JP2004333803A - 光走査装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走査結像光学系に含まれる樹脂製結像素子の、温度変化に起因する変形を有効に抑制し、走査線曲がり、等速性の補正を可能にした光走査装置およびこの光走査装置を用いた画像形成装置を得る。
【解決手段】光走査装置において、走査結像光学系に含まれる樹脂製結像素子101の副走査方向の形状変化を防止する形状保持手段102と、樹脂製結像素子101の走査線位置を補正する走査線位置補正手段103を有する。被走査面上における光スポットの位置を調整するために光源から被走査面に至る光路上に設けられた液晶偏向手段と、液晶偏向手段を制御する制御手段とを有する。樹脂製結像素子の副走査方向の形状変化を防止若しくは軽減する形状保持手段と走査線位置補正手段は、樹脂製結像素子に対して一体的に構成されている。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光走査装置及びこれを用いた光プリンタや光プロッタ、デジタル複写機等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザなどからなる光源からの光束を、例えば回転多面鏡を用いた光偏向手段により偏向させ、偏向光束をfθレンズ等の走査結像光学系を用いて被走査面に集光して被走査面上に光スポットを形成し、この光スポットを被走査面で走査する光走査装置が知られている。光走査装置は、光源から射出される光束を、形成しようとする画像情報信号で変調し、この光束で感光体からなる被走査面を走査することにより、被走査面に画像情報信号に対応した静電潜像を形成することができる。この静電潜像は、周知の電子写真プロセスによる画像形成プロセスを実行することにより転写紙に可視像を形成することができる。そのため、光走査装置は光プリンタや光プロッタ、デジタル複写機等の画像形成装置の書き込み装置として広く知られている。
【0003】
光走査装置を用いる画像形成装置においては、画像形成プロセス内の一工程として、光走査により画像の書き込みを行う画像書き込み工程が採用されているが、画像形成プロセスによって形成される画像の良否は光走査の良否に影響される。光走査の良否は、光走査装置による主走査方向走査特性や副走査方向の走査特性に依存する。主走査方向の走査特性の一つとして、光走査の等速性が挙げられる。例えば光偏向手段として回転多面鏡を用いる場合、光束の偏向は等角速度的に行われるので、平面的なあるいは主走査方向に凹凸のない被走査面における光走査の等速性を実現するために、走査結像光学系としてfθ特性を持つものを用いている。
しかしながら、走査結像光学系に要請される他の性能との関係もあって、完全なfθ特性を実現することは容易でない。このため、現実の光走査においては、光走査が完全に等速的に行われることはなく、走査特性としての等速性は、理想の等速走査からのずれをともなっている。
【0004】
副走査方向の走査特性には、走査線曲がりや走査線の傾きがある。走査線曲がりや走査線は、「走査線位置ずれ」に含まれる。走査線は、被走査面上における光スポットの移動軌跡であり、直線であることが理想とされ、光走査装置の設計も走査線が直線となるよう行われる。しかし、実際には光走査装置を構成するレンズなどの光学素子や機構部品の加工誤差、組立誤差等が要因となって走査線に曲がりが発生するのが普通である。
【0005】
また、走査結像光学系として結像ミラーを用い、結像ミラーへの偏向光束の入射方向と反射方向との間で、副走査方向に角度をもたせる場合には、原理的に走査線の曲がりが発生する。走査結像光学系をレンズ系として構成する場合でも、被走査面を副走査方向に分離した複数の光スポットで光走査するマルチビーム走査方式では走査線の曲がりが不可避である。
走査線の傾きは、走査線が副走査方向に対して正しく直交しない現象であり、走査線位置ずれの一種である。従って、請求項で「走査線位置補正」とは走査線の位置ずれ補正と走査線の傾き補正を含む。以下の説明においては特に断らない限り、走査線の傾きを走査線の位置ずれという表現に含めて説明する。
【0006】
光走査の等速性が完全でないと、形成された画像に主走査方向の歪みが生じ、走査線曲がりは、形成された画像に副走査方向の歪みを生じさせる。画像が白と黒の画像で、単一の光走査装置により書き込み形成される場合は、走査線曲がりや等速性の不完全さすなわち理想の等速走査からのずれがある程度抑えられていれば、形成された画像に「目視で分かるほどの歪み」は生じない。しかし、このような画像の歪みが少ないに越したことはない。
【0007】
白黒画像とは異なり、マゼンタ、シアン、イエローの3色、あるいはこれに黒を加えた4色の画像を色成分画像として形成し、これらの色成分画像を重ね合わせることにより合成的にカラー画像を形成することは、従来から、カラー複写機等で行われている。このようなカラー画像形成を行う方式の一つとして、色成分毎の画像を、色成分毎に設けられている光走査装置を用いて、色成分毎の画像をそれぞれ対応する感光体に形成する、所謂タンデム型と呼ばれる画像形成方式がある。このような画像形成方式の場合、光走査装置相互で走査線の曲がり具合や傾きが異なると、光走査装置毎の走査線曲がりが一応補正されていたとしても、形成されたカラー画像に「色ずれ」と呼ばれる異常画像が現れて、カラー画像の画質を劣化させる。また、色ずれ現象の現れ方として、カラー画像の色合いが所望の色合いにならないという現象がある。
【0008】
近来、走査特性の向上を目して、光走査装置の結像光学系に、非球面に代表される特殊な面を採用することが一般化している。このような特殊な面を容易に形成することができ、なおかつコストも安価な樹脂材料からなる結像光学系が多用されている。樹脂材料からなる結像光学系は、温度や湿度の変化の影響を受けて光学特性が変化しやすく、このような光学特性の変化は「走査線の曲がり具合や等速性」も変化させる。そうすると、例えば、数十枚のカラー画像の形成を連続して行う場合に、画像形成装置の連続運転により機内温度が上昇し、結像光学系の光学特性が変化して、各光書込装置によって書き込む走査線の曲がり具合や等速性が次第に変化し、色ずれの現象により、初期に得られたカラー画像と、終期に得られたカラー画像とで色合いの全く異なるものになることがある。
【0009】
走査光学系として代表的なfθレンズ等の走査結像レンズは、一般に、副走査方向におけるレンズ不要部分すなわち偏向光束が入射しない部分をカットし、主走査方向に長い短冊形レンズとして形成される。走査結像レンズが複数枚のレンズで構成される場合、走査結像レンズの配設位置が光偏向手段から離れるほど、主走査方向のレンズ長さが長くなり、通常、10数センチ〜20センチ、さらにはそれ以上にもなる所謂「長尺レンズ」となる。このような長尺レンズは一般に樹脂材料を用いて樹脂成形で形成されるが、外界の温度変化によりレンズ内の温度分布が不均一になると、反りを生じてレンズが副走査方向に「弓なり」になる。このような長尺レンズの反りは前述した「走査線曲がり」の原因となるが、反りが著しい場合には、走査線曲がりも極端に大きく発生する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の光走査装置およびこれを搭載した画像形成装置における問題に鑑み、走査結像光学系に含まれる樹脂製結像素子の、温度変化に起因する変形を有効に抑制し、かつ、走査線曲がり及び/または等速性の補正を可能にした光走査装置およびこの光走査装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、光源からの光束を光偏向手段により偏向させ、偏向された光束を走査結像光学系により、光源に対応した被走査面上に光スポットを形成して光走査を行う光走査装置において、走査結像光学系に含まれる樹脂製結像素子の副走査方向の形状変化を防止または軽減する形状保持手段と、上記走査結像光学系に含まれる樹脂製結像素子における走査線位置を補正する走査線位置補正手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、被走査面上における光スポットの位置を調整するために光源から被走査面に至る光路上に設けられた液晶偏向手段と、この液晶偏向手段を制御する制御手段とを有することを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、樹脂製結像素子の副走査方向の形状変化を防止若しくは軽減する形状保持手段と走査線位置補正手段が樹脂製結像素子に対して一体的に構成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明に加えて、一体的に構成した形状保持手段と走査線位置補正手段全体を姿勢制御手段で姿勢制御することを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明に加えて、形状保持手段が、樹脂製結像素子の副走査方向における形状を矯正し保持する形状矯正手段であることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項2記載の発明に加えて、走査線位置の調整を、樹脂製結像素子の副走査方向の形状矯正手段と一体構成された走査線位置補正手段により上記樹脂製結像素子の姿勢を制御して行い、温度特性を含めた経時変化に対する走査線位置変動は、走査線位置検出手段あるいは色ずれ検出手段の検出結果に基づき上記走査線位置補正手段あるいは液晶偏向手段を選択して制御することを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明に加えて、形状矯正手段は、樹脂製結像素子の副走査方向の両面に当接させた2枚の平板と、樹脂製結像素子の長手方向両端に配置され樹脂製結像素子の副走査方向の厚みと同等あるいはこれよりも小さい間隔保持部材とを有してなり、上記間隔部材の介在のもとに上記樹脂製結像素子を上記2枚の平板で挟持し締結することを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明に加えて、形状矯正手段の一方の平板の両端部に弾性部材がネジで締結され、形状矯正手段が光学ハウジングあるいはレンズホルダ等の固定部に対して弾性力により押しつけられて保持されていることを特徴としている。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明に加えて、光学ハウジングあるいはレンズホルダの基準位置に基準ピンが配設され、この基準ピンに形状矯正手段の一方の平板が接触することにより、上記基準ピンの位置を支点として形状矯正手段が回転して走査線位置補正が行われることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項7記載の発明に加えて、間隔保持部材の線膨張係数と樹脂製光学素子の線膨張係数が略等しく、2枚の平板に対してそれぞれ別個の締結部材で樹脂製光学素子が挟持されていることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項7記載の発明に加えて、間隔保持部材の一面に光軸方向の位置を決める突起部が設けられ、間隔保持部材が光学ハウジングあるいはレンズホルダに嵌合することで光軸と直交する主走査方向の位置決めがなされていることを特徴とする。
【0018】
請求項12記載の発明は、請求項9記載の発明に加えて、樹脂製光学素子に対する基準ピンの位置は光学素子の主走査方向及び副走査方向の中心軸上にあり、走査線位置調整部材は光軸の延長上に位置し、走査線の傾き調整部は光軸に直交する方向で略光学素子中心軸延長上に配置されていることを特徴としている。
請求項13記載の発明は、請求項8記載の発明に加えて、光学ハウジングあるいはレンズホルダの両端部の弾性部材取り付け面にそれぞれ段差が設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項14記載の発明は、請求項8記載の発明に加えて、弾性部材は、その両端部に同一形状の取り付け面が形成され、中央部は屈曲した帯状の板バネで構成され、走査線位置補正を行う前の状態で光学素子形状矯正手段を副走査方向及び/または主走査方向に予め傾けて押圧保持していることを特徴としている。
請求項15記載の発明は、請求項1〜14のいずれかに記載の発明に加えて、被走査面となる感光手段を複数有することを特徴としている。
【0020】
請求項16記載の発明は、感光体表面を光走査して感光体表面に画像を形成する画像形成装置であって、感光体に光走査を行う光走査装置として請求項1〜15のいずれかに記載の光走査装置を用いることを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明にかかる光走査装置および画像形成装置の実施の形態を説明することにするが、本発明の実施形態にかかる光走査装置の構成を説明する前に、光走査装置が適用される画像形成装置について概略を説明しておく。
図19、図20は、本発明に係る光走査装置が適用される画像形成装置の例を示す。図19、図20に示す画像形成装置は、フルカラー画像を形成可能な複写機あるいはプリンタなどの画像形成装置である。画像形成装置には、上記の例のほかに、受信した画像信号に基づき上記複写機あるいはプリンタと同様な画像形成処理が可能なファクシミリ装置がある。なお、画像形成装置には、上述したカラー画像を対象とするものに限らず、単一色の画像を対象とする装置も含まれる。
【0022】
図19、図20において、画像形成装置1は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックに分解された各色に対応する画像を形成可能な、複数の感光体ドラム1A、2A、3A、4Aを並置したタンデム構造が用いられている。各感光体ドラムに形成され、それぞれの色に対応するトナーで現像された可視像が、各感光体ドラムに対峙しながら移動可能な転写ベルト5によって搬送される記録媒体としての転写紙Sにそれぞれ重畳されながら転写され、転写紙Sにフルカラーの画像が形成されるようになっている。
【0023】
いま、一つの感光体ドラム1Aを代表して画像形成処理に係る構成を説明すると次の通りである。なお、他の感光体ドラム2A〜4Aに関しても同様な構成であるので、便宜上、感光体ドラム1Aに関して付した符号を各感光体ドラムの部品番号に付けて示す。感光体ドラム1Aの周囲には、矢印で示す回転方向に沿って画像形成処理を実行するためにコロトロンあるいはスコトロトン等の構成を用いた帯電装置1Bが配置されている。図20に示す例では、帯電装置1Bとしてローラを用いた構成が示されている。感光体ドラム1Aの周囲にはまた、あとで詳細に説明するが、レーザ光源からのレーザ光を用いる光走査ユニット20が配置され、さらに、現像装置1Dおよびクリーニング装置1Eがそれぞれ配置されている。
【0024】
図20に示す画像形成装置1では、画像形成処理を実行する装置が配置されている画像形成部の上部に原稿読み取り部6が配置されている。原稿読み取り部6は、原稿載置台6A上に載置された原稿の画像を読み取り装置7によって読み取り、読み取った画像情報を図示しない画像処理制御部に出力し、上記光走査ユニット20に対する書き込み情報が得られるようになっている。帯電装置1Bは、ローラを用いた接触式に限らず、放電ワイヤを用いたコロナ放電式を用いることも可能である。
本実施例では、4つの現像装置が、図20において転写ベルト5の展張部における右側から順に、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナーを供給するように配列されている。
【0025】
読み取り装置7は、原稿載置台6A上に載置されている原稿を走査するための光源7Aおよび原稿からの反射光を、分解された色毎に対応して設けられているCCD7Bに結像させるための複数の反射鏡7Cと結像レンズ7Dとを備えており、分解された色毎の光強度に応じた画像情報が各CCD7Bから画像処理制御部に出力されるように構成されている。あとで詳細に説明する光走査装置の各光源が色成分ごとの上記画像情報で変調されて画像情報に対応した光束が出力され、この各光束で感光体ドラム1A〜4A表面が走査されることにより静電潜像が形成される。各感光体ドラム1A〜4A表面の静電潜像は、それぞれの色に対応する現像装置からトナーが供給され、トナー像が形成されて可視化される。
【0026】
転写ベルト5は、複数のローラに掛け回されたポリエステルフィルムなどの誘電体で構成された部材であり、展張部分の一つが各感光体ドラム1A〜4Aに対峙し、各感光体ドラムとの対峙位置内側には、転写装置8A、8B、8C、8Dが配置されている。転写ベルト5に対しては、レジストローラ9を介して給紙装置10の給紙カセット9A内から1枚ずつ繰り出された記録媒体Sが給送される。記録媒体Sは、転写ベルト5に対する転写装置8Aからのコロナ放電により静電吸着されて搬送される。記録媒体Sには、各感光体ドラム1A〜4Aの位置で、各感光体ドラムに形成されているトナー像が各転写装置8A〜8Dの静電吸引力によって転写され、各色の画像が重ねられてフルカラーの画像が形成される。
【0027】
画像転写が終了した記録媒体Sの移動先には、記録媒体Sの分離装置11が、また、転写ベルト5の今一つの展張部分には、ベルト5を挟んで対向する除電装置12が配置されている。なお、図20中、符号13は、転写ベルト5に残存しているトナーを除去するクリーニング装置を示している。転写装置8A〜8Dは、正極のコロナ放電を用いて感光体ドラム1A〜4Aに担持されている画像を記録媒体Sに向けて静電吸着させる特性とされている。
分離装置11は、記録媒体Sの上面から負極性のACコロナ放電を行うことにより記録媒体Sに蓄積している電荷を中和して静電的な吸着状態を解除することにより転写ベルト5の曲率を利用した分離を可能にすると共に分離の際の剥離放電によるトナーチリの発生を防止するようになっている。また、除電装置12は、転写ベルト5の表裏両面から転写装置8A〜8Dによる帯電特性と逆極性となる負極性のACコロナ放電を行うことにより転写ベルト5の蓄積電荷を中和して電気的初期化を行うようになっている。
【0028】
各感光体ドラム1A〜4Aでは、帯電装置1B〜4Bによって感光体ドラム1A〜4Aの表面が一様に帯電され、原稿読み取り部6における読み取り装置7によって読み取られた分解色毎の画像情報に基づき、書き込み装置1C〜4Cを用いて感光体ドラム1A〜4Aに画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像が現像装置1D〜4Dから供給される分解色に対応する補色関係を有する色のトナーにより可視像処理され、可視化されたトナー像が、転写ベルト5に担持されて搬送される記録媒体Sに対して転写装置8A〜8Dによって静電転写される。
各感光体ドラム1A〜4Aに担持された分解色毎の画像が転写された記録媒体Sは、除電装置11により除電された上で転写ベルト5の曲率を利用して曲率分離され、さらに定着装置14に搬送されて未定着画像中のトナーが記録紙Sに定着されて排出される。
【0029】
図1は、これまで説明してきた画像形成装置における複数の感光体を対象とした光走査ユニット20の中の、一つの光走査装置の基本構成を示す図である。図1において、2つの半導体レーザ21A、21Bを有する光源装置21の上記半導体レーザ21A、21Bから出射した2本の光ビーム21A’、21B’は、シリンドリカルレンズ22の作用により光偏向手段であるポリゴンミラー23の偏向反射面上に、副走査方向に結像し、主走査方向に長い線像として結像される。この線像は、fθレンズを用いた第2結像系24により、感光体ドラムの表面である被走査面1A上に光スポットとして結像されるとともに、被走査面1A上をその回転中心軸線に平行な方向に走査される構成となっている。このように、光源装置から出射された光ビームを、被走査面上において光スポットとして結像させかつ走査する装置を光走査装置と呼ぶ。なお、図1において、光源装置21としては、半導体レーザ21A、21Bとカップリングレンズにより構成されているが、このような構成に限定されるわけではない。
【0030】
後で具体的に説明するが、光偏向手段であるポリゴンミラー23と走査結像レンズ系である第2結像系24との間には液晶偏向素子が配置される。液晶偏向素子は主走査領域に対応した有効エリアを備え、主走査方向あるいは副走査方向に分割して配置される。あるいは、主走査方向素子と副走査偏向素子を光軸方向に重ね合わせて配置される。これらの液晶偏向素子によって光ビームを偏向することにより、被走査面上での光スポットの位置を調整することができる。液晶偏向素子による光ビームの偏向は、液晶偏向素子を電気信号によって駆動乃至は制御することにより、あるいは変調することにより行うことができる。
【0031】
光走査ユニット20を画像出力装置の光書き込み装置として利用する場合、各光源から射出される光ビームは出力画像データに対応して変調される。その変調開始タイミングを決定するための同期信号は、光センサを有してなす同期検知板25に偏向光束が入射することによって得ることができる。
2本の光ビーム21A’と21B’は、図2に示すように、光偏向手段を構成するポリゴンミラー23の偏向反射面近傍にて、主走査対応方向の面内において角度θで交差する構成となっている。これにより2ビーム間の像面湾曲、倍率誤差等の光学特性の偏差発生を抑制することが可能となっている。
【0032】
上記2本の光ビーム21A’と21B’によって感光体ドラム表面である被走査面1A上に結ばれる2つのスポット光BS1,BS2は、図3に示すように、その走査密度に応じ、副走査方向に所定の間隔すなわちビームピッチPZを維持することが要求される。このビームピッチPZを所定の値に維持するには、図4に示すように、2本の光ビーム21A’と21B’副走査対応方向の面内においてなす角度φを所定の角度に設定すればよい。
【0033】
被走査面上での走査線は、光学素子単体の精度誤差、主に母線の曲がりや、光学ハウジングに組み付けたときの配置誤差等の積み上げにより、曲がり、傾きが発生する。特に、樹脂製結像素子を採用している場合は、前にも述べたように上記の曲がり、傾きが大きくなりがちである。このため、本実施形態では、被走査面1Aにおける走査線曲がり、傾きを検知する手段が光走査装置に設けられ、あるいは中間転写ベルト上に形成したカラーパッチの色ずれを検出する手段が設けられている。このような検出手段による検出結果に基づき、調整用のアクチュエータであるステッピングモータを駆動して樹脂製結像素子の姿勢をβチルトさせることで、走査線曲がり、走査線位置を補正し、γチルトさせることで走査線傾きを補正するようになっている。βチルトとは、図6に示すように、上記結像素子をその長さ方向の軸線を中心として揺動乃至は回転させることをいう。γチルトとは、図6に示すように、上記結像素子をその光路中心方向、したがって結像素子の幅方向の軸線を中心として揺動乃至は回転させることをいう。
【0034】
ここで、走査線の曲がり傾きについて説明すると、光走査装置自体で発生する曲がり傾きと、例えば感光体ドラム軸の倒れ等に起因する曲がり傾きのように光走査装置以外の要因で発生する曲がり傾きとがある。これらの曲がり傾きが積み上げられて、画像の曲がり傾き量は大きくなり、最大数百ミクロンの傾きが発生することがある。本実施形態では光走査ユニット20以外が要因となって発生する傾きに対しても光走査装置で補正することを狙いとしている。
【0035】
後述する調整機構により数百ミクロンレベルの曲がり傾きを数10ミクロン以下まで補正し、また、液晶偏向素子により数10ミクロン以下の補正を可能として、温度特性を要因とした走査線曲り傾きを含む走査線位置変動を補正して、さらなる精度向上を図るものである。液晶偏向素子により数10ミクロンの補正をするには、液晶偏向素子による偏向角を大きくしなければならない。しかし、偏向角を大きくすると、液晶偏向素子の応答速度が落ちるという副作用があるため、精度の高い制御が困難になる。
【0036】
図5に走査位置検出手段の各種の例を示す。図5(a)、(b)は、走査線検出手段を光走査装置内部あるいはその近傍に配置した場合を示している。図5(a)に示す例は、光源から被走査面1Aに至る光路上に液晶偏向素子118を傾けて配置し、液晶偏向素子118を透過して被走査面である感光体1A表面に至る光ビームを偏向させて被走査面上の光スポット位置を補正するように構成されている。また、光ビームの一部は液晶偏向素子118によって反射され、この反射光路上にエリアセンサ123が配置されている。エリアセンサ123では、光ビームの走査位置を検出することができ、したがって、走査位置の変動を検出することができる。この検出信号で液晶偏向素子118を駆動乃至は制御することにより被走査面上での走査線位置を補正することができる。
【0037】
図5(b)に示す例は、結像光束の通路にハーフミラー119を設けて結像光束の一部を副走査方向上方に反射させ、この反射光路上にエリアセンサ123を配置して、走査位置ずれをエリアセンサ123で検出するようになっている。ハーフミラー123の前方には液晶偏向素子118が配置されていて、液晶偏向素子118を透過して被走査面である感光体1A表面に至る光ビームを偏向させて被走査面上の光スポット位置を補正するように構成されている。上記ハーフミラー123とエリアセンサ123を用いることにより、多点像高での走査線位置検出が可能となり、この検出信号で液晶偏向素子118を駆動乃至は制御することにより被走査面上での走査線位置を補正することができる。
【0038】
図5(c)、(d)に示す走査位置検出手段の例は、感光体1A上のトナー像と、中間転写ベルト5(図20参照)上のトナー像の色ずれすなわち色画像同士の転写位置ずれを、それぞれ光源26からの照射光の、感光体1A表面による反射状態と、中間転写ベルト5表面による反射状態とをそれぞれのエリアセンサ28により検出する方式になっている。符号27は上記トナー像をエリアセンサ28の受光面に結像させる結像レンズを示している。光源26、結像レンズ27、エリアセンサ28によって走査位置検出手段を構成している。かかる検出方式を採用すれば、最終画像に近い位置で走査位置ずれを検出するため、精度が高くなる利点がある。
【0039】
以上のような構成を備えた光走査ユニット20には、第2結像光学系24に用いられる走査線の曲がり、走査線位置、走査線傾き補正・矯正手段が設けられている。以下、この走査線の曲がり、走査線位置、走査線傾き補正・矯正手段の構成例について説明する。
図6は、図1について説明した第2結像光学系24に用いられる樹脂製結像レンズである長尺レンズ101に一体に組み込んだ走査線の曲がり、走査線位置、走査線傾き補正・矯正手段100の例を示す。本実施形態における上記走査線の曲がり、走査線位置、走査線傾き補正・矯正手段100は、光学素子である長尺レンズ101の形状を矯正しかつ形状を保持するばかりでなく、長尺レンズ101の光軸に直交する方向での、長尺レンズ101の傾き、すなわち図6において符合βで示す方向の傾きを補正ないしは矯正することにより、走査線の曲がりを解消するように構成している。加えて、長尺レンズ101の光軸を中心とした傾きすなわち図6において符合γで示す方向の傾きを補正ないしは矯正することにより、走査線の傾きを解消するように構成されている。この走査線の曲がり、走査線位置、走査線傾き補正・矯正手段100の構成をさらに具体的に説明する。
【0040】
図6において走査線の曲がり、走査線位置、走査線傾き補正・矯正手段100は、長尺レンズ101の形状保持手段102および姿勢制御手段103を備えている。形状保持手段102は、長尺レンズ101が温度変化による反りなどの変形を来す際にその形状を矯正する形状矯正手段として機能するようになっている。このために、長尺レンズ101が載置されて位置決め可能な下側板金部材102Aと、長尺レンズ101の上面を押さえることができる上側板金部材102Bと、長尺レンズ101の長手方向両端に配置されて上下の各板金部材102A、102Bの長さ方向両端部間に取り付けられた間隔保持部材102Cとを備えることによって構成されている。
【0041】
下側板金部材102Aおよび上側板金部材102Bは、長手方向両端がそれぞれ間隔保持部材102Cに締結されて固定されることにより対向間隔が規定されている。この間隔は、長尺レンズ101の副走査方向の高さすなわち厚みと同等若しくはある程度低くすなわち薄くされている。これにより、長尺レンズ101は、下側および上側板金部材102Aおよび102Bにより副走査方向両端を挟み込まれることになり、反りが発生した場合の変形が抑えられ、母線曲がりが矯正されて所定の形状に保持されるようになっている。
【0042】
下側板金部材102Aには、長尺レンズ101の位置決め用突起部102A1が長手方向中央部の背面側に2個対になって形成されている。この対をなす位置決め用突起部102A1が、長尺レンズ101の背面側に形成されている係合部101Aを挟み込むことで、長尺レンズ101の長手方向すなわち主走査方向の位置決めを行う構成になっている。
下側板金部材102Aにおける長手方向中央部の前端縁、つまり、光軸方向一方側で走査光の出射側の縁部には突出片102A2が形成されている。この突出片102A2には、図7にも示すように、前述のβ方向でのチルト調整用ナットをはめ込み、光学ハウジングに取り付けられたステッピングモータ109のリードスクリューが回転することでβチルト調整を行うように構成されている。
【0043】
これにより、長尺レンズ101の光軸と直交する方向での傾きを調整して走査線の曲がりを矯正できるようになっている。このため、突出片102A2は、走査線の曲がりの補正部として機能するようになっている。
上側板金部材102Bの両端部には、図8に示すように、U字状の板バネ107の一端が締結されて取り付けられている。各板バネ107の他端部は、光学ハウジングの一部に設けられている支持台106に固定されている。換言すれば、一対のU字状の板バネ107が上側板金部材102Bの両端部と支持台106との間に掛け渡されている。
【0044】
板バネ107は、上側板金部材102Bをその長さ方向両端側から支持しており、下側板金部材102A、上側板金部材102Bおよび間隔保持部材102Cからなる形状保持手段102を基準ピン108に接するように押圧支持することができるようになっている。上記基準ピン108は、形状保持手段102の長さ方向および幅方向の中央部が接するように位置決めされて、支持台106に固定されている。板バネ107は、捩り梁として作用し、形状保持手段102を前記βチルト、γチルトの2方向に対してバネ性をもって基準ピンに押圧する。よって、形状保持手段をガタなく支持することが可能である。
【0045】
形状保持手段102は、図7および図8に示すように、光学ハウジングの支持台106側に設けられている基準ピン108に長手方向中央部が載置されて長手方向、換言すれば、長尺レンズ101の光軸を中心としてβ方向に加えてγ方向に傾くことができるようになっている。傾斜方向のうちで、γ方向、つまり光軸を中心とした傾きを姿勢制御手段103により調整すると、走査線の曲がり、走査線位置およびまたは傾きを補正して、これら曲がりを矯正できるようになっている。
【0046】
上記姿勢制御手段103は、光学ハウジングの支持台106に設けられている基準ピン108を中心とした形状保持手段102の長手方向一方側に配置されているステッピングモータを用いた駆動源109をアクチュエータとして備えている。本実施形態では、基準ピン108が、長尺レンズ101の主走査方向および副走査方向での中心位置とほぼ同軸上に位置決めされ、上述した形状保持手段102における突出片102A2,つまり、走査線曲がりを調整する部材は、光軸の延長線上に配置されている。そして、姿勢制御手段103の駆動源109によって駆動される部材、つまり、走査線の傾きを調整する部材は、光軸に直交する方向で長尺レンズ101の長さ方向中心線の延長上に配置されている。
【0047】
駆動源109の出力軸には、図11に示すように、リードスクリュー109Aが形成されており、このリードスクリュー109Aはナット110にねじ込まれている。このナット110は、L字型に形成された調整レバー112の一端部に取り付けられている。調整レバー112は、支持台106に設置されているL字型の駆動源支持ブラケット111の水平片から立ち上がった軸受け部によって、水平方向の揺動支点軸を中心に水平面内において揺動可能に支持されている。調整レバー112はL字型に形成されていて、その垂直部に上記ナット110が取り付けられている。これにより、駆動源109によってリードスクリュー109Aが回転駆動されると、図11において矢印で示すように、ナット110がリードスクリュー109Aの回転方向に応じてリードスクリュー109Aの回転中心軸方向に移動し、このリードスクリュー109Aの移動方向に応じて調整レバー112が揺動するように構成されている。
【0048】
形状保持手段102の長さ方向両端に位置する各間隔保持部材102Cの外側面には支持ピン102C1が固定され外側に向かって突出している。上記調整レバー112の揺動端は、一方の間隔保持部材102Cに設けられている上記支持ピン102C1に上方から圧接することによって調整レバー112と形状保持手段102が連動するように構成されている。これにより、調整レバー112の揺動状態に応じて形状保持手段102が光軸を中心として傾くことができる。図6中、符合γで示す方向の傾きそれで、これにより走査線の傾きを補正して矯正することができる。
走査線の曲がり補正も走査線傾き補正と同様にステッピングモータを駆動源としてβチルト方向の姿勢を制御することにより行うことができる。本実施形態では、形状保持手段102の突出片102A2の突出部に直接ナットを取り付け、これを上記ステッピングモータで回転駆動されるリードスクリューによって姿勢制御を行うことができる。
【0049】
本実施の形態における弾性部材としての板バネ107は、その両端部に同一形状の取り付け面が形成され、中央部は屈曲した帯状の板バネで構成されている。そして、走査線位置補正を行う前の状態では、図9に示すように、上記一対の板ばね107が光学素子形状矯正手段でもある光学素子の形状保持手段102をγチルト方向すなわち主走査方向に予め傾けて基準ピン108に押圧保持し、また、図10に示すように、βチルト方向すなわち副走査方向に予め傾けて基準ピン108に押圧保持している。
【0050】
図12乃至図15は、形状保持手段102に対する長尺レンズ101の設置構造を示す。図12乃至図15において、長尺レンズ101は、長手方向両端が、間隔保持部材102Cに形成されている光軸方向突き当て部としての段部102C2に装填され、この段部102C2に対して押圧バネ113により密着させられ、光軸方向の位置決めがなされている。長尺レンズ101を挟み込む下側板金部材102Aおよび上側板金部材102Bは、間隔保持部材102Cに対して締結されることにより一体化されている。さらに間隔保持部材102Cに固定されている前記支持ピン102C1の一つを押圧する姿勢制御手段103の調整レバー112は、形状保持手段102と連動関係にある。したがって、姿勢制御手段103を構成する駆動源109によってリードスクリュー109Aを回転駆動し、ナット110を移動させて調整レバー112を揺動させることにより、長尺レンズ101の光軸方向での傾き(β方向)が調整され、これにより走査線の曲がりが補正されて矯正される。調整レバー112の揺動量乃至は回転量に対して、長尺レンズ101の傾き調整量は微小な量であり、走査線曲がりが微小量ずつ補正される。
【0051】
長尺レンズ101を副走査方向両側において挟み込む下側板金部材102Aおよび上側板金部材102Bは、間隔保持部材102Cに対して図15に示す構成により取り付けられている。つまり、下側板金部材102Aと上側板金部材102Bとは、間隔保持部材102Cに対して別々のネジ114,114’を用いて固定されている。しかも、間隔保持部材102Cの素材は、長尺レンズ101の線膨張係数と略同一な素材が選定され、さらに、ネジ114,114’との線膨張係数の差の影響が排除されるようになっている。これにより、環境温度が変化した場合でも、長尺レンズ101にかかる一定の圧縮応力を維持して長尺レンズ101での光学特性変化の影響を最少にしている。つまり、金属製ネジを間隔調整部材102Cに貫通させて下側および上側板金部材102A、102Bを共締めしたとすると、ネジの線膨張係数が支配的となり、環境温度が変化した場合にはネジの膨張の影響が直接板金部材102A、102Bと長尺レンズ101との間の挟み込み力に影響し、一定した圧縮応力を板金部材長尺レンズ101との間に維持することができなくなる。その点、図15に示すように、間隔保持部材102Cと板金部材102Bはこれをネジ114’で、間隔保持部材102Cと板金部材102Aはこれをネジ114で別々に締結する構成としたことにより、長尺レンズ101での光学特性が変化してしまうことになるのを抑制することができる。
【0052】
以上説明したように構成された本実施形態、特に、温度変化に対する長尺レンズ101の形状変化に対応して、形状矯正乃至は形状保持手段、走査線曲がりおよびまたは傾きを補正し矯正する手段を用いた実施形態の効果を、実験によって確認した結果を図16および図17に示す。図16は、恒温漕内の基準板に、樹脂製長尺レンズ、すなわち図13中符合101で示す部材を単体で載せ、温度を25℃から45℃に変化させた時の、樹脂製長尺レンズの3点での形状変化を時系列に測定した結果を示す。この測定結果は、温風が樹脂製長尺レンズ表面に当たることで基準板に接触している底面側と上面側で温度差が発生し、温度上昇によって上に凸の反りが発生することを示している。さらに、ある程度時間が経過するとレンズ内部の温度が均一になって形状が元に戻ることを示している。したがって、樹脂製長尺レンズを、なんら対策を施すことなく画像形成装置に採用したとすると、ポリゴンスキャナの発熱、あるいは定着装置の熱により温度差が生じたときに、走査線の曲がりと傾きが発生し、タンデム式カラー画像形成装置では、形成される画像に色ずれが発生する要因となる。
【0053】
図17は、上述した光学素子形状保持手段、走査線曲がりおよび/または傾きの補正・矯正手段を設けた場合の結果を、図14に準じて示したものである。図17を図16と比較参照すると明らかなとおり、樹脂製長尺レンズのいずれの場所においても、温度変化に対する樹脂製長尺レンズの形状変化が極めて小さくなっていて、形状変化抑制効果が十分あることが分かる。
【0054】
図18は、本発明の上記実施の形態におけるβチルトによる走査線位置調整を説明するための図で、樹脂製長尺レンズを基準位置に対して±θ°回転させたときの走査線の位置をプロットしたグラフである。図18からわかるように、曲がり傾きはほとんど変化しないで、走査線の位置のみが変化している。光学シミュレーションによれば約7′のβチルトで、像面で約40μmの平行シフトが可能である。走査線曲がりへの影響は約7′のβチルトで3μm程度であるので、ほとんど影響しない。本発明の実施形態では、調整ネジによりアナログ的な調整が可能であるため、10μm以下の走査線位置微調整も可能となる。
特に、タンデム光学系においては、各走査線の位置合わせは書き込みタイミングを電気的に調整することで行うが、本発明の実施形態によれば、機構的な各感光体ドラム間の走査線ピッチ調整との組み合わせにより、さらなる高精度化が可能となる。
【0055】
上述した構成の走査線曲がり、走査線位置およびまたは傾き補正・矯正手段は、図20に示したタンデム式書き込み光学系からなる光走査ユニット20に適用されるが、そのための構成を図19に示す。
図19において、タンデム式書き込み光学系からなる光走査ユニット20は、色毎の画像を形成可能な複数の感光体ドラム個々に対して、図1に示した基本構成が適用され、その構成のなかで一体型光学素子形状矯正手段100が長尺レンズに適用される。なお、図19では、便宜上、二つの感光体ドラム1A、1Bが描かれており、また、二つの長尺レンズ101,101’が描かれている。図19中、符合27,27’は、光源をなす第1走査用および第2走査用の半導体レーザを、符合28,28’は第1走査用の折り返しミラーを、符号29,29’は第2走査用の折り返しミラーをそれぞれ示している。また、光偏向手段を構成するポリゴンミラー以降の、感光体ドラム1A、2Aに対する光路に配置されている光学部材が、図19において符号24で示されている。この光学部材24は、第2結像系としてfθ機能を有し、各感光体ドラムを対象として構成している。
【0056】
このような構成のタンデム光学系からなる光走査装置を用いることにより、長尺レンズ101,101’での環境温度の変化による形状変化を抑制することができると共に、形状変化による走査線の曲がりおよび/または傾きを補正することができる。さらには、走査線の曲がり、走査線位置および/または傾き補正・矯正手段100,100’を有することにより、傾きや曲がりの量が低減され、さらに色ずれを検出してフィードバック制御を行うことで光スポット位置の適正化を図ることができる。
【0057】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、走査線曲がり傾きの調整手段により調整を行うことができ、機内温度上昇など環境条件の変動による経時変化に対しても、樹脂製光学素子を矯正することにより反り等の形状変化を防止できるので、カラー画像形成装置に適用した場合でも、色ずれを低減することができる。
【0058】
請求項2、3記載の発明によれば、液晶偏向素子を電気的に制御することで、環境変動による走査線曲がり傾きの高精度な補正をフィードバックあるいはオープンループで補正することができる。また、数十ミクロン以上の調整量が必要な場合は、液晶偏向素子の姿勢制御により制御できるので、液晶偏向素子に過負荷をかけることなく、合理的な制御を行うことができる。
【0059】
請求項3、4、5、7、8、9、11、12および13記載の発明によれば、構造が簡単であり、かつ調整箇所を一つの光学素子に集中して行うことができるので、部品費、組立費等のコストダウンを図ることが可能となる。
【0060】
請求項8、9および14記載の発明によれば、簡単な構造で走査線位置、傾きの補正を独立にかつ高精度に行うことができ、更に耐振動性にも優れた光学素子の保持が可能となる。
請求項10記載の発明によれば、環境温度変動による、樹脂製光学素子に対する圧縮応力の変化を最小限にして形状を矯正することができるので、ビームスポット径、倍率誤差等の光学特性に対する影響を少なくすることができる。
【0061】
請求項15,16記載の発明によれば、本発明の光走査装置を、電子写真プロセスを用いたタンデム式多色画像形成装置の光走査装置として使用できるので、単色及び多色の出力画像の高密度化、マルチビームによる高速化、色ずれの少ない高画質化を図ることができる。更に消費電力の低減、振動騒音低減、熱発生の低減につながり、環境負荷低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る光走査装置の基本構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した光走査装置の作用の一つを説明するための模式図である。
【図3】図1に示した光走査装置の別の作用を説明するための模式図である。
【図4】図1に示した光走査装置のさらに別の作用を説明するための模式図である。
【図5】図1に示した光走査装置に用いられる位置ずれおよび色ずれ検知のための構成の例を説明するための図である。
【図6】図1に示した光走査装置に用いられる光学素子形状保持手段、走査線曲がり、走査線位置および/または走査線傾き補正・矯正手段の例を示す斜視図である。
【図7】上記光学素子形状保持手段、走査線曲がり、走査線位置および/または走査線傾き補正・矯正手段の平面図である。
【図8】図7中、符号(8)で示す方向で部分的に断面とした矢視図である。
【図9】上記光学素子形状保持手段、走査線曲がり、走査線位置および/または走査線傾き補正・矯正手段の、主走査方向調整前の姿勢の例を示す正面図である。
【図10】上記光学素子形状保持手段、走査線曲がり、走査線位置および/または走査線傾き補正・矯正手段の、副走査方向調整前の姿勢の例を示す側面図である。
【図11】図7中、符号(9)で示す方向で部分的に断面とした矢視図である。
【図12】長尺レンズの設置構造を示す斜視図である。
【図13】図12に示した設置構造の平面図である。
【図14】上記設置構造の(A)は正面図、(B)は(A)中、符号(B)で示す方向の矢視図である。
【図15】図6中、符号(13)で示す方向の矢視図である。
【図16】長尺レンズの温度変化による光スポットの位置ずれ状態を示す線図である。
【図17】図16に示した位置ずれを補正して矯正した場合の結果を示す線図である。
【図18】上記実施の形態におけるβチルトによる走査線位置調整を説明するための線図である。
【図19】複数の被走査面を対象として本実施形態の光走査装置における光学素子形状矯正手段を提供した光学系の構成を説明するための斜視図である。
【図20】本発明の実施形態で説明した光走査装置が適用される画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
1A〜4A 感光体ドラム
20 光走査ユニット
21 光源装置
24 第2結像系
101 長尺レンズ
102 形状保持手段
102A 下側板金部材
102A2 走査線曲がりの補正部としての突出片
102B 上側板金部材
102C 間隔保持部材
102C1 支持ピン
102C2 段部
103 姿勢制御手段
107 板バネ
108 基準ピン
109 駆動源
109A リードスクリュー
110 ナット
112 調整レバー

Claims (16)

  1. 光源からの光束を光偏向手段により偏向させ、偏向された光束を走査結像光学系により、光源に対応した被走査面上に光スポットを形成して光走査を行う光走査装置において、
    走査結像光学系に含まれる樹脂製結像素子の副走査方向の形状変化を防止または軽減する形状保持手段と、上記走査結像光学系に含まれる樹脂製結像素子における走査線位置を補正する走査線位置補正手段を有することを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1記載の光走査装置において、被走査面上における光スポットの位置を調整するために光源から被走査面に至る光路上に設けられた液晶偏向手段と、この液晶偏向手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項1記載の光走査装置において、樹脂製結像素子の副走査方向の形状変化を防止若しくは軽減する形状保持手段と走査線位置補正手段は、樹脂製結像素子に対して一体的に構成されていることを特徴とする光走査装置。
  4. 請求項3記載の光走査装置において、一体的に構成した形状保持手段と走査線位置補正手段全体を姿勢制御手段で姿勢制御することを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光走査装置において、形状保持手段が、樹脂製結像素子の副走査方向における形状を矯正し保持する形状矯正手段であることを特徴とする光走査装置。
  6. 請求項2記載の光走査装置において、走査線位置の調整を、樹脂製結像素子の副走査方向の形状矯正手段と一体構成された走査線位置補正手段により上記樹脂製結像素子の姿勢を制御して行い、温度特性を含めた経時変化に対する走査線位置変動は、走査線位置検出手段あるいは色ずれ検出手段の検出結果に基づき上記走査線位置補正手段あるいは液晶偏向手段を選択して制御することを特徴とする光走査装置。
  7. 請求項5記載の光走査装置において、形状矯正手段は、樹脂製結像素子の副走査方向の両面に当接させた2枚の平板と、樹脂製結像素子の長手方向両端に配置され樹脂製結像素子の副走査方向の厚みと同等あるいはこれよりも小さい間隔保持部材とを有してなり、上記間隔部材の介在のもとに上記樹脂製結像素子を上記2枚の平板で挟持し締結することを特徴とする光走査装置。
  8. 請求項7記載の光走査装置において、形状矯正手段の一方の平板の両端部に弾性部材がネジで締結され、形状矯正手段が光学ハウジングあるいはレンズホルダ等の固定部に対して弾性力により押しつけられて保持されていることを特徴とする光走査走査装置。
  9. 請求項8記載の光走査装置において、光学ハウジングあるいはレンズホルダの基準位置に基準ピンが配設され、この基準ピンに形状矯正手段の一方の平板が接触することにより、上記基準ピンの位置を支点として形状矯正手段が回転して走査線位置補正が行われることを特徴とする光走査装置。
  10. 請求項7記載の光走査装置において、間隔保持部材の線膨張係数と樹脂製光学素子の線膨張係数が略等しく、2枚の平板に対してそれぞれ別個の締結部材で樹脂製光学素子が挟持されていることを特徴とする光走査装置。
  11. 請求項7記載の光走査装置において、間隔保持部材の一面に光軸方向の位置を決める突起部が設けられ、間隔保持部材が光学ハウジングあるいはレンズホルダに嵌合することで光軸と直交する主走査方向の位置決めがなされていることを特徴とする光走査装置。
  12. 請求項9記載の光走査装置において、樹脂製光学素子に対する基準ピンの位置は光学素子の主走査方向及び副走査方向の中心軸上にあり、走査線位置調整部材は光軸の延長上に位置し、走査線の傾き調整部は光軸に直交する方向で略光学素子中心軸延長上に配置されていることを特徴とする光走査装置。
  13. 請求項8記載の光走査装置において、光学ハウジングあるいはレンズホルダの両端部の弾性部材取り付け面にそれぞれ段差が設けられていることを特徴とする光走査装置。
  14. 請求項8記載の光走査装置において、弾性部材は、その両端部に同一形状の取り付け面が形成され、中央部は屈曲した帯状の板バネで構成され、走査線位置補正を行う前の状態で光学素子形状矯正手段を副走査方向及び/または主走査方向に予め傾けて押圧保持していることを特徴とする光走査装置。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の光走査装置において、被走査面となる感光手段を複数有することを特徴とする光走査装置。
  16. 感光体表面を光走査して感光体表面に画像を形成する画像形成装置であって、感光体に光走査を行う光走査装置として請求項1〜15のいずれかに記載の光走査装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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