JP2004339132A - 油性固形化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布時の伸び広がりが良く、ソフトな肌あたりを有するとともに、化粧膜のツヤ、潤い感に優れ、形状保持性、経時安定性が良好な油性固形化粧料を提供する。
【解決手段】エチレンプロピレンコポリマーと、分子内に少なくとも1つの水酸基を有するジトリメチロールプロパン誘導体とを含有する油性固形化粧料である。
【選択図】なし
【解決手段】エチレンプロピレンコポリマーと、分子内に少なくとも1つの水酸基を有するジトリメチロールプロパン誘導体とを含有する油性固形化粧料である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布時の伸び広がりが良く、ソフトな肌あたりを有するとともに、化粧膜のツヤ、潤い感に優れ、形状保持性、経時安定性が良好である油性固形化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油性固形化粧料の調製においては、形状を保持し、その強度を得るために固化剤の検討がなされており、更に、それらの使用感や化粧持ちを向上させる技術が検討されている。
例えば、固化剤にポリエチレンを用いることにより、容器との離型性を向上させる技術がある(例えば、特許文献1)。更に、ポリエチレンワックスと構造中に1個の水酸基を有する液状油とを組み合わせることにより、発色を向上させたものがある(例えば、特許文献2)。
また、固化剤にエチレンプロピレンコポリマーを用いることにより、使用感を向上させた技術がある(例えば、特許文献3)。更に、エチレンプロピレンコポリマーと特定の飽和炭化水素とを組み合わせることにより経時安定性を向上させたものがある(例えば、特許文献4)。
しかしながら、これらの技術では、使用感、化粧持ち、ツヤ等、それぞれは向上するものの、全ての効果を充分に満足するものは得られず、特に、良好な潤い感が得られるものではなかった。
さらには、均一性、柔軟性、光沢に優れる化粧膜を得るために、特定のシリコーンオイルとエチレンホモポリマー及び/又はコポリマーを組み合わせた技術も提案されている(例えば、特許文献5)。
しかしながら、シリコーンオイルを用いた場合、潤い感が満足に得られ難く、高温下において発汗しやすいために経時安定性が良好でないといった問題点があった。
【0003】
一方、皮膚への刺激を緩和させたワックスや液状油等の油性基剤として、人間の表面脂質に類似の性質を有するポリオールの縮合物とのエステルやネオペンチルアルコールエステルが検討されてきた(例えば、特許文献6、7)。
しかしながら、これらの油性基剤は、水酸基が全てエステル化されているフルエステルタイプのため、他の油剤との相溶性が悪い場合があり、潤い感が得られ難いといった問題点があった。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−7286号公報
【特許文献2】
特開2001−158718号公報
【特許文献3】
特許第2519469号公報
【特許文献4】
特許第3073869号公報
【特許文献5】
特許第2960658号公報
【特許文献6】
特公昭53−46890号公報
【特許文献7】
特公昭59−29055号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術に挙げられた課題に加え、ここ最近、油性固形化粧料の使用感に対する要求品質が変化し、硬さを感じるツルツルとした軽い使用感よりも、ソフトな肌あたりで密着感を感じる使用感が好まれるようになってきた。
したがって、前述した課題の解決のみならず、新たな要求品質の具現化、すなわち、塗布時の伸び広がりが良く、ソフトな肌あたりを有するとともに、化粧膜のツヤ、潤い感に優れ、形状保持性、経時安定性が良好である油性固形化粧料の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、エチレンプロピレンコポリマーと、分子内に少なくとも1つの水酸基を有するジトリメチロールプロパン誘導体とを含有することにより、塗布時の滑らかさに優れるとともに、ソフトな肌あたりを有し、ツヤ、潤い感が優れ、形状保持性および経時安定性が良好である油性固形化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、次の成分(a)及び(b);
(a)エチレンプロピレンコポリマー
(b)ジトリメチロールプロパンと脂肪酸との下記一般式(1)で示されるエステル化合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物、下記一般式(1)で示されるエステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びジトリメチロールプロパンと脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上で、且つ分子内に少なくとも1つの水酸基を有する化合物と、
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子又は脂肪酸残基を表す。)(なお、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物とは、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と、脂肪酸とのエステル化反応で得られた重縮合物のことを示す。)
を含有する油性固形化粧料を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる、成分(a)のエチレンプロピレンコポリマーは、合成炭化水素ワックスであり、分子量が500〜700の範囲にあるものが好ましく用いることができる。また、その融点は、特に80℃〜110℃のものが形状保持性の観点より好ましい。このようなエチレンプロピレンコポリマーとしては、市販品として、ペトロライトEP−700(Baker Petrolite社製)等が例示できる。
本発明の油性固形化粧料における成分(a)の含有量は、1〜40質量%(以下、単に「%」と記す)が好ましく、特に、2〜30%がより好ましい。この範囲で含有すると、使用感、経時安定性が良好で、ツヤに優れるとともに、形状保持性がより向上するものとなる。
【0010】
本発明の油性化粧料における成分(b)の分子中に少なくとも1つの水酸基を有するジトリメチロールプロパン誘導体は、ジトリメチロールプロパンと脂肪酸との下記一般式(1)で示されるエステル化合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物、下記一般式(1)で示されるエステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びジトリメチロールプロパンと脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上で、且つ分子内に少なくとも1つの水酸基を有する化合物である。
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子又は脂肪酸残基を表す。)
【0013】
成分(b)を形成するための脂肪酸としては、炭素数5〜28の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸が好ましく、特に分岐鎖の脂肪酸が好ましい。このような分岐鎖の脂肪酸としては、例えば、ピバリン酸、イソヘプタン酸、4−エチルペンタン酸、イソオクチル酸、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸、4−プロピルペンタン酸、イソノナン酸、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、2−メチルデカン酸、3−メチルデカン酸、4−メチルデカン酸、5−メチルデカン酸、6−メチルデカン酸、7−メチルデカン酸、9−メチルデカン酸、6−エチルノナン酸、5−プロピルオクタン酸、イソラウリン酸、3−メチルヘンデカン酸、6−プロピルノナン酸、イソトリデカン酸、2−メチルドデカン酸、3−メチルドデカン酸、4−メチルドデカン酸、5−メチルドデカン酸、11−メチルドデカン酸、7−プロピルデカン酸、イソミリスチン酸、2−メチルトリデカン酸、12−メチルトリデカン酸、イソパルミチン酸、2−ヘキシルデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、2−エチルテトラデカン酸、イソステアリン酸、メチル分岐型イソステアリン酸、2−へプチルウンデカン酸、2−イソへプチルイソウンデカン酸、2−エチルヘキサデカン酸、14−エチルヘキサデカン酸、14−メチルヘプタデカン酸、15−メチルヘプタデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸、2−ブチルテトラデカン酸、イソアラキン酸、3−メチルノナデカン酸、2−エチルオクタデカン酸、イソヘキサコ酸、24−メチルヘプタコサン酸、2−エチルテトラコサン酸、2−ブチルドコサン酸、2−ヘキシルイコサン酸、2−オクチルオクタデカン酸、2−デシルヘキサデカン酸などが挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。これらのうち炭素数8〜18の脂肪酸、特にイソオクチル酸(さらに好ましくは、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸)、イソノナン酸(さらに好ましくは、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸)、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソステアリン酸(さらに好ましくは、メチル分岐型イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−イソヘプチルイソウンデカン酸)などの炭素数8〜18の分岐飽和脂肪酸が好ましい。
【0014】
直鎖脂肪酸としては、炭素数6から炭素数28の直鎖脂肪酸で、例えば、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの直鎖飽和脂肪酸、また、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ブラシン酸などの直鎖不飽和脂肪酸が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0015】
本発明の成分(b)のエステル化合物は、モノ、ジ、トリ、又はテトラのエステル化合物の1種又は2種以上からなるものであるが、分子内に少なくとも1つの水酸基を有する化合物である。
また、成分(b)の重縮合物の調製に用いる多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸やセバシン酸などの炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸が好ましい。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
【0016】
本発明の成分(b)は、水酸基価(OHV)(以下、単に「OHV」と表す)が10〜150のものが好ましく、30〜150のものがより好ましく、40〜100のものが最も好ましい。OHVがこのような範囲にあると、他の油性成分に対する相溶性がより良好になるとともに、抱水性が高くなるために、潤い感を得られやすいといった効果を発揮できる。ここでOHVとは、粧原基一般試験法水酸基価測定法により得られた値である。本発明の成分(b)は、室温で液状であることが好ましく、粘度(25℃)が100〜30000mPa・sであることが好ましい。
【0017】
本発明の成分(b)は、例えば、ジトリメチロールプロパン1当量に対し脂肪酸及び/又は多価カルボン酸を1.5〜3.5当量仕込み、無触媒又は触媒(たとえば塩化スズ)存在下、180〜240℃にてエステル化及び/又は脱水縮合反応を行う。反応終了後は、反応混合物を吸着処理等に付して触媒除去処理を行い、蒸留等により未反応原料など低分子分を除去して、最終製品を得る方法により調製することができる。
【0018】
この成分(b)の配合量は特に限定されず、使用感、成型性、形状保持性等を考慮し適宜決定することができるが、化粧料全量中5〜90%が好ましく、10〜70%が特に好ましい。この範囲であれば、使用感や化粧膜のツヤ、潤い感の点でより満足のいくものが得られる。
【0019】
また、本発明の油性固形化粧料における成分(a)と成分(b)の配合質量比は、成分(a)/成分(b)=1/1〜1/15が好ましく、更に1/2〜1/12が好ましい。この範囲で用いると、優れた形状保持性を保持しながら、ソフトな肌あたりを有する使用感、ツヤおよび潤い感がより良好なものとなる。
【0020】
本発明の油性固形化粧料は、上記必須成分の他に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記必須成分以外の各種成分、例えば、油性成分、粉体、界面活性剤、繊維、紫外線吸収剤、保湿剤、皮膜形成剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0021】
油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられ、基材やエモリエント成分等として用いられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシンワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、リンゴ酸ジイソステアリル、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、ホホバ油、ロジン酸ペンタエリスリット等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0022】
粉体成分としては、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられ感触調整や着色等の目的で用いられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、疎水化処理無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末のラメ剤等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。尚、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0023】
界面活性剤としては、化粧品一般に用いられている界面活性剤であればよく、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げら、粉体分散や感触調整等に用いられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノルアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、大豆リン脂質、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0024】
繊維としては、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維等が挙げられる。また、これらの繊維は本発明の効果を妨げない範囲で一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。
【0025】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等を挙げることができる。
モイスチャー効果や感触を調整する目的としては、例えば水溶性高分子、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチンや水性成分等が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー等の合成系のものを挙げることができる。
水性成分としては、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばp−オキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0026】
本発明の油性固形化粧料は、メイクアップ化粧料、スキンケア化粧料、頭髪化粧料に応用することができ、目的に応じて種々の形状、製品形態とすることができる。形状としては、スティック状、皿状、ペンシル状等が挙げられ、製品形態としては、口紅、リップグロス、リップクリーム、ファンデーション、頬紅、アイカラー、アイライナー、アイブロウ、アイクリーム、ヘアワックスなどが挙げられる。
【0027】
【実施例】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0028】
(合成例1)ジトリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのエステル化合物の調製
ジトリメチロールプロパン(広栄化学社製:ジトリメチロールプロパン)211g(0.8モル)と2−エチルヘキサン酸(チッソ社製:オクチル酸)389g(2.7モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、還流溶剤として、キシロールを全仕込量の5%の量で一緒に加え、攪拌しながら混合物を180〜240℃で19時間反応させた。反応終了後、活性白土を用いて脱色し、常法による脱臭を行い、ジトリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのエステル化合物421gを得た。このエステル化合物のOHVは89であった。
【0029】
(合成例2)ジトリメチロールプロパンとイソステアリン酸とセバシン酸との重縮合物の調製
ジトリメチロールプロパン(広栄化学社製:ジトリメチロールプロパン)168g(0.8モル)、イソステアリン酸(ユニケマ社製:PRISORINE3505)392g(1.3モル)、及びセバシン酸(小倉合成工業社製:セバシン酸)41g(0.2モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、還流溶剤として、キシロールを全仕込量の5%の量で一緒に加え、攪拌しながら混合物を180〜240℃で6時間反応させた。反応終了後、活性白土を用いて脱色し、常法による脱臭を行い、ジトリメチロールプロパンとイソステアリン酸とセバシン酸との重縮合物436gを得た。この重縮合物のOHVは92であった。
【0030】
(合成例3:比較例)ジトリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのテトラエステル化合物の調製(フルエステル:水酸基が全てエステル化されている)
ジトリメチロールプロパン(広栄化学社製:ジトリメチロールプロパン)185g(0.7モル)と2−エチルヘキサン酸(チッソ社製:オクチル酸)415g(2.9モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、還流溶剤として、キシロールを全仕込量の5%の量で一緒に加え、攪拌しながら混合物を180〜240℃で30時間反応させた。反応終了後、活性白土を用いて脱色し、常法による脱臭を行い、ジトリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのテトラエステル化合物(下記一般式(2))390gを得た。このテトラエステル化合物のOHVは1であった。
【0031】
【化4】
【0032】
(式中、R5〜R8は全て2−エチルヘキサン酸残基を表す)
【0033】
実施例1〜5、比較例1〜4 スティック状口紅
表1に示す処方のスティック状口紅を製造し、得られた各スティック状口紅について、官能評価により、使用感(伸び広がり、ソフトな肌あたり)、化粧膜のツヤ、潤い感を評価した。また、高温に口紅を保管し、形状保持性、経時安定性を評価した。
【0034】
【表1】
【0035】
*1:コスモール168ARN(日清オイリオ社製)
*2:アエロジルR−976S (日本アエロジル社製)
*3:パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩5%処理
*4:ジメチルポリシロキサン3%処理
【0036】
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を110〜120℃にて加熱溶解後、成分(13)〜(19)を加えて、均一混合する。
B.Aに成分(20)〜(23)を加えて均一に混合する。
C.Bに成分(24)を加えて加熱し、脱泡後、型に流し込み充填し、冷却して成型する。
【0037】
(評価)
1.官能評価
(イ)の伸び広がり、(ロ)のソフトな肌あたり(ハ)の化粧膜のツヤ、(ニ)の潤い感について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、各試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(絶対評価)
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(4段階判定基準)
(評点平均値) :(判定)
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
1点を超えて3点以下:やや不良 :△
1点以下 :不良 :×
【0038】
2.形状保持性
口紅を容器から繰り出して、50℃の恒温槽に、横置きで1週間設置し、1週間後の状態を観察して、変化のないものから折れてしまうものまで、◎〜×の4段階で判定した。
(状態) :(判定)
変化なし :◎
わずかに曲っているが気にならない:○
曲っていて使用しずらい :△
かなり曲っている又は折れている :×
【0039】
3.経時安定性
50℃の恒温槽に、1ヶ月設置し、1ヶ月後の状態を観察して、変化のないものから発汗しているものまで、◎〜×の4段階で判定した。
(状態) :(判定)
変化なし :◎
わずかに発汗している :○
発汗している :△
著しい発汗が見られる :×
以上の評価方法により得られた結果を表1に併せて示す。
【0040】
表1から明らかなごとく、本発明のスティック状口紅は、形状保持性、経時安定性に優れ、しかも塗布時の使用感(伸び広がり、ソフトな肌あたり)、化粧膜のツヤ、潤い感が良好であった。
これに対して成分(a)が配合されていない比較例1では、特にソフトな肌あたり、経時安定性の点で満足するものが得られず、成分(b)が配合されていない比較例2では、特に化粧膜のツヤ、潤い感の点で満足するものが得られなかった。また、成分(b)の代わりにフルエステルを配合した比較例3では、特に潤い感において満足するものが得られなかった。さらに、成分(a)および(b)の両方が配合されていない比較例4では、全ての項目において満足するものが得られなかった。
【0041】
実施例6:皿状アイシャドウ
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 2
2.カルナウバワックス 2
3.セレシンワックス 2
4.デキストリン脂肪酸エステル 1
5.無水ケイ酸*2 1
6.ジトリメチロールプロパン誘導体(合成例1) 20
7.ジカプリン酸プロピレングリコール 10
8.テトライソステアリン酸ジグリセリル 残量
9.紫外線吸収剤(オキシベンゾン) 0.1
10.酸化防止剤(ビタミンE) 0.1
11.雲母チタン 15
12.酸化鉄処理雲母 15
13.ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム
エポキシ積層末 5
14.酸化チタン被覆ガラス末 5
15.赤色226号 1
16.赤色酸化鉄 1
【0042】
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を均一に加熱混合溶解した後、成分(11)〜(16)を加え、均一に混合する。
B.Aを充填して製品とする。
本実施例で得られた皿状アイシャドウは、滑らかな使用感であるとともに、化粧膜のツヤに優れ、発汗等もなく経時安定性が良好なものであった。
一方、成分6のジトリメチロールプロパン誘導体に替えて、イソオクタン酸セチルを用いたところ、化粧膜のツヤの点で劣るものであった。
【0043】
実施例7:リップクリーム
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 5
2.オゾケライトワックス 5
3.フィッシャートロプシュワックス 5
4.ミツロウ 3
5.カルナウバワックス 3
6.ジトリメチロールプロパン誘導体(合成例1) 20
7.ワセリン 10
8.紫外線吸収剤(シア脂) 0.1
9.酸化防止剤(ビタミンE) 0.1
10.トリオクタン酸グリセリル 残量
【0044】
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を均一に加熱混合溶解する。
B.Aを充填成型して製品とする。
本実施例で得られたリップクリームは、ソフトな肌あたりで、滑らかな使用感であるとともに、潤い感に優れ、形状保持性の良好なものであった。
一方、成分6のジトリメチロールプロパン誘導体に替えて、ジトリメチロールプロパン誘導体のフルエステル(合成例3)を用いたところ、潤い感の点で劣るものであった。
【0045】
実施例8:ペンシルアイライナー
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 5
2.ステアリン酸 15
3.モクロウ 5
4.ミツロウ 2
5.カルナウバワックス 2
6.ジトリメチロールプロパン誘導体(合成例2) 10
7.スクワラン 残量
8.紫外線吸収剤(シア脂) 0.1
9.酸化防止剤(ビタミンE) 0.1
10.黒色酸化鉄 40
11.黒色酸化鉄被覆雲母チタン 5
【0046】
(製造方法)
A.成分(1)〜(9)を均一に加熱混合溶解する。
B.Aに成分(10)〜(11)を添加し、均一に分散する。
C.Bを充填成型して製品とする。
本実施例で得られたペンシルアイライナーは、ソフトな肌あたりで、滑らかな使用感であるとともに、ツヤに優れ、経時安定性が良好なものであった。
【0047】
実施例9:ヘアワックス
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 10
2.モクロウ 20
3.ラノリン 10
4.ミツロウ 10
5.ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 5
6.ジトリメチロールプロパン誘導体(合成例1) 5
7.ワセリン 5
8.紫外線吸収剤(シア脂) 0.1
9.酸化防止剤(ビタミンE) 0.1
10.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
【0048】
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を均一に加熱混合溶解する。
B.Aを充填成型して製品とする。
本実施例で得られたヘアワックスは、髪にソフトで、滑らかな使用感であるとともに、潤い感に優れ、形状保持性の良好なものであった。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の油性固形化粧料は、塗布時の伸び広がりが良く、ソフトな肌あたりを有するとともに、化粧膜のツヤ、潤い感に優れ、形状保持性、経時安定性が良好なものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布時の伸び広がりが良く、ソフトな肌あたりを有するとともに、化粧膜のツヤ、潤い感に優れ、形状保持性、経時安定性が良好である油性固形化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、油性固形化粧料の調製においては、形状を保持し、その強度を得るために固化剤の検討がなされており、更に、それらの使用感や化粧持ちを向上させる技術が検討されている。
例えば、固化剤にポリエチレンを用いることにより、容器との離型性を向上させる技術がある(例えば、特許文献1)。更に、ポリエチレンワックスと構造中に1個の水酸基を有する液状油とを組み合わせることにより、発色を向上させたものがある(例えば、特許文献2)。
また、固化剤にエチレンプロピレンコポリマーを用いることにより、使用感を向上させた技術がある(例えば、特許文献3)。更に、エチレンプロピレンコポリマーと特定の飽和炭化水素とを組み合わせることにより経時安定性を向上させたものがある(例えば、特許文献4)。
しかしながら、これらの技術では、使用感、化粧持ち、ツヤ等、それぞれは向上するものの、全ての効果を充分に満足するものは得られず、特に、良好な潤い感が得られるものではなかった。
さらには、均一性、柔軟性、光沢に優れる化粧膜を得るために、特定のシリコーンオイルとエチレンホモポリマー及び/又はコポリマーを組み合わせた技術も提案されている(例えば、特許文献5)。
しかしながら、シリコーンオイルを用いた場合、潤い感が満足に得られ難く、高温下において発汗しやすいために経時安定性が良好でないといった問題点があった。
【0003】
一方、皮膚への刺激を緩和させたワックスや液状油等の油性基剤として、人間の表面脂質に類似の性質を有するポリオールの縮合物とのエステルやネオペンチルアルコールエステルが検討されてきた(例えば、特許文献6、7)。
しかしながら、これらの油性基剤は、水酸基が全てエステル化されているフルエステルタイプのため、他の油剤との相溶性が悪い場合があり、潤い感が得られ難いといった問題点があった。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−7286号公報
【特許文献2】
特開2001−158718号公報
【特許文献3】
特許第2519469号公報
【特許文献4】
特許第3073869号公報
【特許文献5】
特許第2960658号公報
【特許文献6】
特公昭53−46890号公報
【特許文献7】
特公昭59−29055号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術に挙げられた課題に加え、ここ最近、油性固形化粧料の使用感に対する要求品質が変化し、硬さを感じるツルツルとした軽い使用感よりも、ソフトな肌あたりで密着感を感じる使用感が好まれるようになってきた。
したがって、前述した課題の解決のみならず、新たな要求品質の具現化、すなわち、塗布時の伸び広がりが良く、ソフトな肌あたりを有するとともに、化粧膜のツヤ、潤い感に優れ、形状保持性、経時安定性が良好である油性固形化粧料の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、エチレンプロピレンコポリマーと、分子内に少なくとも1つの水酸基を有するジトリメチロールプロパン誘導体とを含有することにより、塗布時の滑らかさに優れるとともに、ソフトな肌あたりを有し、ツヤ、潤い感が優れ、形状保持性および経時安定性が良好である油性固形化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、次の成分(a)及び(b);
(a)エチレンプロピレンコポリマー
(b)ジトリメチロールプロパンと脂肪酸との下記一般式(1)で示されるエステル化合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物、下記一般式(1)で示されるエステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びジトリメチロールプロパンと脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上で、且つ分子内に少なくとも1つの水酸基を有する化合物と、
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子又は脂肪酸残基を表す。)(なお、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物とは、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と、脂肪酸とのエステル化反応で得られた重縮合物のことを示す。)
を含有する油性固形化粧料を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる、成分(a)のエチレンプロピレンコポリマーは、合成炭化水素ワックスであり、分子量が500〜700の範囲にあるものが好ましく用いることができる。また、その融点は、特に80℃〜110℃のものが形状保持性の観点より好ましい。このようなエチレンプロピレンコポリマーとしては、市販品として、ペトロライトEP−700(Baker Petrolite社製)等が例示できる。
本発明の油性固形化粧料における成分(a)の含有量は、1〜40質量%(以下、単に「%」と記す)が好ましく、特に、2〜30%がより好ましい。この範囲で含有すると、使用感、経時安定性が良好で、ツヤに優れるとともに、形状保持性がより向上するものとなる。
【0010】
本発明の油性化粧料における成分(b)の分子中に少なくとも1つの水酸基を有するジトリメチロールプロパン誘導体は、ジトリメチロールプロパンと脂肪酸との下記一般式(1)で示されるエステル化合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物、下記一般式(1)で示されるエステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びジトリメチロールプロパンと脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上で、且つ分子内に少なくとも1つの水酸基を有する化合物である。
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子又は脂肪酸残基を表す。)
【0013】
成分(b)を形成するための脂肪酸としては、炭素数5〜28の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸が好ましく、特に分岐鎖の脂肪酸が好ましい。このような分岐鎖の脂肪酸としては、例えば、ピバリン酸、イソヘプタン酸、4−エチルペンタン酸、イソオクチル酸、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸、4−プロピルペンタン酸、イソノナン酸、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、2−メチルデカン酸、3−メチルデカン酸、4−メチルデカン酸、5−メチルデカン酸、6−メチルデカン酸、7−メチルデカン酸、9−メチルデカン酸、6−エチルノナン酸、5−プロピルオクタン酸、イソラウリン酸、3−メチルヘンデカン酸、6−プロピルノナン酸、イソトリデカン酸、2−メチルドデカン酸、3−メチルドデカン酸、4−メチルドデカン酸、5−メチルドデカン酸、11−メチルドデカン酸、7−プロピルデカン酸、イソミリスチン酸、2−メチルトリデカン酸、12−メチルトリデカン酸、イソパルミチン酸、2−ヘキシルデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、2−エチルテトラデカン酸、イソステアリン酸、メチル分岐型イソステアリン酸、2−へプチルウンデカン酸、2−イソへプチルイソウンデカン酸、2−エチルヘキサデカン酸、14−エチルヘキサデカン酸、14−メチルヘプタデカン酸、15−メチルヘプタデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸、2−ブチルテトラデカン酸、イソアラキン酸、3−メチルノナデカン酸、2−エチルオクタデカン酸、イソヘキサコ酸、24−メチルヘプタコサン酸、2−エチルテトラコサン酸、2−ブチルドコサン酸、2−ヘキシルイコサン酸、2−オクチルオクタデカン酸、2−デシルヘキサデカン酸などが挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。これらのうち炭素数8〜18の脂肪酸、特にイソオクチル酸(さらに好ましくは、2−エチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸)、イソノナン酸(さらに好ましくは、2−エチルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸)、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソステアリン酸(さらに好ましくは、メチル分岐型イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−イソヘプチルイソウンデカン酸)などの炭素数8〜18の分岐飽和脂肪酸が好ましい。
【0014】
直鎖脂肪酸としては、炭素数6から炭素数28の直鎖脂肪酸で、例えば、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの直鎖飽和脂肪酸、また、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ブラシン酸などの直鎖不飽和脂肪酸が挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。
【0015】
本発明の成分(b)のエステル化合物は、モノ、ジ、トリ、又はテトラのエステル化合物の1種又は2種以上からなるものであるが、分子内に少なくとも1つの水酸基を有する化合物である。
また、成分(b)の重縮合物の調製に用いる多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸やセバシン酸などの炭素数2から炭素数10の2塩基性カルボン酸が好ましい。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
【0016】
本発明の成分(b)は、水酸基価(OHV)(以下、単に「OHV」と表す)が10〜150のものが好ましく、30〜150のものがより好ましく、40〜100のものが最も好ましい。OHVがこのような範囲にあると、他の油性成分に対する相溶性がより良好になるとともに、抱水性が高くなるために、潤い感を得られやすいといった効果を発揮できる。ここでOHVとは、粧原基一般試験法水酸基価測定法により得られた値である。本発明の成分(b)は、室温で液状であることが好ましく、粘度(25℃)が100〜30000mPa・sであることが好ましい。
【0017】
本発明の成分(b)は、例えば、ジトリメチロールプロパン1当量に対し脂肪酸及び/又は多価カルボン酸を1.5〜3.5当量仕込み、無触媒又は触媒(たとえば塩化スズ)存在下、180〜240℃にてエステル化及び/又は脱水縮合反応を行う。反応終了後は、反応混合物を吸着処理等に付して触媒除去処理を行い、蒸留等により未反応原料など低分子分を除去して、最終製品を得る方法により調製することができる。
【0018】
この成分(b)の配合量は特に限定されず、使用感、成型性、形状保持性等を考慮し適宜決定することができるが、化粧料全量中5〜90%が好ましく、10〜70%が特に好ましい。この範囲であれば、使用感や化粧膜のツヤ、潤い感の点でより満足のいくものが得られる。
【0019】
また、本発明の油性固形化粧料における成分(a)と成分(b)の配合質量比は、成分(a)/成分(b)=1/1〜1/15が好ましく、更に1/2〜1/12が好ましい。この範囲で用いると、優れた形状保持性を保持しながら、ソフトな肌あたりを有する使用感、ツヤおよび潤い感がより良好なものとなる。
【0020】
本発明の油性固形化粧料は、上記必須成分の他に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記必須成分以外の各種成分、例えば、油性成分、粉体、界面活性剤、繊維、紫外線吸収剤、保湿剤、皮膜形成剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0021】
油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられ、基材やエモリエント成分等として用いられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシンワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、リンゴ酸ジイソステアリル、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、ホホバ油、ロジン酸ペンタエリスリット等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0022】
粉体成分としては、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられ感触調整や着色等の目的で用いられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、疎水化処理無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末のラメ剤等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。尚、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0023】
界面活性剤としては、化粧品一般に用いられている界面活性剤であればよく、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げら、粉体分散や感触調整等に用いられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノルアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、大豆リン脂質、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0024】
繊維としては、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維等が挙げられる。また、これらの繊維は本発明の効果を妨げない範囲で一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。
【0025】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等を挙げることができる。
モイスチャー効果や感触を調整する目的としては、例えば水溶性高分子、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチンや水性成分等が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー等の合成系のものを挙げることができる。
水性成分としては、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばp−オキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0026】
本発明の油性固形化粧料は、メイクアップ化粧料、スキンケア化粧料、頭髪化粧料に応用することができ、目的に応じて種々の形状、製品形態とすることができる。形状としては、スティック状、皿状、ペンシル状等が挙げられ、製品形態としては、口紅、リップグロス、リップクリーム、ファンデーション、頬紅、アイカラー、アイライナー、アイブロウ、アイクリーム、ヘアワックスなどが挙げられる。
【0027】
【実施例】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0028】
(合成例1)ジトリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのエステル化合物の調製
ジトリメチロールプロパン(広栄化学社製:ジトリメチロールプロパン)211g(0.8モル)と2−エチルヘキサン酸(チッソ社製:オクチル酸)389g(2.7モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、還流溶剤として、キシロールを全仕込量の5%の量で一緒に加え、攪拌しながら混合物を180〜240℃で19時間反応させた。反応終了後、活性白土を用いて脱色し、常法による脱臭を行い、ジトリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのエステル化合物421gを得た。このエステル化合物のOHVは89であった。
【0029】
(合成例2)ジトリメチロールプロパンとイソステアリン酸とセバシン酸との重縮合物の調製
ジトリメチロールプロパン(広栄化学社製:ジトリメチロールプロパン)168g(0.8モル)、イソステアリン酸(ユニケマ社製:PRISORINE3505)392g(1.3モル)、及びセバシン酸(小倉合成工業社製:セバシン酸)41g(0.2モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、還流溶剤として、キシロールを全仕込量の5%の量で一緒に加え、攪拌しながら混合物を180〜240℃で6時間反応させた。反応終了後、活性白土を用いて脱色し、常法による脱臭を行い、ジトリメチロールプロパンとイソステアリン酸とセバシン酸との重縮合物436gを得た。この重縮合物のOHVは92であった。
【0030】
(合成例3:比較例)ジトリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのテトラエステル化合物の調製(フルエステル:水酸基が全てエステル化されている)
ジトリメチロールプロパン(広栄化学社製:ジトリメチロールプロパン)185g(0.7モル)と2−エチルヘキサン酸(チッソ社製:オクチル酸)415g(2.9モル)を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、還流溶剤として、キシロールを全仕込量の5%の量で一緒に加え、攪拌しながら混合物を180〜240℃で30時間反応させた。反応終了後、活性白土を用いて脱色し、常法による脱臭を行い、ジトリメチロールプロパンと2−エチルヘキサン酸とのテトラエステル化合物(下記一般式(2))390gを得た。このテトラエステル化合物のOHVは1であった。
【0031】
【化4】
【0032】
(式中、R5〜R8は全て2−エチルヘキサン酸残基を表す)
【0033】
実施例1〜5、比較例1〜4 スティック状口紅
表1に示す処方のスティック状口紅を製造し、得られた各スティック状口紅について、官能評価により、使用感(伸び広がり、ソフトな肌あたり)、化粧膜のツヤ、潤い感を評価した。また、高温に口紅を保管し、形状保持性、経時安定性を評価した。
【0034】
【表1】
【0035】
*1:コスモール168ARN(日清オイリオ社製)
*2:アエロジルR−976S (日本アエロジル社製)
*3:パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩5%処理
*4:ジメチルポリシロキサン3%処理
【0036】
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を110〜120℃にて加熱溶解後、成分(13)〜(19)を加えて、均一混合する。
B.Aに成分(20)〜(23)を加えて均一に混合する。
C.Bに成分(24)を加えて加熱し、脱泡後、型に流し込み充填し、冷却して成型する。
【0037】
(評価)
1.官能評価
(イ)の伸び広がり、(ロ)のソフトな肌あたり(ハ)の化粧膜のツヤ、(ニ)の潤い感について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、各試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(絶対評価)
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(4段階判定基準)
(評点平均値) :(判定)
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
1点を超えて3点以下:やや不良 :△
1点以下 :不良 :×
【0038】
2.形状保持性
口紅を容器から繰り出して、50℃の恒温槽に、横置きで1週間設置し、1週間後の状態を観察して、変化のないものから折れてしまうものまで、◎〜×の4段階で判定した。
(状態) :(判定)
変化なし :◎
わずかに曲っているが気にならない:○
曲っていて使用しずらい :△
かなり曲っている又は折れている :×
【0039】
3.経時安定性
50℃の恒温槽に、1ヶ月設置し、1ヶ月後の状態を観察して、変化のないものから発汗しているものまで、◎〜×の4段階で判定した。
(状態) :(判定)
変化なし :◎
わずかに発汗している :○
発汗している :△
著しい発汗が見られる :×
以上の評価方法により得られた結果を表1に併せて示す。
【0040】
表1から明らかなごとく、本発明のスティック状口紅は、形状保持性、経時安定性に優れ、しかも塗布時の使用感(伸び広がり、ソフトな肌あたり)、化粧膜のツヤ、潤い感が良好であった。
これに対して成分(a)が配合されていない比較例1では、特にソフトな肌あたり、経時安定性の点で満足するものが得られず、成分(b)が配合されていない比較例2では、特に化粧膜のツヤ、潤い感の点で満足するものが得られなかった。また、成分(b)の代わりにフルエステルを配合した比較例3では、特に潤い感において満足するものが得られなかった。さらに、成分(a)および(b)の両方が配合されていない比較例4では、全ての項目において満足するものが得られなかった。
【0041】
実施例6:皿状アイシャドウ
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 2
2.カルナウバワックス 2
3.セレシンワックス 2
4.デキストリン脂肪酸エステル 1
5.無水ケイ酸*2 1
6.ジトリメチロールプロパン誘導体(合成例1) 20
7.ジカプリン酸プロピレングリコール 10
8.テトライソステアリン酸ジグリセリル 残量
9.紫外線吸収剤(オキシベンゾン) 0.1
10.酸化防止剤(ビタミンE) 0.1
11.雲母チタン 15
12.酸化鉄処理雲母 15
13.ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム
エポキシ積層末 5
14.酸化チタン被覆ガラス末 5
15.赤色226号 1
16.赤色酸化鉄 1
【0042】
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を均一に加熱混合溶解した後、成分(11)〜(16)を加え、均一に混合する。
B.Aを充填して製品とする。
本実施例で得られた皿状アイシャドウは、滑らかな使用感であるとともに、化粧膜のツヤに優れ、発汗等もなく経時安定性が良好なものであった。
一方、成分6のジトリメチロールプロパン誘導体に替えて、イソオクタン酸セチルを用いたところ、化粧膜のツヤの点で劣るものであった。
【0043】
実施例7:リップクリーム
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 5
2.オゾケライトワックス 5
3.フィッシャートロプシュワックス 5
4.ミツロウ 3
5.カルナウバワックス 3
6.ジトリメチロールプロパン誘導体(合成例1) 20
7.ワセリン 10
8.紫外線吸収剤(シア脂) 0.1
9.酸化防止剤(ビタミンE) 0.1
10.トリオクタン酸グリセリル 残量
【0044】
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を均一に加熱混合溶解する。
B.Aを充填成型して製品とする。
本実施例で得られたリップクリームは、ソフトな肌あたりで、滑らかな使用感であるとともに、潤い感に優れ、形状保持性の良好なものであった。
一方、成分6のジトリメチロールプロパン誘導体に替えて、ジトリメチロールプロパン誘導体のフルエステル(合成例3)を用いたところ、潤い感の点で劣るものであった。
【0045】
実施例8:ペンシルアイライナー
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 5
2.ステアリン酸 15
3.モクロウ 5
4.ミツロウ 2
5.カルナウバワックス 2
6.ジトリメチロールプロパン誘導体(合成例2) 10
7.スクワラン 残量
8.紫外線吸収剤(シア脂) 0.1
9.酸化防止剤(ビタミンE) 0.1
10.黒色酸化鉄 40
11.黒色酸化鉄被覆雲母チタン 5
【0046】
(製造方法)
A.成分(1)〜(9)を均一に加熱混合溶解する。
B.Aに成分(10)〜(11)を添加し、均一に分散する。
C.Bを充填成型して製品とする。
本実施例で得られたペンシルアイライナーは、ソフトな肌あたりで、滑らかな使用感であるとともに、ツヤに優れ、経時安定性が良好なものであった。
【0047】
実施例9:ヘアワックス
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 10
2.モクロウ 20
3.ラノリン 10
4.ミツロウ 10
5.ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 5
6.ジトリメチロールプロパン誘導体(合成例1) 5
7.ワセリン 5
8.紫外線吸収剤(シア脂) 0.1
9.酸化防止剤(ビタミンE) 0.1
10.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
【0048】
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を均一に加熱混合溶解する。
B.Aを充填成型して製品とする。
本実施例で得られたヘアワックスは、髪にソフトで、滑らかな使用感であるとともに、潤い感に優れ、形状保持性の良好なものであった。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の油性固形化粧料は、塗布時の伸び広がりが良く、ソフトな肌あたりを有するとともに、化粧膜のツヤ、潤い感に優れ、形状保持性、経時安定性が良好なものである。
Claims (3)
- 次の成分(a)及び(b);
(a)エチレンプロピレンコポリマー
(b)ジトリメチロールプロパンと脂肪酸との下記一般式(1)で示されるエステル化合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物、下記一般式(1)で示されるエステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びジトリメチロールプロパンと脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上で、且つ分子内に少なくとも1つの水酸基を有する化合物、
を含有することを特徴とする油性固形化粧料。 - 前記成分(a)の配合量が2〜30質量%、成分(b)の配合量が5〜90質量%であることを特徴とする請求項1記載の油性固形化粧料。
- 前記成分(b)の水酸基価(OHV)が10〜150であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の油性固形化粧料。
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- 2003-05-14 JP JP2003136628A patent/JP2004339132A/ja active Pending
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