JP2004325551A - 光導波路の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化型ポリマーによって光導波路を簡単に、無駄なく、安価に製造し得るとともに、電気配線と共存可能な光導波路を効率よく形成可能な光導波路の製造方法およびこの方法で製造される光導波路と電気配線、電気接点とが共存する光・電気複合配線基板を得る。
【解決手段】基板11上に硬化型ポリマーからなる下クラッド1a、上クラッド1bとコア2とで光配線を形成した平面型の光導波路10の製造方法であって、前記クラッド1a、1bの材料は孔版印刷によって塗布した後硬化させ、コア2の材料はディスペンサにより塗布した後硬化させて製造する。クラッド1の形成をディスペンサで行っても良く、コア2の形成を孔版印刷によって行うこともできる。
【選択図】 図1
【解決手段】基板11上に硬化型ポリマーからなる下クラッド1a、上クラッド1bとコア2とで光配線を形成した平面型の光導波路10の製造方法であって、前記クラッド1a、1bの材料は孔版印刷によって塗布した後硬化させ、コア2の材料はディスペンサにより塗布した後硬化させて製造する。クラッド1の形成をディスペンサで行っても良く、コア2の形成を孔版印刷によって行うこともできる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野における光集積回路、光インターコネクション、分波器、合波器および光スイッチング素子等に用いられ、さらには電気基板上に電気配線と共存させて光・電気複合配線基板にも利用し得る光導波路の製造方法およびこれによって製造される光・電気複合配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント基板には専ら電気部品のみが搭載されてきた。しかるに、近年、LSIチップの高速化に対応して、電気配線では部品間の伝送距離や信号の伝送速度の限界等が無視出来なくなっている。このため、信号処理の高速化や電気ノイズの低減化の効果が期待出来ることを見込んで、電気配線の一部を光配線に置き換えることが望まれている。そして、その場合、電気配線と比べて、これに劣らないくらいの低コストの光配線技術が要求されている。
【0003】
このような要求に対処すべき光配線方法として、比較的容易なプロセスで作製でき、小型化、集積化が容易であることから、高分子材料による平面型光導波路(PLC)が好適である。これは、低屈折率のクラッドの内部に高屈折率のコアが埋め込まれた埋め込み型高分子平面型光導波路が主流となっている。その材料には、種々の透明樹脂が使用されている。
【0004】
例えば、ジュンヤ コバヤシ他(Junya Kobayashi et al.)による報告「Fluorinated Polyimide Waveguides with Low Polarization−Dependent Loss and Their Applications to Thermooptic Switches」(JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,VOL.16, NO.6, pp.1024−1029, JUNE.1998)では、フッ素化ポリイミド等の熱硬化型樹脂を使用して、以下のような工程によって作製している。
【0005】
(イ)基板上にスピンコート、ディップコート等で下側クラッド層を形成。
(ロ)下クラッド上にコア材料を、少なくともコアの高さ分の厚さの平坦な膜として形成。
(ハ)上記コア材料膜の上面にフォトレジストのポジパターンを形成。
【0006】
(ニ)反応性イオンエッチング等により不要部分を取り除き、コアを形成。
(ホ)必要に応じて、エッチングマスクとして利用したフォトレジストを剥離。
(ヘ)上側クラッドをスピンコート、ディップコート等で、下クラッドとコアを覆うように形成。
【0007】
この種の樹脂を使用した場合には、別の方法として、射出成形するする方法(特開2001−166169号公報参照)や、型抜きする方法(特開2002−31732号公報参照)等で作製することも可能である。
また、紫外線硬化型樹脂、例えばウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等を材料とする場合には、フォトレジストのエッチングマスクを形成する代わりに、コア材料を選択的に露光する方法でコアパターンを形成するようにしている。
【0008】
しかしながら、上記高分子材料による平面型光導波路(PLC)にあっては、一般に高分子材料を流動性のある状態でスピンコート、ディップコート等の方法により基板上に塗布し、熱や紫外光により硬化するものであり、この方法を光電気複合基板に採用する場合には、次のような不都合が生じる。
【0009】
▲1▼塗布に関する制限:電気配線と光配線を共存させる場合、各配線と部品類の実装の順番が重要な問題となる。すなわち、基板は、最初前面に銅箔がメッキしてあり、これをエッチングして電気配線を形成する。銅箔のエッチング液には一般に塩化第二鉄が用いられるが、これは腐食性があり、高分子導波路材料にダメージを与えることが懸念される。
【0010】
したがって、光配線は電気配線の形成後に形成することが好ましい。また、光配線は、極度の凹凸がある面には形成が困難であることから、電気部品実装前に形成することが好ましい。さらに、電気部品実装前の光配線上にはランドやスルーホール等の電気接点が露出している状態にしておく必要があるので、光配線はこれらを避けて形成しなくてはならない。しかし、スピンコートやディップコート等の方法では下クラッドが基板の全面に形成されてしまうため、これに対応することが出来ない。すなわち、高分子材料の位置選択的塗布を行うことが困難である。
【0011】
さらに、一般的にプリント配線基板は、収納性の点から丸型でない場合が多い。然るに、これに対してスピンコートは材料の広がる方向が決まっているため、基板の形状が丸型以外の形状であると、材料を全面に均一に塗布することが難しいという問題があった。
【0012】
▲2▼コスト的問題:スピンコートは遠心力で材料を基板上に拡げる簡便な方法であるが、材料の使用効率が悪いという不都合がある。そして、高分子材料による平面型光導波路(PLC)の材料に用いられるフッ素化ポリイミド等の樹脂は、一般にキログラム当たり数十万円〜百数十万円と高価であるため、コストの面から大きな問題がある。また、基板全体を浴中に浸す方式のディップコートの場合も、高価な材料が多量に必要となるという不都合がある。
【0013】
▲3▼設備上の問題:コアの形成にあたって、フォトレジストのポジパターンを形成し、反応性イオンエッチング等の方法により不要部分を取り除く等のプロセスは、半導体製造プロセス用に近い高価な装置類、例えば真空装置である反応性イオンエッチング装置や、フォトリソグラフィー用露光装置等が必要となる。このため、設備投資が嵩んで安価な製品として成り難い。また、真空機器の場合には、所定の必要真空度まで真空引きするのに要する時間が数十分から数時間にも及ぶこともあり、製造リードタイムが長くなるという問題があった。
【0014】
【非特許文献1】
ジュンヤ コバヤシ他(Junya Kobayashi et al. )「Fluorinated Polyimide Waveguides with Low Polarization−Dependent Loss and Their Applications to Thermooptic Switches」(JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,VOL.16, NO.6, pp.1024−1029, JUNE.1998)
【特許文献1】
特開2001−166169号公報
【特許文献2】
特開2002−31732号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、高分子材料からなる光導波路を簡単に、無駄なく、安価に製造し得るとともに、電気配線と共存可能な光導波路を効率よく形成可能な光導波路を製造する方法およびこれによって製造される光導波路と電気配線、電気接点と光配線が共存して配された光・電気複合配線基板を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1に係わる発明は、基板上に硬化型ポリマーからなるクラッドとコアとが設けられた平面型の光導波路の製造方法であって、前記クラッドの材料は孔版印刷によって塗布した後硬化させ、コアの材料はディスペンサおよび高精細ノズルにより塗布した後硬化させることを特徴とする光導波路の製造方法である。
【0017】
請求項2に係わる発明は、基板上に硬化型ポリマーからなるクラッドとコアとが設けられた平面型の光導波路の製造方法であって、前記クラッドの材料およびコアの材料をそれぞれ孔版印刷によって塗布した後硬化させることを特徴とする光導波路の製造方法である。
【0018】
請求項3に係わる発明は、基板上に硬化型ポリマーからなるクラッドとコアとが設けられた平面型の光導波路の製造方法であって、前記クラッドの材料およびコアの材料をそれぞれディスペンサおよび高精細ノズルによって塗布した後硬化させることを特徴とする光導波路の製造方法である。
【0019】
請求項4に係わる発明は、前記基板は電気配線、電気接点の少なくとも1つが配設された基板であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法である。
請求項5に係わる発明は、硬化型ポリマーが熱硬化型ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法である。
【0020】
請求項6に係わる発明は、硬化型ポリマーが紫外線硬化型ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法である。
【0021】
請求項7に係わる発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法によって製造したことを特徴とする光導波路である。
【0022】
請求項8に係わる発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法によって製造した光導波路からなる光配線と、電気配線、電気接点の少なくとも1つとが基板上に共存して配設されていることを特徴とする光・電気複合配線基板である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の光導波路の製造方法の一例について説明する。この光導波路の作製は、例えば図1に図示するように、シリコン、石英、ガラス繊維強化エポキシ樹脂などからなる基板11上に下クラッド1aを形成し、さらにその上にコア2を形成し、その上面を上クラッド1bで被覆して光導波路10としたものである。以下、これらの形成方法について説明する。
【0024】
<下クラッド1aの形成>
光導波路10の下クラッド1aおよび後述する上クラッド1bのクラッド1の形成方法として、硬化型ポリマーを用い、この硬化型ポリマーの未硬化液状物を孔版印刷方法で塗布し、硬化させる方法を採用する。この方法は、スクリーンクロスと乳剤を用い、あるいはステンレス鋼などの金属を材料として作製した刷版上に、ペースト状の被塗布物である硬化型ポリマーの未硬化液状物を塗り拡げ、スキージで掃引して必要量のみを基板11などの印刷対象物上に吐出する方法である。
【0025】
この方法は、一般に量産性に優れ、装置も安価である。特に刷版上で印刷されなかった被塗布物が、次の印刷に無駄なく流用することが出来るので、材料の使用効率が高い。その上、硬化型ポリマーの種類にもよるが、幅数十μm程度のライン・アンド・スペースからべた塗りパターンまで広く対応することが可能である。
【0026】
クラッド1となる印刷された硬化型ポリマーは、流動による期待しない形状変化を抑えるために速やかに硬化せしめる。例えば、熱硬化型のフッ素化ポリイミドを使用した場合、溶媒を揮発させ、かつ十分にイミド化が進行するように350〜400℃程度の温度まで段階的に昇温し、窒素ガス雰囲気下で加熱する。
また、紫外線硬化型のアクリル系樹脂を使用した場合は、高圧水銀灯などの光源により2000mJ/cm2程度の適切な波長の紫外線光を露光することによって硬化せしめる。
【0027】
以下に、孔版印刷法についてさらに詳述する。
刷版に用いるスクリーンクロスの材質としてナイロン、ポリエステル、ステンレス等から選び、これらをメッシュ状に張った上に乳剤で印刷パターンをネガで形成する。刷版はステンレス鋼などの金属材料のみにより作製する場合もある。なお、前記メッシュサイズや透過容積、または材質や張力は、被塗布物であるペーストの物性とを考慮して決定する。
【0028】
その一例として、例えば、2000cPsの粘度である硬化型ポリマーを幅50〜100μm程度のパターンで印刷する場合には、線径16μmで、360メッシュ/インチの刷版を用いる。また、上記したものと同種の硬化型ポリマーをベタ塗りで印刷するには、線径50μmで80メッシュの刷版を用いる。
【0029】
印刷条件としては、スキージ角度、速度、および刷版と基板などの印刷対象物のクリアランス等について、以下のように考慮する必要がある。
・スキージ角度:スキージ角度は、通常の細線パターンの印刷であれば65〜75度程度でほぼ固定条件であるが、厚塗りの場合や、段差および溝を埋める必要がある場合には10度程度まで寝かせる必要がある場合もある。
【0030】
・スキージの引圧と速度:スキージの引圧と速度の最適条件は、被塗布物である硬化型ポリマーの粘度や流動性と密接に関連する。すなわち、被塗布物の粘度が高い場合には、印圧を低くして、スキージ速度を遅めに調整することである。印刷機にもよるが、これらの値は絶対値制御するのでは無く、相対的に設定制御することが好ましい。
・刷版と印刷対象物のクリアランス:このクリアランスは、スクリーンメッシュマスクを使用する場合、1mm前後でほぼ固定条件で使用することが好ましい。
【0031】
<コア2の形成>
本発明の高分子材料の平面型の光導波路10におけるコア2の形成方法として、ディスペンサおよび高精細ノズルによるコアパターン描画方法を用いるものである。
この方法を、以下にその一例を例示して説明する。
【0032】
ディスペンサ装置としては、ノズルの先端の動きを精密に制御するロボットが重要となる。例えば武蔵エンジニアリング社製のショットマスタ−300(商品名)が好適に使用することが出来る。この装置はX−Y−Zの3軸を制御可能な卓上型ロボットであり、高精細な描画ができ、またプログラムにより曲線の描画制御も可能である。
【0033】
このロボットのヘッドの先端にディスペンサに接続したシリンジ(注射器)を配設する。ディスペンサは前記ロボットが描画と同時に制御する。
シリンジの先端に付ける高精細ノズルも、先端部において、光導波路10のコア2の径と同程度の外径のノズルであって、その肉厚は50μm程度であるノズルを使用する。
【0034】
一例として、粘度2000cPsの硬化型ポリマーを使用して、幅150μm程度のマルチモードコアを作製する場合の製造仕様条件は以下のようになる。
・使用ロボット:武蔵エンジニアリング社製のショットマスタ−300(商品名)。
・ノズル:先端部において、内径50μm、外径150μmのノズル。
【0035】
・ノズルと印刷対象物とのクリアランス:概ね内径の2倍程度、出来得ればそれ以下にすることが好ましく、100μm程度とされる。
・高分子材料の吐出圧力:0.5〜1kg/cm2程度。
・描画速度:500mm/秒以下、好ましくは100mm/秒程度。
【0036】
この方法は、コアを1本ずつ作製するため、線密度が高いとコア形成時間が長くなる傾向にあるが、それでも、特に真空プロセスを使用する従来の方法と比べると、トータルのコア形成に要する時間は極めて短くなる。
描画したコアとなる硬化型ポリマーが流動してコア幅や高さが変わってしまうような、期待しない形状変化を必要最小限に抑えるように速やかに硬化せしめる。
【0037】
例えば、硬化型ポリマーの高分子材料として、熱硬化型のフッ素化ポリイミドを使用した場合、溶媒を揮発させ、かつイミド化を進行させるよう350〜400℃程度まで段階的に昇温し、窒素ガス雰囲気下で加熱する。
また、紫外線硬化型のアクリル系材料を使用した場合は、高圧水銀灯などの光源により2000mJ/cm2程度の適切な波長の紫外線光を露光することによって硬化せしめる。
【0038】
さらに、フォトリソグラフィー、反応性イオンエッチング法に比べて圧倒的に工数が少なくなり、コストも低減することが出来る。また、フォトリソグラフィーと異なって少量多品種の製作にも好都合である。さらに、不要部分をエッチングで除去する方法に比べて廃棄処分量が低減され、高分子材料の使用効率も高く、コストパフォーマンスも良い。
【0039】
<上クラッド1bの形成>
さらに、コア2の上面を上クラッド1bで被覆する。この上クラッド1bは、前記の下クラッド1aと同様の孔版印刷法で下クラッド1aと同等の面積に印刷して形成する。刷版としては、下クラッド1aと同パターンもしくはひとまわり小さいパターンを用いるのが好ましい。なお、必要に応じて基板11を全面覆うようにして、上クラッド1bを形成しても良い。
【0040】
そして、上クラッド1bとなる硬化型ポリマーの流動による形状変化を必要最小限に抑えるように速やかに硬化せしめる。
この硬化条件は、先に説明した下クラッド1aおよびコア2の場合と同様とされる。
【0041】
以上は、本発明の光導波路の製造方法の一例を説明したもので、上下のクラッド1a、1bの形成を孔版印刷に代えて、コア2と同様なディスペンサによって形成することもできる。
また、コア2の形成にあたっても、ディスペンサに代えて、上記したクラッドの形成で使用した孔版印刷法を採用して形成することもでき、同様な作用効果を奏する。
【0042】
【実施例】
実施例として、電気配線と光配線としての光導波路10とが共存した光・電気複合配線基板20を製造した。これを、図2の電気配線と光配線とが共存する光・電気複合配線基板での光導波路のクラッド形成の説明図および図3の電気配線と光配線とが共存する光・電気複合配線基板での光導波路のコア形成の説明図を参照して説明する。なお、図2および図3中、図1と共通する構成部分には同一符号を付す。
【0043】
(1)下クラッドの形成
電気配線と光導波路10とが共存した光・電気複合配線基板20での光導波路10の製造にあたっては、前記光導波路10は、電気配線形成後、かつ電気部品実装前に作製することが好ましい。
この場合、図2に図示するように、電気部品実装前の基板21上には、電気プリント配線12、ランド13やスルーホール14等の電気接点15が露出しているので、光配線の光導波路10はこれらを避けて形成することが必要である。
【0044】
そこで、下クラッド1aの形成にあたって、本発明の孔版印刷の手法を採用して、硬化性ポリマーを、面発光型レーザ素子AとフォトダイオードBとを光結合する配線パターンに対応した部分22のみに印刷した。
この場合、印刷は、上記発明の実施の形態の項における<下クラッド1aの形成>で説明した印刷条件に従って行った。そして硬化性ポリマーの流動による形状変化を必要最小限に抑えるように速やかに硬化せしめた。
【0045】
この結果、スピンコートやディップコート等の方法で下クラッド1aを形成すると、基板21の全面に形成されてしまうのに対し、本発明の孔版印刷法では配線パターンに対応した部分22のみに印刷することができるので、前記電気プリント配線12、ランド13やスルーホール14等の電気接点15を避けて下クラッド1aを形成し得た。
しかも、印刷面積を必要最小限にすることが可能となって、コストの低減化を図ることが出来る効果を奏する。
【0046】
(2)コアの作製
次いで、図2に図示するように下クラッド1a上にコア2を形成するが、下クラッド1aが基板21の一部分となっており、基板21には、電気プリント配線12、ランド13やスルーホール14等の電気接点15が露出している。
【0047】
したがって、図3に図示するようにコア2を、これら露出している電気プリント配線12、ランド13やスルーホール14等の電気接点15を避けて、下クラッド1a上面のみに限定するようにして、面発光型レーザ素子AとフォトダイオードBとを光結合するように、コア2となる硬化性ポリマーを精密ディスペンサと高精細ノズルを用いて、コアパターン2aを直接描画することによって形成した。
【0048】
なお、上記ディスペンサによる描画は、上記発明の実施の形態の項における<コア2の形成>で説明したコア製造態様や条件に従って、武蔵エンジニアリング社製のショットマスタ−300(商品名)を使用して行った。
そして、硬化性ポリマーの流動による形状変化を必要最小限に抑えるように速やかに硬化せしめた。
【0049】
かくして、これにより、反応性イオンエッチングのようにコア形成対象物全面にエッチングや加熱を施すことなく、コアパターン形成し得るので、下クラッド1aを損傷することなく良好に形成され、しかも圧倒的に工数が少なく、処理加工が容易となり、コストも低減することができた。
【0050】
(3)上クラッド1bの形成
引き続き、上記工程で作製したコア2の上面を覆うようにして、上クラッド1bを孔版印刷によって形成して、光配線となる光導波路10が基板21に形成された。なお、この孔版印刷の印刷条件は、上記発明の実施の形態の項における<上クラッド1bの形成>および<下クラッド1aの形成>で説明した印刷条件に従って行った。
【0051】
このようにして得られた光・電気複合配線基板20は、電気配線と光配線としての光導波路10とが共存しているので、信号処理の高速化や電気ノイズの低減化を図り得る効果が見込まれる。
【0052】
以上の実施例の光・電気複合配線基板20での光配線としての光導波路10は、クラッド1の形成を孔版印刷法で、またコア2の形成をディスペンサで行う例について説明したが、本発明の光導波路10の形成は、これに限定されるものでなく、クラッドの形成をディスペンサによって形成せしめることができる。またコア2の形成も、ディスペンサに代えて孔版印刷法で形成せしめることが出来て、同様の作用効果が得られる。
【0053】
また、上記実施例の光・電気複合配線基板20で電気配線12と光配線の光導波路10を交差して形成する必要がある場合には、下クラッド1aが電気配線12を跨ぐように形成すればよい。この場合、下地の凹凸は下クラッド1aにより吸収されて、下クラッド1a上に形成するコア2のパターンの形成が容易となる。光導波路10は、1本の線であっても、途中で分岐/合流するようなパターンであってもよい。
【0054】
さらに、光配線の光導波路10と電気配線12は基板の同一面内に両方存在しても、異なる面にそれぞれが存在してもまた混在してもいずれでも良く、そして本発明の方法で同様に製造することが出来る。
さらにまた、電気基板に挟み込まれるような形で光配線の光導波路10を形成しても良く、本発明の方法で同様に製造することも出来る
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、▲1▼本発明の光導波路の製法は、硬化型ポリマーを使用し、孔版印刷やディスペンサおよび高精細ノズルで形成するようにしたので、従来より安価に平面型の光導波路が形成されるばかりでなく、限られた領域に特定の光導波路パターンを精密に形成でき、精細な光導波路を形成することが出来る。
それため、電気配線、ランドやスルーホール等の電気接点等が存在している電気パターンと光配線の光導波路とが共存した光・電気複合配線基板を、極めて容易にしかも安価に製造することが出来る。
【0056】
▲2▼また、上記光・電気複合配線基板で電気配線と光配線の光導波路の同一基板上に共存せしめるにあたっては、電気配線と交差して光導波路を形成することもでき、この場合下クラッドが下地の凹凸や、配線の突出を吸収して平滑な面を形成することとなり、該平滑な面上にコアを精度良く、容易に形成することが出来る。
【0057】
▲3▼さらに、光導波路の形成は孔版印刷法によるので、用いる硬化型ポリマーの種類や物性が変わっても、刷版の調整と印刷条件のコントロールにより、膜厚や形状を適宜最適にすることが出来て、用いる適用範囲が広く、利用効率が高い。
▲4▼導波路材料として、硬化型ポリマーを用いているため、低温プロセスで光配線の光導波路の形成が可能である。よって、基板や既存の電気配線や電気接点を損傷せしめることなく、光導波路を形成せしめたり、共存させて製造することが出来る。
【0058】
▲5▼孔版印刷やディスペンサによって、光導波路を形成するので、限られた領域に特定した光導波路パターンを形成し得て、使用する高価な高分子材料の量が必要最小限で済むこととなり、無駄が低減し経済的である。
▲6▼さらにまた、孔版印刷法の採用により、光導波路の印刷面積を、必要不可欠な領域の基体の一部のみに限定することが出来るので、刷版の開口部分が減るため、刷版の裏面に塗布する高分子材料が回り込んでしまうことも低減される。これにより材料の無駄が低減されるばかりでなく、工数の低減化と歩留まりの向上を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波路の製造方法を説明する概略図。
【図2】本発明の光導波路の実施例で電気配線と光配線とが共存する光・電気複合配線基板での光導波路のクラッド形成の説明図。
【図3】本発明の光導波路の実施例で電気配線と光配線とが共存する光・電気複合配線基板での光導波路のコア形成の説明図。
【符号の説明】
10…光導波路、 20…光・電気複合配線基板、 1…クラッド、 1a…下クラッド、 1b…上クラッド、 2…コア、 11…基板、 12…電気配線、 21…基板、
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野における光集積回路、光インターコネクション、分波器、合波器および光スイッチング素子等に用いられ、さらには電気基板上に電気配線と共存させて光・電気複合配線基板にも利用し得る光導波路の製造方法およびこれによって製造される光・電気複合配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント基板には専ら電気部品のみが搭載されてきた。しかるに、近年、LSIチップの高速化に対応して、電気配線では部品間の伝送距離や信号の伝送速度の限界等が無視出来なくなっている。このため、信号処理の高速化や電気ノイズの低減化の効果が期待出来ることを見込んで、電気配線の一部を光配線に置き換えることが望まれている。そして、その場合、電気配線と比べて、これに劣らないくらいの低コストの光配線技術が要求されている。
【0003】
このような要求に対処すべき光配線方法として、比較的容易なプロセスで作製でき、小型化、集積化が容易であることから、高分子材料による平面型光導波路(PLC)が好適である。これは、低屈折率のクラッドの内部に高屈折率のコアが埋め込まれた埋め込み型高分子平面型光導波路が主流となっている。その材料には、種々の透明樹脂が使用されている。
【0004】
例えば、ジュンヤ コバヤシ他(Junya Kobayashi et al.)による報告「Fluorinated Polyimide Waveguides with Low Polarization−Dependent Loss and Their Applications to Thermooptic Switches」(JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,VOL.16, NO.6, pp.1024−1029, JUNE.1998)では、フッ素化ポリイミド等の熱硬化型樹脂を使用して、以下のような工程によって作製している。
【0005】
(イ)基板上にスピンコート、ディップコート等で下側クラッド層を形成。
(ロ)下クラッド上にコア材料を、少なくともコアの高さ分の厚さの平坦な膜として形成。
(ハ)上記コア材料膜の上面にフォトレジストのポジパターンを形成。
【0006】
(ニ)反応性イオンエッチング等により不要部分を取り除き、コアを形成。
(ホ)必要に応じて、エッチングマスクとして利用したフォトレジストを剥離。
(ヘ)上側クラッドをスピンコート、ディップコート等で、下クラッドとコアを覆うように形成。
【0007】
この種の樹脂を使用した場合には、別の方法として、射出成形するする方法(特開2001−166169号公報参照)や、型抜きする方法(特開2002−31732号公報参照)等で作製することも可能である。
また、紫外線硬化型樹脂、例えばウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等を材料とする場合には、フォトレジストのエッチングマスクを形成する代わりに、コア材料を選択的に露光する方法でコアパターンを形成するようにしている。
【0008】
しかしながら、上記高分子材料による平面型光導波路(PLC)にあっては、一般に高分子材料を流動性のある状態でスピンコート、ディップコート等の方法により基板上に塗布し、熱や紫外光により硬化するものであり、この方法を光電気複合基板に採用する場合には、次のような不都合が生じる。
【0009】
▲1▼塗布に関する制限:電気配線と光配線を共存させる場合、各配線と部品類の実装の順番が重要な問題となる。すなわち、基板は、最初前面に銅箔がメッキしてあり、これをエッチングして電気配線を形成する。銅箔のエッチング液には一般に塩化第二鉄が用いられるが、これは腐食性があり、高分子導波路材料にダメージを与えることが懸念される。
【0010】
したがって、光配線は電気配線の形成後に形成することが好ましい。また、光配線は、極度の凹凸がある面には形成が困難であることから、電気部品実装前に形成することが好ましい。さらに、電気部品実装前の光配線上にはランドやスルーホール等の電気接点が露出している状態にしておく必要があるので、光配線はこれらを避けて形成しなくてはならない。しかし、スピンコートやディップコート等の方法では下クラッドが基板の全面に形成されてしまうため、これに対応することが出来ない。すなわち、高分子材料の位置選択的塗布を行うことが困難である。
【0011】
さらに、一般的にプリント配線基板は、収納性の点から丸型でない場合が多い。然るに、これに対してスピンコートは材料の広がる方向が決まっているため、基板の形状が丸型以外の形状であると、材料を全面に均一に塗布することが難しいという問題があった。
【0012】
▲2▼コスト的問題:スピンコートは遠心力で材料を基板上に拡げる簡便な方法であるが、材料の使用効率が悪いという不都合がある。そして、高分子材料による平面型光導波路(PLC)の材料に用いられるフッ素化ポリイミド等の樹脂は、一般にキログラム当たり数十万円〜百数十万円と高価であるため、コストの面から大きな問題がある。また、基板全体を浴中に浸す方式のディップコートの場合も、高価な材料が多量に必要となるという不都合がある。
【0013】
▲3▼設備上の問題:コアの形成にあたって、フォトレジストのポジパターンを形成し、反応性イオンエッチング等の方法により不要部分を取り除く等のプロセスは、半導体製造プロセス用に近い高価な装置類、例えば真空装置である反応性イオンエッチング装置や、フォトリソグラフィー用露光装置等が必要となる。このため、設備投資が嵩んで安価な製品として成り難い。また、真空機器の場合には、所定の必要真空度まで真空引きするのに要する時間が数十分から数時間にも及ぶこともあり、製造リードタイムが長くなるという問題があった。
【0014】
【非特許文献1】
ジュンヤ コバヤシ他(Junya Kobayashi et al. )「Fluorinated Polyimide Waveguides with Low Polarization−Dependent Loss and Their Applications to Thermooptic Switches」(JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,VOL.16, NO.6, pp.1024−1029, JUNE.1998)
【特許文献1】
特開2001−166169号公報
【特許文献2】
特開2002−31732号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、高分子材料からなる光導波路を簡単に、無駄なく、安価に製造し得るとともに、電気配線と共存可能な光導波路を効率よく形成可能な光導波路を製造する方法およびこれによって製造される光導波路と電気配線、電気接点と光配線が共存して配された光・電気複合配線基板を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1に係わる発明は、基板上に硬化型ポリマーからなるクラッドとコアとが設けられた平面型の光導波路の製造方法であって、前記クラッドの材料は孔版印刷によって塗布した後硬化させ、コアの材料はディスペンサおよび高精細ノズルにより塗布した後硬化させることを特徴とする光導波路の製造方法である。
【0017】
請求項2に係わる発明は、基板上に硬化型ポリマーからなるクラッドとコアとが設けられた平面型の光導波路の製造方法であって、前記クラッドの材料およびコアの材料をそれぞれ孔版印刷によって塗布した後硬化させることを特徴とする光導波路の製造方法である。
【0018】
請求項3に係わる発明は、基板上に硬化型ポリマーからなるクラッドとコアとが設けられた平面型の光導波路の製造方法であって、前記クラッドの材料およびコアの材料をそれぞれディスペンサおよび高精細ノズルによって塗布した後硬化させることを特徴とする光導波路の製造方法である。
【0019】
請求項4に係わる発明は、前記基板は電気配線、電気接点の少なくとも1つが配設された基板であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法である。
請求項5に係わる発明は、硬化型ポリマーが熱硬化型ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法である。
【0020】
請求項6に係わる発明は、硬化型ポリマーが紫外線硬化型ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法である。
【0021】
請求項7に係わる発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法によって製造したことを特徴とする光導波路である。
【0022】
請求項8に係わる発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法によって製造した光導波路からなる光配線と、電気配線、電気接点の少なくとも1つとが基板上に共存して配設されていることを特徴とする光・電気複合配線基板である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の光導波路の製造方法の一例について説明する。この光導波路の作製は、例えば図1に図示するように、シリコン、石英、ガラス繊維強化エポキシ樹脂などからなる基板11上に下クラッド1aを形成し、さらにその上にコア2を形成し、その上面を上クラッド1bで被覆して光導波路10としたものである。以下、これらの形成方法について説明する。
【0024】
<下クラッド1aの形成>
光導波路10の下クラッド1aおよび後述する上クラッド1bのクラッド1の形成方法として、硬化型ポリマーを用い、この硬化型ポリマーの未硬化液状物を孔版印刷方法で塗布し、硬化させる方法を採用する。この方法は、スクリーンクロスと乳剤を用い、あるいはステンレス鋼などの金属を材料として作製した刷版上に、ペースト状の被塗布物である硬化型ポリマーの未硬化液状物を塗り拡げ、スキージで掃引して必要量のみを基板11などの印刷対象物上に吐出する方法である。
【0025】
この方法は、一般に量産性に優れ、装置も安価である。特に刷版上で印刷されなかった被塗布物が、次の印刷に無駄なく流用することが出来るので、材料の使用効率が高い。その上、硬化型ポリマーの種類にもよるが、幅数十μm程度のライン・アンド・スペースからべた塗りパターンまで広く対応することが可能である。
【0026】
クラッド1となる印刷された硬化型ポリマーは、流動による期待しない形状変化を抑えるために速やかに硬化せしめる。例えば、熱硬化型のフッ素化ポリイミドを使用した場合、溶媒を揮発させ、かつ十分にイミド化が進行するように350〜400℃程度の温度まで段階的に昇温し、窒素ガス雰囲気下で加熱する。
また、紫外線硬化型のアクリル系樹脂を使用した場合は、高圧水銀灯などの光源により2000mJ/cm2程度の適切な波長の紫外線光を露光することによって硬化せしめる。
【0027】
以下に、孔版印刷法についてさらに詳述する。
刷版に用いるスクリーンクロスの材質としてナイロン、ポリエステル、ステンレス等から選び、これらをメッシュ状に張った上に乳剤で印刷パターンをネガで形成する。刷版はステンレス鋼などの金属材料のみにより作製する場合もある。なお、前記メッシュサイズや透過容積、または材質や張力は、被塗布物であるペーストの物性とを考慮して決定する。
【0028】
その一例として、例えば、2000cPsの粘度である硬化型ポリマーを幅50〜100μm程度のパターンで印刷する場合には、線径16μmで、360メッシュ/インチの刷版を用いる。また、上記したものと同種の硬化型ポリマーをベタ塗りで印刷するには、線径50μmで80メッシュの刷版を用いる。
【0029】
印刷条件としては、スキージ角度、速度、および刷版と基板などの印刷対象物のクリアランス等について、以下のように考慮する必要がある。
・スキージ角度:スキージ角度は、通常の細線パターンの印刷であれば65〜75度程度でほぼ固定条件であるが、厚塗りの場合や、段差および溝を埋める必要がある場合には10度程度まで寝かせる必要がある場合もある。
【0030】
・スキージの引圧と速度:スキージの引圧と速度の最適条件は、被塗布物である硬化型ポリマーの粘度や流動性と密接に関連する。すなわち、被塗布物の粘度が高い場合には、印圧を低くして、スキージ速度を遅めに調整することである。印刷機にもよるが、これらの値は絶対値制御するのでは無く、相対的に設定制御することが好ましい。
・刷版と印刷対象物のクリアランス:このクリアランスは、スクリーンメッシュマスクを使用する場合、1mm前後でほぼ固定条件で使用することが好ましい。
【0031】
<コア2の形成>
本発明の高分子材料の平面型の光導波路10におけるコア2の形成方法として、ディスペンサおよび高精細ノズルによるコアパターン描画方法を用いるものである。
この方法を、以下にその一例を例示して説明する。
【0032】
ディスペンサ装置としては、ノズルの先端の動きを精密に制御するロボットが重要となる。例えば武蔵エンジニアリング社製のショットマスタ−300(商品名)が好適に使用することが出来る。この装置はX−Y−Zの3軸を制御可能な卓上型ロボットであり、高精細な描画ができ、またプログラムにより曲線の描画制御も可能である。
【0033】
このロボットのヘッドの先端にディスペンサに接続したシリンジ(注射器)を配設する。ディスペンサは前記ロボットが描画と同時に制御する。
シリンジの先端に付ける高精細ノズルも、先端部において、光導波路10のコア2の径と同程度の外径のノズルであって、その肉厚は50μm程度であるノズルを使用する。
【0034】
一例として、粘度2000cPsの硬化型ポリマーを使用して、幅150μm程度のマルチモードコアを作製する場合の製造仕様条件は以下のようになる。
・使用ロボット:武蔵エンジニアリング社製のショットマスタ−300(商品名)。
・ノズル:先端部において、内径50μm、外径150μmのノズル。
【0035】
・ノズルと印刷対象物とのクリアランス:概ね内径の2倍程度、出来得ればそれ以下にすることが好ましく、100μm程度とされる。
・高分子材料の吐出圧力:0.5〜1kg/cm2程度。
・描画速度:500mm/秒以下、好ましくは100mm/秒程度。
【0036】
この方法は、コアを1本ずつ作製するため、線密度が高いとコア形成時間が長くなる傾向にあるが、それでも、特に真空プロセスを使用する従来の方法と比べると、トータルのコア形成に要する時間は極めて短くなる。
描画したコアとなる硬化型ポリマーが流動してコア幅や高さが変わってしまうような、期待しない形状変化を必要最小限に抑えるように速やかに硬化せしめる。
【0037】
例えば、硬化型ポリマーの高分子材料として、熱硬化型のフッ素化ポリイミドを使用した場合、溶媒を揮発させ、かつイミド化を進行させるよう350〜400℃程度まで段階的に昇温し、窒素ガス雰囲気下で加熱する。
また、紫外線硬化型のアクリル系材料を使用した場合は、高圧水銀灯などの光源により2000mJ/cm2程度の適切な波長の紫外線光を露光することによって硬化せしめる。
【0038】
さらに、フォトリソグラフィー、反応性イオンエッチング法に比べて圧倒的に工数が少なくなり、コストも低減することが出来る。また、フォトリソグラフィーと異なって少量多品種の製作にも好都合である。さらに、不要部分をエッチングで除去する方法に比べて廃棄処分量が低減され、高分子材料の使用効率も高く、コストパフォーマンスも良い。
【0039】
<上クラッド1bの形成>
さらに、コア2の上面を上クラッド1bで被覆する。この上クラッド1bは、前記の下クラッド1aと同様の孔版印刷法で下クラッド1aと同等の面積に印刷して形成する。刷版としては、下クラッド1aと同パターンもしくはひとまわり小さいパターンを用いるのが好ましい。なお、必要に応じて基板11を全面覆うようにして、上クラッド1bを形成しても良い。
【0040】
そして、上クラッド1bとなる硬化型ポリマーの流動による形状変化を必要最小限に抑えるように速やかに硬化せしめる。
この硬化条件は、先に説明した下クラッド1aおよびコア2の場合と同様とされる。
【0041】
以上は、本発明の光導波路の製造方法の一例を説明したもので、上下のクラッド1a、1bの形成を孔版印刷に代えて、コア2と同様なディスペンサによって形成することもできる。
また、コア2の形成にあたっても、ディスペンサに代えて、上記したクラッドの形成で使用した孔版印刷法を採用して形成することもでき、同様な作用効果を奏する。
【0042】
【実施例】
実施例として、電気配線と光配線としての光導波路10とが共存した光・電気複合配線基板20を製造した。これを、図2の電気配線と光配線とが共存する光・電気複合配線基板での光導波路のクラッド形成の説明図および図3の電気配線と光配線とが共存する光・電気複合配線基板での光導波路のコア形成の説明図を参照して説明する。なお、図2および図3中、図1と共通する構成部分には同一符号を付す。
【0043】
(1)下クラッドの形成
電気配線と光導波路10とが共存した光・電気複合配線基板20での光導波路10の製造にあたっては、前記光導波路10は、電気配線形成後、かつ電気部品実装前に作製することが好ましい。
この場合、図2に図示するように、電気部品実装前の基板21上には、電気プリント配線12、ランド13やスルーホール14等の電気接点15が露出しているので、光配線の光導波路10はこれらを避けて形成することが必要である。
【0044】
そこで、下クラッド1aの形成にあたって、本発明の孔版印刷の手法を採用して、硬化性ポリマーを、面発光型レーザ素子AとフォトダイオードBとを光結合する配線パターンに対応した部分22のみに印刷した。
この場合、印刷は、上記発明の実施の形態の項における<下クラッド1aの形成>で説明した印刷条件に従って行った。そして硬化性ポリマーの流動による形状変化を必要最小限に抑えるように速やかに硬化せしめた。
【0045】
この結果、スピンコートやディップコート等の方法で下クラッド1aを形成すると、基板21の全面に形成されてしまうのに対し、本発明の孔版印刷法では配線パターンに対応した部分22のみに印刷することができるので、前記電気プリント配線12、ランド13やスルーホール14等の電気接点15を避けて下クラッド1aを形成し得た。
しかも、印刷面積を必要最小限にすることが可能となって、コストの低減化を図ることが出来る効果を奏する。
【0046】
(2)コアの作製
次いで、図2に図示するように下クラッド1a上にコア2を形成するが、下クラッド1aが基板21の一部分となっており、基板21には、電気プリント配線12、ランド13やスルーホール14等の電気接点15が露出している。
【0047】
したがって、図3に図示するようにコア2を、これら露出している電気プリント配線12、ランド13やスルーホール14等の電気接点15を避けて、下クラッド1a上面のみに限定するようにして、面発光型レーザ素子AとフォトダイオードBとを光結合するように、コア2となる硬化性ポリマーを精密ディスペンサと高精細ノズルを用いて、コアパターン2aを直接描画することによって形成した。
【0048】
なお、上記ディスペンサによる描画は、上記発明の実施の形態の項における<コア2の形成>で説明したコア製造態様や条件に従って、武蔵エンジニアリング社製のショットマスタ−300(商品名)を使用して行った。
そして、硬化性ポリマーの流動による形状変化を必要最小限に抑えるように速やかに硬化せしめた。
【0049】
かくして、これにより、反応性イオンエッチングのようにコア形成対象物全面にエッチングや加熱を施すことなく、コアパターン形成し得るので、下クラッド1aを損傷することなく良好に形成され、しかも圧倒的に工数が少なく、処理加工が容易となり、コストも低減することができた。
【0050】
(3)上クラッド1bの形成
引き続き、上記工程で作製したコア2の上面を覆うようにして、上クラッド1bを孔版印刷によって形成して、光配線となる光導波路10が基板21に形成された。なお、この孔版印刷の印刷条件は、上記発明の実施の形態の項における<上クラッド1bの形成>および<下クラッド1aの形成>で説明した印刷条件に従って行った。
【0051】
このようにして得られた光・電気複合配線基板20は、電気配線と光配線としての光導波路10とが共存しているので、信号処理の高速化や電気ノイズの低減化を図り得る効果が見込まれる。
【0052】
以上の実施例の光・電気複合配線基板20での光配線としての光導波路10は、クラッド1の形成を孔版印刷法で、またコア2の形成をディスペンサで行う例について説明したが、本発明の光導波路10の形成は、これに限定されるものでなく、クラッドの形成をディスペンサによって形成せしめることができる。またコア2の形成も、ディスペンサに代えて孔版印刷法で形成せしめることが出来て、同様の作用効果が得られる。
【0053】
また、上記実施例の光・電気複合配線基板20で電気配線12と光配線の光導波路10を交差して形成する必要がある場合には、下クラッド1aが電気配線12を跨ぐように形成すればよい。この場合、下地の凹凸は下クラッド1aにより吸収されて、下クラッド1a上に形成するコア2のパターンの形成が容易となる。光導波路10は、1本の線であっても、途中で分岐/合流するようなパターンであってもよい。
【0054】
さらに、光配線の光導波路10と電気配線12は基板の同一面内に両方存在しても、異なる面にそれぞれが存在してもまた混在してもいずれでも良く、そして本発明の方法で同様に製造することが出来る。
さらにまた、電気基板に挟み込まれるような形で光配線の光導波路10を形成しても良く、本発明の方法で同様に製造することも出来る
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、▲1▼本発明の光導波路の製法は、硬化型ポリマーを使用し、孔版印刷やディスペンサおよび高精細ノズルで形成するようにしたので、従来より安価に平面型の光導波路が形成されるばかりでなく、限られた領域に特定の光導波路パターンを精密に形成でき、精細な光導波路を形成することが出来る。
それため、電気配線、ランドやスルーホール等の電気接点等が存在している電気パターンと光配線の光導波路とが共存した光・電気複合配線基板を、極めて容易にしかも安価に製造することが出来る。
【0056】
▲2▼また、上記光・電気複合配線基板で電気配線と光配線の光導波路の同一基板上に共存せしめるにあたっては、電気配線と交差して光導波路を形成することもでき、この場合下クラッドが下地の凹凸や、配線の突出を吸収して平滑な面を形成することとなり、該平滑な面上にコアを精度良く、容易に形成することが出来る。
【0057】
▲3▼さらに、光導波路の形成は孔版印刷法によるので、用いる硬化型ポリマーの種類や物性が変わっても、刷版の調整と印刷条件のコントロールにより、膜厚や形状を適宜最適にすることが出来て、用いる適用範囲が広く、利用効率が高い。
▲4▼導波路材料として、硬化型ポリマーを用いているため、低温プロセスで光配線の光導波路の形成が可能である。よって、基板や既存の電気配線や電気接点を損傷せしめることなく、光導波路を形成せしめたり、共存させて製造することが出来る。
【0058】
▲5▼孔版印刷やディスペンサによって、光導波路を形成するので、限られた領域に特定した光導波路パターンを形成し得て、使用する高価な高分子材料の量が必要最小限で済むこととなり、無駄が低減し経済的である。
▲6▼さらにまた、孔版印刷法の採用により、光導波路の印刷面積を、必要不可欠な領域の基体の一部のみに限定することが出来るので、刷版の開口部分が減るため、刷版の裏面に塗布する高分子材料が回り込んでしまうことも低減される。これにより材料の無駄が低減されるばかりでなく、工数の低減化と歩留まりの向上を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波路の製造方法を説明する概略図。
【図2】本発明の光導波路の実施例で電気配線と光配線とが共存する光・電気複合配線基板での光導波路のクラッド形成の説明図。
【図3】本発明の光導波路の実施例で電気配線と光配線とが共存する光・電気複合配線基板での光導波路のコア形成の説明図。
【符号の説明】
10…光導波路、 20…光・電気複合配線基板、 1…クラッド、 1a…下クラッド、 1b…上クラッド、 2…コア、 11…基板、 12…電気配線、 21…基板、
Claims (8)
- 基板上に硬化型ポリマーからなるクラッドとコアとが設けられた平面型の光導波路の製造方法であって、前記クラッドの材料は孔版印刷によって塗布した後硬化させ、コアの材料はディスペンサおよび高精細ノズルにより塗布した後硬化させることを特徴とする光導波路の製造方法。
- 基板上に硬化型ポリマーからなるクラッドとコアとが設けられた平面型の光導波路の製造方法であって、前記クラッドの材料およびコアの材料をそれぞれ孔版印刷によって塗布した後硬化させることを特徴とする光導波路の製造方法。
- 基板上に硬化型ポリマーからなるクラッドとコアとが設けられた平面型の光導波路の製造方法であって、前記クラッドの材料およびコアの材料をそれぞれディスペンサおよび高精細ノズルによって塗布した後硬化させることを特徴とする光導波路の製造方法。
- 前記基板は電気配線、電気接点の少なくとも1つが配設された基板であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
- 硬化型ポリマーが熱硬化型ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
- 硬化型ポリマーが紫外線硬化型ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法によって製造したことを特徴とする光導波路。
- 請求項1ないし6のいずれか1項の記載の光導波路の製造方法によって製造した光導波路からなる光配線と、電気配線、電気接点の少なくとも1つとが基板上に共存して配設されていることを特徴とする光・電気複合配線基板。
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Cited By (2)
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JP2008170777A (ja) * | 2007-01-12 | 2008-07-24 | Fujikura Ltd | 光送受信装置 |
JP2008233202A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-02 | Fujikura Ltd | 光送受信モジュールとその製造方法 |
-
2003
- 2003-04-22 JP JP2003116810A patent/JP2004325551A/ja not_active Withdrawn
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