JP2004338207A - コンポジット材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】室温及び高温高湿度暴露後においても安定で良好な接着強度を有するチタンを含む金属と繊維強化プラスチックからなるコンポジット材料を提供すること。
【解決手段】チタンを含む金属、下記化学式で表されるイミダゾールシランを含む化合物、非繊維強化プラスチック、繊維強化プラスチックがこの順に形成されたコンポジット材料。
【化1】
Figure 2004338207

(ここで、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基(n=1〜3)、Rは結合そのもの又は炭素数が1〜20の脂肪族基を表す。R,R,Rは同一であっても異なっていても良く、それぞれ、水素又は炭素数1〜20の脂肪族基を表す)。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンポジット材料に関し、さらに詳しくは、例えば自動車部材、建材、航空機部材、スポーツ用具部材等に好適に用いられるチタンを含む金属と繊維強化プラスチックからなるコンポジット材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、チタン合金は、比強度(引張強度/比重)、比弾性率(弾性率/比重)などの機械物性が高く、耐食性に優れることから、宇宙、海洋などの特殊な分野のみならず、最近では、一般産業用途あるいは医療関係においても注目され、その需要は年々高まりつつある。
【0003】
また、強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチックは、比強度、比弾性率が高く、耐衝撃特性などの力学特性が優れること、耐候性、耐薬品性、導電特性などの機能特性を有すること、さらに、連続強化繊維使いにおいては、繊維含有率や積層構成、不連続繊維においては繊維長や繊維含有率などを適切に設計することにより、用途に応じた物性を発現することができるなどのメリットがある。
【0004】
そこで、チタン合金と繊維強化プラスチックからなるコンポジット材料は、ハイブリッド効果によりチタン合金単独もしくは繊維強化プラスチック単独では発現し得ない高力学特性、高機能特性を発現させることが期待される。
【0005】
一般に、チタン合金と繊維強化プラスチックからなるコンポジット材料のような異種材料を組み合わせて得られる複合材料が高力学特性を発現するためには、異種材料間の接着強度が十分に高く、該コンポジット材料に加えられた加重に対して、各材料は十分に応力を負担できることが前提となる。
【0006】
しかしながら、チタン合金は、チタン合金表面に形成される脆性な酸化チタンからなる酸化被覆が接着強度向上を阻害していることが分かっている。このため、チタン合金と繊維強化プラスチックからなるコンポジット材料が高力学特性、高機能特性を発現しうるポテンシャルを有しながら、広く使われない理由として、その接着強度の低さが大きな原因となっている。
【0007】
そこで、チタン合金の接着性を向上させる表面処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、チタン合金をフッ酸と硝酸の混合水溶液の常温浴に所定時間浸漬して表面に形成された酸化被膜を除去し、チタン合金を水酸化ナトリウム溶液で陽極酸化被膜を生成することで、チタン合金材を他の材料に接着する際の接着性を向上させることができると記されている。
【0008】
また、チタン合金をリン酸−硫酸水溶液中で、火花放電発生電圧以上の電圧で陽極酸化する事により、表面に陽極酸化被膜を形成し、次いで真空雰囲気下で加熱して該酸化被膜を還元し金属状態にする工程を含む表面処理方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
しかしながらこれらの方法については、次のような問題点がある。すなわち、特許文献1,2においては、フッ酸やリン酸などの酸性の水溶液を使用するため、取り扱い性が非常に困難であること、処理後のチタン合金を空気中に放置しておくと、チタン合金表面に形成された接着性向上に寄与する陽極酸化被膜の上に脆性な酸化皮膜が形成されるため、その上に接着処理を施しても、良好な接着強度が得られず、陽極酸化処理後、速やかに接着処理を施す必要があるなどの問題がある。
【0010】
また、通常、設備を簡略化するため、接着工程は空気中で行われるため、接着工程中にも陽極酸化処理したチタンおよびチタン合金表面の酸化は進行し、陽極酸化処理を施しても、期待通りの接着強度を発現するには至らないなどの問題があった。
【0011】
さらに、耐環境試験として、高温高湿度雰囲気にて接着体であるコンポジットを暴露すると、接着強度の低下が著しく、接着体を切断加工するだけで、接着部位が剥離するなどの問題があった。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−129387号公報(第1−2頁)
【0013】
【特許文献2】
特開2002−252687号公報(第1−2頁)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、室温及び高温高湿度暴露後においても安定で良好な接着強度を有するチタンを含む金属と繊維強化プラスチックからなるコンポジット材料およびその製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成をとる。すなわち本発明は、
チタンを含む金属、下記化学式で表されるイミダゾールシランを含む化合物、非繊維強化プラスチック、繊維強化プラスチックがこの順に形成されたコンポジット材料をその骨子とする。
【0016】
【化2】
Figure 2004338207
【0017】
(ここで、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基(n=1〜3)、Rは結合そのもの又は炭素数が1〜20の脂肪族基を表す。R,R,Rは同一であっても異なっていても良く、それぞれ、水素又は炭素数1〜20の脂肪族基を表す)。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるチタンを含む金属としては、純チタンまたはチタン合金を使用することができる。ここで、チタン合金は、いわゆるα合金、β合金、および両層を有するα+β合金系のいずれを使用する事もできる。なかでも、通常の使用温度時に、高強度が得られやすいβ合金のTi−15V−3Cr−3Al−3Sn合金やα+β合金のTi−6Al−4V合金が好ましく使用される。
【0019】
チタンを含む金属の形状は特に限定されず、板状、棒状、糸状いずれの形態で有っても構わないが、。板状物は接着面積が広いため、接着性向上の効果が顕著に発現されるため好ましく使用される。
【0020】
本発明は、チタンを含む金属、特定のイミダゾールシランを含む化合物、非繊維強化プラスチック、繊維強化プラスチックがこの順に形成されたコンポジット材料であるが、各構成成分を形成するプロセスは公知のプロセスを使用することができる。例えば、チタンを含む金属表面にイミダゾールシランを含む化合物を塗布、乾燥後、非繊維強化プラスチックを挟み込むように繊維強化プラスチックを重ね合わせ成形する方法等が好ましく使用される。
【0021】
本発明において、チタンを含む金属表面の少なくとも一部に、下記化学式で表されるイミダゾールシランを含む化合物が存在する必要がある。
【0022】
【化3】
Figure 2004338207
【0023】
(ここで、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基(n=1〜3)、Rは結合そのもの又は炭素数が1〜20の脂肪族基を表す。R,R,Rは同一であっても異なっていても良く、それぞれ、水素又は炭素数が1〜20の脂肪族基を有す)。
【0024】
上記化学式で表されるイミダゾールシランの具体例としては、下記化学式群を挙げることができる。
【0025】
【化4】
Figure 2004338207
【0026】
【化5】
Figure 2004338207
【0027】
【化6】
Figure 2004338207
【0028】
(ここで、上記した3つの化学式群において、Rは水素または炭素数が1〜20のアルキル基である。Rは水素、ビニル基又は炭素数が1〜5のアルキル基である。R、Rは炭素数が1〜3のアルキル基である。nは1〜3から選ばれる整数である)。
【0029】
本発明に使用するイミダゾールシランを含む化合物としては、イミダゾールシラン100%から成るものであっても良く、また、ハンドリング性の改良等の目的で、その他の成分、例えば、可塑剤等を含んでいても良い。
【0030】
チタンを含む金属の表面にイミダゾールシランを含む化合物を形成させる方法としては特に限定されないが、例えば、イミダゾールシランを、水またはエタノール、メタノールなどの溶媒に0.1〜10%の濃度で希釈し、該希釈溶液を金属表面に塗布もしくはディッピングなどにより付与する方法等が好ましく用いられる。また、該希釈溶液をスプレイアップするなども用いることができる。ここで、溶液には、塗布性等の改良のため、イミダゾールシラン以外の成分を添加することもできる。
【0031】
溶液を塗布した後は、常温放置もしくは加温や減圧処理により、水またはエタノール、メタノールなどの溶媒の一部または全部を揮発させることが好ましい。
【0032】
本発明において、前記化学式で表されるイミダゾールシランと繊維強化プラスチックの間に、非繊維強化プラスチックが形成される。この非繊維強化プラスチックからなる境界層が応力緩衝材として作用することにより、コンポジット材料に荷重や衝撃が負荷されたときに、応力緩和層として作用することにより、チタンを含む金属と繊維強化プラスチックとの剥離を防止する事ができる。
【0033】
非繊維強化プラスチックの形成形状は特に限定されないが、好ましくは層状である。該層の厚さは、応力緩和性と軽量化とのバランスから、0.01mm〜0.1mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.015mm〜0.05mmの範囲内、最も好ましくは0.015mm〜0.025mmの範囲である。非繊維強化プラスチックからなる境界層が0.01mmよりも薄いと、応力緩和性が小さくなり、剥離の可能性が増え、逆に、0.1mmより厚すぎると重量増加の問題が生じる可能性がある。
【0034】
非繊維強化プラスチックとして使用されるプラスチック素材は特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を使用することができる。好ましくは熱硬化性樹脂であり、さらに好ましくはエポキシ樹脂である。
【0035】
非繊維強化プラスチックとしては、チタンを含む金属と繊維強化プラスチックの接着性の観点から、繊維強化プラスチックに用いる素材と同一又は類似素材であることが好ましい。
【0036】
非繊維強化プラスチックとしてエポキシ樹脂を使用した場合、コンポジット材料を強化したり靱性を付与する目的等のために、熱可塑性プラスチックや熱可塑性エラストマーを非繊維強化プラスチック中に含有させることも好ましい態様である。
【0037】
ここで、熱可塑性プラスチックとしては、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)などが好ましく使用される。
【0038】
また、熱可塑性エラストマーとしては、アイオノマー(IO)、ポリオレフィン系(TPO)、ウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPAE)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)系などが好ましく使用される。
【0039】
これら熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーは、粒子状または不織布形態で使用するのが好ましい態様である。
【0040】
本発明において、繊維強化プラスチックとは、連続又は不連続強化繊維で強化された熱可塑性樹脂または熱硬化性プラスチック複合材料の総称である。繊維強化プラスチックの平均繊維体積含有率は特に限定されないが、20〜75%の範囲内が好ましく、45〜65%の範囲内であることがより好ましい。
【0041】
繊維強化プラスチックに使用する繊維の種類は特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維あるいはケブラー繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維などの有機繊維が挙げられる。軽量性、力学特性から、炭素繊維が好ましく使用される。
【0042】
繊維強化プラスチックに使用されるプラスチックは特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。接着性から、エポキシ樹脂が好ましく使用される。
【0043】
本発明に使用する繊維強化プラスチックとしては、炭素繊維とエポキシ樹脂からなる炭素繊維強化プラスチックは、軽量且つ力学特性に優れ、比弾性率、比強度が高いため、チタンを含む金属と組み合わせることにより、ハイブリッド効果が期待できるため、より好ましい。
【0044】
本発明のコンポジット材料は、ASTM D 1781−98に準じて測定(以降、CDP試験と記載する)したときの、チタンを含む金属と繊維強化プラスチック間の剥離に要する剥離トルクは5N・mm/mm以上であることが好ましい。より好ましくは10N・mm/mm以上である。
【0045】
剥離トルクが5N・mm/mm未満では、材料として接着性が不足することがあり、該コンポジット材料に荷重や衝撃が負荷された際に、剥離する恐れが生じる。
【0046】
一般に、接着性を評価する時にはJIS K 6850「接着剤−剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法」に記載されているような引張せん断接着強さを試験することにより評価することが多い。しかしながらせん断接着強さは、実際に問題になる剥離強さと必ずしも対応するするものではない。せん断接着強さを向上できても、容易に剥離が起こることもあり、接着性に関しては、ASTM D 1781−98に準じ、剥離トルクを測定することが好ましいのである。
【0047】
次に、本発明のコンポジット材料の好ましい製造方法について記載する。
【0048】
本発明のコンポジット材料の好ましい製造方法は、チタンを含む金属の表面を、粒度が#80〜#2000の研磨材を用いてサンディング処理した後、イミダゾールシラン化合物を含む処理剤を前記サンディング処理面上に形成する工程を含むことである。該工程を含むことにより、コンポジットの接着強度を一層向上させることができる。
【0049】
本発明のコンポジット材料の用途は、特に限定されないが、例えば、航空機用途、自動車用途、スポーツ用途、土木建築用途等に好適に使用される。
【0050】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれに限定されない。まず、使用した評価方法を記載する。
【0051】
引張せん断試験およびCDP試験
チタン合金と炭素繊維強化プラスチックとの接着サンプルを用いて、引張せん断試験とCDP試験を行った。引張せん断試験片の作製及び試験方法はJIS K 6850に基づいて行った。また、CDP試験片の作製及び試験方法はASTM D 1781−98に基づいて行った。
【0052】
(実施例1)
まず引張せん断試験片の作製方法を説明する。図1に作製した引張せん断試験片の断面図を示す。
サンプルに用いたチタン合金1は、Ti−15V−3Cr−3Al−3Sn合金であり、幅25mm、長さ100mm、厚み0.7mmの形状に切断した。
次いで、イミダゾールシラン(日鉱マテリアル社製:IS4000)をエタノールを用いて1.0%濃度に希釈して得られたイミダゾールシラン溶液を、接着面3(重ね合わせ長さ12.5mm×幅25mm)に塗布した後、常温でエタノールを揮発させて、チタン合金表面の接着面にイミダゾールシラン層を形成した。イミダゾールシラン層を形成した接着面3の上に、非繊維強化プラスチック境界層として、目付けが60g/mのエポキシ樹脂フィルム4を配し、更にその上に炭素繊維プリプレグ5を、長さが12.5mmとなるように重ね合わせた。ここで、炭素繊維プリプレグとしては、東レ(株)社製の炭素繊維T800Hを強化繊維としたプリプレグを用いた。
次いで、重ね合わせ部を覆うように耐熱テープ(ニチバン(株)社製ポリエステルテープNO.558A)で仮止めをし、オートクレーブを用いて、6.0kg/cm、180℃×2時間で炭素繊維プリプレグを硬化させると共に、チタン合金への接着を行い、引張せん断試験片を10体作成した。
次にCDP試験片の作製方法を説明する。
図2に作製したCDP試験片の断面を示す。
サンプルに用いたチタン合金1は、同様にTi−15V−3Cr−3Al−3Sn合金であり、幅25mm、長さ300mm、厚み0.13mmの形状に切断した。
引張せん断試験片と同様に、チタン合金1の接着面3(重ね合わせ長さ250mm×幅25mm)にイミダゾールシラン層を形成した。
【0053】
イミダゾールシラン層を形成した接着面3の上に、非繊維強化プラスチック境界層として、目付けが60g/mのエポキシ樹脂フィルム4を配し、更にその上に炭素繊維プリプレグ5を長さ260mmにわたり重ね合わせた。重ね合わせ部を覆うように耐熱テープで仮止めをし、オートクレーブを用いて、6.0kg/cm、180℃×2時間で炭素繊維強化プリプレグを硬化させると共に、チタン合金への接着を行い、CDP試験片を10体作成した。
引張せん断試験片10体のうち、5体はJIS K 6850に基づいて引張せん断試験を行い、5体の試験結果の平均値を引張せん断強度として求めた。残りの5体は、耐環境試験(以下、H/Wと記載する)として、50℃×RH95%に14日間浸漬した後、室温にて同様に試験を行い、引張せん断強度を求めた。その結果、引張せん断強度は室温で20.6MPa、H/Wで18.9MPaであった。CDPの剥離トルクは、室温で15.0N・mm/mm、H/Wで12.6MPaであった。引張せん断試験、CDP試験ともに、試験後の破断面には、CFRPの母材破壊跡が観察された。
【0054】
(実施例2)
チタン合金の接着面を粒度が#400のサンドパーパーを用いて研磨した他は実施例1と同様に引張せん断試験片、CDP試験片を作成し、引張せん断強度、CDPの剥離トルクを求めた。
その結果、引張せん断強度は室温で23.6MPa、H/Wで21.8MPaであった。CDPの剥離トルクは室温で19.5N・mm/mm、H/Wで18.4MPaであった。引張せん断試験、CDP試験ともに、試験後の破断面には、CFRPの母材破壊跡が観察された。
【0055】
(実施例3)
チタン合金の接着面を粒度が#400のサンドパーパーを用いて研磨し、非繊維強化樹脂として、平均粒径が17μmの熱可塑性樹脂粒子を含むエポキシ樹脂フィルムを用いた他は実施例1と同様にして、引張せん断試験片、CDP試験片を作成し、引張せん断強度、CDPの剥離トルクを求めた。
その結果、引張せん断強度は室温で25.6MPa、H/Wで23.8MPaであった。CDPの剥離トルクは室温で23.5N・mm/mm、H/Wで20.1MPaであった。引張せん断試験、CDP試験ともに、試験後の破断面には、CFRPの母材破壊跡が観察された。
【0056】
(比較例1)
チタン合金の接着面にイミダゾールシランを付与せず、非繊維強化樹脂としてエポキシ樹脂フィルムを配さない他は実施例1と同様に引張せん断試験片、CDP試験片を作成し、引張せん断強度、CDPの剥離トルクを求めた。
その結果、引張せん断強度は室温で14.1MPa、H/Wで8.2MPaであった。CDPの剥離トルクは室温H/Wともにほとんど検出できないレベルであった。引張せん断試験後の破断面には、CFRPの母材破壊跡は観察されなかった。またCDP試験後の破断面にもCFRPの母材破壊跡は観察されなかった。
【0057】
(比較例2)
チタン合金の接着面にイミダゾールシランを付与しない他は実施例1と同様に引張せん断試験片、CDP試験片を作成し、引張せん断強度、CDPの剥離トルクを求めた。
その結果、引張せん断強度は室温で15.8MPa、H/Wで11.3MPaであった。CDPの剥離トルクは室温で1.9N・mm/mm、H/Wで1.4N・mm/mmであった。引張せん断試験後の破断面には、CFRPの母材破壊跡は観察されなかった。またCDP試験後の破断面にもCFRPの母材破壊跡は観察されなかった。
【0058】
(比較例3)
非繊維強化樹脂としてエポキシ樹脂フィルムを配さない他は実施例1と同様に引張せん断試験片、CDP試験片を作成し、引張せん断強度、CDPの剥離トルクを求めた。
その結果、引張せん断強度は室温で17.5MPa、H/Wで15.2MPaであった。CDPの剥離トルクは室温で5.4N・mm/mm、H/Wで4.6N・mm/mmであった。引張せん断試験後の破断面には、一部CFRPの母材破壊跡が観察されたが、CDP試験後のの破断面には、CFRPの母材破壊跡はほとんど観察されなかった。
【0059】
(比較例4)
非繊維強化樹脂としてエポキシ樹脂フィルムを配さない他は実施例2と同様に引張せん断試験片、CDP試験片を作成し、引張せん断強度、CDPの剥離トルクを求めた。
その結果、引張せん断強度は室温で18.9MPa、H/Wで16.2MPaであった。CDPの剥離トルクは室温で6.7N・mm/mm、H/Wで4.9N・mm/mmであった。引張せん断試験後の破断面には、一部CFRPの母材破壊跡が観察されたが、CDP試験後の破断面にはCFRPの母材破壊跡は観察されなかった。
【0060】
(比較例5)
イミダゾールシランの代わりに、エポキシシラン(信越化学社製:KBM−403)をエタノールを用いて1.0%濃度に希釈して得られたエポキシシラン溶液を用いた他は実施例2と同様に引張せん断試験片、CDP試験片を作成し、引張せん断強度、CDPの剥離トルクを求めた。
その結果、引張せん断強度は室温で17.2MPa、H/Wで13.3MPaであった。CDPの剥離トルクは室温で2.1N・mm/mm、H/Wで1.4N・mm/mmであった。引張せん断試験後の破断面には、CFRPの母材破壊跡は観察されなかった。また、CDP試験後の破断面にもCFRPの母材破壊跡は観察されなかった。
【0061】
以上の結果を、表1に纏めて記載した。
【0062】
【表1】
Figure 2004338207
【0063】
表1から分かるように、チタン合金の接着表面にイミダゾールシランを有し、且つ非繊維強化プラスチック境界層を有する実施例1〜3はいずれもCDPの剥離トルクが室温では15.0N・mm/mm以上、H/Wでも12.6N・mm/mm以上であり、破断後のチタン合金の接着表面にはCFRPの母材破壊の跡が確認され、良好な接着性を発現していることが分かった。
【0064】
一方、チタン合金の接着表面にイミダゾールシランを有しない比較例1,2はいずれもCDPの剥離トルクが2N・mm/mm以下であり、簡単に剥離し、破断後のチタン合金の接着表面にはCFRPの母材破壊の跡は確認されず、接着性が悪いことが分かった。
【0065】
また、チタン合金の接着表面にイミダゾールシランを有しても、非繊維強化プラスチック境界層を有しない比較例3,4はいずれもCDPの剥離トルクが比較例1,2よりも若干向上しているものの、7N・mm/mm以下であり、破断後のチタン合金の接着面ンにはCFRPの母材破壊の跡は確認されず、接着性が悪いことが分かった。
【0066】
またチタン合金の接着表面にイミダゾールシランの代わりにエポキシシランを有する比較例5は、CDPの剥離トルクが3N・mm/mm以下であり、簡単に剥離し、破断後のチタン合金の接着面ンにはCFRPの母材破壊の跡は確認されず、接着性が悪いことが分かった。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、室温及び高温高湿度暴露後においても安定で良好な接着強度を有するコンポジット材料を提供することができ、特にCDPの剥離トルクを大幅に向上させることができるため、自動車部材、建材、航空機部材、スポーツ用具部材等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンポジット材料を使用した引張せん断試験片の一例を示す断面図である。
【図2】本発明のコンポジット材料を使用したCDP試験片の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1……チタン合金
2……イミダゾールシラン
3……接着面
4……エポキシ樹脂フィルム
5……炭素繊維プリプレグ

Claims (6)

  1. チタンを含む金属、下記化学式で表されるイミダゾールシランを含む化合物、非繊維強化プラスチック、繊維強化プラスチックがこの順に形成されたコンポジット材料。
    Figure 2004338207
    (ここで、R,Rは炭素数が1〜3のアルキル基(n=1〜3)、Rは結合そのもの又は炭素数が1〜20の脂肪族基を表す。R,R,Rは同一であっても異なっていても良く、それぞれ、水素又は炭素数1〜20の脂肪族基を表す。)
  2. 前記繊維強化プラスチックが炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1に記載のコンポジット材料。
  3. 前記非繊維強化プラスチックに使用するプラスチックがエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンポジット材料。
  4. 前記エポキシ樹脂が熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項3に記載のコンポジット材料。
  5. ASTM D 1781−98に準じて測定したときの剥離トルクが5N・mm/mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンポジット材料。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のコンポジット材料の製造方法であって、チタンを含む金属の表面を、粒度が#80〜#2000の研磨材を用いてサンディング処理した後、イミダゾールシランを含む化合物をを前記サンディング処理面上に形成させる工程を含むことを特徴とするコンポジット材料の製造方法。
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