JP2004337976A - マグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法 - Google Patents

マグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ダイオキシン類を発生させることなく、エネルギーコストを低減させて結晶組織の微細化を促進させることのできるマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法を提供する。
【解決手段】 アルミニウム(Al)およびマンガン(Mn)を含有するマグネシウム合金溶湯11中に、アルミニウム合金またはマグネシウム合金で構成した金属カプセル4に黒鉛(C)粉末および二酸化マンガン(MnO2)を収容して添加することにより、鋳造組織の結晶粒を微細化する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、ダイオキシンを発生させることなく結晶組織を微細にして機械的性質を改善することのできるマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法に関するものである。
アルミニウム(Al)を含有するマグネシウム合金、例えば、AZ系の結晶粒微細化方法として、微細化剤を添加しない方法と、微細化剤を添加する方法とがある。
前者の方法として、合金溶湯(合金融液)全体を850℃〜900℃程度(1123K〜1173K)まで過熱し、5分〜15分(0.3ks〜0.9ks)程度保持した後、150℃/min以上で鋳造温度まで急冷する過熱処理法がある。
この過熱処理法における微細化機構は、Al−Mn−(Fe)化合物による異質核生成であると言われている。
しかし、この過熱処理法は、処理温度が高くなるため、エネルギーコストがかかり、合金溶湯の酸化防止、るつぼの保守点検作業にも費用が嵩み、経済性や安全性確保にも問題があった。
後者の方法として、合金溶湯に炭素(C)を含む化合物を750℃(1023K)前後で添加する炭素添加法がある。
この炭素添加法における微細化機構は、化合物中の炭素と合金溶湯中のアルミニウムとが反応したアルミニウム炭化物(Al43)による異質核生成であると言われている。
しかし、工業的には微細化剤としてヘキサクロロエタン(C2Cl6)を添加していたが、ダイオキシン〔2,3,7,8−テトラクロロジベンゾp−ダイオキシン:Cl2(C62)O2(C62)Cl2〕類が発生するため、現在はヘキサクロロエタンの使用が禁止されている。
また、後者の方法として、アルゴンガス(Ar)とともに黒鉛(C)粉末を合金溶湯中へ直接吹き込む、吹き込み炭素添加法がある(例えば、特許文献1参照。)。
この吹き込み炭素添加法は、ダイオキシン類を発生させることなく結晶組織を微細化することができる。
特開2003-41331号公報
しかしながら、吹き込み炭素添加法における炭素は、合金溶湯の温度が高ければ高い程、結晶組織の微細化を促進させることができる。
したがって、吹き込み炭素添加法は、ダイオキシン類を発生させないものの、結晶組織の微細化を促進させるために処理温度が高くなり、エネルギーコストがかかると言う問題があった。
この発明は、以下のような内容である。
(1)アルミニウム(Al)およびマンガン(Mn)を含有するマグネシウム合金溶湯中に、黒鉛(C)粉末および二酸化マンガン(MnO2)を添加することにより、鋳造組織の結晶粒を微細化することを特徴とするマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法である。
(2)(1)に記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、前記黒鉛(C)粉末および前記二酸化マンガン(MnO2)を金属カプセルに収容することを特徴とする。
(3)(2)に記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、前記金属カプセルを純アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成したことを特徴とする。
(4)(2)に記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、前記金属カプセルを純マグネシウムまたはマグネシウム合金で構成したことを特徴とする。
(5)(1)から(4)のいずれか1つに記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、前記二酸化マンガン(MnO2)が前記マグネシウム合金溶湯質量に対して0.10質量%〜0.22質量%であることを特徴とする。
(6)(1)から(4)のいずれか1つに記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、前記二酸化マンガン(MnO2)が前記マグネシウム合金溶湯質量に対して0.20質量%〜0.22質量%であることを特徴とする。
この発明によれば、マグネシウム合金溶湯中に、黒鉛粉末および二酸化マンガンを添加したので、二酸化マンガンによる酸化還元反応で合金溶湯の温度を上昇させることができる。
したがって、ヘキサクロロエタンを添加しないので、ダイオキシン類を発生させることなく、また、二酸化マンガンの添加によって昇温できるので、エネルギーコストを低減させて結晶組織の微細化を促進させ、マグネシウム合金鋳造品の機械的性質を改善することができる。
そして、黒鉛粉末および二酸化マンガンを金属カプセルに収容したので、黒鉛粉末および二酸化マンガンの飛散を防止して少ない量で効率よく微細化できる。
さらに、金属カプセルをアルミニウム合金またはマグネシウム合金で構成したので、合金の組成成分に影響を与えることなく微細化することができる。
そして、二酸化マンガンを、マグネシウム合金溶湯質量に対して0.10質量%〜0.22質量%添加したので、平均結晶粒径を約170μm以下に微細化することができ、また、二酸化マンガンを、マグネシウム合金溶湯質量に対して0.20質量%〜0.22質量%添加したので、ヘキサクロロエタンの添加と同程度に微細化することができる。
この発明で用いるアルミニウムおよびマンガンを含有するマグネシウム合金は、特にその組成について限定するものではないが、以下の説明において、その組成中にアルミニウムを含有し、不純物としてマンガンを含む、例えば、砂型鋳物にも用いられるAZ91E合金を用いる。
また、この発明で用いる黒鉛粉末は、後述する実施例で5μmのグラファイトとしたが、特にこれに限定されるものではなく、粒径が小さい程よく、例えば、nm(ナノメータ)オーダーにするとよい。
また、この発明で用いる二酸化マンガンは、後述する実施例で100μmの粉末としたが、塊状(タブレット、ペレットなど)に成形したものでもよい。
この二酸化マンガンのマグネシウム合金溶湯量(質量)に対する添加量(質量%)を、0.10質量%〜0.22質量%にするのが好ましく、さらに、0.20質量%〜0.22質量%にするのが好ましい。
ここで、二酸化マンガンの添加量が0.10質量%未満では、十分な結晶粒の微細化効果が認められない。
また、二酸化マンガンの添加量が0.22質量%を超えても、それ以上の結晶粒微細化効果は認められない。
なお、未処理の粒径レベルは約300μm程度であり、この粒径未満になれば、微細化効果が認められることになるが、合金の結晶組織は微細な程望ましいので、より高い微細化効果を得るための条件設定としてヘキサクロロエタン添加法と同等の粒径を目標とした。
また、この発明では黒鉛粉末および二酸化マンガンを金属カプセルに収容して添加する。
このように、黒鉛粉末および二酸化マンガンを金属カプセルに収容することにより、黒鉛粉末および二酸化マンガンの飛散を防止して少ない量で効率よく微細化できる。
そして、金属カプセルを、純アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成したり、または、純マグネシウムまたはマグネシウム合金で構成することにより、合金の組成成分に影響を与えることなく微細化することができる。
図1はこの発明の一実施例で使用した実験装置を示す模式図である。
図1において、1はるつぼを示し、ニッケル(Ni)を含有しない鉄(Fe)−クロム(Cr)系のSUS430ステンレス鋼(Fe−18%Cr)を用い、この板を円筒形に曲げてガス溶接で作製した。
さらに、耐高温酸化性を向上させるため、純アルミニウム浴で浸漬メッキを施した後、加熱拡散によってるつぼ1表面にマグネシウムと濡れの少ないFeAl3層を形成した。
また、るつぼ1を含む全ての鋳造器具には特級試薬の酸化マグネシウムを塗り、合金溶解の際の不純物の混入を防いだ。
2は電気炉、3はホスフォライザーを示し、この電気炉2の蓋の孔を貫通させてるつぼ1中の合金溶湯11中へ浸すホスフォライザー3内には、黒鉛(C)粉末、または、二酸化マンガン(MnO2)、または、黒鉛粉末および二酸化マンガンを収容した金属カプセル4を収容して添加する。
なお、ホスフォライザー3は、るつぼ1と同様に作製した。
また、金属カプセル4は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金、または、純マグネシウムまたはマグネシウム合金で構成されている。
そして、黒鉛粉末は、高純度化学研究所(株)製のグラファイト、Pure Carbon(商品名)(純度99.9%、粒度約5μm)を使用した。
また、二酸化マンガンは、ナカライテスク(株)製の試薬(純度99.9%、粒度約100μm)を使用した。
5,6は熱電対を示し、熱電対5は電気炉2内の温度を計測するために電気炉2内に取り付けられ、熱電対6は合金溶湯11の温度を計測するためにホスフォライザー3に、金属カプセル4に隣接させて取り付けられている。
7は温度制御装置を示し、熱電対5の出力に基づいて電気炉2内の温度、すなわち、合金溶湯11の温度を所望の温度に制御するものである。
8はペンレコーダを示し、熱電対6の出力に基づいて合金溶湯11の温度を記録するものである。
〔試験方法〕
試験には〔表1〕に示す組成の市販のAZ91Eマグネシウム合金を用い、図2に示す手順で行った。
そして、各試験での黒鉛粉末および/または二酸化マンガンの添加量は〔表2〕に示す質量%で行った。
最初に、二酸化マンガンの添加によって温度上昇が起こるかを調査した。
まず、表面の不純物を除去するために硝酸で酸洗いした700gのAZ91Eマグネシウム合金を電気炉2で溶解し、合金溶湯11の温度を800℃に昇温させる。
そして、ホスフォライザー3内に、合金溶湯11の質量に対する0.20質量%の二酸化マンガンを収容した金属カプセル4を収容し、熱電対6毎合金溶湯11へ挿入して温度測定を行いながら二酸化マンガンを添加した。
次に、合金溶湯11を電気炉2外で700℃まで放冷した後、常温金型で鋳造した。
なお、二酸化マンガンなどの添加による凝固組織への影響を調べるため、二酸化マンガンの添加を行わない未処理の試料も作製した。
二酸化マンガンの添加量は、〔表3〕に示すASTM規格のAZ91Eマグネシウム合金におけるマンガン含有量が0.17質量%〜0.35質量%の範囲であることを参考にし、市販のAZ91Eマグネシウム合金におけるマンガン含有量と、二酸化マンガンの添加によって合金溶湯11中で還元されて分離するマンガン量との総和がASTM規格のAZ91Eマグネシウム合金におけるマンガン含有量の範囲を越えない最大添加量となるようにした。
これは、マンガン含有量をASTM規格内に収め、合金の組成成分に影響を与えなくするためである。
上記のように二酸化マンガンを添加することにより、酸化還元反応が起こり、図3に示すように、ホスフォライザー3内の温度および合金溶湯11全体の温度が変化した。
図3から分かるように、ホスフォライザー3内では、瞬間的ではあるが、約1370℃(1643K)付近までの温度上昇が確認できた。
しかし、合金溶湯11全体の温度は、ほとんど変化が見られなかった。
したがって、二酸化マンガンの添加による酸化還元反応は、ホスフォライザー3内あるいはその周囲の狭い領域の温度を上昇させる反応であることが分かった。
上記した合金溶湯11に何も添加しなかった未処理材の光学顕微鏡による凝固組織と、合金溶湯11の質量に対して0.20質量%の二酸化マンガンを添加した二酸化マンガン添加処理材の光学顕微鏡による凝固組織とを図4に示す。
図4から分かるように、二酸化マンガンには結晶粒の微細化効果がないと言える。
次に、黒鉛粉末単体の添加による結晶組織の微細化効果を調査した。
まず、図2に示す手順で、表面の不純物を除去するために硝酸で酸洗いした700gのAZ91Eマグネシウム合金を電気炉2で溶解し、合金溶湯11の温度を800℃に昇温させる。
そして、ホスフォライザー3内に、合金溶湯11の質量に対して〔表2〕に示すように、0.005質量%、0.01質量%、0.02質量%、0.04質量%、0.06質量%、0.08質量%と少量の添加量から徐々に増加させた黒鉛粉末を金属カプセル4に収容して添加した。
なお、黒鉛粉末を添加して処理したものを、黒鉛添加処理材と言う。
そして、黒鉛添加による凝固組織の微細化程度の比較、検討を行うため、ヘキサクロロエタン(C2Cl6)を添加(添加条件:添加温度750℃、添加量:合金溶湯11の質量に対して1質量%)した試料(ヘキサクロロエタン添加処理材)も作製した。
また、マグネシウム合金で作製した金属カプセル4の凝固組織への影響を調べるため、金属カプセル4のみを添加した試料(カプセル添加処理材)も作製した。
この金属カプセル4は、外径が19mmで、内径が15mmで、高さが20mmで、肉厚が2mmの有底容器を、肉厚2mmの蓋で封止したものである。
上記したヘキサクロロエタン添加処理材の光学顕微鏡による凝固組織と、未処理材の光学顕微鏡による凝固組織と、カプセル添加処理材の光学顕微鏡による凝固組織とを図5に示し、上記したように黒鉛粉末を順次増加させた黒鉛添加処理材の光学顕微鏡による凝固組織を図6に示すとともに、黒鉛粉末の添加量と平均結晶粒径との関係(特性)を図7に示す。
なお、組織観察のため、急冷によって生じた共晶を固溶させるために673K、14.4ksで溶体化処理を行って得られた試料を、光学顕微鏡を用い、切片法で平均結晶粒径の測定を行った。
以後の平均結晶粒径も、同様にして測定した。
図5から分かるように、未処理材とカプセル添加処理材とは同様の凝固組織になっているので、金属カプセル4には結晶粒の微細化効果がないと言える。
しかし、ヘキサクロロエタンには、図5から分かるように、結晶粒の微細化効果がある。
そして、図6および図7から分かるように、黒鉛粉末の添加量が0.005質量%、0.01質量%、0.02質量%においては、未処理材と同様の平均結晶粒径である300μmであり、結晶粒の微細化効果がないと言える。
しかし、黒鉛粉末の添加量が0.04質量%では、平均結晶粒径が180μmとなり、若干の結晶粒の微細化効果が得られ、さらに、黒鉛粉末の添加量が0.06質量%、0.08質量%になると、平均結晶粒径が約70μmとほぼ一定になり、ヘキサクロロエタンの添加と同程度の結晶粒の微細化効果が得られた。
したがって、結晶粒の微細化に要する最小の黒鉛粉末の添加量は0.04質量%であり、ヘキサクロロエタン添加処理材と同程度の結晶粒の微細化効果を得るためには0.06質量%以上の添加量が必要である。
次に、黒鉛粉末および二酸化マンガンの添加による結晶組織の微細化効果を調査した。
まず、図2に示す手順で、表面の不純物を除去するために硝酸で酸洗いした700gのAZ91Eマグネシウム合金を電気炉2で溶解し、合金溶湯11の温度を800℃に昇温させる。
そして、ホスフォライザー3内に、合金溶湯11の質量に対して〔表2〕に示すように、二酸化マンガンの添加量を0.20質量%と一定にし、0.04質量%、0.02質量%、0.01質量%、0.005質量%、0.003質量%、0.001質量%と多量の添加量から徐々に減少させた黒鉛粉末を金属カプセル4を収容して添加した。
なお、黒鉛粉末および二酸化マンガンの複合添加材を添加して処理したものを、複合添加処理材と言う。
上記した各複合添加処理材の光学顕微鏡による凝固組織を図8に示すとともに、上記した各複合添加材と平均結晶粒径との関係(特性)を図9に示す。
図8および図9から分かるように、黒鉛粉末の添加量が0.04質量%、0.02質量%では、平均結晶粒径が約70μmとほぼ一定になり、ヘキサクロロエタンの添加と同程度の結晶粒の微細化効果が得られた。
しかし、黒鉛粉末の添加量が0.01質量%以下になると、黒鉛粉末の添加量の減少とともに結晶粒の粗大化傾向が見られた。
したがって、図6〜図9から考察すると、同量の黒鉛粉末の添加の場合、複合添加処理材では黒鉛添加処理材よりも結晶粒の微細化効果が高く、また、複合添加処理材では黒鉛粉末を0.02質量%以上添加すると、ヘキサクロロエタンの添加と同程度の結晶粒の微細化効果が得られる。
この理由は、二酸化マンガンおよび黒鉛粉末を添加することにより、酸化還元反応が黒鉛に隣接した局所的な場所で起き、この発熱による温度上昇が核生成物質であるAl43の生成を促したものと考えられる。
なお、複合添加処理材における、最適な黒鉛の添加量は0.02質量%であるが、結晶粒微細化効果を得るための黒鉛の添加量は、0.01質量%以上0.1質量%以下とするのが望ましい。
次に、二酸化マンガンの添加量の変化による結晶組織の微細化効果を調査した。
まず、図2に示す手順で、表面の不純物を除去するために硝酸で酸洗いした700gのAZ91Eマグネシウム合金を電気炉2で溶解し、合金溶湯11の温度を800℃に昇温させる。
そして、ホスフォライザー3内に、合金溶湯11の質量に対して〔表2〕に示すように、黒鉛粉末の添加量を0.02質量%と一定にし、0.30質量%、0.20質量%、0.10質量%、0質量%と多量の添加量から徐々に減少させた二酸化マンガンを金属カプセル4に収容して添加した。
上記した各複合添加処理材の光学顕微鏡による凝固組織を図10に示すとともに、上記した各複合添加材と平均結晶粒径との関係(特性)を図11に示す。
図10および図11から分かるように、二酸化マンガンの添加量が0.30質量%、0.20質量%では、平均結晶粒径が約70μmとほぼ一定になり、ヘキサクロロエタンの添加と同程度の結晶粒の微細化効果が得られた。
しかし、二酸化マンガンの添加量が0.10質量%未満になると、二酸化マンガンの添加量の減少とともに結晶粒の粗大化傾向が見られた。
したがって、同量の黒鉛粉末の添加の場合、複合添加処理材では、図11から考察すると、二酸化マンガンを0.10質量%以上添加すると、平均結晶粒径が約170μm以下の結晶粒の微細化効果が得られ、二酸化マンガンを0.20質量%以上添加すると、ヘキサクロロエタンの添加と同程度の結晶粒の微細化効果が得られる。
なお、複合添加処理材における、最適な二酸化マンガンの添加量は0.2質量%であるが、結晶粒微細化効果を得るための二酸化マンガンの添加量は、0.10質量%以上0.4質量%以下とするのが望ましい。
次に、黒鉛粉末の粒径による結晶組織の微細化効果を調査した。
まず、図2に示す手順で、表面の不純物を除去するために硝酸で酸洗いした700gのAZ91Eマグネシウム合金を電気炉2で溶解し、合金溶湯11の温度を800℃に昇温させる。
そして、ホスフォライザー3内に、合金溶湯11の質量に対して0.02質量%のnmオーダー、例えば、直径が100nmで長さが5μmのカーボンナノチューブと、合金溶湯11の質量に対して0.20質量%の二酸化マンガンとを金属カプセル4に収容して添加した。
上記した複合添加処理材の光学顕微鏡による凝固組織を図12に示す。
図12から分かるように、平均結晶粒径が約75μmとほぼ一定になり、ヘキサクロロエタンの添加と同程度の結晶粒の微細化効果が得られた。
したがって、黒鉛の粒径をnmオーダーにしても、ヘキサクロロエタンの添加と同程度の結晶粒の微細化効果が得られる。
次に、各処理材のF材(鋳造したままの試料)およびT4材(溶体化処理、例えば、400℃で16h熱処理した試料)の引張強さおよび0.2%耐力(MPa)、伸び(%)を調査した。
まず、図13は、未処理材、二酸化マンガン添加処理材、ヘキサクロロエタン添加処理材および複合添加処理材のF材における引張強さおよび0.2%耐力(MPa)、伸び(%)を示す特性図である。
そして、図14は、未処理材、二酸化マンガン添加処理材、ヘキサクロロエタン添加処理材および複合添加処理材のT4材における引張強さおよび0.2%耐力(MPa)、伸び(%)を示す特性図である。
図13および図14から分かるように、複合添加処理材のF材およびT4材は、引張強さ、0.2%耐力および伸びにおいて、ヘキサクロロエタン添加処理材のF材およびT4材と同等である。
上記した実施例では、マグネシウム合金としてAZ91Eマグネシウム合金を用いた例を示したが、アルミニウム(Al)およびマンガン(Mn)を含有するマグネシウム合金であれば、例えば、〔表4〕に示す各鋳物であってもよい。
また、直径が100nmで長さが5μmのカーボンナノチューブとした例を示したが、カーボンナノチューブは直径が50nm〜200nmで長さが1μm〜20μmであっても、同様な効果を得ることができる。
この発明の一実施例で使用した実験装置を示す模式図である。 手順を示す工程図である。 二酸化マンガン添加によるホスフォライザー内および溶湯温度の変化を示す図である。 未処理材の凝固組織と、合金溶湯の質量に対して0.20質量%の二酸化マンガンを添加した二酸化マンガン添加処理材の凝固組織とを示す光学顕微鏡写真の複写である。 ヘキサクロロエタン添加処理材の光学顕微鏡による凝固組織と、未処理材の凝固組織と、カプセル添加処理材の凝固組織とを示す光学顕微鏡写真の複写である。 黒鉛粉末を順次増加させた黒鉛添加処理材の凝固組織を示す光学顕微鏡写真の複写である。 黒鉛粉末の添加量と平均結晶粒径との関係(特性)図である。 各複合添加処理材の凝固組織を示す光学顕微鏡写真の複写である。 各複合添加材と平均結晶粒径との関係(特性)図である。 各複合添加処理材の凝固組織を示す光学顕微鏡写真の複写である。 各複合添加材と平均結晶粒径との関係(特性)図である。 黒鉛粉末をnmオーダーとした複合添加処理材の凝固組織を示す光学顕微鏡の複写である。 未処理材、二酸化マンガン添加処理材、ヘキサクロロエタン添加処理材および複合添加処理材のF材における引張強さおよび0.2%耐力(MPa)、伸び(%)を示す特性図である。 未処理材、二酸化マンガン添加処理材、ヘキサクロロエタン添加処理材および複合添加処理材のT4材における引張強さおよび0.2%耐力(MPa)、伸び(%)を示す特性図である。
符号の説明
1 るつぼ
2 電気炉
3 ホスフォライザー
4 金属カプセル
5,6 熱電対
7 温度制御装置
8 ペンレコーダ
11 合金溶湯

Claims (6)

  1. アルミニウム(Al)およびマンガン(Mn)を含有するマグネシウム合金溶湯中に、黒鉛(C)粉末および二酸化マンガン(MnO2)を添加することにより、鋳造組織の結晶粒を微細化する、
    ことを特徴とするマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法。
  2. 請求項1に記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、
    前記黒鉛(C)粉末および前記二酸化マンガン(MnO2)を金属カプセルに収容する、
    ことを特徴とするマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法。
  3. 請求項2に記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、
    前記金属カプセルを純アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成した、
    ことを特徴とするマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法。
  4. 請求項2に記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、
    前記金属カプセルを純マグネシウムまたはマグネシウム合金で構成した、
    ことを特徴とするマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、
    前記二酸化マンガン(MnO2)が前記マグネシウム合金溶湯質量に対して0.10質量%〜0.22質量%である、
    ことを特徴とするマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法において、
    前記二酸化マンガン(MnO2)が前記マグネシウム合金溶湯質量に対して0.20質量%〜0.22質量%である、
    ことを特徴とするマグネシウム合金鋳造品の結晶粒微細化方法。
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JP2012126982A (ja) * 2010-12-17 2012-07-05 Toyota Central R&D Labs Inc 耐熱マグネシウム合金の製造方法、耐熱マグネシウム合金鋳物およびその製造方法
JP2014124668A (ja) * 2012-12-26 2014-07-07 Sumitomo Electric Ind Ltd マグネシウム合金の鋳造材の製造方法、マグネシウム合金の鋳造材、マグネシウム合金の展伸材、およびマグネシウム合金の成形品
WO2014178495A1 (ko) * 2013-05-03 2014-11-06 한국기계연구원 결정립 미세화제를 이용한 마그네슘 합금의 제조방법 및 이에 따라 제조되는 마그네슘 합금

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