JP2004328291A - 誘電体漏れ波アンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に且つ安価に製造できるようにする。
【解決手段】誘電体漏れ波アンテナ20の励振部24は、誘電体基板1の表面の漏出用金属ストリップ3から離間した位置に設けられ、誘電体基板1を挟んで地板導体2との間でマイクロストリップ線路を形成する線路用金属ストリップ40と、線路用金属ストリップ40の一側縁に所定間隔に設けられ、マイクロストリップ線路に給電された電磁波を誘電体基板1内で漏出用金属ストリップ3と交差する方向に分岐出力する複数のスタブ41と、線路用金属ストリップ40の他側縁にスタブ41からλg′/4離れた位置に反射抑制用の複数のスタブ51とを有している。
【選択図】 図1
【解決手段】誘電体漏れ波アンテナ20の励振部24は、誘電体基板1の表面の漏出用金属ストリップ3から離間した位置に設けられ、誘電体基板1を挟んで地板導体2との間でマイクロストリップ線路を形成する線路用金属ストリップ40と、線路用金属ストリップ40の一側縁に所定間隔に設けられ、マイクロストリップ線路に給電された電磁波を誘電体基板1内で漏出用金属ストリップ3と交差する方向に分岐出力する複数のスタブ41と、線路用金属ストリップ40の他側縁にスタブ41からλg′/4離れた位置に反射抑制用の複数のスタブ51とを有している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体漏れ波アンテナを容易に且つ低コストに製造するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
準ミリ波帯の通信等に使用可能な平面型のアンテナとして、誘電体漏れ波アンテナがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−320228号公報
【特許文献2】
特開2001−320229号公報
【0004】
図15は、この誘電体漏れ波アンテナの基本構造を示すものであり、誘電体基板1の一面(図では下面)側に地板導体2を設けて、電磁波を誘電体基板1の厚さ方向と直交する方向へ伝送する誘電体イメージ線路を形成し、誘電体基板1の反対面側に所定間隔で複数の漏出用金属ストリップ3を設ける。
【0005】
このように誘電体イメージ線路の表面に漏出用金属ストリップ3を所定の間隔で設け、その漏出用金属ストリップ3と交差する方向に電磁波を伝搬させると、誘電体基板内の電磁波が漏出用金属ストリップ3により、誘電体基板1の表面から漏出される。
【0006】
この誘電体基板1の表面から漏出される電磁波の放射特性は、漏出用金属ストリップ3の幅、間隔、誘電体基板1内を伝搬する電磁波の波面(等位相面)と漏出用金属ストリップ3との角度によって種々設定が可能である。
【0007】
例えば、誘電体基板1内を伝搬する電磁波の波面を漏出用金属ストリップ3と平行にすれば、この誘電体基板1の表面全体から漏出される電磁波のビーム方向を、誘電体基板1の表面に直交し且つ漏出用金属ストリップ3の長さ方向と直交する面内に設定することができる。またこの面内におけるビーム方向は、主に漏出用金属ストリップ3の幅によって決定され、例えば漏出用金属ストリップ3の間隔を放射しようとする電磁波の誘電体イメージ線路内の線路内波長λgにほぼ等しく設定すれば、ビーム方向を誘電体基板1の表面にほぼ直交する方向に設定することができ、誘電体基板1の向きとビーム方向とをほぼ一致させることができる。
【0008】
このような原理で電磁波を輻射する誘電体漏れ波アンテナでは、誘電体基板1内に漏出用金属ストリップ3とほぼ平行な波面を有する電磁波を伝搬させるための励振部4が必要となる。
【0009】
この励振部4としては、電磁ホーンから出力される球面波の電磁波を誘電体レンズ、パラボラ型の反射鏡等を用いて波面が一直線状に揃った電磁波に変換して誘電体基板1の端面に向いた面4aから出射する構造のものが従来から用いられていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように励振部を電磁ホーン、誘電体レンズあるいはパラボラ型の反射鏡等を用いて構成した従来の誘電体漏れ波アンテナでは、構造が必然的に立体的になり、アンテナ全体として大型化してしまう。
【0011】
また、電磁ホーンや反射鏡は誘電体基板1と別部材で構成しなければならず、コストがかかり、量産ができないという問題があった。
【0012】
本発明は、この問題を解決して、製造が容易で量産に適した誘電体漏れ波アンテナを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の誘電体漏れ波アンテナは、放射部と同一基板上に構成されたマイクロストリップ線路に周期的に第1のスタブを附け、放射部である誘電体スラブ線路(露出用金属ストリップ)を励振する。この際、スラブで反射マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波が第1のスラブで反射される。この反射波を抑制するために、第1のスラブに対して、マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長のほぼ1/4に等しいだけずれた位置に第2のスタブを設けた。即ち、第2のスタブを、上記のように第1のスタブに対してマイクロストリップ線路内波長のほぼ1/4だけ離れた位置に、第2のスタブとをそれぞれ設けると、両者の反射波が互いに逆相となって反射成分を相殺することができる。なお、マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長、マイクロストリップ線路の幅、第1及び第2のスラブの長さを適宜設定することにより、マイクロストリップ線路の片側、又は両側に、放射部を励振する電磁波を給電することができる。
【0014】
具体的には、本発明の請求項1の誘電体漏れ波アンテナは、
誘電体基板(1)と、該誘電体基板の一面側に設けられ、前記誘電体基板内でその厚さ方向と直交する方向に電磁波を伝搬させる誘電体イメージ線路を形成する地板導体(2)と、前記誘電体基板の反対面側に所定間隔で平行に設けられた複数の漏出用金属ストリップ(3)と、前記誘電体基板内に前記複数の漏出用金属ストリップと交差する方向に電磁波を伝搬させて、前記誘電体基板の前記反対面から漏出させる励振部(24)とを有する誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記励振部が、
前記誘電体基板の前記反対面の前記漏出用金属ストリップから離間した位置に設けられ、前記誘電体基板を挟んで前記地板導体との間でマイクロストリップ線路を形成する線路用金属ストリップ(40)と、
前記線路用金属ストリップの一方の側縁に所定間隔に設けられ、前記マイクロストリップ線路に給電された電磁波が、前記線路用金属ストリップの長手方向に伝搬し、前記誘電体基板内で前記漏出用金属ストリップと交差する方向に分岐出力する複数の第1のスタブ(41)と、
前記線路用金属ストリップの他方の側縁に、前記第1のスタブに対して前記マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長のほぼ1/4に等しいだけずれてそれぞれ設けられた複数の第2のスタブ(51)とを有している。それにより、スタブにより発生する、マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の反射波を、マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長のほぼ1/4に等しいだけずれて設けられたスタブで抑制することができる。
【0015】
また、本発明の請求項2の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1の誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記第1のスタブが設けられる所定間隔は、前記マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長にほぼに等しいことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の請求項3の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1、2のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記第1のスタブ及び第2のスタブは、前記線路用金属ストリップの側縁から所定の幅で前記線路用金属ストリップと直交する方向に所定距離延びた帯状に形成され、前記それぞれの所定距離を調整することにより、前記線路用金属ストリップの側縁の片側に電磁波を給電することを特徴としている。
【0017】
また、本発明の請求項4の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1、2いずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、前記第1のスタブ及び第2のスタブは、前記線路用金属ストリップの側縁から所定の幅で前記線路用金属ストリップと直交する方向に所定距離延びた帯状に形成され、前記それぞれの所定距離を調整することにより、前記線路用金属ストリップの側縁の両側に電磁波を給電することを特徴としている。
【0018】
また、本発明の請求項5の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1〜3のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記スタブによって前記漏出用金属ストリップ側と反対側に分岐される電磁波を前記漏出用金属ストリップ側に反射させるための反射壁を備えたことを特徴としている。
【0019】
また、本発明の請求項6の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1〜3、5のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
一端側が前記地板導体と電気的に接続され、他端側が前記誘電体基板の反対面側で前記線路用金属ストリップに対向するように延び、前記マイクロストリップ線路から前記誘電体基板の前記反対面側に直接輻射される電磁波をシールドするシールド板(62、63)を備えたことを特徴としている。
【0020】
また、本発明の請求項7の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1〜3、5のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、前記誘電体基板の反対面側で前記線路用金属ストリップと対向するように配置され、前記マイクロストリップ線路から前記誘電体基板の前記反対面側に直接輻射される電磁波の位相と振幅を前記漏出用金属ストリップによって漏出される電磁波に合わせて輻射する輻射板(64)を備えたことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の請求項8の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1、2,4,6,7のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記励振部が前記誘電体基板のほぼ中央部に設けられ、該励振部の両側にそれぞれ複数の前記漏出用金属ストリップが設けられていることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の請求項9の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1〜8のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記マイクロストリップ線路は、そのほぼ中央から給電された電磁波を両端に伝搬するように構成されていることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用した誘電体漏れ波アンテナ20の構成を模式的に且つ透視的に表している。
【0024】
この誘電体漏れ波アンテナ20は、例えば、無線による加入者系データ通信サービス方式の一つであるFWA(Fixed Wireless Access)に使用する準ミリ波帯(およそ20〜40GHz)用のものであり、前記同様に、矩形の誘電体基板1とその一面側(下面側)に隙間なく重なり合うように設けられた地板導体2とで、電磁波を誘電体基板内でその厚さ方向と直交する方向に伝搬する誘電体イメージ線路が形成され、誘電体基板1の反対面側(上面側)には、複数の漏出用金属ストリップ3が所定間隔、例えば、誘電体イメージ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長λgとほぼ等しい間隔で平行に設けられている。
【0025】
なお、誘電体基板1は、テフロン(米国デュポン社の登録商標)、アルミナ、セラミック等が使用され、また、地板導体2や漏出用金属ストリップ3は、誘電体基板1に対する金属膜の印刷やエッチングによって形成されている。
【0026】
各漏出用金属ストリップ3は、誘電体イメージ線路内の反射成分を抑圧するために、互いに平行で線路内波長λgのほぼ1/4だけ離れた2本の金属ストリップ3a、3bによって構成されている。
【0027】
即ち、漏出用金属ストリップ3を線路内波長λgとほぼ等しい間隔の金属ストリップ3aだけで構成すると、各金属ストリップ3aによって発生する反射波が互いに同相となり効率が低下するが、上記のように各金属ストリップ3aに対して線路内波長λgのほぼ1/4だけ離れた位置に、各金属ストリップ3aと同一寸法の金属ストリップ3bをそれぞれ設けると、両者の反射波が互いに逆相となって反射成分を相殺することができる。
【0028】
なお、この金属ストリップ3a、3bはともに電磁波を漏出する作用を有しているので、上記のように漏出用金属ストリップ3を2つの金属ストリップ3a、3bで構成した場合、誘電体基板1の表面から漏出される電磁波の放射特性は、2つの金属ストリップ3a、3bによって漏出される電磁波の放射特性を合成したものとなる。
【0029】
また、この例および以下に示す全ての誘電体漏れ波アンテナでは、漏出用金属ストリップ3を2本の金属ストリップ3a、3bで構成しているが、これは本発明を限定するものでなく、金属ストリップによる反射成分が無視できる程度に小さい場合には、1本の金属ストリップで漏出用金属ストリップ3を構成してもよい。また、漏出用金属ストリップ3の間隔を、線路内波長λgより短く設定したり、長く設定することで反射波を抑圧することも可能であり、この場合にも1本の金属ストリップで構成することができる。
【0030】
一方、誘電体基板1の一端側には励振部24が設けられている。
励振部24は、誘電体基板1の表面側に漏出用金属ストリップ3と平行に延びた帯状の線路用金属ストリップ40と、線路用金属ストリップ40の一方の側縁(この図では漏出用金属ストリップ3が設けられている側の側縁)に所定間隔で設けられた複数(図では簡単に3つで示している)の第1のスタブ411、412、413と、線路用金属ストリップ40の他方の側縁(この図では漏出用金属ストリップ3が設けられている反対側の側縁)に、第1のスタブと線路内波長λg‘の1/4ずれた位置に設けられた複数(図では簡単に3つで示している)の反射抑制用の第2のスタブ511、512、513とによって構成されている。
【0031】
ここで、線路用金属ストリップ40は、地板導体2との間で誘電体基板1を挟んでマイクロストリップ線路を形成し、その一端側の給電点5から給電された電磁波を他端側に伝搬する。なお、この給電点5に対する電磁波の給電は、例えば同軸ケーブルによって行なわれる。
【0032】
また、各第1のスタブ411、412、第2のスタブ511、512は、図2の(a)に示すように、線路用金属ストリップ40の側縁から、幅がそれぞれW1、W2、W3、W4長さがそれぞれL1、L2、L3、L4の帯状に突設されている。各第1のスタブの間隔Qは、放射しようとする電磁波のマイクロストリップ線路(線路用金属ストリップ)内の波長λg′の整数倍に近い値に設定されていて、給電点5に給電されてマイクロストリップ線路の一端側から他端側に伝搬する電磁波を、誘電体基板1内で漏出用金属ストリップ3が設けられている方向へ分岐して励振波として出力する。
【0033】
このような励振部24から漏出用金属ストリップ3が設けられている方向へ伝搬される電磁波(以下、励振波という)の振幅特性や位相特性は、各スタブの幅、長さおよび間隔Qによって任意に設定することができる。
【0034】
即ち、各スタブ411、412、511、512部分からそれぞれ分岐出力される励振波の振幅は、各スタブ411、412、511、512の幅W1〜W4と長さL1〜L4に依存しており、これらの幅と長さによって励振波全体として任意の振幅分布特性を与えることができる。
【0035】
また、線路用金属ストリップ40の中心からスタブの距離をm/2+L<0.65λg’とすることにより、第1のスタブ41を設けている線路用金属ストリップ40の側のみ電磁波を給電することができる。また、m/2+L≒0.65λg’とすることにより、線路用金属ストリップ40の両側に電磁波を給電することができる。さらに、m/2+L>0.65λg’とすることにより、反射抑制用の第2のスタブ51線路用金属ストリップ40の側のみ電磁波を給電することができる。ここで、mは線路用金属ストリップ40の幅、Lは各スタブの長さ(本実施例では、L=L1〜L4)、λg’はマイクロストリップ線路内の波長、δ≒λg’/4、Q≒λg’である。
【0036】
また、各スタブ411、412、511、512部分からそれぞれ分岐出力される励振波の位相はスタブの間隔Qに依存しており、この間隔Qによって励振波全体としての位相分布特性を任意に設定することができる。
【0037】
例えば、間隔Qを線路内波長λg′の整数倍に設定すれば(Q=λg′)、各スタブ411、412、部分からそれぞれ分岐出力される励振波の位相が等しくなり、励振波全体の位相面が図2の(b)のPh1−Ph1′のように線路用金属ストリップ40と平行となる。
【0038】
このように線路用金属ストリップ40と平行な位相面Ph1−Ph1′の励振波を、線路用金属ストリップ40と平行な漏出用金属ストリップ3側に伝搬させると、ビームの中心方向が誘電体基板1の表面に直交し且つ線路用金属ストリップ40に直交する面上に位置する電磁波を誘電体基板1の表面から放射することができる。
【0039】
また、間隔Qを線路内波長λg′の整数倍より短く設定すると(Q<λg′)、各スタブ411、412部分からそれぞれ分岐出力される励振波の位相が少しずつ進んで、励振波全体の位相面が図2(b)のPh3−Ph3′のように線路用金属ストリップ40に対して僅かに傾き、逆に、間隔Qを線路内波長λg′の整数倍より長く設定すると(Q>λg′)、各スタブ411、412部分からそれぞれ分岐出力される励振波の位相が少しずつ遅れて、励振波全体の位相面が図2(b)のPh4−Ph4′のように線路用金属ストリップ40に対してPh3−Ph3′と逆方向に傾く。
【0040】
このように線路用金属ストリップ40に対して傾いた位相面Ph3−Ph3′、Ph4−Ph4′の励振波を、線路用金属ストリップ40と平行な漏出用金属ストリップ3側に伝搬させると、誘電体基板1の表面からビームの中心方向が給電端側あるいは終端側に傾いた電磁波を放射することができる。
【0041】
なお、ここでは線路用金属ストリップ40を漏出用金属ストリップ3に対して平行に設けた例について説明したが、線路用金属ストリップ40が、漏出用金属ストリップ3に対して傾きをもつようにしてもよい。
【0042】
このように、実施形態の誘電体漏れ波アンテナ20の励振部24は、誘電体基板1の表面の漏出用金属ストリップ3から離間した位置に設けられ、誘電体基板1を挟んで地板導体2との間でマイクロストリップ線路を形成する線路用金属ストリップ40と、線路用金属ストリップ40の側縁に所定間隔に設けられ、マイクロストリップ線路に給電された電磁波を誘電体基板1内で漏出用金属ストリップ3と交差する方向に分岐出力する第1のスタブ41と反射抑制用の第2のスタブ51を複数有している。
【0043】
このため、励振部24を誘電体基板1に一体化することができ、アンテナ全体を小型化することができる。また、線路用金属ストリップ40、第1のスタブ41、および第2のスタブ51を漏出用金属ストリップ3と同一面で印刷やエッチングにより形成することができるので、少ない工程で、安価に且つ容易に製造でき、量産が可能となる。
【0044】
また、漏出用金属ストリップ3が設けられている側と反対側へ分岐される励振波の成分が無視できない程度に大きい場合には、その励振波を漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ反射させる必要がある。
【0045】
この場合、例えばセラミックやアルミナのように比誘電率が大きい誘電体基板1を用いれば、線路用金属ストリップ40が設けられている側の誘電体基板1の端面1aを反射壁として利用することができる。その際には、誘電体基板1の端面1aから反射して漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ向かう反射波と、線路用金属ストリップ40から漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ直接向かう励振波との位相が一致するように、反射壁の位置から線路用金属ストリップ40、漏出用金属ストリップ3の距離を設定すればよい。
【0046】
また、テフロン(米国デュポン社の登録商標)のように比誘電率が小さい誘電体基板1を用いる場合には、端面から電磁波が放射されて、効率が大きく低下する恐れがある。
【0047】
このような場合には、図3に示すように、反射壁として誘電体基板1の端面に金属の反射板60を設け、その漏出用金属ストリップ3が設けられている側と反対側へ分岐される励振波を漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ反射させる。なお、この反射板60を印刷によって形成する場合には、図3に示しているように誘電体基板1の表面側に補助板60aを延長形成して、反射板60の剥離等を防止する。また、60、60aその他の符号は、図1と同様のため省略する。
【0048】
また、上記のように端面に反射板60を設ける代わりに、図4に示すように、スルーホール加工等により誘電体基板1を貫通する金属柱61を励振波の波長に比べて十分短い間隔で線路用金属ストリップ40の長さ方向に沿って並べて反射壁を形成し、漏出用金属ストリップ3が設けられている側と反対側へ分岐される励振波を漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ反射させることもできる。なお、図4では、各金属柱61の一端側を地板導体2に電気的に接続し、他端側も誘電体基板1の表面にパターン形成された短絡板61aによって電気的に接続しているが、この短絡板61aは必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。また、61、61aその他の符号は、図1と同様のため省略する。
【0049】
このように反射板60や金属柱61を用いた場合も、前記同様に、誘電体基板1の端面から反射して漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ向かう反射波と、線路用金属ストリップ40から漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ直接向かう励振波との位相が一致するように、各部の位置を設定する。
【0050】
また、線路用金属ストリップ40が形成するマイクロストリップ線路のような開放型の線路では、誘電体基板1の表面から直接放射される電磁波成分があり、この成分によってアンテナ全体の放射特性が乱れる場合がある。
【0051】
この直接放射成分による影響が無視できない場合には、図5、図6に示すように、シールド板62、63によって、線路用金属ストリップ40およびスタブ41の部分をシールドすればよい。なお、62、63その他の符号は、図1等と同様のため省略する。
【0052】
なお、図5のシールド板62は、その一端側を前記した図4の短絡板61a(図3の補助板60aでもよい)および金属柱61を介して地板導体2に接続させ、他端側を線路用金属ストリップ40に対向する位置まで延ばして直接輻射成分の漏れを防いでいる。また、図6のシールド板63は、一端側を地板導体1に直接接触させ、他端側を線路用金属ストリップ40に対向する位置まで延ばして直接輻射成分の漏れを防いでおり、アンテナ全体のベース材を兼用することが可能である。
【0053】
また、マイクロストリップ線路からの直接輻射成分を有効に利用することも可能である。例えば、図7に示すように、金属で帯状の輻射板64を、誘電体基板1の一面側で線路用金属ストリップ40とスタブ41が設けられている部分に対向するように配置し、その幅Wpを調整することで、この部分から直接輻射される電磁波の位相と振幅を漏出用金属ストリップ3によって漏出される電磁波に合わせて輻射することができる。なお、64その他の符号は、図1と同様のため省略する。
【0054】
このように、直接輻射成分を利用することで、アンテナ全体としての有効開口面積を大きくすることができ、能率がさらに高くなる。
【0055】
また、前記した誘電体漏れ波アンテナ20およびその変形例では、マイクロストリップ線路の一端側から電磁波5を給電(エッジ給電)していたが、図8に示す誘電体漏れ波アンテナ30のように、マイクロストリップ線路の中央部の給電点5から電磁波を給電(センタ給電)してもよい。
【0056】
この場合、図9(a)のように、励振波の位相面を、給電点5から一方側の第1のスタブ411〜413の間隔Qと、給電点5から他方側の第1のスタブ411′〜413′の間隔Q′とによって任意に設定することができる。
この場合、第2のスタブ511〜513 、第2のスタブ511′〜513′は、反射抑制用として機能している。
【0057】
例えば、スタブ間隔Q、Q′をともに、線路内波長λg′の整数倍に等しく設定すれば(Q=Q′=λg′)、図9(b)のように、線路用金属ストリップ40と平行な位相面Ph1−Ph1′が得られる。また、スタブ間隔Qを線路内波長λg′の整数倍より短く設定し、スタブ間隔Q′を線路内波長λg′の整数倍より長く設定すれば(Q<λg′<Q′)、線路用金属ストリップ40に対して傾いた位相面Ph3−Ph3′が得られる。また逆に、スタブ間隔Qを線路内波長λg′の整数倍より長く設定し、スタブ間隔Q′を線路内波長λg′の整数倍より短く設定すれば(Q>λg′>Q′)、線路用金属ストリップ40に対して位相面Ph3−Ph3′と逆方向に傾いた位相面Ph4−Ph4′が得られる。
【0058】
このようなセンタ給電の場合、前記したエッジ給電に対してマイクロストリップ線路の長さが同一であれば、その線路内で生じる損失(導体損失や誘電体損失)がほぼ半減するため能率が高くなる。
【0059】
また、線路用金属ストリップ40と平行な位相面Ph1−Ph1′を得るように設計した場合に、製造誤差等があった場合でも、それらの誤差が給電点に対して対称に発生している場合には、図9(b)の位相面Ph2−Ph2′のように対称に傾くことになり、ビームの中心方向は大きくずれずに済む。
なお、給電点5から一方側の第1のスラブ411、給電点5から他方側の第1のスラブ411′とも、第2のスラブ511、511′より近くから配置した構成としたが、アンテナの放射パターン等により変更することある。例えば、給電点5から他方側の第1のスラブ411′を第2のスラブ511′より遠くから配置し、第1のスラブ、第2のスラブとも、それぞれ等間隔になるように配置することもある。
【0060】
また図10に示す誘電体漏れ波アンテナ80のように、誘電体基板1の中央部に線路用金属ストリップ40とスタブ411〜413、511〜513を含む励振部24を設け、その両側に複数の漏出用金属ストリップ3、3′をそれぞれ平行に配置することも可能である。
【0061】
この場合、励振部24の線路用金属ストリップ40、スタブ411〜413、511〜513は、m/2+L≒0.65λg’とすることにより、線路用金属ストリップ40の両側に電磁波を分岐して給電することができる。ここで、mは線路用金属ストリップ40の幅、Lは各スタブの長さ、λg’はマイクロストリップ線路内の波長、δ≒λg’/4、Q≒λg’である。
【0062】
ただし、このよう左右の分岐されたそれぞれの電磁波には、線路内波長λg′の1/2にほぼ等しい位相差が生じる。
【0063】
したがって、図10に示しているように、線路用金属ストリップ40から左右の最初の漏出用金属ストリップ3、3′までの距離d、d′を、この位相差に相当する分だけ異なるように設定しておけば、左右の漏出用金属ストリップ3、3′から同相の電磁波を漏出させることができる。
【0064】
また、上記のように、左右に設けたスタブによる両側励振は、図11に示すセンタ給電型の誘電体漏れ波アンテナ90にも適用することができる。
【0065】
また、このように左右の分岐波の位相があっている場合には、図12、図13に示す誘電体漏れ波アンテナ80′、90′のように、前記した輻射板64を、線路用金属ストリップ40およびスタブ41、51と対向する位置に配置し、その幅Wpを調整することで、マイクロストリップ線路からの直接輻射成分を、左右の漏出用金属ストリップ3、3′から漏出される電磁波の位相に合わせて輻射することができ、アンテナ全体としての有効開口面を大きくすることができる。なお、図12はエッジ給電の場合を示し、図13はセンタ給電の場合を示している。
【0066】
また、前記した各誘電体漏れ波アンテナでは、漏出用金属ストリップ3、3′と線路用金属ストリップ40が、矩形の誘電体基板1の1辺にほぼ平行となるように形成されていたが、これは本発明を限定するものでなく、誘電体基板1の外形に対する漏出用金属ストリップ3、3′および線路用金属ストリップ40の向きは任意に設定することができる。
【0067】
例えば、図14に示す誘電体漏れ波アンテナ100のように、正方形の誘電体基板1の対角線に一致するように線路用金属ストリップ40を設け、その両側の側縁にスタブ41、51を設け、さらにその両側に漏出用金属ストリップ3、3′を平行に設けてもよい。この場合、励振部24から両側の漏出用金属ストリップ3、3′に平行な位相面の電磁波を伝搬させれば、漏出用金属ストリップ3、3′からその長さ方向に直交する偏波の電磁波を漏出させることができる。この電磁波の偏波方向は、矩形の誘電体基板1の一辺を基準にして45度傾いた45度偏波となり、車載用レーダ等に適している。この誘電体漏れ波アンテナ100のように線路用金属ストリップ40が誘電体基板1の一辺に対して傾いたものの場合でも、前記同様に輻射板64を設けて能率を高くすることが可能であり、エッジ給電にすることもできる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の誘電体漏れ波アンテナでは、誘電体基板の一面側に漏出用金属ストリップとほぼ平行な線路用金属ストリップを設けて、マイクロストリップ線路を形成し、その線路用金属ストリップの側縁にスタブを所定間隔で設けて、マイクロストリップ線路に給電された電磁波を漏出用金属ストリップと交差する方向に分岐して励振している。
【0069】
このため、励振部を誘電体基板に一体化することができ、アンテナ全体を小型化することができる。また、線路用金属ストリップおよびスタブを漏出用金属ストリップと同一面でパターン形成することができるので、少ない工程で、安価に且つ容易に製造でき、量産が可能となる。
【0070】
また、スタブを、線路用金属ストリップの側縁から所定の幅で線路用金属ストリップと直交する方向に所定距離延びた帯状に形成し、マイクロストリップ線路内の電磁波の線路内波長の整数倍にほぼ等しい間隔で設けたものでは、そのスタブの幅と長さ、および間隔によって、任意の特性を得ることができる。
【0071】
また、スタブによって漏出用金属ストリップが設けられている側と反対側に分岐される電磁波を漏出用金属ストリップが設けられている側に反射させる反射壁を備えたものでは、漏出用金属ストリップが設けられている側と反対側に分岐される電磁波も有効に利用でき、能率が高くなる。
【0072】
また、地板導体と電気的に接続され、誘電体基板の一面側で線路用金属ストリップとスタブが設けられている部分に対向して、その部分から直接輻射される電磁波をシールドするシールド板を備えたものでは、励振部から直接外部へ輻射される電磁波による特性の乱れを防ぐことができる。
【0073】
また、誘電体基板の一面側で線路用金属ストリップとスタブが設けられている部分に対向するように配置され、その部分から直接輻射される電磁波の位相と振幅を漏出用金属ストリップによって漏出される電磁波に合わせて輻射する輻射板を備えたものでは、アンテナ全体の有効開口面積を大きくすることができ、能率がさらに高くなる。
【0074】
また、マイクロストリップ線路のほぼ中央から電磁波を給電するように構成したものでは、マイクロストリップ線路の損失を減らすことができ、能率をさらに高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を模式的に示す透視的斜視図
【図2】実施形態の要部と波面との関係を説明するための図
【図3】反射壁を設けた例を示す図
【図4】反射壁を設けた例を示す図
【図5】シールド板を設けた例を示す図
【図6】シールド板を設けた例を示す図
【図7】輻射板を設けた例を示す図
【図8】センタ給電の例を示す図
【図9】センタ給電の場合の要部と波面の関係を説明するための図
【図10】両側励振の例を示す図
【図11】センタ給電、両側励振の例を示す図
【図12】エッジ給電、両側励振、輻射板付きの例を示す図
【図13】センタ給電、両側励振、輻射板付きの例を示す図
【図14】誘電体基板の一辺に対して漏出用金属ストリップおよび線路用金属ストリップを45度傾けた例を示す図
【図15】誘電体漏れ波アンテナの概略構成を示す図
【符号の説明】
1……誘電体基板、2……地板導体、3、3′……漏出用金属ストリップ、3a、3b……金属ストリップ、20、30、80、80′、90、90′、100……誘電体漏れ波アンテナ、24……励振部、40……線路用金属ストリップ、41、41′……第1のスタブ、51、51′……第2のスタブ、60……反射板、60a……補助板、61……金属柱、61a……短絡板、62、63……シールド板、64……輻射板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体漏れ波アンテナを容易に且つ低コストに製造するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
準ミリ波帯の通信等に使用可能な平面型のアンテナとして、誘電体漏れ波アンテナがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−320228号公報
【特許文献2】
特開2001−320229号公報
【0004】
図15は、この誘電体漏れ波アンテナの基本構造を示すものであり、誘電体基板1の一面(図では下面)側に地板導体2を設けて、電磁波を誘電体基板1の厚さ方向と直交する方向へ伝送する誘電体イメージ線路を形成し、誘電体基板1の反対面側に所定間隔で複数の漏出用金属ストリップ3を設ける。
【0005】
このように誘電体イメージ線路の表面に漏出用金属ストリップ3を所定の間隔で設け、その漏出用金属ストリップ3と交差する方向に電磁波を伝搬させると、誘電体基板内の電磁波が漏出用金属ストリップ3により、誘電体基板1の表面から漏出される。
【0006】
この誘電体基板1の表面から漏出される電磁波の放射特性は、漏出用金属ストリップ3の幅、間隔、誘電体基板1内を伝搬する電磁波の波面(等位相面)と漏出用金属ストリップ3との角度によって種々設定が可能である。
【0007】
例えば、誘電体基板1内を伝搬する電磁波の波面を漏出用金属ストリップ3と平行にすれば、この誘電体基板1の表面全体から漏出される電磁波のビーム方向を、誘電体基板1の表面に直交し且つ漏出用金属ストリップ3の長さ方向と直交する面内に設定することができる。またこの面内におけるビーム方向は、主に漏出用金属ストリップ3の幅によって決定され、例えば漏出用金属ストリップ3の間隔を放射しようとする電磁波の誘電体イメージ線路内の線路内波長λgにほぼ等しく設定すれば、ビーム方向を誘電体基板1の表面にほぼ直交する方向に設定することができ、誘電体基板1の向きとビーム方向とをほぼ一致させることができる。
【0008】
このような原理で電磁波を輻射する誘電体漏れ波アンテナでは、誘電体基板1内に漏出用金属ストリップ3とほぼ平行な波面を有する電磁波を伝搬させるための励振部4が必要となる。
【0009】
この励振部4としては、電磁ホーンから出力される球面波の電磁波を誘電体レンズ、パラボラ型の反射鏡等を用いて波面が一直線状に揃った電磁波に変換して誘電体基板1の端面に向いた面4aから出射する構造のものが従来から用いられていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように励振部を電磁ホーン、誘電体レンズあるいはパラボラ型の反射鏡等を用いて構成した従来の誘電体漏れ波アンテナでは、構造が必然的に立体的になり、アンテナ全体として大型化してしまう。
【0011】
また、電磁ホーンや反射鏡は誘電体基板1と別部材で構成しなければならず、コストがかかり、量産ができないという問題があった。
【0012】
本発明は、この問題を解決して、製造が容易で量産に適した誘電体漏れ波アンテナを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の誘電体漏れ波アンテナは、放射部と同一基板上に構成されたマイクロストリップ線路に周期的に第1のスタブを附け、放射部である誘電体スラブ線路(露出用金属ストリップ)を励振する。この際、スラブで反射マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波が第1のスラブで反射される。この反射波を抑制するために、第1のスラブに対して、マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長のほぼ1/4に等しいだけずれた位置に第2のスタブを設けた。即ち、第2のスタブを、上記のように第1のスタブに対してマイクロストリップ線路内波長のほぼ1/4だけ離れた位置に、第2のスタブとをそれぞれ設けると、両者の反射波が互いに逆相となって反射成分を相殺することができる。なお、マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長、マイクロストリップ線路の幅、第1及び第2のスラブの長さを適宜設定することにより、マイクロストリップ線路の片側、又は両側に、放射部を励振する電磁波を給電することができる。
【0014】
具体的には、本発明の請求項1の誘電体漏れ波アンテナは、
誘電体基板(1)と、該誘電体基板の一面側に設けられ、前記誘電体基板内でその厚さ方向と直交する方向に電磁波を伝搬させる誘電体イメージ線路を形成する地板導体(2)と、前記誘電体基板の反対面側に所定間隔で平行に設けられた複数の漏出用金属ストリップ(3)と、前記誘電体基板内に前記複数の漏出用金属ストリップと交差する方向に電磁波を伝搬させて、前記誘電体基板の前記反対面から漏出させる励振部(24)とを有する誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記励振部が、
前記誘電体基板の前記反対面の前記漏出用金属ストリップから離間した位置に設けられ、前記誘電体基板を挟んで前記地板導体との間でマイクロストリップ線路を形成する線路用金属ストリップ(40)と、
前記線路用金属ストリップの一方の側縁に所定間隔に設けられ、前記マイクロストリップ線路に給電された電磁波が、前記線路用金属ストリップの長手方向に伝搬し、前記誘電体基板内で前記漏出用金属ストリップと交差する方向に分岐出力する複数の第1のスタブ(41)と、
前記線路用金属ストリップの他方の側縁に、前記第1のスタブに対して前記マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長のほぼ1/4に等しいだけずれてそれぞれ設けられた複数の第2のスタブ(51)とを有している。それにより、スタブにより発生する、マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の反射波を、マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長のほぼ1/4に等しいだけずれて設けられたスタブで抑制することができる。
【0015】
また、本発明の請求項2の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1の誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記第1のスタブが設けられる所定間隔は、前記マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長にほぼに等しいことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の請求項3の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1、2のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記第1のスタブ及び第2のスタブは、前記線路用金属ストリップの側縁から所定の幅で前記線路用金属ストリップと直交する方向に所定距離延びた帯状に形成され、前記それぞれの所定距離を調整することにより、前記線路用金属ストリップの側縁の片側に電磁波を給電することを特徴としている。
【0017】
また、本発明の請求項4の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1、2いずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、前記第1のスタブ及び第2のスタブは、前記線路用金属ストリップの側縁から所定の幅で前記線路用金属ストリップと直交する方向に所定距離延びた帯状に形成され、前記それぞれの所定距離を調整することにより、前記線路用金属ストリップの側縁の両側に電磁波を給電することを特徴としている。
【0018】
また、本発明の請求項5の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1〜3のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記スタブによって前記漏出用金属ストリップ側と反対側に分岐される電磁波を前記漏出用金属ストリップ側に反射させるための反射壁を備えたことを特徴としている。
【0019】
また、本発明の請求項6の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1〜3、5のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
一端側が前記地板導体と電気的に接続され、他端側が前記誘電体基板の反対面側で前記線路用金属ストリップに対向するように延び、前記マイクロストリップ線路から前記誘電体基板の前記反対面側に直接輻射される電磁波をシールドするシールド板(62、63)を備えたことを特徴としている。
【0020】
また、本発明の請求項7の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1〜3、5のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、前記誘電体基板の反対面側で前記線路用金属ストリップと対向するように配置され、前記マイクロストリップ線路から前記誘電体基板の前記反対面側に直接輻射される電磁波の位相と振幅を前記漏出用金属ストリップによって漏出される電磁波に合わせて輻射する輻射板(64)を備えたことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の請求項8の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1、2,4,6,7のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記励振部が前記誘電体基板のほぼ中央部に設けられ、該励振部の両側にそれぞれ複数の前記漏出用金属ストリップが設けられていることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の請求項9の誘電体漏れ波アンテナは、前記請求項1〜8のいずれかの誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記マイクロストリップ線路は、そのほぼ中央から給電された電磁波を両端に伝搬するように構成されていることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用した誘電体漏れ波アンテナ20の構成を模式的に且つ透視的に表している。
【0024】
この誘電体漏れ波アンテナ20は、例えば、無線による加入者系データ通信サービス方式の一つであるFWA(Fixed Wireless Access)に使用する準ミリ波帯(およそ20〜40GHz)用のものであり、前記同様に、矩形の誘電体基板1とその一面側(下面側)に隙間なく重なり合うように設けられた地板導体2とで、電磁波を誘電体基板内でその厚さ方向と直交する方向に伝搬する誘電体イメージ線路が形成され、誘電体基板1の反対面側(上面側)には、複数の漏出用金属ストリップ3が所定間隔、例えば、誘電体イメージ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長λgとほぼ等しい間隔で平行に設けられている。
【0025】
なお、誘電体基板1は、テフロン(米国デュポン社の登録商標)、アルミナ、セラミック等が使用され、また、地板導体2や漏出用金属ストリップ3は、誘電体基板1に対する金属膜の印刷やエッチングによって形成されている。
【0026】
各漏出用金属ストリップ3は、誘電体イメージ線路内の反射成分を抑圧するために、互いに平行で線路内波長λgのほぼ1/4だけ離れた2本の金属ストリップ3a、3bによって構成されている。
【0027】
即ち、漏出用金属ストリップ3を線路内波長λgとほぼ等しい間隔の金属ストリップ3aだけで構成すると、各金属ストリップ3aによって発生する反射波が互いに同相となり効率が低下するが、上記のように各金属ストリップ3aに対して線路内波長λgのほぼ1/4だけ離れた位置に、各金属ストリップ3aと同一寸法の金属ストリップ3bをそれぞれ設けると、両者の反射波が互いに逆相となって反射成分を相殺することができる。
【0028】
なお、この金属ストリップ3a、3bはともに電磁波を漏出する作用を有しているので、上記のように漏出用金属ストリップ3を2つの金属ストリップ3a、3bで構成した場合、誘電体基板1の表面から漏出される電磁波の放射特性は、2つの金属ストリップ3a、3bによって漏出される電磁波の放射特性を合成したものとなる。
【0029】
また、この例および以下に示す全ての誘電体漏れ波アンテナでは、漏出用金属ストリップ3を2本の金属ストリップ3a、3bで構成しているが、これは本発明を限定するものでなく、金属ストリップによる反射成分が無視できる程度に小さい場合には、1本の金属ストリップで漏出用金属ストリップ3を構成してもよい。また、漏出用金属ストリップ3の間隔を、線路内波長λgより短く設定したり、長く設定することで反射波を抑圧することも可能であり、この場合にも1本の金属ストリップで構成することができる。
【0030】
一方、誘電体基板1の一端側には励振部24が設けられている。
励振部24は、誘電体基板1の表面側に漏出用金属ストリップ3と平行に延びた帯状の線路用金属ストリップ40と、線路用金属ストリップ40の一方の側縁(この図では漏出用金属ストリップ3が設けられている側の側縁)に所定間隔で設けられた複数(図では簡単に3つで示している)の第1のスタブ411、412、413と、線路用金属ストリップ40の他方の側縁(この図では漏出用金属ストリップ3が設けられている反対側の側縁)に、第1のスタブと線路内波長λg‘の1/4ずれた位置に設けられた複数(図では簡単に3つで示している)の反射抑制用の第2のスタブ511、512、513とによって構成されている。
【0031】
ここで、線路用金属ストリップ40は、地板導体2との間で誘電体基板1を挟んでマイクロストリップ線路を形成し、その一端側の給電点5から給電された電磁波を他端側に伝搬する。なお、この給電点5に対する電磁波の給電は、例えば同軸ケーブルによって行なわれる。
【0032】
また、各第1のスタブ411、412、第2のスタブ511、512は、図2の(a)に示すように、線路用金属ストリップ40の側縁から、幅がそれぞれW1、W2、W3、W4長さがそれぞれL1、L2、L3、L4の帯状に突設されている。各第1のスタブの間隔Qは、放射しようとする電磁波のマイクロストリップ線路(線路用金属ストリップ)内の波長λg′の整数倍に近い値に設定されていて、給電点5に給電されてマイクロストリップ線路の一端側から他端側に伝搬する電磁波を、誘電体基板1内で漏出用金属ストリップ3が設けられている方向へ分岐して励振波として出力する。
【0033】
このような励振部24から漏出用金属ストリップ3が設けられている方向へ伝搬される電磁波(以下、励振波という)の振幅特性や位相特性は、各スタブの幅、長さおよび間隔Qによって任意に設定することができる。
【0034】
即ち、各スタブ411、412、511、512部分からそれぞれ分岐出力される励振波の振幅は、各スタブ411、412、511、512の幅W1〜W4と長さL1〜L4に依存しており、これらの幅と長さによって励振波全体として任意の振幅分布特性を与えることができる。
【0035】
また、線路用金属ストリップ40の中心からスタブの距離をm/2+L<0.65λg’とすることにより、第1のスタブ41を設けている線路用金属ストリップ40の側のみ電磁波を給電することができる。また、m/2+L≒0.65λg’とすることにより、線路用金属ストリップ40の両側に電磁波を給電することができる。さらに、m/2+L>0.65λg’とすることにより、反射抑制用の第2のスタブ51線路用金属ストリップ40の側のみ電磁波を給電することができる。ここで、mは線路用金属ストリップ40の幅、Lは各スタブの長さ(本実施例では、L=L1〜L4)、λg’はマイクロストリップ線路内の波長、δ≒λg’/4、Q≒λg’である。
【0036】
また、各スタブ411、412、511、512部分からそれぞれ分岐出力される励振波の位相はスタブの間隔Qに依存しており、この間隔Qによって励振波全体としての位相分布特性を任意に設定することができる。
【0037】
例えば、間隔Qを線路内波長λg′の整数倍に設定すれば(Q=λg′)、各スタブ411、412、部分からそれぞれ分岐出力される励振波の位相が等しくなり、励振波全体の位相面が図2の(b)のPh1−Ph1′のように線路用金属ストリップ40と平行となる。
【0038】
このように線路用金属ストリップ40と平行な位相面Ph1−Ph1′の励振波を、線路用金属ストリップ40と平行な漏出用金属ストリップ3側に伝搬させると、ビームの中心方向が誘電体基板1の表面に直交し且つ線路用金属ストリップ40に直交する面上に位置する電磁波を誘電体基板1の表面から放射することができる。
【0039】
また、間隔Qを線路内波長λg′の整数倍より短く設定すると(Q<λg′)、各スタブ411、412部分からそれぞれ分岐出力される励振波の位相が少しずつ進んで、励振波全体の位相面が図2(b)のPh3−Ph3′のように線路用金属ストリップ40に対して僅かに傾き、逆に、間隔Qを線路内波長λg′の整数倍より長く設定すると(Q>λg′)、各スタブ411、412部分からそれぞれ分岐出力される励振波の位相が少しずつ遅れて、励振波全体の位相面が図2(b)のPh4−Ph4′のように線路用金属ストリップ40に対してPh3−Ph3′と逆方向に傾く。
【0040】
このように線路用金属ストリップ40に対して傾いた位相面Ph3−Ph3′、Ph4−Ph4′の励振波を、線路用金属ストリップ40と平行な漏出用金属ストリップ3側に伝搬させると、誘電体基板1の表面からビームの中心方向が給電端側あるいは終端側に傾いた電磁波を放射することができる。
【0041】
なお、ここでは線路用金属ストリップ40を漏出用金属ストリップ3に対して平行に設けた例について説明したが、線路用金属ストリップ40が、漏出用金属ストリップ3に対して傾きをもつようにしてもよい。
【0042】
このように、実施形態の誘電体漏れ波アンテナ20の励振部24は、誘電体基板1の表面の漏出用金属ストリップ3から離間した位置に設けられ、誘電体基板1を挟んで地板導体2との間でマイクロストリップ線路を形成する線路用金属ストリップ40と、線路用金属ストリップ40の側縁に所定間隔に設けられ、マイクロストリップ線路に給電された電磁波を誘電体基板1内で漏出用金属ストリップ3と交差する方向に分岐出力する第1のスタブ41と反射抑制用の第2のスタブ51を複数有している。
【0043】
このため、励振部24を誘電体基板1に一体化することができ、アンテナ全体を小型化することができる。また、線路用金属ストリップ40、第1のスタブ41、および第2のスタブ51を漏出用金属ストリップ3と同一面で印刷やエッチングにより形成することができるので、少ない工程で、安価に且つ容易に製造でき、量産が可能となる。
【0044】
また、漏出用金属ストリップ3が設けられている側と反対側へ分岐される励振波の成分が無視できない程度に大きい場合には、その励振波を漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ反射させる必要がある。
【0045】
この場合、例えばセラミックやアルミナのように比誘電率が大きい誘電体基板1を用いれば、線路用金属ストリップ40が設けられている側の誘電体基板1の端面1aを反射壁として利用することができる。その際には、誘電体基板1の端面1aから反射して漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ向かう反射波と、線路用金属ストリップ40から漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ直接向かう励振波との位相が一致するように、反射壁の位置から線路用金属ストリップ40、漏出用金属ストリップ3の距離を設定すればよい。
【0046】
また、テフロン(米国デュポン社の登録商標)のように比誘電率が小さい誘電体基板1を用いる場合には、端面から電磁波が放射されて、効率が大きく低下する恐れがある。
【0047】
このような場合には、図3に示すように、反射壁として誘電体基板1の端面に金属の反射板60を設け、その漏出用金属ストリップ3が設けられている側と反対側へ分岐される励振波を漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ反射させる。なお、この反射板60を印刷によって形成する場合には、図3に示しているように誘電体基板1の表面側に補助板60aを延長形成して、反射板60の剥離等を防止する。また、60、60aその他の符号は、図1と同様のため省略する。
【0048】
また、上記のように端面に反射板60を設ける代わりに、図4に示すように、スルーホール加工等により誘電体基板1を貫通する金属柱61を励振波の波長に比べて十分短い間隔で線路用金属ストリップ40の長さ方向に沿って並べて反射壁を形成し、漏出用金属ストリップ3が設けられている側と反対側へ分岐される励振波を漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ反射させることもできる。なお、図4では、各金属柱61の一端側を地板導体2に電気的に接続し、他端側も誘電体基板1の表面にパターン形成された短絡板61aによって電気的に接続しているが、この短絡板61aは必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。また、61、61aその他の符号は、図1と同様のため省略する。
【0049】
このように反射板60や金属柱61を用いた場合も、前記同様に、誘電体基板1の端面から反射して漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ向かう反射波と、線路用金属ストリップ40から漏出用金属ストリップ3が設けられている側へ直接向かう励振波との位相が一致するように、各部の位置を設定する。
【0050】
また、線路用金属ストリップ40が形成するマイクロストリップ線路のような開放型の線路では、誘電体基板1の表面から直接放射される電磁波成分があり、この成分によってアンテナ全体の放射特性が乱れる場合がある。
【0051】
この直接放射成分による影響が無視できない場合には、図5、図6に示すように、シールド板62、63によって、線路用金属ストリップ40およびスタブ41の部分をシールドすればよい。なお、62、63その他の符号は、図1等と同様のため省略する。
【0052】
なお、図5のシールド板62は、その一端側を前記した図4の短絡板61a(図3の補助板60aでもよい)および金属柱61を介して地板導体2に接続させ、他端側を線路用金属ストリップ40に対向する位置まで延ばして直接輻射成分の漏れを防いでいる。また、図6のシールド板63は、一端側を地板導体1に直接接触させ、他端側を線路用金属ストリップ40に対向する位置まで延ばして直接輻射成分の漏れを防いでおり、アンテナ全体のベース材を兼用することが可能である。
【0053】
また、マイクロストリップ線路からの直接輻射成分を有効に利用することも可能である。例えば、図7に示すように、金属で帯状の輻射板64を、誘電体基板1の一面側で線路用金属ストリップ40とスタブ41が設けられている部分に対向するように配置し、その幅Wpを調整することで、この部分から直接輻射される電磁波の位相と振幅を漏出用金属ストリップ3によって漏出される電磁波に合わせて輻射することができる。なお、64その他の符号は、図1と同様のため省略する。
【0054】
このように、直接輻射成分を利用することで、アンテナ全体としての有効開口面積を大きくすることができ、能率がさらに高くなる。
【0055】
また、前記した誘電体漏れ波アンテナ20およびその変形例では、マイクロストリップ線路の一端側から電磁波5を給電(エッジ給電)していたが、図8に示す誘電体漏れ波アンテナ30のように、マイクロストリップ線路の中央部の給電点5から電磁波を給電(センタ給電)してもよい。
【0056】
この場合、図9(a)のように、励振波の位相面を、給電点5から一方側の第1のスタブ411〜413の間隔Qと、給電点5から他方側の第1のスタブ411′〜413′の間隔Q′とによって任意に設定することができる。
この場合、第2のスタブ511〜513 、第2のスタブ511′〜513′は、反射抑制用として機能している。
【0057】
例えば、スタブ間隔Q、Q′をともに、線路内波長λg′の整数倍に等しく設定すれば(Q=Q′=λg′)、図9(b)のように、線路用金属ストリップ40と平行な位相面Ph1−Ph1′が得られる。また、スタブ間隔Qを線路内波長λg′の整数倍より短く設定し、スタブ間隔Q′を線路内波長λg′の整数倍より長く設定すれば(Q<λg′<Q′)、線路用金属ストリップ40に対して傾いた位相面Ph3−Ph3′が得られる。また逆に、スタブ間隔Qを線路内波長λg′の整数倍より長く設定し、スタブ間隔Q′を線路内波長λg′の整数倍より短く設定すれば(Q>λg′>Q′)、線路用金属ストリップ40に対して位相面Ph3−Ph3′と逆方向に傾いた位相面Ph4−Ph4′が得られる。
【0058】
このようなセンタ給電の場合、前記したエッジ給電に対してマイクロストリップ線路の長さが同一であれば、その線路内で生じる損失(導体損失や誘電体損失)がほぼ半減するため能率が高くなる。
【0059】
また、線路用金属ストリップ40と平行な位相面Ph1−Ph1′を得るように設計した場合に、製造誤差等があった場合でも、それらの誤差が給電点に対して対称に発生している場合には、図9(b)の位相面Ph2−Ph2′のように対称に傾くことになり、ビームの中心方向は大きくずれずに済む。
なお、給電点5から一方側の第1のスラブ411、給電点5から他方側の第1のスラブ411′とも、第2のスラブ511、511′より近くから配置した構成としたが、アンテナの放射パターン等により変更することある。例えば、給電点5から他方側の第1のスラブ411′を第2のスラブ511′より遠くから配置し、第1のスラブ、第2のスラブとも、それぞれ等間隔になるように配置することもある。
【0060】
また図10に示す誘電体漏れ波アンテナ80のように、誘電体基板1の中央部に線路用金属ストリップ40とスタブ411〜413、511〜513を含む励振部24を設け、その両側に複数の漏出用金属ストリップ3、3′をそれぞれ平行に配置することも可能である。
【0061】
この場合、励振部24の線路用金属ストリップ40、スタブ411〜413、511〜513は、m/2+L≒0.65λg’とすることにより、線路用金属ストリップ40の両側に電磁波を分岐して給電することができる。ここで、mは線路用金属ストリップ40の幅、Lは各スタブの長さ、λg’はマイクロストリップ線路内の波長、δ≒λg’/4、Q≒λg’である。
【0062】
ただし、このよう左右の分岐されたそれぞれの電磁波には、線路内波長λg′の1/2にほぼ等しい位相差が生じる。
【0063】
したがって、図10に示しているように、線路用金属ストリップ40から左右の最初の漏出用金属ストリップ3、3′までの距離d、d′を、この位相差に相当する分だけ異なるように設定しておけば、左右の漏出用金属ストリップ3、3′から同相の電磁波を漏出させることができる。
【0064】
また、上記のように、左右に設けたスタブによる両側励振は、図11に示すセンタ給電型の誘電体漏れ波アンテナ90にも適用することができる。
【0065】
また、このように左右の分岐波の位相があっている場合には、図12、図13に示す誘電体漏れ波アンテナ80′、90′のように、前記した輻射板64を、線路用金属ストリップ40およびスタブ41、51と対向する位置に配置し、その幅Wpを調整することで、マイクロストリップ線路からの直接輻射成分を、左右の漏出用金属ストリップ3、3′から漏出される電磁波の位相に合わせて輻射することができ、アンテナ全体としての有効開口面を大きくすることができる。なお、図12はエッジ給電の場合を示し、図13はセンタ給電の場合を示している。
【0066】
また、前記した各誘電体漏れ波アンテナでは、漏出用金属ストリップ3、3′と線路用金属ストリップ40が、矩形の誘電体基板1の1辺にほぼ平行となるように形成されていたが、これは本発明を限定するものでなく、誘電体基板1の外形に対する漏出用金属ストリップ3、3′および線路用金属ストリップ40の向きは任意に設定することができる。
【0067】
例えば、図14に示す誘電体漏れ波アンテナ100のように、正方形の誘電体基板1の対角線に一致するように線路用金属ストリップ40を設け、その両側の側縁にスタブ41、51を設け、さらにその両側に漏出用金属ストリップ3、3′を平行に設けてもよい。この場合、励振部24から両側の漏出用金属ストリップ3、3′に平行な位相面の電磁波を伝搬させれば、漏出用金属ストリップ3、3′からその長さ方向に直交する偏波の電磁波を漏出させることができる。この電磁波の偏波方向は、矩形の誘電体基板1の一辺を基準にして45度傾いた45度偏波となり、車載用レーダ等に適している。この誘電体漏れ波アンテナ100のように線路用金属ストリップ40が誘電体基板1の一辺に対して傾いたものの場合でも、前記同様に輻射板64を設けて能率を高くすることが可能であり、エッジ給電にすることもできる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の誘電体漏れ波アンテナでは、誘電体基板の一面側に漏出用金属ストリップとほぼ平行な線路用金属ストリップを設けて、マイクロストリップ線路を形成し、その線路用金属ストリップの側縁にスタブを所定間隔で設けて、マイクロストリップ線路に給電された電磁波を漏出用金属ストリップと交差する方向に分岐して励振している。
【0069】
このため、励振部を誘電体基板に一体化することができ、アンテナ全体を小型化することができる。また、線路用金属ストリップおよびスタブを漏出用金属ストリップと同一面でパターン形成することができるので、少ない工程で、安価に且つ容易に製造でき、量産が可能となる。
【0070】
また、スタブを、線路用金属ストリップの側縁から所定の幅で線路用金属ストリップと直交する方向に所定距離延びた帯状に形成し、マイクロストリップ線路内の電磁波の線路内波長の整数倍にほぼ等しい間隔で設けたものでは、そのスタブの幅と長さ、および間隔によって、任意の特性を得ることができる。
【0071】
また、スタブによって漏出用金属ストリップが設けられている側と反対側に分岐される電磁波を漏出用金属ストリップが設けられている側に反射させる反射壁を備えたものでは、漏出用金属ストリップが設けられている側と反対側に分岐される電磁波も有効に利用でき、能率が高くなる。
【0072】
また、地板導体と電気的に接続され、誘電体基板の一面側で線路用金属ストリップとスタブが設けられている部分に対向して、その部分から直接輻射される電磁波をシールドするシールド板を備えたものでは、励振部から直接外部へ輻射される電磁波による特性の乱れを防ぐことができる。
【0073】
また、誘電体基板の一面側で線路用金属ストリップとスタブが設けられている部分に対向するように配置され、その部分から直接輻射される電磁波の位相と振幅を漏出用金属ストリップによって漏出される電磁波に合わせて輻射する輻射板を備えたものでは、アンテナ全体の有効開口面積を大きくすることができ、能率がさらに高くなる。
【0074】
また、マイクロストリップ線路のほぼ中央から電磁波を給電するように構成したものでは、マイクロストリップ線路の損失を減らすことができ、能率をさらに高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を模式的に示す透視的斜視図
【図2】実施形態の要部と波面との関係を説明するための図
【図3】反射壁を設けた例を示す図
【図4】反射壁を設けた例を示す図
【図5】シールド板を設けた例を示す図
【図6】シールド板を設けた例を示す図
【図7】輻射板を設けた例を示す図
【図8】センタ給電の例を示す図
【図9】センタ給電の場合の要部と波面の関係を説明するための図
【図10】両側励振の例を示す図
【図11】センタ給電、両側励振の例を示す図
【図12】エッジ給電、両側励振、輻射板付きの例を示す図
【図13】センタ給電、両側励振、輻射板付きの例を示す図
【図14】誘電体基板の一辺に対して漏出用金属ストリップおよび線路用金属ストリップを45度傾けた例を示す図
【図15】誘電体漏れ波アンテナの概略構成を示す図
【符号の説明】
1……誘電体基板、2……地板導体、3、3′……漏出用金属ストリップ、3a、3b……金属ストリップ、20、30、80、80′、90、90′、100……誘電体漏れ波アンテナ、24……励振部、40……線路用金属ストリップ、41、41′……第1のスタブ、51、51′……第2のスタブ、60……反射板、60a……補助板、61……金属柱、61a……短絡板、62、63……シールド板、64……輻射板。
Claims (9)
- 誘電体基板(1)と、該誘電体基板の一面側に設けられ、前記誘電体基板内でその厚さ方向と直交する方向に電磁波を伝搬させる誘電体イメージ線路を形成する地板導体(2)と、前記誘電体基板の反対面側に所定間隔で平行に設けられた複数の漏出用金属ストリップ(3)と、前記誘電体基板内に前記複数の漏出用金属ストリップと交差する方向に電磁波を伝搬させて、前記誘電体基板の前記反対面から漏出させる励振部(24)とを有する誘電体漏れ波アンテナにおいて、
前記励振部が、
前記誘電体基板の前記反対面の前記漏出用金属ストリップから離間した位置に設けられ、前記誘電体基板を挟んで前記地板導体との間でマイクロストリップ線路を形成する線路用金属ストリップ(40)と、
前記線路用金属ストリップの一方の側縁に所定間隔に設けられ、前記マイクロストリップ線路に給電された電磁波が、前記線路用金属ストリップの長手方向に伝搬し、前記誘電体基板内で前記漏出用金属ストリップと交差する方向に分岐出力する複数の第1のスタブ(41)と、
前記線路用金属ストリップの他方の側縁に、前記第1のスタブに対して前記マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長のほぼ1/4に等しいだけずれてそれぞれ設けられた複数の第2のスタブ(51)とをすることを特徴とする誘電体漏れ波アンテナ。 - 前記第1のスタブが設けられる所定間隔は、前記マイクロストリップ線路内を伝搬する電磁波の線路内波長にほぼに等しいことを特徴とする請求項1記載の誘電体漏れ波アンテナ。
- 前記第1のスタブ及び第2のスタブは、前記線路用金属ストリップの側縁から所定の幅で前記線路用金属ストリップと直交する方向に所定距離延びた帯状に形成され、前記それぞれの所定距離を調整することにより、前記線路用金属ストリップの側縁の片側に電磁波を給電することを特徴とする請求項1または請求項2記載の誘電体漏れ波アンテナ。
- 前記第1のスタブ及び第2のスタブは、前記線路用金属ストリップの側縁から所定の幅で前記線路用金属ストリップと直交する方向に所定距離延びた帯状に形成され、前記それぞれの所定距離を調整することにより、前記線路用金属ストリップの側縁の両側に電磁波を給電することを特徴とする請求項1または請求項2記載の誘電体漏れ波アンテナ。
- 前記スタブによって前記漏出用金属ストリップ側と反対側に分岐される電磁波を前記漏出用金属ストリップ側に反射させるための反射壁を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の誘電体漏れ波アンテナ。
- 一端側が前記地板導体と電気的に接続され、他端側が前記誘電体基板の反対面側で前記線路用金属ストリップに対向するように延び、前記マイクロストリップ線路から前記誘電体基板の前記反対面側に直接輻射される電磁波をシールドするシールド板(62、63)を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項5記載の誘電体漏れ波アンテナ。
- 前記誘電体基板の反対面側で前記線路用金属ストリップと対向するように配置され、前記マイクロストリップ線路から前記誘電体基板の前記反対面側に直接輻射される電磁波の位相と振幅を前記漏出用金属ストリップによって漏出される電磁波に合わせて輻射する輻射板(64)を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項5記載の誘電体漏れ波アンテナ。
- 前記励振部が前記誘電体基板のほぼ中央部に設けられ、該励振部の両側にそれぞれ複数の前記漏出用金属ストリップが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項4または請求項6または請求項7記載の誘電体漏れ波アンテナ。
- 前記マイクロストリップ線路は、そのほぼ中央から給電された電磁波を両端に伝搬するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8記載の誘電体漏れ波アンテナ。
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