JP2004335574A - シールドボックスおよびシールドボックスを使用した電磁波シールド構造 - Google Patents

シールドボックスおよびシールドボックスを使用した電磁波シールド構造 Download PDF

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利行 川口
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Abstract

【課題】シールドボックスによる電磁波シールドを簡便、かつ、確実に行いうるシールドボックスおよびシールドボックスを使用した電磁波シールド構造を提供することを目的とする。
【解決手段】天板部10と、該天板部10の周囲に突設された側壁7と、を備え、配線基板上に設置されることで、配線基板上の電子回路及び/又は電子部品を包囲するシールドボックス1であって、側壁7に、側壁7から突出し、7側壁の外側への膨らみを防止する補強用突出部24が形成されていることを特徴とするシールドボックス1である。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICなどの電子部品を配線基板に搭載した電子回路を、外界からの電磁波より保護し、あるいは前記電子部品からの電磁波の漏洩を防止する、シールドボックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機や、小型無線機などの電子機器においては、IC、LSIなどの電子部品を配線基板上に搭載した高周波回路、論理回路、送信回路、受信回路などの電子回路は、外界からの電磁波ノイズによる誤動作を起こしたり、あるいは該電子回路から漏洩する電磁波が他の機器あるいは人体への影響を与えることがないように、電磁波シールドが必要になってきている。
【0003】
電磁波をシールドする方法として、該電子回路を、配線基板のグランドと導電性筐体であるシールドボックスで包囲することが知られている。このシールドボックスは、内包された電子部品のメンテナンスを行うために容易に着脱できることが求められ、また組み立て性のよいことが求められているため、シールドボックスと配線基板のグランドとの接続に工夫が凝らされている。
また、小型電子機器における電子部品の搭載容量増加、さらなる小型化を図る試みの一つとして、金属板と一体化した樹脂製の筐体あるいは、配線基板と同じ剛性を有するシールドボックスを係合爪あるいはネジにより固定し、シールドボックスの接続部を直接、配線基板のグランドに接続する提案がある(例えば、特許文献1参照。)。
また、基板の反りやシールドボックス等の成形時の寸法精度不足によりシールドボックスと配線基板のグランド間に間隙が生じることによる電磁波漏洩の対策として、シールドボックスとして、金属製、あるいは樹脂製のものにメッキを施したものを用い、金属製のバネ性を有する小片を介して配線基板のグランドに接続する提案(例えば、特許文献2参照。)もある。
また、表面がメッキ等により導電化された樹脂製のシールドボックスの壁に塑性変形する樹脂状突起の表面を導電化した導電性小突起を設け、この小突起を介して配線基板のグランドとの接続を行う提案(例えば、特許文献3参照。)もある。
また、樹脂製のシールドボックスあるいは筐体内に形成されたシールドボックスの配線基板のグランドとの接合面に、導電性ゴムを設けて、接続する提案(例えば、特許文献4、5参照。)等もある。
また、樹脂製のシールドボックスの側壁の端部に舌片部を設け、配線基板のグランドとの接合面に接続する提案(例えば、特許文献6参照。)等もある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−151132号公報
【特許文献2】
特開平10−224074号公報
【特許文献3】
特開平10−22671号公報
【特許文献4】
特開2000−196278号公報
【特許文献5】
特開2001−111283号公報
【特許文献6】
特許第3283161号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1では、筐体、シールドボックスあるいはプリント基板に歪み、反りが発生しやすく、シールドボックスの接続部と配線基板のグランドとの間に、間隙が生じ、十分なシールド性能を確保することができなくなるおそれが大きいという問題があった。さらに、剛性のある筐体などを、応力で接続の相手方に追従させ、すなわち、接続させるには、過大な応力を必要とし、係合爪あるいはネジ部の周囲を、剛性のある状態にしなければならず、携帯電話機、小型無線機などの電子機器においては、余分な容積、重量を必要とするという問題もあった。
さらに、特許文献2では、金属性のバネ性を有する小片を予め、配線基板上に半田付けなどにより、設けなければならず、手間がかかり、工程中の取り扱いにより、小片は変形し、またこれを修正しなければならず、生産性の高いものではなかった。さらに、部品点数が増え、合理的ではなかった。また、リサイクル時に、部品の分離、選別が容易ではなかった。
特許文献3では、導電性小突起は、一定以上の力がかかると塑性変形しやすく、一旦塑性変形すると、修理等のために、再びシールドボックスを開けた後、再び組み合わせても、導通が不確実になるという、不具合を有していた。
【0006】
特許文献4、5では、シールドボックスなどと配線基板のグランドとの接続部、すなわちシールドボックスなどの外壁あるいはリブの幅は、1mm以下と狭く、そこに、導電弾性部材を嵌合させることは、非常に難しく、弾性部材が切断したり、伸びたりして、作業に時間が掛かるものであった。また、液状材料をディスペンサーなどで設ける場合は、位置制御および吐出量制御を有した高額な装置を用いなければならず、また、筐体あるいはシールドボックスを製造した後に、ディスペンス加工が行える場所に搬送しなければならず、生産時間が長くなったり、筐体などに傷をつけてしまい、合格率が上がらないという不利を有していた。
特許文献6では、シールドボックスの配線基板のグランドに接続する舌片部が示されているが、圧縮変位量に対して、舌片部の高さが十分でなく、組み立てを行うと弾性限界を超えて、塑性変形してしまい、復帰しなくなるという問題、さらには舌片部が変形する以前に、それよりも強度の劣る側壁部が挫屈してしまうという問題があった。さらに、舌片部の弾性を生かそうとすると、折り返し部の直径すなわち側壁部の厚みが増し、接続する配線基板のグランドの幅を大きくしなければならないという、小型化に不利となる問題があった。
シールドボックスの小型化の点では、特許文献1、6のように、配線基板上に直接、シールドボックスを設置する構造(以下、この構造を、「基板実装型固定構造」とも言う)が、特許文献4、5のものよりも有利であり、特に、携帯電話等、内部の電子部品等の実装密度が要求される電子機器においては、利点が多い。また、この特許文献1、6に係る基板実装型固定構造では、配線基板を収容する筐体によって、シールドボックスを押圧して配線基板に押し付けるだけで、簡単に固定を実現できる利点がある。この固定構造では、底壁と、この底壁の周囲に立ち上げられた側壁とを有するシールドボックスを用い、配線基板上の電子部品を外側から覆うようにして、配置したシールドボックスの前記底壁を筐体で押圧して、側壁の前記底壁からの突出先端部を配線基板に押し付けるようにしてシールド性を確保するが、筐体によるシールドボックスの底壁の押し付けにより、シールドボックスの側壁が外側へ広がってしまい、シールドボックスの配線基板に対する接触が均一でなくなり、シールド効果が低くなるという問題が生じていた。さらに、特許文献6の図9等に示されているように、舌片部にスリット等の切り欠きを形成した場合には、舌片部がシールドボックスの側壁の広がりを防止する機能を果たさなくなるため、側壁の広がりに起因するシールド性低下の問題が一層、顕著になってしまう。
このように、従来のものでは、携帯電話などの小型電子機器のシールド性能に限界があり、また、組み立てが容易でなく、短時間での組み立て性に問題があった。さらには部品点数が増加したり、筐体を頑丈に作製することが必要になり、小型電子機器の軽薄短小の利点を失うものであった。また特別な装置や搬送の手間などを必要とし、経済的に合理的ではなかった。
本発明は、このような状況に鑑み、シールドボックスによる電磁波シールドを簡便、かつ、確実に行いうるシールドボックスおよびシールドボックスを使用した電磁波シールド構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、天板部と、該天板部の周囲に突設された側壁と、を備え、配線基板上に設置されることで、前記配線基板上の電子回路及び/又は電子部品を包囲するシールドボックスであって、前記側壁に、前記側壁から突出し、前記側壁の外側への膨らみを防止する補強用突出部が形成されていることを特徴とするシールドボックスである。
【0008】
この構成によれば、側壁に、側壁から突出し、側壁の外側への膨らみを防止する補強用突出部が形成されているので、たとえ、筐体によって、シールドボックスの天板部を押し付けたとしても、シールドボックスが外側へ広がってしまうことがなく、シールドボックスの配線基板に対する接触が均一でなくなってシールド効果が低くなることを防止できる。
【0009】
また、補強用突出部の配置を工夫すれば、電子回路及び/又は電子部品が設けられている位置を避けて、スペースの有効利用をすることができる。
【0010】
更に、本発明は、前記補強用突出部は、横方向に延びていることを特徴とするので、側壁の外側への膨らみを防止する効果を大きくすることができる。
【0011】
更に、本発明は、前記補強用突出部は、縦方向に延びていることを特徴とするので、側壁の外側への膨らみを防止する効果を得られる。
【0012】
また、本発明は、内部に配線基板を収納した筐体内部に上記シールドボックスを収納し、該シールドボックスの底壁を筐体の内面により押圧して、前記シールドボックスを配線基板に圧接させることにより配線基板上の電子回路及び/又は電子部品をシールドボックスで覆って電磁波シールドすることを特徴とする、シールドボックスを使用した電磁波シールド構造である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明を、図をもって、詳細に説明する。
図1はシールドボックス1を組み込んだ電子機器の分解斜視図である。シールドボックス1と配線基板2は、図1に示すように、電子機器の分割された筐体3、3’の間に配置される。シールドボックス1と配線基板2の別の層にある金属箔(図示せず)とで、配線基板2上の種々の電子回路5を包囲し、シールドボックス1は、前記金属箔と同電位の配線基板2上のグランド4に接続されて用いられる。電子回路5は高周波回路、論理回路、送信回路、受信回路などの機能にまとめられ、外界からの電磁波ノイズに影響される程度、あるいは漏洩する電磁波の周波数や強度が異なることから、それぞれの電子回路5はグランド4で仕切られている。
【0014】
図2はシールドボックス1の天板部10を上にした状態の、図3は開口部6を上にした状態のシールドボックスの斜視図である。本発明のシールドボックス1は、図2、3に示すように、ほぼ箱状をしており、天板部10と、該天板部10の外周部に立ち上げるようにして形成された側壁7と、この側壁7の天板部10と反対側の端で囲まれて形成された開口部6とを有する。本発明のシールドボックス1は、さらに、シールドボックス1の内部を複数の小部屋9に仕切る隔壁8を有してもよい。
【0015】
図2、3に示すように、側壁7あるいはさらに隔壁8は、前記天板部10に対して板ばねの如く機能するように形成された弾性連結部12を介して天板部10につながっている。側壁7と隔壁8は、シールドボックス1を配線基板2に押し付けたときに、側壁7と隔壁8の開口部6側の先端がグランド4と接続できる位置に配置されている。シールドボックス1の大きさは、内包する電子回路5の容積により決定され、これを限定するものではないが、概ね、一辺が10〜100mmで、高さは1〜10mm程度である。小部屋9の高さは互いに同じ高さであってもよく、一部の小部屋9の高さが異なってもよい。
2つの側壁7からなるコーナー部のRは0.1〜3mm程度である。
【0016】
図4〜8は、本発明の実施の形態によるシールドボックス1を示す。
図4は、シールドボックス1の断面図であり、図5は、本発明の第1の実施例としてのシールドボックス1を内面から見た斜視図であり、図6は、本発明の第1の実施例としてのシールドボックス1を外面から見た斜視図であり、図7は、本発明の第2の実施例としてのシールドボックス1を内面から見た斜視図であり、図8は、本発明の第2の実施例としてのシールドボックス1を外面から見た斜視図である。
【0017】
図4〜8におけるように、このシールドボックス1では、天板部10と、天板部10から連なる弾性連結部12と、弾性連結部12から連なり、二つ折りされた隔壁8と、弾性連結部12から連なる側壁7と、側壁7に連なっており、配線基板2と接触し外側へ折り返す折り返し部15と、折り返し部15に連なり、側壁7に対し反転するように延びる返り壁23と、返り壁23に連なり、外側へ屈曲する屈曲部16と、屈曲部16から先端側の鍔部17と、を備えている。
ここで、返り壁23は、側壁7に対し反転するように延びているが、反転とは、180度、折り返すのみならず、少なくとも90度より大きい角度で折り返すことを意味している。
【0018】
図4〜8における、本発明の実施の形態によるシールドボックス1では、折り返し部15に連なり、外側へ屈曲する屈曲部16を備えているので、屈曲部16での外側への屈曲により、シールドボックス1が外側へ広がることに対向する力が加わり、たとえ、筐体3によって、シールドボックス1の天板部10を押し付けたとしても、シールドボックス1の側壁7が外側へ広がってしまい、シールドボックス1の配線基板2に対する接触が均一でなくなり、シールド効果が低くなることを防止できる。図4〜8のシールドボックス1では、図示していないが、シールドボックス1における屈曲部16から先端側の鍔部17は、筐体3の側部内壁に接触しておらず、間隔が保たれている。
【0019】
図5、6におけるように、本発明の実施の形態によるシールドボックス1では、側壁7には、側壁7の内面側へ突出する補強用突出部24が形成されて、側壁7の一部をなしている。補強用突出部24は半円形状であり、補強用突出部24が、1つの小部屋9において、平行して形成された2つの側壁7の双方に形成されている場合、1つの小部屋9において、1つの補強用突出部24のみが形成されている場合、1つの小部屋9において、補強用突出部24が形成されていない場合がある。各補強用突出部24は、天板部10との接触位置から配線基板2との接触位置にわたって形成されている。
図5、6におけるように、補強用突出部24が形成されている箇所における側壁7の外面は、補強用突出部24の形状に対応した凹み部となっている。
【0020】
図7、8における本発明の第2の実施例としてのシールドボックス1において、側壁7には、側壁7の内面側へ突出する補強用突出部24が形成されている。補強用突出部24は半円形状であり、補強用突出部24が、1つの小部屋9において、平行して形成された2つの側壁7の双方に形成されている場合、1つの小部屋9において、1つの補強用突出部24のみが形成されている場合、1つの小部屋9において、補強用突出部24が形成されていない場合がある。各補強用突出部24は、天板部10との接触位置から配線基板2との接触位置にわたって形成されている。以上は、本発明の第1の実施例におけるものと同様である。
【0021】
図7、8における本発明の第2の実施例としてのシールドボックス1において、側壁7に形成されている補強用突出部24が設けられた箇所における側壁の外面は、図5、6におけるものと異なり、補強用突出部24の形状に対応した凹み部となっておらず、中実部25となっており、補強用突出部24近傍の側壁7と連なった平坦部となっている。この場合、図5、6におけるよりも、たとえ、筐体3によって、シールドボックス1の天板部10を押し付けたとしても、シールドボックス1が外側へ広がらず、シールドボックス1の配線基板2に対する接触が均一でなくなることはなく、シールド効果が低くなることを防止できる、との効果が大きい。
【0022】
図9〜16は、本発明の実施の態様としてのシールドボックス1において、補強用突出部24、25が側壁7の外面側に突出している実施例を示している。
図9は、本発明の第3の実施例としてのシールドボックス1を外面から見た斜視図であり、図10は、本発明の第3の実施例としてのシールドボックス1を示す断面図である。
【0023】
図9、10における本発明のシールドボックス1の第3の実施例において、補強用突出部24は側壁7の外面側に突出しており、且つ、側壁7の横方向(天板部10の面に対し水平な方向、図10における紙面において左右方向)中央部に側壁7の縦方向(天板部10の面に対し直交する方向、図10における紙面において上下方向)全体に亘って設けられている。また、補強用突出部24は、側壁7の一部分が、シールドボックス1の外側に突出するように湾曲した形状に形成された部分であり、縦方向に延びる稜線を形成する突状体(縦リブ)となっている。また、補強用突出部24の内面側は、補強用突出部24の形状に対応した凹み部となっている。
【0024】
図9、10では、補強用突出部24の突出先端(稜線)が、鍔部17の先端部と同じ位置まで延びており、筐体3の内面と接触される構成を例示したが、本発明に係る補強用突出部24としては、シールドボックス1の側壁7からの突出量が、鍔部17よりも大きい形状も採用可能である。このように、鍔部17の先端と同じか、あるいは、鍔部17よりも外側に突出されている形状の補強用突出部24であれば、筐体3に突き当てることで、筐体3内でのシールドボックス1の位置決め等に利用でき、更には、側壁7の外側への広がり防止をより確実にできるといった利点もある。
【0025】
前記補強用突出部24は、側壁7の横方向中央部において、側壁7の縦方向に延在する突状体であればよく、必ずしも、側壁7の縦方向全体にわたって延在する形状である必要はなく、側壁7の縦方向の一部分に形成されたものであっても良い。また、縦方向の複数箇所に形成してもよい。補強用突出部24の横断面形状(延在方向に対する直交方向の断面形状)は、円弧状に限定されず、例えば、コ字形、山形等、各種採用可能である(この補強用突出部24は、曲げ成形部)。
【0026】
図11は、本発明の第4の実施例としてのシールドボックス1を示す断面図である。
この実施例のシールドボックス1は、第3の実施例の変形例であり、補強用突出部24は側壁7の外面側に突出しており、且つ、側壁7の縦方向(天板部10の面に対し直交する方向、図11における紙面において上下方向)の一部に設けられている。また、このシールドボックス1は、側壁7に連なっており、配線基板2と接触し外側へ折り返す折り返し部15と、先端側の鍔部17と、を備えている点で、第3の実施例と異なる。鍔部17は、筐体3の内面に当接させることで、側壁7の外側の広がり防止に利用できる。
【0027】
図12は、本発明の第5の実施例としてのシールドボックス1を外面から見た斜視図である。
図12における本発明のシールドボックス1の第5の実施例において、図9、10におけるものと同様に、補強用突出部25は側壁7の外面側に突出しており、且つ、側壁7における縦方向の全体に亘って設けられている。また、補強用突出部25は、円弧状であり、その突出先端が、鍔部17の先端部と同じ位置まで延びている。
側壁7に形成されている補強用突出部25が設けられた箇所における側壁7の内面は、図9、10におけるものと異なり、補強用突出部25の形状に対応した凹み部となっておらず、補強用突出部25は中実部となっている。
【0028】
図13は、本発明の第6の実施例としてのシールドボックス1を示す断面図である。
図13における本発明のシールドボックス1の第6の実施例において、補強用突出部(中実部)25は側壁7の外面側に突出しており、且つ、側壁7における縦方向の一部のみに設けられている。また、補強用突出部25は、円弧状であり、その突出先端が、鍔部17の先端部より外側に延びており、突出先端のみが筐体3の内面と接触していて、鍔部17の先端部は筐体3の内面と接触していない。
【0029】
図14は、本発明の第7の実施例としてのシールドボックス1を外面から見た斜視図である。
図14における本発明のシールドボックス1の第7の実施例において、補強用突出部25は、側壁7の外面側に突出して、横方向に延在するリブ状である。図14では、側壁7における横方向全体にわたって延在形成した構成を例示したが、これに限定されず、側壁7における横方向の一部のみに形成してもよい。側壁7における縦方向の幅は小さいものとなっている。
【0030】
図15は、本発明の第8の実施例としてのシールドボックス1を外面から見た斜視図である。
図15における第8の実施例において、図14における第7の実施例と異なる点は、図15における第8の実施例では、側壁7に連なっており、配線基板2と接触し外側へ折り返す折り返し部15を備えている点である。
【0031】
図16は、本発明の第9の実施例としてのシールドボックス1を外面から見た斜視図である。
図16における本発明のシールドボックス1の第9の実施例において、補強用突出部25は、側壁7の外面側に突出して、縦方向に延在するリブ状である。図16では、側壁7における縦方向全体にわたって延在形成した構成を例示したが、これに限定されず、側壁7における縦方向の一部のみに形成してもよい。側壁7における横方向の幅は小さいものとなっている。
【0032】
また、図4〜8に示すように、側壁7または隔壁8が天板部10に対して板ばねの如く機能するように形成された弾性連結部12を介して天板部10につながっているので、シールドボックス1にかかる応力を、弾性連結部12が撓むことで吸収し、小さい押圧力で、側壁7または隔壁8の先端部をグランド4に接触させることができる(グランドは図示せず。)。
【0033】
弾性連結部12は、天板部にかかった押圧力により、弾性連結部12が弾性変形できる構造であれば、どの様な構造であってもよいが、図4の断面図に示すように、一旦天板部10から開口部6方向に立ち上がった立ち上がり部13と、該立ち上がり部13の天板部10と反対側の端と側壁7又は隔壁8の反対側の端をつなぐ、天板部10と平行にのびた水平部14とからなっていることが好ましい。弾性連結部12がこのような構造になっていると、シールドボックス1の天板部10に応力がかかったときに、水平部14が撓むことで応力の一部を吸収し、側壁7や隔壁8に過度の応力がかかることがなく、押圧力が解除されたときには、元の形状に弾性復帰する。
【0034】
尚、本発明の各実施例は、側壁7に連なっており配線基板2と接触し外側へ折り返す折り返し部15を備えているものと、折り返し部15を備えていないものの双方が存在するが、各実施例において、折り返し部15を備えていない構成および折り返し部15を備えている構成の何れも採用可能である。折り返し部15を備えている構成であれば、シールドボックス1が外側へ広がってしまうことを防止して、シールドボックス1の配線基板2に対する接触が均一でなくなってシールド効果が低くなることを防止できる。
【0035】
弾性連結部12が、充分機能するためには、弾性連結部12の水平部14の距離が立ち上がり部13の高さより大きいことがよく、弾性連結部12の水平部14の距離(立ち上がり部13から側壁7又は隔壁端部までの距離)が長いほど低荷重が得られる。尚、基板との接触安定性を確保するためには、この水平部14の距離は、0.5〜5mm程度であることが好ましく、0.6〜2mmが更に好ましく、0.6〜0.8mmが最も良い。弾性連結部12の立ち上がり部13の高さは、シールドボックス1の圧縮変位量よりも大きく、おおよそ0.2〜4mm程度であることが好ましい。
【0036】
また、図4のように、側壁7が、折り返された構造であると、開口部6端部の剛性が増し、直線性が確保でき、圧縮に伴う変形を抑制することができ、グランド4から逸脱することはなく、確実に接続できる。また、内面のみに導電化を施した場合でも、導電性の表面をグランド4に押し当てることができる。
【0037】
隔壁8の先端部は鋭利な方が、接触の安定性が高く、あるいは図4、5などに示す隔壁8の窪みに、上方より、刃あるいは針を突き当てて、先端部の尾根上に微小突起や、成型による凹みがある構造であっても構わないが、グランド4との間に構成される間隙は、遮蔽すべき電磁波の1/10以下の波長をもつことが求められる。
【0038】
シールドボックス1の材質は、弾性連結部12が弾性変形を起こして、側壁7や隔壁8の端部が低押圧力でグランド4に接続するのであるから、低荷重で変形するためには、その剪断弾性率はおおよそ10〜1010 Paで弾性変形するものが好ましい。
弾性連結部12の厚みは、剪断弾性率にもよるが、1mm以下、より好ましくは0.05〜0.5mmでが好ましい。剪断弾性率がこれより大きいと、シールドボックス1をグランド4に押し付ける荷重が過大となり、筐体3や配線基板2を変形させ、接触不良となる。また小さいと、形状を保持できなくなり、内包する電子部品に接触し短絡するおそれがあり、接触圧力が不足して、これもまた接触不良となる。
【0039】
一方、側壁7、隔壁8の厚みは1mm以下であることが好ましく、実質上、0.2〜0.8mmであることがより好ましい。厚みが1mmを超えると、それだけ、電子回路5周辺にスペースが必要となり、電子機器の小型化を阻害する。
なお、この厚みは、側壁7や隔壁8が図4〜7のように、折り返された構造の場合は、2枚と間隙寸法との合計の厚みを指す。
【0040】
なお、弾性連結部12が前述のように立ち上がり部13と水平部14とからなる構造の場合は、弾性連結部12と側壁7又は隔壁8との厚みが同一でも、天板部10に押圧力がかかったときに側壁7や隔壁8が変形することなく、弾性連結部12が変形して応力を吸収できる。
【0041】
シールドボックス1の材料には、金属あるいは合成樹脂からなるものが選ばれるが、加工の容易性や重さの点で、合成樹脂が望ましい。この合成樹脂には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂のほか、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどのゴムが挙げられる。またこのほか、上記材料の変性物、混合物、複合物などでもよい。
【0042】
金属以外は、絶縁性であるから、材質の少なくとも一方の面は導電性を持つことが必要で、その表面抵抗は、10〜10−5Ω/□であることが好ましい。これより抵抗が高いと、十分なシールド効果が得られない。シールドボックス1が合成樹脂である場合は、合成樹脂の表面に、または、合成樹脂にカーボンブラックなどの導電性フィラーを予め練り込んだものの表面に、銅、ニッケル、銀、金などのメッキを施したり、スパッタリングや蒸着などの公知の方法を用いることによって、上記表面抵抗とされる。導電性フィラーの形状に制限はないが、高アスペクト比を有するものが効率的である。表面抵抗が低い場合は、電磁波の反射を抑えることができるが、効率よく減衰させるためには、フェライト、クロムフェライト、パーマアロイなどの軟質磁性材料やカーボンマイクロコイルなどを併用してもよい。
【0043】
前記した材質のシートあるいはペレットを用いて、公知の手法で、箱状のシールドボックスを成型することができ、加圧成型、真空成型、ブロー成型、射出成型、モールド成型により賦形できる。
一般的には、成型サイクルの早い真空成型やブロー成型がよく、厚さ50〜500μmの熱可塑性フィルムを50〜300℃に加熱し、金型上に追従するように、真空にあるいは加圧して、賦形することができる。
シートを賦形した場合は、図4〜8に示すように、隔壁はシートの折り返しにより賦形される。シートを用いた場合は、フープ状で導電化処理、切り欠き処理、検査、トリミング等が行えるので、搬送が楽である。
【0044】
シールドボックス1は、分割された筐体3、3´の内部にある配線基板2のグランド4に対して接触し接続するもので、他方の分割された筐体を組み合わせることにより、圧縮されて接続される。シールドボックス1の自由高さ(シールドボックスに応力がかかっていない状態での高さ)は、組み合わせ後の、筐体3、3´と配線基板2のグランド4との間隙よりも大きいことが必要で、この間隙より約0.1〜2mmほど大きいことが好ましい。これより小さいと、筐体3、3´あるいは配線基板2のうねり、そり、あるいは厚みのばらつきで、充分な圧縮変位量を得ることができず、これより大きいと、シールドボックス1の変形が大きくなり、過大な荷重が発生する場合があり、接続に好ましくないからである。
【0045】
本発明のシールドボックス1を使用した電磁波シールド構造においては、筐体3、3´内部に収納された配線基板2の種々の電子回路5を包囲するように上記シールドボックス1を配線基板2上に戴置し、筐体3、3´を組み合わせることにより、上記収納ボックスを筐体3、3´内部に収納するとともに、該シールドボックス1の天板部10を配線基板2に相対する筐体3、3´の内面により押圧して、該シールドボックス1を配線基板2に圧接する。
【0046】
シールドボックス1は、配線基板2上に載置して、そのまま筐体3、3´を組み合わせてもよいが、筐体3、3´を組み合わせる前に粘着テープで仮固定してもよい。また、シールドボックス1の隔壁8がフィルムの折り返しにより賦形されている場合は、その隔壁8の窪みに、筐体3、3´の補強用のリブを嵌合させて、仮固定してもよい。
【0047】
シールドボックス1を配線基板2に圧接すると、側壁7および/又は隔壁8と天板部10の間の弾性連結部12が弾性変形し、側壁7および/又は隔壁8の端部が配線基盤2のグランド4に接続されて、配線基板2上の電子回路5をシールドボックス1で覆い、シールドボックス1と配線基板2の別の層にある金属箔で包み込むことにより電磁波シールドする。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、側壁に、側壁から突出し、側壁の外側への膨らみを防止する補強用突出部が形成されているので、たとえ、筐体によって、シールドボックスの天板部を押し付けたとしても、シールドボックスが外側へ広がってしまうことがなく、シールドボックスの配線基板に対する接触が均一でなくなってシールド効果が低くなることを防止できる。
【0049】
また、補強用突出部の配置を工夫すれば、電子回路及び/又は電子部品が設けられている位置を避けて、スペースの有効利用をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるシールドボックスを組み込んだ電子機器の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態によるシールドボックスに関し、天板部を上にした状態のシールドボックスの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態によるシールドボックスに関し、開口部を上にした状態のシールドボックスの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態によるシールドボックスを示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例としてのシールドボックスを内面から見た斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施例としてのシールドボックスを外面から見た斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施例としてのシールドボックスを内面から見た斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施例としてのシールドボックスを外面から見た斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施例としてのシールドボックスを外面から見た斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施例としてのシールドボックスを示す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施例としてのシールドボックスを示す断面図である。
【図12】本発明の第5の実施例としてのシールドボックスを外面から見た斜視図である。
【図13】本発明の第6の実施例としてのシールドボックスを示す断面図である。
【図14】本発明の第7の実施例としてのシールドボックスを外面から見た斜視図である。
【図15】本発明の第8の実施例としてのシールドボックスを外面から見た斜視図である。
【図16】本発明の第9の実施例としてのシールドボックスを外面から見た斜視図である。
【符号の説明】
1 シールドボックス
2 配線基板
3、3’ 筐体
4 グランド
5 電子回路
6 開口部
7 側壁
8 隔壁
9 小部屋
10 天板部
12 弾性連結部
13 立ち上がり部
14 水平部
15 折り返し部
16 屈曲部
17 鍔部
23 返り壁
24 補強用突出部(曲げ成形部)
25 補強用突出部(中実部)

Claims (5)

  1. 天板部と、該天板部の周囲に突設された側壁と、を備え、配線基板上に設置されることで、前記配線基板上の電子回路及び/又は電子部品を包囲するシールドボックスであって、前記側壁に、前記側壁から突出し、前記側壁の外側への膨らみを防止する補強用突出部が形成されていることを特徴とするシールドボックス。
  2. 前記補強用突出部は、横方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のシールドボックス。
  3. 前記補強用突出部は、縦方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のシールドボックス。
  4. 前記補強用突出部は、平行して形成された2つの側壁の双方に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のシールドボックス。
  5. 内部に配線基板を収納した筐体内部に請求項1〜4の何れかに記載のシールドボックスを収納し、該シールドボックスの底壁を筐体の内面により押圧して、前記シールドボックスを配線基板に圧接させることにより配線基板上の電子回路及び/又は電子部品をシールドボックスで覆って電磁波シールドすることを特徴とする、シールドボックスを使用した電磁波シールド構造。
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