JP2004336564A - マルチキャリア送信装置、基地局装置及び移動体通信端末装置 - Google Patents

マルチキャリア送信装置、基地局装置及び移動体通信端末装置 Download PDF

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Keisuke Ebiko
恵介 蛯子
Mitsuru Uesugi
充 上杉
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】ピーク抑圧信号挿入手法や送信信号系列選択手法やPTS手法とピーククリッピング手法とを組み合わせて用いても、複素ベースバンド信号の信号電力損失を確実に削減できるマルチキャリア送信装置を提供すること。
【解決手段】抑圧信号計算部110は、ピーク抑圧部111におけるピーククリッピングによる信号電力損失を削減するためのピーク抑圧信号を算出し、このピーク抑圧信号を抑圧信号挿入部103に出力する。抑圧信号挿入部103は、変調部102から出力されてくる複素ベースバンド信号に、抑圧信号計算部110から出力されてくるピーク抑圧信号を付加する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチキャリア伝送において送信信号の振幅制限処理を行う送信装置に関する。さらには、このマルチキャリア送信装置を具備する基地局装置及び移動体通信端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチキャリア伝送方式は、周波数選択性フェージングが発生しない程度に伝送速度が抑えられた複数の搬送波(サブキャリア)を用いてデータを伝送することにより、伝送効率を向上させ、結果的に高速伝送を可能とする技術である。特にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式は、データが配置される複数のサブキャリアが相互に直交しているため、マルチキャリア通信方式の中で最も周波数利用効率が高い方式である。このため、OFDM方式やOFDM方式にCDMA(Code Division Multiple Access)方式を組み合わせたOFDM−CDMA方式が、将来の高速伝送技術として検討されている。
【0003】
上述したように、OFDM変調方式等のマルチキャリア変調方式においては、複数のサブキャリアを用いて並列伝送を行う。この際、各サブキャリアの位相が揃ってしまうと、平均送信電力と比較して著しく大きな送信ピーク電力が発生する。送信ピーク電力が大きい場合、信号増幅による非線型歪みを防ぐために、広いダイナミックレンジにわたって出力の直線性を維持できる送信パワーアンプを使用しなければならないが、一般にこのようなアンプは効率が低く、装置の消費電力が大きくなる。
【0004】
そこで、送信ピーク電力対平均電力比(PAPR:Peak−to−Average Power Ratio)を低減するために様々な手法が考案されてきた。例えば、特定のサブキャリア特に直流成分にピーク抑圧信号を挿入することにより、送信ピーク電力を削減する方法が知られている。この方法では、最大振幅を生じている時間波形サンプル点と逆位相のピーク抑圧信号を生成し、このピーク抑圧信号を送信信号に付加することによって、送信信号の最大振幅を低減している(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。
【0005】
また、別の手法として、確率的にPAPRを低減する手法が知られている。例えば、同一の情報信号から複数の送信信号系列の候補を生成し、これらの候補の中から送信ピーク電力が最も低くなる送信信号系列を選択することによってPAPRを確率的に低減する手法である。
【0006】
また、別の手法として、PTS(Partial Transmit Sequences)と呼ばれる部分系列伝送を用いた手法も知られている。PTSにおいては、複数のサブキャリアのグループが形成され、グループ毎に逆フーリエ変換処理が行われ、グループ毎に異なる位相係数が乗算される。そして、全グループの出力が加算されて得られた信号について、その送信ピーク電力が最も低くなる位相係数の系列が選択される。さらに、選択された位相係数の系列を受信側へ通知するためのサイド情報が送信され、受信側ではこのサイド情報に基づいて位相の逆回転が行われ、データが復調される(例えば、非特許文献1を参照)。
【0007】
ところで、前記PAPR低減手法では、入力情報信号パターンによっては送信ピーク電力を低減できない場合がある。そのため、前記時間波形の振幅を既定のしきい値以下に確実に低減させるには、ピーククリッピングと呼ばれる手法が用いられることがある(例えば、特許文献4参照)。ピーククリッピング手法では、複素ベースバンド信号の時間波形について既定のしきい値を超える部分を削除即ちクリッピングすることによって前記時間波形の振幅を制限する。なお、ピーククリッピングを行う場合、送信信号に非線型歪みが生じて、送信信号の特性が劣化する。また、この場合、帯域外不要輻射が発生するため、この帯域外不要輻射をフィルタで除去する必要がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−205276号公報
【特許文献2】
特開平11−275044号公報
【特許文献3】
特開2002−271292号公報
【特許文献4】
特開2002−44054号公報
【非特許文献1】
Muller, S.H. ; Huber, J.B., ”OFDM with reduced peak−to−average power ratio by optimum combination of partial transmit sequences”, Electronics Letters, 1997, Volume:33, Issue:5
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のピーク抑圧信号を挿入する手法や確率的にPAPRを低減する手法では、ピーククリッピングとの併用を考慮していない。このため、これらの手法とピーククリッピングを組み合わせただけでは、所望の効果が得られない場合がある。
【0010】
図7に、複素ベースバンド信号の時間波形にピーク抑圧信号を挿入することにより、複素ベースバンド信号の電力損失が変化する様子を示す。
【0011】
図7(a)に、複素ベースバンド信号の時間波形サンプルを示す。その横軸は時間サンプルであり、その縦軸は時間サンプルに対する振幅である。図7(a)に示された時間波形サンプルの振幅は、4〜−12の間で変化している。ここで、ピーククリッピングにより前記振幅を5以下に抑圧すると、1個の時間波形サンプルが抑圧され、この抑圧による信号電力損失は7×7=49となる。
【0012】
図7(a)に記載の時間波形サンプルに対して従来の手法により直流ピーク抑圧信号を挿入する場合、このピーク抑圧信号は振幅+4の直流成分となる。この振幅+4の直流成分からなるピーク抑圧信号を図7(a)の時間波形サンプルに付加した時間波形サンプルを図7(b)に示す。図7(b)に示された時間波形サンプルでは、振幅が8〜−8の間で変化しており、ピーク抑圧信号の付加により時間波形サンプルの最大振幅が抑圧されることが判る。ここで、ピーククリッピングにより前記振幅を5以下に抑圧すると、7個の時間波形サンプルが抑圧され、この抑圧による信号電力損失は3×3+2×2+3×3+3×3+1×1+3×3+3×3=50となる。このことから、従来の手法を単に組み合わせただけでは、ピーククリッピングにおける信号電力損失が却って大きくなり、非線型歪みに起因する複素ベースバンド信号の特性劣化が増大する場合もあることが判る。一方で、図7(c)に示すように、図7(a)の時間波形サンプルにピーク抑圧信号として振幅+1の直流成分を付加すると、前記ピーククリッピングによる信号電力損失を6×6=36に削減できる。
【0013】
ピーククリッピングによる信号電力損失は、受信側において、損失分の電力に相当する雑音が送信信号に重畳された状態で観測される。従って、ピーククリッピングによる信号電力損失を削減することは、マルチキャリア伝送において極めて重要である。
【0014】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ピーク抑圧信号挿入手法や送信信号系列選択手法やPTS手法等とピーククリッピング手法とを組み合わせて用いても、複素ベースバンド信号の信号電力損失を確実に削減できるマルチキャリア送信装置、並びにこのマルチキャリア送信装置を具備する基地局装置及び移動体通信端末装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るマルチキャリア送信装置は、複素ベースバンド信号の時間波形における振幅を既定のしきい値以下に抑圧するときに生じる信号電力損失を削減するための前処理を施す前処理手段と、前記前処理を施された前記複素ベースバンド信号の時間波形における振幅を前記しきい値以下に抑圧するピーク抑圧手段と、前記ピーク抑圧手段から出力されてくる前記複素ベースバンド信号をマルチキャリア信号に変換して送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
【0016】
この構成によれば、ピーク抑圧手段におけるピーククリッピングよって生じる信号電力損失が最小となる処理条件を前処理手段において予め試算し、この試算結果に基づいて前処理手段が複素ベースバンド信号に前処理を施すため、複素ベースバンド信号にピーククリッピングを施すことによって生じる信号電力損失を確実に削減することができる。
【0017】
本発明に係るマルチキャリア送信装置は、前記発明において、前記前処理手段は、前記しきい値以下に抑圧するときに生じる前記信号電力損失を試算し、この試算に基づいて前記信号電力損失を削減するピーク抑圧信号を算出する抑圧信号計算手段と、前記ピーク抑圧信号を前記複素ベースバンド信号に付加する抑圧信号挿入手段と、を具備する構成を採る。
【0018】
この構成によれば、前記発明による効果に加えて、複素ベースバンド信号にピーク抑圧信号を付加するため、非線型歪みに起因する特性劣化を抑圧することができる。
【0019】
本発明に係るマルチキャリア送信装置は、前記発明において、前記抑圧信号計算手段は、時刻tにおける前記複素ベースバンド信号の時間波形サンプルをS(t)=S(t)+jS(t)(jは虚数単位)とし、時刻tにおけるピーク抑圧信号をX(t)=X(t)+jX(t)(jは虚数単位)とし、前記しきい値をKとする場合において、
【数3】
Figure 2004336564
で定義される関数f(t)の加算値
【数4】
Figure 2004336564
を最小にするピーク抑圧信号を算出する構成を採る。
【0020】
この構成によれば、前記発明による効果に加えて、前処理手段においてしきい値Kと複素ベースバンド信号の時間波形サンプルS(t)とに基づきピーク抑圧信号X(t)が自動的に算出されるため、しきい値Kと複素ベースバンド信号の時間波形サンプルS(t)とがランダムに変化する場合でも、ピーククリッピングによって生じる複素ベースバンド信号の信号電力損失を常に最小に維持することができる。
【0021】
本発明に係るマルチキャリア送信装置は、前記発明において、前記抑圧信号計算手段は、適応アルゴリズムによりピーク抑圧信号を算出する構成を採る。
【0022】
この構成によれば、前記発明による効果に加えて、ピーク抑圧信号が適応アルゴリズムにより算出されるため、ピーク抑圧信号の最適解を正確、かつ、迅速に算出することができる。
【0023】
本発明に係るマルチキャリア送信装置は、前記発明において、前記ピーク抑圧手段は、前記複素ベースバンド信号の時間波形を前記しきい値以下に抑圧する前にサンプル化し、前記しきい値以下に抑圧される時間波形サンプルの位置情報又は振幅情報を含む冗長信号を生成して、前記しきい値以下に抑圧された前記複素ベースバンド信号と伴に前記冗長信号を出力する冗長信号生成手段を具備し、前記送信手段は、前記マルチキャリア送信信号と伴に前記冗長信号を送信する構成を採る。
【0024】
この構成によれば、前記発明による効果に加えて、ピーククリッピングを施される前の複素ベースバンド信号の時間波形サンプルについての冗長信号が送信信号と伴に受信側装置に送信されるため、受信側装置におけるピーククリッピングを施される前の時間波形の復元が容易になる。
【0025】
本発明に係る基地局装置は、前記発明に係るマルチキャリア送信装置を具備する構成を採る。
【0026】
この構成によれば、前記発明による効果を奏する基地局装置が得られるため、高解像度で高品質の映像及び音声を受信側装置に送信することができる。
【0027】
本発明に係る移動体通信端末装置は、前記発明に係るマルチキャリア送信装置を具備する構成を採る。
【0028】
この構成によれば、前記発明による効果が奏されるため、消費電力量が少なく一度の充電で長時間使用できる移動体通信端末装置が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、複素ベースバンド信号にピーククリッピングを施す場合において、ピーククリッピングにより生じる信号電力損失を試算することによって信号電力損失を削減するための最適解を事前に算出し、この最適解に基づいて複素ベースバンド信号に前処理を施すことである。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、マルチキャリア変調方式としてOFDM変調方式を使用する場合について説明する。
【0031】
(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1では、前処理手段において前記信号電力損失を削減するためにピーク抑圧信号を算出し、このピーク抑圧信号を複素ベースバンド信号に挿入する。
【0032】
図1は、本実施の形態に係るマルチキャリア送信装置100の構成を示すブロック図である。
【0033】
マルチキャリア送信装置100は、S/P(Serial/Parallel:直/並列)変換部101、変調部102、前処理部120、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部104、P/S(Parallel/Serial:並/直列)変換部105、GI(Guard Interval:ガードインターバル)挿入部106、D/A変換部107、無線送信部108、アンテナ素子109及びピーク抑圧部111を具備する。また、前処理部120は、抑圧信号挿入部103及び抑圧信号計算部110を具備する。
【0034】
S/P変換部101は、入力データをS/P変換して、サブキャリアと同数の並列データを生成する。変調部102は、S/P変換部101から出力されてくる並列データ毎に変調処理を施し、複数の複素ベースバンド信号を生成する。
【0035】
抑圧信号計算部110は、ピーク抑圧部111におけるピーククリッピングによる信号電力損失を削減するためのピーク抑圧信号を算出し、このピーク抑圧信号を抑圧信号挿入部103に出力する。なお、抑圧信号計算部110の構成及びピーク抑圧信号の算出方法については後述する。
【0036】
抑圧信号挿入部103は、変調部102から出力されてくる複素ベースバンド信号に、抑圧信号計算部110から出力されてくるピーク抑圧信号を付加する。
【0037】
IFFT部104は、ピーク抑圧信号を付加された複数の複素ベースバンド信号にIFFT処理を施し、複素ベースバンド信号の時間波形サンプルを生成する。P/S変換部105は、IFFT部104から出力されてくる複素ベースバンド信号の時間波形サンプルにP/S変換処理を施すことにより、OFDMシンボルを生成する。GI挿入部106は、OFDMシンボルにガードインターバルを挿入する。D/A変換部107は、ピーク抑圧部111においてピーク抑圧即ちピーククリッピングを施されたOFDMシンボルに対してD/A変換処理を施す。無線送信部108は、D/A変換されたOFDMシンボルに対してアップコンバート等の無線送信処理を施し、非線形増幅器により送信信号を電力増幅する。アンテナ素子109は、無線送信部108から出力されてくるOFDMシンボルを受信側装置に無線送信する。
【0038】
ピーク抑圧部111は、ガードインターバルを挿入されたOFDMシンボルの時間波形の振幅について、既定のしきい値を超える部分を削除する即ちピーククリッピングを行う。
【0039】
図2は、抑圧信号計算部110の構成を示すブロック図である。
【0040】
抑圧信号計算部110は、IFFT部201、関数f(t)算出部202、バッファ部203、比較部204、適応アルゴリズム部205、ピーク抑圧信号生成部206及びFFT部207を具備する。
【0041】
IFFT部201は、変調部102から並列して出力されてくる複数の複素ベースバンド信号にIFFT処理を施し、複素ベースバンド信号の時間波形サンプルS(t)を生成する。
【0042】
関数f(t)算出部202は、IFFT部201から出力されてくる前記時間波形サンプルS(t)と、ピーク抑圧信号生成部206から出力されてくるピーク抑圧信号X(t)と、ピーク抑圧部111において既定されるしきい値Kと、に基づいて、
【数5】
Figure 2004336564
で定義される関数f(t)を算出する。また、関数f(t)算出部202は、時間サンプルt毎に設けられるため、一つの算出部は割り当てられた時間サンプルtのみのf(t)を算出する。また、個々の関数f(t)算出部202から出力されてくる関数f(t)は、全て加算されてバッファ部203及び比較部204に出力される。
【0043】
バッファ部203は、関数f(t)算出部202から出力されてくる関数f(t)の加算値を保持すると伴に、それまで保持していた前回の関数f(t)の加算値を比較部204に出力する。
【0044】
比較部204は、関数f(t)算出部202から関数f(t)の加算値を入力され、かつ、バッファ部203から前回の関数f(t)の加算値を入力される。そして、比較部204は、今回の前記加算値と前回の前記加算値との差(以下「Σf(t)の差」という)を算出する。
【0045】
適応アルゴリズム部205は、比較部204から今回の関数f(t)の加算値と伴に出力されてくるΣf(t)の差を蓄積し、適応アルゴリズムを用いて関数f(t)の加算値の絶対値を小さくするピーク抑圧信号X(t)を生成するための調整信号A1を生成する。この適応アルゴリズムとしては、LMS(Least Mean Squares)アルゴリズム又はRLS(Recursive Least Squares)アルゴリズム等が例示される。そして、適応アルゴリズム部205は、この調整信号A1をピーク抑圧信号生成部206に逐次出力する。また、適応アルゴリズム部205は、関数f(t)の加算値の絶対値が最小になったと判定したときには、そのときのピーク抑圧信号X(t)をFFT部207に出力するようにピーク抑圧信号生成部206に指示する。
【0046】
ピーク抑圧信号生成部206は、適応アルゴリズム部205から出力されてくる調整信号A1の内容に従ってピーク抑圧信号X(t)を調整して、この調整されたピーク抑圧信号X(t)を関数f(t)算出部202に出力する。また、ピーク抑圧信号生成部206は、適応アルゴリズム部205からの指示に従い、ピーク抑圧信号X(t)をFFT部207に出力する。ここで、ピーク抑圧信号X(t)を、既定のサブキャリアのみから構成することができる。特に、ピーク抑圧信号X(t)を直流成分のみから構成することにより、ピーク抑圧信号の生成が容易になる。
【0047】
FFT部207は、ピーク抑圧信号生成部206から出力されてくるピーク抑圧信号X(t)にFFT(Fast Fourier Transform)処理を施した後に、このFFT処理されたピーク抑圧信号を抑圧信号挿入部103に出力する。
【0048】
次いで、マルチキャリア送信装置100の機能及び動作について詳細に説明する。
【0049】
S/P変換部101に入力されたデータは、S/P変換処理及び変調部102で所定の処理を施された後に複数の複素ベースバンド信号として前処理部120に入力される。これらの複素ベースバンド信号は、抑圧信号挿入部103において抑圧信号計算部110からピーク抑圧信号が出力されてくるまで一時保持される。
【0050】
このピーク抑圧信号は、以下のようにして生成される。前記複素ベースバンド信号は、抑圧信号挿入部103への出力と平行して、抑圧信号計算部110にも出力される。抑圧信号計算部110に入力された複素ベースバンド信号は、IFFT部201においてIFFT処理を施されて、その時間波形サンプルS(t)=S(t)+jS(t)(jは虚数単位)が生成される。この時間波形サンプルS(t)は、時間サンプルt毎に設けられた関数f(t)算出部202にそれぞれ出力される。時間サンプルt毎の関数f(t)算出部202においては、時間波形サンプルS(t)=S(t)+jS(t)(jは虚数単位)と、ピーク抑圧信号生成部206から出力されてくるピーク抑圧信号X(t)=X(t)+jX(t)(jは虚数単位)と、ピーク抑圧部111において既定されるしきい値Kと、に基づいて式(1)で定義される時間サンプルt毎の関数f(t)が算出される。そして、関数f(t)算出部202から出力されてくる時間サンプル毎の関数f(t)が全て加算され、この関数f(t)の加算値がバッファ部203及び比較部204に出力される。バッファ部203には、関数f(t)算出部202から前回出力されてきた関数f(t)の加算値が保持されており、今回の関数f(t)の加算値が入力されることにより、前回の関数f(t)の加算値が押し出されて比較部204に出力される。従って、比較部204には、今回の関数f(t)の加算値と前回の関数f(t)の加算値とが同時に入力されることになる。比較部204では、これら加算値が比較されてΣf(t)の差が算出される。
【0051】
続いて、このΣf(t)の差と今回の関数f(t)の加算値とが適応アルゴリズム部205に入力され、ここでLMSアルゴリズム等により関数f(t)の加算値の絶対値をより小さくするピーク抑圧信号X(t)が算出される。そして、この算出されたピーク抑圧信号X(t)を生成するように、適応アルゴリズム部205からピーク抑圧信号生成部206に調整信号A1が出力される。
【0052】
続いて、ピーク抑圧信号生成部206では、この調整信号A1に従って適宜ピーク抑圧信号X(t)が生成される。続いて、調整信号A1に従って生成されたピーク抑圧信号が、ピーク抑圧信号生成部206から時間サンプルt毎に設けられた関数f(t)算出部202にそれぞれ出力される。続いて、関数f(t)算出部202では、この調整信号A1に従って生成されたピーク抑圧信号X(t)を用いて、時間サンプルt毎の関数f(t)が再度計算される。
【0053】
この関数f(t)算出部202、バッファ部203、比較部204、適応アルゴリズム部205及びピーク抑圧信号生成部206で形成されるルーチンによる信号処理は、関数f(t)の加算値の絶対値が最小となるまで繰り返し実行される。そして、最終的に適応アルゴリズム部205によって関数f(t)の加算値の絶対値が最小になったことが確認されたときに、適応アルゴリズム部205からピーク抑圧信号生成部206にそのときのピーク抑圧信号X(t)をFFT部207に出力するように指示が出力される。この指示が出力されたときに、ピーク抑圧信号生成部206からFFT部207にピーク抑圧信号X(t)が出力される。続いて、このピーク抑圧信号X(t)は、FFT部207においてFFT処理を施された後に抑圧信号挿入部103に出力される。
【0054】
続いて、抑圧信号挿入部103では、保持されている複素ベースバンド信号に抑圧信号計算部110から出力されてくるピーク抑圧信号X(t)が付加(加算)される。このピーク抑圧信号X(t)は、上記の通り複素ベースバンド信号にピーククリッピングを施すときに生じる信号電力損失を最小とするようにシミュレーションによって設計されたものである。そのため、このピーク抑圧信号X(t)を複素ベースバンド信号に付加すれば、ピーククリッピングによって生じる信号電力損失を従来のピーク抑圧信号挿入手法とピーククリッピング手法とを単に組み合わせた場合に生じる信号電力損失よりも確実に小さくすることができる。
【0055】
続いて、ピーク抑圧信号を付加された複素ベースバンド信号は、IFFT部104、P/S変換部105及びGI挿入部106において所定の処理を施された後に、ピーク抑圧部111に出力される。続いて、ピーク抑圧部111においてガードインターバルを挿入されたOFDMシンボル(複素ベースバンド信号)は、既定のしきい値Kを超える部分についてピーククリッピングを施される。続いて、ピーククリッピングを施された複素ベースバンド信号は、D/A変換部107、無線送信部108及びアンテナ素子109において所定の処理を施された後、受信側装置に無線送信される。
【0056】
本実施の形態に係るOFDM方式のマルチキャリア送信装置100によれば、複素バースバンド信号がピーク抑圧部111においてピーククリッピングを施される前に、このピーククリッピングによって生じる信号電力損失を最小とするように抑圧信号計算部110においてシミュレートされたピーク抑圧信号が抑圧信号挿入部103において複素ベースバンド信号に付加されるため、前記信号電力損失を確実に削減することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係るOFDM方式のマルチキャリア送信装置100によれば、ピーク抑圧部111において複素ベースバンド信号にピーククリッピングが施されるため、非線型歪みに起因する特性劣化を抑圧することができる。
【0058】
なお、本実施の形態に係る通信システムを以下のように変形したり、応用したりしてもよい。
【0059】
本実施の形態においては、ピーク抑圧部111において複素ベースバンド信号の時間波形サンプルについて既定のしきい値Kを超える部分に限りピーククリッピングを施す場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば前記既定のしきい値Kを超える部分と時間サンプル軸上でしきい値Kに近接するサンプル点とに重み付け関数を重畳し、複素ベースバンド信号の時間波形サンプルの最大振幅値を既定のしきい値以下に抑圧してもよい。このようにすれば、帯域制限後の送信信号におけるピーク電力値の再発生を効果的に防ぐことができる。
【0060】
また、本実施の形態においては、ピーク抑圧部111におけるピーククリッピングによって生じた所望帯域外成分を除去することなく受信側装置に送信する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば前記所望帯域外成分をバンドパスフィルタで除去した後に送信するようにしてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、ピーク抑圧部111においてピーククリッピングを施された複素ベースバンド信号のみが出力される場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えばピーク抑圧部111においてピーククリッピングを施される前の複素ベースバンド信号について再度時間波形サンプルを生成し、この時間波形サンプルについての位置情報乃至振幅情報を含む冗長信号を別途生成して、この冗長信号を前記複素ベースバンド信号に添えて出力するようにしてもよい。このようにすれば、前記冗長信号が複素ベースバンド信号の時間波形サンプルの外部情報として受信側装置に送信されるため、ピーククリッピングを施された複素ベースバンド信号が送信されてくる場合でも、受信側装置においてピーククリッピングを施される前の複素ベースバンド信号の時間波形を容易に復元することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、OFDM方式の送信装置について説明したが、通信装置に関する通常の知識を有する者であれば、本実施の形態の記載に基づいてOFDM方式の基地局装置及び移動体通信端末装置を作製できることは明らかである。
【0063】
(実施の形態2)
本発明に係る実施の形態2では、前処理手段において、インタリーブ等の信号系列を無作為に複数生成し、これらの信号系列を用いて入力信号を処理した後に、各信号系列で処理された入力信号(複素ベースバンド信号)を比較する。そして、本実施の形態では、前処理手段において、各信号系列で処理された複素ベースバンド信号の中から、ピーク抑圧手段における信号電力損失を最も小さくできる信号系列を選択する。
【0064】
以下、本実施の形態に係るOFDM方式のマルチキャリア送信装置について、適宜図を参照しつつ説明するが、実施の形態1において示した構成要素と同様の機能を発揮する構成要素については、同一の参照符号を附してその説明を省略する。
【0065】
図3は、マルチキャリア送信装置300の構成を示すブロック図である。
【0066】
本実施の形態に係るマルチキャリア送信装置300は、前記実施の形態1におけるマルチキャリア送信装置において、前処理部120における抑圧信号挿入部103及び抑圧信号計算部110の代わりに、前処理部320に系列生成部301及び系列比較選択部304を具備する。また、マルチキャリア送信装置300では、複数の信号系列を同時に複数生成するため、信号系列毎に系列生成部301、S/P変換部302及び変調部303が設けられる。
【0067】
系列生成部301は、入力信号に対して誤り訂正符号化、スクランブル符号化又はインタリーブ等からなる信号系列による変換処理を施す。また、系列生成部301は複数設けられ、各系列生成部301#k間で信号系列が重ならないように調整される。
【0068】
各系列生成部301#kは、前記信号系列で処理された入力信号を、S/P変換部302#k及び変調部303#kを介して系列比較選択部304に出力する。ここで、S/P変換部302#k及び変調部303#kは、前記実施の形態1におけるS/P変換部101及び変調部102と同じ機能を発揮する。
【0069】
系列比較選択部304は、各変調部303#kから出力されてくる各信号系列で処理された複素ベースバンド信号の中からピーク抑圧部111におけるピーククリッピングによって生じる信号電力損失が最も小さくなる信号系列を選択し、この選択された信号系列で処理された複素ベースバンド信号をIFFT部104に出力する。
【0070】
図4は、系列比較選択部304の構成を示すブロック図である。
【0071】
系列比較選択部304は、複数のIFFT部401#k、複数の関数g(t)算出部402#k、比較部403及び出力選択部404を具備する。
【0072】
各IFFT部401#kは、それぞれ割り当てられた信号系列で処理された複素ベースバンド信号にIFFT処理を施す。なお、IFFT部401の機能は、前記実施の形態1におけるIFFT部104と同じである。
【0073】
各関数g(t)算出部402#kは、各信号系列におけるIFFT処理された複素ベースバンド信号について、以下の計算を行う。即ち、IFFT処理により生成された各複素ベースバンド信号の時間波形サンプルS(t)=SI,k(t)+jSQ,k(t)(jは虚数単位、kは信号系列毎に付与された番号)と、ピーク抑圧部111における既定のしきい値Kと、に基づいて、
【数6】
Figure 2004336564
で定義される関数g(t)が算出される。続いて、各関数g(t)算出部402#kから出力されてくる関数g(t)は、信号系列毎に加算された後に比較部403に出力される。
【0074】
比較部403では、各関数g(t)算出部402#kから出力されてくる各信号系列の加算値が比較され、その加算値が最小である信号系列が選択される。そして、比較部403は、この選択された信号系列を出力選択部404に通知する。
【0075】
出力選択部404は、比較部403からの前記通知に従って該当する信号系列の変調部303#kから直接出力されてくる複素ベースバンド信号を選択し、この選択された複素ベースバンド信号をIFFT部104に出力する。即ち、系列比較選択部304から出力されてくる複素ベースバンド信号は、ピーク抑圧部111におけるピーククリッピングによって生じる信号電力損失を最も小さくでき、このことがシミュレーションによって確認されたものである。そのため、系列比較選択部304から出力されてくる複素ベースバンド信号にピーク抑圧部111においてピーククリッピングを施しても、これによって生じる信号電力損失を従来の確率的にPAPRを低減する手法とピーククリッピングとを単に組み合わせた場合に生じる信号電力損失よりも確実に小さくすることができる。
【0076】
本実施の形態に係るマルチキャリア送信装置によれば、前記実施の形態1と同様に信号電力損失を小さくできる効果に加えて、前処理部320において複数の系列生成部301と系列比較選択部304とを設けたことにより、ピーク抑圧部111におけるピーククリッピングによる信号電力損失を複数の信号系列を用いて同時並行で試算できるため、前処理部320における最適解を迅速に見出すことができる。
【0077】
ちなみに、本実施の形態に係る発明を以下のように記載することもできる。
【0078】
すなわち、本実施の形態に係る第1の態様のマルチキャリア送信装置は、同一の入力情報信号から複数の互いに異なる信号系列を生成する生成手段(系列生成部301)と、複数の互いに異なる信号系列から複数の複素ベースバンド信号を生成するマルチキャリア変調手段(S/P変換部302及び変調部303)と、前記マルチキャリア変調手段から出力された複数の複素ベースバンド信号の時間波形における振幅を既定のしきい値以下に制限する制限手段(ピーク抑圧部111)と、時間波形振幅制限を受けた複数の複素ベースバンド信号から一つの複素ベースバンド信号を送信信号として選択する選択手段(系列比較選択部304)とを具備する構成を採る。
【0079】
本実施の形態に係る第2の態様のマルチキャリア送信装置は、前記態様において、前記選択手段(系列比較選択部304)は、前記制限手段(ピーク抑圧部111)における時間波形振幅制限によって生じる信号電力の損失が最小となる複素ベースバンド信号を送信信号として選択する構成を採る。
【0080】
本実施の形態に係る第3の態様のマルチキャリア送信装置は、前記態様において、前記選択手段(系列比較選択部304)は、時刻tにおける前記複素ベースバンド信号をS(t)=SI,k(t)+jSQ,k(t)(jは虚数単位、kは信号系列毎に付与された番号)とし、前記既定のしきい値をKとしたとき、
【数7】
Figure 2004336564
で定義される関数g(t)の加算値
【数8】
Figure 2004336564
を最小とする複素ベースバンド信号を送信信号として選択する構成を採る。
【0081】
本実施の形態に係る第4の態様のマルチキャリア送信装置は、前記態様において、前記生成手段(系列生成部301)は、同一の入力情報信号に対して互いに異なる複数の誤り訂正符号化を施すことにより複数の互いに異なる信号系列を生成する構成を採る。
【0082】
本実施の形態に係る第5の態様のマルチキャリア送信装置は、前記態様において、前記生成手段(系列生成部301)は、同一の入力情報信号に対して互いに異なる複数のスクランブル符号を施すことにより複数の互いに異なる信号系列を生成する構成を採る。
【0083】
本実施の形態に係る第6の態様のマルチキャリア送信装置は、前記態様において、前記生成手段(系列生成部301)は、同一の入力情報信号に対して互いに異なる複数のインタリーブを施すことにより複数の互いに異なる信号系列を生成する構成を採る。
【0084】
本実施の形態に係る第7の態様のマルチキャリア送信装置は、前記態様において、前記生成手段(系列生成部301)は、同一の入力情報信号に対して互いに異なる複数のパンクチャパターンを施すことにより複数の互いに異なる信号系列を生成する構成を採る。
【0085】
(実施の形態3)
本発明に係る実施の形態3では、前処理手段において、分岐された複数の複素ベースバンド信号に任意、かつ、複数の位相回転処理を施した後に、これらの複素ベースバンド信号の中からピーク抑圧手段における信号電力損失を最も小さくする位相回転パターンを選択する。そして、本実施の形態では、ピーク抑圧手段において、ピーククリッピングによって生じる信号電力損失を最も小さくできる位相回転パターンを複素ベースバンド信号に重畳する。
【0086】
以下、本実施の形態に係るOFDM方式のマルチキャリア送信装置について、適宜図を参照しつつ説明するが、実施の形態1において示した構成要素と同様の機能を発揮する構成要素については、同一の参照符号を附してその説明を省略する。
【0087】
図5は、本実施の形態に係るマルチキャリア送信装置500の構成を示すブロック図である。
【0088】
マルチキャリア送信装置500は、前記実施の形態1に係るマルチキャリア送信装置100において、前処理部120における抑圧信号挿入部103及び抑圧信号計算部110の代わりに、前処理部520で位相回転乗算部503及び位相回転量計算部510を具備するものである。
【0089】
位相回転量計算部510は、複素ベースバンド信号を位相回転させたときに、ピーク抑圧部111におけるピーククリッピングによって生じる信号電力損失を試算してこれを最も小さくできる位相回転パターンを選択し、この位相回転パターンについての情報を位相回転乗算部503に出力する。
【0090】
位相回転乗算部503は、位相回転量計算部510から出力されてくる位相回転パターンに対応する位相回転量を複素ベースバンド信号に重畳した後にIFFT部104に出力する。
【0091】
図6は、位相回転量計算部510の構成を示すブロック図である。
【0092】
位相回転量計算部510は、グループ分割部601、複数のIFFT部602、複製部603、複数の位相回転ユニット610及び比較部604を具備する。また、位相回転ユニット610は、後述する各位相回転パターンに対応し、複数の位相回転係数重畳部611、加算部612及び複数の関数g(t)算出部613を具備する。
【0093】
位相回転量計算部510における位相回転量計算は、次のようにして行われる。入力信号(複素ベースバンド信号)のサンプル点は、グループ分割部601においていくつかのグループに分けられる。グループ毎にIFFT部602においてIFFT処理を施された複素ベースバンド信号は、複製部603において用意された位相回転パターンと同数複製される。ここで、位相回転パターンk番のl番目のグループには、位相回転量θ(l)が重畳される。位相回転された複素ベースバンド信号を位相回転パターン毎(位相回転ユニット610毎)に全グループの情報を加算すると、時間波形サンプルS(t)=SI,k(t)+jSQ,k(t)(jは虚数単位、kは位相回転パターン毎に付与された番号)が生成される。関数g(t)算出部613においては、ピーク抑圧部111におけるピーククリッピングにおけるしきい値をKとするとき、
【数9】
Figure 2004336564
で定義される関数g(t)が各位相回転ユニット610においてグループ毎に算出される。そして、位相回転ユニット610毎に関数g(t)が加算され、その加算値がそれぞれ比較部604に出力される。
【0094】
比較部604は、各位相回転ユニット610から出力されてくる関数g(t)の加算値を比較して、その値が最小である位相回転パターンを選択する。続いて、比較部604は、選択された位相回転パターンについての情報を位相回転乗算部503に出力する。即ち、比較部604から出力されてくる位相回転パターンは、ピーク抑圧部111におけるピーククリッピングによって生じる信号電力損失を最も小さくでき、このことがシミュレーションによって確認されたものである。そのため、位相回転量計算部510から出力される位相回転パターンを位相回転乗算部503で複素ベースバンド信号に重畳すれば、その後にピーク抑圧部111におけるピーククリッピングよって生じる複素ベースバンド信号の信号電力損失を従来のPTS手法とピーククリッピングとを単に組み合わせた場合に生じる信号電力損失よりも確実に小さくすることができる。
【0095】
本実施の形態に係るマルチキャリア送信装置によれば、複素ベースバンド信号にピーククリッピングを施すことによって生じる信号電力損失を最小とする位相回転パターンを複素ベースバンド信号に重畳して送信するため、非線型歪みに起因する特性劣化を抑圧することができる。
【0096】
ちなみに、本実施の形態に係る発明を以下のように記載することもできる。
【0097】
本実施の形態に係る第1の態様のマルチキャリア送信装置は、入力情報信号から複素ベースバンド信号を生成するマルチキャリア変調手段(S/P変換部101及び変調部102)と、前記マルチキャリア変調手段から出力された複素ベースバンド信号について複数の成分毎にグループ分割する分割手段(グループ分割部601)と、複数の位相回転パターンの中から選択された位相回転量を、前記分割手段によって形成されたグループ毎に重畳し、位相回転量に関する情報を信号に付加する位相回転手段(前処理部520)と、位相回転された複素ベースバンド信号の時間波形における振幅を既定のしきい値以下に制限する制限手段(ピーク抑圧部111)とを具備する構成を採る。
【0098】
本実施の形態に係る第2の態様のマルチキャリア送信装置は、前記態様において、前記位相回転手段(前処理部520)は、前記制限手段(ピーク抑圧部111)における時間波形振幅制限によって生じる信号電力の損失が最小となる位相回転パターンを選択し、複素ベースバンド信号に重畳することを特徴とするマルチキャリア送信装置に関するものである。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複素ベースバンド信号のピーククリッピングによる信号電力損失について、事前のシミュレーションにより得られた信号電力損失が最も小さくなる最適条件で実際にピーククリッピングが施されるため、マルチキャリア送信装置において、ピーク抑圧信号挿入手法や送信信号系列選択手法やPTS手法等とピーククリッピング手法とを組み合わせて用いても、複素ベースバンド信号の信号電力損失を確実に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るマルチキャリア送信装置の構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1に係る抑圧信号計算部の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態2に係るマルチキャリア送信装置の構成を示すブロック図
【図4】実施の形態2に係る系列比較選択部の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態3に係るマルチキャリア送信装置の構成を示すブロック図
【図6】実施の形態3に係る位相回転量計算部の構成を示すブロック図
【図7】従来のピーク抑圧信号を付加する手法によりOFDMシンボルの時間波形サンプルの電力損失が変化する様子を示す図
【符号の説明】
100 マルチキャリア送信装置
101、302 S/P変換部
102、303 変調部
103 抑圧信号挿入部
104、201、401、602 IFFT部
105 P/S変換部
106 GI挿入部
107 D/A変換部
108 無線送信部
109 アンテナ素子
110 抑圧信号計算部
111 ピーク抑圧部
120、320、520 前処理部
202 関数f(t)算出部
203 バッファ部
204、403、604 比較部
205 適応アルゴリズム部
206 ピーク抑圧信号生成部
207 FFT部
301 系列生成部
304 系列比較選択部
402、613 関数g(t)算出部
404 出力選択部
503 位相回転乗算部
510 位相回転量計算部
601 グループ分割部
603 複製部
610 位相回転ユニット
611 位相回転係数重畳部
612 加算部

Claims (7)

  1. 複素ベースバンド信号の時間波形における振幅を既定のしきい値以下に抑圧するときに生じる信号電力損失を削減するための前処理を施す前処理手段と、
    前記前処理を施された前記複素ベースバンド信号の時間波形における振幅を前記しきい値以下に抑圧するピーク抑圧手段と、
    前記ピーク抑圧手段から出力されてくる前記複素ベースバンド信号をマルチキャリア信号に変換して送信する送信手段と、を具備することを特徴とするマルチキャリア送信装置。
  2. 前記前処理手段は、前記しきい値以下に抑圧するときに生じる前記信号電力損失を試算し、この試算に基づいて前記信号電力損失を削減するピーク抑圧信号を算出する抑圧信号計算手段と、前記ピーク抑圧信号を前記複素ベースバンド信号に付加する抑圧信号挿入手段と、を具備することを特徴とする請求項1記載のマルチキャリア送信装置。
  3. 前記抑圧信号計算手段は、
    時刻tにおける前記複素ベースバンド信号の時間波形サンプルを
    S(t)=S(t)+jS(t)(jは虚数単位)とし、
    時刻tにおけるピーク抑圧信号を
    X(t)=X(t)+jX(t)(jは虚数単位)とし、
    前記しきい値をKとする場合において、
    Figure 2004336564
    で定義される関数f(t)の加算値
    Figure 2004336564
    を最小にするピーク抑圧信号を算出することを特徴とする請求項2記載のマルチキャリア送信装置。
  4. 前記抑圧信号計算手段は、適応アルゴリズムによりピーク抑圧信号を算出することを特徴とする請求項2又は請求項3記載のマルチキャリア送信装置。
  5. 前記ピーク抑圧手段は、前記複素ベースバンド信号の時間波形を前記しきい値以下に抑圧する前にサンプル化し、前記しきい値以下に抑圧される時間波形サンプルの位置情報又は振幅情報を含む冗長信号を生成して、前記しきい値以下に抑圧された前記複素ベースバンド信号と伴に前記冗長信号を出力する冗長信号生成手段を具備し、
    前記送信手段は、前記マルチキャリア送信信号と伴に前記冗長信号を送信することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のマルチキャリア送信装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載のマルチキャリア送信装置を具備することを特徴とする基地局装置。
  7. 請求項1から請求項5のいずれかに記載のマルチキャリア送信装置を具備することを特徴とする移動体通信端末装置。
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