JP2004333140A - スラブ軌道の縦断線形策定計算方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スラブ軌道の路盤CBAの複数の勾配値、単数或いは複数の勾配変更点に到る迄の測量始点から測定した距離、平面線形における各変換点に到る迄の測量始点から測定した距離、円曲線のカント値、緩和曲線の種別を含む基準器の高さ整正用主データ、および、突コンPC上面に設置された水準測量の標尺および突コンPCに沿って路盤表面に設置された水準測量の標尺のミリメートル単位で読みとった読み、次測点に到る迄のメートル単位で読みとった距離、路盤中央測量点「*」とその左右一定距離の路盤左右側測量点「+」、「−」との間のミリメートル単位で読みとった高低差、軌道スラブの種別記号より成る1測点データを採用するスラブ軌道の縦断線形策定計算方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、スラブ軌道の縦断線形設定計算方法に関し、特に、路盤と計画縦断線形との関連を視覚により把握することができるスラブ軌道の縦断線形策定計算方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(1) スラブ軌道敷設に関連する一般的技術事項について
鉄道の軌道は大まかに2分して、「バラスト軌道」と「直結軌道」に分類される。ここで、バラスト軌道の建設について簡単に説明する。図7(a)を参照するに、バラスト軌道はバラスト上にまくらぎPを並べてその上に左レールRL および右レールRR を載置して構成する。このバラスト軌道はまくらぎPがバラスト上に載置されているだけであるので、レールを載置して敷設した後であっても通り、高さとも、その整正の自由度は大きい。
一方、図7(b)に示されるスラブ軌道は、設置される軌道スラブSLBがセメント・アスファルト・モルタルCAMによりコンクリート路盤CBAに固定されるものであり、この軌道スラブSLBに載置、敷設された2本のレールRL 、RR はそのとり得る自由度は極端に小さくて、レール下面に敷設される可変パッドの調整範囲内に限定される。従って、軌道スラブSLBは、2本のレールRL 、RR が平面線形、縦断線形共に必要充分な線形を成して軌道スラブSLBに締結される前提条件として高い精度で設置されることを要請される。基準器Sを高い精度で計画レールレベルに沿って設置することによりこの要請に応えることができる。計画レールレベルとはレールRL 、RR が敷設された暁においては、2本のレールRL 、RR の頭面を結ぶ線の中央又は内軌側レール頭面の高さに対する計画上の線形である。
【0003】
図8および図9をも参照するに、鉄筋コンクリート製の円柱状の突起コンクリートPC(以降、突コンPC、と称する)が、スラブ軌道の一般的な構成の一部としてコンクリート路盤CBAに一体に固定して設置されている。この突コンPCは軌道スラブSLB毎に設置されており、基準器Sをこの突コンPCの上端面に設置し、基準器Sを参照して軌道スラブSLBの高さおよび左右位置を調整設定する。従って、測点間距離は突コンPCの上端面に設置される基準器Sの位置で決まる。基準器Sに許容される設置誤差量は、通常、スラブ軌道完成後に許容される誤差量である「仕上がり基準値」の1/4以下に限定される。
軌道スラブSLBの長さ方向の両端縁部の中央には、突コンPCの断面の径に匹敵するこれより僅かに大きめの半円状切り欠き部CUTが形成されている。スラブ軌道に加えられる縦横荷重は軌道スラブSLBの切り欠き部CUTおよび突コンPCを介してコンクリート路盤CBAに伝えられる。突コンPCは、その断面円形中心の標準間隔を5mとし、コンクリート路盤CBAに突出して構成されている。突コンPCは、その中心が、レールRL 、RR が敷設された暁においては、2本のレールRL 、RR 間の軌道中心線CLとなる設計上の線形に沿った状態に建設される。
【0004】
ここで、基準器Sの設置に関連する平面位置の整正である曲線整正の流れを簡単に要約して説明しておく。
▲1▼ 突コンPCの上端面中心に形成される凹部に、図9に示される基準器Sを図示されないアンカーボルトにより固定する。この場合、基準器Sの基準標STはその可動調整範囲の中間位置に固定しておく。
▲2▼ アンカーボルトにより固定された基準器Sの基準標ST間の距離を測定する。
▲3▼ 基準器Sの基準標ST間に弦を張って各測点における正矢を測定する。新幹線を例にとると、5測点間に測定弦を張る。この場合、弦長は概ね18mないし20mの間に収まる。
▲4▼ 測定した正矢を現場正矢として整正計算を実施する。ここで、各測点の整正後の正矢である整正正矢および移動量を得る。現場正矢に移動量を付与する計算を「整正計算」と言い、整正された現場正矢を「整正正矢」と称することにする。
▲5▼ 各測点の基準器Sの基準標STを当該測点の移動量だけ移動する。
▲6▼ 確認の正矢測定を実施する。各測点で測定された正矢が▲4▼で得られた整正正矢と一致或いは許容誤差範囲内にあれば基準器の設置位置は適正である。▲4▼で得られた整正正矢と一致せず或いは許容誤差範囲外にある場合、現場で簡単に修正量が算出することができる値であれば更に基準器Sの基準標STの設置位置の修正をする(特許文献1 参照)。
【0005】
以上において、スラブ軌道敷設用の基準器Sの基準標STの平面位置調整量を算出し、この調整量に基づいて基準器Sを水平面に関して位置決め固定する平面位置調整について説明した。ところで、スラブ軌道を建設するに際してなされる基準器Sの位置決めは、平面位置についてのみならず縦断線形位置についても基準標STの高さ調整量を算出し、この高さ調整量に基づいて基準器Sを縦断線形に関して位置決め固定する縦断位置調整を実施する必要がある。実際は、縦断線形位置調整は、基準器Sの平面位置調整に先立って実施される。基準標STの高さにばらつきがあると、カントによる影響から、正矢測定値にもばらつきが生じるからである。計算値によって高さを設定してあれば、計画標高値との間に差があっても、その値が判っているので、補正計算をすることができる。
【0006】
(2) 縦断線形位置調整に関する従来の技術について
縦断線形測量を行う場合、一般に、観測者の測量段階で鉄道線路の路盤上の各測量点と路盤外の水準点とを比較した高低差を算出し、各測量点に標高値を与えることが多い。鉄道線路建設、保守担当者が従来から行なっている縦断線形測量後の計算処理方法は、実測標高値を大きなグラフ用紙に落し、そのプロット図上に計画標高線を描き込み、各測量点におけるCAMの注入厚や、レール扛上量等その他のデータを図上から読み取っていた。この作業には多くの労力と時間を要するのみならず、標高値の実測値と計画値の差をmm単位で読み取る必要があるが、これには、縦の縮尺を1/1或いは1/2にする必要があり、勾配が急な線路区間においては、当然、プロット図は縦長になり、読み取り精度は落ちる。これは測点位置の僅かな作図誤差が高さに大きく影響するからである。
【0007】
【特許文献1】特願2002−245653号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
(A) スラブ軌道施工一般の課題
高さ方向の縦断線形も列車の乗心地に大きな影響を及ぼす。路盤CBAの標高値はmm単位で設計されているが、隣接する工区の境においては、両工区において個々に基準としている水準点から、水準測量を繰り返し、自工区の仮BMの標高を定めることから標高値の誤差が発生し、測量誤差の累積誤差も発生する。ところで、スラブ軌道の施工に際して曲線区間においてはコンクリート路盤CBAにもカントを付与することになっているが、これを施行するに流動性のあるコンクリートを打設するとコンクリートは当然低い方へ流れ気味となる。その上に、5m標準毎に突コンPCを建設しなければならないので、自動車道路施工時に使用している様な仕上げ機械を導入してコンクリート表面の高さの仕上げをすることはできず、路盤CBAの施工を更に困難にしている。路盤CBAの多少の凹凸は、路盤CBAに設置される軌道スラブSLBと路盤CBAの間にセメント・アスファルト・モルタルCAMを充填することにより調整することができるがその調整厚にも限度がある。従って、路盤CBAの出来上がりの精度を、軌道スラブSLB設置で要求されている精度と比較した場合、全長に亘って良好に施行するのは困難である。
【0009】
(B) スラブ軌道施工特有の課題
(1) 測量点は、標準的に、片線で1Km当たり800箇所の多数にのぼる。標尺の読みは、盛り替え点で2回である。これに測量点間距離の測定を加えた1Kmの上下両線の観測項目数は、2100項目余に達する。従って、観測従事員の業務を簡略化し、その負担をでき得る限り軽減して、誤記を含む観測誤謬の削減に努める必要がある。
(2) セメント・アスファルト・モルタルCAMは、バラスト或いは通常のコンクリートと比較して高価である。従って、列車走行に対する影響にも配慮しつつ、CAMの注入厚を最小値に抑える縦断線形を設定することが要望される。
(3) セメント・アスファルト・モルタルCAMの最低注入厚の規制範囲は、一例として4900mm×2220mmの軌道スラブSLBの全底面に及ぶ。従って、通常行われている軌道中心線CLに対する縦断線形測量に、面に対する測量の要素を加える必要がある。
【0010】
(4) 軌道スラブSLBには複数の種類があり、これらに対応して軌道スラブSLBの厚さ、底面からレールRの頭面に到る高さ、セメント・アスファルト・モルタルCAMの標準注入厚その他に差違が存在する。しかし、軌道スラブSLBの種類が異なる毎に計算を完結し、異なった紙面に表示していては、前後の軌道スラブSLBの関連が不明確になる恐れがある。従って、複数の種類の軌道スラブSLBが混在していても、レールレベルその他の条件を統一した基準に合わせた一連の計算処理を行うことができることが望ましい。
(5) スラブ軌道の施工に際して、セメント・アスファルト・モルタルCAMの注入厚の管理は重要項目の一つである。計算書には形成されるCAMの中央値、左側値、右側値、平均の4つの数値が、路盤1Kmについて200行並ぶことになる。CAMの注入厚の許容限界値は、軌道スラブの種別によって異なる。これに対応して、計算書の一覧表の内から許容限界値を下回っている箇所、すれすれの箇所、その他の不適な厚さの注入厚のCAMを見落とし無くチェックするのは難儀なことである。
(6) 縦曲線中においては、軌道スラブSLBは1枚毎にその設定勾配が変化する。突コンPCの間隔が一定であれば軌道スラブSLB1枚毎の勾配の変化率は一定である。この場合も、縦曲線の始点および終点が突コンPC間の何処に来るかにより、縦曲線にかかる最初の一枚の値が変化するので、軌道スラブSLB1枚毎の勾配の算出は厄介な計算ではある。これに、縦断線形を部分的に修正したり、測量点間隔の不揃いの要素が加わると、軌道スラブSLB1枚毎の勾配の算出は益々厄介になる。
【0011】
(7) 緩和曲線の逓減方式の種類には、主なものに3次放物線、サイン半波長、クロソイド曲線があり、更に、カントを付与するに際して、内軌基準と軌道中心線基準がある。緩和曲線中においては、当然の事だが、軌道スラブSLB1枚毎にカント量が変化する。このカント量の変化に合わせて路盤CBAも施工されていなければならない。
(8) 路盤CBAの出来上がり状態を標高値その他の実側値のみに基づいて評価するのは困難である。実側値と計画値との間の差を算出すれば、良否の判断の資料にはなり得るが、修正線形を策定しようとすると、暗中模索の感じになり、徒に、試行錯誤を繰り返す事に成りかねない。
(9) 製図ソフトのCADを使用する製図化装置には、A全版の用紙に描けるものがあるが、高価であるし、処理に比較的時間がかかる。大きな面積の紙の取り扱いにも問題がある。一方、コンピュータ用の汎用紙は、廉価で、文字、記号を印字させる分には処理は早い。取り扱い、収納にも殆ど問題は無い。しかし、有効紙面幅が35cm弱と狭い恨みがある。
ここで、この発明は、実際に施工されている路盤と計画縦断線形との関連を視覚により明確に把握することができ、軌道の基準器の縦断位置の調整量を簡単容易に算出することができるスラブ軌道の縦断線形策定計算方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1:スラブ軌道の複数の勾配値、単数或いは複数の勾配変更点に到る迄の測量始点からの距離、平面線形における各変換点に到る迄の測量始点からの距離、円曲線のカント値、緩和曲線の種別を含むデータを基準器の高さ整正用主データとして採用すると共に、突コン上面と路盤表面に設置された水準測量点での標尺の読み値、次測点に到る迄の距離、路盤中央測量点とその左右一定距離の路盤左側測量点および路盤右側測量点との間の高低差、軌道スラブの種別記号より成るデータを1測点のデータとして採用するスラブ軌道の縦断線形策定計算方法を構成した。
そして、請求項2:請求項1に記載されるスラブ軌道の縦断線形策定計算方法において、縦断線形測量計算の途中計算結果である測定項目毎の各測点間の高低差を順次累計し、各測点毎に測定始点からの累計値を得、設計勾配および実測測点間距離から得られる各測点間の計画高低差について、各測点毎に測定始点からの累計値を測定項目毎に算出しておき、これら測量値から得た測定始点から各測点までの累計値と、計画値から得た測定始点から各測点までの累計値との間の差を各測点の各測定項目毎に算出し、これらの差をプロットして縦断線形現況図を作成するスラブ軌道の縦断線形策定計算方法を構成した。
【0013】
また、請求項3:請求項2に記載されるスラブ軌道の縦断線形策定計算方法において、縦断線形現況図において軌道スラブの厚さを圧縮無視し1線を以て軌道スラブの上下面を表示することにより測定項目と比較すべき物体との間の高低差を、縦断計画線形との関連を含め限られた用紙幅に表示するスラブ軌道の縦断線形策定計算方法を構成した。
ここで、請求項4:縦断設計線形を修正するに際して勾配変更測点のシーケンシャルNo.と、当該測点における設計線と修正計画線との間の差である修正量を順次入力し、勾配変更測点から次の勾配変更測点に到る迄の距離を、その間に存在する測点間の距離を区間累計して求め、両勾配変更測点の修正量の差を先の距離の区間累計値で除すことにより、勾配変更測点間の勾配修正値を算出し、各測点間の計画高低差を、ここで得た勾配修正値と測量点間距離により修正するスラブ軌道の縦断線形策定計算方法を構成した。
【0014】
そして、請求項5:基準器設置予定の各測点の修正された計画レールレベル値の各地点間の高低差を当該地点間の距離で除することにより各点間の勾配値を算出し、この値をこの間に設置する軌道スラブの勾配値として印字出力するスラブ軌道の縦断線形策定計算方法を構成した。
また、請求項6:路盤の横断面の実測結果を図示するに際して、路盤中央測量点、路盤左側測量点、路盤右側測量点のそれぞれに標示シンボルを定め、縦断線形測量計算に際して、測定始点における路盤中央測量点と測定始点のレールレベル計画標高との間の差を入力し、各測点における路盤中央測量点とレールレベル計画面との間の差を算出し、路盤中央測量点と軌道スラブ下面との間の高低差をレールレベルと軌道スラブ下面間との標準高低差として算出し、路盤中央測量点に対する左実測高低差および右実測高低差の間の実測高低差から当該箇所の計画カントと路盤中央測量点と左右側測量点の間の距離から算出した路盤中央測量点に対する左右側測量点それぞれの左右計画高低差を減じ、標示シンボルにより同一紙面にプロットし、プロット位置が3者間で競合する場合は、中央←左←右の如く表示に優先権を与えておくスラブ軌道の縦断線形策定計算方法を構成した。
【0015】
ここで、請求項7:路盤中央測量点、路盤左側測量点、路盤右側測量点のそれぞれの箇所について、それぞれの箇所の縦断線形測量値と計画レールレベルとに基づいてセメント・アスファルト・モルタルの注入厚を算出すると共にこれら3個の注入厚の平均値を算出し、この各測量点毎の平均値にそれぞれの次測量点との間の距離を乗算し、乗算結果を累計し、累計値を距離の累計値で除算し、除算結果を計算区間全体のセメント・アスファルト・モルタル注入厚の平均値とするスラブ軌道の縦断線形策定計算方法を構成した。
そして、請求項8:請求項7に記載されるスラブ軌道の縦断線形策定計算方法において、セメント・アスファルト・モルタルの注入厚の中央値、左側値、右側値および平均各値を一覧表にするに際し、セメント・アスファルト・モルタル注入厚が軌道スラブの種類毎に定められている許容限界値に近い場合はこれを示す符号を、許容限界値を超過する場合はこれを示す符号を注入厚の数値に付与するスラブ軌道の縦断線形策定計算方法を構成した。
【0016】
【発明の実施の形態】
スラブ軌道の縦断線形策定計算方法の実施の形態を説明する。
先の(A)スラブ軌道施工一般の課題の項に記載した通り、路盤の多少の凹凸は路盤に設置される軌道スラブと路盤の間のセメント・アスファルト・モルタルの充填厚を調整することによりできるがその補正範囲にも限度がある。そこで、以下、これについて説明する。
[1] 軌道の縦断線形策定計算は、データとして、以下の基準器の高さ整正用主データ、および各測定点のデータを採用している。即ち、基準器の高さ整正用主データとして、
軌道の勾配値、
単数或いは複数の勾配変更点に到る迄の測量始点からの距離、
平面線形における各変換点に到る迄の測量始点からの距離、
円曲線のカント値、
緩和曲線の種別、
を含むデータを採用している。
更に、
突コン上面と路盤表面に設置された水準測量点の標尺の読み値、
次測点に到る迄の距離、
路盤中央測量点とその左右一定距離の両測量点との間の高低差、
軌道スラブの種別記号、
を含むデータを測定点データとして採用している。
【0017】
[2] 縦断線形の測量結果である、下記の測定項目毎の、各測定点間の高低差を順次累計し、各測定点毎に測定始点からの累計値を得る。
ここで、測定項目は、
突コンPC上面の測量点の水準測量値
路盤中央の測量点の水準測量値
路盤中央に位置する測量点に対する路盤左側に位置する測量点の高低差
路盤中央に位置する測量点に対する路盤右側に位置する測量点の高低差
突コン上面に設置されている基準器と次の突コン上面に設置されている基準器との間の距離
の5項目より成る。
次に、設計勾配および実測測定点間距離から得られる各測定点間の計画高低差について、各測定点毎に測定始点からの累計値を測定項目毎に算出しておく。これら測量値から得た測定始点から各測定点までの累計値と、計画値から得た測定始点から各測定点迄の累計値との間の差を各測定点の各測定項目毎に算出する。これらの差をコンピュータ用の汎用紙にプロットし、縦断線形現況図とする。作成された縦断線形現況図は、路盤の表面から軌道スラブの下面に到る距離の調整をするセメント・アスファルト・モルタルの充填厚を算出する用に供される。
【0018】
[3] 測定項目と比較すべき物体との間の高低差を、縦断計画線形との関連を含めてコンピュータ用の汎用紙の限られた幅に図示してここに示される縦断線形現況図を作成する。ここで、測定項目と比較すべき物体について、測定項目;突コン上面と比較すべき物体とは軌道スラブ上面であり、測定項目;路盤中央と比較すべき物体とは軌道スラブ下面中央であり、測定項目;路盤左側と比較すべき物体とは軌道スラブ下面左側端であり、測定項目;路盤右側と比較すべき物体とは軌道スラブ下面の右側端である。
縦断線形現況図の作成に際して、実寸法に近付ける操作をする。即ち、縦断線形現況図における軌道スラブの表示は、軌道スラブの厚さを圧縮して、即ち、厚さを無視して軌道スラブの上下両面を1線を以て表示する。一例として、文字「I」より成るIマークを各測量単位毎に印字配列して1線が形成される。Iマークを印字配列して形成された1線が縦断計画線形である。この計画線形を直線状に印字して示しているが、実際は勾配があり、勾配が変化し、縦曲線がある。
印字ピッチは2.54mm(1/10インチ)であり、実際に使用することができる領域は半角文字で136字に限られる。この1ピッチを2mmとし、高さの差をIマークを印字配列して形成された1線を基準にして、「・」、「*」、「+」、「−」の如き記号により表示する。軌道スラブの厚さは160〜190mmもあり、この厚さも図示しようとすると、縦の縮尺を1/2以下にしなければならなくなるのである。
【0019】
そして、各測量単位の標高に相当する実測高低差累計から、各測量単位の計画標高に相当する計画高低差累計を減算する。実測高低差累計が計画高低差累計に等しければその差は0になる。
勾配変更点であるIP点の位置がずれていれば実測点を示す「・」、「*」、「+」、「−」の如き記号の印字は右肩上がり、右肩下がりの如く大きく外れて行く。路盤の施行が適切ではないと、Iマークより成る縦断計画線形を上回り、或いは下回りし、凹凸状を呈する。
[4] 縦断設計線形を修正するに際して、勾配変更測定点のシーケンシャルNo.と、当該測定点における設計線と修正計画線との間の差である修正量とを入力する。入力した勾配変更測定点から次の勾配変更測定点に到る迄の距離をその間に存在する測定点間の距離を区間累計して求める。両勾配変更測定点の修正量の差を先の距離の区間累計値で除算することにより、勾配変更測定点間の勾配修正値を算出する。そして、各測定点間の計画高低差を、ここで得た勾配修正値と測量点間距離により修正する。
【0020】
[5] 基準器が設置される各測点の修正された計画レールレベル値の各測定点間の高低差を当該測定点間の距離で除算することにより、各測定点間の勾配値を算出し、この値をこの間に設置する軌道スラブの勾配値として印字出力する。
[6] 路盤の縦断面の実測結果を図示する縦断測量結果の図示方法について説明するに、路盤中央測量点、路盤左側測量点、路盤右側測量点および突コン上面測量点のそれぞれに標示シンボルを定める。縦断策定計算に際して、突コン上面の測量点は軌道スラブの計画上面高に関わり、路盤の3測量点は路盤面と軌道スラブの計画下面高に関わってくる。測定始点の路盤中央測量点と測定始点のレールレベル計画標高の差を入力し、各測定点における路盤中央測量点とレールレベル計画面の間の差を算出する。路盤中央測量点と軌道スラブ下面の間の距離をレールレベルから軌道スラブ下面間の標準距離により算出する。一方において、路盤中央測量点から路盤上突コン下左側測量点の間の距離、路盤中央測量点から路盤上突コン下右側測量点の間の距離、これら両距離データと当該測量単位の計画カントの角度に基づいて当該測量単位の路盤中央測量点に対する路盤左側測量点および路盤右側測量点双方の計画高低差を求め、シンボルマークにより同一紙面にプロットする。プロット位置が3者間で競合する場合は、中央←左←右の如く表示に優先権を与えておく。
【0021】
[7] ここで、注入厚平均値算出法について説明するに、路盤中央測量点の縦断測量値、路盤左側測量点の縦断測量値、路盤右側測量点の縦断測量値と、計画レールレベルの間の関係に基づいて、セメント・アスファルト・モルタルの注入厚を各測定点毎に算出すると共にこれら3個の注入厚の平均値を算出する。この各測定点毎の平均値に、それぞれの次測定点との間の距離を乗算して、乗算結果を累計する。この累計値を距離の累計値で除算する。この除算して得られた値を計算区間全体のセメント・アスファルト・モルタル注入厚の平均値とする。
[8] スラブ軌道の縦断線形策定計算方法において、セメント・アスファルト・モルタル注入厚の中央値、左側値、右側値および平均値を一覧表にする。これに際して、セメント・アスファルト・モルタル注入厚が軌道スラブの種類毎に定められている許容限界値に近い(±1〜2mm)場合は注入厚の数値の右側にこれを示す「=」の如き符号を付与し、許容限界値を超過する場合はこれを示す「&」の如き符号を注入厚の数値の右側に付与する。
【0022】
【実施例】
ここで、スラブ軌道の縦断線形策定計算方法の実施例を、図を参照して具体的に説明する。
(1) 図1を参照するに、縦断線形測量に面の要素も含ませる場合、基準器Sを設置するところを測点と称し、測点毎に複数箇所の測量点より成る測量単位を定めてこれを測定をする。ところで、突コンPC毎の縦断線形測量の測量点は、軌道スラブSLBが設置される路盤CBAの表面になるべく多く設けるのが望ましい。しかし、測量点数の増加は当然に測量費用の上昇を来す。そこで、突コンPC上面と、設置される軌道スラブSLBの左右両端が位置する箇所と、路盤CBA中央、の合計4箇所を測量点としている。基準器Sのそれぞれには測点に対応する測点番号が付与されている。測点番号が付与されている基準器Sの設置位置を決めるには、路盤CBAの先の4箇所に標示シンボル「・」、「+」、「*」および「−」を付与する。即ち、突コン上面に・を付与し、路盤左側に「+」を付与し、路盤中央に「*」を付与すると共に、路盤右側に「−」を付与し、各点の関連高さを測定する。
これらの標示シンボルで表示される各点を「測量点」と称し、そして、これらの4測量点を一括して「測量単位」と称する。即ち、1つの測量単位には4つの測量点が属している。なお、建設されている2本の突コンPCの間に設置される軌道スラブSLBの種類も、測量単位のデータとして必要な情報である。図2に示される「スラブ縦断データ用紙」の各1行のデータが1測量単位のデータに対応している。図2には測定始点を意味する測点番号の行に具体的なデータの実例が記入されている。
【0023】
この他に、測量始点および測量終点近くの仮ベンチマークとの間の関連も併せて測量しておく。ここで、ベンチマーク Bench Mark(BM)とは、建設現場に設置されている標高が与えられた水準点である。
ここで、以下の説明において使用される基本データおよび測定項目についてまとめておく。
「基本データ」
スラブ軌道の路盤の複数の勾配値
単数或いは複数の勾配変更点に到る迄の測量始点からの距離
平面線形における各変換点に到る迄の測量始点からの距離
円曲線のカント値
緩和曲線の種別を含む基準器の高さ整正用主データ
「測定項目」
突コン上面の水準測量
路盤中央の水準測量
路盤中央に位置する測量点に対する路盤左側に位置する測量点の高低差
路盤中央に位置する測量点に対する路盤右側に位置する測量点の高低差
突コン上面に設置されている基準器と次の突コン上面に設置されている基準器との間の距離
(2) 図3を参照して水準儀の盛り替えを説明するに、水準儀の設置点を移動させて先に前視点とした測量点を次に後視点とする水準儀の盛り替えは原則として50mにとる。即ち、前視最大距離と後視最大距離は各25mを標準とする。一般的な盛り替え距離と比較して半分以下と短くしているのはミリメートル目盛りの標尺を使用して、目分量ではなく、目盛り線でミリメートルを確実に読む必要があるからである。
【0024】
(3) 復路は、途中、約5mごとの各測点の測量を省略して前視点、後視点を、先に盛り替えた時の各一点に省略する。この時、往路の測量値との間の比較を行い、その差が一定値を超える場合は、その区間の再測量を実施する。盛り替え点における往復差は、その後の電算処理時にもチェックする。
(4) 電算機に対する入力データは、標尺の読みそのままとする。従って、盛り替え点については、後視、前視の2値が存在する。測量距離と比較して測量点が多いこと、人為的ミスをできるだけ除去したいことから、この様にする。
(5) 路盤中央の測量点「*」と路盤左右両側の測量点「+」、「−」との間の高低差は、専用の測定器を使用して測定する。この測定は水準儀と標尺を使用した通常の水準測量方法を採用しても実施することができるが、測定位置を印付けする作業が必要になる。専用測定器によれば、その必要は無しに、路盤中央の測量点「*」と路盤左右両側の測量点「+」、「−」との間の高低差を直読することができる。
【0025】
(6) 電算機に対する入力データは、各測量単位毎に、突コン上面の測量点「・」および路盤中央の測量点「*」の標尺の読み、mm単位で測定してcm単位で入力する突コンPC間の距離、路盤中央測量点「*」に対する路盤左側測量点「+」および路盤右測量点「−」双方の高低差、および軌道スラブSLBの類別番号、とする。盛り替え点の識別は、突コンPC間距離に0.00を入力することにより行う。各種の軌道スラブSLBは類別番号によって識別され、それら特有の個別データは、プログラム内にデータとして保有させておく。そのデータとは、軌道スラブSLBの厚さ、路盤CBAと軌道スラブSLB下面間の標準距離、軌道スラブSLB上面とレール頭面間の標準距離その他のデータである。
(7) 電算機に対する入力データには、前項の測定点データの他に縦断線形データがある。縦断線形データには、勾配、勾配変更点IPの位置、縦曲線半径がある。平面線形はカント量で縦断線形に関係してくる。そのために、平面曲線半径に代わり円曲線部の設定カントを入力することになる。縦断線形現況図に図化する場合、実測値からその地点の計画値を差し引いた値を使う。カントが影響する箇所の計画値は、カント影響分も織り込み済みの値とする。この値を使ってグラフを描けば、全ての区間について、水平レベル区間と同様の図になる。縦断線形データ入力に際して、縦曲線の数、平面線形の曲線数、緩和曲線の種別により、使用するプログラムルーチンを選別する。緩和曲線の種別の内の一般的なものとしては、三次放物線逓減曲線、クロソイド逓減曲線、サイン半波長逓減曲線がある。
【0026】
図4を参照してカントを説明する。路盤CBAの3測量点、路盤CBA左側「+」のところをF2 、路盤CBA中央「*」のところをF1、路盤CBA右側「−」のところをF3 で表示して説明する。カント:C=GV2/127R と定義されている。但、R=曲率半径、V=列車速度、G=軌道により決まる定数である。ここで、θをカントCに対応する計画カントの角度とすると、θが微小であるものとして、tanθ=C/G、或いは、sinθ=C/Gとなり、計画カントの角度θを求めることができる。そして、F1 〜F2 間の距離は測定して求められており、この距離と計画カントθに基づいてF1 〜F2 間の計画高低差を求める。F1〜F3間についても、同様にしてF1 〜F3 間の計画高低差を求めることができる。
カントの付与の仕方は、一般に、内軌側レールを基準として、外軌側レールを上げて行う。この場合、内軌側レールが縦断線形の基本形を成す。また、車両の重心位置は、カントの 1/2 変化する。そのことから、日本の高速鉄道においては、内軌側レールをカントの1/2下げ、外軌側レールをカントの1/2上げて付与する方法が採用される。なお、この場合、軌道中心位置においてはカントの影響は無い。このことから、カントの付与の仕方は、以上の何れであるかを指示することも必要である。
縦断線形における勾配変更点IPの位置、平面線形におけるBTC、BCC、ECC、ETC、BRT、ERTその他の変換点の位置は、基準器を設置する最初の測点からの距離によることとし、それらの数値を予め定めた順序に従って入力する。縦曲線の始点BVCおよび終点EVCの位置は、勾配変更点IPとIP前後の勾配差、縦曲線半径から算出する。
【0027】
(8) 路盤の縦断面の実測結果を図示する縦断測量結果の図示方法について説明する。測定項目と比較すべき物体との間の高低差を、縦断計画線形との関連を含めて、図5に示されるコンピュータ用の汎用紙の限られた幅に図示し、ここに示される縦断線形現況図を作成する。図5は修正前のプロット図である。縦断策定計算に際して、突コンPC上面の測量点「・」は軌道スラブSLBの計画上面高とレールレベルに関わり、路盤CBA上の3測量点「*」「+」「−」は路盤面と軌道スラブの計画下面高に関わってくる。測定始点の路盤中央測量点「*」と測定始点のレールレベル計画標高の差を入力し、各測点における路盤中央測量点「*」とレールレベル計画面の間の差を算出する。路盤中央測量点「*」と軌道スラブSLB下面の間の距離を、レールレベルから軌道スラブ下面間の標準距離により算出する。一方において、路盤中央測量点「*」から路盤左側測量点「+」の間の距離、路盤中央測量点「*」から路盤右側測量点「−」の間の距離、これら両距離データと当該測量単位の計画カントの角度に基づいて当該測量単位の路盤中央測量点「*」に対する路盤左側測量点「+」および路盤右側測量点「−」双方の計画高低差を求め、計画高低差に対する実測値の差をシンボルマークにより同一紙面にプロットする。プロット位置が3者間で競合する場合は中央←左←右の如く表示に優先権を与えておく。
【0028】
縦断線形現況図の作成に際して、実寸法に近付ける操作をする。即ち、縦断線形現況図における軌道スラブの表示は、軌道スラブの厚さを圧縮して、即ち、厚さを無視して軌道スラブの上下両面を1線を以て表示する。一例として、文字「I」より成るIマークを各測量単位毎に印字配列して1線が形成される。Iマークを印字配列して形成された1線が縦断計画線形である。この計画線形を直線状に印字して示しているが、実際は勾配があり、勾配が変化し、縦曲線がある。
印字ピッチは2.54mm(1/10インチ)であり、実際に使用することができる領域は半角文字で136字に限られる。この1ピッチを2mmとし、高さの差をIマークを印字配列して形成された1線を基準にし、「・」、「*」、「+」、「−」の記号を印刷する。軌道スラブの厚さは160〜190mmもあり、この厚さも図示しようとすると、縦の縮尺を1/2以下にしなければならなくなるのである。そして、各測量単位の標高に相当する実測高低差累計から、各測量単位の計画標高に相当する計画高低差累計を減算する。実測高低差累計が計画高低差累計に等しければその差は0になる。勾配変更点であるIP点の位置がずれていれば、実測点を示す。「・」、「*」、「+」、「−」の印字は右肩上がり、右肩下がりの如く、大きく外れて行く。路盤の施行が適切ではないと、Iマークより成る縦断計画線形を上回り、或いは下回りし、凹凸状を呈する。
【0029】
(9) 基準器の高さの設定
基準器Sの基準標STの高さと計画スラブ上面高さとの間の差を5mm単位の値とすべく、基準標STの上げ下げ量を予め算出しておいて、これに従って基準標STの高さを調整する。(この後に、現場正矢の測定、設定を行う。)
(10) 基準器Sの「通り」設定後の高さの修正
曲線整正計算の結果、移動量が生じると、基準標STを通り方向である左右方向に動かす。基準標STの左右の調整範囲は±30mmあり、曲線整正計算においては移動量を±25mmに抑えている。仮に、移動量を20mm、カントを200mmとすると、基準標STの高さは2.67mm変化することになる。この横移動によって発生した変化分を元に戻す。
【0030】
(11) 基準器Sの高さチェックと修正
基準器Sの基準標STの高さは、(8) において説明した通り、計画線に対して5mm単位の値で上下している。各測量点間および盛り替え点間の高低差を予め算出しておいて、再度、水準測量を実施して確認する。許容値を外れている場合は修正する。
(12) モルタルによる防護
平面線形、縦断線形のチェックの結果、共に誤差が許容限度内に収まっていれば、基準標ST部分を残して基準器Sをモルタルで埋設して防護する。この後、諸数値が記入してある諸元表を基準器Sの近くに貼付して作業を終了する。
【0031】
【発明の効果】
以上の通りであって、この発明のスラブ軌道の縦断線形策定計算方法によれば実際に施工されている路盤と計画縦断線形との関連を視覚により明確に把握することができる。これを図5および図6を参照して説明するに、図5をみて計画線を22mm下げることにした。Iマークの位置は固定であるので、図6の「修正後」に示される通り、標示シンボル「*」、「+」、「−」、「・」を相対的に上方である右へ移動する。図5の測点番号209、210について見ると「*」、「+」、「−」、「・」が相互に離隔している箇所は、路盤コンクリートの出来栄えがよくない、カントに合っていないことを示す。図6の測点番号211について見ると、この点の+はCAM最低注入厚以下になることを示しているので、路盤コンクリートを低く修正して(路盤表面を削って)CAM最低注入厚を確保する必要のあることを示す。
【0032】
ここで、計画線形と合っていれば、標示シンボル「・」「+」「−」「*」がIマークを印字配列することにより形成された縦断計画線形と平行になる筈であり、これら標示シンボルそれぞれの偏位の状況から、次の通りに原因の推測とその対策を早急に取り得る。路盤の横断面の勾配であるカントが合っていれば、「+」「−」は印字されずに「*」だけの印字となる。この場合、「*」優先としてプログラムを作成しておく。「+」「−」が目立つプロット図の現場は、セメント・アスファルト・モルタルの注入厚が左右不均衡になることを意味する。
勾配変更点IPの位置がずれていると、縦曲線の始点BVC、縦曲線の終点EVC付近から実測の点の流れが上昇、或いは下降に転じるので、このずれを判断することができる。終点方の勾配が上り勾配か、下り勾配かによって、起点方、終点方の何れに勾配変更点IPをシフトすべきかを決め、発生している勾配差から何m移動すべきかの計算を容易に実行することができる。
【0033】
現場に入っている縦曲線半径が計画値と違っていると、縦曲線の始点BVC、縦曲線の終点EVC付近に凸或は凹の円弧状の偏位が生じる。この場合、現場に入っている縦曲線半径は略何mかという多少の手計算は要するが、すぐに算出することができる。この修正を要する場合には、縦断線形データの修正後、初めからの計算をし、プロット図の出力を行う。
設計に対して、現場の勾配が異なっている場合も、勾配変更点IPが近くに在れば、IP位置をずらすことでこれに対処することができるが、そうではない場合は、部分的に勾配値を変更することになる。この場合の修正線の設定も直角定規と鉛筆で簡単に設定することができる。厳密に言えば、勾配変更点IPの無い箇所にIPを新設することになるが、発生原因はトンネル貫通誤差その他の主として工区境に出現する比較的小さな誤差である。従って、修正勾配と設計勾配との間の差を、±1/10000とすると共に縦曲線半径を25000 とすると、VCL=2.5mと短くて済み、これは仕上がり基準値の許容限度内に入る数値である。修正勾配を入れた場合は、修正勾配線に対するプロット図を出力する。
【図面の簡単な説明】
【図1】基準器の設置される測点、測量点、測量単位の関係を説明する図。
【図2】スラブ縦断データ記入用紙を示す図。
【図3】水準儀の盛り替えを説明する図。
【図4】カントを説明する図。
【図5】コンピュータ用の汎用紙に作成された修正前の縦断線形現況図。
【図6】修正後の縦断線形現況図。
【図7】バラスト軌道とスラブ軌道を示す図。
【図8】スラブ軌道の詳細を示す図。
【図9】基準器を示す図。
【符号の説明】
CBA スラブ軌道の路盤 PC 突コン
SLB 軌道スラブ * 路盤中央測量点
+ 路盤左側測量点 − 路盤右側測量点
Claims (8)
- スラブ軌道の複数の勾配値、単数或いは複数の勾配変更点に到る迄の測量始点からの距離、平面線形における各変換点に到る迄の測量始点からの距離、円曲線のカント値、緩和曲線の種別を含むデータを基準器の高さ整正用主データとして採用すると共に、突コン上面と路盤表面に設置された水準測量点での標尺の読み値、次測点に到る迄の距離、路盤中央測量点とその左右一定距離の路盤左側測量点および路盤右側測量点との間の高低差、軌道スラブの種別記号より成るデータを1測点のデータとして採用することを特徴とするスラブ軌道の縦断線形策定計算方法。
- 請求項1に記載されるスラブ軌道の縦断線形策定計算方法において、
縦断線形測量計算の途中計算結果である測定項目毎の各測点間の高低差を順次累計し、各測点毎に測定始点からの累計値を得、
設計勾配および実測測点間距離から得られる各測点間の計画高低差について、各測点毎に測定始点からの累計値を測定項目毎に算出しておき、
これら測量値から得た測定始点から各測点までの累計値と、計画値から得た測定始点から各測点までの累計値との間の差を各測点の各測定項目毎に算出し、
これらの差をプロットして縦断線形現況図を作成することを特徴とするスラブ軌道の縦断線形策定計算方法。 - 請求項2に記載されるスラブ軌道の縦断線形策定計算方法において、
縦断線形現況図において軌道スラブの厚さを圧縮無視し1線を以て軌道スラブの上下面を表示することにより測定項目と比較すべき物体との間の高低差を、縦断計画線形との関連を含め限られた用紙幅に表示することを特徴とするスラブ軌道の縦断線形策定計算方法。 - 縦断設計線形を修正するに際して勾配変更測点のシーケンシャルNo.と、当該測点における設計線と修正計画線との間の差である修正量を順次入力し、
勾配変更測点から次の勾配変更測点に到る迄の距離を、その間に存在する測点間の距離を区間累計して求め、
両勾配変更測点の修正量の差を先の距離の区間累計値で除すことにより、勾配変更測点間の勾配修正値を算出し、
各測点間の計画高低差を、ここで得た勾配修正値と測量点間距離により修正することを特徴とするスラブ軌道の縦断線形策定計算方法。 - 基準器設置予定の各測点の修正された計画レールレベル値の各地点間の高低差を当該地点間の距離で除することにより各点間の勾配値を算出し、この値をこの間に設置する軌道スラブの勾配値として印字出力することを特徴とするスラブ軌道の縦断線形策定計算方法。
- 路盤の横断面の実測結果を図示するに際して、路盤中央測量点、路盤左側測量点、路盤右側測量点のそれぞれに標示シンボルを定め、
縦断線形測量計算に際して、測定始点における路盤中央測量点と測定始点のレールレベル計画標高との間の差を入力し、
各測点における路盤中央測量点とレールレベル計画面との間の差を算出し、路盤中央測量点と軌道スラブ下面との間の高低差をレールレベルと軌道スラブ下面間との標準高低差として算出し、
路盤中央測量点に対する左実測高低差および右実測高低差の間の実測高低差から、当該箇所の計画カントと路盤中央測量点と左右側測量点の間の距離から算出した路盤中央測量点に対する左右側測量点それぞれの左右計画高低差を減じ、標示シンボルにより同一紙面にプロットし、
プロット位置が3者間で競合する場合は、中央←左←右の如く表示に優先権を与えておくことを特徴とするスラブ軌道の縦断線形策定計算方法。 - 路盤中央測量点、路盤左側測量点、路盤右側測量点のそれぞれの箇所について、それぞれの箇所の縦断線形測量値と計画レールレベルとに基づいてセメント・アスファルト・モルタルの注入厚を算出すると共にこれら3個の注入厚の平均値を算出し、
この各測量点毎の平均値にそれぞれの次測量点との間の距離を乗算し、乗算結果を累計し、
累計値を距離の累計値で除算し、
除算結果を計算区間全体のセメント・アスファルト・モルタル注入厚の平均値とすることを特徴とするスラブ軌道の縦断線形策定計算方法。 - 請求項7に記載されるスラブ軌道の縦断線形策定計算方法において、
セメント・アスファルト・モルタルの注入厚の中央値、左側値、右側値および平均各値を一覧表にするに際して、セメント・アスファルト・モルタル注入厚が軌道スラブの種類毎に定められている許容限界値に近い場合はこれを示す符号を、許容限界値を超過する場合はこれを示す符号を注入厚の数値に付与することを特徴とするスラブ軌道の縦断線形策定計算方法。
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