流供給期間は、上述した第1の実施形態に示したような表示画素の配置位置と補正係数との関係が規定された補正テーブルを用いて、各行の表示画素ごとの補正係数α(≧1)を抽出し、PWM制御回路135Dにおいて各表示データに基づいて設定された信号電流Idの信号幅に対して、抽出された補正係数αを乗算した信号幅に設定する。そして、この電流供給期間の最大値(すなわち、最終行の表示画素に対して最大階調表示動作を行う場合の電流供給期間)は、少なくとも、一定の時間幅に設定された各行の表示画素EMにおける選択期間Tseと同等又はそれ以下の時間に設定されるように、パルス幅補正回路136Dに設定される補正係数αが設定されている。
【0122】
このような構成を有する表示装置における駆動制御動作(駆動制御方法)は、表示画素EMの選択期間中に、表示データ及び表示画素EMの配置位置に対応した電流供給時間(電流供給パルスのパルス幅)で、一定の電流値を有する階調電流Ipixを各表示画素に供給することにより、表示画素EM(発光素子)の階調制御を行う。
【0123】
すなわち、上述したような構成を有する表示装置において、まず、定電流発生回路131Dから供給される一定の電流値を有する定電流Ipが、シフトレジスタ132Dから出力されるスイッチ切換信号(シフト出力)SRに基づいて、個別のタイミングで各定電流ラッチ回路に取り込み、保持される。そして、システムコントローラ140から出力される出力イネーブル信号OEに基づいて、所定のタイミングで、各データラインDLに対応して一定電流値を有する信号電流Idが一斉に出力され、PWM制御回路135Dにより各表示データに含まれる輝度階調成分に応じて、各信号電流Idの信号幅が設定される。
【0124】
次いで、パルス幅補正回路136Dにより上記各表示データが書き込まれる表示画素EMの表示パネル110上での配置位置に基づいて、予め設定された補正係数αを用いて、上記各信号電流Idの信号幅に当該補正係数を乗算する補正処理を行い、電流供給期間を設定し、各表示画素に設定される選択期間中の該電流供給期間に、信号電流Idを階調電流Ipixとして各データラインDLを介して表示画素EMに供給する。
これにより、選択状態に設定された表示画素EMに、表示データ及び表示画素の配置位置に応じた電流供給期間、階調電流Ipix(書込電流Ia)が供給され、該表示画素(発光駆動回路DC)に設けられたコンデンサCsに表示データに応じた電荷が保持される。
【0125】
そして、上記選択期間の終了後の非選択期間においては、選択期間において当該表示画素EMのコンデンサCsに蓄積された電荷(充電電圧)に基づいて、有機EL素子OELに対して、上記階調電流Ipix(書込電流Ia)と同等の電流値を有する発光駆動電流Ibが流れ、表示データに対応する輝度階調で有機EL素子OELが発光する動作を継続する。
【0126】
したがって、本実施例においても、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、同一階調で同一発光輝度となるように階調電流の供給時間(電流供給期間)が補正されて、表示パネルの全域で表示データが同等の書込率で書き込まれることになるので、データラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、輝度階調の均一化を図ることができ、表示画質の向上を図ることができる。
【0127】
なお、本実施形態に示した各実施例においても、上述した第1の実施形態と同様に、各行の表示画素EMに表示データを書き込む動作(階調電流を供給する動作)に先立って、各データラインDL及び表示画素EMにリセット電圧(例えば、0V)を印加して、データラインDLや表示画素EMに保持されている電荷を放電させるリセット動作(リセット期間)を実行するものであってもよい。
これによれば、各表示画素への表示データの書込動作に際し、常に一定の初期化状態に設定されたデータライン及び表示画素に対して、階調電流が供給されることになるので、各表示画素に表示データに適切に対応した電荷が蓄積されることになり、有機EL素子を適切な輝度階調で発光動作させることができる。
【0128】
また、上述したような第1及び第2の本実施形態においては、別個の実施形態として構成及び駆動制御方法を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、表示データに対応した電流値を有する階調電流の各表示画素への供給に際し、第1の実施形態に示したように、該表示画素の配置位置に応じて該階調電流の電流値を補正する手法に加え、第2の実施形態に示したように、当該表示画素の配置位置に応じて当該階調電流の電流供給期間のパルス幅も補正する手法を適用して、階調電流の電流値と供給期間の双方を調整することにより、表示データ及び表示画素の配置位置により適切に対応した書込動作を行うようにしてもよい。
【0129】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
上述した第1及び第2の実施形態においては、表示パネル上の各表示画素の配置位置(データラインの配線長)に基づく表示データの書込率の低下を抑制するために、各表示画素に供給される階調電流の電流値や供給時間を調整する補正処理を行う構成及び駆動制御方法について説明したが、本実施形態においては、データドライバから見た各表示画素における容量負荷を均一化するように構成することにより、いずれの位置に配置された表示画素においても、表示データの書込率が均一化されるように制御される。
【0130】
図16は、本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用可能な表示パネル(表示画素)の一構成例を示す概略構成図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、同一の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
本実施例では、表示画素の発光駆動回路に設けられる容量成分(コンデンサCs)に蓄積される電荷量を、当該表示画素の配置位置に応じて補正することにより、各表示画素における表示データの書込率を略均一化する構成及び駆動制御方法について説明する。
【0131】
図16(a)、(b)に示すように、本実施例に係る表示パネル110Eにおいては、マトリクス状に配列された各表示画素EMi(i=1、2、・・・n)の発光駆動回路DCiに設けられるコンデンサCsiの容量値が、該表示画素EMiの表示パネル110E上での配置位置に応じて、各々、固定的に設定された構成を有している。
すなわち、図20に示したように、表示パネル110にマトリクス状に配列された各表示画素EMiにおける表示データ(階調電流)の書込率は、該表示画素EMiの表示パネル110E上での配置位置(データドライバ130からのデータドライバの配線長)に依存し、データドライバの直近の位置に配置された表示画素EMi(例えば、i=1)においては、データラインの配線容量及び配線抵抗の影響をほとんど受けることがないのに対して、データドライバ130から離れるにしたがって、配線容量及び配線抵抗の影響を受けて表示データの書込率が低下し、データドライバ130から最遠方の位置に配置された表示画素EMi(例えば、i=n)においては、データラインDLの略全長分の配線容量の影響を受けることになる。
【0132】
そこで、本実施例においては、表示パネル上のいずれの位置に配置された表示画素においても、データドライバから見た容量負荷が略一定になるように、すなわち、データドライバから各表示画素までのデータラインに寄生する配線容量、及び、当該表示画素EMiの画素駆動回路DCiに設けられたコンデンサCsiからなる容量成分の総和が略一定になるように、各表示画素EMiのコンデンサCsiの容量値を設定する。
【0133】
具体的には、図16(b)に示すように、データドライバ130から最遠方の位置に配置された表示画素(最終行の表示画素)EMnにおいては、該表示画素EMnにおける発光駆動動作に必要な最低限の容量値C0が発光駆動回路DCnのコンデンサCsnに設定される。これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EMnの容量負荷は、コンデンサCsnの容量値C0に、データラインDLの全長分に相当する配線容量Cxが付加された容量値(C0+Cx)となる。
【0134】
一方、データドライバ130の直近の位置に配置された表示画素(1行目の表示画素)EM1においては、上述した発光駆動動作に必要な最低限の容量値C0に加え、データラインDLの全長分に相当する配線容量Cxが付加された容量値(C0+Cx)を、発光駆動回路DCiのコンデンサCsiに設定する。これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EM1の容量負荷は、上述した最遠方に配置された表示画素EMnと同等の容量値(C0+Cx)を有することになる。
【0135】
また、上記以外の位置に配置された表示画素EMiにおいても、データドライバ130から見た当該表示画素EMiの容量負荷が、容量値(C0+Cx)となるように、コンデンサCsiの容量値が設定される。すなわち、コンデンサCsiは、該表示画素EMiにおける画素駆動動作に必要な容量値C0に加え、データラインDLの全長から、データドライバDLから当該表示画素EMiまでのデータラインDLの配線長分を差し引いた配線長分(すなわち、表示画素EMi及び表示画素EMn間のデータラインDLの配線長)に相当する配線容量Czが付加された容量値(C0+Cz)を有するように設定される。
【0136】
これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EMiの容量負荷は、コンデンサCsiの容量値C0と、データドライバDLから当該表示画素EMiまでのデータラインDLの配線長分の容量値(Cx−Cz)と、表示画素EMiから表示画素EMnまでのデータラインDLの配線長分の容量値Czと、の総和となり、上述した表示画素EM1、EMnと同等の容量値(C0+Cx)を有することになる。
【0137】
このような構成を有する表示装置によれば、各表示画素への表示データの書込動作において、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、データドライバから見た容量負荷が略均一となるので、各行の表示画素の選択期間や表示データ(階調電流)の供給期間を制御することなく、表示データの書込率を均一化することができ、表示パネル全域における発光輝度を均一化して表示画質の向上を図ることができる。
【0138】
また、本実施例に係る表示装置においては、表示パネル上における各表示画素の配置位置に応じて、各表示画素に設けられるコンデンサの容量値を予め固定的に設定しておくことができるので、駆動制御動作に対する処理負担を軽減することができるとともに、既存のデータドライバや走査ドライバをそのまま適用することができ、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して表示画質を向上した表示装置を簡易に実現することができる。
【0139】
次に、本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用される他の実施例について、図面を参照して説明する。
図17は、本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用可能な表示パネル(表示画素)の他の構成例を示す概略構成図である。ここで、上述した実施例と同等の構成については、同等の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
【0140】
上述した実施例においては、表示画素の表示パネル上での配置位置(データドライバから表示画素までのデータラインDLに寄生する配線容量)に応じて、各表示画素に設けられる発光駆動回路のコンデンサの容量値を補正する構成について説明したが、本実施例においては、各表示画素の配置位置(各走査ラインの行番号)に応じて、各行ごとに設けられる電源ライン(信号供給ライン)に付加される容量成分を補正することにより、各表示画素における表示データの書込率を略均一化する。
【0141】
図17に示すように、本実施例に係る表示パネル110Fにおいては、マトリクス状に配列された各表示画素EMiの発光駆動回路DCiに設けられるコンデンサCsの容量値が、少なくとも、該表示画素EMiにおける発光駆動動作に必要な一定の容量値C0に設定されているとともに、各行の表示画素EMiごとに配設される電源ラインVLに付加される補正容量(容量成分)Cvの容量値Cviが、該表示画素EMiの表示パネル110E上での配置位置(表示画素EMiの行番号i)に応じて、各々、固定的に設定された構成を有している。
【0142】
すなわち、図17に示すように、データドライバ130から最遠方の位置に配置された表示画素(最終行の表示画素)EMnに接続された電源ラインVLnにおいては、容量値Cvnが0となる補正容量Cvが付加される(換言すれば、電源ラインVLnに補正容量Cvが付加されない)。これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EMnの容量負荷は、コンデンサCsnの容量値C0に、データラインDLの全長分に相当する配線容量Cxが付加された容量値(C0+Cx)となる。
【0143】
一方、データドライバ130の直近の位置に配置された表示画素(1行目の表示画素)EM1に接続された電源ラインVL1においては、容量値Cv1としてデータラインDLの全長分に相当する配線容量Cxとなる補正容量Cvが付加される。これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EM1の容量負荷は、上述した最遠方に配置された表示画素EMnと同等の容量値(C0+Cx)を有することになる。
【0144】
また、上記以外の位置に配置された表示画素EMiに接続された電源ラインVLiにおいても、データドライバ130から見た当該表示画素EMiの容量負荷が、容量値(C0+Cx)となるように、補正容量Cvの容量値Cviが設定される。すなわち、電源ラインVLiに付加される補正容量Cvは、データラインDLの全長から、データドライバDLから当該表示画素EMiまでのデータラインDLの配線長分を差し引いた配線長分(すなわち、表示画素EMi及び表示画素EMn間のデータラインDLの配線長)に相当する配線容量Czが付加された容量値Czを有するように設定される。
【0145】
これにより、データドライバ130から見た当該表示画素EMiの容量負荷は、コンデンサCsiの容量値C0と、データドライバDLから当該表示画素EMiまでのデータラインDLの配線長分の容量値(Cx−Cz)と、表示画素EMiから表示画素EMnまでのデータラインDLの配線長分の容量値Czと、の総和となり、上述した表示画素EM1、EMnと同等の容量値(C0+Cx)を有することになる。
【0146】
このような構成を有する表示装置によれば、各表示画素への表示データの書込動作において、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、データドライバから見た容量負荷が略均一となるので、表示データの書込率を均一化することができ、表示パネル全域における発光輝度を均一化して表示画質の向上を図ることができる。
【0147】
また、本実施例に係る表示装置においては、表示パネル上における各表示画素の配置位置に応じて、各表示画素に設けられたコンデンサの容量値を個別に補正する必要がなく、各行ごとの表示画素に接続される電源ラインに付加される補正容量の容量値を予め固定的に設定すればよいので、表示データの書込率を簡易な構成で均一化することができるとともに、駆動制御動作に対する処理負担の軽減及びデータドライバから見た容量負荷の安定化を図ることができる。さらに、既存の表示パネルやデータドライバ、走査ドライバをそのまま適用することができるので、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して表示画質を向上した表示装置を簡易に実現することができる。
【0148】
なお、上述した各実施形態及び各実施例に示した表示装置においては、表示パネルの特定の一端側(図面上方側)にデータドライバを配置し、1行目の走査ラインに接続された表示画素を、直近の配置位置(規格化位置“0”)とし、最終行の走査ラインに接続された表示画素を、最遠方の配置位置(規格化位置“1”)に設定した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、データドライバを表示パネルの下方側に配置され構成を有するものであってもよいことはいうまでもない。要するに、データドライバの直近に配置された表示画素の位置を規格化位置“0”とし、最遠方に配置された表示画素の位置を規格化位置“1”として、上記補正係数を設定し、該補正係数に基づいて、各表示画素に書き込まれる表示データの書込率を略均一化することができるものであれば他の構成を有するものであってもよい。
【0149】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る表示駆動装置及び表示装置並びにその駆動制御方法によれば、有機EL素子等のような電流制御型の発光素子を備えた複数の表示画素を、互いに直交する複数のデータライン及び複数の走査ラインの交点近傍に配置した表示パネルに対して、表示データに応じた階調電流を供給することにより、所望の画像情報を表示する表示装置において、各表示画素への表示データの書込動作に際し、表示パネル上でのデータドライバから当該表示画素までのデータドライバに沿う配置位置に応じて、階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間、あるいは、データドライバから見た各表示画素における容量負荷を調整制御(補正)することにより、表示パネルのいずれの位置に配置された表示画素においても、表示データに応じた階調電流によって供給される供給電荷量に対し、表示画素に書き込まれる電荷量の割合(書込率)が一定となる方向に補正することができるので、データドライバからのデータラインに寄生する配線容量や配線抵抗の影響を抑制して、表示パネルの全域で輝度階調を均一化して、表示画質の向上を図ることができる。
【0150】
また、上記階調電流の電流値又は電流供給期間、もしくは、各表示画素の選択期間を調整制御する手法としては、表示画素の配置位置と階調電流の供給状態の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、表示画素の配置位置に基づいて、該補正テーブルから補正係数を一義的に抽出し、該補正係数を所定の基準値に乗算することにより、階調電流の供給状態を調整制御すること手法を適用することができるので、比較的簡易かつ制御負担の少ない駆動制御方法により、輝度階調の均一化を実現することができる。
【0151】
さらに、各行の表示画素に上記階調電流を供給する動作に先立って、各データライン及び表示画素に所定電圧を有するリセット信号を印加して、データラインや表示画素に保持されている電荷を放電させるリセット動作を実行するものであってもよく、これによれば、各表示画素への表示データの書込動作に際し、常に一定の初期化状態に設定された表示画素に対して、上記階調電流が供給されることになるので、各表示画素に表示データに適切に対応した電荷が蓄積され、発光素子を適切な輝度階調で発光動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示装置の基本構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る表示装置の要部構成を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る表示装置に適用可能な表示画素(発光駆動回路)の具体回路例を示す回路構成図である。
【図4】本実施例に係る発光駆動回路の動作状態を示す概念図である。
【図5】本実施例に係る発光駆動回路を適用した表示画素の基本動作を示すタイミングチャ−トである。
【図6】本実施例に係る表示画素を適用した表示装置の一構成例を示す概略ブロック図である。
【図7】本発明に係る表示装置の第1の実施形態に適用可能なデータドライバを示す概略ブロック図である。
【図8】本実施形態に係るデータドライバに適用可能な電圧電流変換・電流供給回路の一例を示す回路構成図である。
【図9】本実施形態に係るデータドライバに適用可能な電流値補正回路における補正処理のための特性曲線を示す図である。
【図10】本実施形態に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。
【図11】本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバの一構成例を示す概略ブロック図である。
【図12】本実施例に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。
【図13】本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバの他の構成例を示す概略ブロック図である。
【図14】本実施例に係る表示装置における画像情報の表示タイミングを示すタイミングチャ−トである。
【図15】本発明に係る表示装置の第2の実施形態に適用可能なデータドライバのさらに他の構成例を示す概略ブロック図である。
【図16】本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用可能な表示パネル(表示画素)の一構成例を示す概略構成図である。
【図17】本発明に係る表示装置の第3の実施形態に適用可能な表示パネル(表示画素)の他の構成例を示す概略構成図である。
【図18】従来技術における発光素子型ディスプレイに適用される表示画素の構成例を示す等価回路図である。
【図19】表示パネルにおける表示画素の配置位置とデータラインの配線長の関係を示す概略構成図である。
【図20】表示パネルにおける表示画素の配置位置(規格化位置)と表示データの書込率との関係をシミュレーション結果である。
【図21】表示パネルの特定の位置(規格化位置“0”及び規格化位置“1”)に配置された表示画素における入力電流(規格化電流)に対する出力輝度(規格化輝度)の関係を示すシミュレーション結果である。
【符号の説明】
100 表示装置
110 表示パネル
120 走査ドライバ
130 データドライバ
140 システムコントローラ
150 表示信号生成回路
160 電源ドライバ
EM 表示画素
DC 発光駆動回路
SL 走査ライン
DL データライン
Claims (31)
- 互いに直交する複数の信号ライン及び複数の走査ラインと、該各信号ラインと各走査ラインの交点近傍に配置される、電流制御型の発光素子を備える複数の表示画素と、を備える表示パネルの該各表示画素に、前記各信号ラインを介して表示データの輝度階調に基づく階調電流を供給し、該階調電流によって前記表示画素に書き込まれる電荷量に基づいて前記各発光素子を発光動作させる表示駆動装置において、
前記表示データの輝度階調範囲の少なくとも一部において、前記階調電流によって前記各表示画素に供給される供給電荷量に対して、該各表示画素に書き込まれる電荷量の割合が一定となる方向に補正する補正手段を備えることを特徴とする表示駆動装置。 - 前記補正手段は、前記表示データの全輝度階調範囲において、前記補正を行うことを特徴とする請求項1記載の表示駆動装置。
- 前記補正手段は、少なくとも、前記表示パネルにおける、前記信号ラインの、前記表示駆動装置から該表示画素までの間に寄生する容量成分に基づいて、前記階調電流を調整制御する電流供給制御手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の表示駆動装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に供給する前記階調電流の電流値を調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項3記載の表示駆動装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、該表示画素を選択状態に設定する選択期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項3又は4のいずれかに記載の表示駆動装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記選択期間の時間幅を、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する一定の時間幅を有する電流供給期間内で調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項5記載の表示駆動装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、該表示画素に前記階調電流を供給する電流供給期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の表示駆動装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記電流供給期間の時間幅を、前記表示画素の各々を選択状態に設定する一定の時間幅を有する選択期間内で調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項7記載の表示駆動装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記表示駆動装置から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置と前記階調電流の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、前記表示画素の配置位置に基づいて、前記補正テーブルを参照することにより一義的に決定された前記補正係数を用いて、前記階調電流を調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載の表示駆動装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記表示画素の配置位置に基づいて、前記補正テーブルから抽出された前記補正係数を、所定の基準値に乗算することにより、前記階調電流を調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項9記載の表示駆動装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する動作に先立って、前記表示画素に、特定のリセット信号を印加して、少なくとも、該表示画素に蓄積された電荷を放電して初期化する手段を備えることを特徴とする請求項3乃至10のいずれかに記載の表示駆動装置。
- 互いに直交する複数の信号ライン及び複数の走査ラインと、該各信号ラインと各走査ラインの交点近傍に配置される、電流制御型の発光素子を備える複数の表示画素と、を備える表示パネルの前記各表示画素に、前記各信号ラインを介して、表示データの輝度階調に基づく階調電流を供給し、該階調電流によって前記表示画素に書き込まれる電荷量に基づいて前記各発光素子を発光動作させて、前記表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置において、
少なくとも、
前記表示パネルの前記複数の走査ラインに順次走査信号を印加して、前記表示画素を所定の選択期間毎に順次選択状態に設定する走査駆動回路と、
前記選択期間毎に、前記表示パネルの前記各信号ラインに前記階調電流を印加して、該階調電流を前記各表示画素に供給する信号駆動回路と、
を具備し、
前記表示データの輝度階調範囲の少なくとも一部において、前記階調電流によって前記各表示画素に供給される供給電荷量に対して、該各表示画素に書き込まれる電荷量の割合が一定となる方向に補正する補正手段を備えることを特徴とする表示装置。 - 前記補正手段は、前記表示データの全輝度階調範囲において、前記補正を行うことを特徴とする請求項12記載の表示装置。
- 前記補正手段は、少なくとも、前記表示パネルにおける、前記信号駆動装置から前記表示画素までの間に寄生する容量成分に基づいて、前記階調電流を調整制御する電流供給制御手段を備えることを特徴とする請求項12又は13記載の表示装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記信号駆動回路における、前記表示パネルにおける前記表示画素の、該信号駆動回路から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置に応じて、該表示画素の各々に供給する前記階調電流の電流値を調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項14記載の表示装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記信号駆動回路において、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号駆動回路から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置に応じて、該表示画素に前記階調電流を供給する電流供給期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項14記載の表示装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記電流供給期間の時間幅を、前記表示画素の各々を選択状態に設定する前記選択期間内で調整制御することを特徴とする請求項16記載の表示装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記走査駆動回路において、前記信号駆動回路より前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する際に、前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号駆動装置から該表示画素までの、前記信号ラインに沿う配置位置に応じて、前記選択期間の時間幅を調整制御する手段を備えることを特徴とする請求項14記載の表示装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記選択期間の時間幅を、前記信号駆動回路より前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する一定の時間幅を有する電流供給期間内で調整制御することを特徴とする請求項18記載の表示装置。
- 前記電流供給制御手段は、前記表示画素の配置位置と前記階調電流の調整制御に係る補正係数とを関連付けた補正テーブルを備え、前記表示画素の配置位置に基づいて、前記補正テーブルを参照することにより一義的に決定された前記補正係数を、所定の基準値に乗算することにより、前記階調電流の供給状態を調整制御することを特徴とする請求項14乃至19のいずれかに記載の表示装置。
- 前記信号駆動回路は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する動作に先立って、前記表示画素に、特定のリセット信号を印加して、少なくとも、該表示画素に蓄積された電荷を放電して初期化することを特徴とする請求項14乃至20のいずれかに記載の表示装置。
- 前記補正手段は、前記表示パネルにおける、前記信号駆動回路に対する、前記各表示画素の、少なくとも、前記信号ライン及び前記表示画素の各々に付加される容量成分の総和からなる負荷容量が一定になる方向に容量値を調整する手段を備えることを特徴とする請求項14記載の表示装置。
- 前記表示画素は、少なくとも、
前記階調電流に基づく電荷を電圧成分として保持する保持容量を備える電荷保持手段と、
該電荷保持手段に保持された電圧成分に基づいて、前記発光素子に発光駆動電流を流す発光駆動手段と、
を備えた発光駆動回路を具備し、
前記発光駆動回路は、前記選択期間においては前記発光素子に前記発光駆動電流を供給しない非発光状態に設定し、
前記選択期間終了後の非選択期間においては前記電荷保持手段に保持された電圧成分に基づいて、前記発光素子に前記発光駆動電流を供給して、前記階調電流に応じた輝度階調で発光動作させる発光状態に設定することを特徴とする請求項14乃至22のいずれかに記載の表示装置。 - 前記補正手段は、前記表示パネルにおける、前記信号駆動回路に対する、該信号駆動回路から前記表示画素の各々までの前記信号ラインに寄生する容量成分と、該表示画素の各々に設けられた前記保持容量と、の容量値の総和からなる負荷容量が一定になる方向に前記保持容量の容量値を調整する手段を備えることを特徴とする請求項23記載の表示装置。
- 前記補正手段は、前記表示パネルにおける、前記信号駆動回路から前記表示画素の各々までの信号ラインに寄生する容量成分と、前記表示画素の各々に設けられた前記保持容量と、前記表示パネルの各行ごとの前記表示画素に共通に接続される特定の信号供給ラインに設けられた容量成分と、の容量値の総和からなる負荷容量が一定になる方向に、前記信号供給ラインごとに設けられる容量成分の容量値を各行ごとに個別に設定する手段を備えることを特徴とする請求項23記載の表示装置。
- 前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセント素子であることを特徴とする請求項14乃至25のいずれかに記載の表示装置。
- 互いに直交する複数の信号ライン及び複数の走査ラインと、該各信号ラインと各走査ラインの交点近傍に配置される、電流制御型の発光素子を備える複数の表示画素と、を備える表示パネルの前記各表示画素に、前記信号ラインを介して表示データの輝度階調に基づく階調電流を供給し、該階調電流によって前記表示画素に書き込まれる電荷量に基づいて前記各発光素子を発光動作させて、前記表示パネルに所望の画像情報を表示する表示装置の駆動制御方法において、
前記表示データの輝度階調範囲の少なくとも一部において、前記階調電流によって前記各表示画素に供給される供給電荷量に対して、該各表示画素に書き込まれる電荷量の割合が一定となる方向に、前記階調電流を調整制御することを特徴とする表示装置の駆動制御方法。 - 前記表示装置の駆動制御方法は、少なくとも、
前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号ラインに沿う配置位置に基づいて、所定の補正テーブルを参照して、前記階調電流の調整制御に係る補正係数を抽出するステップと、
前記補正係数を所定の基準値に乗算して、前記階調電流の電流値を調整制御するステップと、
前記調整制御された電流値を有する前記階調電流を、所定のタイミングで前記表示画素に供給するステップと、
を含むことを特徴とする請求項24記載の表示装置の駆動制御方法。 - 前記表示装置の駆動制御方法は、少なくとも、
前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号ラインに沿う配置位置に基づいて、所定の補正テーブルを参照して、前記階調電流の調整制御に係る補正係数を抽出するステップと、
前記補正係数を所定の基準値に乗算して、前記階調電流を前記表示画素に供給する電流供給期間の時間幅を調整制御するステップと、
前記表示画素の各々を選択状態に設定する一定の時間幅を有する選択期間内に、前記調整制御された時間幅を有する前記電力供給期間で、前記階調電流を前記表示画素に供給するステップと、
を含むことを特徴とする請求項27記載の表示装置の駆動制御方法。 - 前記表示装置の駆動制御方法は、少なくとも、
前記表示パネルにおける前記表示画素の、前記信号ラインに沿う配置位置に基づいて、所定の補正テーブルを参照して、前記階調電流の調整制御に係る補正係数を抽出するステップと、
前記補正係数を所定の基準値に乗算して、前記表示画素を選択状態に設定する選択期間の時間幅を調整制御するステップと、
前記表示画素の各々に前記階調電流を供給する一定の時間幅を有する電流供給期間内に、前記調整制御された時間幅を有する前記選択期間で、前記階調電流を前記表示画素に供給するステップと、
を含むことを特徴とする請求項27記載の表示装置の駆動制御方法。 - 前記表示装置の駆動制御方法は、前記表示画素の各々に前記階調電流を供給するステップに先立って、前記表示画素に、特定のリセット信号を印加して、少なくとも、該表示画素に蓄積された電荷を放電して初期化するステップを含むことを特徴とする請求項28乃至30のいずれかに記載の表示装置の駆動制御方法。
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