JP2004335738A - 有機ntc組成物及びそれを用いた有機ntc素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】素子における生産性及び加工の自由度があり、電極界面との接着性が良く、熱剥離等を起こさない有機NTC組成物、及び繰り返し使用における十分な耐久性及び耐熱性を有する有機NTC素子を提供すること。
【解決手段】本発明に係る有機NTC組成物は、温度が上昇すると可逆的に抵抗値が減少する組成物であって、共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に無機成分が含有されてなることを特徴とし、本発明に係る有機NTC素子は、少なくとも一対の電極と、その電極間に上記有機NTC組成物を設けてなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機NTC組成物及び有機NTC素子に関するものであり、より詳細には、素子に所定の形状加工性、柔軟性を持たせ、特に、非平面部にも対応或いは適用可能なことから、二次電池、燃料電池、移動体通信機器、ディスプレイ、冷蔵庫、エアコン、暖房器具、炊事器具等の多様な機器に好適に使用できる有機NTC組成物及びその素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、NTC素子は温度が上昇すると抵抗値が減少するという負の温度係数を有し、可逆的に変化する素子であるために温度によって影響される電気特性などを補正する温度補償、あるいはスイッチング電源等の電源投入時のサージ電流を抑制する目的などで用いられる。
従来のNTC素子の組成物は、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属の酸化物を2種類以上選択し、所定の比率で配合した原料を高圧下で圧縮し、高温焼成して得られた複合酸化物セラミックスで構成されていることが知られている(特許文献1を参照。)。
また、共役系有機半導体高分子を用いるNTC素子についても検討されており、これは電解重合法で重合した共役系有機半導体高分子膜を基板に装着し、その膜に一対の電極を真空蒸着で形成してなるNTC素子が知られている(特許文献2を参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平05−021209号公報
【特許文献2】
特開平03−211702号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記NTC素子は遷移金属酸化物を含む複合酸化物セラミックスとなるため高価であるとともに、高温焼成を必要とするために、高い生産性を得ることが困難である。さらに、これらのNTC素子はすでに素子形状が決まっているため、加工の自由度が少なく、すなわち回路基板上にNTC機能を有する回路を形成し、組み込ませることが困難である。
【0005】
また、共役系有機半導体高分子を用いるNTC素子においては、有機半導体高分子膜は電解質溶液中で電解重合法にて製膜されるが、膜に不純物が混入し易く、また抵抗調整が難しい。さらには、製膜した有機半導体高分子膜は電極に対する接着性に乏しいという問題もある。接着性は、電極を粗面化等の表面改質により改善を図ることが可能であるが、その効果は万全ではない。
【0006】
さらに、共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは未硬化の熱硬化性樹脂を溶剤に溶解し、有機NTC素子組成物溶液を得た後、基板面に形成した電極に上記有機NTC素子組成物溶液を付して乾燥し、上記溶剤を除いて該電極に有機NTC素子組成物層を形成する方法も検討されている。この場合、有機半導体高分子層と金属箔からなる電極の線膨張係数は大きく異なるため、界面が熱応力により歪み、微小な界面剥離を誘発させ、繰り返し使用時にNTC特性が大きく損なわれるという欠点があった。そこで、これを防止するために樹脂成分の添加比率を増加させることが試みられるが、NTC素子の抵抗値を大きく変化させるおそれがあり、またNTC特性が損なわれるおそれがある。熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂と共役系有機半導体高分子との比率調整は、NTC特性の調整に主に使用されることから、樹脂成分を接着性向上の目的として多く使用することには、NTC特性の設計の自由度の低下に繋がり好ましくない手法である。
【0007】
また、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂については、有機NTCが200℃以上の耐熱性を要求される製品仕様の場合には、耐熱性に優れる樹脂を選定する必要があるが、一般的にこれらは耐熱性の乏しい汎用樹脂と比較して、格段に高価である。
【0008】
従って、本発明の解決すべき課題は、素子における生産性及び加工の自由度があり、電極界面との接着性が良く、熱剥離等を起こさない有機NTC組成物、及び繰り返し使用における十分な耐久性及び耐熱性を有する有機NTC素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく研究した結果、共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂とからなる有機NTC組成物に無機成分を添加すると、耐熱性を向上させること、有機組成物層と電極との線膨張係数を制御できること、また、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂にカップリング剤を添加、或いは、ハイブリッド化(金属アルコキシドによる無機/有機の複合化)することにより、電極界面との接着性を高め、その結果として、共役系半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂との比率を大きく変えることなく、NTC特性を保持したまま接着性を向上させ、繰り返し使用に対する耐久性に優れた有機NTC素子を提供することができることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明に係る有機NTC組成物及び有機NTC素子は、以下の構成或いは手段からなることを特徴とし、上記課題を解決するものである。
【0010】
本発明に係る有機NTC組成物は、温度が上昇すると可逆的に抵抗値が減少する有機NTC組成物において、共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に無機成分が含有されてなることを特徴とする。
【0011】
無機成分としては、無機粒子、カップリング剤等からなる。無機粒子としては、例えば、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、亜鉛などの金属微粒子、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ケイ酸リチウム、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化バナジウム、酸化マンガンなどの無機酸化物、無定形炭素、コークス、黒鉛、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素化合物が挙げられる。
カップリング剤としては、例えば、チタネート系、シラン系、アルミネート系アルコキシ化合物が挙げられる。具体的にはテトラメトキシ(チタネート/シラン/アルミネート)、テトラエトキシ(チタネート/シラン/アルミネート)、テトラプロポキシ(チタネート/シラン/アルミネート)、テトラブトキシ(チタネート/シラン/アルミネート)等のテトラアルコキシ類、トリメトキシメチル(チタネート/シラン/アルミネート)、トリメトキシエチル(チタネート/シラン/アルミネート)、トリエトキシエチル(チタネート/シラン/アルミネート)、トリメトキシフェニル(チタネート/シラン/アルミネート)等のトリアルコキシ類等である。これらは単独又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0012】
上記無機成分の含有量としては、上記熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂100質量部に対し無機成分が0.01〜100質量部の範囲で含有されていることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に無機成分、カップリング剤を化学的に架橋させることにより、分散性が向上し、また高充填可能とすることができ、組成物層を電極界面に十分に接着させることができる。
【0013】
本発明に係る有機NTC素子において、上記無機成分が金属酸化物であり、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂とその金属成分とがハイブリッド化されていることが好ましく、このような金属酸化物としてはシリカ、又はチタニア等を挙げることができる。ここでいうハイブリッド化とは分子レベルでの無機/有機の複合化ということであり、具体的には有機高分子共存下に金属アルコキシドの加水分解・重縮合(ゾル−ゲル反応)を生じさせ、金属酸化物を導入した有機/無機複合材料のことを示す。このようなハイブリッド化をすることにより、樹脂成分と無機成分とが複合している組成物が電極界面との接着性を十分に発揮し、このような組成物を用いた素子は繰り返し使用に対する耐久性に優れている。
【0014】
上記共役系有機半導体高分子としては、具体的にポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールまたはそれらの誘導体等が挙げられる。
【0015】
上記有機NTC組成物を一対の電極間に設けてなる本発明に係るNTC素子にあっては、生産性及び加工の自由度があり、電極界面との接着性が良く、熱剥離等を起こし難い。また返し使用における十分な耐久性及び耐熱性を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳しく説明する。尚、本発明に係る有機NTC組成物及び有機NTC素子は以下の実施の形態、及び実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る有機NTC素子の概略断面図である。図2は、本発明に係る有機NTC素子に使用する基板面に形成される櫛歯電極を示す平面図である。
【0017】
本発明に係る有機NTC組成物は、温度が上昇すると可逆的に抵抗値が減少する有機NTC組成物であり、本発明に係る有機NTC素子は、一対の電極と、その電極間に下記有機NTC組成物を設けてなるものである。
上記有機NTC組成物は、共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に無機成分が含有されてなる。
【0018】
上記有機NTC組成物における共役系有機半導体高分子としては、一般的に固有抵抗値が1×1012 Ω・cmの半導体領域にある共役系有機高分子から選ばれることが望ましい。具体的には、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリセレノフェン、ポリアズレン、ポリピレン、ポリナフチレン、ポリフルオレンなどが挙げられる。このうち溶剤に可溶性であれば、後述する熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂と混合することが容易にでき、分散したスラリー状態から形成するよりも安定した組成物を得ることができることから、アルキル基やアルコキシル基等の置換基を導入した誘導体が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−チオフェン−β−エタンスルフォネール)、ポリメチルピロール、ポリ(3−ヘキシルピロール)、ポリ(3−メチル−4−ピロールカルボン酸メチル)、ポリ(3−メチル−4−ピロールカルボン酸エチル)、ポリ(3−メチルアニリン)、ポリ(3−フェニルアニリン)、ポリシアノフェニレンビニレン、ポリジメトキシフェニレンビニレンなどの共役系有機半導体高分子の誘導体が挙げられる。
【0019】
上記共役系有機半導体高分子のうち、特に溶剤可溶性が十分にあり、温度や湿度に安定性が高く、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン誘導体が特に好ましい。
一般的に、置換基が導入された誘導体は、元の共役系有機半導体高分子よりは、π電子に電子的影響を与え、固有抵抗は高くなり、また、その分子構造から、隣接する共役性の主鎖間の距離が適度に離れるため、適当な半導体領域になり易く、NTC機能を発揮する傾向にある。
【0020】
共役系有機半導体高分子は、構造単位であるモノマを、塩化第二鉄、塩化第二銅、塩化第二錫などの遷移金属の塩化物、過酸化水素水、オゾン、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、酸化銀などの金属酸化物、過マンガン酸、クロム酸、次亜塩素酸などの無機酸やその塩類、過塩素酸第二鉄、過塩素酸第二銅などの過塩素酸塩類、過硫化アンモニウム、過硫化ナトリウム、過硫化カリウムなどの過硫化物などを酸化重合触媒として用いて得ることができる。
【0021】
上記共役系有機半導体高分子には抵抗調整のため、あるいは後述するサーミスタ定数(B定数)を調整するためにアクセプタ系あるいはドナー系のドーパント(導電性高分子等において微量ドープすることによって抵抗を効果的に下げることができる固定の電気的特性を変化させる不純物)をドーピングすることができる。ドーピング手法とは、共役導電性高分子中に、アクセプタ性又はドナー性ドーパント(抵抗調整剤)をドーピングすることにより、共役導電性高分子の共役電子の酸化還元電位を変化させ、導電性を得ることができる。
アクセプタとしてヨウ素、臭素などのハロゲン、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SO等のルイス酸、HF、HCl、HSOなどのプロトン酸やパラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、スルホン化ポリスチレンなどの有機酸、FeCl、TiClなどの遷移金属化合物、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノテトラアザナフタレン、クロラニルなどの有機物質、あるいはドナーとしてのLi、Na、Kなどのアルカリ金属、Ca、Sr、Baなどのアルカリ金属土類などをドーピングすることができる。尚、場合によっては、これらのドーパントを配合することにより、共役系有機半導体高分子の電子状態が導電体に近づくため半導体性が失われ、NTC機能として、温度に対しての抵抗減少率が低下する、すなわちサーミスタ定数が低下する場合があるので、過剰な配合は避け、適宜に配合する必要がある。
【0022】
上述の共役系有機半導体高分子の酸化重合触媒で、ハロゲン類や遷移金属塩化物などはドーパントとして機能するものもあり、必要ならばこれをイオン交換等により排除し、あるいは失効させるなどすることができる。
また、脱ドープによる抵抗値が、経時的に変化することがあるので、電解質アニオン、及び電解質カチオンは避けることが望ましく、高分子にドーピング機能を持つ置換基を有した高分子型のものは好ましい。
特にドーパントをAB2型のモノマを出発原料とし、中心核分子から順次結合させて合成されたデンドリマーやポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどのオリゴマー、ポリマーあるいはフラーレン分子に導入し、官能基として担持することが簡便であって特に望ましい。
【0023】
このように高分子担体を中心に多官能となったドーパントは、共役系有機半導体高分子間をブリッジさせることができ、さらに、混合する熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂と擬似的にIPN(相互貫入高分子網目;interpenetrating polymer network)化し、相溶性を高め、共役系有機半導体高分子とそれら樹脂との分離を抑えることができ、有用な安定化策である。
【0024】
このほか、ドーパントを共役系有機半導体高分子と共重合した自己ドープ型などは、ドーパントの固定に対して有効な方法となる。
NTC機能の発現は、半導体であれば、基本的にはすべての電子が原子の周りの軌道に閉じこめられていて、自由に原子間を動くことはできないが、半導体に不純物を加えて原子軌道からはみ出した電子を作ってやると、電子は動けるようになる。温度を上げて最外殻軌道よりさらに外側に電子を放り出し、自由に動ける電子の数が増加することによって、半導体の抵抗は減少することによるものと思われる。
共役系有機半導体高分子が後述する絶縁性の樹脂と混合され、該共役系有機半導体高分子が絶縁性の樹脂と分子レベルで分散され、すなわち相溶状態であるか、または該共役系有機半導体高分子の凝集体となって分散されていても、半導体性の高分子であれば、その混合物は半導体性を示し、NTC機能を有することとなる。
【0025】
上記共役系有機半導体高分子と混合する樹脂は熱可塑性であっても、熱硬化性であっても良いが、共役系有機半導体高分子を溶解する溶剤に溶けることが好ましいことから、比較的極性の高い樹脂が特に好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル、ポリフェニレンオキサド、ポリブチラール、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、マレイミド樹脂、ニトリルゴム等を挙げることができる。また、上記樹脂の混合物、共重合体、あるいはその変性物などを適宜使用することができる。
上記共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂との比率は共役系有機半導体高分子100質量部に対して、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂が5〜500質量部であることが好ましい。
【0026】
本発明に係る有機NTC組成物に用いる無機成分としては、無機粒子、カップリング剤等を挙げることができる。
上記無機粒子としては、金属、炭素、無機酸化物、無機燐酸塩、無機亜燐酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種のものを使用することができる。例えば、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、亜鉛などの金属微粒子、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ケイ酸リチウム、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化バナジウム、酸化マンガンなどの金属酸化物、無定形炭素、コークス、黒鉛、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素化合物が挙げられる。
【0027】
上記無機粒子を含有させる場合には、平均粒径が5nm〜50μmであることが好ましい。50μmより大きな粒径は、良好な分散状態が得られず、NTC特性のバラツキとなる。また、5nmより小さい粒径は、製造が極めて難しく、また二次凝集が起きやすい点から好ましくない。
このような粒子系の無機成分の均一分散させるため、界面活性剤を用いることも可能である。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノラート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール等の非イオン系界面活性剤および、フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキル四級アンモニウム、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系の界面活性剤が例示される。
【0028】
また、上記無機粒子と共に、チタネート系、シラン系、アルミネート系カップリング剤を単独でもしくは二種以上組み合わせて用いると、さらに耐熱性、接着性を向上することができるため好ましい。これは二種の異なった官能基をもったカップリング剤によって無機粒子と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を、化学的に架橋させることにより、分散性が向上し、また高充填可能とすることができる。さらには後述する電極材料と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を化学的に架橋させることにより接着性が向上するため、有機NTC組成物の耐熱性、機械的性質の改善をすることができる。
【0029】
上記カップリング剤を無機粒子と共に用いる場合には、無機粒子を適宜選定すると効果的である。シラン系カップリング剤を用いる場合の好ましい無機粒子としては、シリカ、ガラス、タルク、アルミナ、アスベスト、二酸化チタン等、チタネート・アルミニウム系カップリング剤を用いる場合には炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、マイカ、シリカ、ガラス、酸化マグネシウム、タルク、カーボンブラック等が上げられる。
【0030】
また、シリカ、チタニアを用いて、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂とハイブリッド化することで、不均一な凝集やクラック等の欠陥のない均質な複合材料として含有させることができる。これにより、有機NTC組成物の耐熱性、分散性、機械的特性を格段に向上させることが可能である。ここでいうハイブリッド化とは分子レベルでの無機/有機の複合化ということであり、具体的には有機高分子共存下に金属アルコキシドの加水分解・重縮合(ゾル−ゲル反応)を生じさせ、金属酸化物を導入した有機/無機複合材料のことを示す。
【0031】
上記ハイブリッド化に用いる無機成分は、アルコキシシラン化合物を含むアルコキシシラン類が例示され、具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類又はそれらの部分縮合物、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリメトキシフェニルシラン等のトリアルコキシシラン類又はそれらの部分縮合物等である。また、これらは単独または2種以上混合して用いることもできる。
上記ハイブリッド化に用いる熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂は上記に例示したアルコキシシラン類と加水分解・重縮合反応させるため、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基等の官能基で修飾した上記熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0032】
上記有機NTC組成物を本発明に係る有機NTC素子の電極間に設けるに当たって、主に上記組成物は溶剤に分散させて溶液として使用される。上記有機NTC組成物に使用される溶剤としては、上記共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは未硬化の熱硬化性樹脂を溶解または分散しうる溶剤であれば特に限定されるものではない。
例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N、N′−ジメチルホルムアミド、N、N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド等の極性溶剤、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。必要に応じて、これらの溶剤は、単独あるいは二種以上の混合物、又は他の有機溶剤との混合物として用いられる。
【0033】
また、素子の機械的、電気的な物性を損なわない程度に、樹脂配合に通常用いられる、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、内部離型剤、加工助剤、分散剤、相溶化剤、難燃剤、接着促進剤等の添加剤を用いてよい。
【0034】
次に、本発明に係る有機NTC素子について詳述する。
本発明の有機NTC素子は、一対の電極間に上記有機NTC組成物を設けてなるものである。例えば、セラミックス基板、ガラス板、ポリイミドフィルムやガラスエポキシ基板などの絶縁性基板状に設けられた一対の櫛歯状電極(図2の電極2を参照。)は、金、銀、パラジウムなどの導電性ペースト、ITO膜、クロム膜や銅箔、電解ニッケル箔、金メッキ電解ニッケル箔などを用い通常のパターニング方法によって形成することができる。そのパターンの線間距離は0.1〜0.5mm程度の範囲で、線間の延べ長さは100〜1000mmの範囲とすることが望ましい。
【0035】
本発明に係る有機NTC素子は、図2に示すパターンに上記有機NTC素子組成物の溶液を塗布又は印刷して、これを乾燥してパターン上に有機NTC素子組成物層を形成している。
電極材料としては、共役系有機半導体高分子層より低い比抵抗を有する導体であればよく、金属箔、導電性ペースト、無機酸化物、炭素材等が好ましい。金属箔としては銅、鉄、ニッケル、黄銅、アルミニウムなどの単一金属箔、複合箔、合金箔などが挙げられる。また、上記有機NTC素子組成物と接する金属箔の表面は粗面化していることが好ましく、例えば、電着、溶射などによって中心線平均粗さRaが0.1μm以上あることが好ましい。この表面の粗面化と無機成分の添加による相乗効果により接着性が向上し、有機NTC素子の耐熱性、繰り返し耐久性も向上する。これ以外に、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、あるいはアンカーコート処理など公知の手法を用いて事前に金属箔の表面処理することも可能である。
【0036】
導電性ペーストとしては、金、銀、銅、ニッケル、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、炭素材、有機導電体を導体とする導電性ペーストが挙げられる。有機半導体層と接触面積が大きくするために、導電性ペースト中の導電体量体積比で60%以上であることが好ましい。また、導電体の形状は導電性及び接触面積の点から2種類上で構成されていることがより好ましい。炭素材としては、無定形炭素、カーボンブラック、コークス、黒鉛、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素化合物が好ましい。導電性及び接触面積の点から2種類上で構成されていることがより好ましい。
【0037】
例えば、一対の電極が、対向する2枚の金属箔からなる場合、本発明に係る有機NTC素子は図1に示す構造を採ることができる。有機NTC素子組成物1は、2枚の金属箔2の間に配せられ、各金属箔の外側にはリード3がそれぞれ接合される。また、有機NTC素子組成物1及び金属箔2の全体は保護層で覆われ、リード3の一部が保護層から突き出されている。
【0038】
本発明に係る有機NTC素子の作製方法は、先ず、上記共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは未硬化の熱硬化性樹脂と無機成分等を溶剤に溶解し、有機NTC素子組成物溶液を得る。有機NTC素子組成物溶液には必要であればその他添加剤等を添加して良い。また、熱硬化性樹脂の場合は、ポットライフの関係から、2液化するなど、硬化剤成分、触媒成分を分けることなどによって対応することができる。
【0039】
本発明に係る有機NTC素子の製法は、基板面に形成した電極に上記有機NTC素子組成物溶液を付して乾燥して、上記溶剤を除いて該電極に有機NTC素子組成物層を形成することができる。
例えば、図2に示すような絶縁性基板上に設けられた対向する櫛歯電極2、2上に上記有機NTC素子組成物溶液を厚み1〜50μmになるようスクリーン印刷、インクジェット印刷などの方法により設けて、十分乾燥させた後、エポキシポッティングモールドやメタルキャップなどにより保護層を形成し有機NTC素子を作製する。
【0040】
また、本発明に係る有機NTC素子の製法は、上記電極となる第1の電極面に上記有機NTC素子組成物溶液を付して乾燥させて、上記溶剤を除いて電極面に有機NTC素子組成物層を形成し、更に、有機NTC素子組成物層に第2の電極を貼り合わせることができる。
例えば、電極として金属箔を用いる場合、上記有機NTC素子組成物溶液を第1の金属箔上にコーティングし、十分乾燥させた後、熱ロールで第2の金属箔を貼り合わせ、必要ならば熱硬化性樹脂を架橋させる。次いで所望の形状に打ち抜いた後、必要ならば各電極にリードを接合し、エポキシディップモールディングして有機NTC素子を作製することができる(図1参照)。
【0041】
本発明に係る有機NTC素子の製法は更に、有機NTC素子組成物溶液を攪拌しながら溶剤を除去し、除去後の混合組成物を可塑化させ、所定形状に成形し、上記一対の電極で該成形物を挟むことができる。
例えば、上記有機NTC素子組成物溶液を真空攪拌乾燥機などで溶剤を十分に揮発させた後、得られたコンパウンドを加熱し可塑化して成形することができる。成形方法は、通常のプラスチック加工に用いられる、押出成形、熱ラミネート加工、インジェクション成形、トランスファー成形などによっても素子を作製することができる。
【0042】
このように構成される有機NTC素子にあっては、高価な希土類遷移元素を使用せずに、しかも低温での作製ができる。また、製造時に、共役系有機半導体高分子の種類やドーピング方法を変えることによって、有機NTC素子組成物のサーミスタ定数の調整を簡単にすることができる。そして、有機NTC素子の抵抗値も容易に調整することができる。このため、セラミック系NTC素子と同様な性能を発揮する。有機NTC素子はこのように高い生産性と加工自由度を有することから、例えば、印刷抵抗体のように、有機NTC組成物溶液を回路基板上に自由な形状で印刷して設け、その他の電子部品などが搭載されたハイブリッド回路基板などを作製することができる。
また、無機成分が有機NTC組成物に含有されるので、後述のB定数の所定の値を維持し、組成物層と電極との線膨張係数を制御できることから電極との境界面に接着性を持たせることができる。また、本発明に係る有機NTC素子は耐湿性、高温貯蔵性に優れ、熱サイクル試験における変化率も少なく、特に、カップリング剤を用いて架橋したものや、ハイブリッド化したものは更に変化率が少なく、繰り返し使用に対する耐久性に優れている。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
先ず、以下に素子の評価方法を示す。
<B定数>
温度25℃における抵抗値R25と、温度85℃における抵抗値R85を測定し、下記式より算出した。
B=(LnR25−LnR85)/(1/298.15−1/358.15)
【0044】
<耐湿負荷試験における変化率(%)>
温度25℃、湿度50%RHにおける抵抗値R25Bとし、測定した素子を温度85℃、湿度85%RHの環境下においてDC 6Vを印加しながら2000時間放置した後、該素子を温度25℃湿度50%RHに戻し、抵抗値R25Aを測定し、下記式より算出した。
耐湿負荷試験における変化率(%)=100*(R25B−R25A)/R25B
【0045】
<高温貯蔵試験における変化率(%)>
温度25℃における抵抗値R25Dとし、測定した素子を温度200℃の環境下に2000時間放置した後、該素子を温度25℃に戻し、抵抗値R25Cを測定し、下記式より算出した。
高温貯蔵試験における変化率(%)=100*(R25D−R25C)/R25D
【0046】
<ヒートサイクル試験における変化率(%)>
温度25℃における抵抗値R25Fとし、測定した素子を温度−20℃から温度80℃、湿度50%RHのサイクルを2000000サイクル実施した後、該素子を温度25℃に戻し、抵抗値R25Eを測定し、下記式より算出した。
ヒートサイクル試験の変化率(%)=100*(R25F−R25E)/R25F
【0047】
(実施例1)
180gのN,N’−ジメチルアセトアミド樹脂に20gのポリピロール商品名:ポリピロールSSPY、日本曹達社製)を溶解し、ポリアミドイミドのN,N’−ジメチルアセトアミド樹脂溶液(固形分30%、商品名:バイロマックス(HR11NN)、東洋紡社製)50g加え、混合溶解させて褐色混合液を調整後、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM903、信越化学工業社製)を0.5g添加、攪拌し、有機NTC組成物溶液を得た。これを遠心成形法で製膜し、150℃の雰囲気下で2時間乾燥し溶剤を除去した後、平均厚みが30μmの褐色有機半導体高分子膜を得た。そして、得られた褐色有機半導体高分子膜の両面を電解ニッケル箔(厚み25μm、中心線平均粗さ1.6μm)で挟み、200℃の温度下で加圧して、有機半導体高分子膜と電解ニッケル箔と融合させて、有機半導体高分子膜の両側に電解ニッケル箔を融合させた構造体を得た。これを1×5mmのサイズにカットし、電極引き出しリードを形成して、有機NTC素子を作製した。
得られた有機NTC素子の抵抗を測定し、B定数、耐湿負荷試験における変化率(%)、高温貯蔵試験における変化率(%)、ヒートサイクル試験の変化率(%)を求め、下記表1に示した。
【0048】
(実施例2)
180gのN,N’−ジメチルアセトアミド樹脂に20gのポリピロール商品名:ポリピロールSSPY、日本曹達社製)を溶解し、ポリアミドイミドのN,N’−ジメチルアセトアミド樹脂溶液(固形分30%、商品名:バイロマックス(HR11NN)、東洋紡社製)50g加え、混合溶解させて褐色混合液を調整後、平均粒径1.0μmのシリカを上記褐色混合溶液に5.0g添加し、さらに、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM903、信越化学工業社製)を0.5g添加した後、ボールミルを用いてシリカを均一分散させ、有機NTC組成物溶液を得た。これを遠心成形法で製膜し、150℃の雰囲気下で2時間乾燥し溶剤を除去した後、平均厚みが30μmの褐色有機半導体高分子膜を得た。そして、得られた褐色有機半導体高分子膜の両面を電解ニッケル箔(厚み25μm、中心線平均粗さ1.6μm)で挟み、200℃の温度下で加圧して、有機半導体高分子膜と電解ニッケル箔と融合させて、有機半導体高分子膜の両側に電解ニッケル箔を融合させた構造体を得た。これを1×5mmのサイズにカットし、電極引き出しリードを形成して、有機NTC素子を作製した。
得られた有機NTC素子の抵抗を測定し、B定数、耐湿負荷試験における変化率(%)、高温貯蔵試験における変化率(%)、ヒートサイクル試験の変化率(%)を求め、下記表1に示した。
【0049】
(実施例3)
まず、テトラエトキシシランとカルボキシル基で修飾されたポリアミドイミド樹脂を触媒として有機強酸を添加したN,N’−ジメチルアセトアミド溶媒中でテトラエトキシシランを分解・縮合反応させ、ポリアミドイミドの末端にシロキサン成分を導入し、シリカ成分が30質量部ハイブリッド化された変性ポリアミドイミドのN,N’−ジメチルアセトアミド樹脂溶液(固形分30%)を調整し、該ハイブリッド化ポリアミドイミド樹脂溶液50gと180gのN,N’−ジメチルアセトアミド樹脂に20gのポリピロール(商品名:ポリピロールSSPY、日本曹達社製)を溶解させた溶液をさらに混合して、褐色混合液を調整し、有機NTC組成物溶液を得た。これを遠心成形法で製膜し、150℃の雰囲気下で2時間乾燥し溶剤を除去した後、平均厚みが30μmの褐色有機半導体高分子膜を得た。そして、得られた褐色有機半導体高分子膜の両面を電解ニッケル箔(厚み25μm、中心線平均粗さ1.6μm)で挟み、200℃の温度下で加圧して、有機半導体高分子膜と電解ニッケル箔と融合させて、有機半導体高分子膜の両側に電解ニッケル箔を融合させた構造体を得た。これを1×5mmのサイズにカットし、電極引き出しリードを形成して、有機NTC素子を作製した。
得られた有機NTC素子の抵抗を測定し、B定数、耐湿負荷試験における変化率(%)、高温貯蔵試験における変化率(%)、ヒートサイクル試験の変化率(%)を求め、下記表1に示した。
【0050】
(比較例1)
無機成分を添加しない以外、実施例1と同様に有機NTC素子を作製した
180gのN,N’−ジメチルアセトアミド樹脂に20gのポリピロール商品名:ポリピロールSSPY、日本曹達社製)を溶解し、ポリアミドイミドのN,N’−ジメチルアセトアミド樹脂溶液(固形分30%、商品名:バイロマックス(HR11NN)、東洋紡社製)50g加え、混合溶解させて褐色混合液を調整し、有機NTC組成物溶液を得た。これを遠心成形法で製膜し、150℃の雰囲気下で2時間乾燥し溶剤を除去した後、平均厚みが30μmの褐色有機半導体高分子膜を得た。そして、得られた褐色有機半導体高分子膜の両面を電解ニッケル箔(厚み25μm、中心線平均粗さ0.1μm以下)で挟み、200℃の温度下で加圧して、有機半導体高分子膜と電解ニッケル箔と融合させて、有機半導体高分子膜の両側に電解ニッケル箔を融合させた構造体を得た。これを1×5mmのサイズにカットし、電極引き出しリードを形成して、有機NTC素子を作製した。
得られた有機NTC素子の抵抗を測定し、B定数、耐湿負荷試験における変化率(%)、高温貯蔵試験における変化率(%)、ヒートサイクル試験の変化率(%)を求め、下記表1に示した。
【0051】
(比較例2)
電解ニッケル箔として、厚み25μm、中心線平均粗さ1.6μmを使用した以外は、比較例1と同様にして、有機NTC素子を作製した。
得られた有機NTC素子の抵抗を測定し、B定数、耐湿負荷試験における変化率(%)、高温貯蔵試験における変化率(%)、ヒートサイクル試験の変化率(%)を求め、下記表1に示した。
【0052】
【表1】
Figure 2004335738
【0053】
以上の結果から、各実施例に比べて比較例1及び2の耐湿負荷試験の変化率は、実施例に比べて1オーダー以上大きくなることが判る。また、高温貯蔵試験の変化率及びヒートサイクル試験における変化率も同様に大きいことが判る。
【0054】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明に係る有機NTC組成物は、温度が上昇すると可逆的に抵抗値が減少する組成物であって、共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に無機成分が含有されてなり、また、有機温度検知素子によれば、上記有機NTC組成物が少なくとも一対の電極と、その電極間に上記有機NTC組成物を設けてなるので、素子における生産性及び加工の自由度があり、電極界面との接着性が良く、熱剥離等を起こさない。また、繰り返し使用における十分な耐久性及び耐熱性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る有機NTC素子の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明に係る有機NTC素子に使用する基板面に形成される櫛歯電極を示す平面図である。
【符号の説明】
1 有機NTC素子組成物
2 電極(金属箔)
3 リード
4 保護層

Claims (7)

  1. 温度が上昇すると可逆的に抵抗値が減少する有機NTC組成物において、共役系有機半導体高分子と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に無機成分が含有されてなることを特徴とする有機NTC組成物。
  2. 上記無機成分と熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂とがハイブリッド化されていることを特徴とする請求項1記載の有機NTC組成物。
  3. 上記無機成分がカップリング剤であることを特徴とする請求項1記載の有機NTC組成物。
  4. 上記ハイブリッド化される無機成分材料がシリカ、又はチタニアであることを特徴とする請求項2記載の有機NTC組成物。
  5. 上記カップリング剤がチタネート系、シラン系、アルミネート系であることを特徴とする請求項3記載の有機NTC組成物。
  6. 上記共役系有機半導体高分子がポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールまたはそれらの誘導体から選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機NTC組成物。
  7. 上記請求項1〜6のいずれかに記載の有機NTC組成物を一対の電極間に設けてなることを特徴とする有機NTC素子。
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