JP2004265557A - 磁気転写用マスター担体およびその製造方法 - Google Patents

磁気転写用マスター担体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マスター担体を構成するマスター基板を作製するについて、パターンを有する原盤に積層した金属盤の剥離時の歪み、変形を低減し、平坦性の高いマスター基板を得て、磁気転写時におけるスレーブ媒体との密着性を高め転写特性を向上する。
【解決手段】磁気転写用マスター担体1は、転写する情報に応じた凹凸パターンPを有する金属製のマスター基板2を備え、このマスター基板2は、凹凸パターンが形成された原盤13に電鋳等により所定厚さに積層された金属盤5を剥離し、所望のサイズに打ち抜くもので、原盤13から剥離する際の金属盤5の外径が、打抜き後のマスター基板2の外径より1.7倍以上大きく、剥離時に外周側より作用する力による変形を低減し平坦性を確保し、転写特性を高める。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写情報が担持されたマスター担体から転写を受けるスレーブ媒体へ磁気転写する磁気転写方法に使用する磁気転写用マスター担体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の対象とする磁気転写は、少なくとも表層に磁性層を有するサーボ信号等の転写パターンが凹凸形状で形成されたマスター担体(パターンドマスター)を、磁気記録部を有するスレーブ媒体と密着させた状態で、転写用磁界を印加してマスター担体に担持した情報に対応する磁化パターンをスレーブ媒体に転写記録するものである。
【0003】
上記スレーブ媒体がハードディスクまたは高密度フレキシブルディスクのような円盤状媒体の場合には、前記マスター担体も円盤状で、同心円状に形成された転写パターンを有し、スレーブ媒体の片面または両面にこのマスター担体を密着させた状態で、その片側または両側に電磁石装置、永久磁石装置による磁界印加装置を配設して転写用磁界を印加する。
【0004】
上記磁気転写に使用するマスター担体の一例としては、基板の表面に情報信号に対応する凹凸パターンを形成し、この凹凸パターンの表面に薄膜磁性層を被覆形成してなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
そして、本発明が対象としているマスター担体は、例えば、次の工程により作製される。まず、Si基板上に電子線レジストまたはフォトレジストを塗布し、ベーキングした後、電子ビームまたはレーザービーム等により転写パターンを描画露光し、現像することによりレジストによる凹凸パターンを有する原盤を得る。次に、上記原盤の凹凸パターン上に例えばスパッタリングにより導電層を設け、さらにNi電鋳を施して所定厚さの金属盤(Ni電鋳層)を積層する。次に、前記原盤より金属盤を剥離し、所定サイズに打ち抜いてマスター基板(複版)を作製する。または打抜前のマスター基板を原盤として、電鋳を繰り返して、剥離した金属盤を所定サイズに打ち抜いてマスター基板(複版)を作製する。次に、このマスター基板の凹凸パターン表面に磁性層を成膜して、磁性層による転写パターンを有するマスター担体を作製するものである。
【0006】
そして、上記マスター担体を用いた磁気転写は、このマスター担体と、ハードディスクやフレキシブルディスクなどの磁気記録媒体によるスレーブ媒体とを密着させ、磁気転写用の外部磁場を与えて転写パターンに応じた磁気信号をスレーブ媒体に転写記録するものである。
【0007】
上記のようなNi電鋳によるスタンパー作製技術は、光ディスク製造等で広く使われている。光ディスクでは一般にマスター基板(スタンパー)を元に、射出成形機にて樹脂製のディスク基板を作製するため、マスター基板の若干の歪み(変形)は射出成型時の圧力印加で解消される。一方、磁気転写においては、凹凸間隔が光ディスクより微細であり、パターン形成単位が300nm以下、例えば50nm、それ以下のレベルまで小さくなってきて、より高い精度が要求される。
【0008】
ところで、上記のような磁気転写を行う際に、品質よく信号を転写するには、マスター担体とスレーブ媒体を均一に隙間なく密着させることが重要である。このため、密着圧力を高めたり、真空吸引で密着面に空気溜まりができないようにエア排出を行うことなどが実施されている。
【0009】
しかし、密着圧力を高めることは、マスター担体のパターン破損や変形等が発生してその寿命を低下させる問題となり、高価で耐久性能を要する磁気転写用マスター担体においては、密着圧力を極端に高くすることはできない。
【0010】
前記のようなマスター基板をSi基板で構成したマスター担体では、反り、歪みが小さいが、Si基板に磁性体によるパターンを形成するのが煩雑で時間が掛かると共に、高コストとなる問題がある。一方、上記原盤をもとにNi電鋳等で作製したマスター基板またはそれよりさらに複製したマスター基板を用いるマスター担体は、作製が容易であるとともに、1枚の原盤より複数のマスター基板が複製可能であり、コスト面などで有利となり実用的である。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−256644号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような原盤を用いて金属盤を積層・剥離してなるマスター基板で構成したマスター担体では、原盤からの金属盤の引き剥がし工程、所定サイズへの打抜き工程等で発生した変形によりマスター基板は必ずしも平坦面ではなく、反りや歪みを持っている。
【0013】
マスター基板すなわちマスター担体に反りや歪みがあると、スレーブ媒体との密着性が低下してスペーシングの発生要因となり、特にビット間隔が300nm以下に小さいため、上記スペーシング量が転写特性に大きく影響する。これに加え、マスター担体およびスレーブ媒体の表面性、磁性層上に耐久性向上のために被覆した保護層厚み等も影響する。このため、基本的にマスター担体の反りや歪み量を低下させることが重要である。
【0014】
Ni電鋳で作製された基板の変形は、電鋳時の液温度、印加電流変化方法、液濃度等が影響するが、これらは工程管理を行うことで低減することが可能である。一方、原盤に電鋳した金属盤を引き剥がす工程では、自動設備化が難しく、人手による剥離の方が精度が高い。しかし、この剥離時に作用する力によってマスター基板となる金属盤に歪みが生じ変形を起こしやすいものである。
【0015】
また、一般に、電鋳品には厚み分布が存在するものであり、周縁部は後述のように厚さが変化し、中心部付近は比較的厚み分布が安定している。この厚み分布は電鋳装置の陽極と陰極の距離、平行度等の装置設計や、液温度、電流密度、液種類等の条件でも変化する。
【0016】
通常光ディスク用スタンパでは、設定厚みに対し±1μm程度の精度で機能上問題はないが、磁気転写用マスター担体ではスレーブ媒体と精度良く密着させる必要があるため、より均一な厚み精度が要求される。
【0017】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、原盤に積層した金属盤の剥離時の歪み、変形を低減して平坦性の高いマスター基板によって作製され、スレーブ媒体との密着性が良好で転写特性に優れた磁気転写用マスター担体およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気転写用マスター担体は、表面に転写する情報に応じた凹凸パターンを有する金属製のマスター基板と、凹凸パターン上に成膜された磁性層とを備えた磁気転写用マスター担体において、
前記マスター基板は、情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤に電鋳等により所定厚さに積層され、外径が前記マスター基板の外径より1.7倍以上大きい金属盤が、前記原盤より剥離されて所望のサイズに加工されてなることを特徴とするものである。
【0019】
前記マスター基板は、電鋳により作製されたNi製であるものが好適である。
【0020】
また、本発明の磁気転写用マスター担体の製造方法は、情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤に、電鋳等により所定厚さの金属盤を積層し、前記原盤より剥離した前記金属盤を所定形状に加工してマスター基板とし、該マスター基板の凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁気転写用マスター担体の製造方法において、
前記マスター基板は、前記金属盤を所望のサイズに打ち抜いて作製してなり、前記金属盤の外径が、打抜き後のマスター基板の外径より1.7倍以上大きいことを特徴とするものである。
【0021】
前記原盤は、レジストへの描画露光により形成された凹凸パターンに電鋳を施し、金属の型を取った後剥離してなる金属原盤で構成してもよい。
【0022】
前記原盤の外径と、前記金属盤の外径とは略同一に構成するのが好適である。前記金属盤は、Niを電鋳で積層するのが好ましい。
【0023】
前記金属盤の外径は、打抜き後のマスター基板の外径より1.9倍以上大きいのがさらに好ましい。
【0024】
【発明の効果】
上記のような本発明によれば、情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤に電鋳等により外径が加工後のマスター基板の外径より1.7倍以上大きい金属盤を積層し、この金属盤を原盤より剥離して所望のサイズに加工してマスター基板を作製してなることにより、原盤より剥離する際の金属盤は転写パターンの形成部分の外径より外周部分が広く、外周部分への引き剥がし力の作用に伴って転写パターンの部位へ作用する力が均等化され、剥離時の変形を低減し、平坦性を確保することで、電磁変換特性(信号品質)が向上し、特にトラック1周での信号ばらつき(モジュレーション)が改善できる。
【0025】
また、金属盤の中央部分を用いてマスター基板を構成するため、電鋳時の金属盤の厚さ分布における均等厚さ部位の使用による平坦性を確保でき、転写品質の向上による信頼性の確保ができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の一つの実施形態に係る磁気転写用マスター担体の部分断面図、図2はマスター基板および打抜き前の金属盤の平面図、図3は一つの実施形態に係るマスター担体の作製工程を順に示す図である。なお、各図は模式図であり、実際の寸法とは異なる比率で示している。
【0027】
図1に示す磁気転写用マスター担体1は、金属製のマスター基板2と磁性層3とで構成されてなり、マスター基板2は表面に転写情報に応じた微細な凹凸パターンP(転写パターン)を有し、その表面に磁性層3が被覆形成されてなる。
【0028】
また、前記マスター基板2は、例えば電鋳により作製されたNi製であり、図2(a)に示すように、中心孔2aを有し、外径がdの円盤状に形成され、片面(情報担持面)の内周部および外径部を除く円環状領域に凹凸パターンPが形成されている。このマスター基板2は、原盤(後述する)に電鋳等により積層形成され、剥離された、図2(b)に示すような金属盤5が、上記外径dおよび中心孔2aの部分が所定形状に打抜き加工されてなる。そして、上記金属盤5の外径Dは、マスター基板2の外径より1.7倍以上大きい、すなわち、D≧1.7dの関係を満たすように形成されている。好ましくは、1.9倍以上の大きいものである。
【0029】
磁気転写時には、図1に示すように、前記マスター担体1における磁性層3の表面(凹凸パターン)と、鎖線で示す転写を受けるスレーブ媒体4とを密着させて転写用磁界を印加して磁気転写する。その際、スレーブ媒体4は予め面内方向または垂直方向の一方に初期磁化が施され、転写用磁界はこの初期磁化とほぼ反対方向の面内方向または垂直方向に印加するものである。
【0030】
そして、上記磁気転写時に印加された転写用磁界は、マスター担体1の凹凸パターンにおけるスレーブ媒体4と密着した磁性層3の凸部に吸い込まれ、面内記録の場合にはこの部分の初期磁化は反転せずその他の部分の初期磁化が反転し、垂直記録の場合にはこの部分の初期磁化が反転しその他の部分の初期磁化は反転しない結果、スレーブ媒体4の磁気記録層にはマスター担体1の凹凸パターンに応じた磁化パターンが転写記録される。磁性層3の凹凸パターンにおける突起の高さは、20〜600nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは30〜300nmの範囲である。
【0031】
なお、上記マスター担体1は、磁性層3の凹凸パターンが、ポジ状パターンと逆の凹凸形状のネガ状パターンの場合であっても、スレーブ媒体4に対する初期磁界の方向および転写用磁界の印加方向を逆の方向にすることによって同様の磁化パターンが転写記録できる。
【0032】
上記マスター担体1のマスター基板2は、詳細は後述するように、情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤(外径は金属盤5の外径Dと同等)に、Ni電鋳等によって外径Dで所定厚さに金属盤5を積層し、この金属盤5を原盤より剥離し、外径dの所望のサイズに打ち抜いて作製してなる。つまり、原盤より剥離する際の金属盤5の外径Dは前記マスター基板2の外径dより1.7倍以上大きく、つまり、転写パターンPの形成部分の外径より外周部分を拡大し、外周部分への力の作用による原盤からの剥離時の転写パターンPの部位への影響を低減し、その変形を抑制し、平坦性を確保することで、電磁変換特性(信号品質)を向上させるとともに、特にトラック1周での信号ばらつき(モジュレーション)を改善する。
【0033】
マスター基板2の一実施形態の作製方法を、図3(a)〜(e)に基づいて説明する。
【0034】
まず、(a)のように表面が平滑で清浄で外径がマスター基板2の外径dより1.7倍以上大きなシリコンウエハーによる原板10(ガラス板、石英板でもよい)の上に、密着層形成等の下処理を行い、電子線レジスト液をスピンコート等で塗布してレジスト膜11を形成し、ベーキングする。そして、高精度な回転ステージを備えた不図示の電子ビーム露光装置にて、その回転ステージに搭載した上記原板10を回転させながら、サーボ信号等に対応して変調した電子ビームBを照射し、そのレジスト膜11に所望のパターンを描画露光する。その後、(b)のように、レジスト膜11を現像処理し、露光部分を除去して、残ったレジスト膜11による所望厚みで所望の凹凸パターンPを形成する。この凹凸パターンP上に、不図示のNi導電膜を付与し、電鋳可能とした原盤13を作製する。
【0035】
次に、(c)のように、上記原盤13の全面に、電鋳装置にて電鋳処理を施し、所望厚みのNi金属による金属盤5を積層する。この金属盤5を、上記原盤13から剥離し、残留するレジスト膜11を除去・洗浄し、(d)のように、反転した凹凸パターンPを有する前記図2(b)のような金属盤5を得る。この金属盤5の外径Dは、外縁部を電極接点として使用するために外径は若干小さくなるが、原盤13の外径に相当し、前述のように、マスター基板2の外径dより1.7倍以上大きい。
【0036】
そして、(e)のように、上記金属盤5の内径および外径を所定のサイズに打抜加工して、前記図2(a)のような中心孔2aと外径dを有するマスター基板2を作製してなる。
【0037】
次に、図示してないが、上記マスター基板2の凹凸パターンの表面にスパッタリングにより磁性層3、必要に応じて保護層を成膜し、マスター担体1を作製するものである。
【0038】
また、他の作製工程としては、前記原盤13に電鋳を施して第2の原盤を作製し、この第2の原盤を使用して電鋳を行い、反転した凹凸パターンを有する金属盤を作製し、所定サイズに打ち抜いてマスター基板を作製してもよい。さらに、第2の原盤に電鋳を行うか樹脂液を押し付けて硬化を行って第3の原盤を作製し、第3の原盤に電鋳を行って金属盤を作製し、さらに反転した凹凸パターンを有する金属盤を剥離してマスター基板を作製してもよい。
【0039】
なお、前記原盤13の作製において、レジスト膜11を露光・現像処理した後、エッチング処理を行って、ウエハー原板10の表面にエッチングによる凹凸パターンを形成してからレジスト膜11を除去してもよい。この凹凸パターン上にNi導電膜を施してから、図3(c)と同様に、電鋳処理を施して凹凸パターンを有する原盤13を作製してもよい。また、前記原盤13を繰り返し使用し、複数の金属盤5を作製することができる。
【0040】
また、図3では、電鋳処理により形成した原盤13および金属盤5の裏面は平坦に示しているが、この裏面に表面の凹凸形状を反映した凹凸が形成されていてもマスター担体1の形成には問題がなく、必要に応じて研磨による平坦加工が施される。
【0041】
図4には、前述の金属盤5の直径方向の厚み分布の2つの測定例(a),(b)を示す。横軸は中心cからの半径位置で、縦軸は設定厚さtに対する厚み分布を示している。
【0042】
電鋳処理による成膜においては、(a),(b)いずれの測定例においても、直径方向の外周部分に厚みの変化があり、中央部分の膜厚は変化が少なく均一で平坦な電鋳層が得られ、この金属盤5の外周部分を打ち抜き除去し、金属盤5の厚み変化の少ない均一厚さの部分を使用してマスター基板2を得ることで、より一層平坦なマスター基板2が得られる。
【0043】
なお、上記電鋳層の厚み分布は電鋳装置の陽極と陰極の距離、平行度等の装置設計や、液温度、電流密度、液種類等の条件でも変化する。
【0044】
前記磁性層3の形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、電鋳等のメッキ法などにより成膜する。磁性層3の磁性材料としては、Co、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN)、Ni、Ni合金(NiFe)を用いることができる。特に好ましくはFeCo、FeCoNiである。磁性層3の厚みは、50nm〜500nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは100nm〜400nmである。
【0045】
なお、磁性層3の凹凸パターンにダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の保護膜を設けることが好ましく、潤滑剤層を設けても良い。また保護膜として5〜30nmのDLC膜と潤滑剤層が存在することがさらに好ましい。潤滑剤は、スレーブ媒体4との接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などの耐久性の劣化を改善する。
【0046】
スレーブ媒体4は、両面または片面に磁性層が形成されたハードディスク、高密度フレキシブルディスクなどの円盤状磁気記録媒体が使用され、その磁気記録部は塗布型磁気記録層あるいは金属薄膜型磁気記録層で構成される。金属薄膜型磁気記録層の磁性材料としては、Co、Co合金(CoPtCr、CoCr、CoPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、CoNi等)、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、FeCoNi)を用いることができる。これは磁束密度が大きいこと、磁界印加方向と同じ方向(面内記録なら面内方向、垂直記録なら垂直方向)の磁気異方性を有していることが、明瞭な転写が行えるため好ましい。そして磁性材料の下(支持体側)に必要な磁気異方性をつけるために非磁性の下地層を設けることが好ましい。結晶構造と格子定数を磁性層に合わすことが必要である。そのためにはCr、CrTi、CoCr、CrTa、CrMo、NiAl、Ru等を用いる。
【0047】
初期磁界および転写用磁界を印加する磁界印加手段は、面内記録の場合には、例えば、スレーブ媒体4の半径方向に延びるギャップを有するコアにコイルが巻き付けられたリング型電磁石装置が上下両側に配設されてなり、上下で同じ方向にトラック方向と平行に発生させた転写用磁界を印加する。磁界印加時には、スレーブ媒体4とマスター担体1との密着体を回転させつつ磁界印加手段によって転写用磁界を印加する。磁界印加手段を回転移動させるように設けてもよい。磁界印加手段は、片側にのみ配設するようにしてもよく、永久磁石装置を両側または片側に配設してもよい。
【0048】
垂直記録の場合の磁界印加手段は、極性の異なる電磁石または永久磁石をスレーブ媒体4とマスター担体1との密着体の上下に配置し、垂直方向に磁界を発生させて印加する。部分的に磁界を印加するものでは、スレーブ媒体4とマスター担体1との密着体を移動させるか磁界を移動させて全面の磁気転写を行う。
【0049】
上記のような作製方法で製造されたマスター基板2は、原盤13から金属盤5を剥離する際に、金属盤5の外径Dがマスター基板2の外径dより1.7倍以上大きいことにより、転写パターンPの形成部分の外径より外周部分が広く、外周部分への力の作用による原盤からの剥離時の転写パターンPの部位へ作用する力が均等化され、その変形を低減し、平坦性を確保することで、電磁変換特性(信号品質)が向上し、特にトラック1周での信号ばらつき(モジュレーション)が改善できる。
【0050】
次に、上記のような本発明マスター担体を使用して磁気転写を行った評価結果を示す。この試験は、打抜き前の電鋳金属盤5の外径Dと、打抜き後のマスター基板2の外径dを種々変更した実施例および比較例のマスター基板を、表1に示すように作製し、そのマスター基板の面振れ量(歪み量)の測定と、このマスター基板を用いたマスター担体による磁気転写を実施した際のモジュレーションを測定し、評価したものである。
【0051】
面振れ量の測定は、マスター基板を内径25mmの位置でスピンドルモータに固定し、10rpmで回転させる。この状態で半径r=30mmの場所を面に対して垂直に変位量をレーザ変位計(KEYENCE社製:LC−2430変位センサ)で測定し、デジタルオシロスコープで変位波形を取り込んだ。このときの最小−最大値差を面振れ量とした(但し、チャッキングによる1次成分は除く)。また、取り込んだ1周のデータを周波数分析(FFT変換)し、周波数成分を算出した。2次成分のみで100μm変位量がある場合の2次周波数成分のレベルを1とし、3次成分以上のレベルがそれぞれの周波数のピーク位置で0.2を越える場合を、その成分が含まれることとし、表1に周波数成分を記載した。
【0052】
また、モジュレーションとは、磁気転写によりスレーブ媒体に転写されたサーボ信号の各セクタでのプリアンブル(AGC)部分の信号をヘッドで読み取った際の出力のばらつきであり、例えば、オシロスコープでの最大信号振幅aと最小信号振幅bにおいて、モジュレーション(Mod.)は、{(a−b)/(a+b)}×100[%]で表される。上記試験では、モジュレーション評価方法に、Guzik1601+協同電子システム評価機を使用している。
【0053】
【表1】
Figure 2004265557
【0054】
上記評価結果より、本発明マスター担体は、同一半径での1周当たりの面振れ量(歪み量)が100μm以下であり、転写されたスレーブ媒体での信号のトラック1周当たりの出力のばらつき(信号振幅強度のばらつき:モジュレーション)が6%以下となり、例えばサーボフォローイング性能に影響を与えない十分な品質での転写が可能となった。
【0055】
これに対し、比較例では、原盤からの電鋳金属盤を剥離する際の、変形の影響が大きく、面振れ量が大きくなって、密着性が低下し、モジュレーションの増大を招き信号品位が劣化している。特に、比較例5では、金属盤剥離時のエッジ変形がマスター基板に大きく残った。
【0056】
また、上記面振れ量(歪み)では、その周波数成分(次数)の割合により、歪み量が大きくても密着時に歪みが平坦化されて良好な密着となる場合がある。例えば、金属盤を原盤より1方向から引き剥がすと、歪みの2次成分を越える成分が低減できる可能性がある。2次成分を越える歪みが多いと、密着圧を高めてもスペーシングが起きやすく望ましくない。逆に、2次以下であれば密着圧力を許容範囲内で増加させることによりある程度対応可能である。
【0057】
なお、歪み成分における、1次成分は、円盤が単に傾斜しているときの変位成分であり、1周における高さ方向の変化が1回高くなって低くなる変化である。2次成分以上は、1周の間で波打っている変位であり、2次では1周の間に2箇所で高くなる歪みであり、3次では1周の間に3箇所で高くなる歪みであり、4次以上でも同様に1周の内に4回以上の高くなるように歪みが波打って発生している。実際は、1次成分に2次成分が重なって発生したり、複数の歪み成分が重なって全体の歪み量となっている。この歪み量は、1周の変位における最も高い位置と低い位置との差で規定され、各次成分を分離して求めることが可能である。
【0058】
反りは、1周の間、すなわち1トラックにおける歪みはなくても、内周部位と外周部位とで高さが異なるような変形であり、例えば、球面状の変形がある。最も高い位置と、最も低い位置との差が反り量として規定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態に係る磁気転写用マスター担体の概略部分断面図
【図2】マスター基板および打抜き前の金属盤の平面図
【図3】一実施形態のマスター基板の作製工程を順に示す図
【図4】電鋳後の金属盤の厚み分布を直径方向に測定したグラフ
【符号の説明】
1 マスター担体
2 マスター基板
3 磁性層
4 スレーブ媒体
5 金属盤
10 原板
11 レジスト膜
13 原盤
d マスター基板の外径
D 金属盤の外径

Claims (6)

  1. 表面に転写する情報に応じた凹凸パターンを有する金属製のマスター基板と、凹凸パターン上に成膜された磁性層とを備えた磁気転写用マスター担体において、
    前記マスター基板は、情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤に電鋳等により所定厚さに積層され、外径が前記マスター基板の外径より1.7倍以上大きい金属盤が、前記原盤より剥離されて所望のサイズに加工されてなることを特徴とする磁気転写用マスター担体。
  2. 前記マスター基板は、電鋳により作製されたNi製であることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写用マスター担体。
  3. 情報に応じた凹凸パターンが形成された原盤に、電鋳等により所定厚さの金属盤を積層し、前記原盤より剥離した前記金属盤を所定形状に加工してマスター基板とし、該マスター基板の凹凸パターン上に磁性層を成膜する磁気転写用マスター担体の製造方法において、
    前記マスター基板は、前記金属盤を所望のサイズに打ち抜いて作製してなり、前記金属盤の外径が、打ち抜き後のマスター基板の外径より1.7倍以上大きいことを特徴とする磁気転写用マスター担体の製造方法。
  4. 前記原盤は、レジストへの描画露光により形成された凹凸パターンに電鋳を施し、金属の型を取った後剥離してなる金属原盤であることを特徴とする請求項3に記載の磁気転写用マスター担体の製造方法。
  5. 前記原盤の外径と、前記金属盤の外径とは略同一であることを特徴とする請求項3または4に記載の磁気転写用マスター担体の製造方法。
  6. 前記金属盤は、Niを電鋳で積層してなることを特徴とする請求項3,4または5に記載の磁気転写用マスター担体の製造方法。
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