JP2004332650A - 密閉型電動圧縮機 - Google Patents
密閉型電動圧縮機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004332650A JP2004332650A JP2003131365A JP2003131365A JP2004332650A JP 2004332650 A JP2004332650 A JP 2004332650A JP 2003131365 A JP2003131365 A JP 2003131365A JP 2003131365 A JP2003131365 A JP 2003131365A JP 2004332650 A JP2004332650 A JP 2004332650A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- supply pipe
- oil supply
- lubricating oil
- electric compressor
- crankshaft
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)
- Compressor (AREA)
Abstract
【課題】給油管が潤滑油内で回転する際に発生する給油管共振音を低減した密閉型電動圧縮機を提供する。
【解決手段】密閉容器1内に潤滑油4を貯留するとともに圧縮要素2と電動要素103を弾性的に収容し、前記圧縮要素2は前記電動要素103により回転駆動されるクランク軸105を備えるとともに、前記クランク軸105のクランク軸下端部107に前記潤滑油4中に開口し、遠心ポンプ作用を有する給油管116を備え、前記給油管116は制振性の非磁性体金属材料からなることにより、給油管116に加振力が加わっても、給油管116内部において振動を減衰させる。
【選択図】 図1
【解決手段】密閉容器1内に潤滑油4を貯留するとともに圧縮要素2と電動要素103を弾性的に収容し、前記圧縮要素2は前記電動要素103により回転駆動されるクランク軸105を備えるとともに、前記クランク軸105のクランク軸下端部107に前記潤滑油4中に開口し、遠心ポンプ作用を有する給油管116を備え、前記給油管116は制振性の非磁性体金属材料からなることにより、給油管116に加振力が加わっても、給油管116内部において振動を減衰させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫、エアーコンディショナー、冷凍冷蔵装置等に用いられる密閉型電動圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭用冷凍冷蔵庫等の冷凍装置に使用される密閉型電動圧縮機については、静音化が強く求められている。
【0003】
従来の密閉型電動圧縮機としては、給油管を合成樹脂にすることによって、静音化を図ったものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、図面を参照しながら、上述した従来の密閉型電動圧縮機の一例について説明する。
【0005】
図3は従来の密閉型電動圧縮機を示す断面図である。図4は従来の密閉型電動圧縮機のクランク軸要部断面図である。
【0006】
図3、図4において、密閉容器1は、圧縮要素2と電動要素3を弾性的に収容し、底部には潤滑油4を貯留する。密閉容器1内の空間は冷媒14によって満たされている。
【0007】
圧縮要素2を構成するシリンダ15にはピストン10が往復自在に挿入されている。電動要素3によって駆動されるクランク軸5は主軸部5aと偏芯部6を有し、偏芯部6のクランク軸下端部7には合成樹脂からなる給油管8が備えられ、先端が潤滑油4中に開口している。ピストン10はコンロッド9を介して偏芯部6と連結されている。
【0008】
以上のように構成された密閉型電動圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0009】
電動要素3がクランク軸5を駆動することでクランク軸5は回転し、偏芯軸の回転運動がコンロッド9を介してピストン10を往復させることで冷媒14は圧縮要素2に吸入され、周知の圧縮動作がなされる。
【0010】
また、クランク軸5の回転に伴って給油管8は潤滑油4中で回転し、給油管8内で発生した遠心力によって潤滑油4は給油管8に吸い上げられ、各摺動部(図示せず)へ供給される。
【0011】
この際、給油管は潤滑油4中を攪拌するため潤滑油4内部に溶け込んだ冷媒14が発泡し、その気泡が回転する給油管8を加振することで給油管8は共振音を発生する。しかしながら給油管8が合成樹脂からなることにより給油管8の共振音が聴覚への影響の少ない低周波数側にずれることにより圧縮機の騒音は低減される。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−59477号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、給油管8は圧縮機の運転に伴って発生する熱と、潤滑油4を攪拌することによって生ずる外力を長時間受けることとなる。高温状態において物体に力が加わった場合に時間とともにその変形が増加する現象を高温クリープというが、一般に合成樹脂はこの高温クリープが生じやすい。
【0014】
よって、高温下で潤滑油4を攪拌しつづけると給油管8はクリープ変形し、ごく稀ではあるが給油管8が偏芯部6のクランク軸下端部7から外れてしまう可能性があった。
【0015】
また上記可能性を十分に回避する為には、給油管8とクランク軸5とをネジ等の別部材を介して取り付けねばならず、製造コストが上がってしまうという欠点があった。
【0016】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、安価で信頼性が高く、騒音の低い密閉型電動圧縮機を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉容器内に潤滑油を貯留するとともに圧縮要素と電動要素を弾性的に収容し、前記圧縮要素は前記電動要素により回転駆動されるクランク軸を備えるとともに、前記クランク軸下端部に前記潤滑油中に開口し、遠心ポンプ作用を有する給油管を備え、前記給油管は制振性を有する非磁性体金属材料からなるものであり、給油管が高温下で潤滑油を攪拌してもクリープ変形しにくく、また給油管に加振力が加わっても給油管自体が制振性を有することによって振動を減衰させるという作用を有する。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に更に、前記給油管はアルミを主体とした材料からなり、請求項1に記載の発明の作用に加えて、更に加工が容易であるという作用を有する。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明に更に、前記電動要素を構成する回転子に永久磁石を内蔵したものであり、請求項1または請求項2に記載の発明の作用に加えて、固定子の着磁時に給油管が磁化しない為、潤滑油中に混在しているゴミ等を寄せ付けないという作用を有する。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明に更に、前記永久磁石は希土類であるものであり、請求項3に記載の発明の作用に加えて、磁力が強い固定子を着磁しても給油管が磁化しない為、潤滑油中に混在しているゴミ等を寄せ付けないという作用を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による密閉型電動圧縮機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同一構成については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による密閉型電動圧縮機の断面図である。図2は同実施の形態のクランク軸要部断面図である。
【0023】
図1、図2において、密閉容器1は、圧縮要素2と永久磁石を内蔵する回転子102を備えた電動要素103を弾性的に収容し、底部には潤滑油4を貯留する。密閉容器1内の空間はR600aやR134aといった環境負荷の少ない冷媒14によって満たされている。
【0024】
圧縮要素2を構成するシリンダ15にはピストン10が往復自在に挿入されている。電動要素103によって駆動されるクランク軸105は鉄系材料からなり、主軸部105aと偏芯部106を有し、偏芯部106にあるクランク軸下端部107にはアルミを主体とした材料からなる給油管116が備えられ、先端が潤滑油4中に開口している。ピストン10はコンロッド9を介して偏芯部106と連結されている。
【0025】
この給油管116は、AL−Zn合金であり引抜き管を切断した後、自動機によりクランク軸下端部107に圧入する側を縮管およびツバ出しを行い、空気抜きのための穴を空けると共に専用の自動機により曲げることにより遠心ポンプ部116aを形成したものである。
【0026】
以上のように構成された密閉型電動圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0027】
本実施の形態は電動要素103がクランク軸105を駆動することでクランク軸105は回転し、偏芯軸の回転運動がコンロッド9を介してピストン10を往復させることで冷媒14は圧縮要素2に吸入され、周知の圧縮動作がなされる。
【0028】
また、クランク軸105の回転に伴って給油管116は潤滑油4中で回転し、給油管116内で発生した遠心力によって潤滑油4は給油管116に吸い上げられ、各摺動部(図示せず)へ供給される。
【0029】
この際、給油管116は圧縮機の運転に伴って発生する熱と、潤滑油4を攪拌することによって生ずる外力を長時間受けることになり、高温下で潤滑油4を攪拌しつづけるが、給油管116がAL−Zn合金からなることによりクリープ強さが強いため、高温下で潤滑油4を攪拌してもクリープ変形を起こさないことによって信頼性の高い圧縮機を提供することが出来る。
【0030】
また、給油管116は潤滑油4中を攪拌するため潤滑油4内部に溶け込んだ冷媒14が発泡し、その気泡が回転する給油管116は加振されるが、給油管116がAL−Zn合金でからなることにより制振性が高く、給油管116に加振力が加わっても、給油管116内部において、Al相とZn相の弾性的特性が異なることによって、伝播する振動の位相が異なり、それらが干渉することにより振動を減衰させる。また、このAL−Zn合金は使用できる温度範囲も広く、低温から150℃程度までの温度範囲内では振動減衰率が温度と共に上昇する特性を有する。圧縮機運転中には給油管116の温度が上昇するため、これに伴って給油管116の振動減衰率も大きくなり、給油管116から発生する騒音を大きく低減することができる。
【0031】
特にインバータ駆動によって80HZといった高回転を行う際には、各摺動部や電動機部の温度も上昇する為に給油管116の温度も上昇し、より振動減衰率が高くなることによって、給油管116から発生する騒音をより大きく低減することができる。
【0032】
また、給油管116の温度は圧縮機の運転時に上昇しても100℃を超えることはないため、Al−Zn合金の振動減衰率が温度と共に上昇する範囲内で圧縮機は運転する。
【0033】
また、アルミを主体とした材料は加工性が良いため、任意の形状に加工することができると共に、金属製であるが故に剛性が高く、クランク軸下端部107に圧入固定によって容易に取り付けることができ製造コストを下げることができるという効果を有する。
【0034】
また、電動要素103が永久磁石を内蔵した回転子102を備えることにより、鉄系材料からなるクランク軸105は磁化されるが、給油管116は非磁性体材料である為、磁化されない。よって潤滑油4の内部に混在しているゴミやスパッタ等の金属片を寄せ付けない為、摺動部にこのような金属片が潤滑油4に混ざって供給される可能性は極めて低く、信頼性の高い圧縮機を提供することができる。
【0035】
なお、回転子102に内蔵する永久磁石を希土類等の磁力の強いものにした場合には、より強くクランク軸105は磁化されるが、給油管116は非磁性体材料からなることにより磁化されないため、同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0036】
なお、本実施の形態において、給油管116はAl−Zn合金からなるとしたが、一般に転位型防振合金といわれる純マグネシウムやMg−Zr合金や亜鉛を主体とした材料は非磁性である上に強度が大きく、これらを用いると合金内部での高密度転位の運動により、ヒステリシス損を生じることでエネルギーが吸収され振動を減少させる為、同様の効果が得られる。また、一般に双晶型防振合金といわれるNi−Ti(ニチノール)やCu−Ni−Al合金やCu−Mn合金、Cu−Mn−Al合金といった多数のマルテンサイト変態を行う合金を用いると、マルテンサイト変態で変態双晶が発生し、互いの双晶界面は外力によって容易に移動する。双晶界面の移動は不可逆であるため、ヒステリシス損が発生し、エネルギーが吸収されることによって、振動を減少させるため、同様の効果が得られる。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように請求項1に記載の発明は、給油管が高温下で潤滑油を攪拌してもクリープ変形しにくいことで密閉型電動圧縮機の信頼性を向上させることができるという効果がある。
【0038】
また給油管に加振力が加わっても給油管内部において複数相の界面での変形の摩擦損を利用し振動を減衰させることで密閉型電動圧縮機の騒音を低減させるという効果がある。
【0039】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、更に加工が容易であることで、密閉型電動圧縮機の製造コストを下げるという効果がある。
【0040】
また、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて固定子の着磁時に給油管が磁化しない為、潤滑油中に混在しているゴミ等を寄せ付けないことで、密閉型電動圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0041】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明の効果に加えて、さらに磁力が強い固定子を着磁しても給油管が磁化しない為、潤滑油中に混在しているゴミ等を寄せ付けないことで、密閉型電動圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による密閉型電動圧縮機の断面図
【図2】同実施の形態1による密閉型電動圧縮機のクランク軸の要部断面図
【図3】従来の密閉型電動圧縮機の断面図
【図4】従来の密閉型電動圧縮機のクランク軸の要部断面図
【符号の説明】
1 密閉容器
2 圧縮要素
4 潤滑油
102 回転子
103 電動要素
105 クランク軸
107 クランク軸下端部
116 給油管
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫、エアーコンディショナー、冷凍冷蔵装置等に用いられる密閉型電動圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭用冷凍冷蔵庫等の冷凍装置に使用される密閉型電動圧縮機については、静音化が強く求められている。
【0003】
従来の密閉型電動圧縮機としては、給油管を合成樹脂にすることによって、静音化を図ったものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、図面を参照しながら、上述した従来の密閉型電動圧縮機の一例について説明する。
【0005】
図3は従来の密閉型電動圧縮機を示す断面図である。図4は従来の密閉型電動圧縮機のクランク軸要部断面図である。
【0006】
図3、図4において、密閉容器1は、圧縮要素2と電動要素3を弾性的に収容し、底部には潤滑油4を貯留する。密閉容器1内の空間は冷媒14によって満たされている。
【0007】
圧縮要素2を構成するシリンダ15にはピストン10が往復自在に挿入されている。電動要素3によって駆動されるクランク軸5は主軸部5aと偏芯部6を有し、偏芯部6のクランク軸下端部7には合成樹脂からなる給油管8が備えられ、先端が潤滑油4中に開口している。ピストン10はコンロッド9を介して偏芯部6と連結されている。
【0008】
以上のように構成された密閉型電動圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0009】
電動要素3がクランク軸5を駆動することでクランク軸5は回転し、偏芯軸の回転運動がコンロッド9を介してピストン10を往復させることで冷媒14は圧縮要素2に吸入され、周知の圧縮動作がなされる。
【0010】
また、クランク軸5の回転に伴って給油管8は潤滑油4中で回転し、給油管8内で発生した遠心力によって潤滑油4は給油管8に吸い上げられ、各摺動部(図示せず)へ供給される。
【0011】
この際、給油管は潤滑油4中を攪拌するため潤滑油4内部に溶け込んだ冷媒14が発泡し、その気泡が回転する給油管8を加振することで給油管8は共振音を発生する。しかしながら給油管8が合成樹脂からなることにより給油管8の共振音が聴覚への影響の少ない低周波数側にずれることにより圧縮機の騒音は低減される。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−59477号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、給油管8は圧縮機の運転に伴って発生する熱と、潤滑油4を攪拌することによって生ずる外力を長時間受けることとなる。高温状態において物体に力が加わった場合に時間とともにその変形が増加する現象を高温クリープというが、一般に合成樹脂はこの高温クリープが生じやすい。
【0014】
よって、高温下で潤滑油4を攪拌しつづけると給油管8はクリープ変形し、ごく稀ではあるが給油管8が偏芯部6のクランク軸下端部7から外れてしまう可能性があった。
【0015】
また上記可能性を十分に回避する為には、給油管8とクランク軸5とをネジ等の別部材を介して取り付けねばならず、製造コストが上がってしまうという欠点があった。
【0016】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、安価で信頼性が高く、騒音の低い密閉型電動圧縮機を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉容器内に潤滑油を貯留するとともに圧縮要素と電動要素を弾性的に収容し、前記圧縮要素は前記電動要素により回転駆動されるクランク軸を備えるとともに、前記クランク軸下端部に前記潤滑油中に開口し、遠心ポンプ作用を有する給油管を備え、前記給油管は制振性を有する非磁性体金属材料からなるものであり、給油管が高温下で潤滑油を攪拌してもクリープ変形しにくく、また給油管に加振力が加わっても給油管自体が制振性を有することによって振動を減衰させるという作用を有する。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に更に、前記給油管はアルミを主体とした材料からなり、請求項1に記載の発明の作用に加えて、更に加工が容易であるという作用を有する。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明に更に、前記電動要素を構成する回転子に永久磁石を内蔵したものであり、請求項1または請求項2に記載の発明の作用に加えて、固定子の着磁時に給油管が磁化しない為、潤滑油中に混在しているゴミ等を寄せ付けないという作用を有する。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明に更に、前記永久磁石は希土類であるものであり、請求項3に記載の発明の作用に加えて、磁力が強い固定子を着磁しても給油管が磁化しない為、潤滑油中に混在しているゴミ等を寄せ付けないという作用を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による密閉型電動圧縮機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同一構成については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による密閉型電動圧縮機の断面図である。図2は同実施の形態のクランク軸要部断面図である。
【0023】
図1、図2において、密閉容器1は、圧縮要素2と永久磁石を内蔵する回転子102を備えた電動要素103を弾性的に収容し、底部には潤滑油4を貯留する。密閉容器1内の空間はR600aやR134aといった環境負荷の少ない冷媒14によって満たされている。
【0024】
圧縮要素2を構成するシリンダ15にはピストン10が往復自在に挿入されている。電動要素103によって駆動されるクランク軸105は鉄系材料からなり、主軸部105aと偏芯部106を有し、偏芯部106にあるクランク軸下端部107にはアルミを主体とした材料からなる給油管116が備えられ、先端が潤滑油4中に開口している。ピストン10はコンロッド9を介して偏芯部106と連結されている。
【0025】
この給油管116は、AL−Zn合金であり引抜き管を切断した後、自動機によりクランク軸下端部107に圧入する側を縮管およびツバ出しを行い、空気抜きのための穴を空けると共に専用の自動機により曲げることにより遠心ポンプ部116aを形成したものである。
【0026】
以上のように構成された密閉型電動圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0027】
本実施の形態は電動要素103がクランク軸105を駆動することでクランク軸105は回転し、偏芯軸の回転運動がコンロッド9を介してピストン10を往復させることで冷媒14は圧縮要素2に吸入され、周知の圧縮動作がなされる。
【0028】
また、クランク軸105の回転に伴って給油管116は潤滑油4中で回転し、給油管116内で発生した遠心力によって潤滑油4は給油管116に吸い上げられ、各摺動部(図示せず)へ供給される。
【0029】
この際、給油管116は圧縮機の運転に伴って発生する熱と、潤滑油4を攪拌することによって生ずる外力を長時間受けることになり、高温下で潤滑油4を攪拌しつづけるが、給油管116がAL−Zn合金からなることによりクリープ強さが強いため、高温下で潤滑油4を攪拌してもクリープ変形を起こさないことによって信頼性の高い圧縮機を提供することが出来る。
【0030】
また、給油管116は潤滑油4中を攪拌するため潤滑油4内部に溶け込んだ冷媒14が発泡し、その気泡が回転する給油管116は加振されるが、給油管116がAL−Zn合金でからなることにより制振性が高く、給油管116に加振力が加わっても、給油管116内部において、Al相とZn相の弾性的特性が異なることによって、伝播する振動の位相が異なり、それらが干渉することにより振動を減衰させる。また、このAL−Zn合金は使用できる温度範囲も広く、低温から150℃程度までの温度範囲内では振動減衰率が温度と共に上昇する特性を有する。圧縮機運転中には給油管116の温度が上昇するため、これに伴って給油管116の振動減衰率も大きくなり、給油管116から発生する騒音を大きく低減することができる。
【0031】
特にインバータ駆動によって80HZといった高回転を行う際には、各摺動部や電動機部の温度も上昇する為に給油管116の温度も上昇し、より振動減衰率が高くなることによって、給油管116から発生する騒音をより大きく低減することができる。
【0032】
また、給油管116の温度は圧縮機の運転時に上昇しても100℃を超えることはないため、Al−Zn合金の振動減衰率が温度と共に上昇する範囲内で圧縮機は運転する。
【0033】
また、アルミを主体とした材料は加工性が良いため、任意の形状に加工することができると共に、金属製であるが故に剛性が高く、クランク軸下端部107に圧入固定によって容易に取り付けることができ製造コストを下げることができるという効果を有する。
【0034】
また、電動要素103が永久磁石を内蔵した回転子102を備えることにより、鉄系材料からなるクランク軸105は磁化されるが、給油管116は非磁性体材料である為、磁化されない。よって潤滑油4の内部に混在しているゴミやスパッタ等の金属片を寄せ付けない為、摺動部にこのような金属片が潤滑油4に混ざって供給される可能性は極めて低く、信頼性の高い圧縮機を提供することができる。
【0035】
なお、回転子102に内蔵する永久磁石を希土類等の磁力の強いものにした場合には、より強くクランク軸105は磁化されるが、給油管116は非磁性体材料からなることにより磁化されないため、同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0036】
なお、本実施の形態において、給油管116はAl−Zn合金からなるとしたが、一般に転位型防振合金といわれる純マグネシウムやMg−Zr合金や亜鉛を主体とした材料は非磁性である上に強度が大きく、これらを用いると合金内部での高密度転位の運動により、ヒステリシス損を生じることでエネルギーが吸収され振動を減少させる為、同様の効果が得られる。また、一般に双晶型防振合金といわれるNi−Ti(ニチノール)やCu−Ni−Al合金やCu−Mn合金、Cu−Mn−Al合金といった多数のマルテンサイト変態を行う合金を用いると、マルテンサイト変態で変態双晶が発生し、互いの双晶界面は外力によって容易に移動する。双晶界面の移動は不可逆であるため、ヒステリシス損が発生し、エネルギーが吸収されることによって、振動を減少させるため、同様の効果が得られる。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように請求項1に記載の発明は、給油管が高温下で潤滑油を攪拌してもクリープ変形しにくいことで密閉型電動圧縮機の信頼性を向上させることができるという効果がある。
【0038】
また給油管に加振力が加わっても給油管内部において複数相の界面での変形の摩擦損を利用し振動を減衰させることで密閉型電動圧縮機の騒音を低減させるという効果がある。
【0039】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、更に加工が容易であることで、密閉型電動圧縮機の製造コストを下げるという効果がある。
【0040】
また、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて固定子の着磁時に給油管が磁化しない為、潤滑油中に混在しているゴミ等を寄せ付けないことで、密閉型電動圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0041】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明の効果に加えて、さらに磁力が強い固定子を着磁しても給油管が磁化しない為、潤滑油中に混在しているゴミ等を寄せ付けないことで、密閉型電動圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による密閉型電動圧縮機の断面図
【図2】同実施の形態1による密閉型電動圧縮機のクランク軸の要部断面図
【図3】従来の密閉型電動圧縮機の断面図
【図4】従来の密閉型電動圧縮機のクランク軸の要部断面図
【符号の説明】
1 密閉容器
2 圧縮要素
4 潤滑油
102 回転子
103 電動要素
105 クランク軸
107 クランク軸下端部
116 給油管
Claims (4)
- 密閉容器内に潤滑油を貯留するとともに圧縮要素と電動要素を弾性的に収容し、前記圧縮要素は前記電動要素により回転駆動されるクランク軸を備えるとともに、前記クランク軸下端部に前記潤滑油中に開口し、遠心ポンプ作用を有する給油管を備え、前記給油管は制振性を有する非磁性体金属材料からなる密閉型電動圧縮機。
- 前記給油管はアルミを主体とした材料からなる請求項1記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記電動要素を構成する回転子に永久磁石を内蔵した請求項1または請求項2に記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記永久磁石は希土類である請求項3に記載の密閉型電動圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003131365A JP2004332650A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 密閉型電動圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003131365A JP2004332650A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 密閉型電動圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004332650A true JP2004332650A (ja) | 2004-11-25 |
Family
ID=33506559
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003131365A Pending JP2004332650A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 密閉型電動圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004332650A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007148520A1 (en) * | 2006-06-23 | 2007-12-27 | Panasonic Corporation | Refrigerating compressor and refrigerating device using the same |
-
2003
- 2003-05-09 JP JP2003131365A patent/JP2004332650A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007148520A1 (en) * | 2006-06-23 | 2007-12-27 | Panasonic Corporation | Refrigerating compressor and refrigerating device using the same |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2818709B1 (en) | Linear compressor | |
WO2013099237A1 (ja) | 密閉型圧縮機およびそれを備える冷蔵庫 | |
JP2004245073A (ja) | 電動圧縮機 | |
JP2007092541A (ja) | 圧縮機 | |
EP1194692B1 (en) | Hermetic motor-driven compressor | |
CN106979138B (zh) | 密闭型制冷剂压缩机和制冷装置 | |
US11473571B2 (en) | Sealed refrigerant compressor and refrigeration device | |
JP2004332650A (ja) | 密閉型電動圧縮機 | |
CN209308965U (zh) | 涡旋式压缩机 | |
EP3203069B1 (en) | Hermetic compressor and refrigeration device | |
JP2020112032A (ja) | 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置 | |
JP2007016671A (ja) | 冷媒圧縮機 | |
JP4599881B2 (ja) | 密閉型圧縮機 | |
EP3495659B1 (en) | Compressor | |
CN111247339A (zh) | 压缩机以及制冷循环装置 | |
JP2003343439A (ja) | 圧縮機 | |
JP4984675B2 (ja) | 冷媒圧縮機 | |
JP2007051560A (ja) | 密閉型圧縮機 | |
JP2020148109A (ja) | 圧縮機及び圧縮機を有する機器 | |
JP5579676B2 (ja) | 密閉型圧縮機及びこれを用いた冷蔵庫 | |
JP2009097394A (ja) | 密閉型圧縮機 | |
JP2008088958A (ja) | 冷媒圧縮機 | |
JP2006144730A (ja) | 往復動式冷媒圧縮機 | |
JP2005069122A (ja) | 往復動式冷媒圧縮機 | |
KR101484326B1 (ko) | 리니어 압축기 |