JP2004332188A - 吸水性樹脂複合体およびその組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 1個の吸水性樹脂粒子と2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体およびその組成物であって、前記吸水性樹脂粒子が略球状であり、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着していることを特徴とする吸水性樹脂複合体。
【選択図】 なし
Description
すなわち本発明は、1個の吸水性樹脂粒子と2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、前記吸水性樹脂粒子が略球状であり、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着していることを特徴とする吸水性樹脂複合体を提供する。また本発明は、該吸水性樹脂複合体を含む吸水性樹脂複合体組成物も提供する。
1.構造と構成要素
複合体Aは、1個の略球状の吸水性樹脂粒子と2本以上の繊維を含むものである。複合体Aに含まれる1本以上の繊維は、繊維の一部が吸水性樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が吸水性樹脂粒子より露出している。また、複合体Aに含まれる1本以上の繊維は、繊維が吸水性樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が吸水性樹脂粒子の表面に接着している。すなわち、複合体Aの必須構成要素は以下の3種である。
i) 吸水性樹脂粒子
ii) 吸水性樹脂粒子に一部が吸水性樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が吸水性
樹脂粒子より露出している繊維(以下「部分包埋繊維」)
iii) 吸水性樹脂粒子の表面に接着しているが吸水性樹脂粒子に包埋されていない繊
維(以下「表面接着繊維」)
なお以下、複合体A中で吸水性樹脂粒子と結合している繊維、即ちii)部分包埋繊維およびiii)表面接着繊維を「結合繊維」と総称することがある。複合体Aにおける結合繊維と吸水性樹脂粒子の乾燥重量比は、1:1〜1:1,000,000であることが好ましく、1:2〜1:100,000であることがより好ましく、1:3〜1:10,000であることがさらにより好ましい。
1)吸水性樹脂
吸水性樹脂は、複合体Aにおいて、水、尿、血液、経血等の液体を使用目的に応じて吸収する役割を果たすものである。
複合体A中の吸水性樹脂は通常、水、尿、血液、経血等の液体を常温常圧下で自重の1〜1,000倍程度吸収しうる飽和吸水能を有する高分子である。これらの液体を吸収するためには、これらの液体と親和性の高い官能基を高分子鎖に有する必要がある。そのような官能基としては、(部分)中和カルボン酸、カルボン酸、(部分)中和スルホン酸、スルホン酸、ヒドロキシを挙げることができる。この中で、部分中和カルボン酸が好ましい。このような高分子鎖中に部分中和カルボン酸を与えるモノマーとしては不飽和カルボン酸が好ましく、特にアクリル酸が好ましい。
この高分子の分子構造は直鎖状でも差し支えないが、所望の液体を吸収し膨潤した後も形状を維持する必要がある。そのために、通常高分子鎖が溶解しないように高分子鎖同士の架橋構造を有する重合物架橋体が好ましい。この架橋は、共有結合あるいはイオン結合等の化学架橋ないしは高分子鎖の絡み合いによる物理架橋のいずれであってもよい。化学的安定性の面から、化学架橋が好ましく中でも共有結合がより好ましい。
従って、好ましい吸水性樹脂は不飽和カルボン酸重合物架橋体であり、より好ましくはアクリル酸重合物架橋体である。
複合体A中の吸水性樹脂は略球状の粒子である。ここで略球状とは、全体として真球および楕円体の形状を有するものであり、表面に細かな凹凸(即ち、しわ、突起、陥没等)を有していても差し支えない。また、表面や内部に、細孔やクラック等の空隙を有していても差し支えない。この吸水性樹脂粒子の粒径は50〜1,000μmが好ましい。粒径は100〜900μmがより好ましく、200〜800μmが特に好ましい。
従来の粉砕した吸水性樹脂のように、不定形で鋭利な切断面を有していると、皮膚への刺激が大きくて、機械的付加に対して鋭利な切断面が欠損して細粒が生じるという欠点がある。しかしながら、本発明で用いる略球状の吸水性樹脂粒子はこのような欠点がない。また不定形品に比して、最密充填ができるため高密度化が可能であるという利点も有する。
前記のように結合繊維は部分包埋繊維および表面接着繊維とからなる。以下、各繊維について詳述する。
繊維としては、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維などを用いることができる。各繊維は吸水前および吸水後とも吸水性樹脂と強固に接着していることが吸水性樹脂の固定性の面から好ましい。
一般に異物質間の接着力は両者の親和性が大きいほど、大きいことが知られている。吸水性樹脂は最も親水性の大きな物質の一つであり、この意味から親水性の大きな繊維ほど接着力が大きいと言える。この繊維の親水性の定量的な尺度として水の接触角を用いることができる。即ち、この接触角が小さいほど(つまり親水性が大きいほど)、接着力が大きく、逆に接触角が大きいほど(つまり親水性が小さいほど)接着力が小さい傾向がある。この意味から、水の繊維素材表面上における接触角は60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、40°以下が最も好ましい。このような親水性の大きな繊維いわゆる親水性繊維として、パルプ、レーヨン、木綿、再生セルロース、等のセルロース系繊維、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系等の繊維を挙げることができる。このような親水性繊維を用いると、吸水性樹脂との接着力が強化されるだけでなく、親水性繊維の持っている他の作用、例えば水を吸水性樹脂に誘引する作用(いわゆる導水性)も高めることができる。特に衛生材料の用途には、皮膚に対する低刺激性、柔軟な感触の面から、親水性繊維の中でもパルプを選択することが好ましい。
ブロッキング防止の観点からは、後述する繊維の剛性や径を考慮して繊維を選択することも重要である。
本発明において結合繊維として好ましいものは、平均繊維長が50〜50,000μmのものである。より好ましくは100〜30,000μm、さらに好ましくは500〜10,000μmである。繊維長が長すぎると、繊維が複数の吸水性樹脂と接着して各吸水性樹脂複合体の独立性が確保できず、この複合体を含む組成物の開繊が困難になる傾向がある。逆に繊維長が短すぎると吸水性樹脂への包埋や接着が困難になる傾向がある。
複合体Aが所望の形状を得るためには吸水性樹脂粒径:繊維長比率は2:1〜1:1,000が好ましい。より好ましくは1:1〜1:500、特に好ましくは1:2〜1:100である。
繊維の外観は直線状でもけん縮等の縮れを有していても差し支えない。
以上の諸観点から繊維種、繊維長、繊維径、外観が適宜選択される。
部分包埋繊維は、吸水性樹脂の固定性を確保する役割を果たす。この繊維は吸水前および吸水後の吸水性樹脂の固定性をも向上させる。即ち吸水性樹脂表面から伸長する繊維が、押圧時の吸水性樹脂の回転運動や並進運動を防止する。この繊維の一部は吸水性樹脂に包埋されていて、吸水後も吸水性樹脂から脱離することがないので、吸水後の固定性に重要な役割を発揮しうる。用いる繊維の形状は、導水性を高めるために剛性の高い中空やサイドバイサイド型等であってもよい。
さらにこの繊維は各吸水性樹脂複合体の独立性を確保する役割も持つ。後述の複合体前駆体重合過程においてこの繊維はたがいの立体障害により吸水性樹脂同士の融着を防止する。即ち吸水性樹脂表面から伸長する繊維が、互いの複合体前駆体内の重合進行中に吸水性樹脂同士の接触を妨害し、吸水性樹脂同士の融着を防止する。その結果、各吸水性樹脂複合体(前駆体)は独立性を保ち、製造工程、処理工程では反応器壁への付着を防止し、後述する組成物に開繊性を持たせることもできる。
表面接着繊維は、吸水前の吸水性樹脂の固定性を確保する効果がある。さらに膨潤後は、吸水性樹脂表面の繊維が吸水性樹脂同士の間に間隙を作り、水の流路を確保する作用がある。この作用を得るためには、必ずしも該繊維が吸水後も吸水性樹脂に接着していなくても良いが、少なくとも該繊維が吸水性樹脂表面に緊密に配置されていることが好ましい。そのために、本発明のように吸水前に繊維が吸水性樹脂表面に接着していることは好都合である。また、吸水性樹脂同士の間に間隙を作り、水の流路を確保するためには一定の剛性を備えた繊維を用いることが好ましい場合がある。また、上述の部分包埋繊維とあいまって、吸水前における吸水性樹脂の固定性を確保する効果もある。用いる繊維の形状は、拡散性を高めるために中空やサイドバイサイド型等であってもよい。
さらにこの繊維は前述の部分包埋繊維同様の作用により各吸水性樹脂複合体の独立性、形態保持性、柔らかで滑らかな感触を確保する役割を持ち、同様の効果を与える。
1)固定性と吸水能力の両立(各繊維の複合効果)
一般的に吸水性樹脂の固定性確保と保持能や加圧下吸水能等の吸水能力確保とは両立しない。即ち吸水前だけでなく吸水後も十分な固定性を確保しようとすると、吸水後においてもなお、吸水膨張力を凌駕する吸水性樹脂と繊維の強固な接着力を必要とする。このことはとりもなおさず、繊維による吸水性樹脂自体の吸水膨潤阻害をもたらし、十分な吸水能を与えない。逆に、保持能や加圧下吸水能等の吸水能力を確保しようとして、吸水性樹脂と繊維との接着面が自由に膨潤できるようにすると、吸水性樹脂と繊維との接着面が破壊され、十分な固定性を与えない。
本発明の複合体Aには、部分包埋繊維および表面接着繊維が、ともに必須である。即ち、部分包埋繊維のみを有する吸水性樹脂複合体では吸水時のブロッキング(ままこ)現象を防止する効果が十分でない。一方、表面接着繊維のみを有する吸水性樹脂複合体では吸水後の吸水性樹脂の固定性が十分ではない。よって、吸水前後を通じて上述の作用を発揮するためには、両者の繊維がともに必須である。両者の繊維が共存することによって本来矛盾する関係の吸水性樹脂の固定性確保と吸水能力確保との両立が可能となった。即ち、複合体Aは吸水前だけでなく吸水後も十分な固定性を確保しながら、保持能だけでなく、加圧下吸水能をも確保する際だった特徴を有する。なお、両者の繊維の種類は同一でも異なっていても差し支えなく、使用目的、それぞれの効果発現のため適宜選択される。
複合体Aの特徴の一つは、複合体Aの集合体が開繊性を有しているばかりでなく、複合体Aを含む吸水性樹脂複合体組成物に開繊性を持たせることができる点にある。このような特徴は、各複合体が実質的に独立していることから確保される。即ち、1つの複合体を構成する繊維が他の複合体と実質的な接着をしていないことが望まれる。そのためには、製造条件にもよるが、用いる繊維の繊維長を前記のように適宜選択することにより得られる。開繊性は、後述のように、梳毛のしやすさおよび梳毛後の吸水性樹脂粒子の破損状況で評価することができる。
さらに複合体Aは、複合体Aの集合体が形態保持性を有しているばかりでなく、複合体Aを含む吸水性樹脂複合体組成物に形態保持性を持たせることができる点にも特徴がある。前記のように複合体A中の結合繊維は各吸水性複合体同士に適度な物理的絡み合いを与え、複合体Aを含む吸水性樹脂複合体組成物を塊状にしたときに自重程度では容易にばらばらにならないという形態保持性を与える。
1.構造
本発明の組成物は、上記の複合体Aを含むことを特徴とし、以下の複合体B、複合体Cおよび自由繊維等の他の構成成分を含有してもよい。また本発明の組成物は、全繊維(結合繊維+自由繊維)と吸水性樹脂の乾燥重量比が、通常70:30〜2:98であり、好ましくは50:50〜5:95、さらに好ましくは30:70〜5:95である。また結合繊維の全繊維に対する比率は通常3〜100%である。
さらに本発明の組成物は、嵩密度が0.15〜0.85g/cm3であることが好ましく、0.20〜0.85g/cm3であることがより好ましく、0.30〜0.85g/cm3であることがさらにより好ましい。本発明の組成物に含まれる各成分はそれ自体独立しており開繊性を有するため、組成物自体も開繊性を維持している。
1)複合体A
本発明の組成物は、複合体Aを重量分率で通常1以下含み、0.1以上含むことが好ましく、0.2以上含むことがより好ましく、0.3以上含むことがさらに好ましい。本発明の組成物に含まれる複合体Aを構成する吸水性樹脂の平均粒径は50〜1,000μmが好ましく、100〜900μmがより好ましく、200〜800μmが特に好ましい。また、本発明の組成物に含まれる複合体Aを構成する繊維の平均繊維長は50〜50,000μmであることが好ましく、100〜30,000μmであることがより好ましく、500〜10,000μmであることが特に好ましい。さらに、本発明の組成物に含まれる複合体Aを構成する繊維の平均繊維径は0.1〜500デシテックスであることが好ましく、0.1〜100デシテックスであることがより好ましく、1〜50デシテックスであることがさらにより好ましく、1〜10デシテックスであることが特に好ましい。
「複合体B」は「1個以上の吸水性樹脂粒子と1本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、前記吸水性樹脂粒子が略球状であり、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子の表面に接着していない吸水性樹脂複合体」である。複合体Bの吸水性樹脂に結合している結合繊維のうち1本以上は部分包埋繊維であり、表面接着繊維は含まれない。すなわち、複合体Bの必須構成要素は以下の2種であり、かつ表面接着繊維は構成要素ではない。
i) 吸水性樹脂粒子
ii) 部分包埋繊維
複合体B中の繊維は、複合体Aの結合繊維の項で前述した繊維と同様に選択することができる。本発明の組成物における複合体Bの重量分率は、通常0〜90重量%である。複合体Bが多すぎると、吸水前の吸水性樹脂の固定性が損なわれる傾向がある。
「複合体C」は「1個以上の吸水性樹脂粒子と1本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、前記吸水性樹脂粒子が略球状であり、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子内に包埋されていない吸水性樹脂複合体」である。複合体Cの吸水性樹脂に結合している結合繊維のうち1本以上は表面接着繊維であり、部分包埋繊維を含まれない。すなわち、複合体Cの必須構成要素は以下の2種であり、かつ部分包埋繊維は構成要素ではない。
i) 吸水性樹脂粒子
ii) 表面接着繊維
複合体C中の繊維は、複合体Aの結合繊維の項で前述した繊維と同様に選択することができる。本発明の組成物における複合体Cの重量分率は、通常0〜90重量%である。複合体Cが多すぎると、吸水後のゲル固定性が損なわれる傾向がある。
「自由繊維」は「吸水性樹脂に包埋も接着もされることのない繊維」である。本発明の組成物は自由繊維を1本以上含んでいてもよい。自由繊維を加えることにより柔軟性、ソフト感、導水性、通水性、水の拡散性、通気性等をさらに向上させることができる。
繊維としては、結合繊維と同様に、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維などを用いることができる。用いる繊維は、吸水性樹脂複合体組成物の使用目的に応じて選択される。例えば、組成物を吸水性物品に使用するときには、親水性繊維を選択することが好ましい。親水性繊維として、パルプ、レーヨン、木綿、再生セルロ−ス等のセルロース系繊維、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系等の繊維が選ばれる。このような親水性繊維を用いると、組成物への導水性を高めることができる。特に衛生材料の用途には、皮膚に対する低刺激性や柔軟な感触の面から、親水性繊維の中でもパルプを選択することが好ましい。
一方、自由繊維として疎水性繊維を使用することもできる。例えば、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビリニデン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ尿素系、ポリウレタン系、ポリフルオロエチレン系、ポリシアン化ビニリデン系繊維を選択することができる。これら疎水性繊維を用いることにより、組成物における通水性や水の拡散性を向上させることができる。
結合繊維と異なり、自由繊維の吸水性樹脂との親和性、あるいは吸水性樹脂複合体との親和性については、特に制限はない。
本発明の組成物に用いる自由繊維として好ましいものは、繊維長が50〜100,000μmのものである。より好ましくは100〜50,000μm、さらに好ましくは500〜20,000μmである。繊維長が長すぎると組成物の開繊が困難になる場合がある。逆に繊維長が短すぎると繊維自体の易動性が大きいため、組成物から繊維が漏れる等の問題が生じることもある。
IIIA.複合体Aの製造方法
原料
1)モノマー
(種類)
複合体Aの吸水性樹脂粒子を調製するために使用する重合性モノマーは、吸水性樹脂を与えるものである限りその種類を問わない。レドックス系開始剤によってその重合が開始される重合性モノマーを使用することが特に好ましい。このモノマーは通常、水溶性のものが好ましい。
アクリル酸モノマ−の中和には、アルカリ金属の水酸化物や重炭酸塩等または水酸化アンモニウム等が使用可能であるが、好ましいのはアルカリ金属水酸化物であり、その具体例としては水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。
なお、これらの重合性モノマーのうち吸水性樹脂を与えるものは、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩に対する補助成分としてではなく、「吸水性樹脂を与える重合性モノマーの水溶液」の主要モノマーとして使用することもできる。
上述の脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分として含む重合性モノマ−水溶液の重合性モノマーの濃度は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは25重量%以上である。濃度が20重量%より少ないと重合後の吸水性樹脂の吸水能が十分に得られない場合がある。上限は重合反応液の取り扱い上から80重量%程度とするのが良い。
脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩、特にアクリル酸またはその塩は、それ自身で自己架橋ポリマ−を形成することがあるが、架橋剤を併用して架橋構造を積極的に形成させることもできる。架橋剤を併用すると、一般に生成する吸水性樹脂の吸水性能が向上する。架橋剤としては、前記重合性モノマーと共重合可能な多価ビニル化合物、例えば、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールポリ(メタ)アクリレート類等、ならびにカルボン酸と反応し得る2個以上の官能基を有する水溶性の化合物、例えばエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコールジグリシジルエ−テル等のポリグリシジルエーテル等が好適に使用される。この中で特に好ましいのは、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。架橋剤の使用量は、モノマーの仕込み量に対して0.001〜1重量%、好ましくは、0.01〜0.5重量%である。
本発明で用いられる重合開始剤は、水溶液ラジカル重合で用いられるものを用いることができる。このような重合開始剤としては、無機および有機過酸化物が挙げられ、例えばアンモニウムやアルカリ金属、特にカリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルパーオキシドやアセチルパーオキシド等が挙げられる。
さらに、アゾ化合物として知られている重合開始剤も用いることができる。例えばある程度水溶性を示す、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド等が挙げられる。
重合はラジカル重合開始剤の分解により開始される。通常よく知られている手法は熱分解である。しばしば、予め重合開始剤の分解温度に昇温させた反応液のモノマーに対して加熱していない重合開始剤を添加して重合開始させる場合があるが、この場合もここでいう熱分解の範疇に属する。
酸化剤としては、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドその他、第二セリウム塩、過マンガン酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩等が挙げられる。この中でも過酸化水素が特に好ましい。これら酸化剤の使用量は、重合性モノマーに対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。
還元剤は、前記酸化剤とレドックス系を形成しうるものであり、具体的には亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、酢酸コバルト、硫酸銅、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸またはL−アスコルビン酸アルカリ金属塩等を挙げることができる。中でも、L−アスコルビン酸またはL−アスコルビン酸アルカリ金属塩が特に好ましい。これらの還元剤の使用量は、重合性モノマーに対して0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜2重量%である。
繊維種や形状等については前述のように適宜選択される。
繊維はなるべくミクロ的にも均一に分散されていることが好ましい。一般に繊維は、からみあいによる繊維塊をなす傾向があるが、そのみかけ繊維塊径が20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、5mm以下が最も好ましい。もちろん一本、一本の繊維に独立していることが好ましいことは言うまでもない。一般に均一性を確保するために開繊という手法が用いられる。なお、「開繊」とは解繊と繊維化の両方の概念を含むものである。解繊には、ナイロン等のシート状物を短冊状や繊維状に裂くこと等が含まれる。また、繊維化には、原紙状のセルロースを切り裂いてパルプにすること等が含まれる。
1)重合工程
本発明の吸水性樹脂複合体の製造方法は、請求の範囲に記載される条件を満たす吸水性樹脂複合体を製造し得る方法であれば特に制限されない。
好ましい製造方法においては、吸水性樹脂を与える重合性モノマーの水溶液、例えば、脂肪族不飽和カルボン酸またはその塩を主成分とする重合性モノマーの水溶液にレドックス系重合開始剤を配して当該モノマーの重合を開始させ、反応開始後のモノマーおよび生成ポリマーを含む重合進行中の反応混合物を気相中で液滴となし、同気相中に供給した分散した繊維と接触させ、吸水性樹脂複合体前駆体となし、重合を完結させ吸水性樹脂複合体として回収するものである。
気相中での液滴を重合させる好ましい一つの方法は、レドックス系重合開始剤を構成する酸化剤と還元剤の一方を含む重合性モノマー水溶液からなる第1液と、レドックス系重合開始剤の他方および所望により重合性モノマーを含む水溶液からなる第2液とを気相中で混合することにより重合を開始させることからなる。
このように、ノズルから噴出されたそれぞれの水溶液は、液柱状態で衝突させて両液を合体させる。合体後は液柱を形成していて、その状態がある時間保持されるが、その後この液柱は解体して液滴となる。生成した液滴は気相中で重合を進行させつつ落下する。
液滴と繊維を接触させる際の液滴中のモノマー転化率(以下「重合率」という)は0〜90%の範囲が好ましい。より好ましくは0〜80%で、最も好ましくは0〜70%の範囲である。90%を超えるような高い重合率では用いる繊維が吸水性樹脂に包埋も接着もされない可能性がある。
重合進行中の液滴と接触させるために繊維を供給する方法として、一般に知られている搬送方法を用いることができる。反応器内の繊維の空間密度は、繊維を吸水性樹脂に部分的に包埋させる場合は0.005〜1,000g/m3の範囲が好ましく、0.5〜1,000g/m3の範囲がさらに好ましい。空間密度が大きすぎると吸水性樹脂複合体に包埋されない繊維が生成し、逆に空間密度が小さすぎると繊維を包埋しない吸水性樹脂が生成して吸水性樹脂複合体の収率が相対的に低下する問題が生じる傾向がある。また繊維と液滴を効率的に接触させるには、液滴の空間密度に対する繊維の空間密度の比は、0.01〜100の範囲が好ましく、0.05〜50の範囲がより好ましく、0.1〜10の範囲がさらに好ましい。液滴の空間密度に対する繊維の空間密度の比が小さすぎると液滴が繊維とほとんど接触せず、逆に比が大きすぎると自由繊維が多く生成して効率が悪くなる傾向がある。繊維をできるだけ細かく均一に供給するためには、繊維を気体との混相流として供給することが好ましい。ここで用いる気体としては、上述の反応場を与える気体として挙げたものを用いることができる。そのなかでも経済的観点、環境負荷軽減の観点から空気が好ましい。
混相流として供給する気体の温度は、重合を著しく阻害しない範囲内で選択することが望まれる、その意味から具体的には室温以上150℃以下、望ましくは100℃以下である。繊維搬送の観点からは、気体中の湿度は低い方が好ましいが、あまり湿度が低いと反応器内の湿度を下げ、重合が進行する前にモノマー水溶液中の水分が蒸発してモノマーが析出し、その結果、重合速度が著しく低下、あるいは重合が途中で停止する可能性がある。
本発明の吸水性樹脂複合体の製造において、その他の付加的工程として、残存モノマー処理工程、表面架橋工程、他の機能を付与するための上述の触媒、還元剤、消臭剤、人尿安定剤、抗菌剤等の添加剤添加工程を加えてもよい。
残存モノマーを処理する方法としては、i)モノマーの重合を進行させる方法、ii)モノマーを他の誘導体へ導く方法、iii)モノマーを除去する方法が挙げられる。
該吸水性樹脂複合体をさらに加熱する方法は、該吸水性樹脂複合体を100〜250℃で加熱処理し、該吸水性樹脂複合体に残存するモノマーを重合させるものである。
また、吸水性能を向上させる目的で、吸水性樹脂の表面を架橋剤により架橋させることも可能である。一般に、粉末状の吸水性樹脂粒子の表面に架橋剤とともに適量の水分を付与した後、加熱して表面を架橋することにより樹脂粒子の特性を改良することは公知であり、表面に選択的に架橋構造が形成される結果、吸水して膨潤するに際し、膨潤を阻害せずにその形状を維持することができるものと考えられている。この工程ではまず吸水性樹脂複合体に表面架橋剤の溶液を付与する。表面架橋剤としてはN,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールビス(メタ)アクリレート等の重合性モノマーと共重合し得る多官能化合物や、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル等のカルボン酸基と反応し得る官能基を複数個有する化合物が用いられる。これらの表面架橋剤は、通常、吸水性樹脂複合体に対して0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%となるように用いられる。なお、これらの表面架橋剤は、吸水性樹脂複合体全体に均一に付与されるように、水、エタノール、メタノールなどで希釈して0.1〜1重量%、特に0.2〜0.5重量%の溶液として用いるのが好ましい。架橋剤溶液の付与は通常は噴霧器を用いて架橋剤溶液を吸水性樹脂複合体に噴霧したり、ロールブラシで架橋剤溶液を塗布する方法により行うのが好ましい。なお、架橋剤溶液を過剰に付与した後、圧搾ロールで樹脂粒子がつぶれない程度に軽く圧搾したり、風を吹き付けたりして、余剰の架橋剤溶液を除去するようにしてもよい。この架橋剤溶液の付与は室温で行えばよい。架橋剤溶液を付与された吸水性樹脂複合体は、次いで加熱して架橋反応を進行させ、吸水性樹脂表面に選択的に架橋構造を形成させる。架橋反応の条件は用いる架橋剤により適宜選択すればよいが、通常は100℃以上の温度で10分間以上反応させる。本発明では、吸水性樹脂として不飽和カルボン酸重合物架橋体や部分中和アクリル酸重合物架橋体を好ましく用いることができる。
吸水性樹脂複合体は、堆積物として回収される。各吸水性樹脂複合体は互いに独立しているため、容易に開繊可能である。開繊には、繊維の説明で述べた開繊方法を同様に適宜用いることができるが、機械的衝撃により吸水性樹脂が破損しない装置、条件が好ましい。
吸水性樹脂複合体、あるいは吸水性樹脂複合体組成物には、目的とする用途に応じて所望の機能を付与するために各種の添加剤を加えることができる。これら添加剤としては、吸収する液体によるポリマー分解、変質を防止する安定剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤、芳香剤、発泡剤等を挙げることができる。
このうち吸収する液体によるポリマー分解、変質を防止する安定剤としては排泄物(即ち人尿、糞便)、体液(人血、経血、分泌液等の体液)による吸水性樹脂の分解、変質を防止する安定剤が挙げられる。特開昭63−118375号公報にはポリマー中に含酸素還元性無機塩および/または有機酸化防止剤を含有させる方法、特開昭63−153060号公報には酸化剤を含有させる方法、特開昭63−127754号公報には酸化防止剤を含有させる方法、特開昭63−272349号公報には硫黄含有還元剤を含有させる方法、特開昭63−146964号公報には金属キレート剤を含有させる方法、特開昭63−15266号公報にはラジカル連鎖禁止剤を含有させる方法、特開平1−275661号公報にはホスフィン酸基またはホスホン酸基含有アミン化合物またはその塩を含有させる方法、特開昭64−29257号公報には多価金属酸化物を含有させる方法、特開平2−255804号公報、特開平3−179008号公報には重合時水溶性連鎖移動剤を共存させる方法等が提案されている。これらはすべて本発明にて使用することができる。また、特開平6−306202号公報、特開平7−53884号公報、特開平7−62252号公報、特開平7−113048号公報、特開平7−145326号公報、特開平7−145263号公報、特開平7−228788号公報、特開平7−228790号公報に記載される材料および方法を使用することもできる。具体的にはたとえばシュウ酸チタン酸カリウム、タンニン酸、酸化チタン、ホスフィン酸アミン(またはその塩)、ホスホン酸アミン(またはその塩)、金属キレート等挙げられる。このうち特に人尿、人血、経血に対する安定剤をそれぞれ人尿安定剤、人血安定剤、経血安定剤と呼ぶことがある。
吸収した液による腐敗を防止するためには抗菌剤が用いられる。抗菌剤として例えば、「殺菌・抗菌技術の新展開」17〜80頁(東レリサーチセンター(1994))、「抗菌・抗カビ剤の検査・評価法と製品設計」128〜344頁(エヌ・ティー・エス(1997))、特許第2760814号公報、特開昭39−179114号公報、特開昭56−31425号公報、特開昭57−25813号公報、特開昭59−189854号公報、特開昭59−105448号公報、特開昭60−158861号公報、特開昭61−181532号公報、特開昭63−135501号公報、特開昭63−139556号公報、特開昭63−156540号公報、特開昭64−5546号公報、特開昭64−5547号公報、特開平1−153748号公報、特開平1−221242号公報、特開平2−253847号公報、特開平3−59075号公報、特開平3−103254号公報、特開平3−221141号公報、特開平4−11948号公報、特開平4−92664号公報、特開平4−138165号公報、特開平4−266947号公報、特開平5−9344号公報、特開平5−68694号公報、特開平5−161671号公報、特開平5−179053号公報、特開平5−269164号公報、特開平7−165981号公報に紹介されているものを適宜選択できる。
また、吸収した液の不快な臭気を防止あるいは緩和するものとして消臭剤、脱臭剤、芳香剤が用いられる。消臭剤、脱臭剤、芳香剤は例えば「新しい消臭・脱臭剤と技術と展望」(東レリサーチセンター(1994))、特開昭59−105448号公報、特開昭60−158861号公報、特開昭61−181532号公報、特開平1−153748号公報、特開平1−221242号公報、特開平1−265956号公報、特開平2−41155号公報、特開平2−253847号公報、特開平3−103254号公報、特開平5−269164号公報、特開平5−277143号公報に紹介されているものを適宜選択できる。具体的には消臭剤、脱臭剤としては鉄錯体、茶抽出成分、活性炭が挙げられる。芳香剤としては例えば香料系(シトラール、シンナミックアルデヒド、ヘリオトピン、カンファ、ボルニルアセテート)木酢液、パラジクロルベンゼン、界面活性剤、高級アルコール、テルペン系化合物(リモネン、ピネン、カンファ、ボルネオール、ユカリプトール、オイゲノール)が挙げられる。
また吸水性樹脂の吸水性能向上のために多孔化、広表面積化を図るべく、発泡剤、発泡助剤を併用することができる。発泡剤、発泡助剤としては例えば「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社、1989、259〜267頁)に紹介されているものを適宜選択できる。例えば重炭酸ナトリウム、ニトロソ化合物、アゾ化合物、スルフォニル・ヒドラジド等が挙げられる。
これらの添加剤は吸水性樹脂複合体の製造各工程で目的、作用機構に応じ適宜加えられる。例えば発泡剤は、吸水性樹脂の製造工程では重合工程前乃至重合工程途中で添加するのが適当である。人尿安定剤、人血安定剤、抗菌剤、消臭剤、芳香剤は吸水性樹脂複合体製造工程、吸水性樹脂複合体組成物製造工程、吸水性物品製造工程の各工程で添加可能である。もちろん予め繊維に施すことも可能である。
1.原料および製造工程
本発明の組成物は、一般的には、製造された上記複合体Aに対して適宜、別途調製された複合体Bおよび/または複合体Cおよび/または自由繊維を混合・分散させる方法(後混合法)あるいは、複合体Aの重合工程で同時に組成物を得る方法(同時混合法)等により調製することができる。また、必要に応じてその後に圧密法等による処理を加えてもよい。
例えば、上記の堆積した複合体Aあるいは上記の開繊され独立した複合体Aと複合体Bおよび/または複合体Cおよび/または自由繊維とを混合器で混合することにより任意の組成で混合した吸水性樹脂複合体組成物を製造することができる。この際、混合機としては粉体同士、粉体と繊維、あるいは繊維同士を混合できる固体混合装置を用いることができる。具体的には「化学工学II」(大山義年、岩波全書、1963、229頁)に詳述されている、たとえば、円筒型混合機、V型混合機、二重円錐型混合機、正立方体型混合機等の回転型混合機、スクリュー型混合機、リボン型混合機、回転円板型混合機、流動化型混合機等の固定型混合機等が挙げられる。
繊維の供給位置を工夫することにより、実質的に本発明の組成物を得ることができる。即ち重合率が低い段階で液滴を繊維と接触させると複合体B含有組成物が得られ、重合率が高い段階で液滴と接触させると複合体C含有組成物が得られる。
あるいはまた、重合進行中の吸水性樹脂あるいは吸水性樹脂複合体中の吸水性樹脂と実質的に接触しない方法で吸水性樹脂複合体製造時に繊維を供給、混合、分散させることによっても自由繊維を含有する組成物が得られる。
圧密は、圧力、温度、湿度等の条件を適宜調整しながら行う。例えば、プレス機は、平板プレス機、ロールプレス機等を使用することができる。圧力は、吸水性樹脂粒子が割れない範囲内であれば構わない。吸水性樹脂粒子が割れると、割れた粒子片が繊維から離脱して最終製品である吸収性物品から漏れたり、膨潤時に吸水ゲルが繊維から外れて漏れたり移動したりして、吸収性物品の性能を低下させることとなる。
また、圧密過程で加熱する場合は、使用する繊維の溶融点以下の温度に加熱することができる。溶融点以上で加熱すると、繊維同士が結着してネットワークを形成して、複合体の機能が損なわれる。
圧密過程で加湿する場合は、通常は蒸気を用いて加湿する。加湿条件により、組成物の密度を向上させ、吸水性樹脂粒子の繊維への固着性を改善することができる。
吸水性樹脂複合体組成物は、構成成分自体が互いに独立しているため、前記の複合体Aの集合体と同様に容易に開繊可能である。開繊には、前記の繊維の説明で述べた開繊方法を同様に適宜用いることができるが、機械的衝撃により吸水性樹脂が破損しない装置や条件を採用することが好ましい。
1.繊維
1)水の接触角
(1)用いた繊維を溶解または分散可能な溶媒を用いて濃度が1〜10重量%の溶液を調製した。
(2)その溶液を薄くシャーレに展開し、室温で、乾燥空気により穏やかに溶媒を蒸発させて十分に乾燥することにより、薄く展開したフィルム状成型物を得た。
(3)そのフィルム状成型物の空気表面に対する、25℃での蒸留水の接触角を求めた。接触角は自動接触角計CA−V型(協和界面科学(株)製)を用いて測定した。
繊維が混相流として共に供給される空気の流れにのって、上から下に移動すると仮定することにより繊維の反応場における滞留量を計算し、さらにその滞留量を全反応場の体積で割ることで反応場における繊維の空間密度を計算した。
1)液滴径
後述する3.2)の方法にしたがって測定した、吸水性樹脂複合体を構成する吸水性樹脂粒子の平均粒径dpおよびモノマー濃度Cmから下記式に従い計算した。
液滴径dd = dp /( Cm )1/3
液滴が、ノズルからの下向き吐出速度を初速度として、反応場を落下すると仮定することにより、液滴の反応場における滞留量を計算し、さらにその滞留量を全反応場の体積で割ることで反応場における液滴の空間密度を計算した。
(1)繊維を導入する位置にメタノールの液面が位置するように約150gのメタノールの入ったビーカーを設置し、重合を開始させた反応混合物の液滴を気相中で形成し、ビーカー中のメタノールへ約1gの重合進行中の液滴が落下するようにした。
(2)メタノール中のモノマー量を液体クロマトグラフィーで測定した。
(3)メタノール中のポリマーを130℃で3時間減圧乾燥した後、重量を測定した。
(4)それぞれの重量から以下の式により重合率を計算した(Mpはポリマー重量、Mmはモノマー重量)。
Mp
重合率(%) = ――――――――― x 100
Mm + Mp
1)吸水性樹脂複合体の形態確認
(1)吸水性樹脂複合体を走査型電子顕微鏡により20〜20,000倍に拡大して観察することにより繊維の一部が該樹脂内部に包埋され、その繊維の一部が該樹脂より露出している構造、あるいは繊維の該樹脂表面への接着状況を確認した。
(2)さらにミクロトーム等の精密切削装置により連続的に断面を切削し、その断面を20〜20,000倍に拡大して観察することによって、繊維の一部が該樹脂内部に包埋され、その繊維の一部が該樹脂より露出している構造、あるいは繊維の該樹脂表面への接着状況を確認した。
吸水性樹脂複合体の光学顕微鏡写真を撮影し、複合体を構成する100個の吸水性樹脂粒子(本明細書中で測定対象とした吸水性樹脂粒子はいずれも略球状であった)を任意に選定してそれらの直径を測定し、その個数基準の平均値を平均粒径とした。
約1gの吸水性樹脂複合体を、光学顕微鏡を用い、複合体A、複合体Bおよび複合体Cに分類した。各複合体の重量を精密天秤で測定し、各吸水性複合体の乾燥重量比を得た。
前項3)各吸水性樹脂複合体の乾燥重量比の測定で分類された各吸収性樹脂複合体について、複合体中の吸水性樹脂を選択的に分解させる薬剤を用い繊維を単離し、繊維重量を秤量することによって求めた。
具体的には、例えば吸水性樹脂複合体Aに関して、
(1)3)で得られた吸水性樹脂複合体Aの重量をWcとした。50mlの密閉ガラス容器にこの吸水性樹脂複合体Aを仕込み、25gの蒸留水に0.03gのL−アスコルビン酸を溶解させた水溶液を加えて膨潤させ、40℃で24時間保持した。
(2)その後、80℃で3時間減圧乾燥した恒量値になった濾紙でガラス容器の内容物を到達真空度10〜25mmHgのアスピレーターで吸引濾別し、濾紙上の繊維を十分水洗し、100℃で5時間乾燥して精秤し、その値をWfとした。
(3)下記式により吸水性樹脂複合体Aを構成する結合繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比を得た。
Wf
結合繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比 = ――――――――
Wc − Wf
(1)約5gの吸水性樹脂複合体をアッシュフォード社製の1対のハンドカーダー(22cm×12.5cm)の間にはさみ、手動により5回梳毛した。
(2)梳毛のしやすさと、梳毛後の吸水性樹脂粒子の破損状況により以下の様に3段階で評価した。
○: 梳毛しやすく、かつ梳毛後の吸水性樹脂粒子にほとんど破損がない。
△: 梳毛に抵抗感があり、梳毛すると梳毛後の吸水性樹脂粒子の破損がある。
×: 梳毛できない程度に抵抗感が強いか、あるいは梳毛に強い抵抗感があり、
梳毛すると梳毛後の吸水性樹脂粒子の破損が著しい。
(1)あらかじめ必要量の生理食塩水(0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液)を調製した。
(2)吸水性樹脂複合体中の結合繊維と吸水性樹脂の比率を上記3.3)と同様の方法で求め、吸水性樹脂複合体中の吸水性樹脂の重量が約1gとなるように吸水性樹脂複合体を集め、その重量(W1)を測定した。また吸水性樹脂と繊維の比率から吸水性樹脂複合体中の繊維の重量(W2)を計算で求めた。
(3)この吸水性樹脂複合体を250メッシュのナイロン袋(20cm×10cm)に入れ、室温の生理食塩水500ml中に30分間浸漬した。
(4)次いでナイロン袋を引上げ、15分間懸垂して水切りしたのち、遠心分離機を用いて90Gで90秒間脱水した。
(5)脱水後の吸水性樹脂複合体を含むナイロン袋の重量W3を測定した。
(6)製造に用いたものと同一の繊維を上記複合体に含まれる重量(W2)と同一重量分、同様に250メッシュのナイロン袋(20cm×10cm)に入れ、室温の生理食塩水500ml中に30分間浸漬した。
(7)次いでナイロン袋を引上げ、15分間懸垂して水切りしたのち、遠心分離機を用いて90Gで90秒間脱水した。脱水後の繊維を含むナイロン袋の重量W4を測定した。
(8)生理食塩水の保水能Sは以下の式にしたがって算出した。ここでW1〜W3の単位はすべてgである。
W3 − W4
保水能S = ――――――――
W1 − W2
加圧下吸水能(AUL)は、吸水性材料が負荷を受けているときに、液体を吸収する能力の指標である(図1参照)。
(1)吸水性樹脂複合体中の吸水性樹脂の重量が約0.16gとなるように吸水性樹脂複合体を集め、重量を測定した。金網11付き円筒管12(金網#100、内径25.4mmφ)の重量を測定した。これらの重量をそれぞれ、吸水性樹脂複合体重量Sd(g)および円筒管重量Td(g)とする。
(2)シャーレ13(100mmφ)に人工尿(組成後述)を25g入れた。
(3)吸水性樹脂複合体を金網付き円筒管に均一に仕込んだ。
(4)荷重14(100g)を吸水性樹脂複合体の上に乗せた。なおこの荷重14と円筒管12の間には、抵抗や摩擦がないようにしなければならない。
(5)吸水性樹脂複合体の入った円筒管12を、金網を下にしてシャーレ13の中の人工尿に静かに浸した。
(6)その状態で1時間吸水させた。
(7)円筒管12をシャーレ13から静かに取り出した。
(8)円筒管12を濾紙(#424)の上に静かに乗せて円筒管底部(金網部)の余剰水をぬぐい取った。
(9)荷重14を取り除き、荷重に付着した吸水性樹脂は円筒管側へ移した。
(10)円筒管12の重量を測定した。この重量を吸水後円筒管重量Tw(g)とする。
(11)吸水後試料重量Sw(g)を以下の計算により求めた。
Sw = Tw−(Sd+Td)
(12)吸水性複合体製造に用いたのと同一の繊維単独の加圧下吸水能を測定した。即ち用いた繊維についても1)〜11)の操作を実施し、2)で繊維の重量をNd(g)とし、11)で得られた繊維単独の吸水量に対応する吸水後繊維重量Nw(g)を求めた。
(13)加圧下吸水能は以下の計算で求めた。
吸水量A(g) = Sw−Nw
加圧下吸水能(AUL)(g/g) = A/(Sd−Nd)
1)高密度化吸水性複合体組成物の作製
3.で得られた各吸水性樹脂複合体の重量比および各吸水性複合体を構成する結合繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比を用い、吸水性樹脂目付量および繊維(結合繊維+自由繊維)と吸水性樹脂の乾燥重量比が所定の値となるように吸水性樹脂複合体および自由繊維を混合した。
例えば複合体A、BおよびCの乾燥重量比がそれぞれa、b、c(a+b+c=1)、各複合体を形成する繊維の乾燥重量比率がα、β、γである吸水性樹脂複合体×[g/m2]と自由繊維y[g/m2]から、吸水性樹脂目付量がP[g/m2]、自由繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比がF[w/w]である高密度化吸水性樹脂複合体組成物を作製するとき、
[a(1−α)+b(1−β)+c(1−γ)]x = P[g/m2]
と
y
――――――――――――――――――――――― = F[w/w]
[a(1−α)+b(1−β)+c(1−γ)]x
の関係が成立し、a、b、c、α、β、γおよびP、Fが与えられれば、x,yは計算することができる。ただしここではP=300g/m2(一定値)とした。
この混合物が、40cm×10cmとなるようにステンレス板上に均一に敷き詰め、さらにその上にステンレス板を重ね、両側から0.6MPaの荷重をかけ、20分間放置後、圧力を開放し、高密度吸収性樹脂複合体組成物を得た。
上記手順で作製した高密度化吸水性樹脂複合体組成物を以下の手順でそれぞれ評価、測定した。
高密度化吸水性樹脂複合体組成物を5cmX5cmに切りだし、JIS l−1096に準拠して、高密度化吸収性樹脂複合体組成物の厚みを測定した(図2)。
(1)レオメーター(FUDOH社製品、型番:NRM−2003J)に直径30mmのアダプター1を取り付けてサンプル台2が2cm/minの速度で上昇し、0.2psiの圧力がかかった時点で停止するようにセットした。
(2)サンプル3を測定台にセットしてサンプル台2を上昇させて0.2psiの圧力になって停止した位置でのアダプター1の上面からサンプル台2の下面までの距離4をノギスを用いて測定した。
(3)サンプルは5枚測定し、その平均値を求めた。
(4)サンプルをサンプル台2に乗せずにブランク測定も同時に行った。
(5)厚みは下記式から求めた。
厚み(mm) = サンプル測定値(mm)−ブランク測定値(mm)
高密度化吸水性樹脂複合体組成物を5cmX5cmに切り出し、その重量を測定し、下記式から嵩密度を求めた。サンプルは5枚測定し、その平均値を求めた。
サンプル重量(g)
嵩密度(g/cm3)= ――――――――――――――――――――――
サンプル厚み(cm)Xサンプル面積(cm2)
高密度化吸水性樹脂複合体組成物を2cmX25cmに切りだし、温度25℃、湿度50℃に一昼夜保管後、図3に示すJIS L−1096の比較的柔らかい織物に使用されるハートループ法を用いて剛軟性を測定した。
(1)図3に示される水平棒のつかみ51にサンプル片52をハートループ状に取り付け、サンプル片の有効長が20cmとなるようにした。
(2)1分間経過してから水平棒の頂部とループの最下点との距離L(cm)を測定した。ここではLを剛軟性と定義した。サンプルは5枚測定し、その平均値を求めた。
高密度化吸水性樹脂複合体組成物を5cm×5cmに切り出し、10MPaの圧力を10分間かけて圧縮し、4.2)厚み測定法に基づき、圧縮直後および温度25℃、湿度50℃ の条件下で30日間保管した後の厚みを測定し、下記式によって算出した。サンプルは5枚測定し、その平均値を求めた。
圧縮30日後の厚み−圧縮直後の厚み(mm)
復元率(%)= ―――――――――――――――――――――― X 100
圧縮直後の厚み(mm)
(吸水性物品の作製)
高密度化吸水性樹脂複合体組成物を用いて下記の手順で吸水性物品であるおむつを作製した。
(1)水不透過性ポリエチレンシート(目付量18g/m2)21上に、ティッシュ22(目付量14g/m2)、高密度化吸水性樹脂複合体組成物24(吸水性樹脂が300g/m2となる量かつ10cmX40cmの大きさ)、ティッシュ25(目付量14g/m2)、および水透過性ポリエステル繊維不織布26(目付量23g/m2)の順に図4に示すように重ね、両側からステンレス板で挟み0.6MPaの圧をかけ、20分間放置し、密着させた。
(2)圧力を開放し、吸水性物品の4辺を熱圧着させた。
(3)圧着部分の外端を切り出し、約10cmX約40cmの吸水性物品が作成された。
上記手順で作製した吸収性物品を、以下の手順で測定し、評価した。
(1)吸水性物品を10cmX10cmの大きさに切り出し(4辺とも開放)、重量を測定した。吸水性樹脂複合体中の吸水性樹脂の重量割合から、全吸水性樹脂量を求めた。JISZ8801で規定された標準網篩(内枠の寸法が、内径150mm、深さ45mm、20メッシュ)に切りだした吸水性物品をテープで中央に固定した。
(2)(株)東京篠原製作所製、型番SS−S−228型ロータップ型震とう機を用意し、JIS Z8815の図(図5)における最上段にのみ吸水性物品を固定した。
(3)衝動数165回/分、回転数290回/分にセットし、振とう60分後に吸水性物品から離脱する吸水性樹脂粒子の重量を測定し下記式から脱落率を求めた。
脱落吸水性樹脂量(g)
吸水性樹脂脱落率(%)= ――――――――――――――― X 100
振とう前全吸水性樹脂量(g)
吸水性物品をこするように作用する力が反復して加わったときの、吸水性物品の吸水ゲルの脱落量を以下の手順で測定した。
(1)面平滑台上に吸水性物品31を置き、中央に内径40mmの上方が開放された円筒32が取付けられており、かつ円筒32で囲まれた部分に、直径5mmの7箇の貫通孔33がほぼ等間隔となるように設けられているアクリル板34(100×100×10mm、全重量150g)を図6に示すように置いた。
(2)人工尿(組成後述)150mlを円筒内に入れ、吸水性物品に吸水させた。
(3)完全吸水後30分間室温下に放置して、図7に示すように吸水性物品の中心41から5cmずつのところ42を切り取った。切り取った部分の重量を測定した。
(4)測定後、20cmX20cmのアクリル板の中心に載せた。切り取ったサンプルと同じ大きさの底面積(10cmX10cm)の荷重(3Kg)を形状に合わせてはみ出さないように載せた。
(5)一体サンプルを振とう機(井内盛栄堂社製品、型番MS−1)の移動方向に対してサンプルの切り口が垂直になるようにセットし、振幅50mm、振動数80回/分で、30分間振とうさせた。
(6)振とう後荷重を取り除き、サンプルから脱落した吸水ゲルの重量を測定し、下記式を用いてゲル脱落率を計算した。
押し出されたゲル量(g)
ゲル脱落率(%) = ―――――――――――――――― X 100
押し出される前の全ゲル量(g)
5.1)吸水速度および放水量測定と、5.2)ゲル脱落率測定には、以下の組成の人工尿を用いた。
尿素 1.94重量%
塩化ナトリウム 0.80重量%
塩化カルシウム 0.06重量%
硫酸マグネシウム 0.11重量%
蒸留水 97.09重量%
アクリル酸100重量部に、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液133.3重量部、蒸留水3.3重量部を加え、モノマー濃度50重量%、中和度60モル%の部分中和アクリル酸水溶液を調製した。該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.14重量部とさらに酸化剤として31重量%の過酸化水素水溶液4.55重量部を加えて溶液Aを調製した。
溶液Aおよび溶液Bは、それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、それぞれ約10mmほど液柱を形成した後、液滴となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下した。反応器の空間容量とモノマー供給量および液滴の落下速度から見積もられる反応器内の液滴の空間密度は2g/m3であった。
液滴は気相中で繊維と衝突して吸水性樹脂複合体前駆体を形成しノズルの先端より下方3mに設置した搬送部分がメッシュベルトであるベルトコンベアー上に堆積物として回収した。なお、メッシュ下はブロワーで吸引することで、メッシュ上下の圧力差が1,000Paとなるようにコントロールした。さらに回収物を乾燥後ふるいにかけ、吸水性樹脂と結合しなかった自由繊維を除去し、吸水性樹脂と繊維とからなる製造物を得た。
繊維として用いたパルプの代わりに、繊維径が1.7デシテックス、長さが0.9mmで、水の接触角が80°であるポリエチレンテレフタレート(PET)を用いる以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。その製造物は実施例1と同様の構造の吸水性樹脂複合体であることが確認できた。(図10中の写真103および104)
繊維として用いたパルプの代わりに、繊維径1.7がデシテックス、長さが0.9mmで、水の接触角が50°であるナイロンを用いる以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。その製造物は実施例1と同様の構造の吸水性樹脂複合体であることが確認できた。(図11中の写真105および106)
繊維として用いたパルプの代わりに、繊維径が1.7デシテックス、長さが0.9mmで水の接触角が50°であるナイロンと、同一の繊維径および長さを有し、水の接触角が0°であるレーヨンとの重量比が1:1の繊維混合物を用いる以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。その製造物は実施例1と同様の構造の吸水性樹脂複合体であることが確認できた。(図12中の写真107および108)
ノズルの先端より下方0.8mに設置した繊維供給口からのみ繊維を供給した以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。この製造物を顕微鏡で観察したところ、以下の2種類の吸水性樹脂複合体からなる組成物であることが判明した。
(1)実施例1と同様の構造の吸水性複合体
(2)1個の吸水性樹脂粒子と1本以上の繊維を含む略球状の吸水性樹脂複合体であ
って、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるととも
に一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂
粒子の表面に接着していない吸水性樹脂複合体(図13中の略図、写真109
および110)
顕微鏡観察の結果、(1)の全体における比率は0.3であった。
ノズルの先端より下方1.6mに設置した繊維供給口からのみ繊維を供給した以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。この製造物を顕微鏡で観察したところ、以下の2種類の吸水性樹脂複合体からなる組成物であることが判明した。
(1)実施例1と同様の構造の吸水性複合体
(2)1個の吸水性樹脂粒子と1本以上の繊維を含む略球状の吸水性樹脂複合体であ
って、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着しており
かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子内に包埋されていない吸水性樹脂複合
体(図14中の略図、写真111および112)
顕微鏡観察の結果、(1)の全体における比率は0.2であった。
実施例5で得られた組成物47.5重量部、実施例6で得られた組成物47.5重量部および、実施例1で用いた物と同一の繊維5重量部を回転羽根式混合機で均一に混合し、製造物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、以下の3種類の吸水性樹脂複合体および繊維からなる組成物であることが判明した。
(1)実施例1と同様の構造の吸水性複合体
(2)1個の吸水性樹脂粒子と1本以上の繊維を含む略球状の吸水性樹脂複合体であ
って、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるととも
に一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂
粒子の表面に接着していない吸水性樹脂複合体
(3)1個の吸水性樹脂粒子と1本以上の繊維を含む略球状の吸水性樹脂複合体であ
って、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着しており
かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子内に包埋されていない吸水性樹脂複合
体
(4)吸水性樹脂に包埋も接着もされることのない繊維
顕微鏡観察の結果、(1)の合計重量における比率は0.24であった。
繊維として用いたパルプの代わりに、繊維径1.7がデシテックス、長さが0.9mmで、水の接触角が108°であるポリ四フッ化エチレン(PTFE)を用いる以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。その製造物は実施例1と同様の構造の吸水性樹脂複合体であることが確認できた。
特開昭63−63723号公報の実施例に準拠して、以下の実験を行った。
アクリル酸45.0gおよび蒸留水1.5gを200mlのビーカーに秤取り、35℃以下の冷却下25%の水酸化ナトリウム水溶液60.0gで中和し、部分中和アクリル酸水溶液を得た(モノマー濃度50重量%、中和度60モル%)。41.9mgのN,N'−メチレンビスアクリルアミドおよびL−アスコルビン酸0.31gを溶解した。ポリエステルシートで完全に上面をシールした300mlのステンレス製ビーカーの上面シートに穴を開けゴム管を通して系内を十分に窒素置換した。前記混合モノマー水溶液を前記ステンレス製ビーカーに注いでからステンレス製ビーカーを50℃の浴温に浸し、攪拌下、30%過酸化水素水0.84gを投入し重合を行った。約1分後に最高温度110℃を示した。以後50℃の温浴に浸した状態で2時間保持した後20℃まで冷却して、含水吸水性樹脂を得た。この含水吸水性樹脂70g(吸水性樹脂35g)と水200gおよび実施例1で用いたのと同じ開繊されたパルプ10gとをスクリュー回転式混合機を用いて約2時間混練後、100℃で8時間減圧乾燥機にて乾燥した。その後、回転羽根式粉砕機にて粉砕し、さらにふるいにかけ、自由繊維を除去して吸水性複合体組成物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、繊維の一部が吸水性樹脂に包埋されている構造が確認できた。しかしながら繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着している構造は見られなかった。(図15中の略図、写真113および114)
特開平11−93073号公報の実施例に準拠して、以下の実験を行った。
80重量%アクリル酸水溶液125重量部および30重量%水酸化ナトリウム水溶液133重量部を混合して、中和度72モル%、濃度47重量%の部分中和アクリル酸水溶液を得た。該部分中和アクリル酸水溶液に、架橋剤N,N'―メチレンビスアクリルアミド0.04重量部と、開始剤2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3重量部とを、蒸留水13重量部に溶解したものを加え、窒素にて脱気し、モノマー水溶液とした。
実施例1のノズルの代わりに一液型スプレーノズルを用い、液温を25℃に保持し、流速40ml/分となるようにポンプで供給した。
モノマー溶液は液滴となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度25℃)を落下した。反応器の空間容量とモノマー供給量および液滴の落下速度から見積もられる反応器内の液滴の空間密度は3g/m3であった。
液滴は気相中で繊維と衝突して吸水性樹脂複合体前駆体を形成し、ノズルの先端より下方3mに設置した搬送部分がメッシュベルトであるベルトコンベア上で堆積物として回収された。なお、メッシュ下にブロワーで吸引することでメッシュ上下の圧力差が1,000Paとなるようにコントロールした。さらに回収物を80℃のオーブンに入れて、付着しているモノマー水溶液の重合を30分間行い、その後140℃で熱風処理をして吸水性樹脂複合体を得た。
さらに回収物をふるいにかけ、自由繊維を除去しようと試みたが吸水性樹脂が繊維間の接着剤ともなっており、事実上自由繊維はなかった。このようにして吸水性樹脂と繊維とからなる製造物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着している構造が確認できた。しかしながら繊維の一部が吸水性樹脂に包埋されている構造は見られなかった。(図16中の略図、写真115および116)
実施例1〜8および比較例1、2で製造された吸水性樹脂複合体およびその集合体に関して、形態観察、吸水性樹脂の平均粒径、複合体A中の繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比、開繊性、保水能、加圧下吸水能を測定した。
また、実施例1〜8および比較例1、2で製造された吸水性樹脂複合体を用いて、吸水性樹脂複合体組成物を調製し、高密度化処理前に各複合体と自由繊維の重量比率および自由繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比を測定した。なお、この比は引き続いて行った圧密処理により変化しないと考えた。また、吸水性樹脂複合体組成物の圧密処理により得られた高密度化吸水性樹脂複合体組成物について、厚み、嵩密度、剛軟性、復元率を測定した。
さらに高密度化吸水性樹脂複合体組成物を用い、吸収性物品を作製し、吸水性樹脂脱落率とゲル脱落率を測定した。
それぞれの測定、評価結果を表1にまとめた。
なお、比較例1,2の吸水性樹脂複合体は開繊した際、破砕部分が発生した。
2 サンプル台
3 サンプル
4 距離
11 金網
12 円筒管
13 シャーレ
14 荷重
21 水不透過性ポリエチレンシート
22 ティッシュ
24 高密度化吸水性樹脂複合体組成物
25 ティッシュ
26 水透過性ポリエステル繊維不織布
31 吸水性物品
32 円筒
33 貫通孔
34 アクリル板
41 中心
42 切断線
51 つかみ
52 サンプル片
Claims (19)
- 1個の吸水性樹脂粒子と2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、前記吸水性樹脂粒子が略球状であり、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着していることを特徴とする吸水性樹脂複合体。
- 前記繊維と前記吸水性樹脂粒子の乾燥重量比が1:1〜1:1,000,000である請求項1に記載の吸水性樹脂複合体。
- 前記吸水性樹脂粒子の粒径が50〜1,000μmである請求項1または2に記載の吸水性樹脂複合体。
- 前記繊維の平均繊維長が50〜50,000μmである請求項1〜3のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体。
- 前記繊維の繊維径が0.1〜500デシテックスである請求項1〜4のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体。
- 前記2本以上の繊維のうちの1本以上が水の接触角が60°以下の繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体。
- 前記繊維がセルロースである請求項6に記載の吸水性樹脂複合体。
- 前記繊維がパルプである請求項6に記載の吸水性樹脂複合体。
- 前記吸水性樹脂が不飽和カルボン酸重合物架橋体である請求項1〜8のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体。
- 前記吸水性樹脂が部分中和アクリル酸重合物架橋体である請求項1〜8のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体を含む吸水性樹脂複合体組成物。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体を重量分率で0.1以上含む吸水性樹脂複合体組成物。
- 1個以上の吸水性樹脂粒子と1本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、前記吸水性樹脂粒子が略球状であり、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子の表面に接着していない吸水性樹脂複合体、を含む請求項11または12に記載の吸水性樹脂複合体組成物。
- 1個以上の吸水性樹脂粒子と1本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、前記吸水性樹脂粒子が略球状であり、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子内に包埋されていない吸水性樹脂複合体、を含む請求項11〜13のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体組成物。
- 吸水性樹脂に包埋も接着もされることのない繊維を1本以上含む請求項11〜14のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体組成物。
- 吸水性樹脂に包埋も接着もされることのない繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比が95:5〜5:95である請求項15に記載の吸水性樹脂複合体組成物。
- 吸水性樹脂に包埋も接着もされることのない繊維の長さが50〜100,000μmである請求項15または16に記載の吸水性樹脂複合体組成物。
- 嵩密度が0.15〜0.85g/cm3である請求項11〜17のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体組成物。
- 開繊可能な請求項11〜18のいずれかに記載の吸水性樹脂複合体組成物。
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