JP2004327004A - 磁気転写用マスター担体の作製方法 - Google Patents

磁気転写用マスター担体の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マスター担体を構成するマスター基板を作製するについて、パターンを有する原盤に積層した金属盤の剥離時または打抜き時に受けた変形を低減し、平坦性の高いマスター基板を得て、磁気転写時におけるスレーブ媒体との密着性を高め転写特性を向上する。
【解決手段】磁気転写用マスター担体1は転写する情報に応じた凹凸パターンPを有する金属製のマスター基板2を備え、このマスター基板2を、パターンPが形成された原盤13に電鋳等により所定厚さに積層した金属盤5を剥離し、所望のサイズに打ち抜く作製工程に、金属盤5を原盤13より剥離した後、該金属盤5の受けた変形を戻す歪み除去工程(f)をさらに備え、平坦性を確保し、転写特性を高める。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写情報が担持されたマスター担体から転写を受けるスレーブ媒体へ磁気転写する磁気転写方法に使用する磁気転写用マスター担体の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の対象とする磁気転写は、少なくとも表層に磁性層を有するサーボ信号等の転写パターンが凹凸形状で形成されたマスター担体(パターンドマスター)を、磁気記録部を有するスレーブ媒体と密着させた状態で、転写用磁界を印加してマスター担体に担持した情報に対応する磁化パターンをスレーブ媒体に転写記録するものである。
【0003】
上記スレーブ媒体がハードディスクまたは高密度フレキシブルディスクのような円盤状媒体の場合には、前記マスター担体も円盤状で、同心円状に形成された転写パターンを有し、スレーブ媒体の片面または両面にこのマスター担体を密着させた状態で、その片側または両側に電磁石装置、永久磁石装置による磁界印加装置を配設して転写用磁界を印加する。
【0004】
上記磁気転写に使用するマスター担体の一例としては、基板の表面に情報信号に対応する凹凸パターンを形成し、この凹凸パターンの表面に薄膜磁性層を被覆形成してなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
そして、本発明が対象としているマスター担体は、例えば、次の工程により作製される。まず、Si基板上に電子線レジストまたはフォトレジストを塗布し、ベーキングした後、電子ビームまたはレーザービーム等により転写パターンを描画露光し、現像することによりレジストによる凹凸パターンを有する原盤を得る。次に、上記原盤の凹凸パターン上に例えばスパッタリングにより導電層を設け、さらにNi電鋳を施して所定厚さの金属盤(Ni電鋳層)を積層する。次に、前記原盤より金属盤を剥離し、所定サイズに打ち抜いてマスター基板(複版)を作製する。または打抜前のマスター基板を原盤として、電鋳を繰り返して、剥離した金属盤を所定サイズに打ち抜いてマスター基板(複版)を作製する。次に、このマスター基板の凹凸パターン表面に磁性層を成膜して、磁性層による転写パターンを有するマスター担体を作製するものである。
【0006】
そして、上記マスター担体を用いた磁気転写は、このマスター担体と、ハードディスクやフレキシブルディスクなどの磁気記録媒体によるスレーブ媒体とを密着させ、磁気転写用の外部磁場を与えて転写パターンに応じた磁気信号をスレーブ媒体に転写記録するものである。
【0007】
上記のようなNi電鋳によるスタンパー作製技術は、光ディスク製造等で広く使われている。光ディスクでは一般にマスター基板(スタンパー)を元に、射出成形機にて樹脂製のディスク基板を作製するため、マスター基板の若干の歪み(変形)は射出成型時の圧力印加で解消される。一方、磁気転写においては、凹凸間隔が光ディスクより微細であり、パターン形成単位が300nm以下、例えば50nm、それ以下のレベルまで小さくなってきて、より高い精度が要求される。
【0008】
ところで、上記のような磁気転写を行う際に、品質よく信号を転写するには、マスター担体とスレーブ媒体を均一に隙間なく密着させることが重要である。このため、密着圧力を高めたり、真空吸引で密着面に空気溜まりができないようにエア排出を行うことなどが実施されている。
【0009】
しかし、密着圧力を高めることは、マスター担体のパターン破損や変形等が発生してマスター担体の耐久性能を低下させる問題となり、高価で耐久性能を要する磁気転写用マスター担体においては、密着圧力を極端に高くすることはできない。
【0010】
前記のようなマスター基板をSi基板で構成したマスター担体では、反り、歪みが小さいが、Si基板に磁性体によるパターンを形成するのが煩雑で時間が掛かると共に、高コストとなる問題がある。一方、上記原盤をもとにNi電鋳等で作製したマスター基板またはそれよりさらに複製したマスター基板を用いるマスター担体は、作製が容易であるとともに、1枚の原盤より複数のマスター基板が複製可能であり、コスト面などで有利となり実用的である。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−256644号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような原盤を用いて金属盤を積層・剥離してなるマスター基板で構成したマスター担体では、原盤からの金属盤の引き剥がし工程、所定サイズへの打抜き工程等で発生した変形によりマスター基板は必ずしも平坦面ではなく、反りや歪みを持っている。
【0013】
マスター基板すなわちマスター担体に反りや歪みがあると、スレーブ媒体との密着性が低下してスペーシングの発生要因となり、特にビット間隔が300nm以下に小さいため、上記スペーシング量が転写特性に大きく影響する。これに加え、マスター担体およびスレーブ媒体の表面性、磁性層上に耐久性向上のために被覆した保護層厚み等も影響する。このため、基本的にマスター担体の反りや歪み量を低下させることが重要である。
【0014】
Ni電鋳で作製されたマスター基板の変形は、電鋳時の液温度、印加電流変化方法、液濃度等が影響するが、これらは工程管理を行うことで低減することが可能である。一方、原盤に電鋳した金属盤を引き剥がす工程では、自動設備化が難しく、人手による剥離の方が精度が高い。しかし、この剥離時に作用する力によってマスター基板となる金属盤に歪みが生じ変形を起こしやすいものである。
【0015】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、原盤に積層した金属盤の剥離時に受けた変形(歪み/反り)を低減して平坦性の高いマスター基板によってマスター担体を作製し、スレーブ媒体との密着性を高め転写特性に優れた磁気転写用マスター担体の作製方法を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気転写用マスター担体の作製方法は、情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤に、電鋳等により所定厚さの金属盤を積層し、前記原盤より剥離した前記金属盤を所定形状に加工してマスター基板とし、該マスター基板の凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁気転写用マスター担体の作製方法において、
前記金属盤を前記原盤より剥離した後、該金属盤の受けた変形を戻す前記マスター基板の歪み除去工程をさらに備えたことを特徴とするものである。
【0017】
前記金属盤はNiを電鋳してなり、前記歪み除去工程が、前記金属盤または前記マスター基板を、200〜300℃の雰囲気下で、30分〜2時間熱処理する工程であることが好適である。
【0018】
または、前記金属盤はNiを電鋳してなり、前記歪み除去工程が、平坦板間に前記金属盤または前記マスター基板を挟み込み、49〜196kPaの圧力で加圧固定した状態で、200〜300℃の雰囲気下で、30分〜2時間熱処理をする工程であることが好適である。
【0019】
また、前記金属盤を前記マスター基板の所定形状に加工する工程が打抜き工程であり、該打抜き工程後に前記歪み除去工程を備えるのが好適である。
【0020】
前記原盤は、レジストへの描画露光により形成された凹凸パターンに電鋳を施し、金属の型を取った後剥離してなる金属原盤で構成してもよい。
【0021】
前記歪み除去工程は、剥離工程後に施してこの剥離工程で受けた変形の歪みのみを除去するほか、打抜き工程後に1回施して、原盤からの剥離工程および打抜き工程で受けた変形の歪みを一度で除去するか、剥離工程後および打抜き工程後にそれぞれ配置して各工程で受けた変形の歪みを独立して除去するようにしてもよい。
【0022】
【発明の効果】
上記のような本発明マスター担体の作製方法によれば、情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤に電鋳等により金属盤を積層し、この金属盤を原盤より剥離し所定形状に加工してマスター基板を作製するについて、金属盤を原盤より剥離した後、該金属盤の受けた変形を戻す歪み除去工程をさらに備えたことにより、原盤に電鋳等により積層された金属盤の剥離時に受けた変形、または、所望サイズへの加工時に受けた変形が、歪み除去処理により戻され、マスター基板の平坦性を確保することで、電磁変換特性(信号品質)が向上し、特にトラック1周での信号ばらつき(モジュレーション)が改善できる。
【0023】
特に、金属盤またはマスター基板を平坦板で挟んで加圧固定し熱処理するのが、良好な歪み除去が行え平坦性を確保することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の一つの実施形態に係る磁気転写用マスター担体の部分断面図、図2はマスター基板の平面図、図3は一つの実施形態に係るマスター担体の作製工程を順に示す図である。なお、各図は模式図であり、実際の寸法とは異なる比率で示している。
【0025】
図1に示す磁気転写用マスター担体1は、金属製のマスター基板2と磁性層3とで構成されてなり、マスター基板2は表面に転写情報に応じた微細な凹凸パターンP(転写パターン)を有し、その表面に磁性層3が被覆形成されてなる。
【0026】
また、前記マスター基板2は、例えば電鋳により作製されたNi製であり、図2に示すように、中心孔2aをする円盤状に形成され、片面(情報担持面)の内周部および外径部を除く円環状領域に凹凸パターンPが形成されている。
【0027】
磁気転写時には、図1に示すように、前記マスター担体1における磁性層3の表面(凹凸パターン)と、鎖線で示す転写を受けるスレーブ媒体4とを密着させて転写用磁界を印加して磁気転写する。その際、スレーブ媒体4は予め面内方向または垂直方向の一方に初期磁化が施され、転写用磁界はこの初期磁化とほぼ反対方向の面内方向または垂直方向に印加するものである。
【0028】
そして、上記磁気転写時に印加された転写用磁界は、マスター担体1の凹凸パターンにおけるスレーブ媒体4と密着した磁性層3の凸部に吸い込まれ、面内記録の場合にはこの部分の初期磁化は反転せずその他の部分の初期磁化が反転し、垂直記録の場合にはこの部分の初期磁化が反転しその他の部分の初期磁化は反転しない結果、スレーブ媒体4の磁気記録層にはマスター担体1の凹凸パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。磁性層3の凹凸パターンにおける突起の高さは、20〜600nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは30〜300nmの範囲である。
【0029】
なお、上記マスター担体1は、磁性層3の凹凸パターンが、ポジ状パターンと逆の凹凸形状のネガ状パターンの場合であっても、スレーブ媒体4に対する初期磁界の方向および転写用磁界の印加方向を逆の方向にすることによって同様の磁化パターンが転写記録できる。
【0030】
上記マスター担体1のマスター基板2は、詳細は後述するように、情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤に、Ni電鋳等によって所定厚さに金属盤を積層し、この金属盤を原盤より剥離し、外径および中心孔2aの部分を所望のサイズに打ち抜いて作製してなる。そして、原盤より剥離後の金属盤、特に打抜き後の金属盤(マスター基板)に、焼き戻し加熱処理等の歪み除去処理を行い、その変形を低減し、平坦性を確保することで、電磁変換特性(信号品質)を向上させるとともに、特にトラック1周での信号ばらつき(モジュレーション)を改善する。
【0031】
マスター基板2の一実施形態の作製方法を、図3(a)〜(f)に基づいて説明する。
【0032】
まず、(a)のように表面が平滑で清浄でシリコンウエハーによる原板10(ガラス板、石英板でもよい)の上に、密着層形成等の下処理を行い、電子線レジスト液をスピンコート等で塗布してレジスト膜11を形成し、ベーキングする。そして、高精度な回転ステージを備えた不図示の電子ビーム露光装置にて、その回転ステージに搭載した上記原板10を回転させながら、サーボ信号等に対応して変調した電子ビームBを照射し、そのレジスト膜11に所望のパターンを描画露光する。その後、(b)のように、レジスト膜11を現像処理し、露光部分を除去して、残ったレジスト膜11による所望厚みで所望の凹凸パターンPを形成する。この凹凸パターンP上に、不図示のNi導電膜を付与し、電鋳可能とした原盤13を作製する。
【0033】
次に、(c)のように、上記原盤13の全面に、電鋳装置にて電鋳処理を施し、所望厚みのNi金属による金属盤5(電鋳層)を積層する。この金属盤5を、上記原盤13から剥離し、残留するレジスト膜11を除去・洗浄し、(d)のように、反転した凹凸パターンPを有する金属盤5を得る。なお、上記電鋳処理は、液濃度、pH、電流のかけ方、液温度調整等により、積層された電鋳層に歪みのない最適条件で実施する。
【0034】
そして、(e)のように、上記金属盤5の内径および外径を所定のサイズに打抜き加工して、マスター基板2を作製してなる。
【0035】
次に、(f)のように、上記マスター基板2を歪み除去工程により、前記金属盤5を原盤13より引き剥がした時、および打抜き加工時に受けた変形(歪み/反り)を戻し、平坦化する。つまり、マスター基板2を電気炉内の平坦面板15上に載置し、200〜300℃の雰囲気下で、30分〜2時間、例えば、250℃×1時間、平面放置状態で熱処理し、内部歪みを除去して変形を焼き戻す工程である。200℃未満では歪み除去が不十分であり、300℃を越えると脆性化の問題がある。
【0036】
図4は上記歪み除去工程の他の実施形態を示すもので、図3の(f)工程に代えて施すものである。本実施形態の歪み除去処理は、打抜き加工後のマスター基板2を、電気炉内の200〜300℃の雰囲気下で、2つの平坦面板16,17の間に挟み込み、49〜196kPaの圧力で加圧固定した状態で、前記と同様に30分〜2時間、例えば、250℃×1時間で熱処理をし、内部歪みを除去して変形を焼き戻すものである。
【0037】
前述の歪み除去工程で使用する平坦面板15,16,17は、その反りおよび歪みが1μm以下であり、ガラス板や金属加工板等を用いることができる。
【0038】
また、上記の歪み除去工程は、打抜き前の金属盤5に施してもよく、さらに、これに加えて、打抜き工程後にも施すようにしてもよい。
【0039】
なお、上記工程では、金属盤5を原盤13から剥離する際に、金属盤5の外径が打抜き後のマスター基板2の外径より、例えば1.7倍以上大きいことにより、転写パターンPの形成部分の外径より外周部分が広く、外周部分への力の作用による原盤13からの剥離時の転写パターンPの部位へ作用する力が均等化され、受ける変形を低減し、平坦性を向上している。
【0040】
前記工程に続いて、図示してないが、上記マスター基板2の凹凸パターンPの表面にスパッタリングにより磁性層3、必要に応じて保護層を成膜し、マスター担体1を作製するものである。
【0041】
また、他の作製工程としては、前記原盤13に電鋳を施して第2の原盤を作製し、この第2の原盤を使用して電鋳を行い、反転した凹凸パターンを有する金属盤を作製し、所定サイズに打ち抜いてマスター基板を作製してもよい。さらに、第2の原盤に電鋳を行うか樹脂液を押し付けて硬化を行って第3の原盤を作製し、第3の原盤に電鋳を行って金属盤を作製し、さらに反転した凹凸パターンを有する金属盤を剥離してマスター基板を作製してもよい。前記第2または第3の原盤を繰り返し使用し、複数の金属盤5を作製することができる。
【0042】
なお、前記原盤13の作製において、レジスト膜11を露光・現像処理した後、エッチング処理を行って、ウエハー原板10の表面にエッチングによる凹凸パターンを形成してからレジスト膜11を除去してもよい。この凹凸パターン上にNi導電膜を施してから、図3(c)と同様に、電鋳処理を施して凹凸パターンを有する原盤13を作製してもよい。
【0043】
また、図3では、電鋳処理により形成した原盤13および金属盤5の裏面は平坦に示しているが、この裏面に表面の凹凸形状を反映した凹凸が形成されていてもマスター担体1の形成には問題がなく、必要に応じて研磨による平坦加工が施される。
【0044】
前記磁性層3の形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、電鋳等のメッキ法などにより成膜する。磁性層3の磁性材料としては、Co、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN)、Ni、Ni合金(NiFe)を用いることができる。特に好ましくはFeCo、FeCoNiである。磁性層3の厚みは、50nm〜500nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは100nm〜400nmである。
【0045】
なお、磁性層3の凹凸パターンにダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の保護膜を設けることが好ましく、潤滑剤層を設けても良い。また保護膜として5〜30nmのDLC膜と潤滑剤層が存在することがさらに好ましい。潤滑剤は、スレーブ媒体4との接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などの耐久性の劣化を改善する。
【0046】
スレーブ媒体4は、両面または片面に磁性層が形成されたハードディスク、高密度フレキシブルディスクなどの円盤状磁気記録媒体が使用され、その磁気記録部は塗布型磁気記録層あるいは金属薄膜型磁気記録層で構成される。金属薄膜型磁気記録層の磁性材料としては、Co、Co合金(CoPtCr、CoCr、CoPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、CoNi等)、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、FeCoNi)を用いることができる。これは磁束密度が大きいこと、磁界印加方向と同じ方向(面内記録なら面内方向、垂直記録なら垂直方向)の磁気異方性を有していることが、明瞭な転写が行えるため好ましい。そして磁性材料の下(支持体側)に必要な磁気異方性をつけるために非磁性の下地層を設けることが好ましい。結晶構造と格子定数を磁性層に合わすことが必要である。そのためにはCr、CrTi、CoCr、CrTa、CrMo、NiAl、Ru等を用いる。
【0047】
初期磁界および転写用磁界を印加する磁界印加手段は、面内記録の場合には、例えば、スレーブ媒体4の半径方向に延びるギャップを有するコアにコイルが巻き付けられたリング型電磁石装置が上下両側に配設されてなり、上下で同じ方向にトラック方向と平行に発生させた転写用磁界を印加する。磁界印加時には、スレーブ媒体4とマスター担体1との密着体を回転させつつ磁界印加手段によって転写用磁界を印加する。磁界印加手段を回転移動させるように設けてもよい。磁界印加手段は、片側にのみ配設するようにしてもよく、永久磁石装置を両側または片側に配設してもよい。
【0048】
垂直記録の場合の磁界印加手段は、極性の異なる電磁石または永久磁石をスレーブ媒体4とマスター担体1との密着体の上下に配置し、垂直方向に磁界を発生させて印加する。部分的に磁界を印加するものでは、スレーブ媒体4とマスター担体1との密着体を移動させるか磁界を移動させて全面の磁気転写を行う。
【0049】
上記のように作製されたマスター基板2は、打抜き工程後の歪み除去工程により、原盤13に電鋳等により積層された金属盤5の剥離時に受けた変形、および、所望サイズへの打抜き加工時に受けた変形が、歪み除去処理により戻され、平坦性を確保することで、このマスター基板2を用いたマスター担体1は磁気転写時のスレーブ媒体4との密着性が向上し、信号ばらつきのない良好な磁気転写が行える。
【0050】
次に、上記のような本発明マスター担体を使用して磁気転写を行った評価結果を示す。この試験は、歪み除去処理(熱処理)条件を種々変更した実施例および比較例のマスター基板を、表1に示すように作製し、そのマスター基板の歪み除去処理後の面振れ量(歪み量)の測定と、このマスター基板を用いたマスター担体による磁気転写を実施した際のモジュレーションを測定し、評価したものである。
【0051】
<実施例1>
この実施例1のマスター基板の作製工程は、直径100mmSiウェハー→下処理→電子線レジスト塗布→ベーキング→電子ビーム描画→ベーキング→現像→導電層付与→電鋳→剥離→レジスト除去→打抜き(外径85mm、内径25mm)→平板上で熱処理(210℃×100分)を順に施してなる。さらに、マスター担体を作製する場合には、上記マスター基板に、酸素アッシング(酸化処理)→磁性層成膜→DLC保護膜成膜の工程で行う。
【0052】
上記Siウェハーは、平坦度(TTV値:Total Thickness variation)が10μm以下のものを使用した。この平坦度(TTV値)は吸着固定されたSiウェハーの厚さの最大値と最小値の差であり、この平坦度が大きいSiウェハーを使用すると、元々の形状が歪んでいることにより電鋳後のマスター基板の平坦度が確保できなくなる。
【0053】
<実施例2>
この実施例2のマスター基板の作製工程は、熱処理条件を除いて、上記実施例1と同様であり、熱処理条件は290℃×40分である。
【0054】
<実施例3>
この実施例3のマスター基板の作製工程は、歪み除去処理の熱処理を、図4に示す平坦面板間に挟み込んで、98kPaの圧力を加えて保持した状態で、210℃×100分加熱してなる。
【0055】
<比較例1,2>
この比較例1および比較例2におけるマスター基板の作製工程は、熱処理条件を除いて、上記実施例1と同様であり、比較例1は熱処理は施さず、比較例2の熱処理条件は150℃×40分である。
【0056】
面振れ量の測定は、マスター基板を内径25mmの位置でスピンドルモータに固定し、10rpmで回転させる。この状態で半径r=30mmの場所を面に対して垂直に変位量をレーザ変位計(KEYENCE社製:LC−2430変位センサ)で測定し、デジタルオシロスコープで変位波形を取り込んだ。このときの最小−最大値差を面振れ量とした(但し、チャッキングによる1次成分は除く)。また、取り込んだ1周のデータを周波数分析(FFT変換)し、周波数成分を算出した。2次成分のみで100μm変位量がある場合の2次周波数成分のレベルを1とし、3次成分以上のレベルがそれぞれの周波数のピーク位置で0.2を越える場合を、その成分が含まれることとし、表1に周波数成分を記載した。
【0057】
また、モジュレーションとは、磁気転写によりスレーブ媒体に転写されたサーボ信号の各セクタでのプリアンブル(AGC)部分の信号をヘッドで読み取った際の出力のばらつきであり、例えば、オシロスコープでの最大信号振幅aと最小信号振幅bにおいて、モジュレーション(Mod.)は、{(a−b)/(a+b)}×100[%]で表される。上記試験では、モジュレーション評価方法に、Guzik1601+協同電子システム評価機を使用している。
【0058】
【表1】
Figure 2004327004
【0059】
上記評価結果より、実施例1から実施例3の本発明マスター担体は、同一半径での1周当たりの面振れ量(歪み量)が100μm以下であり、転写されたスレーブ媒体での信号のトラック1周当たりの出力のばらつき(信号振幅強度のばらつき:モジュレーション)が6%以下となり、例えばサーボフォローイング性能に影響を与えない十分な品質での転写が可能となった。実施例1および実施例2は平坦板に載置した状態の放置加熱であるが、処理時間の長い実施例1の方が平坦性が高くなっている。また、実施例3は平坦板間で圧力を加えて挟んだ状態での加熱であって、実施例1よりさらに歪みが除去され平坦性が高まっている。
【0060】
これに対し、比較例1では、歪み除去処理としての熱処理を施してないことで、原盤からの電鋳金属盤を剥離した際に受けた変形がそのままで面振れ量が大きく、比較例2では温度が処理温度が低いことで歪み除去が不十分でまだ面振れ量が大きく、両比較例ともに、マスター担体とした後の磁気転写におけるスレーブ媒体との密着性が低下し、モジュレーションの増大を招き信号品位が劣化している。また、比較例における歪みの周波数成分には、3次成分以上の変位が含まれていた。
【0061】
また、上記面振れ量(歪み)では、その周波数成分(次数)の割合により、歪み量が大きくても密着時に歪みが平坦化されて良好な密着となる場合がある。例えば、金属盤を原盤より1方向から引き剥がすと、歪みの2次成分を越える成分が低減できる可能性がある。2次成分を越える歪みが多いと、密着圧を高めてもスペーシングが起きやすく望ましくない。逆に、2次以下であれば密着圧力を許容範囲内で増加させることによりある程度対応可能である。
【0062】
なお、歪み成分における、1次成分は、円盤が単に傾斜しているときの変位成分であり、1周における高さ方向の変化が1回高くなって低くなる変化である。2次成分以上は、1周の間で波打っている変位であり、2次では1周の間に2箇所で高くなる歪みであり、3次では1周の間に3箇所で高くなる歪みであり、4次以上でも同様に1周の内に4回以上の高くなるように歪みが波打って発生している。実際は、1次成分に2次成分が重なって発生したり、複数の歪み成分が重なって全体の歪み量となっている。この歪み量は、1周の変位における最も高い位置と低い位置との差で規定され、各次成分を分離して求めることが可能である。
【0063】
反りは、1周の間、すなわち1トラックにおける歪みはなくても、内周部位と外周部位とで高さが異なるような変形であり、例えば、球面状の変形がある。最も高い位置と、最も低い位置との差が反り量として規定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態に係る磁気転写用マスター担体の概略部分断面図
【図2】マスター基板の平面図
【図3】一実施形態のマスター基板の作製工程を順に示す図
【図4】歪み除去工程の他の実施形態を示す図
【符号の説明】
1 マスター担体
2 マスター基板
3 磁性層
4 スレーブ媒体
5 金属盤
10 原板
11 レジスト膜
13 原盤
15〜17 平坦面板

Claims (5)

  1. 情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤に、電鋳等により所定厚さの金属盤を積層し、前記原盤より剥離した前記金属盤を所定形状に加工してマスター基板とし、該マスター基板の凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁気転写用マスター担体の作製方法において、
    前記金属盤を前記原盤より剥離した後、該金属盤の受けた変形を戻す前記マスター基板の歪み除去工程をさらに備えたことを特徴とする磁気転写用マスター担体の作製方法。
  2. 前記金属盤はNiを電鋳してなり、前記歪み除去工程が、前記金属盤または前記マスター基板を、200〜300℃の雰囲気下で、30分〜2時間熱処理する工程であることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写用マスター担体の作製方法。
  3. 前記金属盤はNiを電鋳してなり、前記歪み除去工程が、平坦板間に前記金属盤または前記マスター基板を挟み込み、49〜196kPaの圧力で加圧固定した状態で、200〜300℃の雰囲気下で、30分〜2時間熱処理する工程であることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写用マスター担体の作製方法。
  4. 前記金属盤を前記マスター基板の所定形状に加工する工程が打抜き工程であり、該打抜き工程後に前記歪み除去工程を備えたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の磁気転写用マスター担体の作製方法。
  5. 前記原盤は、レジストへの描画露光により形成された凹凸パターンに電鋳を施し、金属の型を取った後剥離してなる金属原盤であることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写用マスター担体の作製方法。
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