JP2004331807A - ポリエステル - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性ポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
生分解性高分子材料として脂肪族ポリエステルが注目されており、多くの研究が行われている。ポリ−L−乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等およびこれらの共重合体のいくつかは実用化の段階を迎えている。しかしながら、これらはすべて脂肪族ポリエステルであり、一般的に耐熱性や機械的性質等が劣るために、その用途に制限が加えられる。そこで、耐熱性や機械的性質等の向上した生分解性高分子材料が求められている。
【0003】
また、桂皮酸残基を側鎖に有するポリビニルアルコールを光架橋した樹脂が知られている(非特許文献1、2参照)が、主鎖に桂皮酸残基を有し生分解性を有するものは知られていない。
【0004】
【非特許文献1】「高分子材料の化学」、丸善出版、1982年、p.203
【0005】
【非特許文献2】「実験化学講座29 高分子材料」、第4版、丸善出版、1993年、p.250
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的性質等に優れる生分解性ポリエステルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)一般式(I)
【0008】
【化2】
【0009】
[式中、Aは−(CH2)n−(式中、nは2〜16の整数を表す)を表し、Bはマクロジオールの残基を表す]で表される構造単位を有するポリエステル。
(2)重量平均分子量が5000〜3000000である(1)記載のポリエステル。
(3)マクロジオールの数平均分子量が、200〜10000である(1)または(2)に記載のポリエステル。
(4)マクロジオールが、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール、ポリ(エチレンサクシネート)ジオール、ポリ(ブチレンサクシネート)ジオール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリ乳酸ジオールである(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステルを、光照射により硬化して得られる硬化物。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルは、以下の方法により製造することができる。
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、AおよびBはそれぞれ前記と同義である)
まず、一般式(II)で表される脂肪族二塩基酸ジクロライド[以下、化合物(II)という。他の式番号のものについても同様に表現する]と好ましくは、1〜5当量の4−ヒドロキシ桂皮酸とを室温〜60℃で反応させ、化合物(III)を得る。次に、化合物(III)を好ましくは1〜10当量の塩化チオニルと還流下で反応させ、化合物(IV)を得る。次に、化合物(IV)と好ましくは、0.5〜10当量のマクロジオール[化合物(V)]を、100〜250℃で反応させて、一般式(I)で表される構造単位を有するポリエステルを得る。各工程において、反応後に、有機化学的な精製方法(シリカゲルカラムクロマトグラフィー、晶析、抽出等)を用いて、各中間体を精製してもよい。
【0013】
化合物(II)としては、コハク酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド等が好ましい。
マクロジオールとしては、数平均分子量が200〜10000のジオールが好ましく、具体的には、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール、ポリ(エチレンサクシネート)ジオール、ポリ(ブチレンサクシネート)ジオール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ乳酸ジオール等が好ましい。
【0014】
また、4−ヒドロキシ桂皮酸の使用量は、特に限定されるものではないが、本発明のポリエステルの全原料中、0.1〜50モル%であるのが好ましく、0.5〜30モル%であるのがより好ましい。
また、本発明のポリエステルの重量平均分子量は、5000〜3000000であるのが好ましく、10000〜1500000であるのがより好ましく、30000〜1000000であるのがさらに好ましい。
【0015】
本発明のポリエステルは、光照射、好ましくは、280nm以下の紫外線の照射によって硬化するが、その際に、光重合開始剤を用いるのが好ましい。
光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類等があげられる。
【0016】
光重合開始剤の使用量は、本発明のポリエステル100重量部に対して好ましくは0.2〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
本発明のポリエステルおよび該ポリエステルを光照射により硬化して得られる硬化物は、毒性が低く、また生分解性を有する。また、本発明のポリエステルおよび該ポリエステルを光照射により硬化して得られる硬化物は、機械的性質等、特にエラストマーとしての性質に優れる。また、エラストマーとしての使用以外にも、ハイドロゲル、粘着剤、接着剤、環境関連またはメディカル関連のポリマー材料等に使用することもできる。
【0017】
【実施例】
参考例1、2および実施例1の反応を以下のスキームに示す。
【0018】
【化4】
【0019】
上記において、HO−PCL−OHは、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール(数平均分子量1250)を表す。
【0020】
参考例1
4−ヒドロキシ桂皮酸16.4g(0.10 mol)を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100 mlに溶解した溶液に、クロロホルム25 mlにアジピン酸ジクロライド9.15g(0.050 mol)を溶かした溶液を激しく撹拌しながら加えた。30分間撹拌後、全沈殿物を濾取し、水、1mol/L塩酸水溶液およびアセトンで洗浄し、乾燥し、ジメチルスルホキシド/エタノール混合溶媒より再結晶して16.6g(収率76 %)のCACを得た。融点:282−283℃
【0021】
参考例2
CAC 4.38g(10 mmol)と塩化チオニル20 mlの混合物を、4時間、還流した。過剰の塩化チオニルを減圧下に留去して白色ないし淡黄色の沈殿物を得、これをトルエンより2回再結晶して、CAC−Cl2 4.40g(収率92%)を得た。融点:135−136℃。
【0022】
実施例1
CAC−Cl2 0.950g(2 mmol)、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール(重量平均分子量1250)2.50 g および15 mlのジフェニルオキシドを温度計、磁気攪拌機および乾燥管を備えた三口丸底フラスコに乾燥窒素を吹き込みながら注入した。温度を30分かけて180〜185℃に上げて、同温度で2時間加熱した。冷却後、得られた粘ちゅう液を75 mlの冷却した n−ヘキサン中に注ぎ込んだ。沈殿した白色のポリマーを濾取し、さらに濾取した固体をクロロホルムに溶解させ、n−ヘキサンに加えて、再沈殿させる操作を2回行い、得られた沈殿物を室温で24時間、真空乾燥した。得られたポリマーの収率、分子量および分子量分布(Mw/Mn)を表1に示す。表中のMnは、数平均分子量を表し、Mwは、重量平均分子量を表す。
実施例2、3
ポリ(ε−カプロラクトン)ジオールの重量平均分子量をそれぞれ2000および3000に変える以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを得た。得られたポリマーの収率、分子量および分子量分布(Mw/Mn)を表1に示す。
【0023】
なお、各実施例における分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて行い、以下の条件でポリスチレン換算分子量を求めた。
GPC分析条件:
機器:Waters社製 Alliance System
展開溶媒:クロロホルム
流速:1ml/分
カラム:Styragel(Waters社製:300×7.8mm) 3本を直列に接続した。
カラム温度:35℃
検出器:示差屈折計
【0024】
【表1】
【0025】
試験例1
熱的性質を示差走査熱量測定器(DSC)によって測定した。DSC測定は、サンプルの前熱履歴を除くため溶融し、クェンチしたサンプルで行った。全サンプルは、融解温度(Tm)以上に加熱し、液体窒素中でクェンチした。DSC測定により得られたガラス転移温度(Tg)、結晶の融解に伴うエンタルピー変化(△H)等の測定結果を表2に示す。
DSC分析条件:
機器:島津製作所(株)製 DSC50示差走査熱量計
容器:アルミニウムシール
窒素流量:40ml/分
サンプル重量:3〜5mg
リファレンス:アルミニウム
昇温速度:10℃/分
【0026】
【表2】
【0027】
実施例4〜6
実施例1〜3で得られたポリエステルをその融点より約20℃高い温度でメルトプレスして氷水中に投入して厚さ200〜220 μm のフィルムを作成した。
次に、得られたフィルムに、400 W高圧水銀ランプ(SEN LIGHTS CORPORATION製)を光源とし、280nm以下の光をカットするパイレックス(登録商標)フィルターを通して、30〜60分間、室温で光照射し、硬化を行った。光強度は1.0 mW/cm2であった。実施例1〜3で得られたポリエステルから得られたフィルムを光照射により硬化したものをそれぞれ、実施例4〜6で得られる硬化物とした。
【0028】
試験例2
実施例4〜6で得られた硬化物のゲル分率およびオートグラフによる機械的性質を測定した。その結果を表3に示す。
【0029】
機械的性質は下記の条件で、オートグラフを用いて20〜22℃で測定した。
オートグラフ分析条件:
機器:島津製作所(株)製 IM−100オートグラフ
試験片形状:10mm短冊
引張速度:20mm/分
また、ゲル分率測定は以下のように実施し、ゲル分率を算出した。
ゲル分率測定:フィルムを室温でクロロホルム中に24時間浸漬後、濾取する。
さらに、未溶解部分をクロロホルムにて洗浄後、室温にて24時間真空乾燥する。
【0030】
【数1】
【0031】
【表3】
【0032】
実施例4で得られたフィルムは、500%までの伸びに対して瞬時にもとに戻りエラストマーとして優れた性質を有することが確認された。特に実施例5、6で得られたフィルムは、強度と伸度が大きく機械的性質に優れており、強靭な材料であることが確認された。
【0033】
試験例3
実施例1で得られたポリエステルを実施例4と同様にして、60分間、光照射して得られたフィルムをPs. cepaciaリパーゼを用いてpH7.2のリン酸緩衝水溶液中、37℃で14日間、酵素分解させたところ、約36%の重量損失を示した。
【0034】
さらに同フィルムについて26〜27℃、95% R.H.(相対湿度)で6ヶ月間の土壌埋設試験を行った結果、フィルムがぼろぼろになり、60%の重量損失を示し、土壌中で、顕著に分解されることを確認した。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、機械的性質等に優れる生分解性ポリエステルが提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性ポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
生分解性高分子材料として脂肪族ポリエステルが注目されており、多くの研究が行われている。ポリ−L−乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等およびこれらの共重合体のいくつかは実用化の段階を迎えている。しかしながら、これらはすべて脂肪族ポリエステルであり、一般的に耐熱性や機械的性質等が劣るために、その用途に制限が加えられる。そこで、耐熱性や機械的性質等の向上した生分解性高分子材料が求められている。
【0003】
また、桂皮酸残基を側鎖に有するポリビニルアルコールを光架橋した樹脂が知られている(非特許文献1、2参照)が、主鎖に桂皮酸残基を有し生分解性を有するものは知られていない。
【0004】
【非特許文献1】「高分子材料の化学」、丸善出版、1982年、p.203
【0005】
【非特許文献2】「実験化学講座29 高分子材料」、第4版、丸善出版、1993年、p.250
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的性質等に優れる生分解性ポリエステルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)一般式(I)
【0008】
【化2】
【0009】
[式中、Aは−(CH2)n−(式中、nは2〜16の整数を表す)を表し、Bはマクロジオールの残基を表す]で表される構造単位を有するポリエステル。
(2)重量平均分子量が5000〜3000000である(1)記載のポリエステル。
(3)マクロジオールの数平均分子量が、200〜10000である(1)または(2)に記載のポリエステル。
(4)マクロジオールが、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール、ポリ(エチレンサクシネート)ジオール、ポリ(ブチレンサクシネート)ジオール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリ乳酸ジオールである(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステルを、光照射により硬化して得られる硬化物。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルは、以下の方法により製造することができる。
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、AおよびBはそれぞれ前記と同義である)
まず、一般式(II)で表される脂肪族二塩基酸ジクロライド[以下、化合物(II)という。他の式番号のものについても同様に表現する]と好ましくは、1〜5当量の4−ヒドロキシ桂皮酸とを室温〜60℃で反応させ、化合物(III)を得る。次に、化合物(III)を好ましくは1〜10当量の塩化チオニルと還流下で反応させ、化合物(IV)を得る。次に、化合物(IV)と好ましくは、0.5〜10当量のマクロジオール[化合物(V)]を、100〜250℃で反応させて、一般式(I)で表される構造単位を有するポリエステルを得る。各工程において、反応後に、有機化学的な精製方法(シリカゲルカラムクロマトグラフィー、晶析、抽出等)を用いて、各中間体を精製してもよい。
【0013】
化合物(II)としては、コハク酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド等が好ましい。
マクロジオールとしては、数平均分子量が200〜10000のジオールが好ましく、具体的には、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール、ポリ(エチレンサクシネート)ジオール、ポリ(ブチレンサクシネート)ジオール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ乳酸ジオール等が好ましい。
【0014】
また、4−ヒドロキシ桂皮酸の使用量は、特に限定されるものではないが、本発明のポリエステルの全原料中、0.1〜50モル%であるのが好ましく、0.5〜30モル%であるのがより好ましい。
また、本発明のポリエステルの重量平均分子量は、5000〜3000000であるのが好ましく、10000〜1500000であるのがより好ましく、30000〜1000000であるのがさらに好ましい。
【0015】
本発明のポリエステルは、光照射、好ましくは、280nm以下の紫外線の照射によって硬化するが、その際に、光重合開始剤を用いるのが好ましい。
光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類等があげられる。
【0016】
光重合開始剤の使用量は、本発明のポリエステル100重量部に対して好ましくは0.2〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
本発明のポリエステルおよび該ポリエステルを光照射により硬化して得られる硬化物は、毒性が低く、また生分解性を有する。また、本発明のポリエステルおよび該ポリエステルを光照射により硬化して得られる硬化物は、機械的性質等、特にエラストマーとしての性質に優れる。また、エラストマーとしての使用以外にも、ハイドロゲル、粘着剤、接着剤、環境関連またはメディカル関連のポリマー材料等に使用することもできる。
【0017】
【実施例】
参考例1、2および実施例1の反応を以下のスキームに示す。
【0018】
【化4】
【0019】
上記において、HO−PCL−OHは、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール(数平均分子量1250)を表す。
【0020】
参考例1
4−ヒドロキシ桂皮酸16.4g(0.10 mol)を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100 mlに溶解した溶液に、クロロホルム25 mlにアジピン酸ジクロライド9.15g(0.050 mol)を溶かした溶液を激しく撹拌しながら加えた。30分間撹拌後、全沈殿物を濾取し、水、1mol/L塩酸水溶液およびアセトンで洗浄し、乾燥し、ジメチルスルホキシド/エタノール混合溶媒より再結晶して16.6g(収率76 %)のCACを得た。融点:282−283℃
【0021】
参考例2
CAC 4.38g(10 mmol)と塩化チオニル20 mlの混合物を、4時間、還流した。過剰の塩化チオニルを減圧下に留去して白色ないし淡黄色の沈殿物を得、これをトルエンより2回再結晶して、CAC−Cl2 4.40g(収率92%)を得た。融点:135−136℃。
【0022】
実施例1
CAC−Cl2 0.950g(2 mmol)、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール(重量平均分子量1250)2.50 g および15 mlのジフェニルオキシドを温度計、磁気攪拌機および乾燥管を備えた三口丸底フラスコに乾燥窒素を吹き込みながら注入した。温度を30分かけて180〜185℃に上げて、同温度で2時間加熱した。冷却後、得られた粘ちゅう液を75 mlの冷却した n−ヘキサン中に注ぎ込んだ。沈殿した白色のポリマーを濾取し、さらに濾取した固体をクロロホルムに溶解させ、n−ヘキサンに加えて、再沈殿させる操作を2回行い、得られた沈殿物を室温で24時間、真空乾燥した。得られたポリマーの収率、分子量および分子量分布(Mw/Mn)を表1に示す。表中のMnは、数平均分子量を表し、Mwは、重量平均分子量を表す。
実施例2、3
ポリ(ε−カプロラクトン)ジオールの重量平均分子量をそれぞれ2000および3000に変える以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを得た。得られたポリマーの収率、分子量および分子量分布(Mw/Mn)を表1に示す。
【0023】
なお、各実施例における分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて行い、以下の条件でポリスチレン換算分子量を求めた。
GPC分析条件:
機器:Waters社製 Alliance System
展開溶媒:クロロホルム
流速:1ml/分
カラム:Styragel(Waters社製:300×7.8mm) 3本を直列に接続した。
カラム温度:35℃
検出器:示差屈折計
【0024】
【表1】
【0025】
試験例1
熱的性質を示差走査熱量測定器(DSC)によって測定した。DSC測定は、サンプルの前熱履歴を除くため溶融し、クェンチしたサンプルで行った。全サンプルは、融解温度(Tm)以上に加熱し、液体窒素中でクェンチした。DSC測定により得られたガラス転移温度(Tg)、結晶の融解に伴うエンタルピー変化(△H)等の測定結果を表2に示す。
DSC分析条件:
機器:島津製作所(株)製 DSC50示差走査熱量計
容器:アルミニウムシール
窒素流量:40ml/分
サンプル重量:3〜5mg
リファレンス:アルミニウム
昇温速度:10℃/分
【0026】
【表2】
【0027】
実施例4〜6
実施例1〜3で得られたポリエステルをその融点より約20℃高い温度でメルトプレスして氷水中に投入して厚さ200〜220 μm のフィルムを作成した。
次に、得られたフィルムに、400 W高圧水銀ランプ(SEN LIGHTS CORPORATION製)を光源とし、280nm以下の光をカットするパイレックス(登録商標)フィルターを通して、30〜60分間、室温で光照射し、硬化を行った。光強度は1.0 mW/cm2であった。実施例1〜3で得られたポリエステルから得られたフィルムを光照射により硬化したものをそれぞれ、実施例4〜6で得られる硬化物とした。
【0028】
試験例2
実施例4〜6で得られた硬化物のゲル分率およびオートグラフによる機械的性質を測定した。その結果を表3に示す。
【0029】
機械的性質は下記の条件で、オートグラフを用いて20〜22℃で測定した。
オートグラフ分析条件:
機器:島津製作所(株)製 IM−100オートグラフ
試験片形状:10mm短冊
引張速度:20mm/分
また、ゲル分率測定は以下のように実施し、ゲル分率を算出した。
ゲル分率測定:フィルムを室温でクロロホルム中に24時間浸漬後、濾取する。
さらに、未溶解部分をクロロホルムにて洗浄後、室温にて24時間真空乾燥する。
【0030】
【数1】
【0031】
【表3】
【0032】
実施例4で得られたフィルムは、500%までの伸びに対して瞬時にもとに戻りエラストマーとして優れた性質を有することが確認された。特に実施例5、6で得られたフィルムは、強度と伸度が大きく機械的性質に優れており、強靭な材料であることが確認された。
【0033】
試験例3
実施例1で得られたポリエステルを実施例4と同様にして、60分間、光照射して得られたフィルムをPs. cepaciaリパーゼを用いてpH7.2のリン酸緩衝水溶液中、37℃で14日間、酵素分解させたところ、約36%の重量損失を示した。
【0034】
さらに同フィルムについて26〜27℃、95% R.H.(相対湿度)で6ヶ月間の土壌埋設試験を行った結果、フィルムがぼろぼろになり、60%の重量損失を示し、土壌中で、顕著に分解されることを確認した。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、機械的性質等に優れる生分解性ポリエステルが提供される。
Claims (5)
- 重量平均分子量が5000〜3000000である請求項1記載のポリエステル。
- マクロジオールの数平均分子量が、200〜10000である請求項1または2に記載のポリエステル。
- マクロジオールが、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール、ポリ(エチレンサクシネート)ジオール、ポリ(ブチレンサクシネート)ジオール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリ乳酸ジオールである請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルを、光照射により硬化して得られる硬化物。
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---|---|---|---|
JP2003129363A JP2004331807A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | ポリエステル |
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---|---|---|---|
JP2003129363A JP2004331807A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | ポリエステル |
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JP2004331807A true JP2004331807A (ja) | 2004-11-25 |
Family
ID=33505229
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003129363A Withdrawn JP2004331807A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | ポリエステル |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004331807A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012144596A (ja) * | 2011-01-07 | 2012-08-02 | Japan Advanced Institute Of Science & Technology Hokuriku | 形状記憶ポリマー |
-
2003
- 2003-05-07 JP JP2003129363A patent/JP2004331807A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012144596A (ja) * | 2011-01-07 | 2012-08-02 | Japan Advanced Institute Of Science & Technology Hokuriku | 形状記憶ポリマー |
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