JP2004337176A - 中枢神経系への遺伝子導入のための方法 - Google Patents

中枢神経系への遺伝子導入のための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 哺乳動物の脳にプロデューサー細胞を移植するための方法を提供すること。
【解決手段】 プロデューサー細胞は、化学療法剤または放射性治療薬剤への感受性を腫瘍細胞に与える殺腫瘍因子または感受性因子をコードするレトロウイルスベースの組換えベクターで操作される。哺乳動物の脳への移植の前に、まず、プロデューサー細胞は、移植された細胞の長期生存性を増加させるためにおよび長期の機能的有益性を提供するために、支持マトリクス上でインビトロで培養される。
【選択図】 なし

Description

(1.序説)
本発明は、哺乳動物の脳にプロデューサー細胞を移植するための方法に関する。プロデューサー細胞は、化学療法剤または放射性治療薬剤への感受性を腫瘍細胞に与える殺腫瘍因子または感受性因子をコードするレトロウイルスベースの組換えベクターで操作される。哺乳動物の脳への移植の前に、まず、プロデューサー細胞は、移植された細胞の長期生存性を増加させるためにおよび長期の機能的有益性を提供するために、支持マトリクス上でインビトロで培養される。
(2.本発明の背景)
脳腫瘍は、35歳よりも若いヒトにおけるガン死の主要な原因である。中枢神経系腫瘍の発生率は、ホジキン病の2倍以上、黒色腫の半分以上であり、そして婦人では、中枢神経系の腫瘍によって引き起こされる死亡率の頻度は、卵巣ガンによって引き起こされる頻度とほぼ等しい。子供では、脳腫瘍は、最も普通の充実性腫瘍であり、そして小児ガンの全体の原因として白血病に次いで2番目である。(Dale,D.C.およびFederman,D.D.,1995,Scientific American Medicine,Scientific American,Inc.,New York,第7章)。ほとんどの脳腫瘍は手術不可能である。そして手術可能な脳腫瘍についてでさえも、外科手術は非常に困難であり、そしてしばしば神経学的障害を生じる。
レトロウイルスベクター媒介遺伝子治療のインビボ適用は、脳腫瘍の処置に適用されている(Oldfieldら,1993,Hum.Gene Ther.; 4:39−69;Culverら,1992 Science 256:1550−2)。おそらく、遺伝子治療の最も広く研究された適用は、比較的非傷害性のプロドラッグを活性化して高傷害性の薬剤を形成するタンパク質を発現するように遺伝子操作されたレトロウイルスを利用する。例えば、感受性因子を発現するレトロウイルスプロデューサー細胞は、腫瘍細胞を殺すために患者の脳組織に移植されている(Barba,D.ら,WO 93/04167)。この系のある特定の適用は、ガンシクロビルおよびアシクロビルのような抗ウイルス剤への感受性を与える単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子を利用する(Barbaら,WO 93/04167;Moolten,F.L.ら,1986,Cancer Research 46:5276−5281)。HSV−TK遺伝子産物は、哺乳動物細胞のTKに対して不十分な基質である多くのヌクレオシドアナログのリン酸化を触媒する。例えば、抗ヘルペス剤のアシクロビルは、HSV−TK活性のない細胞に対して最小の傷害性を示すが、HSV−TKを発現する細胞においてDNA合成を阻害し得る傷害性形態へ活性化され、そしてHSV−TK遺伝子を発現する細胞への選択的細胞傷害性を示すことが示されている。
レトロウイルスベクター媒介性遺伝子治療の使用に関連する1つの問題は、移植されたプロデューサー細胞が、最大治療利益を達成するために必要とされる期間にわたって治療遺伝子を生存および/または発現し続け得ないことである。一般的に、脳に直接移植された細胞が約2〜4週間以内に死ぬことが知られている(例えば、Itukura,T.ら,1988,J.Neurosurg.68:955−959を参照のこと)。いくつかの場合には、インビボでの移植前の、細胞のマイクロキャリアへの接着は、移植された細胞の長期生存性を増大させることが示されている(Cherskeyら;WO9206702)が、現在この方法はレトロウイルスプロデューサー細胞株にうまく適用されていない。
本発明の目的は、哺乳動物の脳にプロデューサー細胞を移植するための方法を提供することである。
本発明は、細胞を殺すために哺乳動物腫瘍細胞に殺腫瘍または感受性遺伝子を導入するための方法であって、
a)殺腫瘍または感受性遺伝子を有するウイルス発現ベクターを哺乳動物細胞に導入する工程;
b)哺乳動物細胞を、インビトロで支持マトリクスの表面に接着させる工程;および
c)哺乳動物腫瘍細胞に近接して、接着した哺乳動物細胞を有する支持マトリクスを移植する工程、
を包含する、方法、である。
本発明はまた、細胞を殺すために哺乳動物腫瘍細胞に殺腫瘍または感受性遺伝子を導入するための方法であって、
d)殺腫瘍または感受性遺伝子を有するレトロウイルス発現ベクターをプロデューサー細胞に導入する工程;
e)プロデューサー細胞を、インビトロで支持マトリクスの表面に接着させる工程;および
f)哺乳動物腫瘍細胞に近接して、接着したプロデューサー細胞を有する支持マトリクスを移植する工程、
を包含する、方法、である。
好適な実施形態においては、上記腫瘍細胞が脳腫瘍細胞である。
好適な実施形態においては、上記殺腫瘍または感受性遺伝子が、単純ヘルペスチミジンキナーゼをコードする。
好適な実施形態においては、前記殺腫瘍または感受性遺伝子が、シトシンデアミナーゼ遺伝子をコードする。
好適な実施形態においては、前記レトロウイルスベクターが、インタクトなパッケージングシグナルを含む。
好適な実施形態においては、上記レトロウイルスベクターが、選択マーカー遺伝子を含む。
好適な実施形態においては、前記プロデューサー細胞が、プロウイルスのRNA転写物の成熟ウイルス粒子へのキャプシド形成に必要とされるパッケージングシグナル配列を欠失するプロウイルスを含む。
好適な実施形態においては、上記プロデューサー細胞がBOSC23である。
好適な実施形態においては、上記プロデューサー細胞がPsi2である。
好適な実施形態においては、上記プロデューサー細胞がPsiAmである。
好適な実施形態においては、上記支持マトリクスが、多孔性または非多孔性マイクロビーズである。
好適な実施形態においては、前記マイクロビーズが、約90μm〜約150cmの直径を有する。
好適な実施形態においては、上記支持マトリクスが、酸化シリコーン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリペンテン、アクリロニトリルポリマー、ナイロン、天然多糖、改変多糖アミラーゼ、コラーゲン、天然セルロース、改変セルロース、寒天、磁鉄鉱、ヒアルロン酸、および細胞内マトリクスからなる群より選択される物質から作成される。
好適な実施形態においては、上記プロデューサー細胞が、成熟ウイルス粒子へのプロウイルスのRNA転写物のキャプシド形成に必要とされるパッケージングシグナル配列を欠失するレトロウイルスベクターを、哺乳動物宿主細胞に安定に導入することによって生成される細胞株である。
(3.発明の要旨)
本発明は、脳腫瘍細胞に殺腫瘍因子または感受性因子をコードする遺伝子を導入するための方法に関する。この方法は、哺乳動物の脳に殺腫瘍因子または感受性因子をコードするレトロウイルスベースの組換えベクターで操作されたプロデューサー細胞の移植を包含する。操作されたプロデューサー細胞は、隣接した脳腫瘍細胞に感染し、それによって腫瘍細胞が化学療法剤または放射性治療薬剤に感受性になる感染性レトロウイルス粒子を産生し得る。レトロウイルスベクター遺伝子導入システムは、脳における組込みおよび遺伝子発現のための増殖する標的細胞を必要とするので、このシステムの脳腫瘍への適用は、レトロウイルスが脳腫瘍の増殖する細胞に標的化されるが、正常な増殖しない脳細胞は感染されないままであるという利点を有する。
殺腫瘍または感受性因子をコードする多くの遺伝子は、本発明の実施において使用され得る。このような遺伝子は、比較的非傷害性な産物を高傷害性な薬剤へ変換し得る酵素をコードする。このような遺伝子を発現するように遺伝子操作された細胞は、適切なプロドラッグの存在下で、本質的に代謝的自殺をする。
本発明の1つの実施態様において、単純ヘルペスチミジンキナーゼ(HSV−TK)遺伝子は、組換えレトロウイルスベクターに操作され得る。続いて、組換えレトロウイルスで感染されそしてHSV−TK遺伝子を発現する任意の細胞は、アシクロビルおよびガンシクロビルのような化学療法剤に感受性になる。本発明の他の実施態様において、シトシンデアミナーゼ(CD)遺伝子は、組換えレトロウイルスベクターに操作され得る。CD遺伝子を発現する細胞は、比較的非傷害性産生5−フルオロシトシンを高傷害性5−フルオロウラシルに代謝する(Mullen,CAら,1994,Cancer Res.54:1503−6)。
本発明の方法は、哺乳動物の脳への移植の前の支持マトリクス上でのプロデューサー細胞のインビトロ培養をさらに包含する。脳での移植前のマイクロキャリアへの細胞の予備接着は、移植された細胞の長期生存性を増大しそして長期の機能的利点を提供するように設計される。
本発明は、一部は、哺乳動物の脳への移植前のプロデューサー細胞のマイクロキャリアへの予備接着が、移植された細胞の生存性を増大させるという実証に基づく。本明細書に記載される特定の実施態様では、プロデューサー細胞はラットの脳に移植された。移植されたプロデューサー細胞は、アルカリホスファターゼ遺伝子を発現するように遺伝子操作されている感染性レトロウイルス粒子を産生する。結果は、移植された動物の脳におけるアルカリホスファターゼ遺伝子の首尾よい長期発現を実証する。
(5.発明の詳細な説明)
本発明は、殺腫瘍因子または感受性因子をコードするレトロウイルスベースの組換えベクターで操作されたプロデューサー細胞の、哺乳動物の脳への移植を包含する、脳腫瘍を処置するための方法に関する。プロデューサー細胞は、脳腫瘍細胞に感染し、それによって腫瘍細胞を化学療法剤に感受性にする、感染性レトロウイルス粒子を産生し得る。プロデューサー細胞の長期生存性は、移植前の支持マトリクス上でのプロデューサー細胞のインビトロ培養によって増大され得る。
特に、目的のDNAが、「プロデューサー細胞」に効率的および安定に導入され、これは後に哺乳動物の脳に移植(transplant)または移植(graft)され得る支持マトリクスに移され得ることが実証されている。プロデューサー細胞は、移植されたプロデューサー細胞に密接して位置する脳組織を感染させ得る感染性レトロウイルス粒子を産生する。感染した脳組織は、移植後30日まで目的の遺伝子を発現することが示された。
(5.1.レトロウイルスベクター)
殺腫瘍または感受性因子を発現させるために、このような因子をコードするヌクレオチド配列は、適切なレトロウイルス発現ベクターに挿入される。当業者に周知である方法を使用して、適切な転写/翻訳制御シグナルに作動可能に結合された殺腫瘍または感受性ヌクレオチドコード配列を含む組換えレトロウイルスベクターを構築する。殺腫瘍または感受性コード配列を含む組換えレトロウイルスベクターの構築物は、当該分野で十分に理解される標準的な連結および制限技術を使用して生成され得る。例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,第2版,1989、およびAuselbelら,1989,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates & Wiley Interscience,N.Y.に記載の技術を参照のこと。
種々のレトロウイルスベースの組換えベクターは、当業者によって同様に十分に利用され得る。組換えベクターは、種々の量のレトロウイルス配列を含み得、これには、宿主ゲノムへの組込みに必要とされるレトロウイルス長末端反復配列(LTRS)、および成熟ウイルス粒子へのプロウイルスの組換えRNA転写物のキャプシド形成に必要なパッケージングシグナル(psi)が含まれる。特に適切なレトロウイルスベクターには、参考として援用される以下の参考文献のそれぞれに記載されるものが含まれるが、これらに限定されない:SAXベクター(Kantoff,P.W.ら,1986,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:6563);N2ベクター(D.Armentanoら,1987,J.Virology 61:1647);LXSNAベクター(Miller A.D.ら,1989,Biotechniques 7:980−990);およびLASNベクター(Blood 72:876−81)。
組換えベクターはまた、アンピシリンおよびテトラサイクリンのような抗生物質への耐性を与えるために必要な細菌プラスミド配列、および細菌での複製に必要とされる配列を含み得る。さらに、組換えベクターは、安定にトランスフェクトされた細胞を同定するために使用され得る選択マーカー遺伝子を含み得る。組換えベクター中の選択マーカーは、選択に対する耐性を与え、そして細胞がその染色体へ組換えレトロウイルス発現ベクターを安定に組み込むことを可能にする。この方法は、後に感染性レトロウイルス粒子を産生する首尾よくトランスフェクトされたプロデューサー細胞株を同定するために、有利に使用され得る。
以下を含むがこれらに限定されない多くの選択システムが使用され得る:ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski,1962,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:2026)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら,1980,Cell 22:817)遺伝子が、それぞれHGPRTおよびAPRT細胞において用いられ得る。また、メトトレキセートへの耐性を与えるDHFR(Wiglerら,1980,Natl.Acad.Sci.USA 77:3567 ; O’Hareら,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527);ミコフェノール酸への耐性を与えるGPT(MullinganおよびBerg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072);アミノグリコシドG−418への耐性を与えるneo(Colberre−Garapinら,1981,J.Mol.Biol.150:1);およびハイグロマイシンへの耐性を与えるhygro(Santerreら,1984,Gene 30:147)遺伝子についての選択の基礎として、抗代謝物耐性が使用され得る。最近、さらなる選択遺伝子が記載されている:すなわち、細胞にトリプトファンの代わりにインドールを利用させるtrpB;細胞にヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用させるhisD(HartmanおよびMulligan,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8047);およびオルニチンデカルボキシラーゼインヒビターである2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチン、DFMOへの耐性を与えるODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)(McConlogue L.,1987,Current Communications in Molecular Biology,Cold Spring Harbor Laboratory編)。
多くの殺腫瘍または感受性因子が、本発明の実施に使用され得る。このような因子は、細胞に化学療法剤への感受性を与えるものとして定義される。本発明の1つの特定の実施態様では、HSV−TK遺伝子が、組換えレトロウイルスベクターに挿入される。HSV−TKコード領域は、種々の公衆に入手可能なクローンに由来し得る(Wiglerら,1977,Cell 11:223)。このようなレトロウイルスベクターでの腫瘍細胞の感染は、細胞にアシクロビルおよびガンシクロビルのような薬物への感受性を与える。
本発明によれば、殺腫瘍または感受性因子をコードするヌクレオチド配列は、レトロウイルスLTRプロモーター−エンハンサーシグナルに作動可能に結合され得る。作動可能な連結は、LTRプロモーター/エンハンサー配列および殺腫瘍または感受性遺伝子が、遺伝子発現を可能にするように結合される連結である。あるいは、他のプロモーター/エンハンサー配列は、挿入された配列の転写を提供するために、当業者に同様に十分に利用され得る。例えば、哺乳動物細胞のゲノムから単離された、哺乳動物細胞での増殖許容性ウイルスから単離された、または組換えDNAもしくは合成技術によって産生されたプロモーター/エンハンサーエレメントは、殺腫瘍または感受性因子をコードする遺伝子の転写を提供するために使用され得る。構成性および誘導性プロモーターを含む多数の適切なプロモーター/エンハンサーエレメントのいずれかが、発現ベクターにおいて使用され得る。
挿入された遺伝子の効率的な翻訳に必要とされる特定の開始シグナルもまた、レトロウイルス発現ベクターに含まれ得る。ATG開始コドンおよび隣接配列を含み得るこれらの外因性翻訳制御配列は、天然および合成の両方の種々の起源であり得る。それ自体の開始コドンおよび隣接配列を含む殺腫瘍または感受性因子全体が適切な発現ベクターに挿入される場合、追加の翻訳シグナルは必要ではない。しかし、殺腫瘍または感受性コード配列の一部のみが挿入される場合、ATG開始を含む外因性翻訳制御シグナルは、全体のインサートの翻訳を確実にするために、殺腫瘍または感受性コード配列のリーディングフレームと一致しなければならない。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの包含によって増大され得る(Bitterら,1987,Methods in Enzymol.153:516−544を参照のこと)。
本明細書に記載の特定の実施態様においては、プロデューサー細胞は、SV40プロモーターによって駆動されるベクターLTRおよびG418耐性の制御下で、アルカリホスファターゼをコードする遺伝子を含むように遺伝子操作したレトロウイルスベクターでトランスフェクトされた。トランスフェクトプロデューサー細胞を、コラーゲンコートしたデキストランマイクロキャリアに接着させ、次いでラット脳へ移植した。移植後30日に行った組織学的研究は、レトロウイルス感染した細胞でのアルカリホスファターゼ遺伝子の長期発現を示した。
組換えレトロウイルスベクターは、本発明の方法での使用に好ましいベクターであるが、他のウイルスベクターもまた、殺腫瘍または感受性遺伝子を発現するために使用され得る。例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、パピローマウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、ならびに他のヒトおよび動物ウイルスが、哺乳動物の脳に移植されるべき細胞において、殺腫瘍または感受性因子を発現するために使用され得る。例えば、アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、殺腫瘍または感受性因子コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御配列複合体(例えば、後期プロモーターおよび3つからなる(tripartite)リーダー配列)に連結され得る。次いで、このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボ組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1およびE3)における挿入は、感染した宿主細胞において生存可能でありそして殺腫瘍または感受性遺伝子を発現し得る組換えウイルスを生じる(例えば、LoganおよびShenk,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 81:3655−3659を参照のこと)。
(5.2.パッケージング細胞株)
伝染性レトロウイルス粒子を産生するために、組換えレトロウイルス発現ベクターは安定な「プロデューサー」細胞株にトランスフェクトされる。プロデューサー細胞株は、成熟ウイルス粒子へのウイルス転写物のパッケージングにトランスで必要とされるレトロウイルス機能のすべてを発現する、安定に組込まれたプロウイルスを含む。これらには、群特異的抗原(gag)、エンベロープ(env)、およびポリメラーゼ(pol)遺伝子が含まれる。gag遺伝子は、内部構造(ヌクレオキャプシド)タンパク質をコードする;pol遺伝子は、RNA指向性DNAポリメラーゼ(逆連写酵素)をコードする;そしてenv遺伝子は、ウイルスエンベロープ糖タンパク質をコードする。安定に組み込まれたプロウイルスの1つの本質的な特徴は、通常ウイルス転写物のパッケージングにシスで必要なシグナルを提供するパッケージング配列(psi配列)を欠失することである。したがって、プロウイルスの発現から生じる転写物は、ウイルス粒子にパッケージされず、むしろウイルス粒子のパッケージングに必要とされる遺伝子産物をトランスで提供する。
レトロウイルスベクターは、効果的な感染のために細胞分裂およびDNA合成を必要とするので、組込みおよび遺伝子発現「プロデューサー」細胞は、好ましくは、活発に増殖する細胞である。このようなプロデューサー細胞は、線維芽細胞、ニューロン、グリア細胞、角質細胞、肝細胞、または本発明の方法を使用してトランスフェクトおよび移植され得る任意の他の哺乳動物細胞を含み得る。
種々のプロデューサー細胞株が、本発明の方法での使用に用いられ得る。例えば、既に存在しているレトロウイルスプロデューサー細胞株は、本発明の実施で利用され得る。このような細胞株には、BOSC23(Pear,W.S.ら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:8392−8396)、Psi2(Cone,R.D.ら,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6349−6353)、Psi am(Hartley,J.W.ら,1976,Journal of Virology 19:19−25)細胞株、またはウイルスパッケージングに必要な遺伝子産物をトランスで提供する任意の他の機能的に等価なプロデューサー細胞株が含まれ得る。
あるいは、さらなる新規のプロデューサー細胞株が生成され得る。さらなるプロデューサー細胞株を生成するために、ウイルスアセンブリにトランスで必要とされるタンパク質をすべて合成するレトロウイルスベクターが、活発に増殖する細胞にトランスフェクトされる。当業者に周知である種々のトランスフェクション技術が、プロデューサー細胞株にレトロウイルス発現ベクターを移入するために利用され得る。このような技術には、リン酸カルシウム−DNA沈殿、DEAE−Dextranトランスフェクションエレクトロポレーション、またはリポソーム媒介DNA移入が含まれる。
次に、プロデューサー細胞は、殺腫瘍または感受性遺伝子、および必要に応じて選択マーカーをコードするDNAを含む組換えレトロウイルスベクターでトランスフェクトされる。組換えベクターが選択マーカーを含む場合、トランスフェクトした細胞についての選択は、移植前に行われ得る。
(5.3.パッケージング細胞株のインビトロ培養)
移植プロデューサー細胞の長期生存性を増加させるために、プロデューサー細胞を、最初に、インビトロで支持マトリクス上に接着させる。支持マトリクスが構成され得る物質には、細胞がインビトロインキュベーション後に接着する物質、およびその上で細胞が増殖し得る物質が挙げられ得、そしてこれらは、移植された細胞の破壊あるいは生物学的または治療活性を妨害する傷害性反応または炎症性反応を生じることなく、哺乳動物の脳に移植され得るこのような物質は、合成または天然の化学物質、または生物学的起源を有する物質であり得る。このような物質には、ガラスおよび他の酸化シリコーン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリウレタン、ポリアルギネート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、アクリロニトリルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリペンテン(polypentent)、ナイロン、アミラーゼ、ゼラチン、コラーゲン、デキストランおよびセルロース(例えば、ニトロセルロース)を含む天然および改変多糖、寒天、および磁鉄鉱が含まれるが、これらに限定されない。再吸収可能かまたは再吸収可能でないかのいずれかの物質が使用され得る。細胞外マトリクス物質も意図されており、これは当該技術分野で周知である。細胞外マトリクス物質は、市販され得るか、またはこのようなマトリクスを分泌する細胞を増殖させ、分泌細胞を除去し、そして移植されるべき細胞をマトリクスと相互作用およびこれに接着させることによって調製され得る。移植されるべき細胞が増殖する、または細胞が混合されるマトリクス物質は、移植されたプロデューサー細胞自体の固有の産物であり得る。したがって、例えば、マトリクス物質は、移植されるべきプロデューサー細胞によって産生および分泌される細胞外マトリクスまたは基底膜物質であり得る。
細胞接着、生存、および機能を改良するために、固体マトリクスは、必要に応じて、細胞接着、増殖、または生存を促進するために当該技術分野で公知の因子で、その外部表面上をコートされ得る。このような因子には、細胞接着分子、細胞外マトリクス(例えば、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン、またはプロテオグリカンなど)、あるいは増殖因子(例えば、神経成長因子(NGF)など)が含まれる。あるいは、移植された細胞が接着される固体マトリクスが多孔性物質から構築される場合、1つまたは複数の増殖または生存促進因子は、マトリクス物質に組込まれ、インビボ移植後にそこから除放され得る。
本発明による支持体に接着される場合、移植に使用される細胞は、一般的に、支持体の「外表面」上にある。支持体は固体または多孔性であり得る。しかし、多孔性支持体においても、細胞は、介在する膜または他の障壁なしに外部環境と直接的に接触する。したがって、本発明によれば、細胞は、たとえそれらが接着する表面が粒子またはビーズ自体の外部にない、多孔性支持体物質の内部フォールドまたは屈曲の形態であり得る場合でも、支持体の「外表面」上にあると考えられる。
支持体の形状は、ビーズにおける場合、好ましくは球状であるが、円柱状、楕円状、平板または細片、針またはピン形態などであり得る。支持マトリクスの好ましい形態はガラスビーズである。別の好ましいビーズはポリスチレンビーズである。ビーズサイズは、約10μm〜1cm、好ましくは約90〜約150μmの直径の範囲であり得る。種々のマイクロキャリアビーズの記載については、例えば、Fisher Biotech Source 87−88,Fisher Scientific Co.,1987,73 72−75頁;Sigma Cell Culture Catalog,Sigma Chemical Co,.St.Louis,1991,162−163頁;Ventrex Product Catalog,Ventrex Laboratories,1989を参照のこと;これらの参考文献は参考として本明細書に援用される。ビーズサイズの上限は、移植された細胞の機能を妨害しまたは周囲の脳組織に傷害を生じ得る神経膠症のような、望ましくない宿主反応のビーズの刺激によって指示される。このような限定は、当業者によって容易に決定可能である。
(5.4.パッケージング細胞の移植)
殺腫瘍または感受性遺伝子を発現するプロデューサー細胞は、インビトロで増殖され、そして支持マトリクスに接着される。本発明の方法は、腫瘍によって影響を及される脳の領域に、目的の治療遺伝子を含むプロデューサー細胞の脳内移植を包含する。脳に細胞を移植するための方法は、Neural Grafting in the Mammalian CNS,1985,BjorklundおよびStenevi編、およびGageら,Brain Researchに記載され、これらのそれぞれは参考として本明細書に援用される。脳に細胞を移植するための手順には、1)宿主細胞内にプロデューサー細胞を注入する工程、または2)プロデューサー細胞を配置するための外科的手段によって腔を調製する工程が含まれる。
プロデューサー細胞は、脳腫瘍の領域に密接する脳内の選択された領域に注入され得る。プロデューサー細胞は、シリンジ中に吸い上げられ、そして患者に投与される。複数回の注入が腫瘍の領域に行われ得る。あるいは、腔が腫瘍によって影響を及ぼされる脳の領域に隣接して外科的に調製され得、そしてプロデューサー細胞は腔内に配置され得る。
本発明の目的を達成するために必要とされる細胞の数は、被験体のサイズ、年齢、体重、および脳腫瘍のサイズに依存して変化する。細胞の数は、過度の実験なしに当業者によって決定され得る。本明細書に記載される本発明の実施態様においては、支持マトリクスに接着された遺伝子改変されたプロデューサー細胞が、ラットの脳に移植された。組織学的研究は、レトロウイルス遺伝子の首尾良い長期発現を示す移植後30日に、レトロウイルス媒介遺伝子発現が検出され得たことを示す。
本発明をここで一般的に記載すると、同様のことが、例示のために提供されそして特定しない限り本発明の限定を意図しない、以下の実施例を参考にしてより容易に理解される。
(6.実施例:哺乳動物の脳における長期レトロウイルス媒介遺伝子)
以下の小節は、支持マトリクスに接着したプロデューサー細胞の、ラットの脳への移植を記載する。移植されたプロデューサー細胞は、アルカリホスファターゼ遺伝子を発現するように遺伝子操作されている感染性レトロウイルス粒子を産生する。結果は、移植された動物の脳におけるアルカリホスファターゼ遺伝子の首尾良い長期発現を実証する。
(6.1.材料および方法)
(6.1.1.動物および細胞調製物)
120〜150gの体重の雄Sprague−Dawley(SD)ラットを、Taconic Farms (Germantown,NY)から得た。Bing細胞株は、一過性トランスフェクションに続いて、10/mlより大きい力価でNIH3T3細胞を感染させ得るレトロウイルス上清を産生した293T(293tsa1609neo)ヒト胚腎臓細胞株(R.B.DuBridgeら,Mol.Cell Biol.7,379−387,1987)から単離された、BOSC23細胞株(W.Pearら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),90,8392−8396,1993)の両種指向性相対物である。Bing細胞株に、両種指向性レトロウイルス構築物を、LXSNベースのレトロウイルスベクターのような、複製欠陥レトロウイルスベクターをパッケージするために導入した。細胞株を、10%ウシ胎児血清(Hyclone)および抗生物質(ペニシリン−ストレプトマイシン溶液,Sigma)を補充した高グルコースDMEM培地中で維持した。
アルカリホスファターゼベクターは、LNSXレトロウイルス構築物に基づく(A.D.Miller,Human Gene Ther.,1,5−14,1990)。これは、SV40プロモーターによって駆動されるベクターLTRおよびG418耐性の制御下で、アルカリホスファターゼをコードする遺伝子を含む。
トランスフェクションを行うために、p100ペトリディッシュ上にプレーティングした10個のBing細胞を、標準的なリン酸カルシウムトランスフェクションプロトコル(J.Sambrookら,Molecular Cloning,第2版)を使用して、10μgのアルカリホスファターゼプラスミド(製造者の指示に従ってQuiagen Maxi−prepカラム上で精製した)でトランスフェクトした。
トランスフェクションの72時間後、細胞を採取し、10%DMSO(Sigma)を含むウシ胎児血清中にアリコートし、そして長期保存のために−70℃に置いた。トランスフェクトした細胞の一部を、ガラススライド上に移し、2%パラホルムアルデヒドで固定し、そしてNitro Blue Tetrazolium (Sigma)でpH8.5にて1時間染色した。アルカリホスファターゼについての陽性染色を、アルカリホスファターゼベクターでトランスフェクトしたBing細胞の30%で観察した;特異的染色は、コントロールの感染していないBing細胞では観察されなかった。
(6.1.2.マイクロキャリアへの細胞の接着)
マイクロキャリアへの接着の前に、細胞をPC−1(Hycor)中で3回、無血清培地中で1回洗浄し、そしてPC−1に再懸濁した。コラーゲンコートしたデキストランマイクロキャリア(Cytodex(登録商標)、100〜200μm)を、1グラムのビーズ当たり10mlの滅菌蒸留水中にビーズを置き、そして121℃まで15分間加熱することによって滅菌した。溶液を室温まで冷却させ、そして水を捨てた。次いで、マイクロキャリアを少量の培養培地中に懸濁し、そして30分間放置した。培地を除去し、そしてビーズ(約0.21g)を上記の細胞調製物へ添加した。得られた混合物を2時間振盪し、そしてさらなる4mlのPC−1を添加した。次いで、培養フラスコを一晩周期的に混合しながらインキュベートして、細胞をマイクロキャリアに接着させた。インキュベーション後および移植の前に、アリコートを取り、そしてトリパンブルーと反応させて細胞生存性を決定し、そしてマイクロキャリアに接着した細胞の数を、顕微鏡検査によって決定した。この手順によって、95%以上の良好な細胞生存性で、各マイクロキャリアへの約5〜7個の細胞の接着を得た。
(6.1.3.細胞の投与)
動物に、ペントバルビタールナトリウム(40mg/kg、ip)を用いて麻酔し、そして外科手術を無菌条件下で行った。細胞を、定位的注入を使用して脳の尾状/被殻領域に注入した。それぞれ3匹の動物の4つの群に、1)非トランスフェクト細胞単独、2)マイクロキャリア上の非トランスフェクト細胞、3)トランスフェクト細胞単独、および4)マイクロキャリア上のトランスフェクト細胞を移植した。移植物を、ブレグマの1.5mm後部、硬膜の表面の2.0mm側方および5.0mm下(補正後)に置いた。顎稜は−3.3mmにあった。定位的座標を、ゼロ値座標としてブレグマの直上の位置を使用して、個々の動物について補正した。背−腹値は、硬膜の表面からであった。一旦針を正確に置くと、細胞を、5μlの最終用量が注入されるまで、1μl/分の速度で注入した。堅く適合するスタイレットを、針の管腔に挿入して、針に接着し得る残りのビーズを押し出した。外科手術部位を、Clay−Adams 9mm創傷クリップを使用して閉じた。
(6.1.4.組織学的研究)
ラットに、ペントバルビタールナトリウム、60mg/kg i.p.で麻酔し、そして動物を、400mlのヘパリン化リン酸緩衝化生理食塩水で灌流し、次いで400mlの1%グルタルアルデヒド/4%パラホルムアルデヒド/0.1M Naリン酸,pH 7.2で灌流した。脳を取り出してPBS中の30%スクロース中に置き、そして28μmまたは50μmの凍結切片を調製した。切片を、PBSを含む番号付けした試験管に移し、ゼラチンコートしたスライド上に置き、そして褐色の反応産物を産生する5−ブロモ,4−クロロ,3−インドリルリン酸/ヨードニトロテトラゾリウム(BCIP/INT)(Biomedia,Foster City,CA)との室温にて30分間の反応によってアルカリホスフェートについて染色した。日常的な組織学を、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した10μmパラフィン切片で行った。
(6.2.結果)
動物を、移植の30日後に屠殺し、そして組織学的研究を行った。図1〜3は、これらの研究で得られた結果を示す。
マイクロキャリアの非存在下で非トランスフェクト細胞を移植したラットの脳からの切片は、BCIP/INT陽性物質を示さなかった。マイクロキャリアの非存在下で移植されたトランスフェクト細胞を投与されているラットからの脳の、移植部位から取った切片は、BCIP/INT陽性物質をほとんどまたは全く示さなかった(図2)。
マイクロキャリア自体が染色人工産物を生じた可能性を除外するために、マイクロキャリア上の移植された非トランスフェクト細胞も検査した。図1は、移植部位で取った代表的切片を示す。色素原BCIP/INTによる染色の欠失は、Cytodex(登録商標)マイクロキャリアが、図3で見られる染色パターンに寄与しないことを示す。
細胞をCytodex(登録商標)マイクロキャリアの存在下で移植し、そして組織学を30日後に行った場合、異なるパターンが出現した。図3は、アルカリホスファターゼ遺伝子プラスミドでトランスフェクトしたCaK8p7細胞を30日前に移植したラットの脳からの20×倍率での切片を示す。BCIP/INTでの染色は、アルカリホスファターゼについて陽性である多くの細胞をビーズ表面でまたはその近くで示す。これは、マイクロキャリアの非存在下で移植した細胞と明確に対照をなす(図2)。
これらの研究で得られた結果は、移植前のマイクロキャリアへの細胞の予備接着が、移植された細胞の生存性を増強し、そして遺伝子治療の治療窓を延長することを示す。プロデューサー細胞方法論に適用する場合、この延長された応答は、CNSへの遺伝子送達を増加させることによって治療効率を最大にするであろう。
マイクロキャリアビーズ上の非トランスフェクト細胞を移植したラットの脳由来の切片(20×倍率)。ビーズのまわりにほとんどまたは全く染色が見られない。 マイクロキャリアなしのトランスフェクト細胞を移植したラットの脳からの切片(20×倍率)。切片には全く染色が見られない。 マイクロキャリアビーズ上のアルカリホスファターゼ遺伝子プラスミドでトランスフェクトした細胞で30日前に移植したラットの脳からの切片(10×倍率)。高濃度の暗い染色物質(細胞)が見られる。

Claims (1)

  1. 細胞を殺すために哺乳動物腫瘍細胞に殺腫瘍または感受性遺伝子を導入するための方法であって、
    a)殺腫瘍または感受性遺伝子を有するウイルス発現ベクターを哺乳動物細胞に導入する工程;
    b)該哺乳動物細胞を、インビトロで支持マトリクスの表面に接着させる工程;および
    c)該哺乳動物腫瘍細胞に近接して、該接着した哺乳動物細胞を有する該支持マトリクスを移植する工程、
    を包含する、方法。
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