JP2004335392A - 有機el表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各画素の発光領域を平面的ではなく立体的にして発光面積を増やすことにより、同じ平面面積で輝度を大きくすると共に、画素間のデッドスペースを小さくして、視認特性を向上させ得る有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】基板1上に、断面形状がほぼ台形状のリブ2が格子状に設けられている。リブ2は、基板1側の幅が基板1と離れた上面の幅より大きい順方向テーパの台形状に形成されている。そしてこのリブ2の側面および基板1表面に、第1電極層3と、有機層4と、第2電極層5とが積層されている。第1電極層3と第2電極層5とは、帯状で並列するように形成されると共に、第1電極層3と第2電極層5とで直交するように形成され、両電極層3、5が対向する部分で、リブ2で囲まれる領域を1画素として表示する構成になっている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物のエレクトロルミネッセンス(EL)を利用してディスプレイを構成する有機EL表示装置に関する。さらに詳しくは、1画素当りの平面積を変えないで発光面積を広げることにより、表示画像の高輝度化を可能とした有機EL表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機物質を使用したEL素子は、固体発光型の安価な表示素子として開発が行われている。従来のEL素子を用いてディスプレイとした有機EL表示装置は、たとえば図6に示されるような構造になっている。すなわち、図6において、ガラスなどの透明基板32上に、ITOなどからなる帯状の陽極電極33が複数個並列して設けられ、その表面にレジストなどの塗布とパターニングにより、陽極電極33と直角方向に隔壁35が複数個並列して形成されている。そして、真空蒸着装置内で、有機層36が成膜され、その表面に、たとえばアルミニウム(Al)を真空蒸着装置で0.15μm程度の厚さ蒸着させることにより、陰極電極37がITOからなる陽極電極33と直交する方向の画素を連結するように帯状に連結して形成されている。
【0003】
なお、隔壁35上にも有機層36aおよび電極層37aが積層されるが、隔壁35が高いため、発光部とする各画素列の有機層36および陰極電極37とは電気的に分離され、各画素列間の有機層36および陰極電極37もこの隔壁35により電気的に分離される。その結果、直交する陽極電極33と陰極電極37とが交差する部分が画素となり、両電極により選択される画素のみに電圧が印加され、所望の画素を点灯させることにより画像を表示させる。
【0004】
このように、画素列間を電気的に分離するため、絶縁性リブからなる隔壁を用いる手法は、有機EL表示装置において常用されている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−307876号公報(図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来の有機EL表示装置では、直交する陽極電極と陰極電極とが交差する部分を画素として発光のオンオフを制御する構成になっている。また、画素列間に隔壁とする絶縁性リブを設ける手法も用いられているが、この隔壁は、有機層を画素列間で分離したり、陰極電極が隣接する画素列間でショートしないようにしたりするためのもので、図6に示されるように、ガラス基板側でその幅が狭く、ガラス基板から離れた上方側でその幅が広い断面形状が逆テーパ形状に形成されている。
【0007】
上述の構造では、各画素を構成する部分の陽極電極、有機層および陰極電極は全て平面形状であり、画素として発光する面積は隔壁の幅広部で挟まれた間隔に限定され、隔壁の幅広部と底面側の幅狭部との差は、無駄な空間になってしまう。その結果、発光しない画素間の幅が大きくなって、各画素の発光部が小さくなり1画素当りの輝度が低下することにより視認特性が低下すると共に、画素間のデッドスペースが大きいことによる視認特性の低下につながるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、各画素の発光領域を平面的ではなく、立体的にして発光面積を増やすことにより、同じ平面面積で発光面積を大きくすると共に、画素間のデッドスペースを小さくして、視認特性を向上させることができる有機EL表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による有機EL表示装置は、基板と、該基板上に格子状に設けられ、断面形状で、基板側の幅が基板と離れた上面の幅より大きいほぼ台形状のリブと、該リブの側面および前記基板表面に設けられる第1電極層と、該第1電極層上に設けられる有機層と、該有機層上に設けられる第2電極層とを具備し、前記リブで囲まれる領域を1画素として表示する構成になっている。
【0010】
ここにほぼ台形状とは、断面形状が完全な台形状のもののみを意味するのではなく、基板側を底辺とし基板から離れる側を上辺とした場合、底辺が上辺より大きい断面形状を意味するもので、上辺と底辺を結ぶ側面の断面形状は直線でも凹状でも凸状でも構わないことを意味する。
【0011】
この構造にすることにより、リブの側壁上にも電極および有機層が設けられ、発光させることができるため、1画素が基板上の平面のみで発光するのではなく、基板上の平面から台形状のリブの側壁でも発光することになり、1画素の発光部が立体的になる。その結果、同じ1画素の平面面積に対して、従来の平面的に発光する場合よりも広い面積で発光させることができる。そのため、1画素として明るい表示をすることができると共に、画素列間の距離も、電極を電気的に分離することができる間隔があればよく、従来の隔壁を設ける構造よりも狭くすることができ、より一層、表示装置としての視認特性を向上させることができる。なお、従来の隔壁に相当する、成膜の際の画素列間を分離するものはないため、有機層や電極を成膜する際には、メタルマスクなどを用いて、ドライエッチングによりパターニングすることになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の有機EL表示装置について、図面を参照しながら説明をする。本発明の有機EL表示装置は、その一実施形態の断面説明図が図1(a)に示されるように、基板1上に、断面形状がほぼ台形状のリブ2が格子状に設けられている。リブ2は、基板1側の幅が基板1と離れた上面の幅より大きい順方向テーパの台形状に形成されている。そしてこのリブ2の側面および基板1表面に、第1電極層3と、有機層4と、第2電極層5とが積層されている。第1電極層3と第2電極層5とは、それぞれ帯状で並列するように形成されると共に、第1電極層3と第2電極層5とで直交するように形成され、両電極層3、5が対向する部分で、リブ2で囲まれる領域を1画素として表示する構成になっている。
【0013】
すなわち、本発明による有機EL表示装置は、画素間に断面形状で順方向テーパ形状のリブ2が設けられ、そのリブ2の側壁2a上にも各電極層3、5および有機層4が設けられ、図1(b)にリブ2を形成した状態の平面説明図が示されるように、1画素6は、リブ2のない平坦部6aおよびリブ2の側面部6bとから形成されていることに特徴がある。
【0014】
基板1としては、ガラス、およびポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリフェニレンスルフィド膜、ポリパラキシレン膜などの各種絶縁性プラスティックなどの透明基板の他、図1に示される例のように、第1電極層3を陰極にしてアルミニウムを用いる場合には、セラミックスのような非透明な絶縁性基板や、シリコン基板などの表面にSiOなどを形成したものでもよい。図1に示される例では、ガラス基板を用いている。
【0015】
リブ2は、たとえばフォトレジストなどの絶縁物により基板1側の底面で広い面積を有し、基板1から離れる上面側で小さい面積になるように、断面形状が順方向テーパのほぼ台形状に形成されている。このリブ2の高さおよび幅(底面)は、表示装置の大きさにもよるが、たとえば35mm×50mm程度の大きさの表示装置で、高さが5〜15μm程度、底面の幅が80〜240μm程度(底面の幅)にそれぞれ形成される。また、テーパ形状の角度(底面に対する側面の角度)θ(図1参照)は、10〜30°程度に形成される。角度があまり大きいとリブ2の側壁上に安定した成膜が得られ難くなり、角度が余り小さいと発光面積を増やす効果が得られないためである。
【0016】
このリブ2は、たとえば基板1上の全面に塗布されたレジスト膜の各画素部をウェットエッチングにより腐食除去することにより、格子状に形成されている。すなわち、図1(b)にエッチングされた状態の平面説明図が示されるように、平面部6aおよびテーパ部(側面部)6bからなる画素部6(斜線で示した部分)のレジスト膜が腐食除去され、その画素部6を囲むように周囲にリブ2が形成されている。なおリブ2の側壁2aをテーパ状に形成するには、ポジ型エッチングをすることにより、前述のテーパ角度に形成することができる。このリブ2は、前述のレジストなどの樹脂類の他、SiOなどのウェットエッチングにより容易にパターニングできる絶縁膜であれば、光を透過するものでも遮断するものでもよい。
【0017】
第1電極層3は、図1に示される例では、陰極として形成されており、たとえばアルミニウム(Al)を主体とした金属膜により形成され、発光する光を図の上面側に取り出して画像を表示する構成に形成されている。陰極電極としては、電子注入性を向上させるため、仕事関数の小さい、たとえばMg、K、Li、Na、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Zrなどが一般には用いられる。また、酸化インジウムのような透明膜を用いることもできる。前述の金属の酸化などを防止して安定化させるため、他の金属との合金化をさせることが多く、図1に示される例では、110nm程度のAl層からなっており、有機層4との間に電子注入層として機能する、5nm程度の図示しないLiF層を介在させると電子注入を向上させることができる。
【0018】
有機層4は、たとえば図1(a)に示されるように、電子輸送層41、発光層42および正孔輸送層43により形成されているが、この3層構造に制限されるものではなく、少なくとも発光層が形成されていればよく、また、それぞれの層もさらに複層にすることもできる。
【0019】
電子輸送層41は、陰極電極3からの電子の注入性を向上させる機能および電子を安定に輸送する機能を有するもので、図1に示される例では、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)が25nmの厚さに設けられている。この層が余り厚くなると、発光層ではなくこの層で発光するため、余り厚くはしないで、通常は10〜80nm、好ましくは20〜50nm程度の厚さに設けられる。電子輸送層41としては、上記材料の他に、キノリン誘導体、8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体、フェニルアントラセン誘導体、テトラアリールエテン誘導体などを用いることができる。この電子輸送層41と陰極電極3との間でギャップが大きい場合には、前述のように、LiFなどからなる電子注入層が設けられる。
【0020】
発光層42としては、発光波長に応じて選択されるが、Alqなどを母材として有機物蛍光材料をドーピングすることにより、ドーピング材料固有の発光色を得ることができ、また、発光効率や発光の安定性を向上させることができる。このドーピングは、発光材料に対して数重量(wt)%程度(0.1〜20wt%)で行われる。
【0021】
蛍光性物質としては、キナクリドン、ルブレン、スチリル系色素などを用いることができる。また、キノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体、フェニルアントラセン誘導体、テトラアリールエテン誘導体などを用いることができる。また、それ自体で発光が可能なホスト物質と組み合せて使用することが好ましく、ホスト物質としては、キノリノラト錯体が好ましく、8−キノリノールまたはその誘導体を配位子とするアルミニウム錯体が好ましく、その他に、フェニルアントラセン誘導体やテトラアリールエテン誘導体などを用いることができる。
【0022】
正孔輸送層43は、一般的には発光層42への正孔注入性の向上と正孔の安定な輸送の向上ため、イオン化エネルギーがある程度小さく、発光層42への電子の閉込め(エネルギー障壁)が可能であることが求められており、アミン系の材料、たとえばトリフェニルジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族縮合環をもつアミン誘導体などが、10〜100nm、好ましくは20〜50nm程度の厚さに設けられる。また、図には示されていないが、正孔輸送層43と陽極電極5との間に正孔注入層を設け、正孔輸送層43へのキャリアの注入性をさらに向上させることも行われる。この場合も、陽極電極5からの正孔の注入性を向上させるため、イオン化エネルギーの整合性の良い材料が用いられ、代表例として、アミン系やフタロシアニン系が用いられる。図1に示される例では、正孔輸送層43として、NPBが35nmの厚さに設けられている。
【0023】
第2電極層5は、図1に示される例では陽極電極として形成されており、表面側に光を取り出すため、透明電極を用いる必要があり、蒸着などにより設けられるITO(Indium Tin Oxide)、酸化インジウムなどが用いられる。しかし、裏面側から光を取り出す場合には、正孔の注入性という観点からは、Au、Niなどの仕事関数の大きな金属を使用することもできる。
【0024】
つぎに、この有機EL表示装置の製法を、平面および断面の説明図がそれぞれ示される図2〜4を参照しながら説明する。まず、図2に示されるように、基板1表面の全面に、0.5〜1μm程度の厚さに塗布したレジストをウェットエッチングによりパターニングすることにより、画素6の形成部分を除去してその周囲にリブ2を形成する。この際、リブ2が図2(b)に示されるように、底面が広く上面が狭い順方向テーパ形状となるように、ポジ型エッチングにより行う。
【0025】
つぎに、図3に示されるように、たとえば横方向に並ぶ画素を連結するように帯状の第1電極層3および電子輸送層41と、発光層42と、正孔輸送層43とからなる有機層4を、たとえばメタルマスクを用いて、前述の材料を成膜することにより形成する。なお、この第1電極層3および有機層4は、全面に成膜してドライエッチングによりパターニングすることもできる。そして、図4に示されるように、メタルマスクを用いて第1電極層3および有機層4と直交する方向に延びる帯状の第2電極層5をITOにより形成する。その結果、図1に示される構造の有機EL表示装置が得られる。
【0026】
本発明の有機EL表示装置によれば、各画素間に設けられる絶縁性リブが逆テーパ状ではなく、順テーパであり、各画素の電極で挟まれる有機層により発光する部分が、リブの側壁にも形成されている。そのため、1画素はリブで挟まれる平面部のみではなく、リブの側壁も1画素の発光部として寄与する。その結果、図1(c)に発光領域の断面形状が示されるように、リブ側面の発光部6bが、リブのテーパ部分における底面の幅をA、傾斜面の底面に対する角度をθとすると、従来構造では発光面積がAであったものが、A/cosθとなり、たとえばθ=30°であれば、1.18A程度となる。さらに従来構造では逆テーパ形状の隔壁で無駄になっていた部分を利用することもでき、テーパ部の角度θおよび高さにより異なるが、1画素当りの発光面積を5〜20%程度向上させることができる。
【0027】
すなわち、全体としての面積を増やすことなく、1画素当りの発光面積を増やすことができ、非常に明るい表示をすることができる。さらに、図1に示される例のように、基板と反対側を光の取り出し方向(トップエミッション)にすることにより、1画素の発光部がお椀形になるため、画素ごとに光が集中し非常に見やすい表示装置になる。
【0028】
前述の例では、第1電極層3を陰極電極として、Alの金属電極で形成し、表面側に光を取り出す構造にしたが、第1電極層3を陽極電極にしても第2電極層を陰極電極として酸化インジウムなどの透明電極で形成することもできる。また、第1電極層を透明電極として第2電極層を金属電極とし、基板の裏面側から光を取り出す構造(ボトムエミッション)にすることもできる。基板の裏面側から光を取り出す場合、リブとしては透光性材料を用いる必要があると共に、リブの側壁部で発光する光は、斜め方向の離れる方向に光が出るため、画素の光が発散して隣接する画素間で光が交錯し、視認特性が低下する可能性がある。このような場合、図5に示されるように、基板の裏面側に、画素ごとに光を集光させる集光レンズ7を設けることにより、基板1の裏面側から光を放射する表示装置にする場合でも、視認特性を向上させることができる。
【0029】
すなわち、図5において、基板1およびリブ2の形成は、図1に示される例と同じであるが、第1電極層3としては、従来の一般的に製造される構造と同様に、陽極電極とするITO膜により形成され、有機層4は、下層から正孔輸送層43、発光層42、電子輸送層41の順で成膜され、その上に第1電極層3と直交するように第2電極層5が、たとえばAlにより形成されている。すなわち、図1に示される例と、材料的に上下が逆に形成されている。そして、基板1の裏面側に、たとえばプラスティックなどからなる集光レンズ7が、各画素と対応するように設けられている。この集光レンズ7は、たとえば基板1としてプラスティックを用い、基板と一体成形で形成することもできる。
【0030】
この構造にすることにより、従来構造と同様の積層構造にしながら、リブの側壁部での発光も利用することにより、画素当りの発光面積を大きくした有機EL表示装置が得られる。また、積層構造は、図1に示される例と同じ構造(第1電極層を陰極電極)で、第1電極層として、透明電極を用いれば、基板の裏面側から光を取り出す構造にすることもできる。この場合も、集光レンズ7を設ける構造にした方が、画素ごとの光を集光することができるため好ましい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、発光面を立体的に形成しているため、1画素の平面面積を増やすことなく、1画素当りの発光面積を増やすことができ、非常に明るい表示の有機EL表示装置を得ることができる。その結果、非常に小形の表示装置でも、非常に明るい表示をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有機EL表示装置の一実施形態を示す説明図である。
【図2】図1に示される表示装置の製造の一工程を示す図である。
【図3】図1に示される表示装置の製造の一工程を示す図である。
【図4】図1に示される表示装置の製造の一工程を示す図である。
【図5】本発明による有機EL表示装置の他の実施形態を示す断面説明図である。
【図6】従来の有機EL表示装置の一例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 リブ
3 第1電極層
4 有機層
5 第2電極層
6 画素

Claims (1)

  1. 基板と、該基板上に格子状に設けられ、断面形状で、基板側の幅が基板と離れた上面の幅より大きいほぼ台形状のリブと、該リブの側面および前記基板表面に設けられる第1電極層と、該第1電極層上に設けられる有機層と、該有機層上に設けられる第2電極層とを具備し、前記リブで囲まれる領域を1画素として表示する有機EL表示装置。
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