JP2004341230A - 画像形成装置および画像濃度検出方法 - Google Patents

画像形成装置および画像濃度検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】装置の異常を速やかに検出することのできる濃度検出技術を提供する。
【解決手段】濃度センサからパッチ画像に照射する照射光量を調整した後に、濃度センサからの出力信号によりパッチ画像の画像濃度を検出する。例えば、照射光量の調整を行う際には、消灯状態、低光量および高光量での発光状態におけるセンサ出力を検出し、その検出結果に基づき照射光量を調整するが、センサ出力が適正レベルでないときにはエラーと判定し、そのエラーの状態に応じて2種類のエラー処理(エラー処理1、エラー処理2)のいずれかを選択実行する。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、像担持体に向けて光を照射するとともに、該像担持体から出射される光を受光し、その受光量に基づいて像担持体上のトナー像の濃度を求める画像形成装置および画像濃度検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機およびファクシミリ装置などの電子写真方式の画像形成装置では、形成されるトナー像の画像濃度を検出するための濃度センサが設けられている。濃度センサとしては、トナー像を担持した像担持体の表面に向けて光を照射し、そこからの出射光を検出する光学的手法によるものが一般的である。このような濃度センサを備えた画像形成装置では、必要に応じて、所定の画像パターンを有するテスト用の小画像(パッチ画像)を形成するとともに、濃度センサによりその画像濃度を検出し、その検出結果に基づいて各種の画像形成条件を調整することで、所定の画像濃度を安定して得られるようにしている。
【0003】
例えば、本願出願人の出願にかかる特許文献1に記載の画像形成装置においては、以下のようにして、画像濃度に影響を与える現像バイアスを最適値に調整している。すなわち、現像バイアスをその可変範囲内で変更設定しながらパッチ画像を形成し、それらのパッチ画像の濃度検出結果から、画像濃度が目標濃度となる現像バイアスの最適値を見出している。そして、その最適値を精度よく求めるために、現像バイアスの可変範囲の異なる2つの処理モードを用意しておき、装置の動作状況に応じてこれらのうち1つを選択実行するようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−75319号公報(図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種の濃度検出技術においては、トナー付着により濃度センサが汚れたり、その動作不良などに起因して、濃度センサの出力が画像濃度を正確に反映せず、その結果、パッチ画像の濃度検出精度が低下してしまうという現象がある。このように濃度検出精度が低下した状態では、その検出結果に基づいて行う画像形成条件の最適化を適切に行うことができなくなる。したがって、装置がこのような状態に陥った場合には、早期にそれを発見し、その解消のため然るべき措置を取ることが必要である。
【0006】
しかしながら、上記した従来技術においては、このような現象については考慮されていないため、検出精度が低下したまま濃度検出を行うことにより、画像形成条件が好ましくない条件に設定されてしまったり、また、トナーや処理時間を無駄に消費してしまうことがあった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、装置の異常を速やかに検出することのできる濃度検出技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、像担持体の表面に向けて光を照射するとともに、その照射光を照射された前記像担持体表面から出射される光を受光して、その受光量に応じた信号を出力する濃度センサを備え、前記像担持体上に担持されるトナー像に向けて光を照射したときの前記濃度センサの出力信号に基づいて前記トナー像の画像濃度を求める画像形成装置および該装置における濃度検出方法において、上記目的を達成するため、それぞれが前記濃度センサの出力信号に基づき装置の動作条件を決定する、複数の処理工程を順次実行し、しかも、前記各処理工程では、前記濃度センサの出力信号の検出値が、該処理工程に対応して設定された適正値でないときにはエラーと判定し、該エラー判定に対応するエラー処理を実行することを特徴としている。
【0009】
本明細書において、「処理工程」とは、濃度センサからの出力信号の検出値を何らかの形で装置の動作に反映させる処理を指しており、その検出値に応じて以後の動作の流れが変化する処理(この場合、「動作条件」とは動作の流れを指す)と、装置各部の動作特性を決める何らかの物性値をこの検出値に基づいて求める処理(この場合、「動作条件」とは求められる物性値を指す)との双方を含む概念である。
【0010】
このように構成された発明では、各処理工程毎に、濃度センサの出力信号が適正であるかどうかを判断し、適正でない場合には所定のエラー処理を実行する。そのため、濃度センサや他の装置各部の異常に起因する濃度センサの出力信号の異常を速やかに検知することができ、必要に応じ適切なエラー処理を実行することができる。
【0011】
ここで、上記のように構成された画像形成装置では、ユーザに対して所定の報知を行う報知手段をさらに備え、前記エラー処理は、前記報知手段によるユーザへのエラー報知を含むようにすることができる。こうすることで、ユーザに対しエラーの発生を速やかに知らせることができ、またエラー解消のため必要な処置をユーザに行わせることができる。
【0012】
また、エラーと判定される理由が互いに異なる少なくとも2つの前記エラー判定について、ユーザに対し同一内容のエラー報知を行うようにしてもよい。装置に異常の発生する原因としては様々に考えられ、また、濃度センサ出力が適正かどうかの判断処理は複数回実行されるので、エラーと判定された理由、つまり装置のどの部分に異常があるか、どういう判断処理の結果エラーと判定されたのかについては、状況によりいろいろな場合が考えられる。それらを特定する詳細な情報は、一般ユーザにとって必ずしも必要でないばかりか、却って混乱をもたらす場合もある。そこで、実際には異なる理由に基づくエラー判定であっても、報知内容を同一とすることで、ユーザの混乱を回避することができる。
【0013】
特に、ユーザが同一の処置を行うことにより解消される可能性のあるエラーについては、その原因が異なるものであっても、同一の報知内容とするのが好ましい。また、この場合の報知内容は、エラー解消のためユーザに行わせる処置の内容を指示するものであることが望ましい。こうすることで、ユーザは、装置の構造やエラー原因についての知識を持たなくても、指示に従い操作を行うことでエラー状態を解消することが可能となる。
【0014】
また、これとは別に、またはこれに加えて、ユーザからの指令に応じて、エラー判定した処理工程を示す情報を前記報知手段により報知するようにしてもよい。というのは、簡単な操作だけでは解消されないエラーもあり、また、根本的なエラー原因の除去のために、装置の構造に詳しいユーザや専任サービスマンにとってエラーに関するより詳細な情報が必要なときがあるからである。このようなニーズに対し、どの処理工程においてエラーが発生したかを報知することで、エラーの発生原因を特定するための手がかりを与えることができる。また、ユーザから所定の指令が与えられたときのみこの情報の報知を行うようにすることで、装置を熟知していない一般ユーザに無用の混乱を招くことを防止することができる。
【0015】
また、サービスマンに対してエラーについてより詳しい情報を与えるために、装置の動作状況を診断するための診断装置を接続可能に構成されるとともに、前記診断装置からの制御指令に応じて、エラー判定した処理工程を示す情報を前記診断装置に対し送信するようにしてもよい。つまり、画像形成装置にエラーが発生したときには、サービスマンが専用の診断装置を接続し、エラーに関するさらに詳細な情報を得て修理に役立てることができる。このとき、画像形成装置本体側でのエラー報知については、ユーザの混乱を避けるため、詳しい情報を提示するよりも、必要な処置を促す最少限の内容とするのが好ましい。
【0016】
本発明を好適に適用可能な画像形成装置としては、例えば、前記複数の処理工程として、トナー像を担持しない前記像担持体に向け光を照射したときの前記濃度センサからの出力信号に基づいて、照射光量を所定値に調整する光量調整工程と、前記光量調整工程より後に、トナー像に向け光を照射したときの前記濃度センサからの出力信号に基づいて、該トナー像の画像濃度を求める濃度検出工程とを少なくとも含むものがある。
【0017】
このような画像形成装置では、光量調整工程、濃度検出工程を順次実行することでトナー像の画像濃度を求める。画像濃度を精度よく求めるためには、照射光量を適正に設定し、かつトナー像からの出射光量を精度よく検出することが必要である。したがって、これらの処理工程毎に濃度センサの出力信号が適正かどうかをチェックし、その結果に応じて必要な処理を行うことで、画像濃度の検出結果の信頼性が向上する。
【0018】
また、この発明の他の態様は、像担持体の表面に向けて光を照射するとともに、その照射光を照射された前記像担持体表面から出射される光を受光して、その受光量に応じた信号を出力する濃度センサを備え、前記像担持体上に担持されるトナー像に向けて光を照射したときの前記濃度センサの出力信号に基づいて前記トナー像の画像濃度を求める画像形成装置において、上記目的を達成するため、前記濃度センサの出力信号に基づき装置の第1動作条件を決定する第1処理工程と、前記第1処理工程より後に前記濃度センサの出力信号に基づき前記第1動作条件とは異なる装置の第2動作条件を決定する第2処理工程とを実行し、前記第1および第2処理工程の各々において、前記濃度センサの出力信号の検出値が該処理工程に対応して設定された適正値でないときにはエラーと判定し、該エラー判定に対応するエラー処理を実行することを特徴としている。
【0019】
このように構成された発明では、第1および第2処理工程のそれぞれにおいて、濃度センサの出力信号が適正であるかどうかを判断し、適正でない場合には所定のエラー処理を実行する。そのため、濃度センサや他の装置各部の異常に起因する濃度センサの出力信号の異常を速やかに検知することができ、必要に応じ適切なエラー処理を実行することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(装置の構成)
図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0021】
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置1本体に対し着脱自在となっている。
【0022】
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
【0023】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色のトナーを担持する現像ローラから感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
【0024】
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
【0025】
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
【0026】
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0027】
後述するように、この装置1では、装置筐体の一部に開閉自在のカバーが設けられており、このカバーが開かれると、上記したエンジン部EGの一部が露出するようになっている。こうすることにより、ユーザまたは専任サービスマンによるエンジン部EGのメンテナンス性の向上が図られている。
【0028】
また、この装置1では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
【0029】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0030】
さらに、この装置では、インターフェース112に対してパーソナルコンピュータ(PC)200を接続することができるようになっている。このPC200は、上記したホストコンピュータのように本装置に対して画像信号を与えるためのものではなく、サービスマンが本装置の動作状況を把握してメンテナンス作業を行うための診断装置として用いられるものである。すなわち、サービスマンが必要に応じてPC200を本装置に接続し、PC200から所定の制御指令を与えることによって、本装置の使用状況に関する情報がCPU111からインターフェース112を介してPC200に送信される。サービスマンは、こうして得られた情報を解析することにより、装置の使用状況や異常の発生箇所を把握することができる。
【0031】
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76が配置されている。このクリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。このように、中間転写ベルト71の表面領域のうちローラ75に巻き掛けられた巻き掛け領域においてクリーナ76を当接させることにより、該ベルト71の回転動作に伴うばたつきの影響を受けることなく、一定の圧力でクリーナ76を中間転写ベルト71に当接させることができるので、優れたトナー除去効果を挙げることができる。
【0032】
さらに、ローラ75の近傍には、濃度センサ60が配置されている。この濃度センサ60は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、必要に応じ、中間転写ベルト71の外周面に形成されるトナー像の濃度を測定する。そして、その測定結果に基づき、この装置1では、画像品質に影響を与える装置各部の動作条件、例えば各現像器に与える現像バイアスや、露光ビームLの強度などの調整を行っている。
【0033】
図3は濃度センサの構成を示す図である。この濃度センサ60は、中間転写ベルト71の表面領域のうちローラ75に巻き掛けられた巻き掛け領域71aに光を照射するLEDなどの発光素子601を有している。また、この濃度センサ60には、後述するようにCPU101から光量制御信号変換部680を介して与えられる光量制御信号Slcに応じて照射光の照射光量を調整するために、偏光ビームスプリッター603、照射光量モニタ用受光ユニット604および照射光量調整ユニット605が設けられている。光量制御信号変換部680は、照射光量を制御するためにCPU101から出力される2種類の8ビットデジタル信号DA1、DA2に基づいて、光量制御信号Slcを出力する。この光量制御信号変換部680の構成については後に詳述する。
【0034】
この偏光ビームスプリッター603は、図3に示すように、発光素子601と中間転写ベルト71との間に配置されており、発光素子601から出射される光を中間転写ベルト71上における照射光の入射面に平行な偏光方向を有するp偏光と、垂直な偏光方向を有するs偏光とに分割している。そして、p偏光についてはそのまま中間転写ベルト71に入射する一方、s偏光については偏光ビームスプリッター603から取り出された後、照射光量モニタ用の受光ユニット604に入射され、この受光ユニット604の受光素子642から照射光量に比例した信号が照射光量調整ユニット605に出力される。
【0035】
この照射光量調整ユニット605は、受光ユニット604からの信号と、光量制御信号変換部680からの光量制御信号Slcとに基づき発光素子601をフィードバック制御して発光素子601から中間転写ベルト71に照射される照射光量を光量制御信号Slcに対応する値に調整する。このように、この実施形態では、CPU101からの出力信号によって、照射光量を広範囲に、かつ適切に変更調整することができる。
【0036】
また、この実施形態では、照射光量モニタ用受光ユニット604に設けられた受光素子642の出力側に入力オフセット電圧641が印加されており、光量制御信号Slcがある信号レベルを超えない限り、発光素子601が消灯状態に維持されるように構成されている。その具体的な電気的構成は図3に示す通りである。
【0037】
図4は図3の濃度センサ60において採用された受光ユニット604の電気的構成を示す図である。この受光ユニット604では、フォトダイオードなどの受光素子PSのアノード端子は電流−電圧(I/V)変換回路を構成するオペアンプOPの非反転入力端子に接続されるとともに、オフセット電圧641を介して接地電位に接続されている。また、受光素子PSのカソード端子は、オペアンプOPの反転入力端子に接続されるとともに、抵抗Rを介してオペアンプOPの出力端子に接続されている。このため、受光素子PSに光が入射されて光電流iが流れると、オペアンプOPの出力端子からの出力電圧VOは、
VO=i・R+Voff … (式1)
(ただし、Voffはオフセット電圧値である)
となり、反射光量に対応した信号が受光ユニット604から出力される。このように構成した理由について以下説明する。
【0038】
図5は図3の濃度センサにおける光量制御特性を示す図である。入力オフセット電圧641を印加しない場合には、図5の破線で示すような光量特性を示す。つまり、光量制御信号Slc(0)をCPU101から照射光量調整ユニット605に与えると、発光素子601は消灯状態となり、光量制御信号Slcの信号レベルを高めると、発光素子601は点灯し、中間転写ベルト71上への照射光量も信号レベルにほぼ比例して増大する。しかしながら、光量特性は周辺温度の影響や照射光量調整ユニット605の構成などによって図5に示す一点鎖線や二点鎖線のように平行シフトすることがあり、仮に同図の一点鎖線のようにシフトしてしまうと、CPU101から光量制御信号変換部680を介して消灯指令、つまり光量制御信号Slc(0)を与えているにもかかわらず、発光素子601が点灯していることがある。
【0039】
これに対し、本実施形態の如く、入力オフセット電圧641を印加して予め同図の右手側にシフトさせて不感帯(信号レベルSlc(0)〜Slc(1))を設けている場合(同図の実線)には、CPU101から消灯指令、つまり光量制御信号Slc(0)を与えることで確実に発光素子601を消灯することができ、装置の誤作動を未然に防止することができる。
【0040】
一方、信号レベルSlc(1)を超える光量制御信号Slc(2)が照射光量調整ユニット605に与えられると、発光素子601は点灯し、中間転写ベルト71にp偏光が照射光として照射される。すると、このp偏光は中間転写ベルト71で反射され、反射光量検出ユニット607で反射光の光成分のうちp偏光の光量とs偏光の光量とが検出され、各光量に対応する信号がCPU101に出力される。
【0041】
この反射光量検出ユニット607は、図2に示すように、反射光の光路上に配置された偏光ビームスプリッター671と、偏光ビームスプリッター671を通過するp偏光を受光し、そのp偏光の光量に対応する信号を出力する受光ユニット670pと、偏光ビームスプリッター671で分割されたs偏光を受光し、そのs偏光の光量に対応する信号を出力する受光ユニット670sとを備えている。この受光ユニット670pでは、受光素子672pが偏光ビームスプリッター671からのp偏光を受光し、その受光素子672pからの出力をアンプ回路673pで増幅した後、その増幅信号をp偏光の光量に相当する信号として受光ユニット670pから出力している。また、受光ユニット670sは受光ユニット670pと同様に受光素子672sおよびアンプ回路673sを有している。このため、反射光の光成分のうち互いに異なる2つの成分光(p偏光とs偏光)の光量を独立して求めることができる。
【0042】
また、この実施形態では、受光素子672p,672sの出力側に出力オフセット電圧674p,674sがそれぞれ印加されており、アンプ回路673p,673sからCPU101に与えられる信号の出力電圧Vp,Vsは図5に示すようにプラス側にオフセットされている。
【0043】
図6は図3の濃度センサにおける反射光量に対する出力電圧の変化の様子を示すグラフである。各受光ユニット670p,670sの具体的な電気的構成については、受光ユニット604と同一であるため、ここでは図示説明を省略する。このように構成された受光ユニット670p,670sにおいても、受光ユニット604と同様に、反射光量がゼロであるときであっても、各出力電圧Vp,Vsはゼロ以上の値を有し、しかも反射光量の増大に比例して出力電圧Vp,Vsも増大する。このように出力オフセット電圧674p,674sを印加することで図5の不感帯の影響を確実に排除することができ、反射光量に応じた出力電圧を出力することができる。
【0044】
図7はこの実施形態における光量制御信号変換部を示す図である。この光量制御信号変換部680は、CPU101から光量制御のために出力される2種類のデジタル信号DA1およびDA2に応じた電圧値を有する光量制御信号Slcを濃度センサ60の照射光量調整ユニット605に供給するものである。この光量制御信号変換部680では、CPU101からの2つのデジタル信号DA1、DA2をそれぞれアナログ信号電圧VDA1、VDA2に変換する2つのD/A(デジタル/アナログ)変換器681、682が設けられている。そして、これらのアナログ信号VDA1、VDA2はそれぞれバッファ683、684を介して演算部690に入力される。
【0045】
この実施形態では、D/A変換器681および682は、いずれも8ビットの分解能を備え、+5Vの単一電源にて動作する。つまり、これらの出力電圧VDA1およびVDA2は、CPU101からの8ビットデジタル信号DA1またはDA2の値(0ないし255)に応じて、0Vから+5Vまで256段階の離散的な値を取る。例えば、CPU101からのデジタル信号DA1が0であるとき、D/A変換器681の出力電圧VDA1は0Vとなる。そして、デジタル信号DA1の値が1増加する毎に出力電圧VDA1は最小電圧ステップΔVDA=(5/255)Vずつ増加し、デジタル信号DA1が255のとき、D/A変換器681の出力電圧VDA1は+5Vとなる。D/A変換器682の出力電圧VDA2についても同様である。このように、D/A変換器681の出力電圧VDA1およびD/A変換器681の出力電圧VDA2は、いずれも8ビットデジタル信号に対応する256段階の離散的な値を取りうる。
【0046】
ここで、発光素子601による照射光量を細かく制御するためには、光量制御信号Slcをできるだけ細かい刻みで多段階に設定できることが望ましい。デジタル信号DA1、DA2のデータビット長を多くすればより細かい設定が可能となるが、装置コストの面では現実的でない。すなわち、D/A変換器681、682として入力ビット数がより多く分解能の高いものを使う必要があるが、このようなデバイスは高価である。とりわけCPUについては、8ビットを超えるデータを扱うためにはデータビット長が16ビットの製品を使用する必要があり、このような製品はデータビット長が8ビットのものに比べて非常に高価となってしまう。
【0047】
そこで、この実施形態では、これら2つのD/A変換器681、682の出力電圧に対して演算部690が所定の演算を行い、その演算結果を光量制御信号Slcとすることで、データビット長を8ビットに留めて装置コストを抑えながら、高い分解能で光量制御を行えるようにしている。
【0048】
演算部690は、4つの抵抗器691〜694とオペアンプ695とで構成される減算回路である。4つの抵抗器691〜694のうち、2つの抵抗器691と694とは同じ抵抗値R1を有し、また他の2つの抵抗器692と693とは同じ抵抗値R2(ただし、R2>R1)を有している。このような構成では、演算部690から出力される出力電圧Voutは下式:
Vout=VDA1−(R1/R2)VDA2 … (式2)
で表される。この出力電圧Voutが光量制御信号Slcとして濃度センサ60の照射光量調整ユニット605に入力されている。
【0049】
こうすることで、0〜5Vの電圧範囲で、かつ最小電圧ステップ(R1/R2)ΔVDAで、光量制御信号Slcを設定することが可能となる。ここで、R1<R2となるようにしているから、結局、8ビットデジタル信号と1個のD/A変換器を使って制御する場合と比べ、光量制御信号Slcをよりきめ細かく設定することが可能となる。より具体的には、光量制御信号Slcの分解能を実質的に(R2/R1)倍に向上させることができる。
【0050】
こうして2つの8ビットデジタル信号の組み合わせ(DA1,DA2)によって光量制御信号Slcの設定値が前記した信号レベルSlc(1)を超える値に設定されると、この設定値に応じた光量で発光素子601が発光し、その光の一部が上記したようにして中間転写ベルト71の表面に向け照射される。そして、中間転写ベルト71の表面で反射した光が受光ユニット670p,670sに受光される。
【0051】
また、中間転写ベルト71の表面に後述するパッチ画像が形成されている場合には、パッチ画像を構成するトナーによって照射光の一部が吸収・散乱されるため、受光ユニット670p,670sにより受光される光量はトナーの付着量に応じて変化することとなる。したがって、この受光量の変化を検出することにより、トナー像を構成するトナーの量の多少、つまりトナー像の画像濃度を求めることが可能となっている。
【0052】
上記のように構成された濃度センサ60は中間転写ベルト71に対し離当接自在に設けられたクリーナ76の近傍に配置されているため、中間転写ベルト71とクリーナ76との当接部から飛散したトナーが付着して汚れやすい。濃度センサ60が汚れると、濃度センサ60による画像濃度検出精度が低下する。そこで、この実施形態では、濃度センサ60の表面を清掃するためのクリーニング手段を設けている。
【0053】
図8は濃度センサクリーニング手段を示す図である。このクリーニング手段61は、棒状のクリーニングロッド611と、その一方端に取り付けられたスポンジ状またはブラシ状のクリーニング部材612とにより構成されている。そして、このクリーニング手段は、ばね62を介して装置1の筐体1aに取り付けられている。
【0054】
また、この筐体1aの側面部(図1の正面側)には、エンジン部EGを覆う開閉自在のカバー15が設けられている。すなわち、カバー15が開かれた状態では、エンジン部EGの一部が外部に露出し、この状態で、ユーザまたはサービスマンはエンジン部EGのメンテナンス作業、例えば現像器4Y等や感光体カートリッジ2の着脱作業を行うことが可能となる。このとき、画像形成動作の実行は禁止される。一方、カバー15が閉じられると、画像形成動作が可能な状態となる。
【0055】
カバー15が開かれているとき、クリーニングロッド611はばね62により図8の左方向に付勢されているため、その一方端に取り付けられたクリーニング部材612は、同図の実線に示すように、濃度センサ60の主面のうち中間転写ベルト71と対向する主面60aと当接した状態にある。一方、カバー15が閉じられると、カバー15に設けられた突起部15aがクリーニングロッド611の他方端を押すこととなるため、図8の点線で示すように、クリーニング部材612が右方向に移動し、濃度センサ60から離間位置に移動することとなる。このため、この実施形態では、ユーザがカバー15の開閉操作を行うことによって、濃度センサ60の中間転写ベルト71側主面60aがクリーニング部材612により擦過され、その表面に付着したトナーが除去されるようになっている。
【0056】
また、図示を省略するものの、露光ユニット6から感光体22に向けて光ビームLが照射される照射窓6a(図1)に対しても、同様のクリーニング手段が設けられている。そして、クリーニングロッドの他方端に設けられ、カバー15を開けたときに露出するノブをユーザが前後に動かすことによって、照射窓6aがクリーニング部材により清掃される。
【0057】
(濃度制御動作)
上記のように構成された画像形成装置では、以下に説明するようにして、画像濃度の安定化を図っている。すなわち、パッチ画像としてのトナー像を形成するとともに、該パッチ画像の画像濃度を検出し、その検出結果に基づいて画像濃度に影響を与える濃度制御因子、具体的には現像バイアスおよび露光パワーの調整を行っている。
【0058】
図9はこの実施形態における濃度制御処理を示すフローチャートである。この実施形態では、装置の電源投入直後や感光体22が新品に交換された時などに、CPU101が図9に示す濃度制御処理を行って、画像濃度の変動を抑えている。
【0059】
まず、装置全体の初期化動作を行う(ステップS1)。ここでの動作の内容は、感光体22および中間転写ベルト71のクリーニングや、現像ユニット4のホームポジション(図示せず)への移動等を含む、この種の画像形成装置において一般的なものであるので説明を省略する。初期化動作に続いて、後に分説する光量設定(ステップS2)、下地検出(ステップS3)、バイアス調整(ステップS4)および露光調整(ステップS5)の各処理を順次実行するが、これらステップS2〜5の各処理のそれぞれは、本発明の「処理工程」に相当するものである。また、これらの各処理の1つが「第1処理工程」に相当し、それより後に実行する処理が「第2処理工程」に相当するものである。
【0060】
図10は光量設定の原理を説明するための図である。また、図11は濃度制御処理における光量設定処理工程を示すフローチャートである。ここでは、まず図10を参照しながら光量設定の原理について説明し、その後、具体的な処理内容について図11を参照しながら説明する。なお、ここではp偏光成分に対応した受光ユニット670pからの出力Vpについて説明するが、s偏光成分に対応した受光ユニット670sからの出力Vsについても同様に考えることができる。ただし、前記したように、受光ユニット670pからの出力Vpの方が出力レベルが高くその変化のダイナミックレンジも大きいので、照射光量を定めるに当たっては、ここで述べるように、p偏光成分に対応する出力電圧Vpを用いることが望ましい。
【0061】
先に説明したように、この濃度センサ60では、光量制御信号Slcの設定値が所定の値Slc(1)以下のときには発光素子601は発光しない。また、受光素子672pの出力側にはオフセット電圧674pが与えられているから、受光ユニット670pからは、発光素子601が発光していないときにも一定の出力電圧Vpが出力される。このときの出力電圧が、上記した暗出力レベルVp0である。このように、光量制御信号Slcの設定値がSlc(1)以下である領域Z1においては、受光ユニット670pからの出力電圧Vpは、ほぼ一定の暗出力レベルVp0となる。
【0062】
一方、光量制御信号SlcをSlc(1)を超える値に設定すると、発光素子601がその光量制御信号Slcの設定値に対応した光量で発光し、これに伴って、受光ユニット670pからは、中間転写ベルト71からの反射光量に応じた出力電圧Vpが出力される。ただし、回路構成上、出力電圧Vpには上限値Vplimがあり、光量制御信号Slcを大きくしても、出力電圧Vpは飽和してそれ以上大きくならない。このように、受光ユニット670pの出力電圧Vpは、飽和するまでの領域Z2においては光量制御信号Slcの設定値にほぼ比例して増加する一方、飽和領域Z3ではほぼ一定の値Vplimとなる。
【0063】
濃度センサ60の出力電圧に基づきパッチ画像の濃度測定を行うためには、光量制御信号Slcを領域Z2に属する値に設定する必要がある。また、簡単な処理で効率よくパッチ画像濃度を求めるためには、パッチ画像が形成されていない、つまり中間転写ベルト71にパッチ画像を構成するトナーが付着していない状態での出力電圧Vpが一定の基準値となっていることが好ましい。というのは、こうすることにより、上記した一定の基準値に対する出力電圧Vpの変化量から簡単にトナー量の多少を求めることができるからである。
【0064】
そこで、この実施形態では、濃度測定を行うときの光量制御信号Slcを、領域Z2に属し、かつその値に対応する受光ユニット670pからの出力電圧Vpが所定の基準値Vprefとなるような値(以下、「基準光量制御信号」という)Slc(ref)に設定する。すなわち、濃度測定の実行に先立って、トナー像を担持しない状態の中間転写ベルト71からの反射光を受光した時の受光ユニット出力電圧Vpが基準値Vrefとなるような光量制御信号Slcの値を見出し、その値を基準光量制御信号Slc(ref)とする。
【0065】
より具体的には、次のようにして基準光量制御信号Slc(ref)を求めることができる。すなわち、光量制御信号Slcを、領域Z2に属する2つの値Slc(3)、Slc(4)に順次設定し、それぞれにおける受光ユニット670pの出力電圧Vp3およびVp4を検出すれば、これらの値から領域Z2における光量制御信号Slcと受光ユニット出力電圧Vpとの間の直線関係を求めることができる。こうして求めた関係から、受光ユニット670pの出力電圧Vpを基準値Vprefとするための光量制御信号Slcの値、すなわち基準光量制御信号Slc(ref)を求めればよい。
【0066】
こうすることによって、パッチ画像濃度を精度よく測定することが可能となる。というのは、図10に示す光量制御信号Slcと受光ユニット出力電圧Vpとの関係は、濃度センサ60を構成する部品の特性ばらつきや温度変化、さらには濃度センサ60がトナー付着により汚れるなどの原因により変動することがあるが、上記のようにすることで、これらの原因が測定結果に及ぼす影響を低減することができるからである。
【0067】
次に、図11を参照して光量設定処理工程について説明する。この光量設定処理工程は、本発明の「光量調整工程」に相当する処理工程である。まず、暗出力レベルの検出を行う(ステップS201)。暗出力レベルとは、発光素子601を発光させない状態で受光ユニット670p,670sから出力される信号電圧Vp,Vsのことであり、図6に示すオフセット電圧Voffに相当する値である。より具体的には、光量制御信号Slc(0)を設定し、このときの受光ユニット670p,670sからの出力信号Vp,Vsを、それぞれ暗出力レベルVp0,Vs0として記憶しておく。
【0068】
ここで、暗出力信号Vp0は受光ユニット670pに与えられたオフセット電圧674pに対応したレベルとなるはずであり、各部の特性ばらつきや測定誤差を含めたとしても、そのレベルVp0は一定の範囲内に収まるはずである。そこで、この暗出力信号のレベルVp0が適正値、すなわち上記範囲内にあるかどうかをチェックする(ステップS202)。ここでの判断がYES、すなわち暗出力信号レベルVp0が所定範囲内にあればステップS203に進むが、その範囲になければ装置に何らかの異常があるものとして処理「エラー処理1」を実行する。この「エラー処理1」は、後に詳述するが、簡単な作業では解消できない異常(例えば濃度センサ60の故障)が装置に発生し、画像濃度を検出することが望めない状態に対応したエラー処理である。
【0069】
暗出力信号Vp0が正常であれば、引き続き、上記原理に基づいて基準光量制御信号Slc(ref)を設定する。すなわち、まず光量制御信号Slc(3)を設定して発光素子601を比較的低光量で発光させ、そのときの受光ユニット670pの出力電圧Vp3を検出する(ステップS203)。次いで、これより高光量となる光量制御信号Slc(4)を設定し、そのときの受光ユニット670pの出力電圧Vp4を検出する(ステップS206)。
【0070】
ただし、検出した電圧Vp3およびVp4については、その都度その検出値が適正であるかどうかを判断する。すなわち、検出値が図10に示す比例領域Z2にあるかどうかを判断し(ステップS204、S207)、該領域にないと判断したときは、処理「エラー処理1」を実行する。さらに、その検出値が適正範囲にあるかどうかを判断し(ステップS205、S208)、該範囲にないと判断したときは、より軽度の異常に対応して設けられた処理「エラー処理2」を実行する。この処理「エラー処理2」についても後に詳述するが、要するに、画像濃度の検出は可能であるがその検出精度が低下した状態にある場合に対応したエラー処理である。
【0071】
このようにする理由は以下のとおりである。すなわち、上記したように、センサ出力電圧Vpが比例領域Z2から外れている場合には、光量の変化がセンサ出力に反映されないため、画像濃度を検出することができない。また、センサ出力が本来の値から大きく相違した結果となることから、装置の故障など比較的重大な異常が生じている可能性が高いと考えられる。そこで、このような場合には、比較的重度の異常に対応した「エラー処理1」を実行する。
【0072】
一方、センサ出力電圧Vpが比例領域Z2にあるというだけで異常がないとは言い切れない。例えば濃度センサ60にトナーが付着するなどにより濃度センサ60から出射するあるいは該センサ60に入射する光量が変化し、そのためにセンサ出力検出値Vpが本来の値から幾分隔たったものとなることがある。このような軽度の異常は濃度検出精度の低下をもたらすが、検出が不可能というほどのものではなく、また、簡単な処置により回復可能な場合も多いと考えられる。しかしながら、このような軽度の異常といえども早期に解消されるのが望ましいことはもちろんである。
【0073】
そこで、比例領域Z2において、光量制御信号Slcの設定値Slc(3)、Slc(4)に対応するセンサ出力Vp3、Vp4の適正な値の範囲を定めておき、センサ出力がその範囲内にあれば正常、そうでなければ異常とすることで、装置の正常な状態と異常状態との判別を行うことができる。ここでの異常は比較的軽度のものである可能性が高いので、上記した「エラー処理1」とは異なる「エラー処理2」を実行するようにしている。
【0074】
上記のようにして、センサ出力電圧Vp3、Vp4がいずれも適正範囲にあることがわかれば、確認のために、両出力電圧の大小関係を比較する(ステップS209)。この濃度センサ60では、受光量が多いほど出力電圧Vpは大きくなるから、低光量でのセンサ出力Vp3よりも高光量でのセンサ出力Vp4の方が大きな値となるはずである。これが逆転している場合、装置に異常があると考えられるので、「エラー処理1」に移行する。
【0075】
一方、ここでも異常がないと判断したときは、基準光量制御信号Slc(ref)の算出を行う(ステップS210)。この計算は、2回の検出の結果Vp3、Vp4と図10に示す関係に基づいて、例えば次式:
Slc(ref)=Slc(3)+{Slc(4)−Slc(3)}×(Vpref−Vp3)/(Vp4−Vp3) … (式3)
により求めることができる。CPU101から照射光量調整ユニット605に与える光量制御信号Slcをこうして求めた基準値Slc(ref)に設定すれば、中間転写ベルト71にトナーが付着しない状態での受光ユニット670pの出力は基準値Vprefとなる。したがって、トナー像の光学濃度を求める際には、この値Vprefを基準として出力電圧Vpの実測値を評価することで、センサの特性ばらつきやトナーによる汚れの影響を受けることなく、安定してトナー像の濃度測定を行うことが可能となる。
【0076】
なお、光量制御信号Slcを基準値Slc(ref)に設定するには、光量制御信号Slcがこの基準値Slc(Ref)に最も近くなるように、CPU101から照射光量調整ユニット605に与える8ビットデジタル信号の組み合わせ(DA1,DA2)を定めればよい。また、濃度センサ60の汚れの程度は刻々と変化するから、基準光量制御信号Slc(ref)については、トナー像の濃度測定を行う度ごとに、その測定に先立って実行することが望ましい。
【0077】
ここまでの処理においては、受光ユニット670pからの出力電圧Vpに着目して基準光量制御信号Slc(ref)を設定することで、照射光量の調整を行った。しかしながら、これにより濃度測定の準備が整ったというわけではない。例えば、トナー像を形成する前の中間転写ベルト71表面にトナーが付着していた場合、このトナーにより反射光量が変化するため、濃度測定結果が影響を受けるおそれがある。
【0078】
また、s偏光成分に対応する受光ユニット670sについての出力の確認を行う必要もある。その理由は以下の通りである。すなわち、濃度センサ60に異常がなければ、こうして照射光量を調整したとき、受光ユニット670sの出力電圧Vsも所定の電圧範囲に収まっているはずである。しかし、受光ユニット670sが何らかの異常を来し、異常な電圧Vsが出力される場合がある。また、p偏光成分とs偏光成分とでその性質が異なっていることに起因して、例えば濃度センサ60がトナーにより汚れていた場合、その汚れた状態の下でp偏光成分のみに着目して光量調整を行った結果、s偏光成分に対応する出力Vsのみが異常な値を示す場合もある。そこで、この実施形態では、照射光量の調整に引き続いて、図12に示す下地検出処理を実行する。
【0079】
図12は下地検出処理を示すフローチャートである。この下地検出処理では、まず光量制御信号Slcを上記で求めた基準光量制御信号Slc(ref)に設定して発光ユニット601を基準光量で発光させ(ステップS31)、その状態で2つの受光ユニット670p、670sそれぞれからの出力電圧Vp、Vsを検出する(ステップS32〜S34)。このとき、中間転写ベルト71表面のうち少なくとも後にパッチ画像を形成する領域については、予めトナーが付着していないことを確認しておくことが好ましい。そこで、この実施形態では、中間転写ベルト71を周回させ(ステップS32)、その表面の複数箇所で受光ユニットからの出力電圧Vp,Vsをサンプリングし(ステップS33)、それぞれの平均値Vpave、Vsaveを求めて(ステップS34)、後の評価を行うようにしている。
【0080】
そして、まず、受光ユニット670pの出力電圧Vpaveが適正な値であるかどうかを判断する(ステップS35)。当然に、この出力電圧Vpaveは基準値Vprefとなっているはずであるが、検出誤差や中間転写ベルト71の表面状態のムラ等による変動も考えられるので、確認のためにこの判断を行い、ここでは出力電圧Vpの平均値Vpaveが基準値Vprefに対して例えば(±10%)以内にあれば適正であるとする。
【0081】
次いで、受光ユニット670sの出力電圧Vsが適正な値であるかどうかを判断する(ステップS36)。画像濃度に対する出力電圧Vsの変化は比較的小さいので、画像濃度の変化が出力電圧の変化として検出できれば事足りる。つまり、このときの電圧Vsは比例領域にあればよい。そこで、ここでは、例えば出力電圧Vsが暗出力レベルVs0以上で、しかもその飽和レベルVslim(図10に示すp偏光成分に対応する出力電圧Vpの飽和レベルVplimに対応する値)未満であれば適正であるとする。
【0082】
こうして2つの出力電圧Vp,Vsが適正範囲にあることを確認した後に、これらの値に基づく指標値Taveを算出する(ステップS37)。この指標値Taveとは、2つの出力電圧VpとVsとの間の相対的なレベル関係を指標する値である。この実施形態では、2つの出力電圧Vp,Vsそれぞれから求めたp偏光成分,s偏光成分に基づいて画像濃度を測定するから、2つの受光ユニット670p,670sそれぞれの出力電圧が適正であるのみならず、2つの電圧の相対的なレベル関係が適正範囲にあることが必要である。そこで、このような指標値Taveを算出し、その値が適正であるかどうかの判断を行う(ステップS38)。
【0083】
指標値Taveは、例えば次式:
Tave=Sg×(Vpave−Vp0)−(Vsave−Vs0) … (式4)
により求めることができる。ここで、Sgは、濃度センサ60に設けられた2つのアンプ回路673p、673sのゲインの違いを補償するための係数である。また、受光素子672p,672sの出力に与えたオフセット電圧を差し引くため、これらの平均値Vpave,Vsaveからそれぞれ暗出力レベルVp0,Vs0を減じている。
【0084】
なお、こうして求めた指標値Taveの適正な範囲としては、例えば、理想的な、つまりセンサ特性のばらつきがなく、濃度センサ60や中間転写ベルト71にトナーによる汚れがない状態における指標値の理想値Tidealを予め求めておき、その理想値Tidealに対して所定の許容範囲、例えば(±30%)以内とすることができる。
【0085】
こうして2つの出力電圧Vp,Vsおよび指標値Taveについての判断を行い(ステップS35、S36およびS38)、いずれの値も適正な範囲にあれば、濃度センサ60は濃度測定を行うことが可能な状態にあると判定することができ、この状態のとき以下に説明するバイアス調整および露光調整を行い、画像形成条件の最適化を行う。これらのバイアス調整および露光調整は、いずれも本発明の「濃度検出工程」に相当する処理工程である。しかし、いずれかが適正でないと判断したときには、その判断に応じたエラー処理を実行する。
【0086】
図13はバイアス調整の原理を説明するための図である。また、図14はバイアス調整処理を示すフローチャートである。画像形成時に現像ローラ44に与える現像バイアスVbを変化させると、図13に示すように、形成される画像の画像濃度Dはそれに伴って変化する。ここでは、現像バイアスVbを大きくするほど画像濃度Dは増大するものとする。
【0087】
ここで、画像濃度Dをその目標値Dtgtにするための現像バイアスVbの最適値Vboptを求める。現像バイアスVbを多段階に変更設定しながら各段階で同一パターンのパッチ画像(例えばベタ画像)を形成し、その画像濃度を求めれば、図13に示す現像バイアスVbと画像濃度Dとの関係を求めることができる。そして、そうして求めた関係から、画像濃度Dが目標値Dtgtとなるような現像バイアスVbの最適値Vboptを求めることができる。
【0088】
このとき、現像バイアスVbの刻みを細かくし、形成するパッチ画像の個数を多くすれば、現像バイアスの最適値Vboptをより高精度に求められることは明らかである。しかし、多くのパッチ画像を形成するとトナーの消費量が増え、また処理に要する時間も長くなる。したがって、このときの現像バイアスVbの刻みおよび形成するパッチ画像の個数は、装置の仕様や求められる画像品質等に応じて決める必要がある。この実施形態では、現像バイアスVbの可変範囲と画像品質との兼ね合いを考慮して、パッチ画像の個数を6個、つまり現像バイアスをVb(1)からVb(6)までの6段階に変化させることとしている。また、以下では、現像バイアスVbをVb(n)(ただし、n=1,2,…,6)に設定して形成したパッチ画像の画像濃度検出結果をDv(n)と表すこととする。
【0089】
具体的な調整方法は、図14に示すとおりである。すなわち、まず、現像バイアスVbをVb(1)からVb(6)まで6段階に変化させ、各バイアス値でのパッチ画像を中間転写ベルト71上に形成する(ステップS41)。そして、各パッチ画像の画像濃度Dv(1)〜Dv(6)を、濃度センサ60により検出する(ステップS42)。
【0090】
次に、こうして検出した各パッチ画像のうち、現像バイアスVb(1)で形成したパッチ画像の濃度検出結果Dv(1)が適正であるかどうかを判断する(ステップS43)。ここでは、図13に示す値DvH以下であれば適正とし、これを超える場合にはエラーとする。これは、現像バイアスVb(1)は画像濃度が最も低くなる現像バイアス値であるから、このときの検出結果Dv(1)が目標濃度Dtgtを大きく上回るのは何らかの異常によるものと考えられるからである。ただし、ここまでの処理では装置は正常と判断されていることから、異常の内容としては、例えば中間転写ベルト71へのトナー付着など、比較的回復しやすいものである可能性が高いので、この種のエラーに対応したエラー処理、すなわちエラー処理2を実行する。
【0091】
一方、画像濃度が最も高濃度となるであろうパッチ画像、つまり現像バイアスVb(6)で形成したパッチ画像の濃度検出結果Dv(6)が低すぎる場合もありうる。そこで、この実施形態では、濃度検出結果Dv(6)を所定値DvLと比較し(ステップS44)、濃度検出結果Dv(6)がこの値DvLに満たないときにはエラーと判定し、エラー処理2を実行するようにしている。
【0092】
濃度検出結果Dv(6)が適正値であれば、続いて上記した2つの濃度検出結果の差ΔDvを求める(ステップS45)。すなわち、
ΔDv=Dv(6)−Dv(1) … (式5)
である。この値ΔDvがある程度以上の大きな正の値でなければならない。というのは、装置が正常であれば、現像バイアスVbが大きいほど画像濃度Dも高くなるからである。したがって、(式5)で表される値ΔDvが所定値以上であれば適正とする一方、所定値に満たない場合はエラーとして、エラー処理2に進む(ステップS46)。
【0093】
こうして濃度検出結果Dv(1)、Dv(6)および両者の差ΔDvがいずれも適正であると判定したときは、濃度検出が正しく行われたものとして、検出結果に基づき現像バイアスの最適値、すなわち最適現像バイアスVboptを算出する。図13の例では、最適現像バイアスVboptは2つの現像バイアスVb(4)およびVb(5)の間にあるから、両者を結ぶ破線と目標濃度Dtgtを表す一点鎖線との交点に対応するバイアス値として最適現像バイアスVboptを算出することができる。
【0094】
こうして求めた最適現像バイアスVboptについてはRAM107に記憶しておき、以後の画像形成においては、現像ローラ44に与える現像バイアスVbをこの最適値Vboptに設定することで、目標値Dtgtの画像濃度を安定して得ることができる。
【0095】
こうして現像バイアスの調整を行った後、露光パワーの調整を行う。感光体22上に静電潜像を形成すべく、露光ユニット6から照射する光ビームLのパワー(露光パワー)は、特に細線画像の画像濃度に影響を与える。そこで、この実施形態では、細線からなるパッチ画像を用いて露光パワーの調整を行う。
【0096】
図15は露光調整処理を示すフローチャートである。この露光調整処理の基本的な考え方は図14に示すバイアス調整処理と同じである。両者の相違点は、バイアス調整処理では画像濃度に影響を与える濃度制御因子として現像バイアスVbを用いているのに対し、この露光調整処理では濃度制御因子として露光パワーを用いており、これに起因して形成するパッチ画像のパターンやその形成個数が異なっている点のみである。つまり、図15は、図14に示すバイアス調整処理における濃度制御因子を現像バイアス(添字vで示す)から露光パワー(添字eで示す)に変更するとともに、パッチ画像の形成個数を6個から4個に変更したものである。そこで、その詳細については上記したバイアス調整処理の説明を援用し、ここでは説明を省略する。
【0097】
(エラー処理)
図16は濃度制御処理におけるエラー処理を示すフローチャートである。前述したように、この実施形態では、装置の故障など重度のエラー判定に対応したエラー処理1と、比較的軽度のエラー判定に対応したエラー処理2とを備え、エラーの発生状況によりこれらのうち1つの処理を選択的に実行するようにしている。
【0098】
まず、エラー処理1は、重度の異常によるエラー、つまり一般ユーザでは解消が困難と思われるエラーに対応すべく設けられたエラー処理である。この場合、エラーの原因に関わらず、専任のサービスマンに修理を依頼するよう促す旨のメッセージ(ここでは「サービスコール」という)を表示部12に表示させる(ステップS101)。これは、一般ユーザに対し、エラーの原因毎に異なる処置を行うよう求めるのは酷であり、それよりも直ちにサービスマンに連絡してもらうようにした方が好ましいからである。
【0099】
サービスマンの便宜のためには、このようなメッセージと併せて、どの処理工程においてエラーが発生したかを示す情報を表示するようにしてもよい。この種の情報は一般ユーザには必要のないものであるが、サービスマンにとっては異常の発生箇所を特定するための重要な手がかりとなる。そこで、一般ユーザに向けたメッセージとは別に、サービスマン向けのより詳しい情報(例えば、どの処理工程においてエラー判定がなされたかを示すエラーコードなど)を表示するようにするのが好ましい。このような情報は、ユーザ向けのメッセージとともに表示するようにしてもよく、また、表示のための特定の操作(例えば複数の操作ボタンを同時に押すなど)を予め設定しておき、その操作が行われた場合にのみ表示するようにしてもよい。
【0100】
さらに、サービスマンが持つ故障診断用コンピュータ200がインターフェース112(図2)に接続された場合には、その故障診断用コンピュータ200からの指令に応じて、装置の異常に関する詳細な情報を該コンピュータに対し出力するようにしてもよい。
【0101】
そして、エラー状態が解消されるまで画像形成動作の実行を禁止するが(ステップS102)、併せてこの禁止状態を解除するための解除条件を設定する(ステップS103)。ここでの解除条件は、装置の電源オフ操作である。つまり、装置の電源が切られると、この動作禁止状態は解除される。
【0102】
次に装置の電源が投入されたときには、図9に示す濃度制御処理が実行されるので、電源オフの間にサービスマンによる修理が行われ、エラーの原因が解消されていれば、装置は正常に動作し画像形成が可能となる。一方、エラーの原因が解消されていなければ、電源再投入後の濃度制御処理で再び同じエラー判定が行われることとなる。したがって、装置に異常が起きた状態のまま画像形成が行われることはない。
【0103】
一方、エラー処理2は、これより軽度の異常によるエラーに対応すべく設けられたエラー処理である。この場合には、ユーザに対し、濃度センサ60および露光ユニット6の清掃作業を促す旨のメッセージ(ここでは「清掃要求」という)を表示部12に表示させ(ステップS111)、画像形成動作の実行を禁止する(ステップS112)。
【0104】
先に説明したように、濃度制御処理実行中の様々な箇所からエラー処理2がコールされるが、このエラー処理2がコールされるのは、濃度センサ60や中間転写ベルト71の汚れなどが主な原因である。このような汚れは、ユーザによる簡単な清掃作業により比較的容易に解消される可能性が高い。そこで、このように、清掃要求メッセージを表示し、ユーザに一通りの清掃作業をさせた後に、再度濃度制御処理を実行し、異常が解消されたかどうかを改めて判定するようにしている。
【0105】
なお、上記したとおり、エラー処理2がコールされるに至る原因は複数ある。しかし、一般ユーザの関心は、エラーの原因が何であるかより、それをどのようにして解消できるのかという点にある。そのため、詳しいエラーの原因をユーザに報知することは無用であるばかりか、装置の構造を熟知していないユーザには却って混乱を招くおそれがある。
【0106】
そこで、この実施形態では、上記のように、ユーザの清掃作業により解消される可能性が高いと考えられる異常については、その原因の如何に関わらず同一内容のメッセージ、つまり清掃要求メッセージを表示させるようにしている。また、清掃作業によらなくとも、濃度制御処理を再実行することで異常が解消される場合もある。例えば、センサ出力Vpに混入した電気的ノイズに起因して誤った濃度検出結果となっていた場合には、濃度検出の再実行により正しい結果を得られることがある。このような場合にも、いったんユーザに清掃作業をさせ、再度濃度制御処理を実行することで、より精度よく濃度検出を行えるようになるという実効がある。つまり、軽度の異常のうち、濃度センサ60や中間転写ベルト71の汚れに起因するもの以外についても、濃度制御処理を再実行するためのきっかけとして清掃要求メッセージを用いることができる。
【0107】
ここでの「清掃作業」のうち、照射窓6aの清掃は、照射窓6aを清掃するためのノブ(図示省略)をユーザが手動操作により往復移動させることによって達成される。また、濃度センサ60の主面60aの清掃は、カバー15の開閉操作により行われる。正しい操作のために、装置に付属させる操作マニュアルまたは装置本体に貼付するラベル等に、清掃作業の作業方法を明示しておくことが好ましい。また、エラーの原因に関わらず、ユーザの作業により清掃が可能な全ての部分(この実施形態では、濃度センサ60の主面60aおよび露光ユニット6の照射窓6a)について清掃させるようにするのが望ましい。
【0108】
清掃作業が終了すれば、濃度制御処理を再度実行する必要がある。ユーザによる手動操作が行われたかどうかを検知することは容易ではないが、例えば、装置の電源が再投入されたときや、清掃要求メッセージの表示後エンジン部EGを覆うカバー15が開かれ、再び閉じられたことをもって清掃作業がなされたと一応推定することができる。すなわち、この場合の画像形成動作禁止状態を解除する解除条件は、カバー15が開かれた、または装置の電源がオフとなったこととする(ステップS113)。
【0109】
そして、動作禁止状態が解除された後、新たに画像形成動作を行うのに先立って濃度制御処理を実行するようにしておけば、異常が解消されていれば画像形成が可能となる一方、異常が解消されていなければ再びエラーと判定されることとなる。つまり、エラー処理2の実行後、切られていた装置の電源が再投入されたときや、いったん開かれたカバー15が再び閉じられたときに、図9に示す濃度制御処理を実行するようにしておけばよい。この目的のため、例えばリミットスイッチやフォトインタラプタなどを用いてドアの開閉を検知する開閉センサを設けることが好ましい。
【0110】
なお、エラー処理2において、一般ユーザに対してはこのように単一内容のエラー報知を行うとしても、サービスマン等に対しては、エラーに関するより詳細な情報を提供できるようにしておくのが好ましい。この目的のために、エラー処理1の場合と同様に、所定のエラーコード等を上記メッセージとともに表示したり、特定の操作に応じてエラーに関する詳細な情報を表示するようにすることができる。
【0111】
以上のように、この実施形態の画像形成装置では、濃度制御処理に含まれる各処理工程のうち、濃度検出結果によって以後の動作条件が決定されるような処理においては、その都度濃度センサ60の出力が適正であるか否かを判断する。そして、適正でないときにはエラーと判定して以後の濃度制御処理の実行を中止し、そのエラー判定に対応したエラー処理を実行するようにしている。そのため、装置の異常の発生を速やかに検知することができるとともに、その異常に応じた適切な処置を行うことが可能となっている。また、ユーザは報知に従い適切な処置を行うことができるので、異常の早期解消を図ることができ、トナーや時間を無駄に消費してしまうことが避けられる。そして、このような異常がないことを確認した上で、パッチ画像の濃度検出結果に基づく濃度制御因子の調整を行うため、画像濃度制御を精度よく行うことができる。
【0112】
このとき、ユーザに対し同一の対応を求める内容のエラーについては、その原因に関わらず同一内容のエラー報知、それもユーザが取るべき処置を指定する報知(「サービスコール」または「清掃要求」)を行うようにしている。そのため、装置の構造に明るくないユーザに対し、無用の混乱を与えることなく必要な処置を取らせることができる。
【0113】
特に、簡単な作業で解消できる可能性の高い軽微な異常に対しては、その原因に関わらず、ユーザに清掃作業の実行を促す旨のメッセージを表示するようにしている。そして、ユーザの清掃作業が行われたと判断したときは、画像形成動作に先立って濃度制御処理を再実行するようにしているので、これにより異常が解消される可能性が高まる。その結果、発生した異常が軽微なものであるにも関わらずサービスマンを呼ばなければならないという事態は回避され、装置の稼動効率の低下や管理コストの上昇を抑えることができる。
【0114】
また、一般ユーザへの報知とは別に、専任サービスマンに対しては、エラーに関するより詳細な情報を報知するようにしているので、サービスマンによる修理や点検作業の利便性を向上させることができる。
【0115】
以上説明したように、この実施形態においては、中間転写ベルト71が本発明の「像担持体」として機能しており、また表示部12が本発明の「報知手段」として機能している。
【0116】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記した実施形態では、表示部12に所定のメッセージを表示することでエラー報知を行っているが、本発明の「報知手段」はこのような表示部に限定されるものではなく、例えば音声による報知を行うものであってもよく、また表示と音声とを組み合わせればさらに効果的である。
【0117】
また、この実施形態では、2つのエラー処理ルーチン、すなわちサービスコールを要求するエラー処理1と、清掃作業を要求するエラー処理2とを備えており、エラーの内容に応じてこれらの一方を選択実行するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、全てのエラーに対し同一のエラー報知を行うようにしてもよく、また、エラーの原因ごとに異なるエラー処理を行うようにしてもよい。さらに、報知の内容も、上記以外のものであってもよい。
【0118】
また、各処理工程における処理内容も上記実施形態に限定されるものではないが、要するに、少なくとも濃度検出結果を以後の装置の動作に反映させるような処理を行う際には、その検出結果が適正であるかどうかを判定した上で以後の動作を決定するとともに、結果が適正でなかった場合にはエラー処理に移行するようにしたことが、本発明の趣旨である。
【0119】
さらに、上記実施形態は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを用いて画像を形成する装置に本発明を適用したものであるが、トナー色の種類および数については上記に限定されるものでなく任意である。また、本発明のようなロータリー現像方式の装置のみでなく、各トナー色に対応した現像器がシート搬送方向に沿って一列に並ぶように配置された、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に対しても本発明を適用可能である。さらに、本発明は、上記実施形態のような電子写真方式の装置に限らず、画像形成装置全般に対して適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】濃度センサの構成を示す図である。
【図4】図3の濃度センサにおいて採用された受光ユニットの電気的構成を示す図である。
【図5】図3の濃度センサにおける光量制御特性を示す図である。
【図6】図3の濃度センサにおける反射光量に対する出力電圧の変化の様子を示すグラフである。
【図7】この実施形態における光量制御信号変換部を示す図である。
【図8】濃度センサのクリーニングノブを示す断面図である。
【図9】この実施形態における濃度制御処理を示すフローチャートである。
【図10】光量設定の原理を説明するための図である。
【図11】濃度制御処理における光量設定処理工程を示すフローチャートである。
【図12】下地検出処理を示すフローチャートである。
【図13】バイアス調整の原理を説明するための図である。
【図14】バイアス調整処理を示すフローチャートである。
【図15】露光調整処理を示すフローチャートである。
【図16】濃度制御処理におけるエラー処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
12…表示部(報知手段)、 22…感光体、 60…濃度センサ、 71…中間転写ベルト(像担持体)、 101…CPU、 Slc(ref)…基準光量制御信号、 Vp,Vs…センサ出力電圧

Claims (8)

  1. 像担持体の表面に向けて光を照射するとともに、その照射光を照射された前記像担持体表面から出射される光を受光して、その受光量に応じた信号を出力する濃度センサを備え、前記像担持体上に担持されるトナー像に向けて光を照射したときの前記濃度センサの出力信号に基づいて前記トナー像の画像濃度を求める画像形成装置において、
    それぞれが前記濃度センサの出力信号に基づき装置の動作条件を決定する、複数の処理工程を順次実行し、しかも、
    前記各処理工程では、前記濃度センサの出力信号の検出値が、該処理工程に対応して設定された適正値でないときにはエラーと判定し、該エラー判定に対応するエラー処理を実行する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. ユーザに対して所定の報知を行う報知手段をさらに備え、
    前記エラー処理は、前記報知手段によるユーザへのエラー報知を含む請求項1に記載の画像形成装置。
  3. エラーと判定される理由が互いに異なる少なくとも2つの前記エラー判定について、ユーザに対し同一内容のエラー報知を行うように構成された請求項2に記載の画像形成装置。
  4. ユーザからの指令に応じて、エラー判定した処理工程を示す情報を前記報知手段により報知する請求項2または3に記載の画像形成装置。
  5. 装置の動作状況を診断するための診断装置を接続可能に構成され、前記診断装置からの制御指令に応じて、エラー判定した処理工程を示す情報を前記診断装置に対し送信する請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記複数の処理工程として、
    トナー像を担持しない前記像担持体に向け光を照射したときの前記濃度センサからの出力信号に基づいて、照射光量を所定値に調整する光量調整工程と、
    前記光量調整工程より後に、トナー像に向け光を照射したときの前記濃度センサからの出力信号に基づいて、該トナー像の画像濃度を求める濃度検出工程と
    を少なくとも含む請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 像担持体の表面に向けて光を照射するとともに、その照射光を照射された前記像担持体表面から出射される光を受光して、その受光量に応じた信号を出力する濃度センサを備え、前記像担持体上に担持されるトナー像に向けて光を照射したときの前記濃度センサの出力信号に基づいて前記トナー像の画像濃度を求める画像形成装置において、
    前記濃度センサの出力信号に基づき装置の第1動作条件を決定する第1処理工程と、前記第1処理工程より後に前記濃度センサの出力信号に基づき前記第1動作条件とは異なる装置の第2動作条件を決定する第2処理工程とを実行し、
    前記第1および第2処理工程の各々において、前記濃度センサの出力信号の検出値が該処理工程に対応して設定された適正値でないときにはエラーと判定し、該エラー判定に対応するエラー処理を実行する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  8. 像担持体の表面に向けて光を照射するとともに、その照射光を照射された前記像担持体表面から出射される光を受光して、その受光量に応じた信号を出力する濃度センサを備えた画像形成装置において、前記像担持体上に担持されるトナー像に向けて光を照射したときの前記濃度センサの出力信号に基づいて前記トナー像の画像濃度を求める画像濃度検出方法であって、
    それぞれが前記濃度センサの出力信号に基づき装置の動作条件を決定する、複数の処理工程を順次実行し、しかも、
    前記各処理工程では、前記濃度センサの出力信号の検出値が、該処理工程に対応して設定された適正値でないときにはエラーと判定し、該エラー判定に対応するエラー処理を実行する
    ことを特徴とする画像濃度検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012185200A (ja) * 2011-03-03 2012-09-27 Stanley Electric Co Ltd 画像形成装置
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