JP2004325779A - 光学機器の冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、一般的な平置き姿勢と機器の上下が反転する天吊り姿勢とに応じ、それぞれに好適な冷却態様の切り換えが行え、かつ、機器本体の姿勢に応じた冷却態様の切り換えを、使用者による操作ではなく自動的に行うことができるとともに一連の動作を確実に動作させられる光学機器の冷却装置の提供を目的としている。
【解決手段】平置き姿勢とこれと天地逆さまの天吊り姿勢にできる光学機器内に配設された発熱し得る光源13を、空気流によって冷却する光源冷却手段15と、この光源冷却手段15による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に変更する空気流方向調整手段Aとを有してなる。
【選択図】 図1
【解決手段】平置き姿勢とこれと天地逆さまの天吊り姿勢にできる光学機器内に配設された発熱し得る光源13を、空気流によって冷却する光源冷却手段15と、この光源冷却手段15による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に変更する空気流方向調整手段Aとを有してなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液晶プロジェクタや投写型(DLP)プロジェクタのような光学機器に関し、特に高い温度で発熱し得る光源やこれの駆動回路を備えた光学機器の冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のプロジェクタについて、図9〜11を参照して説明する。図9は、従来の光源ランプの冷却構造を示す構成図、図10は、従来の光源ランプの冷却構造を示す上面から見た説明図、図11は、従来の光源ランプの駆動回路の冷却構造を示した構成図である。
【0003】
従来のプロジェクタは、対角数cmの映像ソースを強力なランプ光源で数10〜数100倍に拡大投射する映像投射機器であり、その筐体の内部に、映像信号を外部より取り込み処理する回路、該回路から出力された信号を実像化する光学メカ部(この光学メカ部に前記ランプ光源部が含まれている)、光源ランプを駆動する駆動回路、光源ランプを冷却する冷却手段及び駆動回路を冷却する冷却手段等を適宜配設したものである。
【0004】
冷却手段は、固定したファン及び風路による強制空冷構造をとるものが、一般的である。
【0005】
図9,10において、1は光源ランプ、2はリフレクタ、O3はランプ光軸、3は吹き付けファン、4は吹き付けファン3の流路形成体、5は流路形成体4で形成される吹き付け流路、aは空気流である。
なお、吹き付けファン3は、図10に示すように、ランプ光軸O3と吹き付け流路aとは平面視において斜交する配置関係となっている。
【0006】
上記光源ランプ1は、吹き付けファン3から送り出される空気流aによって空冷されるようになっている。すなわち、吹き付けファン3から送り出される空気流は、固定構造をとる吹き付け流路5によって、光源ランプ1に向けて方向付けされている。
【0007】
図11において、6は上記した光源ランプ1の駆動回路(回路基板)、7はランプ駆動用IC、8はランプ駆動用IC7の放熱板、9は流路形成体、11は排気ファン(吸引ファン)、12は排気口ネット、bは空気流である。
【0008】
流路形成体9は、駆動回路6と排気ファン11とをつなぐ排気流路(吸引流路)10を形成するものである。
【0009】
駆動回路6は、排気ファン11により吸引される空気流bにより冷却され、その排気ファン11を通過した空気流bは、排気口ネット12から機器本体(図示しない)の外部に排気されるようになっている。
排気ファン11により吸引される空気は、その排気ファン11の位置により方向付けされるようになっており、排気ファン11は、これの位置を変更できない固定構造になっている。
【0010】
ところで、プロジェクタの光源の冷却に関する技術としては、冷却空気の方向を制御するものが知られている(特許文献1参照)。
この特許文献1においては、(1)リフレクターの反射面と逆側の湾曲外側面に流す冷却空気の方向を制御し、湾曲外側面に突出したランプ口金部及び同方向に別個に設けたランプ放熱部を選択的に冷却し、リフレクターが過冷却となることを防ぎ、(2)冷却空気の方向は、手動による調整機構により調整するようにした点が示されている。
【0011】
また、特許文献2には、ダクト内部に風向制御版を設け、風向制御版の自重の回転落下により、装置の平置き、天吊り姿勢での風向を切換える技術が開示されている。
プロジェクタのうち映像用のものは、当初、大口径のレンズを用い、比較的大きな筐体を持つものであったため、その熱対策はさほど問題となるものではなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−302522号公報
【特許文献2】
特開2002−298639号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年のプロジェクタは、その性能向上のため、格段と高出力のランプが用いられる傾向にある反面、機器の小型化の要求もあり、そのために、高発熱体を内包するのに相対的に放熱能力が脆弱となり、寿命や性能に悪影響を与える結果となり、機器本体内部の温度上昇に対応を迫られている。
【0014】
また、プロジェクタを設置する姿勢も、当該機器本体の筐体底面を下向きに配置する姿勢である、重力方向に平置き姿勢にする一般的な使用方法に加えて、上記筐体を天地逆さまにして天井からつるす天吊りなる使用方法にも対応できることが要求されている。
【0015】
一般的なプロジェクタは、平置き姿勢においては、機器本体より上側のスクリ−ンに映像を投写する。これに対して、室内の天井付近に機器本体を配置する場合、その機器本体より下側のスクリ−ンに映像を投写するため、機器本体を上下180°反転させ、天吊り姿勢で使用する。
【0016】
また、投写映像を上下に調整できるレンズシフト機構を備えたプロジェクタにおいても、通常、天井から吊るす場合には、当該機器本体の外観意匠上の観点から、その機器本体の裏側を見せることなく、同様に上下180°反転させ、天吊り姿勢で使用する。
【0017】
ところが、平置き姿勢と天吊り姿勢とでは、機器本体内部の温度分布が変わるため、平置き姿勢にのみ対応した冷却構造をとると、天吊り姿勢では、光源ランプが適正に動作する温度範囲を逸脱したり、回路の冷却が不十分となる。
そのため、使用するランプの変質や集積回路等の異常動作を招来して、性能向上を目論見つつも性能が発揮できないことや、機器自体が危険な状態になるという問題の発生が懸念されている。
【0018】
ここで補足説明すると、強制対流による空冷にもかかわらず、姿勢による重力方向の変化により温度分布が変わるのは、光源ランプにおいては、ランプ内部での封入ガスの対流が生じ、また駆動回路においては、基板上に実装された部品による凹凸により空冷空気の滞留(滞り)が起こり、それが原因で一般的に重力方向の上部にある部分が高温度となるためである。
【0019】
なお、前記特許文献1においては、上述した平置き姿勢と天吊り姿勢とで、機器本体内部の温度分布が変わることについては、配慮がなされていない。
【0020】
また、前記特許文献2における風向制御版の自重は軽いため、例えば、摩擦等により切換えられない場合が充分にあり、切換え動作に確実性がないという課題がある。
【0021】
さらに、風向制御版は所定位置に固定されているわけではなく、回動可のため、付近を流れる空気によりフラッタ(はためき)現象をおこし作用に確実性がないことも充分考えられるとともに、重力方向に逆らって装置の構造物を動作させなければならない場合は適用できない。
【0022】
そこで本発明は、一般的な平置き姿勢と機器の上下が反転する天吊り姿勢とに応じ、それぞれに好適な冷却態様の切り換えが行え、かつ、機器本体の姿勢に応じた冷却態様の切り換えを、使用者による操作ではなく自動的に行うことができるとともに一連の動作を確実に動作させられる光学機器の冷却装置の提供を目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するための本発明は、平置き姿勢とこれと天地逆さまの天吊り姿勢にできる光学機器内に配設された発熱し得る光源を、空気流によって冷却する光源冷却手段と、その光源冷却手段による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段とを有してなることを特徴としている。
【0024】
また、平置き姿勢とこれと天地逆さまの天吊り姿勢にできる光学機器内に配設された発熱し得る光源駆動回路を、空気流によって冷却する駆動回路冷却手段と、その駆動回路冷却手段による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段とを設けた構成にすることもできる。
【0025】
上記においては、空気流方向調整手段を、空気流の向きを平置き姿勢に対応する第1の方向、及び天吊り姿勢に対応する第2の方向に偏向させるための偏向部材と、これを駆動する駆動モータと、その偏向部材を第1の方向及び第2の方向に向けるように駆動モータを駆動制御する制御回路とを有する構成にすることができる。
【0026】
また、空気流方向調整手段に、光源冷却手段による空気流の向きを調整された方向から偏向しないように固定する機能を併有させると好ましい。
【0027】
上記した光源冷却手段としては、空気流を生じさせる吹き付けファンを有する構成にするとともに、その吹き付けファンと、これにより生じた空気流を第1の方向及び第2の方向に偏向させる偏向部材とを流路形成体内に配設した構成にすることができる。
【0028】
上記した前記駆動回路冷却手段としては、空気流を生じさせる排気ファンを有する構成にするとともに、その排気ファンと、これを第1の方向及び第2の方向に偏向させる偏向部材とを流路形成体に配設した構成にすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明光学機器の冷却装置の一実施の形態について、図1〜8を参照して説明する。図1は、一実施形態に係る本発明冷却装置を搭載した光学機器を平置き姿勢にした要部正面図、図2は、その光学機器を天吊り姿勢にした要部正面図である。なお、本実施形態においては、光学機器として投写型プロジェクタを例として説明する。
【0030】
図1に示すように、投写型プロジェクタの機器本体(図示しない)の内部には、光源である光源ランプ13、光源駆動回路30(図5に示す)、及びその光源ランプ13を空気流によって冷却する光源冷却手段である吹き付けファン15が配設されており、また、当該投写型プロジェクタは、平置き姿勢(図1に示す姿勢)と、これと天地逆さまに設置する天吊り姿勢(図2に示す姿勢)にして取り付けられるようになっている。
【0031】
光源ランプ13は高い温度で発熱し得るものであり、これを覆う大きさの器形に形成されたリフレクタ14の中心に取り付けられている。
【0032】
光源冷却手段である吹き付けファン(以下、「吹き付けファン」という。)15は、ファン本体15Aの吹付け口15Bに、上記光源ランプ13に向けた空気流の流路を形成するための流路形成体16が取り付けられなるものであり、その流路形成体16の内部に吹き付け流路(空気流路)16Aが形成されている。
【0033】
なお、吹き付けファン15は、平面視において、図示しないランプ光軸と吹き付け流路16Aの軸心O1とが斜交するように配置されており、従ってまた、吹付け口15Bから噴出される空気流が光源ランプ13に対して所要の角度で吹き付けられるようになっている。
【0034】
上記流路形成体16は、吹付け口15Bから吹き出される空気流の上流側から下流側に向けてやや細径になる筒状のものであり、これの内部に偏向部材17が配設されている。
【0035】
偏向部材17は、吹付け口15Bから吹き出される空気流を第1の方向α1(図1に示す)と第2の方向α2(図2に示す)とに偏向するためのものであり、ピン接続された基端部側を中心とし、所要の角度範囲内で上下揺動自在に支持されている。
【0036】
第1の方向α1は、機器を平置きにしたときの光源ランプ13の重力方向(鉛直方向)の上部側を中心として空気を吹き付ける方向をいい、また、第2の方向α2は、機器を平置きにしたときの光源ランプ13の重力方向の下部側を中心として空気を吹き付ける方向をいう。
【0037】
なお、図1と図2とを比較参照すると、図1に示す第1の方向α1と、図2に示す第2の方向α2とが同じ方向になっているように示されているが、それは、図1においては、機器本体を平置き姿勢にして示し、図2においては、機器本体を天吊り姿勢にして示していることによるものである。
【0038】
偏向部材17の基端部には扇形歯車18が固定されており、これには、動力伝達歯車19を介して駆動モ−タM1が連結されている。すなわち、駆動モ−タM1を回転駆動することによって、扇形歯車18を介して偏向部材17を上下に揺動させるようになっている。
【0039】
上記の駆動モータM1には制御回路28が接続されており、その制御回路28によって、偏向部材17を第1の方向α1及び第2の方向α2に向けるように駆動制御するようにしている。
【0040】
偏向部材17の開放端部側には、リンク部材20の一端部がピン接続されており、また、そのリンク部材20の他端部には、この他端部に突設したピン20Aを介して傾動部材21が連結されている。
【0041】
傾動部材21は、機器本体内の固定部(図示しない)に対し、それの一端部に配設した軸21Bを中心として上下揺動自在に支持され、他端部に導電性の接点ローラ22が回転可能に取り付けられている。
また、この傾動部材21の中間部には、弧状ガイド孔21Aが形成されており、この弧状ガイド孔21Aにリンク部材20の上記ピン20Aが摺動自在に挿入されている。
【0042】
23は、軸23Cを中心として上下揺動可能なスイッチ部材であり、それは、脚部23B,23Bを正面視略く字形に形成するとともに、それぞれ導電性のローラ当接片23A,23Aを折曲形成している。
また、脚部23B,23Bの連結部には、圧縮コイルばね24の一端部が連結され、その圧縮コイルばね24の他端部は機器本体内の固定部(図示しない)に固定されている。なお、26,27はスイッチ部材23の揺動範囲を規制するストッパである。
【0043】
本実施形態においては、前記した吹き付けファン15による空気流の向きを、前記平置き姿勢又は天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段Aを、上記した傾動部材21、スイッチ部材23、圧縮コイルばね24、リンク部材20、偏向部材17、扇形歯車18、動力伝達歯車19、駆動モータM1及び制御回路28により構成している。
【0044】
次に、図3(A)〜(E)を参照して、上述した構成からなる一実施形態に係る本発明冷却装置の動作について説明する。図3は、投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段Aの往動動作を示す動作説明図であり、同図(A)は投写型プロジェクタを平置き姿勢にしているときの空気流方向調整手段Aの動作状態、同図(B)は、その投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしたときの空気流方向調整手段Aの動作が開始される状態、同図(C),(D)は、その空気流方向調整手段Aの動作途中の状態、同図(E)は、その空気流方向調整手段Aの動作が完了した状態をそれぞれ示している。
【0045】
図1及び図3(A)に示すように、投写型プロジェクタを平置き姿勢にしているとき、傾動部材21は、これの接点ローラ22が下向きとなるように傾斜し、その接点ローラ22がスイッチ部材23から離間して非接触状態になっている。
【0046】
吹き付け流路16A内の偏向部材17は、扇形歯車18と動力伝達歯車19とが噛合していることともに駆動モ−タM1が停止していることにより、吹き付け流路16Aから送り出される空気流方向が第1の方向α1から偏向しないようにして停止固定されている。
【0047】
すなわち、第1の方向α1に向けて吹き出された空気流は、光源ランプ13に対し、これの上部側(平置き姿勢において上部側)を中心として吹き付けられるようになって、その光源ランプ13を効果的に冷却することができる。
【0048】
図3(B)に示すように、投写型プロジェクタを天吊り姿勢にすると、傾動部材21は、これの接点ローラ22が下向きとなるように傾動し始め、その後、接点ローラ22がスイッチ部材23の一方の脚部23Bのローラ当接片23Aに当接して導通する。
【0049】
上記導通により、制御回路28を介して駆動モ−タM1が回転駆動され、この回転駆動力は、動力伝達歯車19、扇形歯車18を介して偏向部材17に伝達され、その偏向部材17は矢印b方向に傾動し始める。
【0050】
偏向部材17が矢印b方向にさらに傾動すると、図3(C)に示すように、リンク部材20のピン20Aが、傾動部材21の弧状ガイド孔21Aの下端部に当接し、その後の偏向部材17の傾動変位に従って、傾動部材21は、これの接点ローラ22を下向きにしてさらに傾動する。
この傾動によって、スイッチ部材23の一方の脚部23bが押し下げられて、そのスイッチ部材23は、図3(D)に示すように、軸23Cを中心とした図示時計方向に傾動し始める。
【0051】
スイッチ部材23が所定の角度だけ傾動すると、このスイッチ部材23は、圧縮コイルばね24の弾性力によって、図3(E)に示すように矢印b方向に急速に傾動した後、ストッパ26に当接して傾動が停止される。また、スイッチ部材23と傾動部材21の接点ローラ22とが離間して非導通状態になる。これにより、駆動モ−タM1への通電が解除され全ての動作は停止する。
【0052】
その後、傾動部材21は自重により傾動し続けるが、所定の角度になったときにリンク部材20のピン20Aが傾動部材21の弧状ガイド孔21Aの上端部に向けて相対的に摺動して当接し、これにより傾動部材21の傾動も停止される。
【0053】
なお、投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にするときは、投写型プロジェクタの電源はOFFの状態で作業する。しかしながら、図3(A)の平置き姿勢から(B)に示す天吊り姿勢にしたときに電源がOFF状態でも、次回の電源をONした以降に、図3(B)〜(E)に示す往動動作が行われる。
【0054】
次に、図4(A)〜(E)を参照して、上述した構成からなる一実施形態に係る本発明冷却装置の動作について説明する。図4は、投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段Aの復動動作の動作説明図であり、同図(A)は投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしているときの空気流方向調整手段Aの動作状態、同図(B)は、その投写型プロジェクタを平置き姿勢にしたときの空気流方向調整手段Aの動作が開始される状態、同図(C),同図(D)は、その空気流方向調整手段Aの動作途中の状態、同図(E)は、その空気流方向調整手段Aの動作が完了した状態をそれぞれ示している。
【0055】
図4(A)に示すように、投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしているとき、傾動部材21は、これの接点ローラ22を下向きにした傾斜姿勢になっており、このとき、その接点ローラ22とスイッチ部材23とは離間して非接触状態になっている。
【0056】
吹き付け流路16A内の偏向部材17は、扇形歯車18と動力伝達歯車19とが噛合しているとともに駆動モ−タM1が停止していることにより、空気流方向が第2の方向α2から偏向しないようにして停止固定されている。
【0057】
すなわち、第2の方向α2に向けて吹き出された空気流は、光源ランプ13に対し、これの上部側(天吊り姿勢において上部側)を中心として吹き付けられるようになって、その光源ランプ13を効果的に冷却することができる。
【0058】
図4(B)に示すように、投写型プロジェクタを平置き姿勢にしたとき、傾動部材21は、これの接点ローラ22が下向きとなるように傾動し始め、その後、接点ローラ22がスイッチ部材23の他方の脚部23Bに当接して導通する。
【0059】
上記導通により、制御回路28(図1,2に示す)を介して駆動モ−タM1が回転駆動され、この回転駆動力は、動力伝達歯車19、扇形歯車18を介して偏向部材17に伝達され、その偏向部材17は矢印c方向に傾動し始める。
【0060】
偏向部材17が矢印c方向にさらに傾動すると、図4(C)に示すように、リンク部材20のピン20Aが、傾動部材21の弧状ガイド21Aの下端部に当接し、その後の偏向部材17の傾動変位に従って、傾動部材21は、これの接点ローラ22を下向きにしてさらに傾動する。
【0061】
この傾動によって、スイッチ部材23の他方の脚部23Bが押し下げられて、そのスイッチ部材23は、図4(D)に示すように、軸23Cを中心とした図示時計方向に傾動させられる。
【0062】
スイッチ部材23が所定の角度だけ傾動すると、このスイッチ部材23は、圧縮コイルばね24の弾性力によって、図4(E)に示すように矢印c方向に急速に傾動した後、ストッパ27に当接して傾動が停止される。また、スイッチ部材23と傾動部材21の接点ローラ22とが離間して非導通状態になる。これにより、駆動モータM1への通電が解除されて全ての動作は停止する。
【0063】
その後、傾動部材21は自重により傾動し続けるが、所定の角度になったときにリンク部材20のピン20Aが傾動部材21の弧状ガイド孔21Aの上端部に向けて相対的に摺動して当接し、これにより傾動部材21の傾動も停止する。
【0064】
なお、投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にするときは、投写型プロジェクタの電源はOFFの状態で作業する。しかしながら、図4(A)の天吊り姿勢から(B)に示す平置き姿勢にしたときに電源がOFF状態でも、次回の電源をONした以降に、図4(B)〜(E)に示す復動動作が行われる。
【0065】
次に、本発明光学機器の冷却装置の他の実施の形態について、図5〜8を参照して説明する。図5は、他の実施形態に係る本発明冷却装置を搭載した光学機器を平置き姿勢にした要部正面図、図6は、その光学機器を天吊り姿勢にした要部正面図である。なお、本実施形態は、前述した投写型プロジェクタ内に配設されているものである。
【0066】
投写型プロジェクタの機器本体(図示しない)の内部には、図5,6に示すように、固定部29A及び可動部29B,29Bからなる流路形成体29内に、前記した光源である光源ランプ13の光源駆動回路(回路基板)30と、駆動回路冷却手段である排気ファン(吸引ファン)31とが配設されている。
【0067】
上記光源駆動回路(回路基板)30上には、ランプ駆動用IC32、このランプ駆動用IC32の放熱板33等が実装されている。
【0068】
固定部29Aは、両端を開口した筒形に形成されており、これの一端に可動部29B,29Bが取り付けられている。
【0069】
可動部29Bは、固定部29Aに軸支した基端部を中心として上下揺動可能な大可動片29C,29Cと、これら大可動片29C,29Cの各開放端部に基端部を軸支した同じく上下揺動可能な小可動片29D,29Dとからなり、それらのうち、小可動片29D,29D間に上記排気ファン31が一体的に保持されている。本実施形態においては、可動部29B,29Bが偏向部材である。
【0070】
下側の大可動片29Cには、これに一端部を、また、他端部を動力伝達歯車34にそれぞれピン接続したリンク部材35、上記動力伝達歯車34に噛合させた動力伝達歯車36を介して駆動モータM2が接続されている。
駆動モータM2は、偏向部材である可動部29B,29Bを第1の方向α3及び第2の方向α4に向けるように制御回路45によって駆動制御されるようになっている。
【0071】
上側の大可動片29Cには、リンク部材37を介して傾動部材38が連結されている。
傾動部材38は、これの一端部に導電性の接点ローラ39が軸支されているとともに、他端部に弧状ガイド孔38Aが形成されているものであり、軸38Bを中心として所要の角度範囲で上下揺動自在になっている。
【0072】
リンク部材37は、これの一端部が上側の大可動片29Cにピン接続され、他端部には、上記傾動部材38の弧状ガイド孔38Aに遊挿されるピン37Aが突設されている。
【0073】
40は、上記接点ローラ39に当接する導電性のローラ当接片40A,40Aを折曲形成した脚部40B,40Bを、所要の角度で正面視略く字形に形成したスイッチ部材であり、軸40Cを中心として回動可能になっている。
【0074】
脚部40B,40Bの連結部には、圧縮コイルばね41の一端部が連結され、当該圧縮コイルばね41の他端部は機器本体内の固定部(図示しない)に固定されている。なお、42,43はスイッチ部材40の揺動範囲を規制するストッパである。また、44は、流路形成体29の可動部29B側に所要の間隔をおいて対設した排気口ネットである。
【0075】
本実施形態においては、排気ファン31による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段Bを、上記した傾動部材38、スイッチ部材40、リンク部材37、可動部29B,29B、リンク部材35、動力伝達歯車34,36、駆動モータM2及び制御回路45により構成している。
【0076】
次に、図7(A)〜(E)を参照して、上述した構成からなる一実施形態に係る本発明冷却装置の動作について説明する。図7は、投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段Bの動作状態を示す往動動作の動作説明図であり、同図(A)は投写型プロジェクタを平置き姿勢にしているときの空気流方向調整手段Bの動作状態、同図(B)は、その投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしたときの空気流方向調整手段Bの動作が開始される状態、同図(C),(D)は、その空気流方向調整手段Bの動作途中の状態、同図(E)は、その空気流方向調整手段Bの動作が完了した状態をそれぞれ示している。
【0077】
図7(A)に示すように、投写型プロジェクタを平置き姿勢にしているときには、傾動部材38は、これの接点ローラ39が下向きとなるように傾斜し、その接点ローラ39がスイッチ部材40から離間して非接触状態になっている。
【0078】
また、偏向部材である可動部29B,29Bは、動力伝達歯車34,36とが噛合しているとともに駆動モ−タM2が停止していることにより、流路形成体29から送り出される空気流方向が第1の方向α3から偏向しないようにして停止固定されている。
【0079】
すなわち、第1の方向α3に向けて吹き出された空気流は、光源駆動回路30の上部側(平置き姿勢において上部側)を中心として吸引されるようになって、その光源駆動回路30を効果的に冷却することができるとともに、排気ファン31を通った空気流は、排気口ネット44から機器本体の外部に排気される。
【0080】
図7(B)に示すように、投写型プロジェクタを天吊り姿勢にすると、傾動部材38は、これの接点ローラ39が下向きとなるように傾動し始め、その後、接点ローラ39はスイッチ部材40の一方の脚部40Bのローラ当接片40Aに当接して導通する。
【0081】
上記導通により、制御回路45を介して駆動モ−タM2が回転駆動され、その結果、偏向部材の一部をなす大可動片29C,29Cが矢印d方向に傾動し始める。
【0082】
大可動片29C,29Cが矢印d方向にさらに傾動すると、図7(C)に示すように、傾動部材38の弧状ガイド孔38Aの上端部にリンク部材37のピン37Aが当接し、その後の大可動片29C,29Cの傾動変位に従って、傾動部材38は、これの接点ローラ39を下向きにしてさらに傾動する。
この傾動によって、スイッチ部材40の一方の脚部40Bが押し下げられて、そのスイッチ部材40は、図7(D)に示すように、軸40Cを中心とした時計方向に傾動し始める。
【0083】
スイッチ部材40が所定の角度だけ傾動すると、そのスイッチ部材40は、圧縮コイルばね41の弾性力によって、図7(E)に示すように、図示時計方向に急速に傾動した後、ストッパ42に当接して傾動が停止される。また、スイッチ部材40と傾動部材38の接点ローラ39とが離間して非導通状態になる。これにより、駆動モータM2への導電が解除され全ての動作が停止する。
【0084】
その後、傾動部材38は自重により傾動し続けるが、所定の角度になったときに、リンク部材37のピン37Aが傾動部材38の弧状ガイド孔38Aの下端部に当接して傾動が停止される。
これにより、流路形成体29から送り出される空気流が第2の方向α4から偏向しないようにして停止固定された状態になる。
【0085】
なお、投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にするときは、当該投写型プロジェクタの電源はOFF状態で作業する。しかしながら、図7(A)の平置き姿勢から同図(B)に示す天吊り姿勢にしたときに電源がOFF状態でも、次回の電源をON操作した後に、図7(B)〜(E)に示す動作が行われる。
【0086】
次に、図8(A)〜(E)を参照して、上述した構成からなる他の実施形態に係る本発明冷却装置の動作について説明する。図8は、投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段Bの復動動作を示す動作説明図であり、同図(A)は投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしているときの空気流方向調整手段Bの動作状態、同図(B)は、その投写型プロジェクタを平置き姿勢にしたときの空気流方向調整手段Bの動作が開始される状態、同図(C),(D)は、その空気流方向調整手段Bの動作途中の状態を示す動作説明図、(E)は、その空気流方向調整手段Bの動作が完了した状態をそれぞれ示している。
【0087】
図8(A)に示すように、投写型プロジェクタが天吊り姿勢になっているときには、傾動部材38は、これの接点ローラ39を下向きにした傾斜姿勢になっており、このとき、接点ローラ39とスイッチ部材40とは離間して非接触状態になっている。
【0088】
可動部29B,29Bは、動力伝達歯車34,36が噛合しているとともに駆動モ−タM2が停止していることにより、流路形成体29から送り出される空気流が第2の方向α4から偏向しないようにして停止固定されている。
【0089】
すなわち、第2の方向α4に向けて吹き出された空気流は、光源駆動回路30の上部側(天吊り姿勢において上部側)を中心にして吸引されるようになって、その光源駆動回路30を効果的に冷却することができる。
【0090】
図8(B)に示すように、投写型プロジェクタを平置き状態にしたとき、傾動部材38は、接点ローラ39が下向きとなるように軸38Bを中心として傾動し始め、その後、接点ローラ39はスイッチ部材40の他方の脚部40Bに当接して導通する。
【0091】
上記導通により、制御回路45を介して駆動モ−タM2が回転駆動され、その回転駆動力は、動力伝達歯車36,37、リンク部材37を介して可動部29Bに伝達され、その可動部29Bは前記とは逆方向の矢印e方向に傾動し始める。
【0092】
可動部29Bが矢印e方向にさらに傾動すると、図8(C)に示すように、傾動部材38の弧状ガイド孔38Aの上端部に、リンク部材37のピン37Aが当接し、その後の可動部29Bの傾動変位に従って、傾動部材38は、これの接点ローラ39を下向きにしてさらに傾動する。
【0093】
この傾動によって、スイッチ部材40の他方の脚部40Bが押し下げられて、、そのスイッチ部材40は、図8(D)に示すように、軸40Cを中心とした図示時計方向に傾動させられる。
【0094】
スイッチ部材40が所定の角度だけ傾動すると、そのスイッチ部材40は、圧縮コイルばね41の弾性力によって、図8(E)に示すように、図示時計方向に急速に傾動した後、ストッパ43に当接して傾動が停止される。また、スイッチ部材40と傾動部材38の接点ローラ39とが離間して非導通状態になる。これにより、駆動モータM2への通電が解除されて全ての動作が停止する。
【0095】
その後、傾動部材38は自重により傾動し続けるが、所定の角度になったときにリンク部材37のピン37Aが傾動部材38の弧状ガイド孔38Aの下端部に当接し、これにより傾動部材38の傾動も停止する。
【0096】
なお、投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にするときは、投写型プロジェクタの電源はOFF状態で作業する。しかしながら、図8(A)の天吊り姿勢から、同図(B)に示す平置き姿勢にしたときに電源がOFF状態でも、次回の電源をONした以降に、図8(B)〜(E)に示す復動動作が行われる。
【0097】
なお、本発明は前述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
上記においては、光源冷却手段による空気流の向きを、前記平置き姿勢又は天吊り姿勢に対応して自動的に変更する空気流方向調整手段と、駆動回路冷却手段による空気流の向きを、平置き姿勢又は天吊り姿勢に対応して自動的に変更する空気流方向調整手段とを併設している例について説明したが、それらのうちのいずれか一方だけを配設した構成にしてもよい。
【0098】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、平置き姿勢と天吊り姿勢とに応じ、それぞれに好適な冷却態様へと切り換えが行えるので、平置き姿勢と天吊り姿勢のいずれにおいても好適な冷却が行える光学機器を提供することができる。
【0099】
また、機器の姿勢に応じた冷却態様の切り換えを、使用者による操作ではなく、機器自体が自動的に行うので、使用者に煩わしさを与えることがなく、かつ、使用者の誤操作が入り込む余地がないので、誤操作による不適当な冷却態様をとることに起因する、冷却性能の劣化が生じるところが全くない。
【0100】
総じて、平置き姿勢と天吊り姿勢とをとり得る、液晶プロジェクタや投写型プロジェクタ等の光学機器において、機器の姿勢に応じた冷却態様をとり得る冷却装置をもつことにより、光源ランプや駆動回路の寿命や性能を確保できるとともに、放熱に対して信頼性の高い機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る本発明冷却装置を搭載した光学機器を平置き姿勢にした状態の要部正面図である。
【図2】同上の光学機器を天吊り姿勢にした状態の要部正面図である。
【図3】投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にしたときの空気流方向調整手段の往動動作を示す動作説明図である。
【図4】投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にしたときの空気流方向調整手段の復動動作を示す動作説明図である。
【図5】他の実施形態に係る本発明冷却装置を搭載した光学機器を平置き姿勢にした要部正面図である。
【図6】その光学機器を天吊り姿勢にした要部正面図である。
【図7】投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段の動作状態を示す動作説明図である。
【図8】投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段の復動動作を示す動作説明図である。
【図9】従来の光源ランプの冷却構造を示す構成図である。
【図10】従来の光源ランプの冷却構造を示す上面から見た説明図である。
【図11】従来の光源ランプの駆動回路の冷却構造を示した構成図である。
【符号の説明】
13 光源である光源ランプ
15 光源冷却手段である吹き付けファン
17,29B 偏向部材
30 光源駆動回路
31 駆動回路冷却手段である排気ファン
A,B 空気流方向調整手段
M1,M2 駆動モータ
α1,α3 第1の方向
α2,α4 第2の方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液晶プロジェクタや投写型(DLP)プロジェクタのような光学機器に関し、特に高い温度で発熱し得る光源やこれの駆動回路を備えた光学機器の冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のプロジェクタについて、図9〜11を参照して説明する。図9は、従来の光源ランプの冷却構造を示す構成図、図10は、従来の光源ランプの冷却構造を示す上面から見た説明図、図11は、従来の光源ランプの駆動回路の冷却構造を示した構成図である。
【0003】
従来のプロジェクタは、対角数cmの映像ソースを強力なランプ光源で数10〜数100倍に拡大投射する映像投射機器であり、その筐体の内部に、映像信号を外部より取り込み処理する回路、該回路から出力された信号を実像化する光学メカ部(この光学メカ部に前記ランプ光源部が含まれている)、光源ランプを駆動する駆動回路、光源ランプを冷却する冷却手段及び駆動回路を冷却する冷却手段等を適宜配設したものである。
【0004】
冷却手段は、固定したファン及び風路による強制空冷構造をとるものが、一般的である。
【0005】
図9,10において、1は光源ランプ、2はリフレクタ、O3はランプ光軸、3は吹き付けファン、4は吹き付けファン3の流路形成体、5は流路形成体4で形成される吹き付け流路、aは空気流である。
なお、吹き付けファン3は、図10に示すように、ランプ光軸O3と吹き付け流路aとは平面視において斜交する配置関係となっている。
【0006】
上記光源ランプ1は、吹き付けファン3から送り出される空気流aによって空冷されるようになっている。すなわち、吹き付けファン3から送り出される空気流は、固定構造をとる吹き付け流路5によって、光源ランプ1に向けて方向付けされている。
【0007】
図11において、6は上記した光源ランプ1の駆動回路(回路基板)、7はランプ駆動用IC、8はランプ駆動用IC7の放熱板、9は流路形成体、11は排気ファン(吸引ファン)、12は排気口ネット、bは空気流である。
【0008】
流路形成体9は、駆動回路6と排気ファン11とをつなぐ排気流路(吸引流路)10を形成するものである。
【0009】
駆動回路6は、排気ファン11により吸引される空気流bにより冷却され、その排気ファン11を通過した空気流bは、排気口ネット12から機器本体(図示しない)の外部に排気されるようになっている。
排気ファン11により吸引される空気は、その排気ファン11の位置により方向付けされるようになっており、排気ファン11は、これの位置を変更できない固定構造になっている。
【0010】
ところで、プロジェクタの光源の冷却に関する技術としては、冷却空気の方向を制御するものが知られている(特許文献1参照)。
この特許文献1においては、(1)リフレクターの反射面と逆側の湾曲外側面に流す冷却空気の方向を制御し、湾曲外側面に突出したランプ口金部及び同方向に別個に設けたランプ放熱部を選択的に冷却し、リフレクターが過冷却となることを防ぎ、(2)冷却空気の方向は、手動による調整機構により調整するようにした点が示されている。
【0011】
また、特許文献2には、ダクト内部に風向制御版を設け、風向制御版の自重の回転落下により、装置の平置き、天吊り姿勢での風向を切換える技術が開示されている。
プロジェクタのうち映像用のものは、当初、大口径のレンズを用い、比較的大きな筐体を持つものであったため、その熱対策はさほど問題となるものではなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−302522号公報
【特許文献2】
特開2002−298639号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年のプロジェクタは、その性能向上のため、格段と高出力のランプが用いられる傾向にある反面、機器の小型化の要求もあり、そのために、高発熱体を内包するのに相対的に放熱能力が脆弱となり、寿命や性能に悪影響を与える結果となり、機器本体内部の温度上昇に対応を迫られている。
【0014】
また、プロジェクタを設置する姿勢も、当該機器本体の筐体底面を下向きに配置する姿勢である、重力方向に平置き姿勢にする一般的な使用方法に加えて、上記筐体を天地逆さまにして天井からつるす天吊りなる使用方法にも対応できることが要求されている。
【0015】
一般的なプロジェクタは、平置き姿勢においては、機器本体より上側のスクリ−ンに映像を投写する。これに対して、室内の天井付近に機器本体を配置する場合、その機器本体より下側のスクリ−ンに映像を投写するため、機器本体を上下180°反転させ、天吊り姿勢で使用する。
【0016】
また、投写映像を上下に調整できるレンズシフト機構を備えたプロジェクタにおいても、通常、天井から吊るす場合には、当該機器本体の外観意匠上の観点から、その機器本体の裏側を見せることなく、同様に上下180°反転させ、天吊り姿勢で使用する。
【0017】
ところが、平置き姿勢と天吊り姿勢とでは、機器本体内部の温度分布が変わるため、平置き姿勢にのみ対応した冷却構造をとると、天吊り姿勢では、光源ランプが適正に動作する温度範囲を逸脱したり、回路の冷却が不十分となる。
そのため、使用するランプの変質や集積回路等の異常動作を招来して、性能向上を目論見つつも性能が発揮できないことや、機器自体が危険な状態になるという問題の発生が懸念されている。
【0018】
ここで補足説明すると、強制対流による空冷にもかかわらず、姿勢による重力方向の変化により温度分布が変わるのは、光源ランプにおいては、ランプ内部での封入ガスの対流が生じ、また駆動回路においては、基板上に実装された部品による凹凸により空冷空気の滞留(滞り)が起こり、それが原因で一般的に重力方向の上部にある部分が高温度となるためである。
【0019】
なお、前記特許文献1においては、上述した平置き姿勢と天吊り姿勢とで、機器本体内部の温度分布が変わることについては、配慮がなされていない。
【0020】
また、前記特許文献2における風向制御版の自重は軽いため、例えば、摩擦等により切換えられない場合が充分にあり、切換え動作に確実性がないという課題がある。
【0021】
さらに、風向制御版は所定位置に固定されているわけではなく、回動可のため、付近を流れる空気によりフラッタ(はためき)現象をおこし作用に確実性がないことも充分考えられるとともに、重力方向に逆らって装置の構造物を動作させなければならない場合は適用できない。
【0022】
そこで本発明は、一般的な平置き姿勢と機器の上下が反転する天吊り姿勢とに応じ、それぞれに好適な冷却態様の切り換えが行え、かつ、機器本体の姿勢に応じた冷却態様の切り換えを、使用者による操作ではなく自動的に行うことができるとともに一連の動作を確実に動作させられる光学機器の冷却装置の提供を目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するための本発明は、平置き姿勢とこれと天地逆さまの天吊り姿勢にできる光学機器内に配設された発熱し得る光源を、空気流によって冷却する光源冷却手段と、その光源冷却手段による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段とを有してなることを特徴としている。
【0024】
また、平置き姿勢とこれと天地逆さまの天吊り姿勢にできる光学機器内に配設された発熱し得る光源駆動回路を、空気流によって冷却する駆動回路冷却手段と、その駆動回路冷却手段による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段とを設けた構成にすることもできる。
【0025】
上記においては、空気流方向調整手段を、空気流の向きを平置き姿勢に対応する第1の方向、及び天吊り姿勢に対応する第2の方向に偏向させるための偏向部材と、これを駆動する駆動モータと、その偏向部材を第1の方向及び第2の方向に向けるように駆動モータを駆動制御する制御回路とを有する構成にすることができる。
【0026】
また、空気流方向調整手段に、光源冷却手段による空気流の向きを調整された方向から偏向しないように固定する機能を併有させると好ましい。
【0027】
上記した光源冷却手段としては、空気流を生じさせる吹き付けファンを有する構成にするとともに、その吹き付けファンと、これにより生じた空気流を第1の方向及び第2の方向に偏向させる偏向部材とを流路形成体内に配設した構成にすることができる。
【0028】
上記した前記駆動回路冷却手段としては、空気流を生じさせる排気ファンを有する構成にするとともに、その排気ファンと、これを第1の方向及び第2の方向に偏向させる偏向部材とを流路形成体に配設した構成にすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明光学機器の冷却装置の一実施の形態について、図1〜8を参照して説明する。図1は、一実施形態に係る本発明冷却装置を搭載した光学機器を平置き姿勢にした要部正面図、図2は、その光学機器を天吊り姿勢にした要部正面図である。なお、本実施形態においては、光学機器として投写型プロジェクタを例として説明する。
【0030】
図1に示すように、投写型プロジェクタの機器本体(図示しない)の内部には、光源である光源ランプ13、光源駆動回路30(図5に示す)、及びその光源ランプ13を空気流によって冷却する光源冷却手段である吹き付けファン15が配設されており、また、当該投写型プロジェクタは、平置き姿勢(図1に示す姿勢)と、これと天地逆さまに設置する天吊り姿勢(図2に示す姿勢)にして取り付けられるようになっている。
【0031】
光源ランプ13は高い温度で発熱し得るものであり、これを覆う大きさの器形に形成されたリフレクタ14の中心に取り付けられている。
【0032】
光源冷却手段である吹き付けファン(以下、「吹き付けファン」という。)15は、ファン本体15Aの吹付け口15Bに、上記光源ランプ13に向けた空気流の流路を形成するための流路形成体16が取り付けられなるものであり、その流路形成体16の内部に吹き付け流路(空気流路)16Aが形成されている。
【0033】
なお、吹き付けファン15は、平面視において、図示しないランプ光軸と吹き付け流路16Aの軸心O1とが斜交するように配置されており、従ってまた、吹付け口15Bから噴出される空気流が光源ランプ13に対して所要の角度で吹き付けられるようになっている。
【0034】
上記流路形成体16は、吹付け口15Bから吹き出される空気流の上流側から下流側に向けてやや細径になる筒状のものであり、これの内部に偏向部材17が配設されている。
【0035】
偏向部材17は、吹付け口15Bから吹き出される空気流を第1の方向α1(図1に示す)と第2の方向α2(図2に示す)とに偏向するためのものであり、ピン接続された基端部側を中心とし、所要の角度範囲内で上下揺動自在に支持されている。
【0036】
第1の方向α1は、機器を平置きにしたときの光源ランプ13の重力方向(鉛直方向)の上部側を中心として空気を吹き付ける方向をいい、また、第2の方向α2は、機器を平置きにしたときの光源ランプ13の重力方向の下部側を中心として空気を吹き付ける方向をいう。
【0037】
なお、図1と図2とを比較参照すると、図1に示す第1の方向α1と、図2に示す第2の方向α2とが同じ方向になっているように示されているが、それは、図1においては、機器本体を平置き姿勢にして示し、図2においては、機器本体を天吊り姿勢にして示していることによるものである。
【0038】
偏向部材17の基端部には扇形歯車18が固定されており、これには、動力伝達歯車19を介して駆動モ−タM1が連結されている。すなわち、駆動モ−タM1を回転駆動することによって、扇形歯車18を介して偏向部材17を上下に揺動させるようになっている。
【0039】
上記の駆動モータM1には制御回路28が接続されており、その制御回路28によって、偏向部材17を第1の方向α1及び第2の方向α2に向けるように駆動制御するようにしている。
【0040】
偏向部材17の開放端部側には、リンク部材20の一端部がピン接続されており、また、そのリンク部材20の他端部には、この他端部に突設したピン20Aを介して傾動部材21が連結されている。
【0041】
傾動部材21は、機器本体内の固定部(図示しない)に対し、それの一端部に配設した軸21Bを中心として上下揺動自在に支持され、他端部に導電性の接点ローラ22が回転可能に取り付けられている。
また、この傾動部材21の中間部には、弧状ガイド孔21Aが形成されており、この弧状ガイド孔21Aにリンク部材20の上記ピン20Aが摺動自在に挿入されている。
【0042】
23は、軸23Cを中心として上下揺動可能なスイッチ部材であり、それは、脚部23B,23Bを正面視略く字形に形成するとともに、それぞれ導電性のローラ当接片23A,23Aを折曲形成している。
また、脚部23B,23Bの連結部には、圧縮コイルばね24の一端部が連結され、その圧縮コイルばね24の他端部は機器本体内の固定部(図示しない)に固定されている。なお、26,27はスイッチ部材23の揺動範囲を規制するストッパである。
【0043】
本実施形態においては、前記した吹き付けファン15による空気流の向きを、前記平置き姿勢又は天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段Aを、上記した傾動部材21、スイッチ部材23、圧縮コイルばね24、リンク部材20、偏向部材17、扇形歯車18、動力伝達歯車19、駆動モータM1及び制御回路28により構成している。
【0044】
次に、図3(A)〜(E)を参照して、上述した構成からなる一実施形態に係る本発明冷却装置の動作について説明する。図3は、投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段Aの往動動作を示す動作説明図であり、同図(A)は投写型プロジェクタを平置き姿勢にしているときの空気流方向調整手段Aの動作状態、同図(B)は、その投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしたときの空気流方向調整手段Aの動作が開始される状態、同図(C),(D)は、その空気流方向調整手段Aの動作途中の状態、同図(E)は、その空気流方向調整手段Aの動作が完了した状態をそれぞれ示している。
【0045】
図1及び図3(A)に示すように、投写型プロジェクタを平置き姿勢にしているとき、傾動部材21は、これの接点ローラ22が下向きとなるように傾斜し、その接点ローラ22がスイッチ部材23から離間して非接触状態になっている。
【0046】
吹き付け流路16A内の偏向部材17は、扇形歯車18と動力伝達歯車19とが噛合していることともに駆動モ−タM1が停止していることにより、吹き付け流路16Aから送り出される空気流方向が第1の方向α1から偏向しないようにして停止固定されている。
【0047】
すなわち、第1の方向α1に向けて吹き出された空気流は、光源ランプ13に対し、これの上部側(平置き姿勢において上部側)を中心として吹き付けられるようになって、その光源ランプ13を効果的に冷却することができる。
【0048】
図3(B)に示すように、投写型プロジェクタを天吊り姿勢にすると、傾動部材21は、これの接点ローラ22が下向きとなるように傾動し始め、その後、接点ローラ22がスイッチ部材23の一方の脚部23Bのローラ当接片23Aに当接して導通する。
【0049】
上記導通により、制御回路28を介して駆動モ−タM1が回転駆動され、この回転駆動力は、動力伝達歯車19、扇形歯車18を介して偏向部材17に伝達され、その偏向部材17は矢印b方向に傾動し始める。
【0050】
偏向部材17が矢印b方向にさらに傾動すると、図3(C)に示すように、リンク部材20のピン20Aが、傾動部材21の弧状ガイド孔21Aの下端部に当接し、その後の偏向部材17の傾動変位に従って、傾動部材21は、これの接点ローラ22を下向きにしてさらに傾動する。
この傾動によって、スイッチ部材23の一方の脚部23bが押し下げられて、そのスイッチ部材23は、図3(D)に示すように、軸23Cを中心とした図示時計方向に傾動し始める。
【0051】
スイッチ部材23が所定の角度だけ傾動すると、このスイッチ部材23は、圧縮コイルばね24の弾性力によって、図3(E)に示すように矢印b方向に急速に傾動した後、ストッパ26に当接して傾動が停止される。また、スイッチ部材23と傾動部材21の接点ローラ22とが離間して非導通状態になる。これにより、駆動モ−タM1への通電が解除され全ての動作は停止する。
【0052】
その後、傾動部材21は自重により傾動し続けるが、所定の角度になったときにリンク部材20のピン20Aが傾動部材21の弧状ガイド孔21Aの上端部に向けて相対的に摺動して当接し、これにより傾動部材21の傾動も停止される。
【0053】
なお、投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にするときは、投写型プロジェクタの電源はOFFの状態で作業する。しかしながら、図3(A)の平置き姿勢から(B)に示す天吊り姿勢にしたときに電源がOFF状態でも、次回の電源をONした以降に、図3(B)〜(E)に示す往動動作が行われる。
【0054】
次に、図4(A)〜(E)を参照して、上述した構成からなる一実施形態に係る本発明冷却装置の動作について説明する。図4は、投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段Aの復動動作の動作説明図であり、同図(A)は投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしているときの空気流方向調整手段Aの動作状態、同図(B)は、その投写型プロジェクタを平置き姿勢にしたときの空気流方向調整手段Aの動作が開始される状態、同図(C),同図(D)は、その空気流方向調整手段Aの動作途中の状態、同図(E)は、その空気流方向調整手段Aの動作が完了した状態をそれぞれ示している。
【0055】
図4(A)に示すように、投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしているとき、傾動部材21は、これの接点ローラ22を下向きにした傾斜姿勢になっており、このとき、その接点ローラ22とスイッチ部材23とは離間して非接触状態になっている。
【0056】
吹き付け流路16A内の偏向部材17は、扇形歯車18と動力伝達歯車19とが噛合しているとともに駆動モ−タM1が停止していることにより、空気流方向が第2の方向α2から偏向しないようにして停止固定されている。
【0057】
すなわち、第2の方向α2に向けて吹き出された空気流は、光源ランプ13に対し、これの上部側(天吊り姿勢において上部側)を中心として吹き付けられるようになって、その光源ランプ13を効果的に冷却することができる。
【0058】
図4(B)に示すように、投写型プロジェクタを平置き姿勢にしたとき、傾動部材21は、これの接点ローラ22が下向きとなるように傾動し始め、その後、接点ローラ22がスイッチ部材23の他方の脚部23Bに当接して導通する。
【0059】
上記導通により、制御回路28(図1,2に示す)を介して駆動モ−タM1が回転駆動され、この回転駆動力は、動力伝達歯車19、扇形歯車18を介して偏向部材17に伝達され、その偏向部材17は矢印c方向に傾動し始める。
【0060】
偏向部材17が矢印c方向にさらに傾動すると、図4(C)に示すように、リンク部材20のピン20Aが、傾動部材21の弧状ガイド21Aの下端部に当接し、その後の偏向部材17の傾動変位に従って、傾動部材21は、これの接点ローラ22を下向きにしてさらに傾動する。
【0061】
この傾動によって、スイッチ部材23の他方の脚部23Bが押し下げられて、そのスイッチ部材23は、図4(D)に示すように、軸23Cを中心とした図示時計方向に傾動させられる。
【0062】
スイッチ部材23が所定の角度だけ傾動すると、このスイッチ部材23は、圧縮コイルばね24の弾性力によって、図4(E)に示すように矢印c方向に急速に傾動した後、ストッパ27に当接して傾動が停止される。また、スイッチ部材23と傾動部材21の接点ローラ22とが離間して非導通状態になる。これにより、駆動モータM1への通電が解除されて全ての動作は停止する。
【0063】
その後、傾動部材21は自重により傾動し続けるが、所定の角度になったときにリンク部材20のピン20Aが傾動部材21の弧状ガイド孔21Aの上端部に向けて相対的に摺動して当接し、これにより傾動部材21の傾動も停止する。
【0064】
なお、投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にするときは、投写型プロジェクタの電源はOFFの状態で作業する。しかしながら、図4(A)の天吊り姿勢から(B)に示す平置き姿勢にしたときに電源がOFF状態でも、次回の電源をONした以降に、図4(B)〜(E)に示す復動動作が行われる。
【0065】
次に、本発明光学機器の冷却装置の他の実施の形態について、図5〜8を参照して説明する。図5は、他の実施形態に係る本発明冷却装置を搭載した光学機器を平置き姿勢にした要部正面図、図6は、その光学機器を天吊り姿勢にした要部正面図である。なお、本実施形態は、前述した投写型プロジェクタ内に配設されているものである。
【0066】
投写型プロジェクタの機器本体(図示しない)の内部には、図5,6に示すように、固定部29A及び可動部29B,29Bからなる流路形成体29内に、前記した光源である光源ランプ13の光源駆動回路(回路基板)30と、駆動回路冷却手段である排気ファン(吸引ファン)31とが配設されている。
【0067】
上記光源駆動回路(回路基板)30上には、ランプ駆動用IC32、このランプ駆動用IC32の放熱板33等が実装されている。
【0068】
固定部29Aは、両端を開口した筒形に形成されており、これの一端に可動部29B,29Bが取り付けられている。
【0069】
可動部29Bは、固定部29Aに軸支した基端部を中心として上下揺動可能な大可動片29C,29Cと、これら大可動片29C,29Cの各開放端部に基端部を軸支した同じく上下揺動可能な小可動片29D,29Dとからなり、それらのうち、小可動片29D,29D間に上記排気ファン31が一体的に保持されている。本実施形態においては、可動部29B,29Bが偏向部材である。
【0070】
下側の大可動片29Cには、これに一端部を、また、他端部を動力伝達歯車34にそれぞれピン接続したリンク部材35、上記動力伝達歯車34に噛合させた動力伝達歯車36を介して駆動モータM2が接続されている。
駆動モータM2は、偏向部材である可動部29B,29Bを第1の方向α3及び第2の方向α4に向けるように制御回路45によって駆動制御されるようになっている。
【0071】
上側の大可動片29Cには、リンク部材37を介して傾動部材38が連結されている。
傾動部材38は、これの一端部に導電性の接点ローラ39が軸支されているとともに、他端部に弧状ガイド孔38Aが形成されているものであり、軸38Bを中心として所要の角度範囲で上下揺動自在になっている。
【0072】
リンク部材37は、これの一端部が上側の大可動片29Cにピン接続され、他端部には、上記傾動部材38の弧状ガイド孔38Aに遊挿されるピン37Aが突設されている。
【0073】
40は、上記接点ローラ39に当接する導電性のローラ当接片40A,40Aを折曲形成した脚部40B,40Bを、所要の角度で正面視略く字形に形成したスイッチ部材であり、軸40Cを中心として回動可能になっている。
【0074】
脚部40B,40Bの連結部には、圧縮コイルばね41の一端部が連結され、当該圧縮コイルばね41の他端部は機器本体内の固定部(図示しない)に固定されている。なお、42,43はスイッチ部材40の揺動範囲を規制するストッパである。また、44は、流路形成体29の可動部29B側に所要の間隔をおいて対設した排気口ネットである。
【0075】
本実施形態においては、排気ファン31による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段Bを、上記した傾動部材38、スイッチ部材40、リンク部材37、可動部29B,29B、リンク部材35、動力伝達歯車34,36、駆動モータM2及び制御回路45により構成している。
【0076】
次に、図7(A)〜(E)を参照して、上述した構成からなる一実施形態に係る本発明冷却装置の動作について説明する。図7は、投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段Bの動作状態を示す往動動作の動作説明図であり、同図(A)は投写型プロジェクタを平置き姿勢にしているときの空気流方向調整手段Bの動作状態、同図(B)は、その投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしたときの空気流方向調整手段Bの動作が開始される状態、同図(C),(D)は、その空気流方向調整手段Bの動作途中の状態、同図(E)は、その空気流方向調整手段Bの動作が完了した状態をそれぞれ示している。
【0077】
図7(A)に示すように、投写型プロジェクタを平置き姿勢にしているときには、傾動部材38は、これの接点ローラ39が下向きとなるように傾斜し、その接点ローラ39がスイッチ部材40から離間して非接触状態になっている。
【0078】
また、偏向部材である可動部29B,29Bは、動力伝達歯車34,36とが噛合しているとともに駆動モ−タM2が停止していることにより、流路形成体29から送り出される空気流方向が第1の方向α3から偏向しないようにして停止固定されている。
【0079】
すなわち、第1の方向α3に向けて吹き出された空気流は、光源駆動回路30の上部側(平置き姿勢において上部側)を中心として吸引されるようになって、その光源駆動回路30を効果的に冷却することができるとともに、排気ファン31を通った空気流は、排気口ネット44から機器本体の外部に排気される。
【0080】
図7(B)に示すように、投写型プロジェクタを天吊り姿勢にすると、傾動部材38は、これの接点ローラ39が下向きとなるように傾動し始め、その後、接点ローラ39はスイッチ部材40の一方の脚部40Bのローラ当接片40Aに当接して導通する。
【0081】
上記導通により、制御回路45を介して駆動モ−タM2が回転駆動され、その結果、偏向部材の一部をなす大可動片29C,29Cが矢印d方向に傾動し始める。
【0082】
大可動片29C,29Cが矢印d方向にさらに傾動すると、図7(C)に示すように、傾動部材38の弧状ガイド孔38Aの上端部にリンク部材37のピン37Aが当接し、その後の大可動片29C,29Cの傾動変位に従って、傾動部材38は、これの接点ローラ39を下向きにしてさらに傾動する。
この傾動によって、スイッチ部材40の一方の脚部40Bが押し下げられて、そのスイッチ部材40は、図7(D)に示すように、軸40Cを中心とした時計方向に傾動し始める。
【0083】
スイッチ部材40が所定の角度だけ傾動すると、そのスイッチ部材40は、圧縮コイルばね41の弾性力によって、図7(E)に示すように、図示時計方向に急速に傾動した後、ストッパ42に当接して傾動が停止される。また、スイッチ部材40と傾動部材38の接点ローラ39とが離間して非導通状態になる。これにより、駆動モータM2への導電が解除され全ての動作が停止する。
【0084】
その後、傾動部材38は自重により傾動し続けるが、所定の角度になったときに、リンク部材37のピン37Aが傾動部材38の弧状ガイド孔38Aの下端部に当接して傾動が停止される。
これにより、流路形成体29から送り出される空気流が第2の方向α4から偏向しないようにして停止固定された状態になる。
【0085】
なお、投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にするときは、当該投写型プロジェクタの電源はOFF状態で作業する。しかしながら、図7(A)の平置き姿勢から同図(B)に示す天吊り姿勢にしたときに電源がOFF状態でも、次回の電源をON操作した後に、図7(B)〜(E)に示す動作が行われる。
【0086】
次に、図8(A)〜(E)を参照して、上述した構成からなる他の実施形態に係る本発明冷却装置の動作について説明する。図8は、投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段Bの復動動作を示す動作説明図であり、同図(A)は投写型プロジェクタを天吊り姿勢にしているときの空気流方向調整手段Bの動作状態、同図(B)は、その投写型プロジェクタを平置き姿勢にしたときの空気流方向調整手段Bの動作が開始される状態、同図(C),(D)は、その空気流方向調整手段Bの動作途中の状態を示す動作説明図、(E)は、その空気流方向調整手段Bの動作が完了した状態をそれぞれ示している。
【0087】
図8(A)に示すように、投写型プロジェクタが天吊り姿勢になっているときには、傾動部材38は、これの接点ローラ39を下向きにした傾斜姿勢になっており、このとき、接点ローラ39とスイッチ部材40とは離間して非接触状態になっている。
【0088】
可動部29B,29Bは、動力伝達歯車34,36が噛合しているとともに駆動モ−タM2が停止していることにより、流路形成体29から送り出される空気流が第2の方向α4から偏向しないようにして停止固定されている。
【0089】
すなわち、第2の方向α4に向けて吹き出された空気流は、光源駆動回路30の上部側(天吊り姿勢において上部側)を中心にして吸引されるようになって、その光源駆動回路30を効果的に冷却することができる。
【0090】
図8(B)に示すように、投写型プロジェクタを平置き状態にしたとき、傾動部材38は、接点ローラ39が下向きとなるように軸38Bを中心として傾動し始め、その後、接点ローラ39はスイッチ部材40の他方の脚部40Bに当接して導通する。
【0091】
上記導通により、制御回路45を介して駆動モ−タM2が回転駆動され、その回転駆動力は、動力伝達歯車36,37、リンク部材37を介して可動部29Bに伝達され、その可動部29Bは前記とは逆方向の矢印e方向に傾動し始める。
【0092】
可動部29Bが矢印e方向にさらに傾動すると、図8(C)に示すように、傾動部材38の弧状ガイド孔38Aの上端部に、リンク部材37のピン37Aが当接し、その後の可動部29Bの傾動変位に従って、傾動部材38は、これの接点ローラ39を下向きにしてさらに傾動する。
【0093】
この傾動によって、スイッチ部材40の他方の脚部40Bが押し下げられて、、そのスイッチ部材40は、図8(D)に示すように、軸40Cを中心とした図示時計方向に傾動させられる。
【0094】
スイッチ部材40が所定の角度だけ傾動すると、そのスイッチ部材40は、圧縮コイルばね41の弾性力によって、図8(E)に示すように、図示時計方向に急速に傾動した後、ストッパ43に当接して傾動が停止される。また、スイッチ部材40と傾動部材38の接点ローラ39とが離間して非導通状態になる。これにより、駆動モータM2への通電が解除されて全ての動作が停止する。
【0095】
その後、傾動部材38は自重により傾動し続けるが、所定の角度になったときにリンク部材37のピン37Aが傾動部材38の弧状ガイド孔38Aの下端部に当接し、これにより傾動部材38の傾動も停止する。
【0096】
なお、投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にするときは、投写型プロジェクタの電源はOFF状態で作業する。しかしながら、図8(A)の天吊り姿勢から、同図(B)に示す平置き姿勢にしたときに電源がOFF状態でも、次回の電源をONした以降に、図8(B)〜(E)に示す復動動作が行われる。
【0097】
なお、本発明は前述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
上記においては、光源冷却手段による空気流の向きを、前記平置き姿勢又は天吊り姿勢に対応して自動的に変更する空気流方向調整手段と、駆動回路冷却手段による空気流の向きを、平置き姿勢又は天吊り姿勢に対応して自動的に変更する空気流方向調整手段とを併設している例について説明したが、それらのうちのいずれか一方だけを配設した構成にしてもよい。
【0098】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、平置き姿勢と天吊り姿勢とに応じ、それぞれに好適な冷却態様へと切り換えが行えるので、平置き姿勢と天吊り姿勢のいずれにおいても好適な冷却が行える光学機器を提供することができる。
【0099】
また、機器の姿勢に応じた冷却態様の切り換えを、使用者による操作ではなく、機器自体が自動的に行うので、使用者に煩わしさを与えることがなく、かつ、使用者の誤操作が入り込む余地がないので、誤操作による不適当な冷却態様をとることに起因する、冷却性能の劣化が生じるところが全くない。
【0100】
総じて、平置き姿勢と天吊り姿勢とをとり得る、液晶プロジェクタや投写型プロジェクタ等の光学機器において、機器の姿勢に応じた冷却態様をとり得る冷却装置をもつことにより、光源ランプや駆動回路の寿命や性能を確保できるとともに、放熱に対して信頼性の高い機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る本発明冷却装置を搭載した光学機器を平置き姿勢にした状態の要部正面図である。
【図2】同上の光学機器を天吊り姿勢にした状態の要部正面図である。
【図3】投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にしたときの空気流方向調整手段の往動動作を示す動作説明図である。
【図4】投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にしたときの空気流方向調整手段の復動動作を示す動作説明図である。
【図5】他の実施形態に係る本発明冷却装置を搭載した光学機器を平置き姿勢にした要部正面図である。
【図6】その光学機器を天吊り姿勢にした要部正面図である。
【図7】投写型プロジェクタを平置き姿勢から天吊り姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段の動作状態を示す動作説明図である。
【図8】投写型プロジェクタを天吊り姿勢から平置き姿勢にしたときの上記空気流方向調整手段の復動動作を示す動作説明図である。
【図9】従来の光源ランプの冷却構造を示す構成図である。
【図10】従来の光源ランプの冷却構造を示す上面から見た説明図である。
【図11】従来の光源ランプの駆動回路の冷却構造を示した構成図である。
【符号の説明】
13 光源である光源ランプ
15 光源冷却手段である吹き付けファン
17,29B 偏向部材
30 光源駆動回路
31 駆動回路冷却手段である排気ファン
A,B 空気流方向調整手段
M1,M2 駆動モータ
α1,α3 第1の方向
α2,α4 第2の方向
Claims (6)
- 平置き姿勢とこれと天地逆さまの天吊り姿勢にできる光学機器内に配設された発熱し得る光源を、空気流によって冷却する光源冷却手段と、その光源冷却手段による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段とを有してなることを特徴とする光学機器の冷却装置。
- 平置き姿勢とこれと天地逆さまの天吊り姿勢にできる光学機器内に配設された発熱し得る光源駆動回路を、空気流によって冷却する駆動回路冷却手段と、その駆動回路冷却手段による空気流の向きを、前記平置き姿勢及び天吊り姿勢に対応して自動的に調整する空気流方向調整手段とを設けたことを特徴とする光学機器の冷却装置。
- 空気流方向調整手段は、空気流の向きを平置き姿勢に対応する第1の方向、及び天吊り姿勢に対応する第2の方向に偏向させるための偏向部材と、これを駆動する駆動モータと、その偏向部材を第1の方向及び第2の方向に向けるように駆動モータを駆動制御する制御回路とを有することを特徴とする請求項1又は2記載の光学機器の冷却装置。
- 空気流方向調整手段は、光源冷却手段による空気流の向きを調整された方向から偏向しないように固定する機能を併有していることを特徴とする請求項1,2又は3記載の光学機器の冷却装置。
- 前記光源冷却手段は、空気流を生じさせる吹き付けファンを有しており、その吹き付けファンと、これにより生じた空気流を第1の方向及び第2の方向に偏向させる偏向部材とを流路形成体内に配設していることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の光学機器の冷却装置。
- 前記駆動回路冷却手段は、空気流を生じさせる排気ファンを有しており、この排気ファンと、これを第1の方向及び第2の方向に偏向させる偏向部材とを流路形成体に配設していることを特徴とする請求項2,3,4又は5記載の光学機器の冷却装置。
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Cited By (2)
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JP2006091132A (ja) * | 2004-09-21 | 2006-04-06 | Casio Comput Co Ltd | プロジェクタ装置 |
JP2011085958A (ja) * | 2011-01-21 | 2011-04-28 | Casio Computer Co Ltd | プロジェクタ装置 |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003120139A patent/JP2004325779A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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