JP2004324022A - 防音カーペット - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量であり、しかも優れた遮音、吸音性を有する防音カーペットを提供すること。
【解決手段】カーペット表面材12の裏面に、高双極子能率を有する有機低分子材料を含み、かつ硬さが0.19〜0.4N/cm2である連続気泡構造を有する発泡樹脂吸音遮音層13を配置したことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】カーペット表面材12の裏面に、高双極子能率を有する有機低分子材料を含み、かつ硬さが0.19〜0.4N/cm2である連続気泡構造を有する発泡樹脂吸音遮音層13を配置したことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば車両用や住宅用として好適な防音カーペットに関する。詳細には、軽量であり、しかも優れた遮音、吸音性を有する防音カーペットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用や住宅用として使用されている防音カーペットとしては、カーペット表面材裏面にアスファルトを含むバッキング層を設けて、バッキング層の大重量による遮音作用によって防音効果が発揮されるようにしたものがあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−34679号公報
また、図7に示すように、カーペット表面材2裏面に発泡ウレタンからなるバッキング層4を設け、前記カーペット表面材2とバッキング層4との間にフィラー5を充填した大重量の遮音層3を配置した防音カーペット1も市販されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これら従来の防音カーペットにあっては、いずれも遮音層やバッキング層の大重量による遮音作用によって防音効果が発揮されるようになっていたため、重く、取り扱い性が悪いという技術的課題があった。
【0005】
本発明は、上記技術的課題に鑑みなされたものであり、軽量であり、しかも優れた遮音、吸音性を有する防音カーペットを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、カーペット表面材の裏面に、高双極子能率を有する有機低分子材料を含み、かつ硬さが0.19〜0.4N/cm2以上である連続気泡構造を有する発泡樹脂吸音遮音層を配置したことを特徴とする防音カーペットをその要旨とした。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の防音カーペットを更に詳しく説明する。図1に示すように、本発明の防音カーペット11は、カーペット表面材12の裏面に発泡樹脂吸音遮音層13を配置したものである。
【0008】
カーペット表面材12としては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロンなどの合成繊維を用いた不織布、フェルト、紙、織物および編物の1種若しくは2種以上を複合した繊維基材、あるいは前記繊維基材にパイル糸を打ち込んだものなど、従来公知のものを用いることができる。
【0009】
発泡樹脂吸音遮音層13(以下、単に吸音遮音層という)は、本発明の最大の特徴とするものであり、該防音カーペット11に優れた吸音性と遮音性とをもたらす層として機能するものである。この吸音遮音層13は、高双極子能率を有する有機低分子材料を含むベース樹脂を発泡成形することにより得ることができる。
【0010】
ベース樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどのビニル系化合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのエチレンビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、フッ素樹脂、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、および熱可塑性ポリイミド、生分解樹脂の群から選ばれる1種若しくは2種以上の混合物、あるいは不飽和ポリエステル、エポキシ、フェノール、メラミン、ウレタン、およびケイ素樹脂のいずれか、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0011】
上記ベース樹脂の発泡成形は、従来公知の気泡発生手段、すなわち熱分解型発泡剤を用いた気泡発生手段、揮発性溶剤を用いた気泡発生手段、あるいは高圧下で不活性ガスを高分子中に吸収させ、常圧で発泡させる気泡発生手段等を用いて行うことができ、これらの方法を用いて連続気泡構造を持つ発泡樹脂層として形成される。
【0012】
得られる連続気泡構造を有する吸音遮音層13は、厚み方向に連通する無数の孔を有していて通気性がある。騒音は、このような構造を持つ吸音遮音層13の無数の孔内を衝突を繰り返しながら通過する過程で摩擦熱としてエネルギーの消費がなされ、ここに優れた吸音性が発揮されるようになっている。
【0013】
また、上記ベース樹脂中に含まれる高双極子能率を有する有機低分子材料は、吸音遮音層13が本来的に持つ吸音性を飛躍的に向上させる機能を持つものである。
【0014】
すなわち音のエネルギーが加わる前、図2に示すようにベース樹脂21内部における双極子22の配置状態は安定な状態にある。ところが、図3に示すように、ベース樹脂21に音のエネルギーが加わることで、ベース樹脂21内部の存在する双極子22に変位が生じ、この結果、ベース樹脂21内部における各双極子22は不安定な状態に置かれることになり、各双極子22は、図2に示す安定な状態に戻ろうとする。このとき、エネルギーの消費が生じるのである。
【0015】
こうしたベース樹脂内部における双極子の変位、双極子の復元作用によるエネルギー消費を通じても吸音性が生じており、該吸音遮音層13における吸音性能は、上記摩擦によるエネルギー消費と、双極子の変位、双極子の復元作用によるエネルギー消費とを合わせた性能であると考えられる。
【0016】
また、双極子の変位、双極子の復元作用によるエネルギー消費のメカニズムから、ベース樹脂21内部における双極子モーメントの量が、各性能に大きく関与していることが解る。本発明者らの実験によれば、ベース樹脂21内部における双極子モーメント量は、その量が大きければ大きい程、そのベース樹脂21のエネルギーの減衰性(吸音性)は高くなることが解った。
【0017】
高双極子能率を有する有機低分子材料は、ベース樹脂における双極子モーメントの量を飛躍的に増加させる機能を有しており、これをベース樹脂中に含ませることで、図4に示すように、ベース樹脂21における双極子モーメントの量は同じ条件の下で3倍とか、10倍とかいった量に増加することになる。これに伴って、前述の双極子の変位、双極子の復元作用によるエネルギー消費量も飛躍的に増大し、予測を遥かに超えたエネルギーの減衰性(吸音性)が生じることになり、この結果、該吸音遮音層13の音の透過量も激減し、ここに重量側に則らない遮音性が発揮されるようになる。
【0018】
このような作用効果を奏する高双極子能率を有する有機低分子材料としては、例えばN、N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスルフィド(MBTS)、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N、N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)などのベンゾチアジル基を持つ化合物、
ベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合した2−{2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″テトラハイドロフタリミデメチル)−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−{2′−ハイドロキシ−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−{2′−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−{2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)などのベンゾトリアゾール基を持つ化合物、
エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレートなどのジフェニルアクリレート基を持つ化合物、
あるいは2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(HMBP)、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド(HMBPS)などのベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上の混合物を挙げることができる。
【0019】
上述の有機低分子材料のもたらす効果は、ベース樹脂およびこれに配合される有機低分子材料の種類により、該カーペットに加わるエネルギーの大小により、さらに用途や使用状態により、変動を生じるものの、ベース樹脂100重量部に対し、有機低分子材料の含有量を1〜10重量部の割合とすることで、一定の効果が得ることができる。
【0020】
尚、有機低分子材料の含有量が、上記範囲外の場合、上記の効果が得られないだけではなく、該成形物の機械的強度が低下したりするなどの弊害を生じる恐れがある。
【0021】
尚、吸音遮音層には、上記有機低分子材料のほかに、その用途や使用状態に応じて、例えば酸化防止剤、補強剤・強化剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、着色剤などの添加剤を適宜混合することもできる。
【0022】
また、吸音遮音層13は、その硬さが0.19〜0.4N/cm2以上である。吸音遮音層13の硬さが0.19N/cm2を下回る場合、該防音カーペットの使用時に加わる押圧力によってへたりが生じやすくなり、硬さが0.4/cm2を上回る場合には、十分なクッション性が得られなくなる。
【0023】
また図1に示すように、本発明の防音カーペット11は、吸音遮音層13の裏面側にさらにバッキング層14を配置することもできる。バッキング層14としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ウレタンなどからなる樹脂層、これらを発泡成形した発泡樹脂層、あるいは不織布、フェルト、織物および編物の1種若しくは2種以上を複合した繊維基材からなるものを挙げることができる。
【0024】
尚、本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、「特許請求の範囲」に記載された範囲で自由に変更して実施することができる。
【0025】
【実施例】
実施例
ポリエチレン70重量部とエチレン−酢酸ビニル共重合体30重量部とをベース樹脂とし、これにDCHBSA(サンセラーDZ、三新化学工業株式会社製)3重量部とを配合し、この配合物を約160℃の成形温度で発泡成形して連続気孔構造を有する吸音遮音材を得た。得られた吸音遮音材の硬さは0.3N/cm2であった。
【0026】
得られた吸音遮音材をポリプロピレン繊維を用いた目付550g/m2のフェルトからなるカーペット表面材の裏面に接着し、さらに前記吸音遮音材に使用済みウレタンフォームの破砕物を固めてシート化した発泡樹脂材を接着し、三層構造からなる防音カーペットを得た。
【0027】
比較例
実施例の吸音遮音材に代えて、ベース樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用い、これにフィラーとして30重量%の硫酸バリウムを充填した遮音シートを用いた以外は実施例を同様にして防音カーペットを得た。
【0028】
得られた実施例および比較例の各防音カーペットの重量は、実施例に係る防音カーペットが2.7g/m2であり、比較例に係る防音カーペットが5.7g/m2であった。
【0029】
次に、実施例および比較例の各防音カーペットについて、吸音性および遮音性を評価した。その結果を図5および図6に示す。尚、吸音性の評価は、垂直入射吸音率測定装置(A117C、株式会社小野測器製)を用いて、A管(100〜2000Hz)、B管(800〜5000Hz)の垂直入射吸音率を自動測定した。また、遮音性については、各防音カーペットの一方表面側から音を当てるとともに、他方面側に100cm離れた位置に騒音計を配置し、この騒音計で防音カーペットを透過した音を拾うことで性能を評価した。
【0030】
図5および図6から、比較例に係るカーペットの吸音率(吸音性)が5000Hzでピークが0.3、騒音レベル(遮音性)が、高周波で30dB前後であるのに対し、実施例に係るカーペットにあっては、吸音率が2000Hzでピークが0.87となっており、騒音レベルは高周波で低減効果が確認され、実施例に係るカーペットは、軽いにも拘わらず、吸音性および遮音性がともに優れていることが確認された。
【0031】
【発明の効果】
本発明の防音カーペットは、カーペット表面材の裏面に、高双極子能率を有する有機低分子材料を含む連続気泡構造を有する発泡樹脂吸音遮音層を配置したことから、軽量であり、しかも優れた吸音性および遮音性を有する。
【0032】
またこの防音カーペットは、硬さが0.19〜0.4N/cm2である連続気泡構造を有する発泡樹脂吸音遮音層を配置したことから、使用時に加わる押圧力によってもへたりが生じ難くずれにくく、十分なクッション性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防音カーペットの好ましい実施の形態を示す模式図。
【図2】ベース樹脂における双極子の状態を示した模式図。
【図3】エネルギーが加わったときのベース樹脂における双極子の状態を示した模式図。
【図4】高双極子能率を有する有機低分子材料を含むベース樹脂における双極子の状態を示した模式図。
【図5】実施例および比較例に係る防音カーペットの吸音性を示すグラフ。
【図6】実施例および比較例に係る防音カーペットの遮音性を示すグラフ。
【図7】従来の防音カーペットの一例を示す模式図。
【符号の説明】
12・・・カーペット表面材
13・・・吸音遮音層
14・・・バッキング層
21・・・ベース樹脂
22・・・双極子
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば車両用や住宅用として好適な防音カーペットに関する。詳細には、軽量であり、しかも優れた遮音、吸音性を有する防音カーペットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用や住宅用として使用されている防音カーペットとしては、カーペット表面材裏面にアスファルトを含むバッキング層を設けて、バッキング層の大重量による遮音作用によって防音効果が発揮されるようにしたものがあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−34679号公報
また、図7に示すように、カーペット表面材2裏面に発泡ウレタンからなるバッキング層4を設け、前記カーペット表面材2とバッキング層4との間にフィラー5を充填した大重量の遮音層3を配置した防音カーペット1も市販されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これら従来の防音カーペットにあっては、いずれも遮音層やバッキング層の大重量による遮音作用によって防音効果が発揮されるようになっていたため、重く、取り扱い性が悪いという技術的課題があった。
【0005】
本発明は、上記技術的課題に鑑みなされたものであり、軽量であり、しかも優れた遮音、吸音性を有する防音カーペットを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、カーペット表面材の裏面に、高双極子能率を有する有機低分子材料を含み、かつ硬さが0.19〜0.4N/cm2以上である連続気泡構造を有する発泡樹脂吸音遮音層を配置したことを特徴とする防音カーペットをその要旨とした。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の防音カーペットを更に詳しく説明する。図1に示すように、本発明の防音カーペット11は、カーペット表面材12の裏面に発泡樹脂吸音遮音層13を配置したものである。
【0008】
カーペット表面材12としては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロンなどの合成繊維を用いた不織布、フェルト、紙、織物および編物の1種若しくは2種以上を複合した繊維基材、あるいは前記繊維基材にパイル糸を打ち込んだものなど、従来公知のものを用いることができる。
【0009】
発泡樹脂吸音遮音層13(以下、単に吸音遮音層という)は、本発明の最大の特徴とするものであり、該防音カーペット11に優れた吸音性と遮音性とをもたらす層として機能するものである。この吸音遮音層13は、高双極子能率を有する有機低分子材料を含むベース樹脂を発泡成形することにより得ることができる。
【0010】
ベース樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどのビニル系化合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのエチレンビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、フッ素樹脂、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、および熱可塑性ポリイミド、生分解樹脂の群から選ばれる1種若しくは2種以上の混合物、あるいは不飽和ポリエステル、エポキシ、フェノール、メラミン、ウレタン、およびケイ素樹脂のいずれか、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0011】
上記ベース樹脂の発泡成形は、従来公知の気泡発生手段、すなわち熱分解型発泡剤を用いた気泡発生手段、揮発性溶剤を用いた気泡発生手段、あるいは高圧下で不活性ガスを高分子中に吸収させ、常圧で発泡させる気泡発生手段等を用いて行うことができ、これらの方法を用いて連続気泡構造を持つ発泡樹脂層として形成される。
【0012】
得られる連続気泡構造を有する吸音遮音層13は、厚み方向に連通する無数の孔を有していて通気性がある。騒音は、このような構造を持つ吸音遮音層13の無数の孔内を衝突を繰り返しながら通過する過程で摩擦熱としてエネルギーの消費がなされ、ここに優れた吸音性が発揮されるようになっている。
【0013】
また、上記ベース樹脂中に含まれる高双極子能率を有する有機低分子材料は、吸音遮音層13が本来的に持つ吸音性を飛躍的に向上させる機能を持つものである。
【0014】
すなわち音のエネルギーが加わる前、図2に示すようにベース樹脂21内部における双極子22の配置状態は安定な状態にある。ところが、図3に示すように、ベース樹脂21に音のエネルギーが加わることで、ベース樹脂21内部の存在する双極子22に変位が生じ、この結果、ベース樹脂21内部における各双極子22は不安定な状態に置かれることになり、各双極子22は、図2に示す安定な状態に戻ろうとする。このとき、エネルギーの消費が生じるのである。
【0015】
こうしたベース樹脂内部における双極子の変位、双極子の復元作用によるエネルギー消費を通じても吸音性が生じており、該吸音遮音層13における吸音性能は、上記摩擦によるエネルギー消費と、双極子の変位、双極子の復元作用によるエネルギー消費とを合わせた性能であると考えられる。
【0016】
また、双極子の変位、双極子の復元作用によるエネルギー消費のメカニズムから、ベース樹脂21内部における双極子モーメントの量が、各性能に大きく関与していることが解る。本発明者らの実験によれば、ベース樹脂21内部における双極子モーメント量は、その量が大きければ大きい程、そのベース樹脂21のエネルギーの減衰性(吸音性)は高くなることが解った。
【0017】
高双極子能率を有する有機低分子材料は、ベース樹脂における双極子モーメントの量を飛躍的に増加させる機能を有しており、これをベース樹脂中に含ませることで、図4に示すように、ベース樹脂21における双極子モーメントの量は同じ条件の下で3倍とか、10倍とかいった量に増加することになる。これに伴って、前述の双極子の変位、双極子の復元作用によるエネルギー消費量も飛躍的に増大し、予測を遥かに超えたエネルギーの減衰性(吸音性)が生じることになり、この結果、該吸音遮音層13の音の透過量も激減し、ここに重量側に則らない遮音性が発揮されるようになる。
【0018】
このような作用効果を奏する高双極子能率を有する有機低分子材料としては、例えばN、N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスルフィド(MBTS)、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N、N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)などのベンゾチアジル基を持つ化合物、
ベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合した2−{2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″テトラハイドロフタリミデメチル)−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−{2′−ハイドロキシ−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−{2′−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−{2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)などのベンゾトリアゾール基を持つ化合物、
エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレートなどのジフェニルアクリレート基を持つ化合物、
あるいは2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(HMBP)、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド(HMBPS)などのベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上の混合物を挙げることができる。
【0019】
上述の有機低分子材料のもたらす効果は、ベース樹脂およびこれに配合される有機低分子材料の種類により、該カーペットに加わるエネルギーの大小により、さらに用途や使用状態により、変動を生じるものの、ベース樹脂100重量部に対し、有機低分子材料の含有量を1〜10重量部の割合とすることで、一定の効果が得ることができる。
【0020】
尚、有機低分子材料の含有量が、上記範囲外の場合、上記の効果が得られないだけではなく、該成形物の機械的強度が低下したりするなどの弊害を生じる恐れがある。
【0021】
尚、吸音遮音層には、上記有機低分子材料のほかに、その用途や使用状態に応じて、例えば酸化防止剤、補強剤・強化剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、着色剤などの添加剤を適宜混合することもできる。
【0022】
また、吸音遮音層13は、その硬さが0.19〜0.4N/cm2以上である。吸音遮音層13の硬さが0.19N/cm2を下回る場合、該防音カーペットの使用時に加わる押圧力によってへたりが生じやすくなり、硬さが0.4/cm2を上回る場合には、十分なクッション性が得られなくなる。
【0023】
また図1に示すように、本発明の防音カーペット11は、吸音遮音層13の裏面側にさらにバッキング層14を配置することもできる。バッキング層14としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ウレタンなどからなる樹脂層、これらを発泡成形した発泡樹脂層、あるいは不織布、フェルト、織物および編物の1種若しくは2種以上を複合した繊維基材からなるものを挙げることができる。
【0024】
尚、本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、「特許請求の範囲」に記載された範囲で自由に変更して実施することができる。
【0025】
【実施例】
実施例
ポリエチレン70重量部とエチレン−酢酸ビニル共重合体30重量部とをベース樹脂とし、これにDCHBSA(サンセラーDZ、三新化学工業株式会社製)3重量部とを配合し、この配合物を約160℃の成形温度で発泡成形して連続気孔構造を有する吸音遮音材を得た。得られた吸音遮音材の硬さは0.3N/cm2であった。
【0026】
得られた吸音遮音材をポリプロピレン繊維を用いた目付550g/m2のフェルトからなるカーペット表面材の裏面に接着し、さらに前記吸音遮音材に使用済みウレタンフォームの破砕物を固めてシート化した発泡樹脂材を接着し、三層構造からなる防音カーペットを得た。
【0027】
比較例
実施例の吸音遮音材に代えて、ベース樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用い、これにフィラーとして30重量%の硫酸バリウムを充填した遮音シートを用いた以外は実施例を同様にして防音カーペットを得た。
【0028】
得られた実施例および比較例の各防音カーペットの重量は、実施例に係る防音カーペットが2.7g/m2であり、比較例に係る防音カーペットが5.7g/m2であった。
【0029】
次に、実施例および比較例の各防音カーペットについて、吸音性および遮音性を評価した。その結果を図5および図6に示す。尚、吸音性の評価は、垂直入射吸音率測定装置(A117C、株式会社小野測器製)を用いて、A管(100〜2000Hz)、B管(800〜5000Hz)の垂直入射吸音率を自動測定した。また、遮音性については、各防音カーペットの一方表面側から音を当てるとともに、他方面側に100cm離れた位置に騒音計を配置し、この騒音計で防音カーペットを透過した音を拾うことで性能を評価した。
【0030】
図5および図6から、比較例に係るカーペットの吸音率(吸音性)が5000Hzでピークが0.3、騒音レベル(遮音性)が、高周波で30dB前後であるのに対し、実施例に係るカーペットにあっては、吸音率が2000Hzでピークが0.87となっており、騒音レベルは高周波で低減効果が確認され、実施例に係るカーペットは、軽いにも拘わらず、吸音性および遮音性がともに優れていることが確認された。
【0031】
【発明の効果】
本発明の防音カーペットは、カーペット表面材の裏面に、高双極子能率を有する有機低分子材料を含む連続気泡構造を有する発泡樹脂吸音遮音層を配置したことから、軽量であり、しかも優れた吸音性および遮音性を有する。
【0032】
またこの防音カーペットは、硬さが0.19〜0.4N/cm2である連続気泡構造を有する発泡樹脂吸音遮音層を配置したことから、使用時に加わる押圧力によってもへたりが生じ難くずれにくく、十分なクッション性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防音カーペットの好ましい実施の形態を示す模式図。
【図2】ベース樹脂における双極子の状態を示した模式図。
【図3】エネルギーが加わったときのベース樹脂における双極子の状態を示した模式図。
【図4】高双極子能率を有する有機低分子材料を含むベース樹脂における双極子の状態を示した模式図。
【図5】実施例および比較例に係る防音カーペットの吸音性を示すグラフ。
【図6】実施例および比較例に係る防音カーペットの遮音性を示すグラフ。
【図7】従来の防音カーペットの一例を示す模式図。
【符号の説明】
12・・・カーペット表面材
13・・・吸音遮音層
14・・・バッキング層
21・・・ベース樹脂
22・・・双極子
Claims (3)
- カーペット表面材の裏面に、高双極子能率を有する有機低分子材料を含み、かつ硬さが0.19〜0.4N/cm2である連続気泡構造を有する発泡樹脂吸音遮音層を配置したことを特徴とする防音カーペット。
- 高双極子能率を有する有機低分子材料が、ベンゾチアジル基を持つ化合物、ベンゾトリアゾール基を持つ化合物、ジフェニルアクリレート基を持つ化合物、およびベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれる1種若しくは2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1記載の防音カーペット。
- 高双極子能率を有する有機低分子材料が、ベース樹脂100重量部に対し1〜10重量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項1または2記載の防音カーペット。
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JP2003123342A JP2004324022A (ja) | 2003-04-28 | 2003-04-28 | 防音カーペット |
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-
2003
- 2003-04-28 JP JP2003123342A patent/JP2004324022A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110861379A (zh) * | 2019-11-01 | 2020-03-06 | 青岛富晟复合材料科技有限公司 | 一种汽车用隔音地毯及其制备方法 |
CN110861379B (zh) * | 2019-11-01 | 2023-08-11 | 青岛富晟复合材料科技有限公司 | 一种汽车用隔音地毯及其制备方法 |
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