JP2004323855A - 弾性樹脂、弾性樹脂成形物、衣料および衣料用副資材 - Google Patents

弾性樹脂、弾性樹脂成形物、衣料および衣料用副資材 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、低温から高温まで広範囲の温度領域でヘタリのない優れた弾性特性を有する耐熱性に優れた弾性樹脂、弾性樹脂成形物、衣料および衣料用副資材を経済的に提供せんとするものである。
【解決手段】 本発明にかかる弾性樹脂は、テトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンであって、
該ポリウレタンのポリウレタン−尿素重合体鎖の共重合部分からなるソフトセグメントの分子量が、一般式(1)で定義されるLa以下であり、
該ポリウレタンが、コポリエーテルポリオール1モルに対して有機ジイソシアネート化合物を1.7モル以下含有するものであり、
該ポリウレタンが、非分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物、対称性環状脂肪族系ジアミノ化合物および対称性芳香族系ジアミノ化合物から選ばれた少なくとも1種のジアミノ化合物(A)を鎖伸長剤とするハードセグメントを有するものであり、
該鎖伸長剤が、前記ジアミノ化合物(A)以外のジアミノ化合物を含まない、
ことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低温でも高温でもヘタリのない優れた弾性特性を有する弾性樹脂、樹脂成形物および衣料、衣料用副資材に関する。
ポリウレタン弾性繊維はその優れた伸縮性のためパンティストッキングや水着などの伸縮性衣料用途や産業資材用に幅広く使用されている。
一般的にポリエーテル系ポリウレタンは、常温では優れたゴム弾性を示すが、環境温度が低下するとそのゴム弾性が低下し、冬期に低温環境下で編立加工された場合、温度変化により編立製品の寸法が変動し、仕上がり品が均一にならないという問題がしばしば生じていた。
また、最近、ポリウレタン弾性繊維とポリエステル使いの生地が水着やアウター用途などに多く使用されてきており重要となってきている。
ポリウレタン弾性繊維としては、従来、特開昭63−235320号公報、特開平5−239177号公報および特開平2−19511号公報などが提案されており、テトラヒドロフランおよび3−メチルテトラヒドロフランの共重合体、有機ジイソシアネートおよびジアミン化合物からなるポリウレタン重合体を紡糸する技術が開示されている。
まず、前記ポリエーテル系ポリウレタンは、低温、たとえば0℃以下の温度においては、ゴム弾性が損なわれてしまうため、例えば、養殖用の網等の氷点下で使用される可能性のある用途には使用できなかった。従ってポリエーテル系ポリウレタン弾性繊維の低温での弾性回復特性(耐寒性)の改善が強く望まれているのが実状である。
次に、ポリウレタン弾性繊維とポリエステル使いの生地の場合では、染色加工温度が高いために、耐熱性が悪いと染色加工の際に弾性繊維のパワーが低下したり、糸切れの原因となったりする。従って、このような用途においては、低温特性が良く、かつ耐熱性のよいポリウレタン弾性繊維が望まれているのが実状である。
最後に、ポリウレタン弾性繊維の上述提案によるものは、ポリウレタン弾性繊維の物理特性の劣化や、高温での伸長回復パワーの低下による問題があり、すなわち、従来技術では、低温から高温までのいずれの温度領域においても優れた弾性特性を有する樹脂や成形物は、何ら実現されていないのが実状であった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、低温でも高温でもヘタリのない優れた弾性特性を有する優れた弾性樹脂、弾性樹脂成形物、衣料および衣料用副資材を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、本発明の弾性樹脂は、テトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンであって、かつ、該ポリウレタンのポリウレタン−尿素重合体鎖の共重合部分からなるソフトセグメントの分子量が、一般式(1)で定義されるLa以下であり、
該ポリウレタンが、コポリエーテルポリオール1モルに対して有機ジイソシアネート化合物を1.7モル以下含有するものであり、
該ポリウレタンが、非分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物、対称性環状脂肪族系ジアミノ化合物および対称性芳香族系ジアミノ化合物から選ばれた少なくとも1種のジアミノ化合物(A)を鎖伸長剤とするハードセグメントを有するものであり、
該鎖伸長剤が、前記ジアミノ化合物(A)以外のジアミノ化合物を含まない、
ことを特徴とする。
Figure 2004323855
また、本発明の弾性樹脂成形物は、かかる弾性樹脂で構成されていることを特徴とするものであり、また、本発明の衣料および衣料用副資材は、該衣料および該衣料用副資材の少なくとも伸縮部分がかかる弾性樹脂繊維で構成されていることを特徴とするものである。
本発明のポリウレタン弾性繊維は高伸度とソフトなストレッチ感を有し、低温において弾性的性質が損なわれず、強度の低下やヘタリが生じないなど優れた低温特性を有している。しかも、該繊維やその編み製品の後加工工程での高温熱処理においてもパワー低下、糸切れやヘタリなどを防止する優れた耐熱性を有する。さらに、該繊維からなる編み製品は風合いや肌触りも良い。
本発明は、従来の弾性樹脂成形物では解決できなかった、低温および高温のどの温度領域でもヘタリがなく優れた弾性特性を示す弾性樹脂およびそれからなる弾性樹脂成形物について鋭意検討したところ、テトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなる弾性樹脂で、特定なソフトセグメントを根幹ポリマ鎖に導入すると、意外にも、低温でも高温でもヘタリのない優れた弾性特性を有する弾性繊維を提供することを究明したものである。
すなわち、本発明の弾性樹脂は、有機ジイソシアネート化合物、ジアミノ化合物、テトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランのコポリエーテルポリオールとからなるものである。つまり、該弾性樹脂は、イソシアネートとジアミノ化合物を連鎖延長剤とする反応から誘導されるハードセグメント部分と、ポリウレタン−尿素重合体鎖の共重合部分からなるソフトセグメント部分とを有するポリマであるが、かかる弾性樹脂において、本発明では、このソフトセグメントの分子量が、一般式(1)で定義されるLa以下であり、該ポリウレタンが、非分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物、対称性環状脂肪族系ジアミノ化合物および対称性芳香族系ジアミノ化合物から選ばれた少なくとも1種のジアミノ化合物(A)を鎖伸長剤とするハードセグメントを有するものであり、該鎖伸長剤が、前記ジアミノ化合物(A)以外のジアミノ化合物を含まないところに特徴を有するものである。
Figure 2004323855
かかるLa以下というソフトセグメントの分子量を満たす中でも、さらに好ましくは分子量が2000〜20000、特に好ましくは4000〜15000の範囲にあるもので構成されているのが、低温から高温までの広範囲の温度領域において優れた耐ヘタリ特性を有する弾性樹脂を提供することができてよい。
かかるソフトセグメントの分子量Lは、製造過程で使用する原材料の条件から、次式で理論的に計算して求めることができる。
Figure 2004323855
また、別の方法としては、該ソフトセグメントの分子量Lは、示差走査熱量分析で求めた弾性樹脂の融点から、次式により算出することができる。
Figure 2004323855
本発明は、弾性樹脂の成形物(繊維)について、該樹脂のソフトセグメントの分子量とポリオール中の3−アルキルテトラヒドロフランのモル分率との関係を検討したところ、図1で示すような関係があることを究明し、かつ、それぞれの弾性樹脂成形物の温度依存性について検討したところ、上述一般式(1)で定義されるライン(La)を境界線として、該ラインを越える分子量を有するソフトセグメントからなる弾性樹脂成形物では、ヘタリが激しい欠点を有し、反対に該ライン以下の分子量を有するソフトセグメントからなる弾性樹脂成形物では、温度依存性のない耐ヘタリ性に優れた弾性特性を有する樹脂を提供することを究明したものである。
また、かかるソフトセグメントを構成するコポリエーテルポリオールの分子量は、好ましくは500〜10000、さらに好ましくは1000〜3000の範囲にあるものが強度特性、さらに弾性的性質の上からよい。
すなわち、本発明の該コポリエーテルポリオールは、テトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとの共重合ポリオールであることが必須であるが、かかる3−アルキルテトラヒドロフランとは、テトラヒドロフランの3の位置にアルキル基を有するものをいう。該アルキル基としては、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、イソペンチル等を有するものを使用することができる。これらの中でも、3−メチルテトラヒドロフランが、物性、重合性および収率などの点から好ましく使用される。
本発明においては、コポリエーテルポリオール中の、かかる3−アルキルテトラヒドロフランのモル分率を、好ましくは5〜20モル%、さらに好ましくは5〜15モル%の範囲で含有させたもの、すなわち、図1でいえば、ラインLaと3−アルキルテトラヒドロフランのモル分率が5〜20モル%のラインとで囲まれる範囲内の樹脂が、温度依存性のない優れた弾性特性および強度特性を有する弾性樹脂を提供することができるのでよい。
かかる弾性樹脂は、有機ジイソシアネート化合物をモノマ単位として構成されてなるものであるが、かかる有機ジイソシアネート化合物としては、分子内にイソシアネート基を2個以上有しているものである。例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記する)、2,4−トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記する)、4,4´−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(以下、PICMと略記する)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンp−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート等を有機ジイソシアネート化合物をモノマ単位として使用されてなるものである。かかる有機ジイソシアネート化合物のモル量の比は、得られる弾性樹脂の強度特性の上から、コポリエーテルポリオール1に対し有機ジイソシアネート化合物は1.2〜2.3の範囲であるのが好ましい。
本発明の弾性樹脂のハードセグメント部分を構成するためのジアミノ化合物(A)は、非分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物、対称性環状脂肪族系ジアミノ化合物および対称性芳香族系ジアミノ化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のものが、上述の耐ヘタリ性に優れた弾性特性を有するポリマを形成し易いハードセグメントを提供するので好ましい。
また、かかるジアミノ化合物とは別のジアミノ化合物(B)、すなわち、分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物、非対称性環状脂肪族系ジアミノ化合物および非対称性芳香族系ジアミノ化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のジアミノ化合物との混合物で鎖伸長反応をしたものでもよいが、この場合には、後者のジアミノ化合物のモル分率が全ジアミノ化合物に対して20モル%未満に押えたものが、耐ヘタリ性に優れた弾性特性を示すので好ましい。
前者のジアミノ化合物(A)の具体例は、上述の非分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物としては、エチレンジアミン(以下、EDAと略記する)、1,3プロピレンジアミン、ヒドラジン、テトラメチレンジアミン等が挙げられ、対称性環状脂肪族系ジアミノ化合物としては、1,4−シクロヘキシレンジアミン、4,4′−ジアミノシクロヘキシルメタン等が挙げられ、対称性芳香族系ジアミノ化合物としては、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
また、後者のジアミノ化合物(B)を加えた系で鎖伸長反応させた場合には、次の化合物を使用して製造された弾性樹脂が好ましい。すなわち、かかるジアミノ化合物(B)の具体例は、たとえば分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物としては、1,2プロピレンジアミン、2メチルペンタメチレンジアミン(以下、MPMDと略記する)、尿素等が挙げられ、非対称性環状脂肪族系ジアミノ化合物としては、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン(以下、HMPDと略記する)、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン等が挙げられ、非対称性芳香族系ジアミノ化合物としては、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビス(2クロロアニリン)等がよい。
本発明の弾性樹脂には、該ポリマに紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐ガス安定剤等の各種添加剤を添加せしめることを制約するものではなく、かかる添加剤により耐光性、耐ガス性などの向上をはかることは好ましいことである。
本発明の弾性樹脂から成形物、特に弾性繊維を製造する方法においては、公知の乾式法、湿式法、溶融成形法のいずれの成形方法を採用して成形してもよい。
かかる成形物としては、たとえば繊維状物、フィルム状物、シート状物、プラスチック成形物など各種の形態ものを提供することができる。
かかる本発明の弾性樹脂成形物、特に弾性樹脂繊維は、後述の実施例で示すように、−5℃でのSET%が好ましくは90%以下、さらに好ましくは50%以下で、かつ180℃で熱処理後の伸長回復力UP-200の保持率が好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上という物性を達成させることができるという優れた弾性特性を示すものである。
次に本発明のポリウレタン弾性繊維、衣料および衣料副資材を実施例、比較例によってさらに詳しく説明する。
なお、本発明のデータの測定方法を以下に示す。
[3−アルキルテトラヒドロフランのモル分率]
核磁気共鳴スペクトルの解析により求めた。
[ソフトセグメントの融点]
弾性樹脂成形物(ポリウレタン弾性繊維フィラメント)約5mgを約2mm以下に裁断し、簡易密閉式容器に入れ、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製DSC−220C型)を用いて50ml/分の窒素気流中で測定を行った。
まず、10℃/分の降温速度で室温から−120℃まで冷却し、その温度で5分間停止し、10℃/分の昇温速度で320℃まで昇温した。その際、下向きに現れる吸熱ピークの温度をソフトセグメントの融点とした。
[弾性的性質]
試料長5cmのポリウレタン弾性繊維フィラメント1本をインストロン引張試験機(インストロン・ジャパン(株)製万能材料試験機4501型)を用い、−5℃にて50cm/minの一定速度で0%(1倍:初期試料長=5cm)から300%(4倍:試料長=20cm)までの繰り返し伸長を4往復止めずに行った。
5往復目の繰り返し伸長において、300%(4倍:試料長=20cm)伸長時に30秒間停止し、その後、0%に戻した。この0%時の残留歪率であるSET%を測定した。ここで、0%伸長とは糸から引張応力を取り除いた状態を示しており、一般に応力除去後の糸は、伸長前に比べて若干伸びているものである。この元の試料長に対する、ヘタって元に戻らない長さの割合で示されるものである。すなわち、SET%は下式により計算される。
SET%=[(5往復繰返伸長後の0%時の試料長)−5]/5×100
[耐熱性]
試料長10cmのポリウレタン弾性繊維フィラメント試料を、100%(2倍:試料長=20cm)伸長した状態で180℃で乾熱処理を1分行い、次いで該100%伸長状態のまま該試料を取り出し、21℃、相対湿度65%の条件下に置き直して、同じく該100%伸長状態で1日放置した。その後、該試料を0%(1倍:試料長>10cm)に戻し、該条件下にてもう1日放置した。
該条件下において、該試料の長さを5cmにしたポリウレタン弾性繊維フィラメント試料を該インストロン引張試験機を用いて50cm/minの一定速度で0%(1倍:初期試料長=5cm)から300%(4倍:試料長=20cm)までの繰り返し伸長を4往復止めずに行った。
5往復目の繰り返し伸長において、300%(4倍:試料長=20cm)伸長時に30秒間停止し、次いで、0%(1倍:試料長>5cm)へ向けて戻すが、そのとき、200%(3倍:試料長=15cm)に戻したときの伸長回復力UP-200を測定した。
ここで、0%伸長とは、糸から引張応力を取り除いた状態を示す。UP-200の保持率は、該熱処理をしていない未処理のUP-200を100としたときに対する熱処理後のUP-200の割合として示した。
実施例1
10.2モル%の3メチル−テトラヒドロフランを含む分子量2016のコポリエーテルグリコール1モルに対しMDIは1.7モルの比でN2気流中90℃180分間固相重合するとNCO含量2.41%を有するイソシアネート末端コポリエーテルグリコールが得られた(ソフトセグメントの分子量L=5503)。このイソシアネート末端コポリエーテルグリコールを50℃に冷却し、DMACを添加して36%の固形物を有する混合物とした。5分間強く掻き混ぜを行ない、完全に溶解させた。溶解後、強く掻き混ぜながら追加量のDMAC中に87モル%のエチレンジアミンと13モル%のジエチルアミンからなる化学量論的な量の混合物を添加し、溶液重合を行なった。
得られたセグメント化コポリエーテルグリコールポリウレタン−尿素重合体の溶液は32%の固形分(重量基準)を含み、40℃で1542ポイズの粘度を有していた。この重合体溶液にビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタンとt−ブチルジエタノールアミンの重付加重合物およびジビニルベンゼンパラクレゾール共重合物を添加した。2種の添加剤はそれぞれ溶液中の全固形分の3.0重量%および1.2重量%であった。
また、慣用の方法でこの溶液を乾式紡糸し、40d、4フィラメント凝固糸を製造した。
このフィラメントを慣用の引張ロ−ルで640m/minの速度で引張り、775m/minで巻取りを行なった。得られたポリウレタン弾性繊維の低温特性および耐熱性は優れたものであった。この糸の物性を表1に示す。
実施例2〜6、参考例1〜3
実施例1と同じ方法で3メチル−テトラヒドロフランの含量を14.8モル%、ソフトセグメント分子量を5784(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量1919、モル比1.6)と設定したもの(実施例2)、3メチル−テトラヒドロフランの含量を18.3モル%、ソフトセグメント分子量を8595(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量2973、モル比1.6)と設定したもの(実施例3)、3メチル−テトラヒドロフランの含量を10.2モル%、ソフトセグメント分子量を8966(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量2894、モル比1.54)と設定したもの(実施例4)、3メチル−テトラヒドロフランの含量を14.8モル%、ソフトセグメント分子量を8166(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量3502、モル比1.85)と設定したもの(実施例5)3メチル−テトラヒドロフランの含有量を14.8%、ソフトセグメント分子量を10869(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量3826、モル比1.6)と設定したもの(実施例6)、3メチル−テトラヒドロフラン含量が10.2モル%、ソフトセグメント分子量4802(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量1808、モル比1.75)、鎖伸長剤にEDAと1,2プロピレンジアミン(以下、PDAと略記する。)とを85/15の比と設定したもの(参考例1)、3メチル−テトラヒドロフラン含量が14.8モル%、ソフトセグメント分子量8757(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量3034、モル比1.6)、鎖伸長剤にEDAとHMPDを80/20の比で使用したもの(参考例2)、3メチル−テトラヒドロフラン含量が14.8モル%、ソフトセグメント分子量8166(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量3502、モル比1.85)、鎖伸長剤にEDAとMPMDを65/35の比で使用したもの(参考例3)の糸の物性を併せてそれぞれ表1に示す。
比較例1〜3
実施例1と同じ方法で3メチル−テトラヒドロフラン含量が0モル%、ソフトセグメント分子量5606(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量1808、モル比1.58)にしたもの(比較例1)、3メチル−テトラヒドロフラン含量を10.2モル%、ソフトセグメント分子量12000(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量2894、モル比1.355)のもの(比較例2)、3メチル−テトラヒドロフラン含量が0モル%、ソフトセグメント分子量5309、(テトラヒドロフラン/3メチル−テトラヒドロフランコポリエーテル分子量1802、モル比1.63)、鎖伸長剤にEDAとHMPDを90/10の比で使用したもの(比較例3)の糸の物性を併せてそれぞれ表1に示す。
Figure 2004323855
表1から明らかなように、実施例1〜6、参考例1のポリウレタン弾性繊維は低温および高温のどちらにおいてもへたらずに優れたものであった。参考例2および3のものは低温ではほとんどへたらなかったが、高温では若干のヘタリが生じた。
これに対して、比較例1〜3は高温でのヘタリは小さいものであったが、低温でのヘタリが非常に大きく使用不可能であった。
実施例7、比較例4
実施例1と比較例1で得られたポリウレタン繊維をそれぞれ用いて、10℃の条件下でベア天竺を製編して、その編物を縫製してトレーニングウエアを作った。
これらのトレーニングウエアの内、比較例1のものは編立寸法が変動し、さらに後加工での熱処理に対して激しくヘタリが惹起するものであり、商品価値のないものであった。これに対し、実施例1のものは均一に仕上がっており、しかも、後加工での熱処理に対しても何らヘタリ現象は惹起しなかった。
本発明の弾性樹脂成形物のうち、特に繊維構造体としては、様々な用途に利用可能である。その具体的な例としては、ゾッキストッキング、パンティーストッキング、ブラジャー、スリップ、キャミソール、ボディースーツ、ウエストニッパー、ショーツ、ガードル、靴下やパンツ等の締め付け用紐、水着、スキーウェア、スキーパンツ、スケート用ウェア、レオタード、トレーニングウェア、トレーニングパンツ、登山服、作業服、煙火服、洋服、ウールとの併用による紳士・婦人用スーツ等の衣服、ウェットスーツ、紙おしめ等のサニタリー品の漏れ防止締め付け部材、ゴルフズボン、疑似餌、造花、人工皮膚、人工血管、人工心臓、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケット、安全衣服の締め付け部材、実験着の締め付け部材、防水資材の締め付け部材、包帯、ヘアキャップの締め付け部材、手袋の締め付け部材、果樹用袋の締め付け部材など、すなわち、弾性伸縮力を必要とされる部位に好適に使用することができる。
この図は、本発明の弾性樹脂のソフトセグメントの分子量とポリオール中の3−アルキルテトラヒドロフランのモル分率との関係を示すグラフである。

Claims (18)

  1. テトラヒドロフランと3−アルキルテトラヒドロフランとのコポリエーテルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンであって、
    該ポリウレタンのポリウレタン−尿素重合体鎖の共重合部分からなるソフトセグメントの分子量が、一般式(1)で定義されるLa以下であり、
    該ポリウレタンが、コポリエーテルポリオール1モルに対して有機ジイソシアネート化合物を1.7モル以下含有するものであり、
    該ポリウレタンが、非分岐鎖状脂肪族系ジアミノ化合物、対称性環状脂肪族系ジアミノ化合物および対称性芳香族系ジアミノ化合物から選ばれた少なくとも1種のジアミノ化合物(A)を鎖伸長剤とするハードセグメントを有するものであり、
    該鎖伸長剤が、前記ジアミノ化合物(A)以外のジアミノ化合物を含まない、
    ことを特徴とする弾性樹脂。
    Figure 2004323855
  2. 該ソフトセグメントの分子量が、2000〜20000である請求項1に記載の弾性樹脂。
  3. 該ソフトセグメントを構成するコポリエーテルポリオールが、10000以下の分子量を有するものである請求項1〜2のいずれかに記載の弾性樹脂。
  4. 該コポリエーテルポリオールが、3350未満の分子量を有するものである請求項3記載の弾性樹脂。
  5. 該コポリエーテルポリオールが、1000〜3000の分子量を有するものである請求項3記載の弾性樹脂。
  6. 該コポリエーテルポリオールが、3−アルキルテトラヒドロフランを5〜20モル%含有する請求項1〜5のいずれかに記載の弾性樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の弾性樹脂で構成されていることを特徴とする弾性樹脂成形物。
  8. 該成形物が、繊維である請求項7記載の弾性樹脂成形物。
  9. 該弾性樹脂成形物が、−5℃でのSET%が90%以下で、かつ、180℃における熱処理後の伸長回復力UP-200の保持率が70%以上であることを特徴とする請求項7〜8のいずれかに記載の弾性樹脂成形物。
  10. 請求項8に記載の弾性樹脂繊維で、衣料の少なくとも伸縮部分が構成されていることを特徴とする衣料。
  11. 請求項10記載の衣料が、下着類であることを特徴とする衣料。
  12. 該下着類が、ブラジャー、スリップ、キャミソール、ボディースーツ、ウエストニッパー、ショーツ、ガードルまたはパンティーストッキングである請求項11記載の衣料。
  13. 請求項10記載の衣料が、スポーツウェアであることを特徴とする衣料。
  14. 該スポーツウェアが、スキー用、スケート用、アイスホッケー用、登山用、水泳用、サッカー用、野球用である請求項13記載の衣料。
  15. 該スポーツウェアが、トレーニング用である請求項13記載の衣料。
  16. 該スポーツウェアが、レオタードである請求項13記載の衣料。
  17. 請求項8に記載の弾性樹脂繊維で、衣料用副資材の少なくとも伸縮部分が構成されていることを特徴とする衣料用副資材。
  18. 該衣料用副資材が、手袋、靴下、帽子、ベルト、サポーターである請求項17記載の衣料用副資材。
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