JP2004335665A - 量子ドット発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】InAs量子ドットを用いて長波長化することと、閉じ込め障壁が緩慢になることを防止することにより、伝送損の少ない領域でレーザ発振し、また、発光に寄与しない電流を抑制して発光効率を改善することができる量子ドット発光素子を提供する。
【解決手段】GaAs領域3に成長したInAs量子ドット6と、InAs量子ドット6に接して設けたGaAsSb歪緩和層7と、このGaAsSb歪緩和層7に接して設けたGaAs領域8からなる活性領域をもつ構成とする。また、InGaAs量子ドット6と、InGaAs量子ドット6に接して設けたGaAsSb歪緩和層7としてもよく、組成をGaAs1−ySbyとするとき、0.1<y<0.7となるように構成する。
【選択図】図1
【解決手段】GaAs領域3に成長したInAs量子ドット6と、InAs量子ドット6に接して設けたGaAsSb歪緩和層7と、このGaAsSb歪緩和層7に接して設けたGaAs領域8からなる活性領域をもつ構成とする。また、InGaAs量子ドット6と、InGaAs量子ドット6に接して設けたGaAsSb歪緩和層7としてもよく、組成をGaAs1−ySbyとするとき、0.1<y<0.7となるように構成する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、量子ドット構造の活性層をもった発光素子で、従来のものに比べて発光波長が長く、また、その発光効率を改善した量子ドット発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常の半導体レーザでは、光を発生する活性層に量子井戸型の半導体薄膜多層構造が用いられている。一方、量子ドットレーザは、この活性層に、半導体の極微細結晶である量子ドットを用いたものである。先の量子井戸レーザの発振の電流閾値は少なくとも数ミリアンペアであるが、この量子ドットレーザでは、100マイクロアンペア程度になり、超低消費電力のものが実現できると期待されている。この他、温度依存性が少なく、狭スペクトル線幅化が可能という特徴も期待されている。
【0003】
量子ドットレーザ発振は、図6に示す構造で、波長1.3μmで発振することが確認されている。これは、図7に示すようなInAs量子ドットを高歪InGaAsでカバーしたものである。
【0004】
よく知られているように、石英ファイバで光信号を伝送する場合は、1.30μmと1.55μm帯が伝送損の少ない波長帯域であり、1.55μm帯は、より損失の少ない波長帯である。これを図8に示す。このため、光通信においては、1.3μmの領域よりもむしろ1.5μm帯のレーザ発振器が求められている。
【0005】
このように長波長化を図った量子ドット発光装置としては、減圧MOCVD成長装置を用いて結晶成長を行い、InAs量子ドットとInGaAs量子井戸を組み合わせた構造を用いたものが報告されている。この発光波長は、1.5μm帯で、InGaAs量子井戸層のIn組成を変えることによりその発光波長を1.3μmから1.5μmまで制御している。
【0006】
また、量子箱への電子の注入側に、高速のキャリア注入を行うために、トンネル効果を用いて電子を注入するための障壁を設けた量子ドット構造が特許文献1に開示されている。この障壁は、電子にとっては量子箱の手前にあり、この点において本発明とは相異している。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−134841号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、長波長化した従来の量子ドット発光素子では、上記のようにInAs量子ドットと歪緩和層としてInGaAs系を用いており、この場合は、量子箱でバンドギャップが小さくなる領域で、電子にたいしてもホールに対しても、閉じ込め障壁が緩慢になり、量子箱を通過する電流が流れやすくなる。
【0009】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、InAs量子ドットを用いて長波長化することと、閉じ込め障壁が緩慢になることを防止することにより、伝送損の少ない領域でレーザ発振し、また、発光に寄与しない電流を抑制して発光効率を改善することができる量子ドット発光素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための、本発明の第1の特徴は、量子ドットをその活性層に用いた量子ドット発光素子について、GaAs領域に成長したInAs量子ドットと、前記InAs量子ドットに接して設けたGaAsSb歪緩和層と、このGaAsSb歪緩和層に接して設けたGaAs領域からなる活性領域をもつことである。
【0011】
また、本発明の第2の特徴は、GaAs領域に成長したInGaAs量子ドットと、前記InGaAs量子ドットに接して設けたGaAsSb歪緩和層と、このGaAsSb歪緩和層に接して設けたGaAs領域からなる活性領域をもつことである。
【0012】
また、本発明の第3の特徴は、上記のInGaAs量子ドットの化学組成は、InxGa1−xAsとするとき、0.2<x<1.0であることである。
【0013】
また、本発明の第4の特徴は、上記のGaAsSb歪緩和層の化学組成は、GaAs1−ySbyとするとき、0.1<y<0.7であることである。
【0014】
また、本発明の第5の特徴は、上記のInAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成と、GaAsSb歪緩和層の形成とは分子線エピタキシーにより行い、その成長面の温度は、450〜550℃の同じ温度であることである。
【0015】
また、本発明の第6の特徴は、上記のInAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成とGaAsSb歪緩和層の形成とは、量子ドットの成長後に、その成長温度よりも高温で保持して量子ドットを微細化した後、GaAsSb歪緩和層を形成したものであることである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。先ず第1の実施形態を図1〜図5を用いて説明する。以下の説明においては、同様の素子あるいは同様の機能を持った素子については、同じ符号を用いるものとする。
【0017】
図1に本発明の実施例を示す。図1は、量子ドット発光素子の模式的断面図を示している。この量子ドット発光素子は、まずn−AlGaAs層1にシリコン(Si)をドープしたn−GaAs層2とアンドープのGaAs層3を分子線エピタキシーで形成する。その上に、GaAs層と基板温度を500℃としてMBEでInAs量子ドット6を形成する。この量子ドットの形成は、自己組織化機構に沿って行われる。この成長の厚さは、平均化すると、1.5分子厚から2.5分子厚に相当する厚さである。ここで得られる量子ドットは、図2(a)に示す様に、量子ドット間は薄膜でつながれていることは、既によく知られている。量子ドットを形成した後、500℃あるいはそれより僅かに高い温度で保持することにより、InAsが蒸発して、より微細な量子ドットが得られる。また、この場合は、図2(b)に示すように量子ドット間の薄膜が蒸発して孤立した量子ドットが得られる場合もある。また、十分に微細なパターンを用いることが可能な場合は、量子ドットの形成に通常のリソグラフィーを用いることができる。以上の方法で作られる量子ドット間の間隔については、以下述べる歪緩和層との兼ね合いから、ドットの間隔を20nm以上取ることが望ましい。ただし、この値は、統計的な分布として実現されていればよい。
【0018】
量子ドット成長後に、0.1<y<0.7の予め決められたyについて、GaAs1−ySbyを組成とする歪緩和層であるGaAsSb層7を成長する。yの値を変えることによって量子箱のホール準位を変えることができ、発光波長を1.0μmから1.5μm余りまで自由に制御することができる。また、上記のyの値は、GaAsSb層7全体にわたって同じ値である必要はなく、上記の範囲で連続して変化させても、もしくは段階的に変化させてもよい。GaAsSb層7の膜厚については、0.5nm〜20nmの範囲で良好な結果が得られている。
【0019】
この後、GaAs層8、ベリリウム(Be)をドープしたp−GaAs層9、p−AlGaAs10、p−GaAs層11を形成し、最後にn領域電極5、p領域電極12を形成する。
【0020】
上記の説明においては、InAsの量子ドットを用いたが、InGaAs量子ドットを用いることもできる。この場合は、化学組成をInxGa1−xAsとするとき、0.2<x<1.0の範囲が適しており、xの増大とともに波長が長くなる。
【0021】
上記の構造では、発光効率が改善されるが、これを図3に沿って説明する。図3は、活性層付近の模式的断面図とその模式的エネルギーバンド図を示し、図3(a)は、本発明のものを、図3(b)は、従来例のものを示す。
【0022】
図3(a)の場合は、電子からみると、量子ドットの位置で窪みがあり、歪緩和層で障壁になっている。この障壁のために電子の移動が妨げられる。このような障壁は従来のものには無く、図3(b)に示す従来のものでは、発光に関与しない電流が本発明よりも多くの割合で流れることになる。また、ホールにとってみれば、量子箱の準位は、この歪緩和層の準位により、量子ドットの量子箱の基底準位よりもさらに低い準位となる。一方、図3(b)に示す従来のものでは、歪緩和層のエネルギー準位の基底は量子ドットの基底よりも高エネルギーにあるため、歪緩和層は、殆ど長波長化には寄与しない。このため、本発明では、これらの長波長での発光が可能であり、また、歪緩和層を調整することによって発光波長を変えることができる。
【0023】
図4(a)に、GaAs基板の<001>面上にInAsの量子ドットを1.7分子厚の平均厚で成長し、その上にGaAsSbを8nm成長し、さらに、12nm厚のGaAs層を成長したサンプルの、低温(12K)での発光スペクトルを示す。また、図4(b)に、GaAs基板の<001>面上にInAsの量子ドットを1.7分子厚の平均厚で成長し、その上にGaAsを20nm成長したサンプルの低温(12K)での発光スペクトルを示す。また、図4(c)に、GaAs基板の<001>面上にInAsの量子ドットを1.7分子厚の平均厚で成長し、その上にInGaAsを8nm成長し、さらに12nmのGaAs層を成長したサンプルの低温(12K)での発光スペクトルを示す。図4(c)は、励起用のレーザ光の倍波長であるが、図4(b)の発光中心は、1.0μmであるのに対して、図4(a)の発光中心は、1.25μmであり、この構成により長波長化されていることがわかる。
【0024】
また、図5(a)に、図4(a)でのサンプルの室温での発光スペクトルを示す。スペクトル強度は、一般に低温で大きくなるが、本発明の量子ドット発光素子では、室温でも大きなスペクトル強度を示しており、これから発光効率の良いことがわかる。
【0025】
【発明の効果】
この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0026】
まず歪緩和層にGaAsSbを用いたので、発光効率が高くなる。また、砒素とアンチモンの組成比を変えることにより、1.0から1.5μmの波長を自由に設定できるようになる。
【0027】
また、量子ドットにInGaAsを用いたので、その組成比を変えることにより、発光波長を制御できる。
【0028】
また、InAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成と、GaAsSb歪緩和層の形成とを同じ温度で行うことにより、量子ドットを再現性よく作ることができる。
【0029】
また、InAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成において、温度を制御してそのドットサイズを変えることにより、微細な量子ドットを用いた発光素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の量子ドット発光素子の模式的断面図を示す図である。
【図2】量子ドットの状態を示す模式図である。
【図3】活性層付近の模式的断面図とその模式的エネルギーバンド図である。
【図4】低温(12K)での発光スペクトルである。
【図5】室温での発光スペクトルを示す図である。
【図6】従来の量子ドットレーザを示す図である。
【図7】従来の量子ドットレーザの量子ドットを示す図である。
【図8】石英ファイバの伝送損を示す図である。
【符号の説明】
1 n−AlGaAs基板
2 GaAs層
3 n−GaAs層
4 GaAs層
5 n領域電極
6 InAs量子ドット
7 GaAsSb層
8 p−GaAs層
9 GaAs層
10 p−AlGaAs
11 p−GaAs層
12 p領域電極
【発明の属する技術分野】
この発明は、量子ドット構造の活性層をもった発光素子で、従来のものに比べて発光波長が長く、また、その発光効率を改善した量子ドット発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常の半導体レーザでは、光を発生する活性層に量子井戸型の半導体薄膜多層構造が用いられている。一方、量子ドットレーザは、この活性層に、半導体の極微細結晶である量子ドットを用いたものである。先の量子井戸レーザの発振の電流閾値は少なくとも数ミリアンペアであるが、この量子ドットレーザでは、100マイクロアンペア程度になり、超低消費電力のものが実現できると期待されている。この他、温度依存性が少なく、狭スペクトル線幅化が可能という特徴も期待されている。
【0003】
量子ドットレーザ発振は、図6に示す構造で、波長1.3μmで発振することが確認されている。これは、図7に示すようなInAs量子ドットを高歪InGaAsでカバーしたものである。
【0004】
よく知られているように、石英ファイバで光信号を伝送する場合は、1.30μmと1.55μm帯が伝送損の少ない波長帯域であり、1.55μm帯は、より損失の少ない波長帯である。これを図8に示す。このため、光通信においては、1.3μmの領域よりもむしろ1.5μm帯のレーザ発振器が求められている。
【0005】
このように長波長化を図った量子ドット発光装置としては、減圧MOCVD成長装置を用いて結晶成長を行い、InAs量子ドットとInGaAs量子井戸を組み合わせた構造を用いたものが報告されている。この発光波長は、1.5μm帯で、InGaAs量子井戸層のIn組成を変えることによりその発光波長を1.3μmから1.5μmまで制御している。
【0006】
また、量子箱への電子の注入側に、高速のキャリア注入を行うために、トンネル効果を用いて電子を注入するための障壁を設けた量子ドット構造が特許文献1に開示されている。この障壁は、電子にとっては量子箱の手前にあり、この点において本発明とは相異している。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−134841号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、長波長化した従来の量子ドット発光素子では、上記のようにInAs量子ドットと歪緩和層としてInGaAs系を用いており、この場合は、量子箱でバンドギャップが小さくなる領域で、電子にたいしてもホールに対しても、閉じ込め障壁が緩慢になり、量子箱を通過する電流が流れやすくなる。
【0009】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、InAs量子ドットを用いて長波長化することと、閉じ込め障壁が緩慢になることを防止することにより、伝送損の少ない領域でレーザ発振し、また、発光に寄与しない電流を抑制して発光効率を改善することができる量子ドット発光素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための、本発明の第1の特徴は、量子ドットをその活性層に用いた量子ドット発光素子について、GaAs領域に成長したInAs量子ドットと、前記InAs量子ドットに接して設けたGaAsSb歪緩和層と、このGaAsSb歪緩和層に接して設けたGaAs領域からなる活性領域をもつことである。
【0011】
また、本発明の第2の特徴は、GaAs領域に成長したInGaAs量子ドットと、前記InGaAs量子ドットに接して設けたGaAsSb歪緩和層と、このGaAsSb歪緩和層に接して設けたGaAs領域からなる活性領域をもつことである。
【0012】
また、本発明の第3の特徴は、上記のInGaAs量子ドットの化学組成は、InxGa1−xAsとするとき、0.2<x<1.0であることである。
【0013】
また、本発明の第4の特徴は、上記のGaAsSb歪緩和層の化学組成は、GaAs1−ySbyとするとき、0.1<y<0.7であることである。
【0014】
また、本発明の第5の特徴は、上記のInAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成と、GaAsSb歪緩和層の形成とは分子線エピタキシーにより行い、その成長面の温度は、450〜550℃の同じ温度であることである。
【0015】
また、本発明の第6の特徴は、上記のInAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成とGaAsSb歪緩和層の形成とは、量子ドットの成長後に、その成長温度よりも高温で保持して量子ドットを微細化した後、GaAsSb歪緩和層を形成したものであることである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。先ず第1の実施形態を図1〜図5を用いて説明する。以下の説明においては、同様の素子あるいは同様の機能を持った素子については、同じ符号を用いるものとする。
【0017】
図1に本発明の実施例を示す。図1は、量子ドット発光素子の模式的断面図を示している。この量子ドット発光素子は、まずn−AlGaAs層1にシリコン(Si)をドープしたn−GaAs層2とアンドープのGaAs層3を分子線エピタキシーで形成する。その上に、GaAs層と基板温度を500℃としてMBEでInAs量子ドット6を形成する。この量子ドットの形成は、自己組織化機構に沿って行われる。この成長の厚さは、平均化すると、1.5分子厚から2.5分子厚に相当する厚さである。ここで得られる量子ドットは、図2(a)に示す様に、量子ドット間は薄膜でつながれていることは、既によく知られている。量子ドットを形成した後、500℃あるいはそれより僅かに高い温度で保持することにより、InAsが蒸発して、より微細な量子ドットが得られる。また、この場合は、図2(b)に示すように量子ドット間の薄膜が蒸発して孤立した量子ドットが得られる場合もある。また、十分に微細なパターンを用いることが可能な場合は、量子ドットの形成に通常のリソグラフィーを用いることができる。以上の方法で作られる量子ドット間の間隔については、以下述べる歪緩和層との兼ね合いから、ドットの間隔を20nm以上取ることが望ましい。ただし、この値は、統計的な分布として実現されていればよい。
【0018】
量子ドット成長後に、0.1<y<0.7の予め決められたyについて、GaAs1−ySbyを組成とする歪緩和層であるGaAsSb層7を成長する。yの値を変えることによって量子箱のホール準位を変えることができ、発光波長を1.0μmから1.5μm余りまで自由に制御することができる。また、上記のyの値は、GaAsSb層7全体にわたって同じ値である必要はなく、上記の範囲で連続して変化させても、もしくは段階的に変化させてもよい。GaAsSb層7の膜厚については、0.5nm〜20nmの範囲で良好な結果が得られている。
【0019】
この後、GaAs層8、ベリリウム(Be)をドープしたp−GaAs層9、p−AlGaAs10、p−GaAs層11を形成し、最後にn領域電極5、p領域電極12を形成する。
【0020】
上記の説明においては、InAsの量子ドットを用いたが、InGaAs量子ドットを用いることもできる。この場合は、化学組成をInxGa1−xAsとするとき、0.2<x<1.0の範囲が適しており、xの増大とともに波長が長くなる。
【0021】
上記の構造では、発光効率が改善されるが、これを図3に沿って説明する。図3は、活性層付近の模式的断面図とその模式的エネルギーバンド図を示し、図3(a)は、本発明のものを、図3(b)は、従来例のものを示す。
【0022】
図3(a)の場合は、電子からみると、量子ドットの位置で窪みがあり、歪緩和層で障壁になっている。この障壁のために電子の移動が妨げられる。このような障壁は従来のものには無く、図3(b)に示す従来のものでは、発光に関与しない電流が本発明よりも多くの割合で流れることになる。また、ホールにとってみれば、量子箱の準位は、この歪緩和層の準位により、量子ドットの量子箱の基底準位よりもさらに低い準位となる。一方、図3(b)に示す従来のものでは、歪緩和層のエネルギー準位の基底は量子ドットの基底よりも高エネルギーにあるため、歪緩和層は、殆ど長波長化には寄与しない。このため、本発明では、これらの長波長での発光が可能であり、また、歪緩和層を調整することによって発光波長を変えることができる。
【0023】
図4(a)に、GaAs基板の<001>面上にInAsの量子ドットを1.7分子厚の平均厚で成長し、その上にGaAsSbを8nm成長し、さらに、12nm厚のGaAs層を成長したサンプルの、低温(12K)での発光スペクトルを示す。また、図4(b)に、GaAs基板の<001>面上にInAsの量子ドットを1.7分子厚の平均厚で成長し、その上にGaAsを20nm成長したサンプルの低温(12K)での発光スペクトルを示す。また、図4(c)に、GaAs基板の<001>面上にInAsの量子ドットを1.7分子厚の平均厚で成長し、その上にInGaAsを8nm成長し、さらに12nmのGaAs層を成長したサンプルの低温(12K)での発光スペクトルを示す。図4(c)は、励起用のレーザ光の倍波長であるが、図4(b)の発光中心は、1.0μmであるのに対して、図4(a)の発光中心は、1.25μmであり、この構成により長波長化されていることがわかる。
【0024】
また、図5(a)に、図4(a)でのサンプルの室温での発光スペクトルを示す。スペクトル強度は、一般に低温で大きくなるが、本発明の量子ドット発光素子では、室温でも大きなスペクトル強度を示しており、これから発光効率の良いことがわかる。
【0025】
【発明の効果】
この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0026】
まず歪緩和層にGaAsSbを用いたので、発光効率が高くなる。また、砒素とアンチモンの組成比を変えることにより、1.0から1.5μmの波長を自由に設定できるようになる。
【0027】
また、量子ドットにInGaAsを用いたので、その組成比を変えることにより、発光波長を制御できる。
【0028】
また、InAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成と、GaAsSb歪緩和層の形成とを同じ温度で行うことにより、量子ドットを再現性よく作ることができる。
【0029】
また、InAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成において、温度を制御してそのドットサイズを変えることにより、微細な量子ドットを用いた発光素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の量子ドット発光素子の模式的断面図を示す図である。
【図2】量子ドットの状態を示す模式図である。
【図3】活性層付近の模式的断面図とその模式的エネルギーバンド図である。
【図4】低温(12K)での発光スペクトルである。
【図5】室温での発光スペクトルを示す図である。
【図6】従来の量子ドットレーザを示す図である。
【図7】従来の量子ドットレーザの量子ドットを示す図である。
【図8】石英ファイバの伝送損を示す図である。
【符号の説明】
1 n−AlGaAs基板
2 GaAs層
3 n−GaAs層
4 GaAs層
5 n領域電極
6 InAs量子ドット
7 GaAsSb層
8 p−GaAs層
9 GaAs層
10 p−AlGaAs
11 p−GaAs層
12 p領域電極
Claims (6)
- GaAs領域に成長したInAs量子ドットと、前記InAs量子ドットに接して設けたGaAsSb歪緩和層と、このGaAsSb歪緩和層に接して設けたGaAs領域からなる活性領域をもつことを特徴とする量子ドット発光素子。
- GaAs領域に成長したInGaAs量子ドットと、前記InGaAs量子ドットに接して設けたGaAsSb歪緩和層と、このGaAsSb歪緩和層に接して設けたGaAs領域からなる活性領域をもつことを特徴とする量子ドット発光素子。
- 上記のInGaAs量子ドットの化学組成は、InxGa1−xAsとするとき、0.2<x<1.0であることを特徴とする請求項2に記載の量子ドット発光素子。
- 上記のGaAsSb歪緩和層の化学組成は、GaAs1−ySbyとするとき、0.1<y<0.7であることを特徴とする請求項1、2あるいは3に記載の量子ドット発光素子。
- 上記のInAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成と、GaAsSb歪緩和層の形成とは分子線エピタキシーにより行い、その成長面の温度は、450〜550℃の同じ温度であることを特徴とする請求項1、2、3あるいは4に記載の量子ドット発光素子。
- 上記のInAs量子ドットあるいはInGaAs量子ドットの形成とGaAsSb歪緩和層の形成とは、量子ドットの成長後に、その成長温度よりも高温で保持して量子ドットを微細化した後、GaAsSb歪緩和層を形成したものであることを特徴とする請求項4に記載の量子ドット発光素子。
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JP2003128269A JP2004335665A (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | 量子ドット発光素子 |
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JP2003128269A JP2004335665A (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | 量子ドット発光素子 |
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JP (1) | JP2004335665A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100661715B1 (ko) | 2005-06-16 | 2006-12-26 | 엘지전자 주식회사 | 아일랜드(island )형상의 삽입층이 구비된 발광다이오드 및 이의 제조 방법 |
JP2007042840A (ja) * | 2005-08-03 | 2007-02-15 | Fujitsu Ltd | 量子ドット光半導体素子の製造方法 |
EP2246892A2 (en) | 2006-05-15 | 2010-11-03 | Fujitsu Limited | Method of manufacturing quantum dots in a semiconductor device |
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