JP2004333168A - 蓄積性蛍光体を用いる生化学的分析方法 - Google Patents

蓄積性蛍光体を用いる生化学的分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な蛍光法を利用する生化学的分析方法を提供する。
【解決手段】検出対象の目的物質を含有する試料に、該目的物質と生化学特異的に結合しうるプローブを接触させて、生化学特異的結合によりプローブ−目的物質複合体を形成する工程;プローブ−目的物質複合体のプローブに蓄積性蛍光体微粒子を付着させて、蓄積性蛍光体で標識したプローブ−目的物質複合体を得る工程;該標識プローブ−目的物質複合体を含有する試料に一次励起エネルギーを付与して、標識プローブ−目的物質複合体中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを蓄積させる工程;および試料に二次励起エネルギーを付与して、標識プローブ−目的物質複合体中の蓄積性蛍光体から放出される発光光を検出する工程からなる、試料中の目的物質の生化学的検出方法。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光法を利用する生化学的分析方法に関する。特に本発明は、蛍光標識を利用する生化学的検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗原、抗体などの生物学的巨大分子、あるいは細胞、微生物などの生体起因物質を検出し、その機能を特定することは、生物学および医学の発展の上で必要不可欠である。一般に、このような生物学的物質の検出には、これら物質と生化学特異的に結合しうるプローブ分子を検知可能な手段で標識(ラベル)した一種の検知試薬が用いられる。すなわち、標識したプローブ分子を分析対象の目的物質(ターゲット)に接触させ、ターゲットと標識プローブとを生化学特異的に結合させて複合体を形成し後、複合体中の標識プローブの標識を検出することにより、ターゲットを同定もしくは定量することができる。
【0003】
標識方法としては、放射性同位元素を用いる放射性標識法、蛍光物質を用いる蛍光標識法、および着色物質や発光性物質の生成を触媒する酵素を用いる酵素標識法がある。これらの方法のうちで放射性標識法は、検出感度が高く、バックグランドノイズが低いものの、有害な放射線を放出するため、使用後の処分が容易ではなく、また放射能減衰や放射性崩壊があるため、不安定である。酵素標識法は、反応条件や時間により検出感度を高めることができるものの、測定のための時間がかかり、追加の試薬や工程を必要とする。
【0004】
蛍光標識法は、検出感度が高く、有機染料など多様な蛍光物質を使用することができ、広く利用されている。しかしながら、通常は励起光として紫外乃至緑色光など短波長の光を用いるために、ターゲットの芳香族炭化水素部分など蛍光物質以外からの発光によるバックグランドノイズが大きい、励起光の長時間に渡る照射によって有機染料自体が光分解するなどの欠点がある。特許文献1には、これらの欠点を解消するために、蛍光物質としてアップコンバージョン無機蛍光体(ランタニドリン蛍光体)を使用することが提案されている。
【0005】
アップコンバージョン無機蛍光体は、二つの光子を吸収してエネルギーの大きな一つの光子を放出する性質を有し、結果的に励起光よりも短い波長の発光光を放出することができる。この蛍光体では、励起光として近赤外線など長波長の光を使用するので、バックグラウンドノイズを無視でき、また紫外線による光分解を防ぐことができる。しかしながら、励起が二段階プロセスであり、励起光の光量が変化すると発光量はその二乗で変化するために、励起光の光量変化や固体支持体(マイクロアレイ等)の位置による光量変動など、励起光の安定性に対する要求には厳しいものがある。また、励起光量を多くしないと充分な発光を得ることができない。
【0006】
特許文献2には、アップコンバージョン無機蛍光体として有用な、粒子径が1μm以下の希土類酸硫化物系蛍光体粒子を製造する方法が開示されている。
【0007】
一方、蓄積性蛍光体は、放射線や紫外線などのエネルギー(一次励起エネルギー)を吸収蓄積した後、二次励起エネルギーが付与されると発光を示す性質を有する。二次エネルギーの付与は、可視光線や赤外線等の電磁波(二次励起光)の照射以外に、加熱や電場の印加等によっても行うことができる。特に、電磁波の照射によって発光(輝尽発光)を示す蛍光体を輝尽性蛍光体という。
【0008】
放射線のエネルギーを吸収蓄積する蓄積性蛍光体を含有する蓄積性蛍光体シート(放射線像変換パネルともいう)についてはよく知られていて、医療診断等のための放射線画像記録再生方法において実用に供されている。
【0009】
放射線画像記録再生方法は、蓄積性蛍光体シートに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、シートにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号(デジタル信号)を得ることからなる方法である。読み取りを終えたシートは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の記録のために備えられて繰り返し使用される。蓄積性蛍光体シートは、基本構造として支持体とその上に設けられた蓄積性蛍光体層とからなる。
【0010】
上記の蓄積性蛍光体シートを用いる放射線画像記録再生方法は更に、放射性標識を利用するオートラジオグラフィーや遺伝子解析のためのDNAチップにも使用されている。特許文献3及び4には、放射性標識した試料物質を検出するための、多孔性シートと互いに独立して設けられた複数の蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートとからなる試料物質検出キットが開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特表平8−501632号公報
【特許文献2】
米国特許第6132642号明細書
【特許文献3】
特開2002−340892号公報
【特許文献4】
特開2002−340893号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規な蛍光法を利用する生化学的分析方法を提供することにある。
特に、本発明は、新規な蛍光標識を利用する生化学的検出方法を提供することにある。
さらに、本発明は、検出感度が高く、S/N比が良好で、精度の高い生化学的分析方法を提供することにもある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、抗原や抗体、ポリヌクレオチドなど生物学的巨大分子の生化学的分析に用いられる蛍光法について検討を重ねた結果、蛍光物質としてサブミクロンサイズの蓄積性蛍光体微粒子を使用することによって、優れた検出効果が期待できることを見い出した。すなわち、発光を検出するための二次励起光として長波長の光を用いるので、従来の有機染料におけるようなバックグランドノイズの発生や光分解を回避することができる。さらに、蓄積性蛍光体からの発光量は主として一次励起光に比例するので、アップコンバージョン蛍光体に比べて励起光量に対する依存が小さく、精度の良好な分析結果を得ることができる。また、二次励起時に短時間で強い発光が得られるので、特別な検出手段を用いることなく高感度で検出することができる。
【0014】
従って、本発明は、検出対象の目的物質を含有する試料に、該目的物質と生化学特異的に結合しうるプローブを接触させて、生化学特異的結合によりプローブと目的物質複合体とを形成する工程;プローブと目的物質との複合体のプローブに蓄積性蛍光体微粒子を付着させて、蓄積性蛍光体で標識したプローブと目的物質との複合体を得る工程;該標識プローブと目的物質との複合体を含有する試料に一次励起エネルギーを付与して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを蓄積させる工程;および試料に二次励起エネルギーを付与して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体から放出される発光光を検出する工程からなる、試料中の目的物質の生化学的検出方法にある。
【0015】
また、本発明は、検出対象の目的物質と生化学特異的に結合しうるプローブに蓄積性蛍光体微粒子を付着させて、蓄積性蛍光体で標識したプローブを形成する工程;目的物質を含有する試料に該標識プローブを接触させて、生化学特異的結合により標識プローブと目的物質との複合体を形成する工程;該標識プローブと目的物質との複合体を含有する試料に一次励起エネルギーを付与して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを蓄積させる工程;および試料に二次励起エネルギーを付与して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体から放出される発光光を検出する工程からなる、目的物質の生化学的検出方法にもある。
【0016】
また、本発明は、検出対象の目的物質が付着固定されてなる固体支持体の表面に、該目的物質と生化学特異的に結合しうるプローブを接触させて、固体支持体上に生化学特異的結合によりプローブと目的物質との複合体を形成する工程;該固体支持体上の未結合のプローブを除去する工程;プローブと目的物質との複合体のプローブに蓄積性蛍光体微粒子を付着させて、蓄積性蛍光体で標識したプローブと目的物質との複合体を得る工程;該固体支持体表面に一次励起光を照射して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを蓄積させる工程;該固体支持体裏面に、蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートを重ね合わせた後、固体支持体表面に二次励起光を照射して、標識プローブ−目的物質複合体中の蓄積性蛍光体から放出される発光光を蓄積性蛍光体シートの蓄積性蛍光体層に吸収蓄積させる工程;および蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して蓄積性蛍光体層から発光光を放出させ、この発光光を光電変換して電気信号を得る工程からなる、目的物質の生化学的検出方法にもある。
【0017】
さらに、本発明は、蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートであって、該蓄積性蛍光体層が可視領域の光のエネルギーを吸収蓄積する蓄積性蛍光体を含有することを特徴とする光画像形成用の蓄積性蛍光体シートにもある。
【0018】
さらに、本発明は、固体支持体、および可視領域の光のエネルギーを吸収蓄積する蓄積性蛍光体を含有する蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートからなる生化学的検出キットにもある。
【0019】
さらに、本発明は、蓄積性蛍光体微粒子およびプローブを含む生化学的分析用組成物にもある。
【0020】
さらに、本発明は、蓄積性蛍光体微粒子を含有する生物学的試料を分析する方法であって、該生物学的試料に一次励起エネルギーを付与して、試料中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを蓄積させる工程;および試料に二次励起エネルギーを付与して、試料中の蓄積性蛍光体から放出される発光光を検出する工程からなる、生化学的分析方法にもある。
【0021】
本発明において分析対象となる目的物質(ターゲット)には、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗原、抗体、腫瘍マーカ、酵素、ハプテン、ホルモン、グリコ蛋白、リポ蛋白等の生物学的巨大分子;ウィルス、微生物、哺乳動物の細胞等の生体起因物質;および薬剤等が含まれる。
【0022】
本発明においてプローブには、ポリヌクレオチド、ポリペプチドホルモン、抗体、抗原、酵素、ストレプトアビジン、蛋白A、リセプタリガンド、レクチン、薬剤、および毒素等が含まれる。
【0023】
また、本発明で利用できる生化学特異的結合には、塩基配列の相補性によって生じるハイブリダイゼーション、抗原−抗体反応などの免疫特異的結合、酵素−抗原又は抗体結合、アビジン−ビオチン結合等が含まれ、更に特定の蛋白質間における立体構造等に基づく蛋白質特異的結合も含まれる。
【0024】
本発明の検出方法の好ましい態様は、以下の通りである。
(1)試料に一次励起光を照射することにより一次励起エネルギーを付与し、次いで試料に二次励起光を照射することにより二次励起エネルギーを付与する。
(2)試料に近紫外乃至緑色領域の光を照射することにより一次励起エネルギーを付与し、次いで試料に赤色乃至近赤外領域の光を照射することにより二次励起エネルギーを付与し、そして蓄積性蛍光体から放出される可視領域の輝尽発光光を検出する。
(3)蓄積性蛍光体が、紫外乃至可視領域の光で一次励起されるとそのエネルギーを蓄積し、可視乃至赤外領域の光で二次励起されるとそのエネルギーを輝尽発光光として放出する酸化物系輝尽性蛍光体である。
(4)蓄積性蛍光体微粒子の粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある。
(5)プローブと目的物質との複合体(以後、プローブ−目的物質複合体ということもある)の形成工程の後に、試料中の未結合のプローブを除去する工程を行う。
(6)試料中の目的物質が固体支持体に付着固定されている。
(7)発光光を光電変換して電気的信号として得る。
(8)予め、目的物質の濃度が既知の試料を用いて目的物質の濃度と発光光量との関係を表す検量線を作成しておき、該検量線に基づいて試料中の目的物質を定量する。
(9)蓄積性蛍光体シートの蓄積性蛍光体層が、可視領域の光のエネルギーを吸収蓄積する蓄積性蛍光体を含有する。
(10)蓄積性蛍光体シートが、互いに独立して設けられた複数の蓄積性蛍光体層を有する。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の蓄積性蛍光体を用いる生化学的分析方法について、検出対象の目的物質(ターゲット)が固体支持体上に固定されてなる試料から、ターゲットを蓄積性蛍光体を蛍光標識として用いて生化学的に検出する方法を例に挙げて、添付図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1〜3は、ターゲットにプローブを結合させる工程、およびプローブを蓄積性蛍光体で標識する工程の代表的な例を示す模式図である。図1は、固体支持体(マイクロアレイ)1の表面に、多数のターゲット(抗体)2が付着固定されてなる試料を示す。図2は、固体支持体1上に固定されたターゲット2にプローブ(抗原)3を生化学特異的に結合させて、プローブ−ターゲット複合体4を形成する工程を示す。図3は、固体支持体1上の複合体のプローブ3に蓄積性蛍光体微粒子5を結合成分(抗体)5’を介して結合させて、蓄積性蛍光体標識プローブ−ターゲット複合体6を形成する工程を示す。
【0027】
[蓄積性蛍光体]
本発明において、蛍光標識として用いられる蓄積性蛍光体は、プローブの位置を示すレポータ(光検出可能なマーカー)として機能する。蓄積性蛍光体は、短波長の光(近紫外乃至緑色領域の光)により一次励起されてそのエネルギーを吸収蓄積し、長波長の光(赤色乃至近赤外領域の光)により二次励起されて輝尽発光を示す輝尽性蛍光体であることが好ましく、特には化学的に安定な酸化物系蛍光体が好ましい。
【0028】
そのような輝尽性蛍光体の例としては、特開2001−131545号公報に記載のZnGeO :(Mn,V)、ZnGeO :Mn、特開2001−123162号公報に記載のSrAl1425:Ln(Lnは希土類)、Y0.8Lu1.2SiO:(Ce,Zr)等を挙げることができる。また、特公平6−31904号公報に記載されている250〜400nmの波長範囲の紫外線と共に、250nm未満の波長範囲の放射線を吸収してそのエネルギーを蓄積するGdOCl:Ce等の蛍光体も使用することができる。さらに、下記化学組成式(I)で表される希土類付活アルカリ土類金属ケイ酸塩系輝尽性蛍光体も使用できる。
【0029】
Figure 2004333168
【0030】
[ただし、MはCa及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し;MはBe、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し;LnはSm、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表し;そしてa、b、c、m、n、p、x及びyはそれぞれ、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、0≦c≦0.2、1.5≦m≦2.5、0.5≦n≦2.5、1.5≦p≦2.5、1×10−5≦x≦0.1、1×10−5≦y≦0.1の範囲内の数値を表す]
【0031】
表1に、代表的な酸化物系輝尽性蛍光体の励起スペクトルのピーク波長および発光スペクトルのピーク波長を示す。
【0032】
【表1】
Figure 2004333168
【0033】
上記酸化物系輝尽性蛍光体は、例えば原料化合物を乾式または湿式で充分に混合した後、酸化性又は還元性雰囲気中で高温で焼成することにより製造することができる。得られた輝尽性蛍光体に更に、微粉砕、篩分け等を行うことにより所望の粒子径の蛍光体微粒子を得ることができる。
なお、化学的安定性は劣るが、硫化物系やハロゲン化物系の蛍光体も、上記の波長で、一次/二次励起できるものであれば、それらも使用することができる。特に、ZnSやCaSあるいはSrSなどを母体とする硫化物系の蛍光体(例、ZnS:Cu,Pb、Ca1−xSrS:Eu,Sm、Ca1−xSrS:Ce,Sm、Ca1−xSrS:Ce,Bi、但し0≦x≦1、など)は、上記波長で励起可能なものが知られており、好都合である。なお、その使用に際しては、化学的安定性を高めるために、酸化物などで表面被覆することが好ましい。
【0034】
蓄積性蛍光体は一般に、粒子径が1μm以下であって、球状もしくはそれに近い形状の単分散の微粒子で用いられる。粒子径は好ましくは、0.1乃至0.5μmの範囲にある。蛍光体の粒子径は小さい方が好ましいが、同時に励起光に対して高い吸収断面および量子変換効率を有することが望ましい。分析用途に応じて適宜、蛍光体の種類および粒子径を選択することができる。なお、一般的に蓄積性蛍光体微粒子は、蛋白質等の生物学的巨大分子(約0.01μm)と比べれば非常に大きいが、固体支持体上のスポット(ターゲットが付着している箇所)よりは小さいので、立体障害やそれによる検出感度の低下などを特に考慮する必要はない。
【0035】
[ターゲットを含む試料の調製]
本発明において検出対象のターゲットを含む試料は、図1に示したように、マイクロアレイ等の固体支持体上に多数のターゲットがスポットまたは展開されて固定された状態にある。
【0036】
ターゲットの例としては、ポリヌクレオチド(DNA、RNA)、ポリペプチド(例えば、hGH、インスリン、アルブミン)、抗原、抗体、腫瘍マーカ、酵素、ハプテン、ホルモン、グリコ蛋白(例えば、免疫グロブリン、スロンボモジュリン、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)、リポ蛋白等の生物学的巨大分子;ウィルス、微生物(例えば、病原性細菌、酵母)、哺乳動物の細胞等の生体起因物質;および薬剤を挙げることができる。ターゲットは、公知の各種の手段により生体より分離、抽出、あるいは人工的に培養、合成することによって得ることができる。これらターゲットは、以降の工程を実質的に阻害しない希釈剤で希釈することが望ましい。希釈剤としては、緩衝剤(例、NaHPO、トリス、pH4〜10)、非干渉性イオン物質(例、KCl、NaCl、ショ糖)、非イオン型洗剤(例、ツイーン)を含む水溶液が挙げられる。さらに、プロテナーゼ抑制剤、安定剤等を含んでいてもよい。
【0037】
固体支持体としては例えば、ガラス、シリコン等のセラミックス、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート等のポリマーからなるプレート(マイクロアレイ);アクリルアミドおよびアガロース等のゲル;ニトロセルロースおよびナイロン誘導体等からなるフィルタ膜を挙げることができる。セラミックス及びポリマープレートは、ターゲットの付着を容易にするために、ポリ陽イオン(例、ポリ−L−リシン、ポリエチレンイミン、ポリアルキルアミン)や、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基、メルカプト基等を有するシランカップリング剤で表面処理されていてもよい。ターゲットを含有する溶液または懸濁液を、マイクロアレイ上に多数スポットすることにより、ゲル支持体上に電気泳動法等により展開することにより、あるいはクロマトグラフィで展開することなどにより、図1に示したように、固体支持体上にターゲットが点在する試料を調製することができる。得られた固体支持体は、プローブと接触させる前にターゲットの検出を阻害しない上記のような希釈剤で洗浄することが好ましい。
【0038】
[プローブ−ターゲット複合体の形成]
本発明においてプローブは、上記ターゲットと生化学特異的に結合しうる物質である。生化学特異的結合としては、ポリヌクレオチド(DNA、RNA)間のハイブリダイゼーション、抗原−抗体反応などの免疫特異的結合、酵素−抗原又は抗体結合、アビジン−ビオチン結合、更には特定の蛋白質間における立体構造等に基づく蛋白質特異的結合が挙げられる。
【0039】
プローブの例としては、ポリヌクレオチド、ポリペプチドホルモン(例、インターフェロン)、抗体、抗原(例えば、ポリペプチド、炭水化物、核酸、ハプテンエピトープ)、酵素、ストレプトアビジン、蛋白A(例えば、スタフィロコッカス・アウレウス蛋白A)、細胞リセプタのポリペプチドリガンド(例えば、ステロイド又はポリペプチドホルモン)、レクチン、薬剤、およびトキシンを挙げることができる。プローブは、検出対象のターゲットに応じて好適に選択され、ターゲットとのみ生化学特異的に結合しうるように公知の各種の方法により調製される。プローブを含む溶液も、前記希釈剤等を用いて公知の方法により調製される。
【0040】
プローブを含む溶液に上記固体支持体を浸漬したり、あるいは固体支持体上に溶液を添加することにより、ターゲットとプローブとを生化学特異的に結合させる。結合反応条件は、その生化学特異的結合反応およびターゲットやプローブの種類、状態等によって異なるが、一般的に反応時間は約1分乃至24時間であり、好ましくは約30分乃至数時間である。反応温度は、一般には約0℃乃至45℃の範囲にあり、好ましくは約4℃乃至25℃の範囲にある。
これにより、図2に示したように、プローブとターゲットとの複合体が形成される。
【0041】
[未結合プローブの分離]
次いで、固体支持体上から未結合のプローブを取り除く。プローブ−ターゲット複合体を有する固体支持体を、前記希釈剤等を用いて少なくとも1回洗浄することにより除去することができる。これにより、未結合プローブの標識によって生じうるバックグランド発光を防ぐことができる。
【0042】
[プローブの標識]
図3に示したように、固体支持体上のプローブ−ターゲット複合体のプローブに、前述した蓄積性蛍光体微粒子を付着させてプローブを標識する。プローブの標識は例えば、蛍光体微粒子表面をポリカルボン酸で被覆し、得られた被覆蛍光体微粒子を適当な緩衝液または希釈液に充分に分散させて懸濁液とした後、この懸濁液を固体支持体上に添加して、被覆蛍光体微粒子をプローブに付着させることにより行う。付着は、蛍光体微粒子のポリカルボン酸被覆表面へのプローブの物理的吸着によって遂行される。1個の蛍光体粒子に対して2個以上のプローブが付着してもよい。次いで、固体支持体表面を洗浄して余分な蛍光体微粒子を除去する。
【0043】
蛍光体微粒子の被覆方法としては、噴霧乾燥、プラズマ沈着など各種の方法を用いることができる。シランカップリング剤を用いて被覆してもよい。また、シランカップリング剤の−SiOH部分に官能基(−COOH、−NH、−CONH等)を結合してもよい。
【0044】
あるいは、励起光(二次励起光)に対する吸収性がなく、励起光および発光光に対して透過性の有機又は無機高分子材料で蛍光体微粒子を被覆(マイクロカプセル化)した後、その高分子材料表面にプローブと結合しうる反応基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、ポリアクロレイン)を付加して機能化し、これを共有結合によりプローブに付着させてもよい。被覆は、例えばモノマー溶液中に蛍光体微粒子を浸漬した後、加熱等により微粒子表面のモノマーを重合させることにより行うことができる。具体的には例えば、蛍光体微粒子をシリカで均一に被覆した後、テトラエチルオルソシリケートと3−アミノプロピルトリエトキシシランの加水分解によりそのシリカ表面にアミノ基を付加する(フランス・ヴァンデリケ外、Nature Biotechnology、第19巻、p.273−276参照)。
【0045】
上記においては、最初にプローブ−ターゲット複合体を形成し、次いでそのプローブを蓄積性蛍光体で標識する場合について説明したが、最初にプローブを蓄積性蛍光体で標識し、次いで標識プローブ−ターゲット複合体を形成することもできる。
【0046】
その場合には、上記の標識方法に加えて、例えば蛍光体微粒子を直接にストレプトアビジン等のプローブで被覆することもできる。また、プローブを直接的に標識する以外に、結合試薬を介して間接的にプローブを標識してもよい。例えば、結合試薬である二次抗体(例、抗ヤギ−ウサギ抗体)を上記のようにして蓄積性蛍光体微粒子で標識した後、これをプローブである一次抗体(例、抗ウサギ−erb−B抗体)に非共有結合により結合させる。
【0047】
蓄積性蛍光体微粒子が立体障害もしくは帯電干渉によってプローブとターゲットとの結合を阻害しうる場合には、−(CH−(nは約2〜50の整数である)等の分子スペーサを、蛍光体微粒子とプローブとの間に組み込むことが好ましい。分子スペーサの組込みは、上記の反応基を持つ被覆蛍光体微粒子を両末端に官能基を持つ飽和脂肪族炭化水素と末端官能基で結合させることにより、あるいは被覆蛍光体微粒子に直接に分子内スペーサ鎖を持つ基(例、ω−官能化シラン)を付加することにより行うことができる。
【0048】
[信号検出]
まず、標識プローブ−ターゲット複合体を有する固体支持体に、一次励起光を照射して複合体中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを吸収蓄積させる。一次励起光としては、一般には近紫外乃至緑色領域の光を使用する。一次励起光の照射は、例えば蛍光灯、水銀ランプ、メタルハライドランプ、重水素ランプ等の光源を用いて、その光に固体支持体の表面全体を一様に露光することにより行うことができる。
【0049】
次に、この固体支持体を適当な検出装置に装填してターゲットに関する信号の検出を行う。図4は、本発明に用いられる検出装置の例を示す概念図である。固体支持体1の表面に、励起手段21から発せられた二次励起光を照射し、固体支持体1上の標識プローブ−ターゲット複合体中の蓄積性蛍光体それぞれから放出される発光光(輝尽発光光)を検出手段22により検出する。励起手段21としては、一般には赤色乃至近赤外領域の光を発生しうる半導体レーザやダイオードレーザ等が用いられる。発せられる励起光は連続波であってもよいし、あるいはパルス波であってもよい。検出手段22としては、光電子増倍管(フォトマルチプライヤ)、フォトダイオード、電荷結合素子(CCD)、CIDデバイス等を挙げることができる。検出手段22にて発光光は電気信号に変換され、次いで信号処理手段23にて電気信号には各種の信号処理が施される。検出手段22は、写真フィルムや蛍光顕微鏡等であってもよい。これにより、固体支持体上の各スポットに対応した可視画像またはデジタルデータが得られ、ターゲットを同定したり、定量することができる。
【0050】
ターゲットの定量は、予めターゲット濃度が既知の試料を用いて検量線を作成しておくことなどにより実施することができる。具体的には、例えば複数の濃度既知のターゲットの希釈系列液を作製し、これをそれぞれ固体支持体上にスポットして固定する。次いで、固体支持体上に固定されたターゲットに対し、充分な量のプローブ物質を結合させた後、未結合のプローブ物質を除去する。固体支持体上のプローブ−ターゲット複合体に蓄積性蛍光体微粒子を付着させて、標識プローブ−ターゲット複合体を形成する。次に、固体支持体表面に、一次励起光を均一に照射する。その後、固体支持体表面に二次励起光を照射し、各スポットから放出される発光光を検出する。各スポットのターゲット濃度に対して発光光量をプロットして、検量線を作成する。この検量線に基づいて、未知試料中のターゲットを定量することができる。
【0051】
蛍光標識として蓄積性蛍光体を用いる本発明の検出方法では、検出のための励起光(二次励起光)として長波長の光(赤色乃至近赤外領域の光)を使用できるので、芳香族炭化水素部分など複合体の他の部分からの発光によるバックグランドノイズを回避することができる。よって、有機染料を用いる従来の蛍光標識法に比べて、S/N比の良好な信号を検出することができる。
【0052】
また、蓄積性蛍光体から放出される発光光の発光量は、二次励起光量に対してはあるレベルまでは比例するがそれ以降はほぼ飽和するので、通常は一次励起光量に比例する。よって、アップコンバージョン蛍光体に比べて励起光量(二次励起光量)依存性が非常に小さいため、励起光量の変化や固体支持体など試料の位置による変動に左右されない、精度の高いデータを得ることができる。さらに、蓄積性蛍光体では二次励起時に短時間で強い発光が得られるので、冷却CCDなど超低ノイズの検出器を用いる必要がなく、また高い感度で信号を検出することができる。従って、高感度、高精度であって、ハイスループット(高速、高処理量)の検出が可能になる。
【0053】
[蓄積性蛍光体シート]
本発明において、固体支持体上の蓄積性蛍光体で標識したプローブ−ターゲット複合体の検出は、公知の蓄積性蛍光体シートを用いる放射線画像情報読取方法に準じた方法で行うことも可能である。
【0054】
ただし、本発明において蓄積性蛍光体シートは、光(特に、ルミネッセンス)による画像情報を得るためのものであり、蓄積性蛍光体シートに用いられる蓄積性蛍光体は、一般に紫外乃至赤外領域の光のエネルギーを吸収蓄積しうる蛍光体である。好ましくは、可視領域の光のエネルギーを吸収蓄積する蓄積性蛍光体であり、特に好ましくは、可視領域の光で一次励起されるとそのエネルギーを蓄積し、そののち赤色乃至近赤外領域の光で二次励起されると可視領域に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体であり、その例としてはSrAl1425:Ln(Lnは希土類)を挙げることができる。
【0055】
蓄積性蛍光体シートは、蓄積性蛍光体を含有する蛍光体層を有し、一般には図5に示すように、少なくとも支持体12、蓄積性蛍光体層13および保護層14から構成される。蓄積性蛍光体シートの構成、その他の材料および製造法については既に各種の刊行物に記載されており、本発明においても公知の各種の構成、材料および製造法を使用することができる。蓄積性蛍光体シートの製造法については後述する。
【0056】
図6は、本発明の蓄積性蛍光体シートの構成の例を示す概略断面図である。
図6の(a)は、本発明の蓄積性蛍光体シートの構成の別例を示す概略斜視図であり、(b)は(a)におけるI−I線に沿った概略断面図である。
【0057】
あるいは、蓄積性蛍光体シートは、図6(a)及び(b)に示すように、支持体12と、その上に互いに独立して設けられた複数の蓄積性蛍光体層16とからなる構成であってもよい。すなわち、蓄積性蛍光体層16は、連続層ではなく、一般に海島構造と呼ばれるような微小の点状に、互いに分離独立した状態で存在する。さらに、各蓄積性蛍光体層16の間には隔壁が設けられていてもよい。
【0058】
点状の各蓄積性蛍光体層16は、前記の固体支持体上の複合体の付着位置(スポット位置)に対応するように配置されていることが望ましい。また、本発明の蓄積性蛍光体シートと共に、複合体の付着位置に対応する位置に透孔を有する薄いフィルムまたはシートから構成されるスペーサを用いることも好ましい。蓄積性蛍光体シートをこのような構成とすることにより、各標識複合体(スポット)からの発光光をより明確に分離して検出することができる。
【0059】
まず、標識プローブ−ターゲット複合体を有する固体支持体に、前述したようにして一次励起光を照射し、複合体中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを吸収蓄積させる。次いで、図7に示すように、固体支持体1の裏面に蓄積性蛍光体シート15を密着するように積層する。図7は、固体支持体1と蓄積性蛍光体シート15を積層した状態を示す概略断面図である。固体支持体1上の標識複合体の付着領域(スポット)7と、蓄積性蛍光体シート15の点状の蓄積性蛍光体層16とがそれぞれ対向するような配置で積層されている。
【0060】
この積層状態で固体支持体1の表面に二次励起光を照射して、標識プローブ−目的物質複合体中の蓄積性蛍光体それぞれから放出される発光光(輝尽発光光)を蓄積性蛍光体シート15に吸収蓄積させる。二次励起光は、一般には赤色乃至近赤外領域の光であり、例えばナトリウムランプ、赤外線ランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ等の光源からの光に固体支持体表面を一様に露光することにより、照射を行うことができる。二次励起光の照射によって各スポット6の標識複合体中の蓄積性蛍光体から放出された発光光は、そのスポット位置に対応する蓄積性蛍光体シート15の蓄積性蛍光体層16に潜像として蓄積記録される。
【0061】
次に、図7に示した固体支持体1と蓄積性蛍光体シート15の積層体から蓄積性蛍光体シート15を引き離し、図8に示す画像情報読取装置に装填してターゲットに関する信号の検出を行う。
【0062】
図8は、本発明に用いられる画像情報読取装置の構成の例の概念図である。図8の読取装置において、蓄積性蛍光体シート15は、二組のニップローラからなる移送手段31、32により矢印の方向に移送される。一方、レーザビーム等の励起光33は、シート15の保護層側表面より照射される。励起光33の照射を受けたシート15の蓄積性蛍光体層からは、蓄積されたエネルギーレベルに応じた(すなわち、蓄積記録されたエネルギー分布情報を持った)輝尽発光光34が発せられる。輝尽発光光34は、直接にあるいはミラー39で反射されて、上方に設けられた集光ガイド35により集光され、その集光ガイド35の基部に備えられた光電変換装置(フォトマルチプライヤ)36にて電気信号に変換され、増幅器37で増幅され信号処理装置38に送られる。
【0063】
信号処理装置38では、増幅器37から送られてきた電気信号について、目的とする信号の特性や蓄積性蛍光体シートの特性に基づいて予め決められている加算、減算などの適当な演算処理を行い、処理後の信号をデータ信号として送り出す。
【0064】
送り出されたデータ信号は画像再生装置(図示なし)にて可視画像として再生され、これにより固体支持体上の標識プローブ−ターゲット複合体に関する情報(すなわち、ターゲットに関する情報)が画像として再構成される。あるいは、データ信号に更に適当な信号処理を行うことにより、デジタルデータとして再生することもできる。再生装置は、CRT等のディスプレイ手段であってもよいし、感光フィルムに光走査記録を行う記録装置であってもよいし、あるいはまた、そのためにデータ信号を一旦光ディスク、磁気ディスク等の画像ファイルに記憶させる装置に置き換えられてもよい。可視画像またはデジタルデータとして得られた画像情報に基づいて、ターゲットを同定したり、定量することができる。
【0065】
一方、蓄積性蛍光体シート15は、ニップローラ31、32により矢印の方向に更に移送されて、読み取りが済んだシート15の領域には次いで、ナトリウムランプ、蛍光灯、赤外線ランプ等の消去光源(図示なし)を利用する消去が行われる。これにより、読み取り後なおシート15に残存している光エネルギーは放出除去され、次回の画像記録操作で残存エネルギーによる悪影響が及ぶことがないようにされる。
【0066】
なお、本発明に用いられる画像情報読取装置は、図8に示した態様に限定されるものではなく、光源、光源と蓄積性蛍光体シートとの間の集光光学系、シートと光電変換装置との間の光学系、および光電変換装置はそれぞれ、公知の種々の構成を採用することができる。
【0067】
[多重信号検出]
蛍光標識のための蓄積性蛍光体として、二次励起波長および/または発光波長の異なる複数の蓄積性蛍光体を使用することにより、複数のターゲットを同時に検出することが可能である。すなわち、存在しうるターゲットの種類に応じてプローブをそれぞれ用意し、各プローブごとに二次励起波長および/または発光波長の異なる蓄積性蛍光体で標識する。これらの標識プローブを用いて標識プローブ−ターゲット複合体を形成する。複合体が形成された試料に、一次励起光を照射してそのエネルギーを蓄積させた後、複数の周波数を持つレーザ光を二色ミラー等を用いて多重化するなどして、二次励起光の波長を変えて信号を検出することにより、あるいは放出される輝尽発光光を波長分割マルチプレクサ等で波長分離したのち検出することにより、単一試料について複数のターゲットを同定、定量することができる。
【0068】
[溶液または懸濁液試料]
本発明において、ターゲットを含む試料はターゲットを含む溶液または懸濁液であってもよい。その場合には、検出に先立って前記の希釈剤を用いて溶液または懸濁液の濃度やpHを調整する。
【0069】
溶液または懸濁液中において、ターゲットの一端(抗原決定子、糖部分、化学置換基、ヌクレオチド配列等)は、超常磁性の免疫ビーズやポリマービーズ等の磁性ビーズ(固体基質として機能する;抗体、ポリヌクレオチド、レクチン等の結合成分を含む)に結合していてもよい。磁性ビーズの直径は一般に約1μm以下である。これにより、後述する標識プローブ−ターゲット複合体と未結合の標識プローブとの分離が容易になる。
【0070】
まず、プローブを前述したようにして蓄積性蛍光体微粒子で標識する。次いで、ターゲットを含む溶液または懸濁液に標識プローブを含む溶液を添加混合し、結合反応条件下でターゲットと標識プローブとを生化学特異的に結合させる。
【0071】
あるいは、標識プローブを含む溶液には更に、磁性ビーズが分散されていてもよい。磁性ビーズは、ビオチニル化磁性ビーズ、ストレプトアビジン被覆磁性ビーズ、アビジン被覆磁性ビーズ、または免疫グロブリン被覆磁性ビーズであることが好ましい。試料液にこの標識プローブを含む溶液を混合すると、図9に示すように、ターゲット(例、抗原、ポリヌクレオチド、蛋白)41は、第一結合成分(例、抗体、ポリヌクレオチド、レクチン)42を介して磁性ビーズ(固体基質)43に結合し、そしてプローブである第二結合成分(例、抗体、レクチン、ポリヌクレオチド)44にも結合する。第二結合成分44は被覆蓄積性蛍光体微粒子45で標識されている。よって、標識プローブ−ターゲット複合体は、2つの結合成分からなるサンドイッチ結合により生じたサンドイッチ複合体として存在している。
【0072】
図9に、サンドイッチ結合の例を模式的に示す。第一結合成分42と磁性ビーズ43とは、−(CH−からなるスペーサアーム46により共有結合で結合され、そして第二結合成分(プローブ)44と被覆蓄積性蛍光体微粒子45とは共有結合47で結合されている。
【0073】
あるいは、蓄積性蛍光体微粒子を磁性ビーズの中に取り込むこともできる。固体基質として磁性ビーズを使用することにより、磁気ラック等の手段を用いた磁気分離によって複合体と未結合標識プローブとを容易に分離することができる。複合体と未結合標識プローブとの分離は、ターゲットの種類や試料液の調製によっては、磁気分離以外にも遠心分離や重力沈降などによっても可能である。
【0074】
試料液からの信号検出は、一次励起光を照射してそのエネルギーを蓄積性蛍光体に蓄積させた後、試料液にレーザ光等の二次励起光を照射して、蓄積性蛍光体から放出される発光光をレンズ等を用いて集光して、光電子増倍管等の光電変換装置により電気信号として検出することにより行うことができる。試料液中の蓄積性蛍光体に二次励起エネルギーを付与する手段としては、二次励起光の照射以外に、試料を加熱したり、電圧を印加することも可能である。
【0075】
なお、一般論として生化学特異的結合など特定の結合を利用する分析法では、標識プローブの標識物質が結合(複合体の形成)の有無によって変化を受ける場合と受けない場合がある。前者を均一分析と言い、例えばある種の酵素標識による免疫分析が挙げられる。この場合には、ターゲットに結合した標識プローブから検出される信号と未結合の標識プローブから検出される信号とが異なるので、これら二種の標識プローブを物理的に分離する必要はない。一方、後者を不均一分析と言い、放射性標識による免疫分析が挙げられる。この場合に、両者から検出される信号は同一であるので、これら二種を分離しなければ識別することができない。本発明の蓄積性蛍光体標識による分析法は、通常は不均一分析に相当し、従って、未結合の標識プローブ(あるいは標識前の未結合プローブ)を分離する必要がある。しかしながら、例えば溶液または懸濁液試料でターゲットが液表面または底部に凝集しうる場合には、レーザ等の励起光の焦点を試料液表面または底部に集束させて発光光の検出を行い、そして予めターゲットの濃度と発光光濃度に関する検量線を作成しておくことにより、未結合標識プローブを分離すること無しに、試料液中のターゲットの濃度を定量することが可能である。
【0076】
さらに、二次励起波長及び/又は発光波長の異なる複数の蓄積性蛍光体でそれぞれ標識した複数のプローブと、寸法、形状、色、密度等によって識別可能な複数種の磁性ビーズとを組み合わせて使用することにより、上記サンドイッチ結合を利用して、単一試料について同時に複数のターゲットを検出することが可能である。このことは、例えば血液等の生体試料について多種のターゲットの存在および相対分布を検知できることを意味し、被検者(被検体)の免疫状態あるいは特定の血球に対する化学療法の効果を測定でき、医療診断や治療に役立てることができる。また、これによって、病原体やウィルスを分類したり、ポリヌクレオチド配列を決定したり、遺伝子ネットワークを明らかにすることができる。
【0077】
本発明において蓄積性蛍光体微粒子は、例えば流動血球測定法による蛍光性細胞選別にも使用することができる。蓄積性蛍光体微粒子で標識したプローブ(抗体等)を細胞懸濁液試料と接触させて、細胞表面蛋白を持つ細胞(ターゲット)に標識プローブを結合させる。標識プローブは細胞表面蛋白を持たない細胞には実質的に結合しない。次いで、この試料液を、個別細胞が一度に1個しか試料検出域に存在しないような条件下で試料検出器を通過させる。試料検出域にてレーザ光を試料に照射し、放出される輝尽発光光を検出器で光電変換して電気信号として検出する。そして、電気信号に基づいて細胞表面蛋白を持つ細胞を分別して収集する。
【0078】
さらに、蓄積性蛍光体微粒子を各種の有機染料で被覆して使用することもできる。蓄積性蛍光体からの発光光で有機染料を励起することにより、この有機染料被覆蓄積性蛍光体微粒子は、可視乃至赤外領域に渡る広範囲の発光光を放出することができる。これにより、更に多数のターゲットを一度に検出することが可能となる。
【0079】
また、蓄積性蛍光体微粒子または染料被覆蛍光体微粒子が減衰時間の長い発光を示すものであれば、その減衰強度の変化を測定することにより、動的環境下にあるターゲットの位置や速度、移動方向等の動的追跡が可能である。さらには、蓄積性蛍光体微粒子が付着している領域の温度を検知することも可能である。
【0080】
[光物理的触媒]
本発明に係る蓄積性蛍光体微粒子は、プローブに結合した光物理的触媒として機能することもできる。例えば、組織や腫瘍の細胞表面抗原に特異的に結合する抗体をプローブとして用いて、これに蓄積性蛍光体微粒子を前述した方法で結合させ、このプローブを含む液をターゲット(例、リンパ球)を含む試料に添加混合した後、混合液に励起光を照射して蓄積性蛍光体から発光光(例、紫外領域の光)を放出させる。混合液を充分に希釈したり、予め非ターゲットの細胞を分離しておくことにより、この発光光によって、プローブに特異的に結合した細胞にのみ選択的に突然変異や細胞毒性をもたらしたり、共存する化学物質の光分解により生成した反応物質で細胞を損傷させることができる。
【0081】
更に、蓄積性蛍光体微粒子を有機染料等の感作性染料(例、メチレンブルー、ローズベンガル、フタロシアニン誘導体)と組み合わせて用いることもできる。蓄積性蛍光体からの発光光で感作性染料を励起し、感作性染料から放出されるエネルギーで溶解酸素分子を励起してシングレット酸素分子を生成させ、その細胞毒性活性を測定することにより、光力学療法に役立てることができる。蓄積性蛍光体からの発光光が赤色乃至近赤外領域の光であるので、診断のみならずその後の治療にも利用することができる。
【0082】
本発明の蓄積性蛍光体シートは、例えば以下のようにして製造することができる。
支持体は通常、柔軟な樹脂材料からなる厚みが50μm乃至1mmのシートまたはフィルムである。支持体は透明であってもよく、あるいは支持体に励起光または発光光を反射させるための光反射性材料(例、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子、硫酸バリウム粒子)を充填してもよく、あるいは空隙を設けてもよい。または、支持体に励起光もしくは発光光を吸収させるため光吸収性材料(例、カーボンブラック)を充填してもよい。樹脂材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂などの各種樹脂材料を挙げることができる。必要に応じて、支持体は金属シート、セラミックシート、ガラスシート、石英シートなどであってもよい。なお、支持体が透明である場合には、発光光の検出を蓄積性蛍光体シートの両側から行う両面集光方式による読取方法に適している。
【0083】
まず、前記の蓄積性蛍光体粒子と結合剤とを溶剤に加え、これを充分に混合して塗布液を調製する。結合剤については様々な種類の樹脂材料が知られており、本発明の蓄積性蛍光体シートの製造においても、それらの公知の結合剤樹脂を中心とした任意の樹脂材料から適宜選択して用いることができる。塗布液における結合剤と蛍光体との混合比は、目的とする蓄積性蛍光体シートの特性、蛍光体の種類などによって異なるが、一般には結合剤と蛍光体との混合比は、1:1乃至1:100(重量比)の範囲から選ばれ、そして特に1:8乃至1:40(重量比)の範囲から選ぶのが好ましい。なお、塗布液にはさらに、塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤、蛍光体層の変色を防止するための黄変防止剤、硬化剤、架橋剤など各種の添加剤が混合されていてもよい。
【0084】
このようにして調製された塗布液を次に、ドクターブレード等の通常の塗布手段を用いて、支持体の表面に均一に塗布することにより塗膜を形成した後、この塗膜を乾燥して蓄積性蛍光体層を形成する。なお、蛍光体層は、必ずしも支持体上に塗布液を直接塗布して形成する必要はなく、例えば、別にプラスチックシートなどの仮支持体上に塗布液を塗布し乾燥することにより蛍光体層を形成した後、これを支持体上に押圧するか、あるいは接着剤を用いるなどして接合する方法を利用してもよい。蛍光体の密度を更に高めるために、得られた蛍光体層をカレンダー処理によって加熱圧縮することが好ましい。このようにして形成された蛍光体層は、蓄積性蛍光体の重量が一般には10〜200g/mの範囲にあり、その層厚は一般には5〜50μmの範囲にある。
【0085】
蛍光体層は、蓄積性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるのものばかりでなく、結合剤を含まないで蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、あるいは蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されている蛍光体層などでもよい。
【0086】
蛍光体層が図6に示したような海島構造を有する場合には、支持体表面に上記塗布液をスクリーン印刷などによって海島状に印刷した後、印刷した塗布液を乾燥する方法、あるいは表面に凹部が形成された支持体を用意し、その支持体表面に塗布液を塗布した後、凹部にのみ塗布液が残るように支持体表面を拭き取り、次いで塗布液を乾燥する方法、あるいは多数の透孔を有するシートの透孔に蓄積性蛍光体を埋め込み、これを支持体に貼り付ける方法などにより、蛍光体層を形成することができる。また、別途隔壁を設ける場合に、隔壁の材料としては、光に対して不透過性または反射性材料(例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属材料、酸化アルミニウム、カーボン等のセラミック材料、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂等の高分子材料)を挙げることができる。
【0087】
蓄積性蛍光体層の上には保護層が設けられる。保護層は、励起光の入射や輝尽発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から蓄積性蛍光体シートを充分に保護することができるように、化学的に安定でかつ高い物理的強度を持つことが望ましい。保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。
【0088】
保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
【0089】
蓄積性蛍光体シートの構成としてはこれまでに多様な構成が知られており、例えば、接着層、着色層、帯電防止層、励起光反射層、輝尽発光光反射層などの補助層を設ける構成も知られている。本発明の蓄積性蛍光体シートにも、必要に応じてそれらの補助層を付設してもよい。
【0090】
なお、上記においては、支持体および保護層を有する蓄積性蛍光体シートについて説明したが、蛍光体層が自己支持性である場合には、本発明の蓄積性蛍光体シートは必ずしも支持体や保護層を備えている必要はない。
【0091】
【発明の効果】
本発明は、蛍光物質としてサブミクロンサイズの蓄積性蛍光体微粒子を使用して、抗原や抗体、ポリヌクレオチドなど生物学的巨大分子や、更には細胞、微生物などの生体起因物質を、生化学特異的結合により検出、分析する新規な方法である。本発明においては、発光を検出するための二次励起光として長波長の光を用いるので、従来の有機染料におけるようなバックグランドノイズの発生や光分解を回避することができる。さらに、蓄積性蛍光体からの発光量は主として一次励起光に比例するので、アップコンバージョン蛍光体に比べて励起(二次励起)光量に対する依存が小さく、精度の良好な分析結果を得ることができる。また、二次励起時に短時間で強い発光が得られるので、特別な検出手段を用いることなく高感度で検出することができる。従って、高感度、高精度であって、ハイスループットの検出が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複数のターゲットが付着固定された固体支持体を示す模式図である。
【図2】本発明に係るターゲットにプローブを結合させる工程を示す模式図である。
【図3】本発明に係るプローブを蓄積性蛍光体で標識する工程を示す模式図である。
【図4】本発明に用いられる検出装置の例を示す概念図である。
【図5】本発明の蓄積性蛍光体シートの構成の一例を示す概略断面図である。
【図6】(a)は、本発明の蓄積性蛍光体シートの構成の別例を示す概略斜視図であり、(b)は、(a)におけるI−I線に沿った断面図である。
【図7】固体支持体と蓄積性蛍光体シートとからなる積層体の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明に用いられる画像情報読取装置の構成の例を示す概念図である。
【図9】本発明に使用されるサンドイッチ結合の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 固体支持体
2 ターゲット
3 プローブ
4 プローブ−ターゲット複合体
5 蓄積性蛍光体微粒子
6 標識プローブ−ターゲット複合体
7 標識複合体の付着領域
11、15 蓄積性蛍光体シート
12 支持体
13、16 蓄積性蛍光体層
14 保護層
21 励起手段
22 検出手段
23 信号処理手段
31、32 ニップローラ
33 励起光
34 輝尽発光光
35 集光ガイド
36 光電変換装置(フォトマルチプライヤ)
37 増幅器
38 信号処理装置
39 ミラー

Claims (28)

  1. 検出対象の目的物質を含有する試料に、該目的物質と生化学特異的に結合しうるプローブを接触させて、生化学特異的結合によりプローブと目的物質との複合体を形成する工程;プローブと目的物質との複合体のプローブに蓄積性蛍光体微粒子を付着させて、蓄積性蛍光体で標識したプローブと目的物質との複合体を得る工程;該標識プローブと目的物質との複合体を含有する試料に一次励起エネルギーを付与して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを蓄積させる工程;および試料に二次励起エネルギーを付与して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体から放出される発光光を検出する工程からなる、試料中の目的物質の生化学的検出方法。
  2. 試料に一次励起光を照射することにより一次励起エネルギーを付与し、次いで試料に二次励起光を照射することにより二次励起エネルギーを付与する請求項1に記載の生化学的検出方法。
  3. 試料に近紫外乃至緑色領域の光を照射することにより一次励起エネルギーを付与し、そして試料に赤色乃至近赤外領域の光を照射することにより二次励起エネルギーを付与して、蓄積性蛍光体から放出される可視領域の輝尽発光光を検出する請求項2に記載の生化学的検出方法。
  4. 蓄積性蛍光体が、紫外乃至可視領域の光で一次励起されるとそのエネルギーを蓄積し、可視乃至赤外領域の光で二次励起されるとそのエネルギーを輝尽発光光として放出する酸化物系輝尽性蛍光体である請求項1乃至3のいずれかの項に記載の生化学的検出方法。
  5. 蓄積性蛍光体微粒子の粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある請求項1乃至4のいずれかの項に記載の生化学的検出方法。
  6. プローブと目的物質との複合体の形成の後に、試料中の未結合のプローブを除去する請求項1乃至5のいずれかの項に記載の生化学的検出方法。
  7. 試料中の目的物質が固体支持体に付着固定されている請求項1乃至6のいずれかの項に記載の生化学的検出方法。
  8. 発光光を光電変換して電気的信号として得る請求項1乃至7のいずれかの項に記載の生化学的検出方法。
  9. 予め、目的物質の濃度が既知の試料を用いて目的物質の濃度と発光光量との関係を表す検量線を作成しておき、該検量線に基づいて試料中の目的物質を定量する請求項1乃至8のいずれかの項に記載の生化学的検出方法。
  10. 検出対象の目的物質と生化学特異的に結合しうるプローブに蓄積性蛍光体微粒子を付着させて、蓄積性蛍光体で標識したプローブを形成する工程;目的物質を含有する試料に該標識プローブを接触させて、生化学特異的結合により標識プローブと目的物質との複合体を形成する工程;該標識プローブと目的物質との複合体を含有する試料に一次励起エネルギーを付与して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを蓄積させる工程;および試料に二次励起エネルギーを付与して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体から放出される発光光を検出する工程からなる、目的物質の生化学的検出方法。
  11. 検出対象の目的物質が付着固定されてなる固体支持体の表面に、該目的物質と生化学特異的に結合しうるプローブを接触させて、固体支持体上に生化学特異的結合によりプローブと目的物質との複合体を形成する工程;該固体支持体上の未結合のプローブを除去する工程;プローブと目的物質との複合体のプローブに蓄積性蛍光体微粒子を付着させて、蓄積性蛍光体で標識したプローブと目的物質との複合体を得る工程;該固体支持体表面に一次励起光を照射して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを蓄積させる工程;該固体支持体裏面に、蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートを重ね合わせた後、固体支持体表面に二次励起光を照射して、標識プローブと目的物質との複合体中の蓄積性蛍光体から放出される発光光を蓄積性蛍光体シートの蓄積性蛍光体層に吸収蓄積させる工程;および蓄積性蛍光体シートに励起光を照射して蓄積性蛍光体層から発光光を放出させ、この発光光を光電変換して電気信号を得る工程からなる、目的物質の生化学的検出方法。
  12. 一次励起光が近紫外乃至緑色領域の光であり、二次励起光が赤色乃至近赤外領域の光であり、そして蓄積性蛍光体から放出される発光光が可視領域の輝尽発光光である請求項11に記載の生化学的検出方法。
  13. 蓄積性蛍光体が、紫外乃至可視領域の光で一次励起されるとそのエネルギーを蓄積し、可視乃至赤外領域の光で二次励起されるとそのエネルギーを輝尽発光光として放出する酸化物系輝尽性蛍光体である請求項11または12に記載の生化学的検出方法。
  14. 蓄積性蛍光体微粒子の粒子径が0.1乃至0.5μmの範囲にある請求項11乃至13のいずれかの項に記載の生化学的検出方法。
  15. 蓄積性蛍光体シートの蓄積性蛍光体層が、可視領域の光のエネルギーを吸収蓄積する蓄積性蛍光体を含有する請求項11乃至14のいずれかの項に記載の生化学的検出方法。
  16. 蓄積性蛍光体シートが、互いに独立して設けられた複数の蓄積性蛍光体層を有する請求項11乃至15のいずれかの項に記載の生化学的検出方法。
  17. 蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートであって、該蓄積性蛍光体層が可視領域の光のエネルギーを吸収蓄積する蓄積性蛍光体を含有することを特徴とする光画像形成用の蓄積性蛍光体シート。
  18. 蓄積性蛍光体が、可視領域の光で一次励起されるとそのエネルギーを蓄積し、次に赤色乃至近赤外領域の光で二次励起されると可視領域に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体である請求項17に記載の蓄積性蛍光体シート。
  19. 支持体と、その上に互いに独立して設けられた複数の蓄積性蛍光体層とを有する請求項17または18に記載の蓄積性蛍光体シート。
  20. 固体支持体、および可視領域の光のエネルギーを吸収蓄積する蓄積性蛍光体を含有する蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートからなる生化学的検出キット。
  21. 蓄積性蛍光体シートが、支持体とその上に互いに独立して設けられた複数の蓄積性蛍光体層とを有する請求項20に記載の生化学的検出キット。
  22. 固体支持体が表面処理したガラスプレートである請求項20または21に記載の生化学的検出キット。
  23. 蓄積性蛍光体微粒子およびプローブを含む生化学的分析用組成物。
  24. 蓄積性蛍光体が、紫外乃至可視領域の光で一次励起されるとそのエネルギーを蓄積し、可視乃至赤外領域の光で二次励起されるとそのエネルギーを輝尽発光光として放出する酸化物系輝尽性蛍光体である請求項23に記載の生化学的分析用組成物。
  25. プローブが、ポリヌクレオチド、ポリペプチドホルモン、抗体、抗原、酵素、アビジン、ストレプトアビジン、蛋白Aおよびレクチンからなる群より選ばれる請求項23または24に記載の生化学的分析用組成物。
  26. 蓄積性蛍光体微粒子で標識したプローブを含む請求項23乃至25のいずれかの項に記載の生化学的分析用組成物。
  27. 更に、磁性ビーズを含む請求項23乃至26のいずれかの項に記載の生化学的分析用組成物。
  28. 蓄積性蛍光体微粒子を含有する生物学的試料を分析する方法であって、該生物学的試料に一次励起エネルギーを付与して、試料中の蓄積性蛍光体に一次励起エネルギーを蓄積させる工程;および試料に二次励起エネルギーを付与して、試料中の蓄積性蛍光体から放出される発光光を検出する工程からなる、生化学的分析方法。
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