JP2004333844A - 光ビーム走査装置及びその光ビーム走査装置を備えた画像形成機 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光体ドラム上に静電潜像を形成するための光ビーム走査装置に対し、回転多面鏡の回転駆動源であるモータからの発熱を外部に放出するための特別な部材を必要とすることなしに、モータの発熱による悪影響(回転多面鏡と他の光学部品との相対位置の変化)を抑制することが可能な光ビーム走査装置及びその光ビーム走査装置を備えた画像形成機を提供する。
【解決手段】回転多面鏡62の駆動源であるモータ80からfθレンズ64,65に向かう熱伝導の経路となっているハウジング60の底板60aに、この熱伝導経路の距離を長くする熱伝導迂回部70を形成する。モータ80からの発熱は、モータ取付部から光学部品取付部に向けて伝わる間に大部分が放熱され、光学部品取付部の温度上昇を抑制することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】回転多面鏡62の駆動源であるモータ80からfθレンズ64,65に向かう熱伝導の経路となっているハウジング60の底板60aに、この熱伝導経路の距離を長くする熱伝導迂回部70を形成する。モータ80からの発熱は、モータ取付部から光学部品取付部に向けて伝わる間に大部分が放熱され、光学部品取付部の温度上昇を抑制することができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル複写機、レーザプリンタ、レーザファクシミリ等の画像形成機に搭載される光ビーム走査装置及びその光ビーム走査装置を備えた画像形成機に係る。特に、本発明は、光ビームのスポット径や光ビーム走査特性を適切に維持するための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成機における画像形成(印刷)動作としては、先ず、パーソナルコンピュータ等のホスト装置から送信された画像データに基づいて、光ビーム走査装置により感光体ドラム上に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナー(現像剤)を付着させて、感光体ドラム上で画像データを顕像化させる。その後、用紙搬送経路を搬送されてきた記録用紙を感光体ドラムと転写ローラとの間に通過させて、感光体ドラム上のトナー像を記録用紙の表面に転写する。そして、この記録用紙を定着ローラに通過させ、この定着ローラによる加熱及び加圧によってトナー像を記録用紙上に定着させるようにしている。
【0003】
また、上記感光体ドラム上に静電潜像を形成するための光ビーム走査装置は、受信した画像データに基づいて光ビーム(レーザビーム)を変調させながら、帯電器によって予め帯電された感光体ドラム表面に対して上記光ビームを走査することで、この感光体ドラム表面に静電潜像を形成していく。
【0004】
この種の光ビーム走査装置としては、光ビームの変調速度が速く走査速度を速くすることが可能なレーザビーム方式が一般的に多く使用されている。
【0005】
ところで、上述したレーザビーム方式の光ビーム走査装置にあっては、レーザ光源から出射される光ビームの光路を変更するための偏向手段である回転多面鏡(ポリゴンミラー)を必要とするため、この回転多面鏡を回転させるために高速回転可能なモータを使用している。
【0006】
感光体ドラム表面に対する静電潜像の書き込み速度を高くするためには、このモータを高速回転させて回転多面鏡の高回転化を図る必要があるが、この場合、モータの発熱量が大きくなり、モータを支持しているベース部材となるハウジングにこの熱が伝達してしまって、このハウジングの温度も上昇する(例えば50℃〜80℃程度まで上昇する)ことになる。
【0007】
一般に上記ハウジングは樹脂(例えばポリカーボネート)製であるため、その温度が上昇すると熱膨張してしまい、このハウジングに支持されている回転多面鏡とFθレンズとの相対位置関係や回転多面鏡とレーザ光源との相対位置関係が変化してしまう虞がある。このFθレンズは回転多面鏡により偏向走査された光ビームをFθ補正して結像させるためのものである。このように、光学部品相互の位置関係が変化してしまうと、感光体ドラム上の光ビームのスポット径として所望の径が得られなかったり、Fθ特性が変化したりしてしまい、形成される静電潜像の画質の悪化を招いてしまうことになる。
【0008】
この不具合に鑑み、従来では、下記の特許文献1に開示されているように、モータからの発熱を放熱板によってハウジングの外部に逃がすようにしたり、特許文献2に開示されているように、空気の流入経路を設けて空冷させるなどの手段によって、モータの発熱による悪影響を抑制するようにしている。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−196271号公報
【特許文献2】
特開平6−43381号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した各特許文献の技術にあっては、モータからの発熱を外部に放出するための部材を特別に設ける必要があるため、部品点数の増大や製造コストの高騰を招いてしまい好ましくない。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、感光体ドラム上に静電潜像を形成するための光ビーム走査装置に対し、回転多面鏡の回転駆動源であるモータからの発熱を外部に放出するための特別な部材を必要とすることなしに、モータの発熱による悪影響(回転多面鏡と他の光学部品との相対位置の変化)を抑制することが可能な光ビーム走査装置及びその光ビーム走査装置を備えた画像形成機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、回転多面鏡の駆動源であるモータから他の光学部品に向かう熱伝導の経路となっているハウジングの形状を改良し、この熱伝導経路の距離を従来よりも長くすることによって、他の光学部品への熱伝導を抑制するようにしている。つまり、光ビーム走査装置のハウジング自体に、モータの発熱による悪影響を抑制するための機能を備えさせるようにしている。
【0013】
−解決手段−
具体的には、モータを駆動源として回転する反射ミラー部材と、この反射ミラー部材の入射側及び出射側のうち少なくとも一方に配置された光学部品とが同一支持板上に配設されており、光源より出射された光ビームを、回転する反射ミラー部材によって偏向させて被走査体に走査する光ビーム走査装置を前提とする。この光ビーム走査装置に対し、支持板におけるモータ取付部と光学部品取付部との間に、これら取付部同士間の熱伝導経路を、モータと光学部品とを結ぶ直線距離よりも長くする熱伝導迂回部を形成している。
【0014】
この特定事項により、回転多面鏡等で成る反射ミラー部材を回転させるモータを取り付ける支持板上の取付部(モータ取付部)から、fθレンズやコリメートレンズ等の光学部品を取り付ける支持板上の取付部(光学部品取付部)までの熱伝導経路を、熱伝導迂回部を形成することにより長くしている。このため、モータの回転動作に伴う発熱は、モータ取付部から光学部品取付部に向けて伝わる間に大部分が放熱され、光学部品取付部の温度上昇を抑制することができる。従って、反射ミラー部材と光学部品との相対位置や相対距離、複数の光学部品同士の相対位置や相対距離が変化し難くなり、被走査体に対して走査する光ビームのスポット径や走査特性の変化を抑制できる。その結果、放熱のための特別な部材を必要とすることなしに、モータの発熱による悪影響(反射ミラー部材と光学部品との相対位置の変化等)を抑制することが可能となり、高品位の画像を形成することができる。
【0015】
上記熱伝導迂回部の具体的な形状としては以下のものが掲げられる。つまり、支持板の一部を屈曲することによって熱伝導迂回部を形成する。そして、その屈曲形状を、光源より出射された光ビームの光路及び反射ミラー部材によって偏向された光ビームの光路に干渉しない形状とする。
【0016】
これによれば、光学系の光路に干渉しないように熱伝導迂回部を迂回させる(出っ張らせる)ことにより、被走査体に対して良好な光ビーム走査を行うことを可能にしながらも、反射ミラー部材と光学部品との相対位置や相対距離を変化し難くすることができる。
【0017】
上記熱伝導迂回部の形状としてより具体的には、光源より出射された光ビームの光路及び反射ミラー部材によって偏向された光ビームの光路を、支持板の表裏のうちの一方側に形成する。そして、熱伝導迂回部を、この支持板の表裏のうちの他方側に突出するように屈曲して形成する。
【0018】
この構成によれば、反射ミラー部材(回転多面鏡)の配設側とは反対側(通常ではモータの取付面となる側)に向かって延びる(突出する)ように支持板の一部を迂回させているので走査光路に影響を与えることはない(邪魔にならない)。また、熱伝導迂回部の形状の自由度も高いため、その迂回量(熱伝導経路の距離)を長くすることができて、光学部品取付部への熱伝導量を確実に抑制することができる。更に、支持板に対するモータの取り付けなども容易に行える。
【0019】
また、支持板の表面側と裏面側とを連通させる開口を熱伝導迂回部に形成している。熱伝導迂回部を、モータの取付面となる側に突出させた場合には、このモータの外周囲が熱伝導迂回部に囲まれてしまって放熱性の悪化が懸念されるが、熱伝導迂回部に開口を形成したことにより、モータ周辺部の風通しがよくなり、モータの冷却効率の向上を図ることができる。また、モータ取付部から光学部品取付部に向けての伝熱経路の断面積が小さくなり熱の伝播を低減することもできる。
【0020】
熱伝導迂回部を、モータの回転軸を中心とした対称形状に形成した場合、熱伝導迂回部のみならずモータの取り付け部も対称にすることができ、モータの発熱によりモータの取り付け部の温度が高くなっても、支持板上のモータ取付部および熱伝導迂回部の熱による寸法の変化が回転軸を中心に均等に起こり、走査光学系の光路を歪ませるような歪が支持板に発生しない。つまり、支持板には、モータの回転軸を中心として均等に熱膨張が起こるため、走査光学系の光路が変化してしまうことはなく、良好な光ビーム走査を維持できる。
【0021】
また、モータの回転軸の延長方向に対して直交する方向の断面形状が環状となるように熱伝導迂回部を形成すれば、モータの中心から迂回部までの距離が等しくなり最も安定した光ビーム走査装置を提供できる。
【0022】
更に、上記何れか一つの解決手段に係る光ビーム走査装置を備えた画像形成機も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、上記光ビーム走査装置から光ビームが走査されることによって被走査体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて、この静電潜像を顕像化し、この現像剤により顕像化された画像を被走査体から記録媒体に転写することによって、この記録媒体に画像を形成するよう構成された画像形成機である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、画像形成機としてデジタル複写機に本発明を適用した場合について説明する。
【0024】
−複写機1の全体構成の説明−
図1は本形態に係るデジタル複写機1の内部構成の概略を示している。この図1のように、本デジタル複写機1は、スキャナ部2、記録媒体としての記録用紙Pへの画像形成を行う画像形成部3、この画像形成部3へ記録用紙Pを搬送する用紙搬送機構4を備えている。以下、各部について説明する。
【0025】
<スキャナ部2の説明>
スキャナ部2は、透明なガラス等で成る原稿載置台21と、この原稿載置台21上に原稿を給紙する両面対応自動原稿送り装置(RADF;Reversing Automatic Document Feeder)22とを備えており、この原稿載置台21上の原稿の画像を読み取って画像データを作成する部分である。
【0026】
上記RADF22は、セットされた複数枚の原稿を1枚ずつ原稿載置台21上に自動給紙するための自動給紙トレイ22aを備えている。また、このRADF22は、ユーザの選択に応じて原稿の片面または両面を後述するスキャナユニット23に読み取らせることができるようになっている。具体的には、自動給紙トレイ22a上の原稿を原稿載置台21上に搬送するための搬送経路、原稿の両面をスキャナユニット23に読み取らせるべく原稿を反転させる反転経路を備えている。そして、原稿の片面のみを読み取らせる場合には搬送経路のみを使用する一方、原稿の両面を読み取らせる場合には搬送経路を経て原稿載置台21上に搬送された原稿を反転経路において反転させて原稿載置台21上に再度搬送するようになっている。このため、各経路には搬送経路切り換え手段及び原稿の搬送位置を認識するためのセンサ群(共に図示省略)が設けられている。RADF22の構成については従来より周知であるため詳細な説明は省略する。
【0027】
また、このスキャナ部2は、原稿載置台21上に搬送された原稿の画像を読み取るためのスキャナユニット23を備えている。このスキャナユニット23は、ランプリフレクタアセンブリ24、複数の反射ミラー25a,25b,25c、光学レンズ体26、光電変換素子(CCD)27を備えている。
【0028】
上記ランプリフレクタアセンブリ24は、原稿載置台21上に載置された原稿に対して光を照射するものである。各反射ミラー25a,25b,25cは、図1に二点鎖線で光路を示すように、原稿からの反射光を一旦図中左方向に反射させた後、下方に反射させ、その後、光学レンズ体26に向かうように図中右方向に反射させるようになっている。
【0029】
原稿の画像読み取り動作として、上記原稿載置台21上に原稿が載置されると、ランプリフレクタアセンブリ24及び反射ミラー25aで成る第1走査ユニット23aが原稿載置台21に沿って水平方向に走査して、原稿全体に光を照射する。この際、反射ミラー25b,25cで成る第2走査ユニット23bは上記第1走査ユニット23aに対して所定比率の速度(第1走査ユニット23aに対して半分の速度)で同方向に移動する。そして、上記各反射ミラー25a,25b,25cで反射されて光学レンズ体26を通過した光は光電変換素子27上に結像され、この光電変換素子27において反射光が電気信号(原稿画像データ)に変換されるようになっている。そして、このようにして得られた画像データは、制御部(画像処理部)3Aへ送信され、ここで各種処理が行われた後、この制御部3Aのメモリに一旦記憶され、出力指示に応じてメモリ内の画像データが読み出されて画像形成部3による画像形成動作に利用される。
【0030】
<画像形成部3の説明>
画像形成部3は、光ビーム走査装置としてのレーザ書き込みユニット31及び電子写真プロセス部32を備えている。レーザ書き込みユニット31は、上記光電変換素子27において変換された原稿画像データに基づいたレーザ光を電子写真プロセス部32の感光体ドラム33の表面に照射するものである。具体的には、このレーザ書き込みユニット31は、上記画像データに応じたレーザ光を照射する半導体レーザ光源、このレーザ光を等角速度偏向するポリゴンミラー、この等角速度偏向されたレーザ光が感光体ドラム33上を等速度で走査するように補正するf−θレンズ等を有している。これらの詳細については後述する。
【0031】
感光体ドラム33は、図1中に矢印で示す方向に回転し、レーザ書き込みユニット31からのレーザ光が折返しミラー31aで反射されて照射されることによってその表面に静電潜像が形成されるようになっている。
【0032】
また、電子写真プロセス部32は、上記感光体ドラム33の周囲に、帯電器34、現像器35、転写器36、除電器37、剥離器、クリーニング器38、定着器39が配置されて成っている。帯電器34は、静電潜像が形成される前の感光体ドラム33の表面を所定の電位に帯電させるようになっている。現像器35は、感光体ドラム33の表面に形成された静電潜像を画像形成物質としてのトナーにより可視像に現像するものである。転写器36は、感光体ドラム33の表面に形成されたトナー像を記録用紙Pに転写するものである。除電器37は、トナー像が転写された後の記録用紙Pを除電してこの記録用紙Pが感光体ドラム33から剥離しやすいようにするものである。クリーニング器38は、トナー転写後において感光体ドラム33の表面に残留したトナーを除去するようになっている。定着器39は、記録用紙Pに転写されたトナー像を加熱により記録用紙P上に定着させるものである。
【0033】
これにより、記録用紙Pに画像を形成する際には、帯電器34によって感光体ドラム33の表面が所定の電位に帯電され、レーザ書き込みユニット31が画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム33の表面に照射して静電潜像を形成する。その後、現像器35が感光体ドラム33の表面にトナーによる可視像を現像し、用紙搬送機構4から給紙された記録用紙Pに対して、転写器36によってトナー像が転写される。その後、この記録用紙Pは定着器39によって加熱され、トナー像が定着される。一方、感光体ドラム33の表面に残留したトナーはクリーニング器38によって除去される。これにより、記録用紙Pへの画像形成動作(印字動作)の1サイクルが終了する。このサイクルが繰り返されることにより、複数枚の記録用紙P,P,…に対して連続的に画像形成を行うことができるようになっている。
【0034】
<用紙搬送機構4の説明>
用紙搬送機構4は、第1、第2び第3の用紙カセット41,42,43、マルチ手差しトレイ44に収容された記録用紙P,P,…を1枚ずつ搬送して上記画像形成部3による画像形成を行わせると共に、画像形成された記録用紙Pを排紙トレイ51へ排出するものである。また、この用紙搬送機構4は、片面に画像形成された記録用紙Pを一旦回収した後に他面に対して画像形成部3による画像形成を行わせるための両面複写ユニット45を備えている。尚、この両面複写ユニット45は、通常の用紙カセットと交換可能な構成となっており、用紙カセットの搭載台数の増加を図ることができるようになっている。
【0035】
各用紙カセット41,42,43それぞれには異なるサイズの記録用紙P,P,…が収容されており、ユーザが所望するサイズの記録用紙Pが収容されている用紙カセットから記録用紙Pが順次1枚ずつ取り出されて搬送経路40を経て画像形成部3に順次搬送されるようになっている。
【0036】
この用紙搬送機構4の搬送経路40としては、主搬送路46とスイッチバック搬送路47とがある。
【0037】
主搬送路46は、一端(記録用紙搬送方向の上流端側)が分岐されて各用紙カセット41,42,43及び手差しトレイ44の排出側にそれぞれ対向していると共に、他端(記録用紙搬送方向の下流端側)が転写器36及び定着器39を経て排紙トレイ51を備えた後処理装置50に対向している。この後処理装置50には、ステープル処理等の後処理が可能な機構が組み込まれていると共に、記録用紙Pを排出する排紙トレイ51を切り換えるべく、この排紙トレイ51を昇降させるための機構が組み込まれている。
【0038】
スイッチバック搬送路47は、一端(図中の上端)が定着器39の配設位置よりも下流側(図中左側)で主搬送路46に繋がっていると共に、途中部分(図中上下方向の中央部分)が第1及び第2の分岐路47A,47Bに分岐されている。第1分岐路47Aは鉛直下方に延びている。一方、第2分岐路47Bは一端が両面複写ユニット45の搬入側に対向している。
【0039】
主搬送路46とスイッチバック搬送路47との接続部分及びスイッチバック搬送路47の分岐部分には第1及び第2の分岐爪47a,47bがそれぞれ設けられている。
【0040】
第1分岐爪47aは、スイッチバック搬送路47を閉鎖する第1位置と、主搬送路46の排出側を閉塞して、この主搬送路46とスイッチバック搬送路47とを連通させる第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この第1分岐爪47aが第1位置にあるときには画像形成部3を経た記録用紙Pがそのまま排紙トレイ51へ排紙される。一方、第1分岐爪47aが第2位置にあるときには画像形成部3を経た記録用紙Pがスイッチバック搬送路47へ供給されるようになっている。
【0041】
第2分岐爪47bは、スイッチバック搬送路47の第1分岐路47Aを開放し且つ第2分岐路47Bを閉鎖する第1位置と、第2分岐路47Bを開放し且つ第1分岐路47Aを閉鎖する第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この第2分岐爪47bが第1位置にあるときにはスイッチバック搬送路47に搬送された記録用紙Pが第1分岐路47Aに導かれてその下端位置まで搬送される。その後、第2分岐爪47bが第2位置となって記録用紙Pの搬送方向が逆転されると、この記録用紙Pが分岐部を経て第2分岐路47Bに搬送されて両面複写ユニット45へ供給されるようになっている。つまり、記録用紙Pが、第1分岐路47A及び第2分岐路47Bを経て両面複写ユニット45へ供給されることにより、この記録用紙Pが画像形成部3に供給された際に上下が反転され、記録用紙Pの裏面に対して画像形成が行えるようになっている。
【0042】
これにより、本複写機1により片面コピーが行われる場合には、第1分岐爪47aが第1位置となり、各用紙カセット41,42,43または手差しトレイ44から取り出された記録用紙Pが、画像形成部3により画像形成された後、そのまま排紙トレイ51へ排紙される。
【0043】
一方、両面コピーが行われる場合には、先ず、第1分岐爪47aが第2位置となり、第2爪47bが第1位置となる。これにより、各用紙カセット41,42,43または手差しトレイ44から取り出されて画像形成部3により片面に画像形成された記録用紙Pは、スイッチバック搬送路47の第1分岐路47Aに導かれる。その後、第2分岐爪47bが第2位置となって記録用紙Pの搬送方向が逆転され、この記録用紙Pが分岐部を経て第2分岐路47Bから両面複写ユニット45へ供給される。記録用紙Pの他面に画像形成を行う際には、第1分岐爪47aが第1位置となり、両面複写ユニット45から取り出された記録用紙Pが、画像形成部3により画像形成され、排紙トレイ51へ排紙されるようになっている。
【0044】
主搬送路46の上流端(用紙カセット41,42,43、手差しトレイ44及び両面複写ユニット45の排出側に対向する部分)にはピックアップローラ48が配設されている。また、各ピックアップローラ48の下流側には、取り出された記録用紙Pを主搬送路46に給紙するための複数の給紙ローラ49が配設されている。このピックアップローラ48及び給紙ローラ49の回転により、用紙カセット41,42,43、手差しトレイ44及び両面複写ユニット45に収容されている記録用紙Pが選択的に1枚ずつ主搬送路46に給紙できるようになっている。
【0045】
−レーザ書き込みユニット31の説明−
次に、本形態の特徴部分である光ビーム走査装置としてのレーザ書き込みユニット31について説明する。
【0046】
図2は、本形態に係るレーザ書き込みユニット31の内部の概略構成を示す斜視図である。このレーザ書き込みユニット31は、半導体レーザを備えた光源部61のから回転多面鏡(ポリゴンミラー)62に向かって照射される光ビーム(以後、入射ビームという)を、回転多面鏡62の反射面で反射し、この反射光である光ビーム(以後、出射ビームという)により、感光体ドラム33を走査して、この感光体ドラム33の表面に静電潜像を形成する装置であって、箱形のハウジング60内に各種光学部品が設置された構成となっている。各種光学部品は、ハウジング60の底板(本発明でいう支持板)60a上に取り付けられている。このハウジング60は、高い強度と、温度に対する寸法変化がなるべく小さな材料にて形成されており、具体的には量産性を考慮し、例えば、40〜50%程度ガラスを含有したPC(ポリカーボネート)等の樹脂材料が使用されている。
【0047】
上記光源部61から回転多面鏡62までの光路(以後、入射ビーム光路という)と、回転多面鏡62から感光体ドラム33までの光路(以後、出射ビーム光路という)には、種々の光学部品が配置されている。ここでは、入射ビーム光路に配置されている光学部品を入射光学系部品、出射ビーム光路に配置されている光学部品を出射光学系部品と呼ぶ。
【0048】
入射光学系部品は、光源部61の半導体レーザから射出された入射ビームを回転多面鏡62に導くものであって、入射ビーム光路の半導体レーザから回転多面鏡62に向かう順に、射出された光ビームを平行ビームに変換するためのコリメートレンズ63、図示しないアパーチャ(絞り部材)等が配設されている。つまり、この入射光学系では、光源部61から射出されたレーザ光を、コリメートレンズ63及びアパーチャによって回転多面鏡62上に結像させる。この際、回転多面鏡62に照射される入射ビームは、回転多面鏡62の反射面の高さ方向の略中央域に照射される。
【0049】
上記ハウジング底板60aの下面には、ハウジング底板60aの上面側に鉛直上方に延びる駆動軸を備えたモータ80が取り付けられており(図3参照)、このモータ80の駆動軸に上記回転多面鏡62が回転一体に取り付けられている。つまり、この回転多面鏡62は、モータ80の駆動に伴って鉛直軸回りに回転しながら入射ビームを反射するようになっている。
【0050】
一方、出射光学系部品としては、回転多面鏡62の反射面により反射された出射ビームを回転多面鏡62から感光体ドラム33に導くと共に、感光体ドラム33上を照射した際のビームスポットが所定の大きさに絞られ且つ感光体ドラム33上を等速度で走査するように作用するfθレンズ64,65及び折返しミラー66等が配列されている。つまり、この出射光学系では、回転多面鏡62で偏向走査されたレーザ光(出射ビーム)が、fθレンズ64,65、折返しミラー66を経て感光体ドラム33の表面に結像される。即ち、各レーザ光(光ビーム)は、回転多面鏡62の反射面における回転方向の位置に応じて異なる光路を経て感光体ドラム33の表面に達することになる。上記出射ビームが感光体ドラム33の表面を走査する際、この出射ビームは、主走査ライン上を定期的に走査する一方で、感光体ドラム33が回転するため、この感光体ドラム33上では一定期間毎に異なる箇所が走査され、画像情報に応じた潜像が感光体ドラム33上に順に形成されていくことになる。
【0051】
また、図2における符号67は、非画像領域に設けられた反射ミラーであり、この反射ミラー67で反射されたレーザ光をレンズ68を経てビームディテクタ69に照射させることにより、主走査方向の画像書き出し位置を決定するようになっている。
【0052】
−熱伝導迂回部の説明−
次に、本実施形態の特徴とする部分について説明する。本形態の特徴とする部分は、上記ハウジング60の底板60aに熱伝導迂回部70が形成されていることにある。以下、この熱伝導迂回部70について説明する。
【0053】
図3は図2におけるIII−III線に沿った断面図である。また、図4は図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。これら図に示すように、熱伝導迂回部70は、上記モータ80の取付部分の周囲に円環状に形成されている。具体的には、モータ80の駆動軸を中心として、外周側に向かって斜め下方に延びる第1傾斜部71と、この第1傾斜部71の下端から外周側に向かって斜め上方に延びる第2傾斜部72とを備えている。また、これら第1傾斜部71と第2傾斜部72とは滑らかな湾曲部73によって連続形成されている。つまり、この熱伝導迂回部70は、ハウジング60の外側(下側)に向かって膨出した屈曲形状で形成されており、光ビームの光路に干渉しない形状となっている。
【0054】
また、この熱伝導迂回部70の内側(モータ駆動軸の中心側)には平坦なモータ取付座60bが形成されている。モータ80の上端部には平板状のモータフランジ81が形成されており、このモータフランジ81がモータ取付座60bの上面に固定されていることにより、モータ80がハウジング60に取り付けられている。
【0055】
このような構成であるため、モータ取付座60bから、コリメートレンズ63やfθレンズ64,65等の光学部品を取り付ける底板60a上の取付部(光学部品取付部)までの熱伝導経路が長く形成されることになる。このため、モータ80の回転動作に伴う発熱は、モータ取付座60bから各種光学部品の取付部に向けて伝わる間に放熱され、光学部品取付部の温度上昇を抑制することができる。従って、回転多面鏡62と各種光学部品との相対位置や相対距離、複数の光学部品同士の相対位置や相対距離が変化し難くなり、感光体ドラム33に対して走査する光ビームのスポット径や走査特性が変化しない。その結果、放熱のための特別な部材を必要とすることなしに、モータ80の発熱による悪影響(回転多面鏡62と他の光学部品との相対位置の変化等)を抑制することが可能となり、高品位の画像を形成することができる。
【0056】
(変形例)
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。本例は、熱伝導迂回部70の変形例であって、その他の構成は上述した実施形態のものと同一である。従って、ここでは熱伝導迂回部70の構成についてのみ説明する。
【0057】
図5は図3に相当する部分の断面図である。また、図6は図5におけるVI−VI線に沿った断面図である。
【0058】
これら図に示すように、本例に係る熱伝導迂回部70も上記モータ80の取付部分の周囲に円環状に形成されている。具体的には、上記実施形態の場合と同様に、モータ80駆動軸を中心として、外周側に向かって斜め下方に延びる第1傾斜部71と、この第1傾斜部71の下端から外周側に向かって斜め上方に延びる第2傾斜部72とを備えている。また、これら第1傾斜部71と第2傾斜部72とは滑らかな湾曲部73によって連続形成されている。つまり、本例の熱伝導迂回部70にあっても、ハウジング60の外側(下側)に向かって膨出した屈曲形状で形成されており、光ビームの光路に干渉しない形状となっている。
【0059】
そして、本例の熱伝導迂回部70の特徴として、ハウジング底板60aの表面側と裏面側とを連通させる開口74,74,…が周方向に亘って一定の角度間隔を存した8箇所に形成されている。この開口74は、上記第1傾斜部71の下端部から湾曲部73を経て第2傾斜部72の下端部に亘って形成されている。また、熱伝導迂回部70の周方向の開口74の形成範囲としては、開口74の形成によって間欠的に形成されている湾曲部73の個々の周方向長さ(図6における寸法t1)に対して開口74の周方向長さ(図6における寸法t2)が短く(約1/3に)設定されている。
【0060】
以下、この開口74,74,…を形成したことによる効果について説明する。熱伝導迂回部70を、モータ80の取付面となる側(図5における下側)に突出させた場合には、このモータ80の外周囲が熱伝導迂回部70に囲まれてしまって放熱性の悪化が懸念されるが、本例では、熱伝導迂回部70に開口74,74,…を形成したことにより、モータ周辺部の風通しがよくなり、モータ80の冷却効率の向上を図ることができる。また、モータ取付部から光学部品取付部に向けての伝熱経路の断面面積が小さくなるため熱の伝播を低減することもできる。
【0061】
−その他の実施形態−
上記実施形態及び変形例では、デジタル複写機に本発明を適用した場合について説明したが、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成機やこれらの複合機に対して適用することも可能である。
【0062】
また、熱伝導迂回部70の形状としては、上述したものに限らない。例えば、光ビームの光路に干渉しない領域であればハウジング60の内側に向けて膨出する形状であってもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、光源より出射された光ビームを、回転する反射ミラー部材によって偏向させて被走査体に走査する光ビーム走査装置に対し、回転多面鏡の駆動源であるモータから他の光学部品に向かう熱伝導の経路となっている支持板に熱伝導迂回部を形成し、他の光学部品への熱伝導を抑制するようにしている。このため、反射ミラー部材と光学部品との相対位置や相対距離、複数の光学部品同士の相対位置や相対距離が変化してしまうことを抑制でき、被走査体に対して走査する光ビームのスポット径や走査特性の変化を抑制できる。その結果、放熱のための特別な部材を必要とすることなしに、モータの発熱による悪影響を抑制することが可能となり、高品位の画像を形成することができる。
【0064】
また、支持板の表面側と裏面側とを連通させる開口を熱伝導迂回部に形成した場合には、モータ周辺部の通気性が良好になり、モータの冷却効率の向上を図ることができる。また、モータ取付部から光学部品取付部に向けての伝熱経路の断面積が小さくなるため熱の伝播を低減することもでき、これによっても、モータの発熱による悪影響を抑制することが可能となり、高品位の画像を形成することができる。
【0065】
更に、熱伝導迂回部を、モータの回転軸を中心とした対称形状に形成した場合には、モータの発熱の影響によって支持板に熱膨張が生じたとしても、その熱膨張はモータの回転軸を中心として外周側に向けて均等に起こるため、走査光学系の光路が変化してしまうことはなく、良好な光ビーム走査を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るデジタル複写機の内部構成の概略を示す図である。
【図2】光ビーム走査装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】変形例における図3相当図である。
【図6】図5におけるVI−VI線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 デジタル複写機(画像形成機)
31 レーザ書き込みユニット(光ビーム走査装置)
33 感光体ドラム(被走査体)
60a ハウジング底板(支持板)
61 光源部
62 回転多面鏡
63 コリメートレンズ(光学部品)
64,65 fθレンズ(光学部品)
70 熱伝導迂回部
74 開口
P 記録用紙(記録媒体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル複写機、レーザプリンタ、レーザファクシミリ等の画像形成機に搭載される光ビーム走査装置及びその光ビーム走査装置を備えた画像形成機に係る。特に、本発明は、光ビームのスポット径や光ビーム走査特性を適切に維持するための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成機における画像形成(印刷)動作としては、先ず、パーソナルコンピュータ等のホスト装置から送信された画像データに基づいて、光ビーム走査装置により感光体ドラム上に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナー(現像剤)を付着させて、感光体ドラム上で画像データを顕像化させる。その後、用紙搬送経路を搬送されてきた記録用紙を感光体ドラムと転写ローラとの間に通過させて、感光体ドラム上のトナー像を記録用紙の表面に転写する。そして、この記録用紙を定着ローラに通過させ、この定着ローラによる加熱及び加圧によってトナー像を記録用紙上に定着させるようにしている。
【0003】
また、上記感光体ドラム上に静電潜像を形成するための光ビーム走査装置は、受信した画像データに基づいて光ビーム(レーザビーム)を変調させながら、帯電器によって予め帯電された感光体ドラム表面に対して上記光ビームを走査することで、この感光体ドラム表面に静電潜像を形成していく。
【0004】
この種の光ビーム走査装置としては、光ビームの変調速度が速く走査速度を速くすることが可能なレーザビーム方式が一般的に多く使用されている。
【0005】
ところで、上述したレーザビーム方式の光ビーム走査装置にあっては、レーザ光源から出射される光ビームの光路を変更するための偏向手段である回転多面鏡(ポリゴンミラー)を必要とするため、この回転多面鏡を回転させるために高速回転可能なモータを使用している。
【0006】
感光体ドラム表面に対する静電潜像の書き込み速度を高くするためには、このモータを高速回転させて回転多面鏡の高回転化を図る必要があるが、この場合、モータの発熱量が大きくなり、モータを支持しているベース部材となるハウジングにこの熱が伝達してしまって、このハウジングの温度も上昇する(例えば50℃〜80℃程度まで上昇する)ことになる。
【0007】
一般に上記ハウジングは樹脂(例えばポリカーボネート)製であるため、その温度が上昇すると熱膨張してしまい、このハウジングに支持されている回転多面鏡とFθレンズとの相対位置関係や回転多面鏡とレーザ光源との相対位置関係が変化してしまう虞がある。このFθレンズは回転多面鏡により偏向走査された光ビームをFθ補正して結像させるためのものである。このように、光学部品相互の位置関係が変化してしまうと、感光体ドラム上の光ビームのスポット径として所望の径が得られなかったり、Fθ特性が変化したりしてしまい、形成される静電潜像の画質の悪化を招いてしまうことになる。
【0008】
この不具合に鑑み、従来では、下記の特許文献1に開示されているように、モータからの発熱を放熱板によってハウジングの外部に逃がすようにしたり、特許文献2に開示されているように、空気の流入経路を設けて空冷させるなどの手段によって、モータの発熱による悪影響を抑制するようにしている。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−196271号公報
【特許文献2】
特開平6−43381号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した各特許文献の技術にあっては、モータからの発熱を外部に放出するための部材を特別に設ける必要があるため、部品点数の増大や製造コストの高騰を招いてしまい好ましくない。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、感光体ドラム上に静電潜像を形成するための光ビーム走査装置に対し、回転多面鏡の回転駆動源であるモータからの発熱を外部に放出するための特別な部材を必要とすることなしに、モータの発熱による悪影響(回転多面鏡と他の光学部品との相対位置の変化)を抑制することが可能な光ビーム走査装置及びその光ビーム走査装置を備えた画像形成機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、回転多面鏡の駆動源であるモータから他の光学部品に向かう熱伝導の経路となっているハウジングの形状を改良し、この熱伝導経路の距離を従来よりも長くすることによって、他の光学部品への熱伝導を抑制するようにしている。つまり、光ビーム走査装置のハウジング自体に、モータの発熱による悪影響を抑制するための機能を備えさせるようにしている。
【0013】
−解決手段−
具体的には、モータを駆動源として回転する反射ミラー部材と、この反射ミラー部材の入射側及び出射側のうち少なくとも一方に配置された光学部品とが同一支持板上に配設されており、光源より出射された光ビームを、回転する反射ミラー部材によって偏向させて被走査体に走査する光ビーム走査装置を前提とする。この光ビーム走査装置に対し、支持板におけるモータ取付部と光学部品取付部との間に、これら取付部同士間の熱伝導経路を、モータと光学部品とを結ぶ直線距離よりも長くする熱伝導迂回部を形成している。
【0014】
この特定事項により、回転多面鏡等で成る反射ミラー部材を回転させるモータを取り付ける支持板上の取付部(モータ取付部)から、fθレンズやコリメートレンズ等の光学部品を取り付ける支持板上の取付部(光学部品取付部)までの熱伝導経路を、熱伝導迂回部を形成することにより長くしている。このため、モータの回転動作に伴う発熱は、モータ取付部から光学部品取付部に向けて伝わる間に大部分が放熱され、光学部品取付部の温度上昇を抑制することができる。従って、反射ミラー部材と光学部品との相対位置や相対距離、複数の光学部品同士の相対位置や相対距離が変化し難くなり、被走査体に対して走査する光ビームのスポット径や走査特性の変化を抑制できる。その結果、放熱のための特別な部材を必要とすることなしに、モータの発熱による悪影響(反射ミラー部材と光学部品との相対位置の変化等)を抑制することが可能となり、高品位の画像を形成することができる。
【0015】
上記熱伝導迂回部の具体的な形状としては以下のものが掲げられる。つまり、支持板の一部を屈曲することによって熱伝導迂回部を形成する。そして、その屈曲形状を、光源より出射された光ビームの光路及び反射ミラー部材によって偏向された光ビームの光路に干渉しない形状とする。
【0016】
これによれば、光学系の光路に干渉しないように熱伝導迂回部を迂回させる(出っ張らせる)ことにより、被走査体に対して良好な光ビーム走査を行うことを可能にしながらも、反射ミラー部材と光学部品との相対位置や相対距離を変化し難くすることができる。
【0017】
上記熱伝導迂回部の形状としてより具体的には、光源より出射された光ビームの光路及び反射ミラー部材によって偏向された光ビームの光路を、支持板の表裏のうちの一方側に形成する。そして、熱伝導迂回部を、この支持板の表裏のうちの他方側に突出するように屈曲して形成する。
【0018】
この構成によれば、反射ミラー部材(回転多面鏡)の配設側とは反対側(通常ではモータの取付面となる側)に向かって延びる(突出する)ように支持板の一部を迂回させているので走査光路に影響を与えることはない(邪魔にならない)。また、熱伝導迂回部の形状の自由度も高いため、その迂回量(熱伝導経路の距離)を長くすることができて、光学部品取付部への熱伝導量を確実に抑制することができる。更に、支持板に対するモータの取り付けなども容易に行える。
【0019】
また、支持板の表面側と裏面側とを連通させる開口を熱伝導迂回部に形成している。熱伝導迂回部を、モータの取付面となる側に突出させた場合には、このモータの外周囲が熱伝導迂回部に囲まれてしまって放熱性の悪化が懸念されるが、熱伝導迂回部に開口を形成したことにより、モータ周辺部の風通しがよくなり、モータの冷却効率の向上を図ることができる。また、モータ取付部から光学部品取付部に向けての伝熱経路の断面積が小さくなり熱の伝播を低減することもできる。
【0020】
熱伝導迂回部を、モータの回転軸を中心とした対称形状に形成した場合、熱伝導迂回部のみならずモータの取り付け部も対称にすることができ、モータの発熱によりモータの取り付け部の温度が高くなっても、支持板上のモータ取付部および熱伝導迂回部の熱による寸法の変化が回転軸を中心に均等に起こり、走査光学系の光路を歪ませるような歪が支持板に発生しない。つまり、支持板には、モータの回転軸を中心として均等に熱膨張が起こるため、走査光学系の光路が変化してしまうことはなく、良好な光ビーム走査を維持できる。
【0021】
また、モータの回転軸の延長方向に対して直交する方向の断面形状が環状となるように熱伝導迂回部を形成すれば、モータの中心から迂回部までの距離が等しくなり最も安定した光ビーム走査装置を提供できる。
【0022】
更に、上記何れか一つの解決手段に係る光ビーム走査装置を備えた画像形成機も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、上記光ビーム走査装置から光ビームが走査されることによって被走査体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて、この静電潜像を顕像化し、この現像剤により顕像化された画像を被走査体から記録媒体に転写することによって、この記録媒体に画像を形成するよう構成された画像形成機である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、画像形成機としてデジタル複写機に本発明を適用した場合について説明する。
【0024】
−複写機1の全体構成の説明−
図1は本形態に係るデジタル複写機1の内部構成の概略を示している。この図1のように、本デジタル複写機1は、スキャナ部2、記録媒体としての記録用紙Pへの画像形成を行う画像形成部3、この画像形成部3へ記録用紙Pを搬送する用紙搬送機構4を備えている。以下、各部について説明する。
【0025】
<スキャナ部2の説明>
スキャナ部2は、透明なガラス等で成る原稿載置台21と、この原稿載置台21上に原稿を給紙する両面対応自動原稿送り装置(RADF;Reversing Automatic Document Feeder)22とを備えており、この原稿載置台21上の原稿の画像を読み取って画像データを作成する部分である。
【0026】
上記RADF22は、セットされた複数枚の原稿を1枚ずつ原稿載置台21上に自動給紙するための自動給紙トレイ22aを備えている。また、このRADF22は、ユーザの選択に応じて原稿の片面または両面を後述するスキャナユニット23に読み取らせることができるようになっている。具体的には、自動給紙トレイ22a上の原稿を原稿載置台21上に搬送するための搬送経路、原稿の両面をスキャナユニット23に読み取らせるべく原稿を反転させる反転経路を備えている。そして、原稿の片面のみを読み取らせる場合には搬送経路のみを使用する一方、原稿の両面を読み取らせる場合には搬送経路を経て原稿載置台21上に搬送された原稿を反転経路において反転させて原稿載置台21上に再度搬送するようになっている。このため、各経路には搬送経路切り換え手段及び原稿の搬送位置を認識するためのセンサ群(共に図示省略)が設けられている。RADF22の構成については従来より周知であるため詳細な説明は省略する。
【0027】
また、このスキャナ部2は、原稿載置台21上に搬送された原稿の画像を読み取るためのスキャナユニット23を備えている。このスキャナユニット23は、ランプリフレクタアセンブリ24、複数の反射ミラー25a,25b,25c、光学レンズ体26、光電変換素子(CCD)27を備えている。
【0028】
上記ランプリフレクタアセンブリ24は、原稿載置台21上に載置された原稿に対して光を照射するものである。各反射ミラー25a,25b,25cは、図1に二点鎖線で光路を示すように、原稿からの反射光を一旦図中左方向に反射させた後、下方に反射させ、その後、光学レンズ体26に向かうように図中右方向に反射させるようになっている。
【0029】
原稿の画像読み取り動作として、上記原稿載置台21上に原稿が載置されると、ランプリフレクタアセンブリ24及び反射ミラー25aで成る第1走査ユニット23aが原稿載置台21に沿って水平方向に走査して、原稿全体に光を照射する。この際、反射ミラー25b,25cで成る第2走査ユニット23bは上記第1走査ユニット23aに対して所定比率の速度(第1走査ユニット23aに対して半分の速度)で同方向に移動する。そして、上記各反射ミラー25a,25b,25cで反射されて光学レンズ体26を通過した光は光電変換素子27上に結像され、この光電変換素子27において反射光が電気信号(原稿画像データ)に変換されるようになっている。そして、このようにして得られた画像データは、制御部(画像処理部)3Aへ送信され、ここで各種処理が行われた後、この制御部3Aのメモリに一旦記憶され、出力指示に応じてメモリ内の画像データが読み出されて画像形成部3による画像形成動作に利用される。
【0030】
<画像形成部3の説明>
画像形成部3は、光ビーム走査装置としてのレーザ書き込みユニット31及び電子写真プロセス部32を備えている。レーザ書き込みユニット31は、上記光電変換素子27において変換された原稿画像データに基づいたレーザ光を電子写真プロセス部32の感光体ドラム33の表面に照射するものである。具体的には、このレーザ書き込みユニット31は、上記画像データに応じたレーザ光を照射する半導体レーザ光源、このレーザ光を等角速度偏向するポリゴンミラー、この等角速度偏向されたレーザ光が感光体ドラム33上を等速度で走査するように補正するf−θレンズ等を有している。これらの詳細については後述する。
【0031】
感光体ドラム33は、図1中に矢印で示す方向に回転し、レーザ書き込みユニット31からのレーザ光が折返しミラー31aで反射されて照射されることによってその表面に静電潜像が形成されるようになっている。
【0032】
また、電子写真プロセス部32は、上記感光体ドラム33の周囲に、帯電器34、現像器35、転写器36、除電器37、剥離器、クリーニング器38、定着器39が配置されて成っている。帯電器34は、静電潜像が形成される前の感光体ドラム33の表面を所定の電位に帯電させるようになっている。現像器35は、感光体ドラム33の表面に形成された静電潜像を画像形成物質としてのトナーにより可視像に現像するものである。転写器36は、感光体ドラム33の表面に形成されたトナー像を記録用紙Pに転写するものである。除電器37は、トナー像が転写された後の記録用紙Pを除電してこの記録用紙Pが感光体ドラム33から剥離しやすいようにするものである。クリーニング器38は、トナー転写後において感光体ドラム33の表面に残留したトナーを除去するようになっている。定着器39は、記録用紙Pに転写されたトナー像を加熱により記録用紙P上に定着させるものである。
【0033】
これにより、記録用紙Pに画像を形成する際には、帯電器34によって感光体ドラム33の表面が所定の電位に帯電され、レーザ書き込みユニット31が画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム33の表面に照射して静電潜像を形成する。その後、現像器35が感光体ドラム33の表面にトナーによる可視像を現像し、用紙搬送機構4から給紙された記録用紙Pに対して、転写器36によってトナー像が転写される。その後、この記録用紙Pは定着器39によって加熱され、トナー像が定着される。一方、感光体ドラム33の表面に残留したトナーはクリーニング器38によって除去される。これにより、記録用紙Pへの画像形成動作(印字動作)の1サイクルが終了する。このサイクルが繰り返されることにより、複数枚の記録用紙P,P,…に対して連続的に画像形成を行うことができるようになっている。
【0034】
<用紙搬送機構4の説明>
用紙搬送機構4は、第1、第2び第3の用紙カセット41,42,43、マルチ手差しトレイ44に収容された記録用紙P,P,…を1枚ずつ搬送して上記画像形成部3による画像形成を行わせると共に、画像形成された記録用紙Pを排紙トレイ51へ排出するものである。また、この用紙搬送機構4は、片面に画像形成された記録用紙Pを一旦回収した後に他面に対して画像形成部3による画像形成を行わせるための両面複写ユニット45を備えている。尚、この両面複写ユニット45は、通常の用紙カセットと交換可能な構成となっており、用紙カセットの搭載台数の増加を図ることができるようになっている。
【0035】
各用紙カセット41,42,43それぞれには異なるサイズの記録用紙P,P,…が収容されており、ユーザが所望するサイズの記録用紙Pが収容されている用紙カセットから記録用紙Pが順次1枚ずつ取り出されて搬送経路40を経て画像形成部3に順次搬送されるようになっている。
【0036】
この用紙搬送機構4の搬送経路40としては、主搬送路46とスイッチバック搬送路47とがある。
【0037】
主搬送路46は、一端(記録用紙搬送方向の上流端側)が分岐されて各用紙カセット41,42,43及び手差しトレイ44の排出側にそれぞれ対向していると共に、他端(記録用紙搬送方向の下流端側)が転写器36及び定着器39を経て排紙トレイ51を備えた後処理装置50に対向している。この後処理装置50には、ステープル処理等の後処理が可能な機構が組み込まれていると共に、記録用紙Pを排出する排紙トレイ51を切り換えるべく、この排紙トレイ51を昇降させるための機構が組み込まれている。
【0038】
スイッチバック搬送路47は、一端(図中の上端)が定着器39の配設位置よりも下流側(図中左側)で主搬送路46に繋がっていると共に、途中部分(図中上下方向の中央部分)が第1及び第2の分岐路47A,47Bに分岐されている。第1分岐路47Aは鉛直下方に延びている。一方、第2分岐路47Bは一端が両面複写ユニット45の搬入側に対向している。
【0039】
主搬送路46とスイッチバック搬送路47との接続部分及びスイッチバック搬送路47の分岐部分には第1及び第2の分岐爪47a,47bがそれぞれ設けられている。
【0040】
第1分岐爪47aは、スイッチバック搬送路47を閉鎖する第1位置と、主搬送路46の排出側を閉塞して、この主搬送路46とスイッチバック搬送路47とを連通させる第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この第1分岐爪47aが第1位置にあるときには画像形成部3を経た記録用紙Pがそのまま排紙トレイ51へ排紙される。一方、第1分岐爪47aが第2位置にあるときには画像形成部3を経た記録用紙Pがスイッチバック搬送路47へ供給されるようになっている。
【0041】
第2分岐爪47bは、スイッチバック搬送路47の第1分岐路47Aを開放し且つ第2分岐路47Bを閉鎖する第1位置と、第2分岐路47Bを開放し且つ第1分岐路47Aを閉鎖する第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この第2分岐爪47bが第1位置にあるときにはスイッチバック搬送路47に搬送された記録用紙Pが第1分岐路47Aに導かれてその下端位置まで搬送される。その後、第2分岐爪47bが第2位置となって記録用紙Pの搬送方向が逆転されると、この記録用紙Pが分岐部を経て第2分岐路47Bに搬送されて両面複写ユニット45へ供給されるようになっている。つまり、記録用紙Pが、第1分岐路47A及び第2分岐路47Bを経て両面複写ユニット45へ供給されることにより、この記録用紙Pが画像形成部3に供給された際に上下が反転され、記録用紙Pの裏面に対して画像形成が行えるようになっている。
【0042】
これにより、本複写機1により片面コピーが行われる場合には、第1分岐爪47aが第1位置となり、各用紙カセット41,42,43または手差しトレイ44から取り出された記録用紙Pが、画像形成部3により画像形成された後、そのまま排紙トレイ51へ排紙される。
【0043】
一方、両面コピーが行われる場合には、先ず、第1分岐爪47aが第2位置となり、第2爪47bが第1位置となる。これにより、各用紙カセット41,42,43または手差しトレイ44から取り出されて画像形成部3により片面に画像形成された記録用紙Pは、スイッチバック搬送路47の第1分岐路47Aに導かれる。その後、第2分岐爪47bが第2位置となって記録用紙Pの搬送方向が逆転され、この記録用紙Pが分岐部を経て第2分岐路47Bから両面複写ユニット45へ供給される。記録用紙Pの他面に画像形成を行う際には、第1分岐爪47aが第1位置となり、両面複写ユニット45から取り出された記録用紙Pが、画像形成部3により画像形成され、排紙トレイ51へ排紙されるようになっている。
【0044】
主搬送路46の上流端(用紙カセット41,42,43、手差しトレイ44及び両面複写ユニット45の排出側に対向する部分)にはピックアップローラ48が配設されている。また、各ピックアップローラ48の下流側には、取り出された記録用紙Pを主搬送路46に給紙するための複数の給紙ローラ49が配設されている。このピックアップローラ48及び給紙ローラ49の回転により、用紙カセット41,42,43、手差しトレイ44及び両面複写ユニット45に収容されている記録用紙Pが選択的に1枚ずつ主搬送路46に給紙できるようになっている。
【0045】
−レーザ書き込みユニット31の説明−
次に、本形態の特徴部分である光ビーム走査装置としてのレーザ書き込みユニット31について説明する。
【0046】
図2は、本形態に係るレーザ書き込みユニット31の内部の概略構成を示す斜視図である。このレーザ書き込みユニット31は、半導体レーザを備えた光源部61のから回転多面鏡(ポリゴンミラー)62に向かって照射される光ビーム(以後、入射ビームという)を、回転多面鏡62の反射面で反射し、この反射光である光ビーム(以後、出射ビームという)により、感光体ドラム33を走査して、この感光体ドラム33の表面に静電潜像を形成する装置であって、箱形のハウジング60内に各種光学部品が設置された構成となっている。各種光学部品は、ハウジング60の底板(本発明でいう支持板)60a上に取り付けられている。このハウジング60は、高い強度と、温度に対する寸法変化がなるべく小さな材料にて形成されており、具体的には量産性を考慮し、例えば、40〜50%程度ガラスを含有したPC(ポリカーボネート)等の樹脂材料が使用されている。
【0047】
上記光源部61から回転多面鏡62までの光路(以後、入射ビーム光路という)と、回転多面鏡62から感光体ドラム33までの光路(以後、出射ビーム光路という)には、種々の光学部品が配置されている。ここでは、入射ビーム光路に配置されている光学部品を入射光学系部品、出射ビーム光路に配置されている光学部品を出射光学系部品と呼ぶ。
【0048】
入射光学系部品は、光源部61の半導体レーザから射出された入射ビームを回転多面鏡62に導くものであって、入射ビーム光路の半導体レーザから回転多面鏡62に向かう順に、射出された光ビームを平行ビームに変換するためのコリメートレンズ63、図示しないアパーチャ(絞り部材)等が配設されている。つまり、この入射光学系では、光源部61から射出されたレーザ光を、コリメートレンズ63及びアパーチャによって回転多面鏡62上に結像させる。この際、回転多面鏡62に照射される入射ビームは、回転多面鏡62の反射面の高さ方向の略中央域に照射される。
【0049】
上記ハウジング底板60aの下面には、ハウジング底板60aの上面側に鉛直上方に延びる駆動軸を備えたモータ80が取り付けられており(図3参照)、このモータ80の駆動軸に上記回転多面鏡62が回転一体に取り付けられている。つまり、この回転多面鏡62は、モータ80の駆動に伴って鉛直軸回りに回転しながら入射ビームを反射するようになっている。
【0050】
一方、出射光学系部品としては、回転多面鏡62の反射面により反射された出射ビームを回転多面鏡62から感光体ドラム33に導くと共に、感光体ドラム33上を照射した際のビームスポットが所定の大きさに絞られ且つ感光体ドラム33上を等速度で走査するように作用するfθレンズ64,65及び折返しミラー66等が配列されている。つまり、この出射光学系では、回転多面鏡62で偏向走査されたレーザ光(出射ビーム)が、fθレンズ64,65、折返しミラー66を経て感光体ドラム33の表面に結像される。即ち、各レーザ光(光ビーム)は、回転多面鏡62の反射面における回転方向の位置に応じて異なる光路を経て感光体ドラム33の表面に達することになる。上記出射ビームが感光体ドラム33の表面を走査する際、この出射ビームは、主走査ライン上を定期的に走査する一方で、感光体ドラム33が回転するため、この感光体ドラム33上では一定期間毎に異なる箇所が走査され、画像情報に応じた潜像が感光体ドラム33上に順に形成されていくことになる。
【0051】
また、図2における符号67は、非画像領域に設けられた反射ミラーであり、この反射ミラー67で反射されたレーザ光をレンズ68を経てビームディテクタ69に照射させることにより、主走査方向の画像書き出し位置を決定するようになっている。
【0052】
−熱伝導迂回部の説明−
次に、本実施形態の特徴とする部分について説明する。本形態の特徴とする部分は、上記ハウジング60の底板60aに熱伝導迂回部70が形成されていることにある。以下、この熱伝導迂回部70について説明する。
【0053】
図3は図2におけるIII−III線に沿った断面図である。また、図4は図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。これら図に示すように、熱伝導迂回部70は、上記モータ80の取付部分の周囲に円環状に形成されている。具体的には、モータ80の駆動軸を中心として、外周側に向かって斜め下方に延びる第1傾斜部71と、この第1傾斜部71の下端から外周側に向かって斜め上方に延びる第2傾斜部72とを備えている。また、これら第1傾斜部71と第2傾斜部72とは滑らかな湾曲部73によって連続形成されている。つまり、この熱伝導迂回部70は、ハウジング60の外側(下側)に向かって膨出した屈曲形状で形成されており、光ビームの光路に干渉しない形状となっている。
【0054】
また、この熱伝導迂回部70の内側(モータ駆動軸の中心側)には平坦なモータ取付座60bが形成されている。モータ80の上端部には平板状のモータフランジ81が形成されており、このモータフランジ81がモータ取付座60bの上面に固定されていることにより、モータ80がハウジング60に取り付けられている。
【0055】
このような構成であるため、モータ取付座60bから、コリメートレンズ63やfθレンズ64,65等の光学部品を取り付ける底板60a上の取付部(光学部品取付部)までの熱伝導経路が長く形成されることになる。このため、モータ80の回転動作に伴う発熱は、モータ取付座60bから各種光学部品の取付部に向けて伝わる間に放熱され、光学部品取付部の温度上昇を抑制することができる。従って、回転多面鏡62と各種光学部品との相対位置や相対距離、複数の光学部品同士の相対位置や相対距離が変化し難くなり、感光体ドラム33に対して走査する光ビームのスポット径や走査特性が変化しない。その結果、放熱のための特別な部材を必要とすることなしに、モータ80の発熱による悪影響(回転多面鏡62と他の光学部品との相対位置の変化等)を抑制することが可能となり、高品位の画像を形成することができる。
【0056】
(変形例)
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。本例は、熱伝導迂回部70の変形例であって、その他の構成は上述した実施形態のものと同一である。従って、ここでは熱伝導迂回部70の構成についてのみ説明する。
【0057】
図5は図3に相当する部分の断面図である。また、図6は図5におけるVI−VI線に沿った断面図である。
【0058】
これら図に示すように、本例に係る熱伝導迂回部70も上記モータ80の取付部分の周囲に円環状に形成されている。具体的には、上記実施形態の場合と同様に、モータ80駆動軸を中心として、外周側に向かって斜め下方に延びる第1傾斜部71と、この第1傾斜部71の下端から外周側に向かって斜め上方に延びる第2傾斜部72とを備えている。また、これら第1傾斜部71と第2傾斜部72とは滑らかな湾曲部73によって連続形成されている。つまり、本例の熱伝導迂回部70にあっても、ハウジング60の外側(下側)に向かって膨出した屈曲形状で形成されており、光ビームの光路に干渉しない形状となっている。
【0059】
そして、本例の熱伝導迂回部70の特徴として、ハウジング底板60aの表面側と裏面側とを連通させる開口74,74,…が周方向に亘って一定の角度間隔を存した8箇所に形成されている。この開口74は、上記第1傾斜部71の下端部から湾曲部73を経て第2傾斜部72の下端部に亘って形成されている。また、熱伝導迂回部70の周方向の開口74の形成範囲としては、開口74の形成によって間欠的に形成されている湾曲部73の個々の周方向長さ(図6における寸法t1)に対して開口74の周方向長さ(図6における寸法t2)が短く(約1/3に)設定されている。
【0060】
以下、この開口74,74,…を形成したことによる効果について説明する。熱伝導迂回部70を、モータ80の取付面となる側(図5における下側)に突出させた場合には、このモータ80の外周囲が熱伝導迂回部70に囲まれてしまって放熱性の悪化が懸念されるが、本例では、熱伝導迂回部70に開口74,74,…を形成したことにより、モータ周辺部の風通しがよくなり、モータ80の冷却効率の向上を図ることができる。また、モータ取付部から光学部品取付部に向けての伝熱経路の断面面積が小さくなるため熱の伝播を低減することもできる。
【0061】
−その他の実施形態−
上記実施形態及び変形例では、デジタル複写機に本発明を適用した場合について説明したが、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成機やこれらの複合機に対して適用することも可能である。
【0062】
また、熱伝導迂回部70の形状としては、上述したものに限らない。例えば、光ビームの光路に干渉しない領域であればハウジング60の内側に向けて膨出する形状であってもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、光源より出射された光ビームを、回転する反射ミラー部材によって偏向させて被走査体に走査する光ビーム走査装置に対し、回転多面鏡の駆動源であるモータから他の光学部品に向かう熱伝導の経路となっている支持板に熱伝導迂回部を形成し、他の光学部品への熱伝導を抑制するようにしている。このため、反射ミラー部材と光学部品との相対位置や相対距離、複数の光学部品同士の相対位置や相対距離が変化してしまうことを抑制でき、被走査体に対して走査する光ビームのスポット径や走査特性の変化を抑制できる。その結果、放熱のための特別な部材を必要とすることなしに、モータの発熱による悪影響を抑制することが可能となり、高品位の画像を形成することができる。
【0064】
また、支持板の表面側と裏面側とを連通させる開口を熱伝導迂回部に形成した場合には、モータ周辺部の通気性が良好になり、モータの冷却効率の向上を図ることができる。また、モータ取付部から光学部品取付部に向けての伝熱経路の断面積が小さくなるため熱の伝播を低減することもでき、これによっても、モータの発熱による悪影響を抑制することが可能となり、高品位の画像を形成することができる。
【0065】
更に、熱伝導迂回部を、モータの回転軸を中心とした対称形状に形成した場合には、モータの発熱の影響によって支持板に熱膨張が生じたとしても、その熱膨張はモータの回転軸を中心として外周側に向けて均等に起こるため、走査光学系の光路が変化してしまうことはなく、良好な光ビーム走査を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るデジタル複写機の内部構成の概略を示す図である。
【図2】光ビーム走査装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】変形例における図3相当図である。
【図6】図5におけるVI−VI線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 デジタル複写機(画像形成機)
31 レーザ書き込みユニット(光ビーム走査装置)
33 感光体ドラム(被走査体)
60a ハウジング底板(支持板)
61 光源部
62 回転多面鏡
63 コリメートレンズ(光学部品)
64,65 fθレンズ(光学部品)
70 熱伝導迂回部
74 開口
P 記録用紙(記録媒体)
Claims (7)
- モータを駆動源として回転する反射ミラー部材と、この反射ミラー部材の入射側及び出射側のうち少なくとも一方に配置された光学部品とが同一支持板上に配設されており、光源より出射された光ビームを、回転する反射ミラー部材によって偏向させて被走査体に走査する光ビーム走査装置において、上記支持板におけるモータ取付部と光学部品取付部との間には、これら取付部同士間の熱伝導経路を、モータと光学部品とを結ぶ直線距離よりも長くする熱伝導迂回部が形成されていることを特徴とする光ビーム走査装置。
- 請求項1記載の光ビーム走査装置において、
熱伝導迂回部は支持板の一部が屈曲して形成されており、その屈曲形状は、光源より出射された光ビームの光路及び反射ミラー部材によって偏向された光ビームの光路に干渉しない形状となっていることを特徴とする光ビーム走査装置。 - 請求項2記載の光ビーム走査装置において、
光源より出射された光ビームの光路及び反射ミラー部材によって偏向された光ビームの光路は支持板の表裏のうちの一方側に形成されており、熱伝導迂回部はこの支持板の表裏のうちの他方側に突出するように屈曲されて形成されていることを特徴とする光ビーム走査装置。 - 請求項1、2または3記載の光ビーム走査装置において、
熱伝導迂回部には、支持板の表面側と裏面側とを連通させる開口が形成されていることを特徴とする光ビーム走査装置。 - 請求項1〜4のうち何れか一つに記載の光ビーム走査装置において、
熱伝導迂回部は、モータの回転軸を中心とした対称形状に形成されていることを特徴とする光ビーム走査装置。 - 請求項5記載の光ビーム走査装置において、
熱伝導迂回部は、モータの回転軸の延長方向に対して直交する方向の断面形状が環状となっていることを特徴とする光ビーム走査装置。 - 上記請求項1〜6のうち何れか一つに記載の光ビーム走査装置を備えた画像形成機であって、
上記光ビーム走査装置から光ビームが走査されることによって被走査体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて、この静電潜像を顕像化し、この現像剤により顕像化された画像を被走査体から記録媒体に転写することによって、この記録媒体に画像を形成するよう構成されていることを特徴とする画像形成機。
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Cited By (3)
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-
2003
- 2003-05-07 JP JP2003129206A patent/JP2004333844A/ja active Pending
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