JP2004329245A - 聴診器用被覆シート及び被覆シートパッケージ - Google Patents

聴診器用被覆シート及び被覆シートパッケージ Download PDF

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Abstract

【課題】ヘッド部の接触面に被覆シートを1枚ずつ容易に装着すること、聴診時に確実に患者内部の音を聴き取れるようにすること、保管状態の被覆シートに雑菌や塵等が付着するのを極力防止すること。
【解決手段】聴診器のヘッド部5の接触面5aに着脱可能に装着される薄板状の被覆シート2は、接触面5aよりも大径に形成され接触面5aに当接する当接面10aを有する接触壁部10と、この接触壁部10の外縁部から当接面10a側に立ち上がった縁部11とを有する。そして、被覆シート2は複数枚積層された状態で上方開放状の被覆シートホルダ3に収容され、被覆シート2の保管状態では、被覆シートホルダ3はキャップ部材4により上方から塞がれている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、聴診器のヘッド部に着脱可能に装着される被覆シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、医療現場において、診察の際に聴診器が広く用いられている。そして、医師等の医療に従事する者がこの聴診器を用いて診察する場合には、聴診器のヘッド部を患者の皮膚に押し当てて、ヘッド部に伝わった心拍音や呼吸音等、患者の身体の内部で生じる音をイヤーピースを介して聴くようになっている。ところが、診察の際に、このヘッド部の皮膚との接触面を洗浄することなしに、複数の患者の皮膚に直接押し当てて使用している場合には、それら複数の患者間においてヘッド部を媒体とした雑菌等の感染が発生する虞がある。また、特に、気温が低い環境下で、患者の皮膚に金属製のヘッド部の接触面を接触させたときには、患者には、ある種の低温感が感じられることがあり、この低温感は患者にとってあまり好まれるものではない。
【0003】
そこで、ヘッド部における患者の皮膚との接触面を使い捨てのカバー部材やシート等により覆うことで、聴診器を使用する際に常に清潔な新しいカバー部材やシート等を介して聴診することが可能な種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1のカバー部材は弾性を有する厚さの薄い材料で構成されており、このカバー部材を聴診器のヘッド部に被せて、ヘッド部の患者の皮膚と接触する部分を覆う。
【0004】
また、特許文献2には、聴診器のヘッド部の接触面に、紙等で形成された被覆シートを複数枚積層して構成した被覆シートの積層体が記載されている。聴診時には、この積層体は粘着剤によりヘッド部の接触面に付着され、積層体の最も外側に位置する被覆シートを患者の皮膚に押し当てて聴診した後に、患者の皮膚と接触したその外側の被覆シートだけを積層体から剥がして捨てるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特表2002−514115号公報(第6−7頁、図1−8)
【特許文献2】特開2001−70300号公報(第5−7頁、図1−6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特許文献1のカバー部材においては、聴診時にカバー部材がヘッド部に被さっているため、カバー部材の着脱に大変手間がかかる。特に、複数の患者を続けて聴診を行う際には、そのたびにカバー部材を別のカバー部材と取り替える必要があり、診察時に医師等に負担がかかり、診察時間が長引くことにもなりかねない。また、診察時にカバー部材が動いて雑音が発生してしまうこともある。
【0007】
また、前記特許文献2の被覆シートにおいては、被覆シートを複数枚積層してヘッド部の接触面に付着させた状態では、積層した被覆シートの枚数によっては積層体の厚さが厚くなってしまい、聴診時に医師等が患者内部の音を正確に聴き取ることが困難になる。また、特に、何人もの患者を続けて聴診する場合などに、慌ただしい診察環境の中で外側の使用済みの被覆シートを積層体から一気に剥ぎ取ろうとすると、その下のまだ未使用の被覆シートも一緒に剥ぎ取ってしまったり、積層体全体をヘッド部から剥ぎ取ってしまう虞もある。さらには、ヘッド部に装着された使用途中の積層体においては、最も外側の被覆シートの表面は露出した状態となるため、しばらく使用していない間に被覆シートの表面に雑菌や塵等が付着する虞もある。
【0008】
本発明の目的は、ヘッド部の接触面に被覆シートを1枚ずつ容易に装着可能に構成すること、ヘッド部を介しての患者間の感染を防止するとともに聴診時に確実に患者内部の音を聴き取れるようにすること、保管状態の被覆シートに雑菌や塵等が付着するのを極力防止すること、等である。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の聴診器用被覆シートは、聴診器のヘッド部の接触面に着脱可能に装着される薄板状の被覆シートにおいて、前記接触面よりも大径に形成され接触面に当接する当接面を有する接触壁部と、この接触壁部の外縁部から当接面側に立ち上がった縁部とを有することを特徴とするものである。
【0010】
この被覆シートは、聴診器のヘッド部の接触面に着脱可能に装着され、聴診の際には患者の皮膚に直接接触する。そして、この被覆シートを介して心拍音や呼吸音等の患者の身体内の音がヘッド部に伝達されて、医師等がそれらの音を聴き取るようになっている。そして、聴診後は、患者の皮膚に接触した被覆シートをヘッド部から取り外し、別の未使用の清潔な被覆シートが接触面に装着される。尚、この被覆シートは、紙やプラスチック等、音の伝達を妨げない材料で構成されるとともに、可能な限り薄いことが望ましい。
【0011】
ここで、この被覆シートは、接触面よりも大径に形成され接触面に当接する当接面を有する接触壁部と、この接触壁部の外縁部から当接面側に立ち上がった縁部とを有するので、被覆シートの保管等のために、複数枚の被覆シートを上下に重ね合わせた場合でも、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持されて、それら複数枚の被覆シートが互いに密着してしまうことがない。つまり、複数枚の被覆シートを上下に積層して保管したときに、積層された複数枚の被覆シートから被覆シートを1枚だけ取り出してヘッド部に装着することが容易になる。
【0012】
請求項2の聴診器用被覆シートは、請求項1の発明において、2枚の被覆シートを上下に重ねた状態では、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持され、上下の被覆シートの接触壁部の間に隙間が形成されるように構成されたことを特徴とするものである。従って、被覆シートの保管等のために、複数枚の被覆シートを上下に重ね合わせた場合でも、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持され、上下の被覆シートの接触壁部の間に隙間が形成されているため、それら複数枚の被覆シートが互いに密着してしまうことがない。つまり、複数枚の被覆シートを上下に積層した状態で保管しても、積層された複数枚の被覆シートから被覆シートを1枚だけ取り出すことが容易になる。
【0013】
請求項3の聴診器用被覆シートは、請求項1又は2の発明において、前記接触壁部の当接面の少なくとも一部に粘着剤が塗布されたことを特徴とするものである。複数枚の被覆シートを重ね合わせた状態では、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持されるため、一方の被覆シートの当接面の少なくとも一部に塗布された粘着材が他方の被覆シートに付着せず、積層された複数枚の被覆シートから被覆シートを1枚だけ取り出すことが容易になる。
【0014】
請求項4の聴診器用被覆シートは、請求項1〜3の何れかの発明において、前記縁部が環状に形成されたことを特徴とするものである。従って、複数枚の被覆シートを重ね合わせたときに、上側の被覆シートの接触壁部を支持する下側の被覆シートの縁部が折れ曲がりにくくなるため、複数枚の被覆シートが互いに密着するのを防止できる。
【0015】
請求項5の聴診器用被覆シートは、請求項1〜4の発明において、抗菌剤を担持させた紙又は合成樹脂で構成されたことを特徴とするものである。従って、被覆シートを非常に薄く形成することができるし、抗菌剤により、ヘッド部に装着される前の未使用の被覆シートに雑菌が付着したり、聴診器を介して雑菌が患者に感染してしまうのを確実に防止できる。
【0016】
請求項6の聴診器用被覆シートパッケージは、聴診器のヘッド部の接触面に着脱可能に装着される薄板状の被覆シートであって、上下に積層された複数枚の被覆シートと、これら積層された複数枚の被覆シートを収容する上方開放状の被覆シートホルダと、この被覆シートホルダに着脱可能に装着されて被覆シートホルダを上方から塞ぐキャップ部材を有することを特徴とするものである。薄板状の被覆シートは、複数枚積層した状態で上方開放状の被覆シートホルダ内に収容されている。従って、複数枚の被覆シートを被覆シートホルダ内にコンパクトに保管することができるし、被覆シートホルダから被覆シートを取り出すのも容易である。さらに、普段は、被覆シートホルダがキャップ部材により上方から塞がれて被覆シートが被覆シートホルダ内に保管されているため、被覆シートホルダ内の未使用の被覆シートに雑菌や塵等が付着するのを防止できる。
【0017】
請求項7の聴診器用被覆シートパッケージは、請求項6の発明において、前記被覆シートは、前記接触面よりも大径に形成され接触面に当接する当接面を有する接触壁部と、この接触壁部の外縁部から当接面側に立ち上がった縁部とを有し、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持されて上下の被覆シートの接触壁部の間に隙間を有する状態で複数枚積層されて被覆シートホルダ内に収容されていることを特徴とするものである。
【0018】
被覆シートホルダ内では、複数枚の被覆シートが積層した状態で収容されているが、2枚の被覆シートの間において、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持され、上下2枚の被覆シートの接触壁部の間に隙間が形成されているため、複数枚の被覆シートが互いに密着してしまうことがない。つまり、被覆シートホルダ内で積層された複数枚の被覆シートから、被覆シートを1枚だけ取り出すことが容易になる。
【0019】
請求項8の聴診器用被覆シートパッケージは、請求項6又は7の発明において、前記被覆シートホルダ内でヘッド部を下降させ、その接触面を積層した複数枚の被覆シートのうちの一番上の被覆シートに接触させて、ヘッド部に被覆シートを装着するように構成したことを特徴とするものである。従って、被覆シートホルダ内でヘッド部を下降させ、そのヘッド部の接触面を被覆シートホルダ内の積層された複数枚の被覆シートのうちの一番上にある被覆シートに接触させて、ヘッド部の接触面に1枚の被覆シートを着脱可能に装着する。
【0020】
請求項9の聴診器用被覆シートパッケージは、請求項9の発明において、前記被覆シートホルダに、前記ヘッド部を被覆シートホルダ内で下降させる際にヘッド部に接続された接続チューブをガイドする為の上下方向に延びるスリットが形成されたことを特徴とするものである。従って、ヘッド部に被覆シートを装着する際には、ヘッド部に接続された接続チューブがスリットにガイドされた状態で、ヘッド部が被覆シートホルダ内で下降することになるため、ヘッド部を下降させる際に接続チューブが被覆シートの装着作業の邪魔にならない。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、聴診器のヘッド部を介して患者間で雑菌等が感染するのを防止することを目的として聴診器のヘッド部に着脱可能に装着される被覆シートに本発明を適用したものである。尚、図1の上下方向を上下方向として以下説明する。
【0022】
図1〜図3は、本実施形態の被覆シートパッケージ1を示し、この被覆シートパッケージ1は、上下に積層された複数枚の被覆シート2と、これら積層された複数枚の被覆シート2を収容する上方開放状の被覆シートホルダ3と、この被覆シートホルダ3に着脱可能に装着されて被覆シートホルダ3を上方から塞ぐキャップ部材4を有する。
【0023】
まず、被覆シート2について説明する。
この被覆シート2は、聴診器のヘッド部5を介しての雑菌等の感染を防止するためにヘッド部5の接触面5aに着脱可能に装着され、聴診の際には、接触面5aに装着された被覆シート2を介してヘッド部5が患者の皮膚に押し当てられる。そして、被覆シート2は、薄い(例えば、厚さ0.6mm程度)の紙により円板状に形成されており、心拍音や呼吸音等、患者の身体内の音が被覆シート2からヘッド部5に伝わりやすくなっている。また、被覆シート2を構成する紙には抗菌剤を含浸されており、雑菌等が被覆シート2に付着するのが極力防止される。
【0024】
図4、図5に示すように、被覆シート2は、前述の薄い紙をプレス加工して成形され、被覆シート2は、ヘッド部5の接触面5aよりも大径に形成され接触面5aに当接する当接面10aを有する接触壁部10と、この接触壁部10の外縁部から全周に亙って上方(当接面10a側)に立ち上がった環状の縁部11とを備えている。尚、接触壁部10の高さは、紙厚(接触壁部10の厚さ)の2倍程度(例えば、約1.2mm)である。接触壁部10の当接面10aの中央部には、被覆シート2をヘッド部5に付着させるための粘着剤12が薄膜状に塗布されている。
【0025】
ところで、図3に示すように、被覆シート2は、後述の被覆シートホルダ3内に複数枚が積層した状態で収容される。ここで、2枚の被覆シート2を上下に重ねた状態では、上側の被覆シート2の接触壁部10が下側の被覆シート2の縁部11に下方から支持される。前述したように、接触壁部10の高さは、紙厚(接触壁部10の厚さ)の2倍程度もあるため、上下2枚の被覆シート2の接触壁部10の間には隙間13が形成されることになる。従って、重ね合わされた2枚の被覆シート2の接触壁部10は互いに接触せず、接触面5aに塗布された粘着剤12がすぐ上の被覆シート2に付着しない。
【0026】
次に、被覆シートホルダ3及びキャップ部材4について説明する。
図1〜図3に示すように、被覆シートホルダ3は、その内径が被覆シート2の外径よりも少し大きい有底筒状のものであり、やや厚めの多少の剛性を有する紙で構成されている。図3に示すように、この被覆シートホルダ3内には、前述の被覆シート2が上下に複数枚積層した状態で収容されている。
【0027】
ところで、聴診器のヘッド部5に、被覆シートホルダ3内に収容された被覆シート2を装着する場合には、ヘッド部5を被覆シートホルダ3内で下降させて、ヘッド部5の接触面5aを積層した複数枚の被覆シート2のうちの一番上の被覆シート2の当接面10aに接触させて、当接面10aに塗布された粘着剤12により被覆シート2を接触面5aに密着させる。ここで、聴診器のヘッド部5には、ヘッド部5で拾った音を聴診器のイヤーピース(図示略)へ伝える接続チューブ5bが接続されている。そして、被覆シートホルダ3には、接続チューブ5bが被覆シート2の装着作業の邪魔にならないように、ヘッド部5を被覆シートホルダ3内で下降させる際に接続チューブ5bをガイドする為の上下方向に延びるスリット3aが形成されている。
【0028】
キャップ部材4も紙製の筒状の部材であり、被覆シート2を取り出すとき以外の状態では、キャップ部材4が被覆シートホルダ3に上方から外嵌状に装着されており、被覆シートホルダ3の上部がキャップ部材4により塞がれている。さらに、図1に示すように、この状態では、前述のスリット3aもキャップ部材4により塞がれているため、被覆シート2を保管している間に被覆シートホルダ3内に雑菌や塵等が侵入するのを極力防止できる。
【0029】
次に、被覆シートパッケージ1の作用について説明する。
図1に示すように、被覆シート2を被覆シートホルダ3内に保管している状態では、キャップ部材4が被覆シートホルダ3に上方から装着されて、被覆シートホルダ3の上方がキャップ部材4により塞がれている。この状態から、聴診器のヘッド部5に被覆シート2を装着する場合には、図2に示すように、キャップ部材4を取り外した後、図3の実線で示した位置から鎖線で示した位置まで、被覆シートホルダ3内においてヘッド部5を一番上の被覆シート2の位置まで下降させる。ここで、ヘッド部5が下降する際に、ヘッド部5に接続された接続チューブ5bがこの装着作業の邪魔にならないように、接続チューブ5bはスリット3aによりガイドされる。
【0030】
そして、ヘッド部5を一番上の被覆シート2の当接面10aに軽く押し付けて、当接面10aに塗布された粘着剤12によりヘッド部5の接触面5aにその被覆シート2を付着させる。このとき、粘着剤12の粘着力は、聴診時にヘッド部5を患者の皮膚に押し付けるまでに被覆シート2がヘッド部5から簡単に落ちてしまわない程度のもので十分である。
【0031】
このようにしてヘッド部5に被覆シート2が装着されると、ヘッド部5を持ち上げて被覆シートホルダ3から外に取り出した後、その状態でヘッド部を被覆シート2を介して患者の皮膚に押し当てて聴診を行う。そして、聴診後には、患者の皮膚に触れた被覆シート2をヘッド部5から剥がして、新しい未使用の被覆シート2を再びヘッド部5に装着する。
【0032】
以上説明した被覆シート2及び被覆シートパッケージ1によれば、次のような効果が得られる。
1)複数枚の被覆シート2が上下に積層した状態では、上側の被覆シート2の接触壁部10が下側の被覆シート2の縁部11に下方から支持されて、上下の被覆シート2の接触壁部10の間に隙間13が形成されるため、それら複数枚の被覆シート2が互いに密着せず、当接面10aの粘着剤12がすぐ上の被覆シート2に付着してしまうことがない。従って、被覆シートホルダ3内から被覆シート2を1枚だけ取り出すことが容易になる。
【0033】
2)縁部11が環状に形成されているため、複数枚の被覆シート2を積層した状態では、上側の被覆シート2の接触壁部10を支持する下側の被覆シート2の縁部11が折れ曲がりにくくなり、複数枚の被覆シート2が互いに密着してしまうのを防止できる。
【0034】
3)被覆シート2が抗菌剤を含浸させた紙で構成されているので、被覆シート2を非常に薄く形成できるし、抗菌剤により、ヘッド部に装着される前の未使用の被覆シート2に雑菌が付着したり、ヘッド部を介して雑菌が患者に感染してしまうのを確実に防止できる。
【0035】
4)複数枚の被覆シート2を積層して被覆シートホルダ3内にコンパクトに保管することができるし、上方開放状の被覆シートホルダ3から被覆シート2を取り出すのも容易である。さらに、普段は被覆シートホルダ3はキャップ部材4により上方から塞がれているため、被覆シートホルダ3内の未使用の被覆シート2に雑菌や塵等が付着するのを防止できる。
【0036】
5)ヘッド部5を被覆シートホルダ3内で下降させて一番上の被覆シート2の当接面10aに軽く押し付けるだけで被覆シート2をヘッド部5に装着することができ、ヘッド部5に1枚の被覆シート2だけを容易に装着することができる。さらに、ヘッド部5を被覆シートホルダ3内で昇降させる際には、ヘッド部5に接続された接続チューブ5bがスリット3aにガイドされるため、接続チューブ5bが被覆シート2の装着作業の邪魔にならない。
【0037】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]被覆シート2の当接面10aに粘着剤12を塗布する位置は、当接面10aの中央部に限らず、外縁部付近(縁部11のすぐ内側の部分)でもよい。さらには、当接面10aの全面に粘着剤12を塗布してもよい。
【0038】
2]被覆シートホルダ3やキャップ部材4の内面に、抗菌剤を塗布してもよい。
3]縁部を環状に形成する必要は必ずしもなく、接触壁部から部分的に上方(当接面10a側)へ突出する形状に形成してもよい。
4]被覆シート2を構成する紙は抗菌剤を含浸させた紙である必要は必ずしもなく、抗菌剤が全体的あるいは部分的に塗布された紙で被覆シート2を構成してもよい。
【0039】
5]図6に示すように、被覆シート2の縁部11に、ヘッド部5に装着された被覆シート2をヘッド部5から剥がすためのタブ15を設けてもよい。
6]被覆シート2の材質としては、患者の身体内の音をヘッド部5に伝達可能で且つ被覆シート2を薄く形成できるものであれば、紙以外の種々のものを使用できる。但し、接触壁部10の中央部が容易に撓まない、多少の剛性を有するもの、例えば、合成樹脂等が望ましい。また、被覆シートホルダ3やキャップ部材4を合成樹脂等の他の材料で構成してもよい。
【0040】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
図7〜図9は、この別実施形態の被覆シートパッケージ20を示し、この被覆シートパッケージ20は、上下に積層された複数枚の被覆シート22と、これら積層された複数枚の被覆シート22を収容する上方開放状の被覆シートホルダ23と、この被覆シートホルダ23に着脱可能に装着されて被覆シートホルダ23を上方から塞ぐキャップ部材24を有する。
【0041】
図8に示すように、被覆シート22は、抗菌剤を含浸させた薄い(例えば、厚さ0.6mm程度)の紙により円板状に形成されている。被覆シートホルダ23は、前記実施形態のものと略同様のものであり、この被覆シートホルダ23内に前述の被覆シート22が複数枚積層して収容される。さらに、被覆シートホルダ23には、前記実施形態と同様に、聴診器の接続チューブ5bをガイドするスリット23aも設けられている。
【0042】
次に、キャップ部材24について説明する。
図10に示すように、キャップ部材24は、紙製の筒状の部材であり、被覆シート22を使用しないときには、このキャップ部材24が被覆シートホルダ23に上方から外嵌状に装着される。さらに、キャップ部材24の上端部には、収容部26が凹設されており、この収容部26内には、被覆シート22をヘッド部5の接触面5aに付着させるための、固形状又はクリーム状の粘着剤25が収容される。そして、キャップ部材24の上端側部分には蓋部材27が着脱可能に装着され、この蓋部材27により収容部26が塞がれる。
【0043】
次に、この被覆シートパッケージ20の作用について説明する。
図7に示すように、被覆シートホルダ23内に被覆シート22を保管している状態では、被覆シートホルダ23の上部がキャップ部材24により塞がれている。この状態から、聴診器のヘッド部5に被覆シート22を装着する場合には、まず、蓋部材27をキャップ部材24から取り外してから、ヘッド部5を収容部26内の粘着剤25に接触させて、ヘッド部5の接触面5aに粘着剤25を付着させる。
【0044】
次に、キャップ部材24を被覆シートホルダ23から取り外してから、図9に示すように、被覆シートホルダ23内においてヘッド部5を一番上の被覆シート22の位置まで下降させる。そして、ヘッド部5を一番上の被覆シート22の上面に軽く押し付けて、粘着剤25によりヘッド部の接触面5aにその被覆シート22を付着させる。
【0045】
この被覆シートパッケージ20によれば、前記実施形態と同様に、ヘッド部5に容易に1枚の被覆シート22を装着できる。さらに、被覆シート22には予め粘着剤25を塗布しておく必要がないため、被覆シート22の製造コストを低減できる。さらに、キャップ部材24に粘着剤25を収容する収容部26を設けたので、粘着剤25を被覆シート22と一体的に保管でき、保管が容易である。
【0046】
尚、勿論、粘着剤25を別の容器に収容してもよい。また、粘着剤25としては、前述の固形状あるいはクリーム状のものに限らず、液状のものでもよい。さらには、前記別実施形態では、ヘッド部5を直接粘着剤25に接触させるように構成したが、ローラ等を介して接触面5aに粘着剤25を付着させるようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、被覆シートは、接触面よりも大径に形成され接触面に当接する当接面を有する接触壁部と、この接触壁部の外縁部から当接面側に立ち上がった縁部とを有するので、被覆シートの保管等のために、複数枚の被覆シートを上下に重ね合わせた場合でも、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持されるため、それら複数枚の被覆シートが互いに密着してしまうことがない。従って、複数枚の被覆シートを上下に積層して保管した状態から、被覆シートを1枚だけ取り出すことが容易になる。
【0048】
請求項2の発明によれば、2枚の被覆シートを上下に重ねた状態では、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持され、上下の被覆シートの接触壁部の間に隙間が形成されるため、複数枚の被覆シートを積層した場合に、それら複数枚の被覆シートが互いに密着してしまうことがない。つまり、複数枚の被覆シートを上下に積層した状態で保管する場合でも、それら複数枚の被覆シートから被覆シートを1枚だけ取り出すことが容易になる。
【0049】
請求項3の発明によれば、複数枚の被覆シートを重ね合わせた状態では、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持されており、一方の被覆シートの当接面の少なくとも一部に塗布された粘着剤が他方の被覆シートに付着することがなく、積層された複数枚の被覆シートから被覆シートを1枚だけ取り出すことが容易になる。さらに、粘着剤により被覆シートがヘッド部の接触面に密着するため、聴診時に被覆シートがヘッド部に対してずれることがなく、雑音の発生を抑えることができる。
【0050】
請求項4の発明によれば、縁部が環状に形成されているため、複数枚の被覆シートを積層した状態では、上側の被覆シートの接触壁部を支持する下側の被覆シートの縁部が折れ曲がりにくくなり、複数枚の被覆シートが互いに密着してしまうことがない。
【0051】
請求項5の発明によれば、被覆シートが抗菌剤を担持させた紙又は合成樹脂で構成されているので、被覆シートを非常に薄い形状に構成することができるし、さらに、抗菌剤により、聴診器のヘッド部に装着する前の未使用の被覆シートに雑菌が付着したり、ヘッド部を介して雑菌等が患者に感染してしまうのを確実に防止できる。
【0052】
請求項6の発明によれば、複数枚の被覆シートを積層して被覆シートホルダ内にコンパクトに保管することができるし、被覆シートホルダから被覆シートを取り出すのも容易である。さらに、普段は、被覆シートホルダがキャップ部材により上方から塞がれているため、被覆シートホルダ内の未使用の被覆シートに雑菌やほこり等が付着するのを防止できる。
【0053】
請求項7の発明によれば、被覆シートホルダ内では、複数枚の被覆シートが積層した状態で収容されているが、2枚の被覆シートの間において、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持され、上下2枚の被覆シートの接触壁部の間に隙間が形成されているため、複数枚の被覆シートが互いに密着してしまうことがない。つまり、被覆シートホルダ内で積層された複数枚の被覆シートから、被覆シートを1枚だけ取り出すことが容易になる。
【0054】
請求項8の発明によれば、被覆シートホルダ内でヘッド部を下降させ、そのヘッド部の接触面を、被覆シートホルダ内の積層された複数枚の被覆シートのうちの一番上にある被覆シートに接触させて、ヘッド部の接触面に1枚の被覆シートを着脱可能に装着することができるので、聴診器のヘッド部に1枚の被覆シートを容易に装着することができる。
【0055】
請求項9の発明によれば、ヘッド部に被覆シートを装着する際には、ヘッド部に接続された接続チューブがスリットにガイドされた状態で、ヘッド部が被覆シートホルダ内で下降することになるため、ヘッド部を下降させる際に接続チューブが被覆シートの装着作業の邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る被覆シートパッケージの斜視図である。
【図2】被覆シートホルダの斜視図である。
【図3】被覆シートホルダの縦断面図である。
【図4】被覆シートの斜視図である。
【図5】図4の縦断面図である。
【図6】変更形態の図4相当図である。
【図7】別実施形態に係る被覆シートパッケージの斜視図である。
【図8】被覆シートホルダの斜視図である。
【図9】被覆シートホルダの縦断面図である。
【図10】キャップ部材及び蓋部材の縦断面図である。
【符号の説明】
1 被覆シートパッケージ
2 被覆シート
3 被覆シートホルダ
3a スリット
4 キャップ部材
5 ヘッド部
5a 接触面
5b 接続チューブ
10 接触壁部
10a 当接面
11 縁部
12 粘着剤
13 隙間
20 被覆シートパッケージ
22 被覆シート
23 被覆シートホルダ
23a スリット
24 キャップ部材

Claims (9)

  1. 聴診器のヘッド部の接触面に着脱可能に装着される薄板状の被覆シートにおいて、
    前記接触面よりも大径に形成され接触面に当接する当接面を有する接触壁部と、
    この接触壁部の外縁部から当接面側に立ち上がった縁部と、
    を有することを特徴とする聴診器用被覆シート。
  2. 2枚の被覆シートを上下に重ねた状態では、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持され、上下の被覆シートの接触壁部の間に隙間が形成されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の聴診器用被覆シート。
  3. 前記接触壁部の当接面の少なくとも一部に粘着剤が塗布されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の聴診器用被覆シート。
  4. 前記縁部が環状に形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の聴診器用被覆シート。
  5. 抗菌剤を担持させた紙又は合成樹脂で構成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の聴診器用被覆シート。
  6. 聴診器のヘッド部の接触面に着脱可能に装着される薄板状の被覆シートであって、上下に積層された複数枚の被覆シートと、
    これら積層された複数枚の被覆シートを収容する上方開放状の被覆シートホルダと、
    この被覆シートホルダに着脱可能に装着されて被覆シートホルダを上方から塞ぐキャップ部材を有することを特徴とする聴診器用被覆シートパッケージ。
  7. 前記被覆シートは、前記接触面よりも大径に形成され接触面に当接する当接面を有する接触壁部と、この接触壁部の外縁部から当接面側に立ち上がった縁部とを有し、上側の被覆シートの接触壁部が下側の被覆シートの縁部に下方から支持されて上下の被覆シートの接触壁部の間に隙間を有する状態で複数枚積層されて被覆シートホルダ内に収容されていることを特徴とする請求項6に記載の聴診器用被覆シートパッケージ。
  8. 前記被覆シートホルダ内でヘッド部を下降させ、その接触面を前記複数枚の被覆シートのうちの一番上の被覆シートに接触させて、ヘッド部に被覆シートを装着するように構成したことを特徴とする請求項6又は7に記載の聴診器用被覆シートパッケージ。
  9. 前記被覆シートホルダに、前記ヘッド部を被覆シートホルダ内で下降させる際にヘッド部に接続された接続チューブをガイドする為の上下方向に延びるスリットが形成されたことを特徴とする請求項8に記載の聴診器用被覆シートパッケージ。
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