JP2004339229A - ヒト・アポリポ蛋白質aiおよびai−ミラノを含有する医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (1)ある種の形質転換酵母でApo AIおよびApo AI−Mを発現できる発現ベクター、
(2)プラスミドpUC8に由来する(1)の発現ベクター、または
(3)プラスミドpYES/AIおよびpYES/AI−Mよりなる(1)または(2)のベクター;
のいずれかの発現ベクターで形質転換した宿主酵母を培養することを特徴とする生産方法によって得られた蛋白質、および医薬上許容される担体を含有する医薬組成物。
【選択図】 なし
Description
かかる形質転換酵母株を培養すると、高収率のApo AIおよびApo AI-Mが培養ブロスから単離される。
Apo AI配列は我々が以前に述べたcDNAクローン[シャープ(Sharpe)ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucl.Acids Res.)、1984年]から得たが、このクローンから、以下の戦略を用いて、シグナルペプチドおよびプロペプチドをコードする配列を取り出し、修飾した。
a)標準的な方法[クンケル・エル・エム(Kunkel LM)、スミス・ケイ・ディー(Smith KD)、ボイヤー・エス・エイチ(Boyer SH)、ボルガオンカール・ディー・エス(Borgaonkar DS)、ウォッチェル・エス・エス(Watchel SS)、ミラー・ビー・ジェイ(Miller BJ)、ベルグ・ダブリュー・アール(Berg WR)、ジョーンズ・エイチ・ダブリュー(Jones HW)およびラリー・ジェイ・エム(Rary JM)、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、1245〜1249頁、1977年]に従って、末梢血白血球細胞からDNAを調製した。
b)ヌクレオチド1792および2240間の断片(図3を参照)[ショルダース・シー・シー(Shoulders CC)、ロンブリット・エイ・アール(Kronblihtt AR)、ムンロー・ビー・エス(Munro BS)およびエフ・イー・バラル(F.E.Baralle)、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucl.Acids Res.)、11巻、2827〜2837頁、1983年]を、キャリアーから調製されたApo AI-MゲノムDNAに関する酵素反応において、以下の配列:
5'-CTGAGGCAAGAGATGAGCAA-3';ヌクレオチド1792の5'末端部(配列番号:2)、
5'-CTCAGGAAGCTGACCTTGAA-3';ヌクレオチド2240の5'末端部(配列番号:3)
を有する2つの合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるポリメラーゼ鎖反応法[PCR、サイキ・アール・ケイ(Saiki RK)、ゲルファンド・ディー・エイチ(Gelfand DH)、ストッフェル・エス(Stoffel S)、シャルフ・エス(Scharf S)、ヒグチ・アール(Higuchi R)およびホーン・ジー・ティー(Horn GT)、サイエンス(Science)、239巻、487〜491頁、1988年]として知られている増幅法により生成させた。
c)この断片をXhoIIおよびStuI消化に付し、得られた産物をpUC/AF-AI由来のHindIII-XhoIIおよびStu I-BamHI断片で結んで、pUC-8 BamHI-HindIII線状化ベクターとした。
得られたクローンをpUC/AI-Mと名付ける。
ヒト・Apo AIおよびApo AI-Mをコードする遺伝子を、TPIプロモーター(TPIp)[ティー・アルバー(T.Alber)およびジー・カワサキ(G.Kawasaki)、ジャーナル・オブ・モレキュラー・アンド・アプライド・ジェネティックス(J.Mol.Applied Genet.)、I巻、419〜434頁、1982年]をコードする断片、MFα1リーダー配列[ジェイ・クルキアン(J.Kurkian)およびアイ・ヘルスコビッツ(I.Herskowitz)、セル(Cell)、30巻、933〜943頁、1982年]、およびエス・セレビシエ(S.cerevisiae)のTPIに由来する転写終結配列TPItと結合させた。
前記のごとく調製したプラスミドを、グルコース上での増殖について選択することにより、TPI遺伝子に欠失を有するエス・セレビシエ(S.cerevisiae)株に形質転換した。かかる株は、通常、単独炭素源としてのグルコース上では増殖できず、ガラクトースラクテート培地上では非常にゆっくり増殖する。この欠陥はトリオースホスフェートイソメラーゼ遺伝子の変異に起因し、この変異はこの遺伝子の主要部分の欠失およびエス・セレビシエ(S.cerevisiae)LEU2遺伝子との置換により得られる。この増殖欠陥のため、TPIについてコードする遺伝子を含むプラスミドが厳密に選択される。
アポリポ蛋白質についてコードするプラスミドを含む酵母株を、YPD培地[シェルマン・エフ(Sherman,F.)ら、「酵母遺伝学における方法(Methods in Yeast Genetics)」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリ(Cold Spring Harbor Laboratory)、1981年]上で増殖させた。各株に対して、2つの、それぞれ2リットルのバッフル付きフラスコ中、1リットル培養物を、600nmにおけるODが約15に達するまで(約48時間)、30℃にて振盪した。遠心分離した後、さらに分析するために、上清を取り出した。
培養液を15,000rpmで30分間遠心分離し、上清を0.15M NaCl、0.05M リン酸カリウム緩衝液、0.05%EDTA、pH7.4(緩衝液A)に対して透析した。
組換えApo AIおよびApo AI-Mの構造的特徴は、アミノ酸分析法および蛋白質微少配列決定法により試験し、アポリポ蛋白質調製物の純度を確認した。二次構造は円偏光二色性により分析し、組換えアポリポ蛋白質が正確に折りたたまれていることが示された:α'ヘリックス含量は、抽出アポAIに対する49%含量と同様に、組換えApo AIおよびApo AI-Mについて、それぞれ52%および43%と計算された。かくして、組換えAI-Mは、抽出Apo AI[フランセスチーニ(Franceschini)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ(J.Biol.Chem.)、260巻、16321〜16325頁、1985年]と同様に、正常AIに比べてαヘリックス含量が低い。
すべての実験報告は、エス・セレビシエ(S.cerevisiae)から得たApo AIおよびApo AI−Mを、血漿から抽出したヒトApo AIと比較することにより行った。ヒトApo AIはヒトHDLより調製し、分取用超遠心分離により分離した。単離したHDL画分の脱脂化後、Apo AIをゲル濾過およびイオン交換クロマトグラフィーにより分離した[ベーカー(Baker)ら、バイオケミストリー(Biochemistry),12:3866−3871,1983]。
フィブリン溶解の活性化
プラスミノーゲンのプラスミンへの変換を促進する、すなわち、フィブリン溶解を開始させる試薬が、心筋梗塞の治療において増大する関心を獲得しつつある[ラッフェルおよびブラウンワルド(Laffell andBraunwald)、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(N.Engl.J.Med.),311:710−717,1984]。以前のデータは、Apo AIがin vitro にてフィブリン溶解を活性化し得ることを示している[サク(Saku)ら、トロンボシス・リサーチ(Thromb.Res.),39:1−8,1985]。
いわゆる、「逆コレステロール輸送」(RCT)、すなわち、コレステロールの組織からの血漿への輸送は、受容体リポ蛋白質として作用するHDLによって調節されると考えられている(グロムセット・ジェイ(Glomset J.)、アドブ・イント・メド(Adv.Int.Med.),25:91−116,1980)。Apo AIがHDLの除去能の原因と考えられているので、実験は3H−コレステロールで平衡化したJ−774マウス・マクロファージで実施した。単層を、「最小必須培地」、溶媒抽出脱脂子ウシ血清タンパク質、卵ホスファチジルコリン(PC)およびエステル化コレステロールと共にインキュベートした[ロスブラト(Rothblat)ら、イン・ビトロ(In vitro),12:554−557,1976]。3Hコレステロールで48時間平衡化させ、その後、放射能活性培地を除去し、細胞を十分に洗浄し、5mg/mlの脱脂子ウシ血清タンパク質を補足した新鮮な培地を加えた。一夜インキュベートした後、該細胞を再度十分に洗浄し、35mmの平坦な皿中、各受容体粒子2mlを加えた、HEPES−緩衝ウイリアムス培地E(Williams Medium E)と共にインキュベートした。最初の6時間においては90分毎に、次いで3時間毎に、合計24時間の間、インキュベート培地0.1ml部を採取し、計数して細胞によって放出された標識コレステロール量を測定した[ロスブラトおよびフィリップス(RothblatおよびPhillips)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),250:4775−4782,1982]。
(Amicon model 52)上にて濃縮した。Apo AIまたはApo AI−M含有の粒子の化学組成および分子の顕微鏡特性を測定することによっては、有意な差異を見い出せなかった。細胞コレステロールの除去能を評価するために、2種の異なる濃度のアポリポ蛋白質成分(50および100μg/ml、すなわち、150および300μgのPC/ml培地の濃度に相当する)を該細胞に加えた。これらの実験条件下、コレステロールの一方向性流動(flux)は無細胞コレステロール濃度に関して1次的であるため、種々の条件においてコレステロール流出(efflux)の半減期(tl/2)を算出することができる。
本実験では、抽出Apo AIおよび組換えApo AI−Mの4週間連続注入が、2カ月間の0.5%富コレステロール飼料で確立したウサギでの動脈障害を減少させる能力を評価した。25匹のニュージランド系(New Zealand)雄のウサギ(初期体重2.2−2.5kg)に0.5%富コレステロール飼料を2カ月間与えた。この時点で4匹の動物を殺した。その大動脈は、45.3±7.6%のアテローム性動脈硬化症障害を包含することを示した。この時点で、動物を各群7匹の3群に分けた。群1には無処理の標準無コレステロール飼料を与えた。群2には、耳の静脈に連結し、皮下注入するアルゼットR製のミニポンプ(AlzetR Minipump)を用い、Apo AIを連続的に注入した。群3は、Apo AI−Mで同様に処理した。合計日蛋白質用量は、2種のアポリポ蛋白質の各々につき7mg/ウサギであった。
<223> 人工配列の記載:修飾MFα1リーダー配列残基
配列番号2
<223> 人工配列の記載:オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
<223> 人工配列の記載:オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4
<223> 人工配列の記載:MFα1リーダーペプチド残基
配列番号5
<223> 人工配列の記載:MFα1リーダーペプチド残基
配列番号6
<223> 人工配列の記載:発現ベクターフラグメント
配列番号7
<223> 人工配列の記載:配列番号:6の発現ベクターフラグメントに対応する合成アミノ酸配列
Claims (8)
- アポリポ蛋白質AI(Apo AI)の生産方法であって、
(1)形質転換すべき酵母の自己由来プロモーター配列、Apo AIをコードするDNA配列、His Gly Ser Leu Asp Lys Arg残基(配列番号:1)をコードする修飾されたMFα1リーダー配列であるリーダーをコードする配列、形質転換すべき酵母の自己由来転写ターミネーター配列よりなる、形質転換酵母でApo AIを発現できる発現ベクター、
(2)プラスミドpUC8に由来するものである、Apo AIを発現できる(1)記載の発現ベクター、または
(3)プラスミドpYES/AIよりなる(1)または(2)記載のベクター;
のいずれかの発現ベクターで形質転換した宿主酵母を培養することを特徴する該生産方法。 - 宿主酵母がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であることを特徴とする請求項1記載の生産方法。
- アポリポ蛋白質AI−ミラノ(Apo AI−M)の生産方法であって、
(1)形質転換すべき酵母の自己由来プロモーター配列、Apo AI−MをコードするDNA配列、His Gly Ser Leu Asp Lys Arg残基(配列番号:1)をコードする修飾されたMFα1リーダー配列であるリーダーをコードする配列、形質転換すべき酵母の自己由来転写ターミネーター配列よりなる、形質転換酵母でApo AI-Mを発現できる発現ベクター、
(2)プラスミドpUC8に由来するものである、Apo AI−Mを発現できる(1)記載の発現ベクター、または
(3)プラスミドpYES/AI−Mよりなる(1)または(2)記載のベクター;
のいずれかの発現ベクターで形質転換した宿主酵母を培養することを特徴する該生産方法。 - 宿主酵母がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であることを特徴とする請求項3記載の生産方法。
- 請求項1または2に記載の方法により得られたアポリポ蛋白質AI(Apo AI)。
- 請求項3または4に記載の方法により得られたアポリポ蛋白質AI−ミラノ(Apo AI−M)。
- 有効成分として請求項5記載のアポリポ蛋白質AI(Apo AI)、および医薬上許容される担体を含む、それを必要とする患者におけるアテローム性動脈硬化症および心血管疾患を治療ための医薬組成物。
- 有効成分として請求項6記載のアポリポ蛋白質AI−ミラノ(Apo AI−M)、および医薬上許容される担体を含む、それを必要とする患者におけるアテローム性動脈硬化症および心血管疾患を治療ための医薬組成物。
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