JP2019217716A - 表面処理アルミニウム材の製造方法、複合成形体の製造方法、表面処理アルミニウム材及び複合成形体 - Google Patents

表面処理アルミニウム材の製造方法、複合成形体の製造方法、表面処理アルミニウム材及び複合成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ポリオレフィンとの接合強度が大きい表面処理アルミニウム材の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係る表面処理アルミニウム材の製造方法は、インサート成形によりポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物と複合化される表面処理アルミニウム材の製造方法であって、アルミニウムを主成分とする基材に直接又は下地処理膜を介して重合型接着剤によりポリオレフィンを主成分とする樹脂フィルムを接着する工程を備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、表面処理アルミニウム材の製造方法、複合成形体の製造方法、表面処理アルミニウム材及び複合成形体に関する。
近年、自動車や電子機器の部品等として、樹脂部材と金属部材とを一体化した複合成形体が用いられてきている。このような樹脂金属複合成形体は、例えば金属部材を金型内に配置し、そこに熱可塑性樹脂を射出して一体成形するインサート成形により製造される。このような樹脂金属複合成形体においては、使用する材料又はその組み合わせなどによっては、射出成形された樹脂部材と金属部材との間に十分な接合強度が得られない場合もある。
例えば特開2016−215630号公報には、アルミニウム材を金型内に配置してポリアミドを注入するインサート成形により得られる複合成形体におけるアルミニウム材とポリアミドとの接合強度を向上する方法として、アルミニウム材の表面にポリアミドとの接着性に優れる樹脂フィルムを形成した表面処理アルミニウム材を用いることが提案されている。具体的には、上記公報は、アルミニウムを主成分とする基材の表面に、末端にヒドロキシル基又はアミノ基を有するポリエステルアミドを含有する樹脂フィルムを形成することによってポリアミドとの接合性を向上した表面処理アルミニウム材を用いてインサート成形することを提案している。
ポリアミドは、比較的強度が大きく、広く用いられている樹脂である。一方、ポリアミドと並んで多く用いられる他の樹脂として、ポリオレフィンが挙げられる。上記公報に記載の方法は、ポリアミドとアルミニウム材との接合強度の向上に特化した方法であるため、ポリオレフィンとアルミニウム材との接合強度を向上できる技術も求められている。
特開2016−215630公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、ポリオレフィンとの接合強度が大きい表面処理アルミニウム材の製造方法及び表面処理アルミニウム材、並びにポリオレフィンを主成分とする樹脂成形部とアルミニウム材との接合強度が大きい複合成形体の製造方法及び複合成形体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る表面処理アルミニウム材の製造方法は、インサート成形によりポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物と複合化される表面処理アルミニウム材の製造方法であって、アルミニウムを主成分とする基材に直接又は下地処理膜を介して重合型接着剤によりポリオレフィンを主成分とする樹脂フィルムを接着する工程を備えることを特徴とする。
当該表面処理アルミニウム材の製造方法は、アルミニウムを主成分とする基材に直接又は下地処理膜を介して重合型接着剤によりポリオレフィンを主成分とする樹脂フィルムを接着することによって、樹脂フィルムを基材に堅固に接着するので、樹脂フィルムと同種の材料であるポリオレフィンとの接合強度が大きい表面処理アルミニウム材を製造することができる。
当該表面処理アルミニウム材の製造方法は、モノマー又はプレポリマーを含有する主剤と上記モノマー又はプレポリマーを重合する硬化剤とを混合することにより、上記重合型接着剤を調製する工程をさらに備えてもよい。このように、上記主剤及び上記硬化剤を混合して上記重合型接着剤を調製する工程を備えることによって、上記基材と上記樹脂フィルムとの接着強度を向上することができる。
本発明の別の態様に係る複合成形体の製造方法は、上記表面処理アルミニウム材の製造方法によって得られる表面処理アルミニウム材を配置した金型内にポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物を射出成形する工程を備える。
当該複合成形体の製造方法は、ポリオレフィンとの接合強度が大きい上記表面処理アルミニウム材とポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物とをインサート成形によって一体化するので、上記表面処理アルミニウム材と上記樹脂組成物によって形成される樹脂成形部との接合強度が大きい複合成形体を製造することができる。
当該複合成形体の製造方法において、上記射出成形工程の前に、上記表面処理アルミニウム材をプレス加工する工程をさらに備えてもよい。このように、上記射出成形工程の前に、上記表面処理アルミニウム材をプレス加工する工程をさらに備えることによって、多様な形状の複合成形体を製造することができる。
本発明のまた別の態様に係る表面処理アルミニウム材は、インサート成形によりポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物と複合化される表面処理アルミニウム材であって、アルミニウムを主成分とする基材と、上記基材に直接又は下地処理膜を介して積層される接着剤層と、上記接着剤層に積層され、ポリオレフィンを主成分とする樹脂フィルムとを備えることを特徴とする。
当該表面処理アルミニウム材は、上記接着剤層によって上記基材に上記樹脂フィルムを接着したことによって、上記基材に上記樹脂フィルムが堅固に接着され、上記樹脂フィルムと同種の材料であるポリオレフィンとの接合強度が大きい。
当該表面処理アルミニウム材において、上記接着剤層の主成分がポリエステルであってもよい。このように、上記接着剤層の主成分がポリエステルであることによって、乾燥した環境において使用される場合に、ポリオレフィンとの接合強度を特に大きくすることができる。
当該表面処理アルミニウム材において、上記接着剤層の主成分がポリオレフィンであってもよい。このように、上記接着剤層の主成分がポリオレフィンであることによって、湿潤な環境において使用される場合に、ポリオレフィンとの接合強度を特に大きくすることができる。
当該表面処理アルミニウム材において、上記樹脂フィルムのヤング率が500MPa以上であることが好ましい。このように、上記樹脂フィルムのヤング率が上記下限以上であることによって、樹脂フィルムの内部での破断を防止して、当該表面処理アルミニウム材と複合化した樹脂組成物との接合強度を向上することができる。
当該表面処理アルミニウム材は、上記下地処理膜を備え、上記下地処理膜がシリコンを含有してもよい。このように、上記下地処理膜を備え、上記下地処理膜がシリコンを含有することによって、上記基材と上記接着剤層との接着強度を容易且つ確実に大きくすることができる。
本発明のさらに別の態様に係る複合成形体は、上記表面処理アルミニウム材と、上記表面処理アルミニウム材の少なくとも上記樹脂フィルムに密着し、ポリオレフィンを主成分とする樹脂成形部とを備える。
当該複合成形体は、ポリオレフィンとの接合強度が大きい上記表面処理アルミニウム材にポリオレフィンを主成分とする樹脂成形部を積層したものであるため、上記表面処理アルミニウム材と上記樹脂成形部との接合強度が大きい。
ここで、「主成分」とは、質量含有率が最も大きい成分を意味する。
本発明の一態様に係る表面処理アルミニウム材の製造方法によって得られる表面処理アルミニウム材及び本発明の別の態様に係る表面処理アルミニウム材は、ポリオレフィンとの接合強度が大きい。本発明のまた別の態様に係る複合成形体及び本発明のさらに別の複合成形体の製造方法によって得られる複合成形体は、ポリオレフィンを主成分とする樹脂成形部とアルミニウム材との接合強度が大きい。
本発明の一実施形態に係る表面処理アルムニウム材の模式的断面図である。 図1の表面処理アルミニウム材を備える複合成形体の模式的断面図である。 (A)は複合成形体の評価試験片の平面図であり、(B)はその側面図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
[表面処理アルミニウム材]
図1の表面処理アルミニウム材1は、インサート成形によりポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物と複合化され、複合成形体を形成するために用いられる。
当該表面処理アルミニウム材1は、アルミニウムを主成分とする基材11と、この基材11の一方の面に形成される下地処理膜12と、この下地処理膜12に積層される接着剤層13と、この接着剤層13によって基材11に下地処理膜12を介して接着される樹脂フィルム14と備える。
<基材>
基材11は、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成される。この基材11におけるアルミニウムの含有量の下限としては、80質量%が好ましく、95質量%がより好ましい。一方、基材11におけるアルミニウムの含有量の上限は特に限定されず、基材11が純アルミニウム(アルミニウムの含有率が100質量%)であってもよい。つまり、基材11は、アルミニウムに必要に応じて他金属を添加したアルミニウム合金から形成されてもよい。このようなアルミニウム合金としては、例えばAl−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Zn−Mg系合金、Al−Si系合金、Al−Cu系合金等を挙げることができる。
基材11は、特に限定されないが、典型的には板状又はシート状に形成される。基材11は、長尺シート状のものを巻き芯を中心にしてリール状に巻き取ったものであってもよい。基材11がこのようにリール状に巻き取られることで、生産性、量産性、取扱性などを高めることができる。
基材11の表面は、粗面化処理を必要とせず、平滑面又は鏡面であってもよい。この基材11の表面の表面粗さRaの上限としては、5μmが好ましく、1μmがより好ましい。一方、この基材11の表面粗さRaの下限としては、0.01μmが好ましい。なお、表面粗さRaは、JIS−B−0601(2001年)に準拠して、カットオフ値(λc)2.5mm、評価長さ(l)12.5mmで測定される算術平均粗さをいう。
<下地処理膜>
下地処理膜12は、基材11に対する接着剤層13の接着性を向上するために、基材11の表面に形成される。表面処理アルミニウム材1は、特に温度変化や湿度変化の激しくない環境下で使用される場合には、下地処理膜12を備えていなくとも基材11と接着剤層13との良好な接着性が発揮される。しかし、温度変化や湿度変化の激しい環境下や、水濡れする環境下で使用される場合は、このような下地処理膜12が形成されていることが好ましい。当該表面処理アルミニウム材1が下地処理膜12を備えることで、基材11と接着剤層13ひいては樹脂フィルム14との接合性が向上し、これにより当該表面処理アルミニウム材1とポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物との密着性や接合耐久性を高めることができる。
下地処理膜12は、金属材料に結合する官能基と有機材料に結合する官能基とを有する分子を含む材料の薄膜として形成することができる。このような下地処理膜12は、シリコンを含有すること、つまり親水基と親油基とを有するシリコン化合物によって形成されることが、金属材料と有機材料との密着性をより確実に向上できる点で好ましい。
下地処理膜12の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば10nm以上10μm以下とすることができる。下地処理膜12の平均厚みを上記範囲とすることで、接合性をより高めることができる。
<接着剤層>
接着剤層13は、下地処理膜12を介して基材11に樹脂フィルム14を堅固に接着する。
接着剤層13の主成分としては、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリル樹脂等が挙げられ、中でもポリエステル及びポリオレフィンが特に好ましい。接着剤層13の主成分がポリエステルであれば、湿潤環境下では接合強度の低下があるものの、乾燥環境下では特に大きい接合強度が得られる。また、接着剤層13の主成分がポリオレフィンであれば、乾燥環境下での接合強度はポリエステルが主成分である場合に劣るものの、湿潤環境下では特に大きい接合強度が得られる。
接着剤層13の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、1.0μmがより好ましい。一方、接着剤層13の平均厚みの上限としては、500μmが好ましく、100μmがより好ましい。接着剤層13の平均厚みが上記下限に満たない場合、接着剤層13を切れ目なく均一に形成することが容易ではなくなるおそれがある。逆に、接着剤層13の平均厚みが上記上限を超える場合、樹脂フィルム14を積層する際に接着剤層13の厚さが不均一になるおそれや、接着剤の使用量が不必要に増大して生産性や経済性が低下するおそれがある。
接着剤層13のヤング率の下限としては、500MPaが好ましく、550MPaがより好ましい。一方、接着剤層13のヤング率の上限としては、15GPaが好ましく、10GPaがより好ましい。接着剤層13のヤング率が上記下限に満たない場合、接着剤層13が破断して樹脂フィルム14が基材11から剥離するおそれがある。逆に、接着剤層13のヤング率が上記上限を超える場合、当該表面処理アルミニウム材の製造コストが不必要に増大するおそれがある。なお、ヤング率は、ナノインデンターを用いて測定することができる。
<樹脂フィルム>
樹脂フィルム14は、基材11の下地処理膜12が形成された表面に接着剤層13によって接着されている。この樹脂フィルム14は、ポリオレフィンを主成分とし、これにより、ポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物に対して強固に接合することができる。
樹脂フィルム14の主成分とされるポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができるが、当該表面処理アルミニウム材と複合化される樹脂組成物の主成分と同種の樹脂であることが好ましい。また、樹脂フィルム14において、これらのポリオレフィンに他の樹脂が重合していてもよい。
かかる樹脂フィルム14としては、市販のポリオレフィンフィルムを用いることができる。樹脂フィルム14として用いられるポリオレフィンフィルムは、延伸フィルムであってもよいが、当該表面処理アルミニウム材の汎用性に鑑みて、配向性を有しない無延伸フィルムであることが好ましい。
樹脂フィルム14の平均厚みの下限としては、1μmが好ましく、5μmがより好ましい。一方、樹脂フィルム14の平均厚みの上限としては、300μmが好ましく、100μmがより好ましい。樹脂フィルム14の平均厚みが上記下限に満たない場合、接着剤層13によって基材11に接着する際の作業性が低下するおそれがある。逆に、樹脂フィルム14の平均厚みが上記上限を超える場合、当該表面処理アルミニウム材を例えばプレス加工等により加工する際の加工性が低下するおそれがある。
樹脂フィルム14のヤング率の下限としては、500MPaが好ましく、550MPaがより好ましい。一方、樹脂フィルム14のヤング率の上限としては、2500MPaが好ましく、1000MPaがより好ましい。樹脂フィルム14のヤング率が上記下限に満たない場合、樹脂フィルム14が破断して当該表面処理アルミニウム材から複合化した樹脂組成物が分離しやすくなるおそれがある。逆に、樹脂フィルム14のヤング率が上記上限を超える場合、当該表面処理アルミニウム材が不必要に高価となるおそれや、当該表面処理アルミニウム材の加工性が不十分となるおそれがある。
<利点>
当該表面処理アルミニウム材は、基材11に下地処理膜12を介して接着剤層13により樹脂フィルム14を接着したことにより、基材11及び樹脂フィルム14間の接着強度が大きい。また、当該表面処理アルミニウム材は、最表面にポリオレフィンを主成分とする樹脂フィルム14を有するため、ポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物との接合強度が大きい。
[表面処理アルミニウム材の製造方法]
当該表面処理アルミニウム材1は、それ自体が本発明の一実施形態である表面処理アルミニウム材の製造方法によって製造することができる。
当該表面処理アルミニウム材の製造方法は、基材11に下地処理膜12を形成する工程<下地処理膜形成工程>と、重合型接着剤を調製する工程<重合型接着剤調製工程>と、調製した重合型接着剤により基材11の下地処理膜12が形成された面に樹脂フィルム14を接着する工程<樹脂フィルム接着工程>とを備える。
<下地処理膜形成工程>
下地処理膜形成工程では、例えば化成処理、カップリング処理、メッキ処理等の単独又は複数の組み合わせにより下地処理膜12を形成する。中でも、カップリング処理は、比較的容易且つ確実に基材11と接着剤層13との密着性を向上することができる。なお、下地処理膜形成工程では、これらの処理の前に、基材11の表面に対して脱脂処理を行うことが好ましい。
化成処理とは、一般的に、金属材料に処理剤を作用させて、金属材料の表面に安定な化合物を生成させる表面処理法である。化成処理としては、例えばリン酸クロメート処理、クロム酸クロメート処理、酸化ジルコニウム処理、チタンジルコニウム処理、リン酸亜鉛処理等を挙げることができ、リン酸クロメート処理、クロム酸クロメート処理、酸化ジルコニウム処理及びチタンジルコニウム処理が好ましい。これらの処理を行うことで、表面にヒドロキシル基が存在する下地処理膜12を形成することができる。
カップリング処理とは、金属材料に結合する官能基と有機材料に結合する官能基とを有するカップリング剤を金属材料の表面に塗布する表面処理法である。カップリング剤としは、例えばシランカップリング剤、ボリカルボン酸カップリング剤等を挙げることができる。中でも、シリコンを含有するシランカップリング剤が、金属材料と有機材料との密着性をより確実に向上できる点で特に好適に用いられる。
メッキ処理とは、一般的に、酸化還元反応を利用して、金属皮膜を形成する表面処理法である。メッキ処理としては、亜鉛メッキ、クロムメッキ等の電解メッキや、無電解スズメッキ、無電解ニッケルメッキ等の無電解メッキなどを挙げることができる。
<重合型接着剤調製工程>
重合型接着剤調製工程では、モノマー又はプレポリマーを含有する主剤とこの主剤中のモノマー又はプレポリマーを重合する硬化剤とを混合することにより、接着剤層13を形成する重合型接着剤を調製する。
上記主剤及び硬化剤としては、市販の樹脂及び硬化剤の中から、所望の組成の接着剤層13を形成できるよう公知の組み合わせを選択することができる。また、重合型接着剤の粘度を調節して基材11に所望の量の、重合型接着剤を均一に塗布することが可能となるよう、主剤及び硬化剤として溶剤を含むものを使用してもよく、主剤及び硬化剤の混合時に溶剤を加えてもよい。
<樹脂フィルム接着工程>
樹脂フィルム接着工程では、重合型接着剤調製工程で調製した重合型接着剤を基材11の下地処理膜12が形成された面に塗工し、重合型接着剤の塗膜に樹脂フィルム14を積層して重合型接着剤が硬化するまで保持する。これにより、硬化した重合型接着剤により接着剤層13が形成され、基材11に樹脂フィルム14が接着される。
重合型接着剤の塗工方法としては、例えばスピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法等の従来公知の塗工方法を用いることができる。また、例えばスクリーン印刷、ディスペンサ等によって基材11の一部分のみに重合型接着剤を塗工してもよい。
樹脂フィルム接着工程では、重合型接着剤の塗工後、樹脂フィルム14を積層する前に、重合型接着剤中の溶剤を蒸発させてもよい。ただし、形成される接着剤層13と樹脂フィルム14との接着強度を確保するために、重合型接着剤が完全に硬化する前に樹脂フィルム14を積層しなければならない。
このように、基材11と樹脂フィルム14との間で重合型接着剤を重合硬化させて接着剤層13を形成することによって、例えばヒートシール等の他の形式の接着と比べて基材11と樹脂フィルム14との接合強度を大きくすることができる。
[複合成形体]
図2に、本発明に係る複合成形体の一実施形態を示す。当該複合成形体は、図1の表面処理アルミニウム材1と、この表面処理アルミニウム材1に密着し、ポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物から形成される樹脂成形部2とを備える。
<樹脂成形部>
樹脂成形部2は、ポリオレフィンを主成分とし、熱可塑性を有する樹脂組成物から形成される。この樹脂成形部2を形成する樹脂組成物は、表面処理アルミニウム材1と樹脂成形部2との線膨張率差を小さくすると共に樹脂成形部2の機械的強度を高めるために、充填材を含むことが好ましい。
樹脂成形部2に含まれる充填材の含有量としては、ポリオレフィン100質量部に対して10質量部以上150質量部以下が好ましい。充填材としては、繊維状充填材、板状充填材、粒状充填材等を挙げることができる。繊維状充填材としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。例えばガラス繊維としては、平均繊維径が5μm以上15μm以下のチョップドストランド等が挙げられる。板状又は粒状充填材としては、例えばタルク、マイカ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。
樹脂成形部2には、ポリオレフィン及び充填材以外の他の成分がさらに含有されていてもよい。この他の成分としては、ポリオレフィン以外の樹脂や充填材以外の添加剤を挙げることができる。但し、樹脂成形部2におけるポリオレフィン及び充填材以外の成分の含有量は20質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。他の成分の含有量が大きくなると、表面処理アルミニウム材1と樹脂成形部2との接合性が不十分となるおそれがある。充填材以外の添加剤としては、例えば顔料、難燃剤、熱伝導性フィラー、導電性フィラー等を挙げることができる。
<利点>
当該複合成形体は、上述のようにポリオレフィンとの接合性に優れる表面処理アルミニウム材1が用いられているため、表面処理アルミニウム材1と樹脂成形部2との接合強度が大きい。
[複合成形体の製造方法]
当該複合成形体は、それ自体が本発明の一実施形態である複合成形体の製造方法によって製造することができる。
当該複合成形体の製造方法は、表面処理アルミニウム材1を配置した金型内にポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物を射出成形する工程を備える。つまり、当該複合成形体の製造方法では、インサート成形により、表面処理アルミニウム材1と一体化した樹脂成形部2を形成する。当該製造方法において、金型内に配置するアルミニウム材として、上述の表面処理アルミニウム材1を用いること以外は、従来公知のインサート成形と同様に行うことができる。
当該複合成形体の製造方法は、上記射出成形工程の前に、上記表面処理アルミニウム材1をプレス加工する工程をさらに備えてもよい。つまり、板状又はシート状の基材11を用いて表面処理アルミニウム材1を得て、この表面処理アルミニウム材1をプレス加工した後、インサート成形により複合成形体を得ることにより、複雑な形状の大型複合成形体の製造も効率的に行うことができる。
なお、プレス加工後、プレス加工で用いられ表面処理アルミニウム材1に付着したプレス油等の油分は、脱脂等により射出成形工程の前に除去することが必要となる。ここで、プレス加工の際に、揮発性のプレス油を用いることが好ましい。揮発性のプレス油を用いることで、室温での放置又は加熱により油分を除去することができ、脱脂工程の省略及びコストダウンを図ることができる。
<利点>
当該複合成形体の製造方法によれば、表面に樹脂フィルム14が接着された表面処理アルミニウム材1を用いてポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物との複合化を行うため、表面処理アルミニウム材1と樹脂成形部2との接合性に優れる複合成形体を得ることができる。
[他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
当該表面処理アルミニウム材は、下地処理膜を有せず、樹脂フィルムを接着する接着剤層が基材に直接積層されていてもよい。従って、当該表面処理アルミニウム材の製造方法において、下地処理膜形成工程は省略することができる。
当該表面処理アルミニウム材の製造方法において、基材に樹脂シートを接着する重合型接着剤は、例えば光硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤等、直前に複数の材料を混合して調製する必要のないものであってもよい。従って、当該表面処理アルミニウム材の製造方法において、市販の1液型の接着剤を用いることにより、重合型接着剤調製工程を省略することができる。
当該表面処理アルミニウム材において、接着剤層及び樹脂フィルムは、基材の両方又は一方の面の一部のみに積層されていてもよく、両面の全面に積層されていてもよい。
当該表面処理アルミニウム材において、基材は、板状又はシート状以外の、立体形状、例えば切削加工、プレス加工等がなされた三次元形状を有するものであってもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<試作例1>
基材として、神戸製鋼所社の厚さ1mmの6000系アルミニウム合金板「6K21」を縦300mm、横200mmに切断したものを用意した。この基材を脱脂した後、日本ペイント社の「アルサーフ401KB−2」(主剤)及び「アルサーフ45KB」(副剤)を用いてリン酸クロメート処理(CrP処理)することにより下地処理膜(Cr:15mg/m)を形成した(下地処理膜形成工程)。
そして、主剤としての東洋モートン社のポリエステル系樹脂(PE)「AD−502」15重量部と、硬化剤としての東洋モートン社のポリイソシアネート(PI)「CAT−RT85」1.05重量部と、溶剤としての酢酸エチル16.9重量部とを混合してポリエステルを主成分とする重合型接着剤を調製した(重合型接着剤調製工程)。
この重合型接着剤をバーコート法により、リン酸クロメート処理した上記アルミニウム材の表面に塗工した。塗工後、80℃、180秒で溶剤を乾燥させ、坪量が2〜4g/mの樹脂膜を形成してから、樹脂フィルムとして東洋紡社のポリプロピレンフィルム「P1128」(ヤング率:570MPa)を積層し、60℃で5日間養生することにより、表面処理アルミニウム材の試作例1を得た(樹脂フィルム積層工程)。
日本製鋼所社の型締め力が55トンの射出成形機「JSW J55EL II」を用いて、可動側金型に25mm幅×100mm長×1mm厚の表面処理アルミニウム材31が設置できる型形状、及び固定側金型板に23mm幅×100mm長×3mm厚の射出樹脂(樹脂成形部)32が貼型できる型形状を作製し、表面処理アルミニウム材の試作例1を用いて、図3に示す複合成形体の評価試験片30を作成した。
具体的には、表面処理アルミニウム材を25mm幅×100mm長に切断し、これを可動側金型に設置し、可動型金型と固定側金型とを締め合わせた。次いで、ポリオレフィン樹脂を主成分とする樹脂組成物として、ダイセルポリマー株式会社の長繊維強化樹脂「プラストロン PP−GF40」を日本ポリプロ社のポリプロピレン「ノバテックBC06C」でガラス繊維含有量が20質量%となるよう希釈したもの金型内に射出して複合成形体の試験片を作成した。なお、射出条件としては、成形機側の樹脂溶融温度220℃、金型温度70℃、射出樹脂圧150MPa、射出保圧45MPa、保圧時間10秒、冷却時間18秒とした。
<試作例2>
樹脂フィルム積層工程において、樹脂フィルムとして東洋紡社のポリプロピレンフィルム「P1146」(ヤング率:450MPa)を用いたことを除いて、試作例1と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例2を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例3>
重合型接着剤調製工程において、主剤としての東洋モートン社のポリエステル「TM−K55」10重量部と、硬化剤としての東洋モートン社のポリイソシアネート「CAT−RT85」0.8重量部と、溶剤として酢酸エチル3.44重量部とを混合して重合型接着剤を調製したことを除いて、試作例1と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例3を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例4>
重合型接着剤調製工程において、主剤としての東洋モートン社のポリエステル「TM−K51」15重量部と、硬化剤としての東洋モートン社のポリイソシアネート「CAT−RT85」2.25重量部と、溶剤としての酢酸エチル25.1重量部とを混合して重合型接着剤を調製したことを除いて、試作例1と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例4を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例5>
樹脂フィルム積層工程において、樹脂フィルムとして東レフィルム加工社の「トレファン3501」(ヤング率:640MPa)を用いたことを除いて、試作例4と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例5を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例6>
樹脂フィルム積層工程において、樹脂フィルムとして東レフィルム加工社の「トレファン3301」(ヤング率:770MPa)を用いたことを除いて、試作例4と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例6を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例7>
樹脂フィルム積層工程において、樹脂フィルムとして東洋紡社の「パイレンフィルムCT−P1153」(ヤング率:390MPa)を用いたことを除いて、試作例4と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例7を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例8>
重合型接着剤調製工程において、主剤としての東洋モートン社のアクリル樹脂(MA)「L−292」50重量部と、硬化剤としての東洋モートン社のポリイソシアネート「CR−3A」1重量部とを混合して重合型接着剤を調製したことを除いて、試作例1と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例8を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例9>
重合型接着剤調製工程において、主剤としての東洋モートン社のポリウレタン(PU)「AD−527」15重量部と、硬化剤としての東洋モートン社の多価アルコール(PA)「CAT−HY92」0.75重量部と、溶剤としての酢酸エチル23.4重量部とを混合して重合型接着剤を調製したことを除いて、試作例1と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例9を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例10>
下地処理膜形成工程において、基材に対して、脱脂後に、硫酸及びフッ酸を含むpH1の溶液で温度50℃、処理時間40秒酸洗し、乾燥してからチタンジルコニウム処理(TiZr処理)することにより下地処理膜(Zr:15mg/m)を形成し、樹脂フィルム積層工程において、樹脂フィルムとして東レフィルム加工社の「トレファン3501」(ヤング率:640MPa)を用いたことを除いて、試作例3と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例10を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例11>
下地処理膜形成工程において、基材に対して、脱脂後に、硫酸及びフッ酸を含むpH1の溶液で温度50℃、処理時間40秒酸洗し、乾燥してから、カップリング剤として濃度0.1%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液を用い、このカップリング剤に基材を浸漬して100℃で60秒間乾燥するカップリング処理(GOPTS処理)を行ったことを除いて、試作例10と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例11を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例12>
下地処理膜形成工程において、カップリング剤として濃度0.1%の3−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液を用い、このカップリング剤に基材を浸漬して100℃で60秒間乾燥するカップリング処理(APTS処理)を行ったことを除いて、試作例11と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例12を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例13>
重合型接着剤調製工程において、主剤としての東洋モートン社のポリオレフィン(PO)「LIS−9546」10重量部と、硬化剤としての東洋モートン社のエポキシ樹脂(EP)「LCR−906」0.8重量部と、溶剤としてのトルエン2.8重量部とを混合して重合型接着剤を調製したことを除いて、試作例1と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例13を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例14>
下地処理膜形成工程において、カップリング剤として濃度0.1%の3−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液を用いたことを除いて、試作例13と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例14を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<試作例15>
試作例1と同様にリン酸クロメート処理により下地処理膜を形成しただけの基材を表面処理アルミニウム材の試作例15とし、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片の作成を試みたが、表面処理アルミニウム材と樹脂成形部とを一体化することができなかった。つまり、試作例1の重合型接着剤調製工程及び樹脂フィルム積層工程を省略した表面処理アルミニウム材の試作例1には、インサート成形で樹脂組成物を射出接合することができなかった。
<試作例16>
樹脂フィルム積層工程において樹脂フィルムを積層しなかったこと、つまり重合型接着剤を塗工して硬化させて接着剤層のみを形成したことを除いて、試作例1と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例16を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片の作成を試みたが、表面処理アルミニウム材と樹脂成形部とを一体化することができなかった。
<試作例17>
樹脂フィルム積層工程において重合型接着剤を塗工しなかったこと、つまり接着剤層を形成せずに基材の下地処理膜に直接樹脂フィルムを積層したことを除いて、試作例6と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例17を試作しようとしたが、基材に樹脂フィルムを接合することができず、表面処理アルミニウム材を得ることができなかった。このため、複合成形体の評価試験片の作成も行うことができなかった。
<試作例18>
下地処理膜形成工程を省略したことを除いて、試作例6と同様にして表面処理アルミニウム材の試作例18を試作し、この表面処理アルミニウム材を用いた複合成形体の評価試験片を作成した。
<評価方法>
得られた複合成形体の評価試験片1〜14,18について、常温下で引張試験を行った。引張試験は、引張試験機を用い、評価試験片を長手方向に破断するまで引っ張ることによって行った。破断時の荷重と接合面積とから引張剪断強度を算出した。引張試験機は、インストロンジャパンリミテッド社の万能試験機「3369型」を用いた。なお、引張速度を100mm/分とし、各試験について試験数n=5で実施し、最小値と最大値とを省いた3つの平均値を引張剪断強度とした。試作例15〜17については、射出接合ができなかったため、この試験を行っていない。なお、引張剪断強度については、20MPa以上をA、15MPa以上20MPa未満をB、10MPa以上15MPa未満をC、5MPa以上10MPa未満をD、5MPa未満をE(該当なし)とした。
また、試作例10〜14について、常温下での初期の引張剪断強度の測定に加えて、70℃の蒸留水中に200時間浸漬後に同様の引張試験を実施して引張剪断強度を測定した。初期の引張剪断強度に対する浸漬後の引張剪断強度の比率(強度維持率)が90%以上をA、80%以上90%未満をB、70%以上80%未満をC、60%以上70%未満をD、60%未満をE(該当なし)とした。
また、常温下での引張試験においては、評価試験片の破断状況の観察を行った。射出樹脂部分で破断、すなわちアルミニウム材に射出樹脂の残りがある場合を材料破壊、樹脂フィルム又は接着剤層部分で破壊している場合を凝集破壊、アルミニウム材と樹脂部分との界面で剥離、すなわちアルミニウム材に樹脂膜残りがない場合を界面破壊として評価した。具体的には、破断面を観察して各破態様部分の面積の全接着面積に対する割合を算出し、材料破壊面積が60%以上であるものをA、材料破壊面積が30%以上60%未満であるものをB、材料破壊面積が30%未満で凝集破壊面積が70%以上であるものをC、材料破壊面積が30%未満で凝集破壊面積が70%未満であるものをDとした。
以上の各評価の結果を表1に示す。なお、表1中の「−」は、該当する処理を行っていないこと、材料を使用していないこと、又は評価していないことを意味する。
Figure 2019217716
上記表1に示されるように、重合型接着剤により基材に樹脂フィルムを接着した表面処理アルミニウム材は、インサート成形によってポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物と射出接合することが可能となった。また、重合型接着剤の主成分がポリエステルである場合は初期の引張剪断強度が大きく、重合型接着剤の主成分がポリオレフィンである場合は浸漬による引張剪断強度の低下が小さいことが確認された。
本発明の表面処理アルミニウム材及び複合成形体並びにこれらの製造方法は、自動車や電子機器等の機器の部品及びその製造などに好適に用いることができる。
1 表面処理アルミニウム材
2 樹脂成形部
11 基材
12 下地処理膜
13 接着剤層
14 樹脂フィルム
30 複合成形体の試験片
31 表面処理アルミニウム材
32 樹脂成形部

Claims (10)

  1. インサート成形によりポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物と複合化される表面処理アルミニウム材の製造方法であって、
    アルミニウムを主成分とする基材に直接又は下地処理膜を介して重合型接着剤によりポリオレフィンを主成分とする樹脂フィルムを接着する工程を備えることを特徴とする表面処理アルミニウム材の製造方法。
  2. モノマー又はプレポリマーを含有する主剤と上記モノマー又はプレポリマーを重合する硬化剤とを混合することにより、上記重合型接着剤を調製する工程をさらに備える請求項1に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法によって得られる表面処理アルミニウム材を配置した金型内にポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物を射出成形する工程を備える複合成形体の製造方法。
  4. 上記射出成形工程の前に、
    上記表面処理アルミニウム材をプレス加工する工程
    をさらに備える請求項3に記載の複合成形体の製造方法。
  5. インサート成形によりポリオレフィンを主成分とする樹脂組成物と複合化される表面処理アルミニウム材であって、
    アルミニウムを主成分とする基材と、
    上記基材に直接又は下地処理膜を介して積層される接着剤層と、
    上記接着剤層に積層され、ポリオレフィンを主成分とする樹脂フィルムと
    を備えることを特徴とする表面処理アルミニウム材。
  6. 上記接着剤層の主成分がポリエステルである請求項5に記載の表面処理アルミニウム材。
  7. 上記接着剤層の主成分がポリオレフィンである請求項5に記載の表面処理アルミニウム材。
  8. 上記樹脂フィルムのヤング率が500MPa以上である請求項5、請求項6又は請求項7に記載の表面処理アルミニウム材。
  9. 上記下地処理膜を備え、
    上記下地処理膜がシリコンを含有する請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の表面処理アルミニウム材。
  10. 請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の表面処理アルミニウム材と、
    上記表面処理アルミニウム材の少なくとも上記樹脂フィルムに密着し、ポリオレフィンを主成分とする樹脂成形部と
    を備える複合成形体。
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