JP2004340453A - ヒートパイプ - Google Patents

Abstract

【課題】ヒートパイプ部材の熱伝導のみに依拠することなく、熱交換効率を更に向上させることのできるヒートパイプを得ること。
【解決手段】長尺状細管１の両端部に受熱部２と放熱部３を配置する。受熱部２の細管１の内周面の全体に、熱を遠赤外線に変換する膜状の熱放射部材としてのセラミック４を取り付ける。放熱部３の細管１の外周面の全体にもセラミック５を取り付ける。
受熱部２と放熱部３での熱は、細管１を伝導すると共に、セラミック４，５により遠赤外線として、作動流体中あるいは外部へ放射され、熱交換効率が向上する。
【選択図】 図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝熱素子としてのヒートパイプに関し、内部にウィックを含む通常のヒートパイプや、ループ型細管ヒートパイプにおいて、特に、熱交換効率の向上したヒートパイプに関する。
【０００２】
【従来の技術】
【特許文献】特公平６−９７１４７号公報
これは、ループ型細管ヒートパイプにおいて、細管の内壁直径を所定の作動流体が常に管内を閉塞した状態のままで循環又は移動することができる最大直径以下の直径としたもので、細管部に逆止弁を不要として長寿命化を図ることができるものである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のヒートパイプでは、受熱部と放熱部での熱交換効率が、ヒートパイプを構成する部材の熱伝導に依拠するために、所定値以上に向上させることができない問題があった。
【０００４】
従って本発明の課題は、ヒートパイプの構成部材の熱伝導のみに依拠することなく、熱交換効率を更に向上させることのできるヒートパイプを得ることである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段は、細管に受熱部と放熱部を具備して、当該細管内に２相凝縮性作動流体を封入したものにおいて、細管の受熱部の内周又は／及び細管の放熱部の外周に、熱源の有する熱を遠赤外線に変換して放射する熱放射部材を配置したものである。
【０００６】
【発明の実施の形態】
熱源の有する熱を遠赤外線に変換して放射する熱放射部材を、細管の受熱部の内周又は／及び細管の放熱部の外周へ配置したことによって、熱源の有する熱が、ヒートパイプの構成部材の熱伝導に加えて、熱放射部材から遠赤外線へ変換されて細管の受熱部の内周又は／及び細管の放熱部の外周へ放射されることとなり、ヒートパイプの熱交換効率を向上させることができる。
【０００７】
熱を遠赤外線に変換して放射する熱放射部材としては、例えばセラミックや高分子材料等を使用することができる。セラミックとしては、コージライト、遷移元素酸化物系セラミック、アルミナ、ジルコニア、チタニア、あるいは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの化合物等既知のものを使用することができるが、熱から遠赤外線への変換効率の高いものが適する。
【０００８】
【実施例】
図１において、銅製の細管１の両端部に受熱部２と放熱部３を配置して、受熱部２の細管の内周、及び、放熱部３の細管の外周に配置した熱を遠赤外線に変換して放射する熱放射部材としてのセラミック４，５とでヒートパイプを構成する。
【０００９】
細管１は長尺密閉状で、内部に蒸発と凝縮を行う図示しない作動流体を封入する。細管１の受熱部２側の内周全体に熱放射部材としてのセラミック４を取り付ける。一方、細管１の放熱部３側の外周全体に熱放射部材としてのセラミック５を取り付ける。
【００１０】
セラミック４，５は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの化合物と水とを混合した液体状のものを塗布して乾燥させ積層した膜状のもので、セラミック４，５の膜厚や取り付け面積等は、細管１の種類に応じて適宜調節することができる。また、セラミック４，５の熱伝導率は、細管１と同程度の値若しくは上回る値であることが好適である。
【００１１】
ヒートパイプとしては、受熱部２で外部からの熱を受熱し、細管１内部の作動流体を加熱して蒸発させ、蒸発した蒸気が細管１内を右方向へ移動して放熱部３で外部へ熱を放熱することによって蒸気が凝縮して再度液体となり、受熱部２へ還流するものである。
【００１２】
受熱部２での外部からの熱は、細管１部材並びにセラミック４を伝達して、細管１内部の作動流体を加熱すると同時に、セラミック４から遠赤外線として作動流体中へ放射されることによって、遠赤外線での加熱が付加されて加熱効率が向上する。
【００１３】
放熱部３での熱移動も、細管１部材並びにセラミック５を伝達して、ヒートパイプ外部へ熱移動されると同時に、セラミック５から遠赤外線としてヒートパイプ外部へ放射されることによって、遠赤外線での放熱が付加されて冷却効率が向上する。
【００１４】
本実施例においては、ヒートパイプとして長尺状の細管１を用いた例を示したが、ループ型細管ヒートパイプにも同様に用いることができる。
【００１５】
また本実施例においては、セラミック４，５が液体状で細管１の内外周に塗布する例を示したが、合成樹脂や金属から成る多孔質体に粒子状のセラミックを混入させて薄板状として、細管１の内外周に接触して取り付けることもできる。
【００１６】
【発明の効果】
上記のように本発明では、熱を遠赤外線に変換して放射する熱放射部材で熱源の保有する熱を効率良く細管内の作動流体中及びヒートパイプ外部へ伝達することにより、ヒートパイプの構成部材の熱伝導のみに依拠することなく、熱交換効率を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のヒートパイプの一部断面構成図。
【符号の説明】
１ 細管
２ 受熱部
３ 放熱部
４ 内周セラミック
５ 外周セラミック

Claims (1)

1. 細管に受熱部と放熱部を具備して、当該細管内に２相凝縮性作動流体を封入したものにおいて、細管の受熱部の内周又は／及び細管の放熱部の外周に、熱源の有する熱を遠赤外線に変換して放射する熱放射部材を配置したことを特徴とするヒートパイプ。

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